NAOSI: Ngski Uivrsiy's Ac il 電気回路講義ノート Auhor(s 辻, 峰男 Ciio 電気回路講義ノート ; 4 Issu D 4-4 U hp://hdl.hdl./69/3466 igh his docum is dowlodd hp://osi.lb.gski-u.c.jp
第 4 章フーリエ級数によるひずみ波の解析 フーリエ級数 (Fourir sris 周期関数 f ( とは, ある周期 で同一の波形を繰り返すもので, 次の性質がある f ( f( このとき, f ( を以下のフーリエ級数に展開すると, いろいろの周波数の三角関数の和として表現でき, 式が扱い易く大変便利である 形式 A 図 4- 周期関数 ( ひずみ波交流 f( ( cosbsi,,,,3, (4- f( d f(cos d (, b f(si d 形式 B f f( A A si( (4- A, A b, b ここで, A をスペクトルという f ( A si( A : 直流分, f ( A si( : 基本波 (fudml wv, : 第 高調波 (scod hrmoic, f 3 ( A 3 si(3 3 : 第 3 高調波 (scod hrmoic などという 第 高調波の周波数は, 基本波の周波数 f /( の 倍, 周期は基本波の周期 の/ になる 形式 C f f( j C (4-3 jb jb C, C, C (,, j C f( d (,,, 変数 のかわりに, を用いるときは, 形式 A では, f ( ( cos b si (4-3 (4-4 37
f( d f( cos d, b ( si f d より, この理由は, d これは, d :, : f( d f( d f( d ただし, f ( は ( と置き換えた関数を意味する, b についても同様である f で ( 注 積分範囲を または としたが, とにかく 周期積分すればよいので, または としてもよい この式は理解すれば覚えられる 形式 A の説明まず, を求めよう f ( を まで積分して, f ( d d ( cos b si d ここで, cos d, si d だから f ( d f( d は平均値であり, f ( に含まれる直流成分を表す 覚えやすい を求めるには, f ( の両辺に cos m を掛けて積分する f(cos m d cosm d cos cos si cos ここで, m d b m d m d m m d m のとき m のとき cos cos cos( cos( si cos m d si ( m si ( m d 従って, 第 項の が m に等しい場合のみ値をもち, 38
f m d f m d (cos m m (cos m を改めて とすれば公式を得る b を求めるには, f ( の両辺にsi m を掛けて積分する ここで, f(si m d sim d cos si si si m d b m d m d m m d m のとき m のとき si si cos( cos( よって, 第 3 項で が m に等しい場合のみ値をもち, f (si m d bm bm f(si d m を改めて とすれば公式を得る 一般に, 関数系列,,,,,, cos, si, cos, si, 3 4 において, 次式が成立する 関数系列の積分公式と呼ぶ m d ( m (4-5 は基本波の角周波数, は最も長い基本波の周期である mの周期は積を和に変えると, の整数分のである よって, で積分すると, となる d (4-6 ( m d m (4-7 同じものの積には定数項を生じるので, 積分は でない * この公式を理解していれば ( 覚えるのでなく, フーリエ解析の計算は超簡単だ! * [ 形式 A] で やb を求める公式もそれらの係数と同じ三角関数を掛けたときに値 が /になるから, それで割れば求まる 39
形式 B の説明 形式 A の三角関数を合成しただけ 形式 C の説明 形式 A より 形式 C を導く であるから, cos ( si ( j j j j j j j cos si b C C jb jb 但し, C, C (,,3, C, C は一般に複素数である ( しかし, それらで求まった f ( は実数である いま, C と書くことにすれば, f ( ( cos b si j j C ( C C j j C C C j C 係数 C (,,, は以下のようにして求まる まず, j jm j( m d d (4-8 m のとき m のとき j( m j ( m の関係がある これを用いて, j jk j k k ( f d C d C jk j k k C d k が のときのみ値をもつ 4
フーリエ級数の性質 f ( 偶関数 f ( f( f ( ( cos b si f ( ( cos b si 両者が等しいから, b なわち,si の成分はない f ( f ( f( だから, すなわち, 直流分や cos の成分はない f ( 奇関数 f ( f( f( 正負対称波 f ( f( f( o cos( o b si( が偶数のとき, はつかない が奇数のとき, がつく これが, f ( に等しくなるには,,, b の は奇数 すなわち,, b, 3, b 3, の項 ( 奇数調波 だけが存在する パーシバルの定理 f ( d ( coso b si d b ( 関数系列の積分の公式からすぐ求まる (4-9 f ( d j C d j jm C Cm d m ( (4- C C C C ( C C 4
フーリエ級数の電気回路への応用周期関数はフーリエ級数によって周波数の異なる成分に分けられた 負荷が, C, の線形回路であれば, 重ね合わせの理より成分ごとに解を求めて, 後で, 加え合わせればよい 周波数の高い成分程値は小さくなるのが一般的だから, ぐらいまででも, 良い解が得られる ( が与えられて, i ( の定常解を求める問題 ( i ( 手順. ( をフーリエ級数に展開し, ( si( (4- を得る : 直流分, : 基本波成分の実効値 : 第 調波成分の実効値 手順. 成分ごとに i を求める j : 第 調波成分のフェーザ i i i j j i I j I j フェーザから瞬時値へ ( i si ( 但し, ( i si ( 但し, 手順 3. 各成分を重ね合わせて i を求める i i i i i 3 ( si( (4- 但し, (4-3 一般に, i i I si( と書ける I : 第 調波成分の実効値 ( 注 フェーザ表示して, I i I I I3 と書いてはいけない フェーザ同士の演算 ができるのは, あくまで同じ周波数のときのみ 瞬時値を加えることは重ね合わせの理より可能 4
ひずみ波交流の実効値, 電力, 力率 電源電圧と電流が次式で与えられるとする ( 直流分は の場合を考えることが多い si( (4-4 si( (4-5 i I i 負荷, iの実効値 (roo-m-squr (r.m.s. vlu, ffciv vlu をそれぞれ, I とすると, d ( 実効値の一般的な定義 (4-6 si( d 3 ( パーシバルの定理より (4-7 同様に電流の実効値は, I i d I I I3 (4-8 高調波がある場合も抵抗 で消費される電力の平均値は I となる ( i の平均値だから 逆に, こうなるように実効値が定義されたのである ひずみ率 (disorio fcor: k ( どの程度, 正弦波から変形しているかの目安 高調波の実効値 k 基本波の実効値 3 (4-9 電力 ( 有効電力 P ( 周波数が違うので平均電力は各調波の平均電力の和となる 確認せよ P id cos I 注 ii i i (4- 皮相電力 ( 電源の電圧と電流の実効値の積 : これは装置の大きさの目安になる 皮相電力 I I (4- 力率 ( 総合力率 powr fcor ( cos のことを基本波力率 displcm fcor という I I 有効電力力率 cos ( 皮相電力 (4- 基本波力率は電圧と電流を基本波成分だけで近似したときの力率で基本波成分のフェーザで考えてよい これに対し総合力率は, 近似せず力率の定義に立ち戻り有効電力 / 皮相電力で求める 43
例題 図の方形波 f ( をフーリエ級数に展開せよ 3 : タウと読む ( 解 奇数関数だから, b f( si d si d si d cos cos cos cos cos cos ここで, 周期 :, より, 4 : b cos cos cos cos 奇数 : 偶数 4 f( b si,3,5 si 但し, : 基本波の角周波数 が大きい程スペクトル ( 振幅 は小さい 基本波 4 f si 3 第 3 調波 3 4 f3 si 3 3 5 第 5 調波 5 f 4 si 5 5 5 f f f 3 f 3 f f f 3 5 f 一番下の波形は, f f 3 f 5 であり, 第 5 調波まで加えると, もとの f ( にかなり近くなる 周期関数はフーリエ級数を用いて周波数の違う三角関数の和として表わせることが判る 44
例題 図の方形波 f ( をフーリエ級数に展開せよ f ( 3 ( 解 奇関数だから, b f( si d si d si d cos cos cos cos cos cos ( cos 4 : 奇数 : 偶数 f( b si,3,5 4 si で積分するより, で積分した方が計算は楽である 従って, 例題 は例題 のように に直して計算した方が良いと思われる については, 周期のところが となる 例題 で, 周期 ( 図より であるから, : 基本波の角周波数 ( 最も低い角周波数 の関係がある よって, 例題 で とおけば, 例題 の結果と一致する 質問 : なぜ複雑なフーリエ級数に展開するのか? 答え : 三角関数の和になれば, 各成分については正弦波だから扱い易い ( 交流理論も使える また, 基本波だけでも良い近似解が得られる 45
例題 3 電源電圧 ( が図の波形で与えられるとき, 電流 i ( の定常解を求めよ ( ( i ( 3 ( 解 フーリエ級数に展開して, 4 (,3,5 si 但し,, 4 まず, si に対する電流 i を求める のフェーザを とすれば, 4 図より, i のフェーザ I は, 分流の公式を用いて I j j j j j I ( ( ( rg I 従って, i ( I si( rg I (,3,5, 重ね合わせの理より, 次式で i ( が求まる i ( i(,3,5, ( 注 ( のフェーザを とし, 35 とか, i ( のフェーザを I とすると, I I I3 I5 という式は成立しない フェーザが定義されるのは同じ周波数の電源だけである すなわち, のフェーザが,i のフェーザ I が定義できない 瞬時値を加え合わせることは問題ない 46
例題 4 図の回路はダイオードを使って交流から直流を作る整流回路である 負荷のインダクタンス が十分に大きければ, 直流電流 Id は一定と考えてよい * このとき, 交流電源の電圧 ( と電流 i ( の波形は図のようになる ( si,( i のフーリエ級数展開は 4Id si i (,3,5, ( i ( の実効値を求めよ ( 基本波力率を求めよ である * 第 5 章例題 よりが大きいとコイルの電流は変化が小さい v d が脈動してもほとんどは変化しない I d (3 総合力率 ( 力率 を求めよ I d 一定直流 I d ( i ( ( i ( c v d 十分大きい 3 d b vd ( I d,b オン c,d オン ( 解 ( I i d I d d Id ここで, 周期 ( i ( の基本波成分 i ( は の場合で, 次式で与えられる 4I i( d si よって, 交流電圧 ( との位相差は である 従って, 基本波力率は, cos (3 有効電力 P は, P I cos I cos I,3,5, d d I 有効電力 d 総合力率.9 皮相電力 I ( 注 ( は I I I I I I 3 5 d 3 5 ( ( d でも計算できるが, この場合は定義から求めた方が簡単である (3 電源電圧は基本波成分のみであるから 以外 である 有効電力は, I P id si Id d d ( ここで, エネルギー保存則より, P I d だから, I 47 d である で求めても良い
例題 5 図の回路で電源電圧の瞬時値が次式で与えられるとき, i を求めよ b bb3, bc bcbc3, c c c3 ここで, b si, bc si(, c si( 3 3 i b3 3si3 bc3 3si3( i b c 3 b c3 3si3( i c 3 c b c ' i b b ( 解 図のように ( 基本波成分,(b 第 3 調波成分に分けて, 重ね合わせの理を利用する bc i bc ' i c c i c i r bc c i b i r i bc ' i b b i r ' i bc b i c3 c c3 i b3 i bc3 bc3 b3 b i 3 c ' i b3 b ( 基本波成分のみの回路 (b 第 3 調波成分のみの回路基本波成分については, 図の回路 ( 電源と負荷の電流は等しい に変形すると ' ' ' r b b bc bc c c i i i i i i i 従って, ' ' ' r b bc c b bc c 3 i i i i ( i i i ( 三相回路の対称性より ' ' ' b b, bc bc, c c i i i i i i だから,,b,c 相が独立に解ける i の基本波 i は i i i より b c i 6 si( 6 j /3 I ( 第 3 調波成分については, b3 bc3 c3 となり, 対称性より ib3 ibc3 ic3だからi の第 3 調波成分はi 3 ib 3 ic 3 となる 従って重ね合わせの理よりi ii3 iで求まる ( 参考 このように第 3 調波成分は 電源の中で循環し, 線路に流れない i i i ( / si3 循環電流は, b 3 bc 3 c 3 3 Y 電源 ( 変圧器 では電源に第 3 調波成分が流れることができないので変圧器の飽和とヒステリシスがあると起電力が高調波を含むことになり問題である 一方 電源は変圧器鉄心の飽和とヒステリシスがあっても循環電流として電源に第 3 調波成分が流れて変圧器起電力が正弦波となることができ, 配電に利用されている ( 文献 5 48
問題. のこぎり波電圧 ( をフーリエ級数に展開せよ ( ( 答 ( (si si si 3 si 4 但し, 3 4 下図は, 第 3 調波まで ( 第 3 項まで 加えたときの波形である 問題. 図の回路に, 基本波周波数 6Hz のひずみ波電圧 si si 3 [V] を加えた 次のものを求めよ ( 電流 i の式 5 i (, iの実効値 (3 消費電力, 皮相電力, 総合力率 mh ( 答 ( i 6.si( 37..6 si( 3 66. [A] ( 7.V, I.4 A (3 P 646 W, 皮相電力 8VA, 総合力率.786 問題 3. 電源電圧 ( が次式で与えられるときコンデンサ電圧を求めよ ( si( ( 解 各成分に対する定常解を求め, 加え合わせる C v C とすると C v( si( ( C 49