ソーシャルセクター組織実態調査 2017 特定非営利活動法人新公益連盟 2017 年 12 月 6 日
調査の概要 新公益連盟に加盟する 44 団体の回答をもとに分析を実施 調査の概要 回答 44 団体の基礎情報 調査目的 ソーシャルセクター ( 新公益連盟 ) の現在の組織実態を把握すること 平均売上 2 億 6,000 万円 調査対象 新公益連盟に加盟する 77 団体の経営者 人事責任者 平均有給正職員数 31 人 調査方法 Web 回答形式のアンケート 創業してからの年数の平均 9.4 年 調査時期 回収回答数 2017 年 8 月 21 日 ~9 月 13 日 44 団体 事業領域 子どもの健全育成 国際協力 職業能力の開発又は雇用機会の拡充の支援 まちづくりの推進 保健 医療又は福祉の増進 人権の擁護又は平和の活動の推進など 2
調査結果の要旨 ソーシャルセクターは 魅力的なキャリアのオプションになっている 現在のソーシャルセクターは自己犠牲をベースにした慈善活動の場ではなくなっており 年収や労働環境 キャリアの観点からも十分に魅力的な職場と言える ソーシャルセクターの一般職員の平均年収は 一般中小企業の非役職勤務者に引けを取らない また 昇進に伴って上昇し 全体での平均年収は 383 万円 平均労働時間 残業時間は短い傾向にある 多様な働き方を認める人事施策の導入も一般企業以上に進んでいる 制度化されたトレーニングは不足しているものの 新卒採用者の 独り立ち は早く スキル向上という観点でも優れている 離職率は比較的高いものの 転職後 キャリアアップを果たしている事例も多い 今後の売上 雇用の成長に対する経営者の強い意志は存在し セクターとしていっそうの成長も期待される 3
ソーシャルセクターの一般職員の平均年収は 一般中小企業の非役職勤務者に引けを取らない 新公益連盟加盟団体の一般職員の平均年収の分布団体数 ; %; N=36 団体 100% = 501 万以上 401~500 万 301~400 万 201~300 万 200 万以下 36 6% 14% 3 42% 0% 一般中小企業 1 の非役職勤務者の年収の分布労働者数 ; %; N=411,755 人 100% = 501 万以上 401~500 万 301~400 万 201~300 万 200 万以下 411,755 2% 4% 18% 53% 23% 新公益連盟加盟団体の一般職員の平均年収は 80% の団体で 200~400 万円 一方 一般中小企業においても 70% の労働者の年収は 200~ 400 万円 調査方法の違いから単純比較はできないものの ソーシャルセクターにおける年収が一般中小企業に大きく引けを取ることはないことが示唆される 平均年収 339 万円 292 万円 2 1 従業員数 100~499 人 2 中位数 4
また 一般職員から管理職 経営層と上がるにつれて年収は上昇し 全体での平均年収は 383 万円となる 新公益連盟加盟団体の職位別の平均年収の分布団体数 ; % 一般職員 ; N=36 団体管理職 ; N=30 団体経営層 ; N=27 団体 100% = 501 万以上 36 6% 30 27 401~500 万 14% 27% 56% 301~400 万 3 23% 201~300 万 200 万以下 42% 0% 0% 43% 7% 26% 11% 4% 4% 平均年収 339 万円 463 万円 574 万円 全体平均年収 383 万円 5
平均労働時間 残業時間は短い傾向にあるうえ 平均労働時間が月 170 時間以上の団体 企業の割合 ; %; 団体 企業数 平均残業時間別の団体 企業の分布 %; 団体 企業数 57% 100% = 42 176 25 時間以上 17% 31% 15 時間以上 25 時間未満 5 時間以上 15 時間未満 26% 14% 3 38% 5 時間未満 43% 1 新公益連盟加盟団体 一般企業 新公益連盟加盟団体 3% 一般企業 平均 ; 時間 144 176 13 22.4 出典 : Works 研究所 人材マネジメント調査 (2015 年 ) 6
在宅勤務や雇用形態の一時的な移行 週の出勤日の短縮といった 一般企業では導入できていない多様な人事施策の導入も進んでいる 新公益連盟加盟団体の方が導入割合が高い施策 各種人事施策の導入状況導入している団体 企業の割合 ; %; N=42( 新公益連盟加盟団体 ), 176( 一般企業 ) 新公益連盟加盟団体 一般企業 短時間勤務 6 87% 在宅勤務を含むリモートワークフレックスタイムなど1 日あたりの労働時間の柔軟性の向上雇用形態の一時的な移行週の出勤日の短縮 5% 11% 8% 64% 52% 50% 48% 48% ワークシェアリング 2% 24% 出典 : Works 研究所 人材マネジメント調査 (2015 年 ) 7
ソーシャルセクターは人材育成が制度として充実しているとは言えないが 新人 若手職員のための育成施策を導入している団体 企業の割合 %; N=42( 新公益連盟加盟団体 ), 176( 一般企業 ) 新公益連盟加盟団体 一般企業 若手職員の自発的学習を促す財政援助制度 ( 資格試験の費用補助等 ) 45% 77% 導入研修における自己学習 自己啓発プログラムの実施 33% 68% メンター 指導員 ( インストラクター ) 制度の導入 33% 67% 管理職層に対する 部下育成研修の実施 26% 70% 出典 : Works 研究所 人材マネジメント調査 (2015 年 ) 8
新卒採用者の 独り立ち は一般企業よりも早く 団体内での育成が積極的に行われていると考えられる 大卒 大学院卒で新卒入社した職員が 独り立ちした と周囲に認められるようになるまでに必要な期間の比較団体数 ; %; N=22 団体 ( 新公益連盟加盟団体 ), 166 社 ( 一般企業 ) 100% = 10 年以上 5 年以上 10 年未満 3 年以上 5 年未満 22 5% 5% 18% 166 13% 34% 3 年未満 73% 40% 13% 新公益連盟加盟団体 一般企業 平均 2.7 年 4.8 年 出典 : Works 研究所 人材マネジメント調査 (2015 年 ) 9
新公益連盟加盟団体の特に一般職員における転職率は一般企業よりも高い傾向にあるが 職員の離職率別の団体 企業数の分布 ; % 新公益連盟加盟団体 経営陣管理職一般職員一般企業 100% = 44 44 44 162 48% 離職率 5% 未満 91% 86% 80% 18% 5% 以上 10% 未満 10% 以上 0% 5% 34% 11% 出典 : Works 研究所 人材マネジメント調査 (2015 年 ) 10
ソーシャルセクターにおいてスキル向上を果たしたうえで キャリアアップを実現している転職事例は数多く存在する ソーシャルセクターをキャリアアップに活かしている事例 A さん B さん C さん ファーストキャリア 大手家電メーカー 外資系消費財メーカー 大手電機メーカーを経て 広告代理店のベンチャー NPO 一般社団法人 RCF 認定 NPO 法人かものはしプロジェクト 認定 NPO 法人カタリバ NPO 後のキャリア 企業再生系コンサルティングファーム プロモーション会社を経て 日系 IT 企業のインド支社 独立してフリーランスとして活動 世界が広がることはソーシャルセクターで得られる成長のひとつ 色々な社会の課題に取り組もうとしている人と会って その問題の先にいる人たちがどんな状況なのかというのがはっきりと見えるようになった ソーシャルセクター ビジネスセクターどちらも経験したことで ソーシャルだ ビジネスだという枠に加えて その間をつなぐという もうひとつの可能性が生まれてきた 出典 : Business to Social Project(http://btos-project.com/) 11
今後の成長に対する経営者の強い意志も存在 セクターとしていっそうの成長が期待される 経営者が目指している売上の成長億円 ; 3 年後 10 年後の計画の 44 社の平均値 経営者が目指している有給正職員数の成長人 ; 3 年後 10 年後の計画の 44 社の平均値 8.9 84 51 4.3 2.6 31 現在 3 年後 10 年後 現在 3 年後 10 年後 12
参考資料 13
回答 44 団体の特性 創業からの年数ごとの分布 15 年以上 15% 11% 3 年以下 12~15 年 15% 17% 4~6 年 10~12 年 33% 7~9 年 14
回答 44 団体の特性 売上規模ごとの分布 5 億円以上 3 億円以上 5 億円未満 7% 34% 5,000 万円未満 1 億円以上 3 億円未満 27% 23% 5,000 万円以上 1 億円未満 15
回答 44 団体の特性 有給職員数ごとの分布 100 人以上 50 人以上 100 人未満 16% 32% 10 人未満 30 人以上 50 人未満 34% 10 人以上 30 人未満 16
回答 44 団体の特性 活動領域ごとの分布 1 保健 医療又は福祉の増進を図る活動 まちづくりの推進を図る活動 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動 7% 人権の擁護又は平和の活動の推進を図る活動 5% 2% 34% 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡 助言又は援助の活動 2 国際協力の活動 34% 子どもの健全育成を図る活動 1 内閣府 特定非営利活動法人の活動分野 に基づく分類 2 対象地域や NPO 等を後方支援する団体 ( 経営支援や資金調達や人材調達 中間支援団体といわれるような団体など ) が主に含まれる 17
回答 44 団体の特性 法人格ごとの分布 株式会社 財団法人 5% 社団法人 77% NPO 法人 18
お問い合わせ先 特定非営利活動法人新公益連盟 Mail:info-ml@shinkoren.org HP:http://www.shinkoren.org/ 事務局 19