Microsoft Word - VAEアルゴリズム.docx

Similar documents
<4D F736F F F696E74202D204E6F2E395F8FC78CF390AB AB490F58FC75F E B93C782DD8EE682E890EA97705D>

スライド 1

目次 1. 参加登録方法 ) 参加登録の流れ ) 参加申込書の記入方法 病棟分類と病棟コード表 ) JHAIS サーベイランスにおける病棟分類 ) 病棟コード選択時の注意点 サーベイランス開始から施設宛報告書受領までの流

2017 年 2 月 1 日放送 ウイルス性肺炎の現状と治療戦略 国立病院機構沖縄病院統括診療部長比嘉太はじめに肺炎は実地臨床でよく遭遇するコモンディジーズの一つであると同時に 死亡率も高い重要な疾患です 肺炎の原因となる病原体は数多くあり 極めて多様な病態を呈します ウイルス感染症の診断法の進歩に

公開情報 2016 年 1 月 ~12 月年報 院内感染対策サーベイランス集中治療室部門 3. 感染症発生率感染症発生件数の合計は 981 件であった 人工呼吸器関連肺炎の発生率が 1.5 件 / 1,000 患者 日 (499 件 ) と最も多く 次いでカテーテル関連血流感染症が 0.8 件 /

医療関連感染サーベイランス

耐性菌届出基準

用語 VAP: ven2lator associated Pneumoniae VAT: ven2lator associated Tracheobronchi2s VAC: ven2lator associated Complica2on (IVAC: infec2on- related VAC)

Microsoft Word - 【要旨】_かぜ症候群の原因ウイルス

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

急性呼吸不全に対するBALの実施

は減少しています 膠原病による肺病変のなかで 関節リウマチに合併する気道病変としての細気管支炎も DPB と類似した病像を呈するため 鑑別疾患として加えておく必要があります また稀ではありますが 造血幹細胞移植後などに併発する移植後閉塞性細気管支炎も重要な疾患として知っておくといいかと思います 慢性

糖尿病診療における早期からの厳格な血糖コントロールの重要性


インフルエンザ(成人)

2009年8月17日


JSEPTIC CE教材シリーズ 対象:レベル1 ICUで働く新人CE(1~3年目程度)

医療法人高幡会大西病院 日本慢性期医療協会統計 2016 年度

2017 年 8 月 9 日放送 結核診療における QFT-3G と T-SPOT 日本赤十字社長崎原爆諫早病院副院長福島喜代康はじめに 2015 年の本邦の新登録結核患者は 18,820 人で 前年より 1,335 人減少しました 新登録結核患者数も人口 10 万対 14.4 と減少傾向にあります


診断ワークショップ5

に 真菌の菌体成分を検出する血清診断法が利用されます 血清 βグルカン検査は 真菌の細胞壁の構成成分である 1,3-β-D-グルカンを検出する検査です ( 図 1) カンジダ属やアスペルギルス属 ニューモシスチスの細胞壁にはβグルカンが豊富に含まれており 血液検査でそれらの真菌症をスクリーニングする

SpO2と血液ガス

褥瘡発生率 JA 北海道厚生連帯広厚生病院 < 項目解説 > 褥瘡 ( 床ずれ ) は患者さまのQOL( 生活の質 ) を低下させ 結果的に在院日数の長期化や医療費の増大にもつながります そのため 褥瘡予防対策は患者さんに提供されるべき医療の重要な項目の1 つとなっています 褥瘡の治療はしばしば困難


<4D F736F F D208C8B8A6A90DA90478ED28C CC82C482D182AB2E646F63>

浜松地区における耐性菌調査の報告

症例報告書の記入における注意点 1 必須ではない項目 データ 斜線を引くこと 未取得 / 未測定の項目 2 血圧平均値 小数点以下は切り捨てとする 3 治験薬服薬状況 前回来院 今回来院までの服薬状況を記載する服薬無しの場合は 1 日投与量を 0 錠 とし 0 錠となった日付を特定すること < 演習

スライド 1

減量・コース投与期間短縮の基準

14栄養・食事アセスメント(2)

PowerPoint プレゼンテーション

抗菌薬の殺菌作用抗菌薬の殺菌作用には濃度依存性と時間依存性の 2 種類があり 抗菌薬の効果および用法 用量の設定に大きな影響を与えます 濃度依存性タイプでは 濃度を高めると濃度依存的に殺菌作用を示します 濃度依存性タイプの抗菌薬としては キノロン系薬やアミノ配糖体系薬が挙げられます 一方 時間依存性

よる感染症は これまでは多くの有効な抗菌薬がありましたが ESBL 産生菌による場合はカルバペネム系薬でないと治療困難という状況になっています CLSI 標準法さて このような薬剤耐性菌を患者検体から検出するには 微生物検査という臨床検査が不可欠です 微生物検査は 患者検体から感染症の原因となる起炎

KangoGakkai.indb

目 次 1. はじめに 1 2. 組成および性状 2 3. 効能 効果 2 4. 特徴 2 5. 使用方法 2 6. 即時効果 持続効果および累積効果 3 7. 抗菌スペクトル 5 サラヤ株式会社スクラビイン S4% 液製品情報 2/ PDF

15,000 例の分析では 蘇生 bundle ならびに全身管理 bundle の順守は, 各々最初の 3 か月と比較し 2 年後には有意に高率となり それに伴い死亡率は 1 年後より有意の減少を認め 2 年通算で 5.4% 減少したことが報告されています このように bundle の merit

シプロフロキサシン錠 100mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにシプロフロキサシン塩酸塩は グラム陽性菌 ( ブドウ球菌 レンサ球菌など ) や緑膿菌を含むグラム陰性菌 ( 大腸菌 肺炎球菌など ) に強い抗菌力を示すように広い抗菌スペクトルを

汎用画像処理装置

全米医療安全ネットワーク (NHSN) 患者安全コンポーネントマニュアル 第 2 章 :NHSN サーベイランスのための医療関連感染 (HAI) の特定 第 4 章 : 血流感染イベント ( 中心ライン関連血流感染および非中心ライン関連血流感染 ) 第 7 章 : 尿路感染 ( カテーテル関連尿路感

糖尿病診療における早期からの厳格な血糖コントロールの重要性

Microsoft Word - todaypdf doc

染症であり ついで淋菌感染症となります 病状としては外尿道口からの排膿や排尿時痛を呈する尿道炎が最も多く 病名としてはクラミジア性尿道炎 淋菌性尿道炎となります また 淋菌もクラミジアも検出されない尿道炎 ( 非クラミジア性非淋菌性尿道炎とよびます ) が その次に頻度の高い疾患ということになります

市中肺炎に血液培養は必要か?

2012 年 2 月 29 日放送 CLSI ブレイクポイント改訂の方向性 東邦大学微生物 感染症学講師石井良和はじめに薬剤感受性試験成績を基に誰でも適切な抗菌薬を選択できるように考案されたのがブレイクポイントです 様々な国の機関がブレイクポイントを提唱しています この中でも 日本化学療法学会やアメ


めまい

はじめに この 成人 T 細胞白血病リンパ腫 (ATLL) の治療日記 は を服用される患者さんが 服用状況 体調の変化 検査結果の経過などを記録するための冊子です は 催奇形性があり サリドマイドの同類薬です は 胎児 ( お腹の赤ちゃん ) に障害を起こす可能性があります 生まれてくる赤ちゃんに

33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or

2015 年 9 月 30 日放送 カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE) はなぜ問題なのか 長崎大学大学院感染免疫学臨床感染症学分野教授泉川公一 CRE とはカルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症 以下 CRE 感染症は 広域抗菌薬であるカルバペネム系薬に耐性を示す大腸菌や肺炎桿菌などの いわゆる

種の評価基準により分類示の包括侵襲性指行為の看護師が行う医行為の範囲に関する基本的な考え方 ( たたき台 ) 指示のレベル : 指示の包括性 (1) 実施する医行為の内容 実施時期について多少の判断は伴うが 指示内容と医行為が1 対 1で対応するもの 指示内容 実施時期ともに個別具体的であるもの 例

症候性サーベイランス実施 手順書 インフルエンザ様症候性サーベイランス 編 平成 28 年 5 月 26 日 群馬県感染症対策連絡協議会 ICN 分科会サーベイランスチーム作成

入した場合には 経気道的な散布巣として臓側胸膜から 2-3mm 離れた内側に小葉中心性粒状影や tree-in-bud といわれる小葉中心性病変を呈しますが この所見をみた場合には呼吸器感染症を強く疑います 汎小葉性病変は 小葉間隔壁に囲まれた ほぼ 1, 2cm 四方の小葉内が細胞浸潤や滲出物ある

3. 安全性本治験において治験薬が投与された 48 例中 1 例 (14 件 ) に有害事象が認められた いずれの有害事象も治験薬との関連性は あり と判定されたが いずれも軽度 で処置の必要はなく 追跡検査で回復を確認した また 死亡 その他の重篤な有害事象が認められなか ったことから 安全性に問

ICUにおける酸素療法

臨床試験の実施計画書作成の手引き

学会名 : 日本免疫不全症研究会 アンケート 1 1. アンケート 2 に回答する疾患名 (1) X 連鎖無 γ グロブリン血症 (2) 慢性肉芽腫症 2. 移行期医療に取り組むしくみあり :1 年に1 回の幹事会で 毎年 discussion している また 地区ごとの地方会で 内科の先生方にいか

Microsoft PowerPoint - 指導者全国会議Nagai( ).ppt

Microsoft PowerPoint - H27.5実技研修(呼吸器)配布資料 (2) [互換モード]

検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 F 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 青 細 ) 血液 3 ml 血清 H 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( ピンク ) 血液 6 ml 血清 I 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 茶色 )

通常の市中肺炎の原因菌である肺炎球菌やインフルエンザ菌に加えて 誤嚥を考慮して口腔内連鎖球菌 嫌気性菌や腸管内のグラム陰性桿菌を考慮する必要があります また 緑膿菌や MRSA などの耐性菌も高齢者肺炎の患者ではしばしば検出されるため これらの菌をカバーするために広域の抗菌薬による治療が選択されるこ

糖尿病診療における早期からの厳格な血糖コントロールの重要性

別紙 1 新型インフルエンザ (1) 定義新型インフルエンザウイルスの感染による感染症である (2) 臨床的特徴咳 鼻汁又は咽頭痛等の気道の炎症に伴う症状に加えて 高熱 (38 以上 ) 熱感 全身倦怠感などがみられる また 消化器症状 ( 下痢 嘔吐 ) を伴うこともある なお 国際的連携のもとに

一次サンプル採取マニュアル PM 共通 0001 Department of Clinical Laboratory, Kyoto University Hospital その他の検体検査 >> 8C. 遺伝子関連検査受託終了項目 23th May EGFR 遺伝子変異検

平成20年度 大学院シラバス(表紙)

表紙

Transcription:

NHSN Ventilator-Associated Events(VAE) Surveillance Algorithm 人工呼吸器を付けて安定または改善の基準期にある患者とは,1 日の最低値 * の FiO2 または PEEP が 2 暦日以上安定また は減少していることと定義付けられる 基準期 (Baseline period) は,PEEP 又は FiO2 が増加した最初の日の直近の 2 日 前と定義付ける * 一日の最低値はその日の 1 時間以上継続した FiO2 または PEEP の最低値と定義付けられる 安定期または回復期後に, 患者は酸素化の悪化の次の指標の少なくとも 1 つを持つ 1) FiO2 の一日の最低値 * が基準値より 0.20(20points) 以上増加し 2 暦日以上継続する 2) PEEP の一日の最低値 * が基準値より 3cmH2O 以上増加し,2 暦日以上継続する 人工呼吸器に関連したコンディション (VAC) * 一日の最低値はその日の 1 時間以上継続した一番最低の FiO2 or PEEP. 1 時間以上続く最低値がない場合は, その日の最低値とする 最低 PEEP 値が,0-5cmH2O である場合は,VAE サーベイランスでは同等と考える 人工呼吸をして 3 暦日またはそれ以降, そして酸素化が悪化する前後 2 暦日の間に次のクライテリアの両方が適合する 1) 体温が 38 を超えるまたは 36 より低い, または白血球が 12,000/mm 3 以上または 4,000/mm 3 以下そして 2) 新しく抗菌薬を開始し,4 暦日以上続ける 感染に関連した人工呼吸器関連合併症 (IVAC) 人工呼吸をして 3 日またはそれ以上たって酸素化が悪化する前後 2 日の間に次のクライテリアの 1 つが適合する ( プロトコルに明記した除外する病原菌を考慮する *): 1) 基準 1: 膿性気道分泌物の必要条件はなく, 次の検体の一つの培養がプロトコルに示された定量または判定量的閾値が適合し陽性 気管内吸引液の培養陽性,10⁵ CFU/ml 以上または同等の半定量的結果 気管支肺胞液の培養陽性,10⁴ CFU/ml 以上または同等の半定量的結果 肺組織の培養陽性,10⁴ CFU/g 以上または同等の半定量的結果 保護擦過検体が陽性,10³ CFU/ml 以上または同等の半定量的結果 2) 基準 2: 膿性気道分泌物 (1 低視野 (x100) あたり 25 以上の好中球と 10 以下の扁平上皮細胞を含む肺 気管支 気管から出る分泌物と定義する ) プラス次の検体培養が陽性 ( 基準 1 を満たす十分な発育がない定性的培養, 定量的 / 半定量的培養 ) 喀痰 気管内吸引物 気管支肺胞洗浄液 肺組織 保護擦過検体培養もし検査室が半定量的結果を報告するのであれば それらの結果を上記の定量的基準に置き換なければならない VAE プロトコルのための膿性気道分泌物の基準の使用に関する付加指示を参照 3) 基準 3: 以下うち 1 つの検査で陽性である 胸水の培養陽性 ( 胸腔穿刺または胸腔チューブを入れたときに採取した検体で, 胸腔チューブからのものではない ) 肺の組織病理, 次のように定義付けられる :1) 細気管支や肺胞に膿瘍形成または著しい好中球の集積を伴う硬化病巣 2) 真菌による肺実質の侵襲の証拠 ( 菌糸, 仮性菌糸, 酵母形 )3) 免疫組織化学的検査, 細胞診, または肺組織の顕微鏡検査の結果に基づく下記にリストアップしたウイルス感染症の証拠 レジオネラ属の診断試験で陽性 呼吸器分泌物がインフルエンザウイルス,RSV, アデノウイルス, パラインフルエンザウイルス, ライノウイルス, ヒトメタニューモウイルス, コロナウイルスの診断試験で陽性 * 以下は除く : 正常呼吸器 / 口腔内細菌叢, 混合呼吸器 / 口腔内細菌叢または同等のもの ;Candida spp や他の特定されない Yeast, CNS, Enterococcus spp( ここまでは肺組織, 胸水からの分離は除外しない ) 更に次のような市中感染型呼吸器病原 Possible VAP(PVAP)

人工呼吸器関連イベント (Ventilator associated events:vae) サーベイランス実施手順 1. 対象 1) 集中治療部門 (ICU ER-ICU) において, 人工呼吸器を 3 暦日以上装着している患者とする 2)12 歳以下の患者は, 対象から除外する (Device-days にはカウントする ) 3) High Frequency Ventilation(HFV) の患者, 体外式救命補助装置を付けている患者 (ECMO,ECLS など ) は対象から除外する (Device-days にはカウントする ) ECOM:Extracorporeal Membrane Oxygenation 体外膜型肺 ECLS:Extracorporeal Life Support 体外生命維持 2. 収集するデータ 1) 毎日定時にカウントする ( 入院患者総数, 人工呼吸器装着中の患者数 ) 2) 患者の基本情報, 人工呼吸器関連情報, 抗菌薬使用状況や臨床症状等の情報を収集し, 判定基準に従って VAE の判定を行う *VAE の判定基準は, 別紙のアルゴリズムを活用する * 判定に悩む場合は,NHSN の VAE calculator を活用する 3)VAE の判定においては, 以下の VAE サーベイランスにおける判定ルールの説明 を参照のこと 3. データの報告 1) 国公立大学附属病院感染対策協議会ホームページ ( 会員専用ページ ) 内にある 報告書 1: 分母 分子 報告書 2:VAE に入力し, 指定された期限までに事務局へ提出する 2) 報告書 1: 分母 分子 には 下記の項目を入力する 延べ入院患者数 (P-days), 延べ器具使用日数 (D-days),VAC IVAC Possible VAP 件数を入力する (VAE 件数が自動計算される ) 3) 報告書 2:VAE には 下記の項目を入力する 1 匿名の患者 ID, 年齢, 性別 2 判定された VAE:VAC IVAC Possible VAP のいずれか 3 VAC の判定 : 酸素化悪化を認めた時の指標 (FiO2 PEEP 両方 ) 4 VAC の原因と推定した肺の情報 5 IVAC の判定 : 有無 6 Possible VAP の判定 : 基準 1 基準 2 基準 3 7 Possible VAP で検出された分離菌 8 VAP 症例との一致 : 判定した VAE と VAP サーベイランス の VAP と判定した事例が一致したか否か 4) データ提出後の修正については, 各ブロックの作業部会担当者に連絡する 5) サーベイランス結果はホームページ上で報告する

国公立大学附属病院感染対策協議会サーベイランス作業部会 VAE サーベイランスにおける判定ルールの説明 Introduction 2013 年より,NHSN は成人の VAP サーベイランスを VAE サーベイランスへと変更した その理由として, 胸部 X-P の読影に個人差がある, 肺炎に特化されている, その為結果を公表し施設間比較, 支払いに使用するには適切ではない, 臨床的徴候や症状が主観的で記録が乏しく一貫性がない可能性がある, 小児や免疫不全がある患者など特定の患者層の特別なクライテリアがあり, 複雑であるなどの理由を挙げている 国公立大学附属病院感染対策協議会の VAP サーベイランスにおいても, 同様に施設間の感染率のバラつきが大きく, また感染率 0が続く施設が多いことを報告してきた このような背景から 2013 年の総会において,6 施設による VAE サーベイランスのパイロットスタディーを行った その結果,PEEP と FiO2 による酸素化悪化の検出力に疑問があるものの, VAP 以外の合併症である胸水, 無気肺,ARDS などを感知することが明らかになった 2014 年の総会では, 協議会で VAE サーベイランスを実施することを決定し,2015 年 4 月より VAE サーベイランスを開始できるよう準備を進めた この VAE サーベイランスの定義は, NHSN が 2015 年 1 月に更新した定義に従って作成した また JHAIS 委員会作成のサーベイランスマニュアルを参考に修正した VAE サーベイランスの構造 VAE サーベイランスは, 図 1に示すような構造からなっており,VAC から始めて流線的に判定していくようになっている 従って VACが判定されなければ IVACは判定できず IVACが判定されなければ PVACの判定はできない FiO2 or PEEP 体温 or WBC and

1. 対象患者 成人の ICU に入院している, 人工呼吸器を 3 暦日以上装着している患者を対象とする 12 歳以下の患者は, 対象から除外する (Device-days にはカウントする ) High Frequency Ventilation(HFV) の患者, 体外式救命補助装置を付けている患者 (ECMO,ECLS など ) は対象から除外する (Device-days にはカウントする ) ECOM:Extracorporeal Membrane Oxygenation 体外膜型肺 ECLS:Extracorporeal Life Support 体外生命維持 2. 用語の説明 < 帰属 > 患者の部署は,VAE が発生した ( 酸素化悪化した日 ) 部署に帰属する - 転棟のルール- 転棟した日, 転棟した翌日の VAE は, 移動元の部署に帰属する - 例 1- 外科 ICU で挿管し人工呼吸器装着 3 日に, ベンチレーター装着のまま内科 ICU へ転棟 転棟した日に酸素化が悪化し FiO2 を 0.30 上げ翌日および翌々日も継続したため,VAC が成立した これは外科 ICU の VAC となる VAC 成立 - 例 2- 転棟した日に酸素化が悪化しているが, この日の最低値は安定期または改善期の値になる 内科 ICU で 6 日間ベンチレーターを装着 day6 に抜管してステップダウンユニットに転棟 翌日 (day7) 酸素化が悪化し内科 ICU に転棟し, 再挿管した Day8 も同様であった ( このケースは, 抜管した前日と当日は安定していた ) これは内科 ICU の VAC となる ( 再挿管までに1 暦日開いていないので一つのエピソードとして見られる ) VAC 成立

<Mechanical Ventilation Episode(MV episode): 人工呼吸エピソード > 抜管して再挿管するまでまる 1 日あいたら, 新しいエピソードとする まる 1 暦日挿入されていなければ次のエピソードとなり,MV エピソード 1 のデータは MV エピソード 2 では採用されない 抜管と再挿管が 1 暦日空いていなければ, 1 つの MV エピソードとして見なされ, 抜管前のデータも採用される <Date of event または Event date: イベント日 > 安定または改善の基準期にある患者 :1 日の最低値の FiO2 および PEEP が 2 暦日以上安定または減少していることと定義付けられる また, 一日の最低値はその日の 1 時間以上継続した FiO2 または PEEP の最低値と定義付けられる 1 時間以上続く値がない場合は, その日の最低値で代用する ( その日の最後に開始した場合など ) Baseline period( 基準期 ): PEEP 又は FiO2 が増加した最初の日から 2 日前と定義付ける 酸素化悪化 :2 暦日の安定期または改善期後に, 患者は酸素化悪化の次の指標の少なくとも 1 つある 1) FiO2 の一日の最低値が基準期の値より0.20(20points) 以上増加し2 暦日以上継続する 2) PEEP の一日の最低値 * が基準値より 3cmH2O 以上増加し,2 暦日以上継続する (PEEP1~5cmH2O は, 同等とみなしこの間の値は 5 cmh2o と見なす )

Date of event:2 日の安定期の後, 上記酸素化悪化の基準を満たした最初の日をいう

<window period: ウインドウ期 > その他の VAE の criteria が適用されるための Date of event の前後の日にちで, 通常は,event date の前 2 日, 当日, 後 2 日の合計 5 日である VAC 判定後, 次の段階の VAE を判定する際は, この期間の必要データを収集する * イベント発生日が MV day3( 人工呼吸器装着 3 日目 ) となった場合 人工呼吸器装着 2 日までは除外されるため VAE ウインドウ期間は 3 日となる イベント発生日が MV day4 となった場合は VAE ウインドウ期間は 4 日間になる

<Qualifying Antimicrobial Days(QAD) : 条件を満たす抗菌薬投与日 > 〇 VAE Window Period に, 新しく 開始したと判定された抗菌薬の投与日を言い, IVAC を判定するためには連続 4 日間の QAD が必要である 〇同一抗菌薬を, 隔日投与の場合 (2 暦日以上はあけない ), 投与しなかった日も QAD とカウントする ( 例 1) 違う抗菌薬がウインドウ期に開始され連日投与された場合は, それぞれが QAD を満たす ( 例 2) - 例 1- 同じ抗菌薬を隔日投与 :7 日の連続的 QADs となる * 赤枠は VAE ウインドウ期間 - 例 2- 違う新規抗菌薬が連続的に投与される場合 :4QADs となる VAE ウインドウ期より前に開始 *Ceftoaxsone は VAE ウインドウ期間より前に開始されているので除外される もし VAE 4days に別の抗菌薬が投与された場合は ウインドウ期間より開始されて いないことになり 除外となり 4 日連続の QAD を満たさなくなる ウインドウ期より前から投与

イベント期間<Event period: イベント期間 > 1 つのイベントは,Date of event から 14 日間持続 ( 標準化のため ) とする もし,6 月 1 日が酸素化悪化の 1 日目であれば, 次の VAE は 6 月 15 日まで検出できず, 報告もできない 6 月 15 日がイベント発生日であれば新たな VAE として報告できる ウインドウ期間外であっても, イベント期間内であれば upgrade できない 二次的血流感染は, ウインドウ期とイベント期をたした期間に発生し,PVAP で判定した微生物と一致する場合に報告する - 例 - この例題では,PVAP が判定される また,PVAP と同じ微生物が血液培養より分離され ているため二次的血流感染も判定される Vent day16 に酸素化悪化があるが, イベント 期間中であるため VAE と判定できない