平成 30 年 6 6 第 47 回国 地理院報告会 準天頂衛星システムが実現する 精度測位社会を える電 基準点 測地観測センター 裕樹 地震調査官 Geospatial Information Authority of Japan
内容 衛星測位 衛星測位活 における電 基準点の役割 衛星測位の 度利 への取組 準天頂衛星システムが実現する 精度測位 精度測位社会の実現を える取組 まとめ 準天頂衛星 : 内閣府宇宙開発戦略推進事務 HP http://qzss.go.jp/overview/download/cg image24.html 2
衛星測位 複数の測位衛星 (GNSS) からの測位信号 ( 電波 ) を受信し どこでも地球上の位置を得る技術 衛星に搭載された原 時計に基づいて測位信号が 成 カーナビ 測量 i-construction 携帯電話 動 地殻変動監視等幅広い分野で利 様々な誤差要因によって 位置の精度が悪くなる 衛星時計の誤差 衛星軌道 ( 位置 ) の誤差 電離層 度 250 400km 程度 電離層遅延屈折による信号の加速 対流圏 度 7km 程度まで 気遅延 蒸気による信号の遅れ 準天頂衛星の図 : 出典 http://qzss.go.jp 観測点時計のずれ参照時刻からのずれ マルチパス反射による信号の遅延例 : 樹 属 3
代表的な測位 法 単独測位絶対的な位置の計測 相対測位 相対的な位置の計測 地球重 に対する絶対的な位置 観測点のみで測位可能 精度 : 10m; リアルタイム ( 利 分野 ) ナビゲーション 移動体 基準点からの相対的な位置 基準点データが必要 -> 測量成果 地理空間情報と整合 精度 :cm 級 ; 1 程度 ( 利 分野 ) 測量 地殻変動 4
衛星測位活 における電 基準点の役割 GEONET : GNSS Earth Observation Network System 測位衛星電 基準点網 全国に約 1,300 点 全国約 20km 間隔東海等約 15km 間隔 ホームページを通じて観測データを提供 各種測量の基準点 準天頂衛星の図 : 出典 http://qzss.go.jp cm 25 20 15 10 5 0-5 8 月 18 日 17 時 02 分頃から始まった三宅島雄山噴火に伴う GPS 基線変化三宅 (93059)- 1 三宅 (960599) 3 噴火開始 -10 9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00 18:00 19:00 20:00 21:00 22:00 23:00 0:00 観測データの集約データの解析 解析結果 リアルタイム解析 6 時間解析 地殻変動の監視成果の維持管理 リアルタイムデータの提供 位置情報サービスi-Construction 動運転などに活 5
電 基準点は 精度測位社会を縁の下で えています! 陸域観測技術衛星 準天頂衛星 測位衛星 自然環境保全 航空 観光 測量用航空機 防災 災害対応 建設 施工 降水予測 土地利用都市計画 財産 所有権 教育 移動支援 ( 屋内を含むナビ 物流 自動運転 ) 維持管理資源開発 Environment 農業 測位衛星 45 測位衛星 40 世界中の VLBI 30 電子基準点 ユーラシアプレート 130 地磁気 : 磁気コンパスにより 位決定するもので スマホやカーナビでも利 されています 135 地磁気 重力 140 145 石岡 VLBI 35 フィリピン海プレート 北米プレート 太平洋プレート VLBI:Very Long Baseline Interferometry ( 超 基線電波 渉法 ) 数 億光年離れた星からの電波を観測して, 地球上の位置と地球 体の姿勢を決定する技術 GPS 等の精度向上やうるう秒の挿 などにも利 されています 重 : さの決定に重 分布測定の結果が いられます 世界中の VLBI 6
電 基準点の安定稼働と 度化 1996 年 4 GPS 連続観測システムGEONETとして610 点で運 開始 2002 年 世界測地系 ( 測地成果 2000) の導 基準点測量で直接利 可に 2002 年 1Hzデータ リアルタイム提供開始 : ネットワーク型 RTK 測位環境へ 2002 年 アンテナ ピラーの 重管仕様の導 2003 年 チョークリング型アンテナに統 2009 年 解析戦略 (F3: 第 4 世代 ) による 々の座標値 公開 2009 年 GEONET 々の解 からのセミ ダイナミック補正パラメータ公開 2009 年 気象庁の数値予報にGEONETの 蒸気量情報取り込み 2011 年 5 31 測地成果 2011 公表 2010 年 通信回線の 重化 GNSS 受信機への交換開始 2013 年 GNSS 対応アンテナ 受信機へ更新 72 時間対応無停電電源装置 2015 年 周辺の67 点を架台強化 太陽電池設置 2016 年 4 リアルタイムGNSS 解析システム (REGARD) 運 2017 年 朽化した鋼管製引込柱約 600 点をコンクリート製に更新 2018 年 準天頂衛星 GLONASS Galileo GPS(L5) データ全点配信 7
電 基準点トピック : 東京千代 国会前庭 : 本 準原点 近傍に電 基準点 東京千代 を設置 3 26 観測開始 憲政記念館 国会前庭 本 準原点 都 では初めての設置 都 での測量の効率化 本 準原点の変動を衛星測位でモニター 国会議事堂 電 基準点設置位置 国 交通省 081171 練 A 93016 950228 世 171222 東京千代 93023 千葉市川 基礎パイル深さ 10m ピラー 7m 標 30.30m( アンテナ ) 本 準原点と電 基準点 93026 神奈川川崎 周辺の電 基準点 8
衛星測位の 度利 への取組 衛星測位技術の進展に対応し 電 基準点の 度化とともに 技術開発を通じて 度な利 環境の整備に取り組み 精度測位社会を えています 国 交通省総合技術開発プロジェクト マルチ GNSS 利 環境整備 : 度な国 管理のための複数の衛星測位システム ( マルチ GNSS) による 精度測位技術の開発 (H23 26) http://www.gsi.go.jp/eiseisokuchi/gnss_main.html ビル街等都市部での衛星測位の適 範囲を拡 する技術開発 : 3 次元地理空間情報を活 した安全 安 快適な社会実現のための技術開発 (H27 29) http://www.gsi.go.jp/chirijoho/chirijoho40073.html (1) 都市空間の屋内外シームレス測位の実現に関する技術開発 屋外 3 次元空間における 精度衛星測位の適 範囲拡 のための技術開発 9
マルチ GNSS 利 環境整備の成果例 GPS のみでは困難であったビル街等での測量を常時実現 試験観測 :1.5km 区間の 周波キネマティック解析 GPS のみ 衛星数 3 機 Fix 解 : 精度な解 Float 解 単独測位解 GPSのみによる解析結果 ( 南北成分 ) ±10m 地点 A 地点 B GPS+ 準天頂衛星 +GLONASS+Galileo 衛星数 8 9 機 1:00 2:00 解析時間 マルチ GNSS による解析結果 ( 南北成分 ) ±10cm 地点 A 地点 B GPS 以外の衛星利 で測量可能エリアは拡 1:00 2:00 解析時間 準天頂衛星の利 を準則に反映 Galileo の利 をマニュアル化 10
マルチ GNSS 利 環境の整備 公共測量の作業規程の準則に係る対応 GPSと準天頂衛星の併 を準則に反映 (H25 年 3 29 ) 準天頂衛星を いた公共測量が可能に マルチGNSS 測量マニュアル ( 案 )- 近代化 GPS Galileo 等の活 - を施 し 公表 (H27 年 5 29 ) Galileoを含む観測やL5 帯を利 した3 周波解析等が可能に Galileo: 測量できる場所 時間が拡 3 周波 : スタティック法 ( 距離 10km 以上 ) 時間短縮 120 分以上 ->90 分以上統合処理 : 合計 4 衛星あれば 各 GNSSは1 衛星でも利 可能 マルチ GNSS のデータを統合的に利 基線解析可能なソフトウェア GSILIB(GNSS Survey Implementation Library) を開発 公開 研究 オープンソースソフトウェア RTKLIB v2.4.2(takasu,2013) をベースに開発 H27 年 1 8 にオープンソースライセンスで公開利 者はソフトウエアの利 改造が 由に可能 11
都市部での衛星測位の適 範囲拡 ビル街での測位の現状 測位衛星 反射波 回折波 直接波 反射波 ビル等による反射波や回折波 ( マルチパス ) があると 測位精度が低下 ビル街で 精度な測位を うには マルチパスの影響を軽減する 法が必要 的 上空視界情報等を利 したソフトウェア的な対策によりマルチパスの影響を軽減し 精度衛星測位の適 範囲の拡 を図る 12
マルチパスの影響軽減 法 ビル街等の衛星測位が困難な環境で より 精度な測位を うため 観測される衛星の中から品質が良好な信号を 動で選択する等の 法 選定した 法 上空写真法 : マスクファイルで衛星選択 歪曲補正等の事前準備 現地での写真撮影が必要 夜間の撮影に不適 3 次元建物法 : マスクファイルで衛星選択 現地での事前準備が不要 3 次元建物情報の事前準備 効果は 位置座標の精度に依存 ドップラー検定法 : ドップラー観測量に基づく位相差で品質検定 現地での写真撮影 事前の 3 次元建物情報不要 不可視衛星を排除しきれないケースがある 2 周波観測が必要 13
都市部での衛星測位の適 範囲拡 1. マスクファイル作成時の要求精度評価及び関連技術の開発 マスクファイルの 位合わせの要求精度 15 2. リアルタイム測位を想定した検証 法の適 効果 [ 上空写真法 ] [3 次元建物法 ] > [ ドップラー検定法 ] > [ 適 なし ] 1 周波測位でも改善はみられるが 実 的 なものとして 2 周波測位が必要 実 的 : Fix 率が 80% 以上と定義 衛星可視率 50 60% 以上 あるいは衛星数が多いほど実 的 衛星可視率 :[ 衛星存在しうる遮蔽なし領域 ]/[ 最低仰 以上の全領域 ] [3 次元建物法 ]: マスクファイル作成における初期位置情報の精度に依存 衛星可視領域の算出 建物等による遮蔽領域 ( 灰 ) 衛星が 来しない領域 ( ) 衛星の可視領域 14
準天頂星衛星システムが実現する 精度測位 準天頂軌道 静 軌道と同じ周期, 軌道傾斜 40 本付近で 仰 ( 補完 ) 都市部, 間部で測位可能性向上 補強 [11 サービス開始予定] 補正情報による測位精度向上 CLAS( センチメータ級測位補強サービス ) GEONET 観測データ等から補正情報 成 : 電 基準点の 々の座標値 ( 世界測地系 ) に基づく ; 測位精度 (95%) 平成分 6cm 垂直成分 12cm( 静 ) (http://qzss.go.jp/technical/system/l6.html) 準天頂衛星システムによる CLAS 内閣府宇宙開発戦略推進事務 HP http://qzss.go.jp/overview/services/sv06_clas.html みちびきの軌道 内閣府宇宙開発戦略推進事務局 HP http://qzss.go.jp/technical/technology/tech01_orbit.html 15
マルチ GNSS の補完効果 みちびき1 号機を含むマルチGNSSにおいて 上空視界不良状況下で評価基線 1.5 km 周波キネマティック解析 2014 年 12 14 単独測位 Fix 解 Float 解 4m 4 cm Fix 率 36.4% GPS のみ Fix 率 99.9% GPS+GLONASS+QZSS+Galileo 上空写真 ( 上 ) 固定局 ( 下 ) 移動局 キネマティック解の 平成分 都市のビル街の 間 : GPS のみ利 では測位の安定性が 常に低いが みちびき 1 号機を含むマルチ GNSS では安定した測位解を算出 16
準天頂衛星の補完効果 準天頂衛星 4 機体制において 上空視界不良状況下で評価 国 地理院構内 :24 時間 15 秒間隔 周波キネマティック解析 マスク適 上空視界 : 良好な基準点 不良な観測点 A( 基線 35m) と B( 基線 41m) 上空写真 観測点 A Fix 率 (%) GPS のみ GPS+3QZSS 40cm RMS(mm) 観測点 B Fix 率 (%) RMS(mm) キネマティック解の各成分時系列 ( 上 ) 東 ( 中 ) 南北 ( 下 ) 上下成分 フィックス解 フロート解 17
CLAS( 試験サービス ) 予備的評価例 準天頂衛星の CLAS( 試験サービス ) 測位試験 (2018 年 5 14 地理院構内 ) 1 秒間隔 受信機 MJ-3008-GM4-QZS( マゼランシステムズジャパン製 ) 単独測位 CLAS(Fix) 南北成分 CLAS(Float) 2m 観測 景 受信機 東 成分 2m 2.5cm 上下成分 6 分 2m CLAS(fix) 16:18-16:43 RMS 3.8cm 測位解の 平成分 測位解の各成分の時系列 18
CLAS( 試験サービス ) 予備的評価例 準天頂衛星の CLAS( 試験サービス ) 測位試験 (2018 年 5 16 地理院構内 ) 1 秒間隔 受信機 MJ-3008-GM4-QZS( マゼランシステムズジャパン製 ) 3.5 3 2.5 2 1.5 1 0.5 0 ΔN 南北成分 単独測位 CLAS(Fix) 単独測位 CLAS(Fix) CLAS(Float) 0.5 10:45 11:00 11:15 11:30 11:45 12:00 12:15 12:30 12:45 13:00 13:15 13:30 CLAS(Float) 2m 2 1.5 1 0.5 0 0.5 1 1.5 南北成分 リセット リセット 2 13:30 14:00 14:30 15:00 15:30 16:00 16:30 単独測位 CLAS(Fix) CLAS(Float) 2m 2 1.5 1 0.5 0 0.5 1 1.5 ΔE 東 成分 15 分 単独測位 CLAS(Fix) CLAS(Float) 2 10:45 11:00 11:15 11:30 11:45 12:00 12:15 12:30 12:45 13:00 13:15 13:30 2m 東西成分東 成分 2 1.5 1 0.5 0 0.5 1 1.5 30 分 2 13:30 14:00 14:30 15:00 15:30 16:00 16:30 単独測位 CLAS(Fix) CLAS(Float) 2m 46 45 44 43 42 41 40 39 38 37 36 35 34 標高 上下成分 単独測位 CLAS(Fix) CLAS(Float) 10:45 11:00 11:15 11:30 11:45 12:00 12:15 12:30 12:45 13:00 13:15 13:30 6m 上下成分 48 46 44 42 40 38 13:30 14:00 14:30 15:00 15:30 16:00 16:30 単独測位 CLAS(Fix) CLAS(Float) 6m 測位解の各成分の時系列 19
全球の 地の移動速度 世界測地系における ( 地表点の ) 座標は 時間経過とともに変化 20
本の地殻変動 ( 過去 20 年間の動画 ) 21
衛星測位と地図の整合 測量分野での知 経験 < 測量成果の位置 > 基準時期 ( 元期 ) の座標 測量成果に 基づき 作成時期の違いによる不整合なし 地殻変動 < 衛星測位による位置 > 世界測地系における測位時 ( 今期 ) の座標 電 基準点観測に基づき地殻変動の影響を補正 精度なリアルタイム衛星測位を測量 地図作成で活 するには? 測位時 ( 今期 ) の座標は時間経過で変化 地図と整合させる元期座標への補正が必要 補正 法等の標準化が急務 22
測量 政懇談会 測位基盤検討部会 平成 29 年度に測量 政懇談会に設置 : 衛星測位の利活 が拡 する中での 位置の基準である測地基準座標系のあり を検討 部会 佐 達典 : 本 学 理 学部交通システム 学科 教授 電 基準点を利 したリアルタイム測位推進協議会 副部会 坪 俊通 : 橋 学 学院 社会学研究科 教授 会 委員 ( 五 順 ) 天野肇 :( 特 )ITS Japan 専務理事稲垣秀夫 :( 社 ) 地図調製技術協会専務理事植 睦央 :( 社 ) 本建設機械施 協会情報化施 委員会委員 久保信明 : 東京海洋 学海洋 学部海事システム 学科准教授後藤史 : 国 交通省 地 建設産業局地籍整備課国 調査企画官 藤和也 : ( 公財 ) 本測量調査技術協会専務理事 ( 敬称略 ) 衛星測位と地図などが整合する社会実現のための取組を提 23
精度測位社会の実現を える取組 測量 政懇談会の提 : 測位基盤検討部会報告書 [ 平成 30 年 3 ; 部抜粋 ] CLASなど 精度な衛星測位サービスを活 して地理空間情報と測位が互いに整合する環境を整備する i-constructionなど位置情報を活 した産業の拡 とともに 誰でも新たな位置情報サービスに安 して踏み出せる社会の実現を 指す 過去の地理空間情報資産と最新の 精度測位を無駄なく活 可能に 今後進めるべき取組 衛星測位による今期の位置座標と元期で表現された地図等の地理空間情報を 精度で整合させる仕組み ( 補正 法など ) の構築 安定稼働する電 基準点網を いる測位サービスのさらなる精度向上のため 間などのGNSS 連続観測点を 品質考慮の上 追加する仕組みの検討 24
まとめ 準天頂衛星システムによる CLAS など 今期の位置座標を 精度に決定する衛星測位技術が出現し i-construction など 位置情報を活 した産業が進展しています 電 基準点は 精度測位社会を える基盤的なシステムです 衛星測位による位置座標と既存の地理空間情報が整合した社会の実現が求められています 国 地理院は 電 基準点の安定した運 を通して 精度測位社会の実現に不可 なインフラを今後とも維持してまいります 25
電 基準点は 準天頂衛星 精度測位社会を縁の下で えています! 陸域観測技術衛星 準天頂衛星 測位衛星 自然環境保全 航空 観光 測量用航空機 防災 災害対応 建設 施工 降水予測 土地利用都市計画 財産 所有権 教育 移動支援 ( 屋内を含むナビ 物流 自動運転 ) 維持管理資源開発 Environment 農業 測位衛星 45 測位衛星 40 世界中の VLBI 30 電子基準点 130 ユーラシアプレート 地磁気 : 磁気コンパスにより 位決定するもので スマホやカーナビでも利 されています 135 地磁気 重力 140 145 石岡 VLBI 35 フィリピン海プレート 北米プレート 太平洋プレート VLBI:Very Long Baseline Interferometry ( 超 基線電波 渉法 ) 数 億光年離れた星からの電波を観測して, 地球上の位置と地球 体の姿勢を決定する技術 GPS 等の精度向上やうるう秒の挿 などにも利 されています 重 : さの決定に重 分布測定の結果が いられます 世界中の VLBI 26