今後のがん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会の進め方とスケジュールについて

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機能分類や左室駆出率, 脳性ナトリウム利尿ペプチド (Brain Natriuretic peptide, BNP) などの心不全重症度とは独立した死亡や入院の予測因子であることが多くの研究で示されているものの, このような関連が示されなかったものもある. これらは, 抑うつと心不全重症度との密接な

認定看護師教育基準カリキュラム

第 3 節心筋梗塞等の心血管疾患 , % % % %

心房細動1章[ ].indd

高齢化率が上昇する中 認定看護師は患者への直接的な看護だけでなく看護職への指導 看護体制づくりなどのさまざまな場面におけるキーパーソンとして 今後もさらなる活躍が期待されます 高齢者の生活を支える主な分野と所属状況は 以下の通りです 脳卒中リハビリテーション看護認定看護師 脳卒中発症直後から 患者の

脳卒中に関する留意事項 以下は 脳卒中等の脳血管疾患に罹患した労働者に対して治療と職業生活の両立支援を行うにあ たって ガイドラインの内容に加えて 特に留意すべき事項をまとめたものである 1. 脳卒中に関する基礎情報 (1) 脳卒中の発症状況と回復状況脳卒中とは脳の血管に障害がおきることで生じる疾患

認定看護師教育基準カリキュラム改正(案)の概要

平成 28 年 10 月 17 日 平成 28 年度の認定看護師教育基準カリキュラムから排尿自立指導料の所定の研修として認めら れることとなりました 平成 28 年度研修生から 排泄自立指導料 算定要件 施設基準を満たすことができます 下部尿路機能障害を有する患者に対して 病棟でのケアや多職種チーム

7 対 1 10 対 1 入院基本料の対応について 2(ⅲ) 7 対 1 10 対 1 入院基本料の課題 将来の入院医療ニーズは 人口構造の変化に伴う疾病構成の変化等により より高い医療資源の投入が必要となる医療ニーズは横ばいから減少 中程度の医療資源の投入が必要となる医療ニーズは増加から横ばいにな

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SBOs- 3: がん診断期の患者の心身の特徴について述べることができる SBOs- 4: がん治療期 ; 化学療法を受けている患者の心身の特徴について述べることができる SBOs- 5: がん治療期 ; 放射線療法を受けている患者の心身の特徴について述べることができる SBOs- 6: がん治療期

患者さんの食のストレス解消がQOL 向上につながる 5 質疑応答 Q) 食事を摂れない人の食事指導について A) 普段は食べてはいけないと言われているものをわざと出してみる 少量なら問題ないので少しでも食べられるところを何かきっかけにする 3. 末期重症心不全患者への補助人工心臓医療 看護の現状と課

心疾患患による死亡亡数等 平成 28 年において 全国国で約 20 万人が心疾疾患を原因として死亡しており 死死亡数全体の 15.2% を占占め 死亡順順位の第 2 位であります このうち本県の死亡死亡数は 1,324 人となっています 本県県の死亡率 ( 人口 10 万対 ) は 概概ね全国より高

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リハビリテーションを受けること 以下 リハビリ 理想 病院でも自宅でも 自分が納得できる 期間や時間のリハビリを受けたい 現実: 現実: リ ビリが受けられる期間や時間は制度で リハビリが受けられる期間や時間は制度で 決 決められています いつ どこで どのように いつ どこで どのように リハビリ

2005年 vol.17-2/1     目次・広告

CQ1: 急性痛風性関節炎の発作 ( 痛風発作 ) に対して第一番目に使用されるお薬 ( 第一選択薬と言います ) としてコルヒチン ステロイド NSAIDs( 消炎鎮痛剤 ) があります しかし どれが最適かについては明らかではないので 検討することが必要と考えられます そこで 急性痛風性関節炎の

為化比較試験の結果が出ています ただ この Disease management というのは その国の医療事情にかなり依存したプログラム構成をしなくてはいけないということから わが国でも独自の Disease management プログラムの開発が必要ではないかということで 今回開発を試みました

認知症医療従事者等向け研修事業要領

5. 死亡 (1) 死因順位の推移 ( 人口 10 万対 ) 順位年次 佐世保市長崎県全国 死因率死因率死因率 24 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 位 26 悪性新生物 350

平成 28 年度診療報酬改定情報リハビリテーション ここでは全病理に直接関連する項目を記載します Ⅰ. 疾患別リハビリ料の点数改定及び 維持期リハビリテーション (13 単位 ) の見直し 脳血管疾患等リハビリテーション料 1. 脳血管疾患等リハビリテーション料 (Ⅰ)(1 単位 ) 245 点 2

パスを活用した臨床指標による慢性心不全診療イノベーション よしだ ひろゆき 福井赤十字病院クリニカルパス部会長循環器科吉田博之 緒言本邦における心不全患者数の正確なデータは存在しないが 100 万人以上と推定されている 心不全はあらゆる心疾患の終末像であり 治療の進步に伴い患者は高齢化し 高齢化社会

対象疾患名及び ICD-10 コード等 対象疾患名 ( 診療行為 ) ICD-10 等 1 糖尿病 2 脳血管障害 3 虚血性心疾患 4 動脈閉塞 5 高血圧症 6 高尿酸血症 7 高脂血症 8 肝機能障害 9 高血圧性腎臓障害 10 人工透析 E11~E14 I61 I639 I64 I209 I

ケア困難患者や家族への直接ケア 医療スタッフへのコンサルテーション 退院や倫理的問題を調整する調整 ケアの質を改善 向上させるための教育と研究を実践し CNS が関わることで患者の病状や日常生活機能と社会的機能が改善して 患者と家族の QOL が高まり 再入院が減少することが明らかとなってきておりま

平成16年12月13日

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2 望ましい死の達成度と満足度の評価 宮下 光令 サマリー 望ましい死の達成を評価する尺度であ 施設の 73 が そう思う と回答しま る Good Death Inventory GDI 短縮 した その他では 医師を信頼していた 版と全般満足度に関する調査を行い 遺 ご家族やご友人と十分に時間を

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09 NCD の負担軽減 現状世界保健機関 (WHO) によると 2008 年の世界の死亡数 5,700 万人のうち 63% にあたる3,600 万人がNCD (Noncommunicable Diseases) によるものと推計している 1 具体的な疾患として WHOは糖尿病 慢性閉塞性肺疾患など

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2011 年 11 月 2 日放送 NHCAP の概念 長崎大学病院院長 河野茂 はじめに NHCAP という言葉を 初めて聴いたかたもいらっしゃると思いますが これは Nursing and HealthCare Associated Pneumonia の略で 日本語では 医療 介護関連肺炎 と


透析看護の基本知識項目チェック確認確認終了 腎不全の病態と治療方法腎不全腎臓の構造と働き急性腎不全と慢性腎不全の病態腎不全の原疾患の病態慢性腎不全の病期と治療方法血液透析の特色腹膜透析の特色腎不全の特色 透析療法の仕組み血液透析の原理ダイアライザーの種類 適応 選択透析液供給装置の機能透析液の組成抗

( 案 ) 今後の慢性閉塞性肺疾患 (COPD) の予防 早期発見のあり方について 平成 22 年 月 日 慢性閉塞性肺疾患 (COPD) の予防 早期発見に関する検討会 報告書

資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 <その他分野 ( 消化器官用薬 解毒剤 その他 )> 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号

介護における尊厳の保持 自立支援 9 時間 介護職が 利用者の尊厳のある暮らしを支える専門職であることを自覚し 自立支援 介 護予防という介護 福祉サービスを提供するにあたっての基本的視点及びやってはいけ ない行動例を理解している 1 人権と尊厳を支える介護 人権と尊厳の保持 ICF QOL ノーマ

(目的)

面的 包括的なリハビリテーションが多職種 ( 医師 看護師 薬剤師 栄養士 理学療法士等 ) のチームにより実施されます 喪失した心機能の回復だけではなく 再発予防 リスク管理などの多要素の改善に焦点が当てられ 患者教育 運動療法 危険因子の管理等を含む 疾病管理プログラムとして実施されます 急性期

医療法人高幡会大西病院 日本慢性期医療協会統計 2016 年度

体制強化加算の施設基準にて 社会福祉士については 退院調整に関する 3 年以上の経験を有する者 であること とあるが この経験は 一般病棟等での退院調整の経験でもよいのか ( 疑義解釈その 1 問 49: 平成 26 年 3 月 31 日 ) ( 答 ) よい 体制強化加算の施設基準にて 当該病棟に

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標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会

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助成研究演題 - 平成 23 年度国内共同研究 (39 歳以下 ) 重症心不全の集学的治療確立のための QOL 研究 東京大学医学系研究科重症心不全治療開発講座客員研究員 ( 助成時 : 東京大学医学部附属病院循環器内科日本学術振興会特別研究員 PD) 加藤尚子 私は 重症心不全の集学的治療確立のた

CCU で扱っている疾患としては 心筋梗塞を含む冠動脈疾患 重症心不全 致死性不整脈 大動脈疾患 肺血栓塞栓症 劇症型心筋炎など あらゆる循環器救急疾患に 24 時間対応できる体制を整えており 内訳としては ( 図 2) に示すように心筋梗塞を含む冠動脈疾患 急性大動脈解離を含む血管疾患 心不全など

平成 26 年 ₇ 月 15 日発行広島市医師会だより ( 第 579 号付録 ) 2.NT-proBNP の臨床的意義 1 心不全 ( 収縮及び拡張機能障害 ) で早期より測定値が上昇するため 疾患の診断や病状の経過観察さらには予後予測等に活用できます 2NT-proBNP の測定値は疾患の重症度

3) 適切な薬物療法ができる 4) 支持的関係を確立し 個人精神療法を適切に用い 集団精神療法を学ぶ 5) 心理社会的療法 精神科リハビリテーションを行い 早期に地域に復帰させる方法を学ぶ 10. 気分障害 : 2) 病歴を聴取し 精神症状を把握し 病型の把握 診断 鑑別診断ができる 3) 人格特徴

日本皮膚科学会雑誌第117巻第14号

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(2) 傷病分類別ア入院患者入院患者を傷病分類別にみると 多い順に Ⅴ 精神及び行動の障害 千人 Ⅸ 循環器系の疾患 千人 Ⅱ 新生物 千人となっている 病院では Ⅴ 精神及び行動の障害 千人 Ⅸ 循環器系の疾患 千人 Ⅱ 新生物 147.

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1 疾患別医療費札幌市国保の総医療費に占める入院医療費では 悪性新生物が 21.2% 循環器疾患が 18.6% となっており 循環器疾患では 虚血性心疾患が 4.5% 脳梗塞が 2.8% を占めています 外来医療費では 糖尿病が 7.8% 高血圧症が 6.6% 脂質異常症が 4.3% となっています

Microsoft Word 高尿酸血症痛風の治療ガイドライン第3版主な変更点_最終

者が緩和ケアを導入すること= 患者がだめになっていること認めると同じと考えていることを示した また 医療者が反対する考えには 心臓専門家が悪物療法のコンビネーション治療をしている一方で 緩和ケア専門家が心不全終末期には薬物治療は減らすべきと考えているからとも示している これらの異なった考えは 患者が

2. 延命措置への対応 1) 終末期と判断した後の対応医療チームは患者および患者の意思を良く理解している家族や関係者 ( 以下 家族らという ) に対して 患者が上記 1)~4) に該当する状態で病状が絶対的に予後不良であり 治療を続けても救命の見込みが全くなく これ以上の措置は患者にとって最善の治

3 成人保健

第1章評価にあたって

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Microsoft PowerPoint - 資料4_救急(ガイドライン)

未承認薬 適応外薬の要望に対する企業見解 ( 別添様式 ) 1. 要望内容に関連する事項 会社名要望された医薬品要望内容 CSL ベーリング株式会社要望番号 Ⅱ-175 成分名 (10%) 人免疫グロブリン G ( 一般名 ) プリビジェン (Privigen) 販売名 未承認薬 適応 外薬の分類

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一般会計負担の考え方

(2) レパーサ皮下注 140mgシリンジ及び同 140mgペン 1 本製剤については 最適使用推進ガイドラインに従い 有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積するまでの間 本製剤の恩恵を強く受けることが期待される患者に対して使用するとともに 副作用が発現した際に必要な対応をとることが可能な一定の要件

基本料金明細 金額 基本利用料 ( 利用者負担金 ) 訪問看護基本療養費 (Ⅰ) 週 3 日まで (1 日 1 回につき ) 週 4 日目以降緩和 褥瘡ケアの専門看護師 ( 同一日に共同の訪問看護 ) 1 割負担 2 割負担 3 割負担 5, ,110 1,665 6,

受給者番号 ( ) 患者氏名 ( ) 告示番号 72 慢性心疾患 ( ) 年度小児慢性特定疾病医療意 書 新規申請用 経過 ( 申請時 ) 直近の状況を記載 2/2 薬物療法 強心薬 :[ なし あり ] 利尿薬 :[ なし あり ] 抗不整脈薬 :[ なし あり ] 抗血小板薬 :[ なし あり

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50% であり (iii) 明らかな心臓弁膜症や収縮性心膜炎を認めない (ESC 2012 ガイドライン ) とする HFrEF は (i)framingham 診断基準を満たす心不全症状や検査所見があり (ii) は EF<50% とした 対象は亀田総合病院に 年までに初回発症

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地域包括ケア病棟 緩和ケア病棟 これから迎える超高齢社会において需要が高まる 高齢者救急に重点を置き 地域包括ケア病棟と 緩和ケア病棟を開設いたしました! 社会福祉法人 恩賜財団済生会福岡県済生会八幡総合病院

心臓リハビリテーション導入患者の QOL 向上を目指して SF-6 v 調査から見えてくる課題と展望 林美姫子, 田原純一, 園田理奈, 藤岡祐飛, 橋場理恵 ), 髙栁智子 ) 糸魚川総合病院第 病棟 ) 糸魚川総合病院外来 ) 新潟県立看護大学 Key word: 心臓リハビリテーション,QOL

のつながりは重要であると考える 最近の研究では不眠と抑うつや倦怠感などは互いに関連し, 同時に発現する症状, つまりクラスターとして捉え, 不眠のみならず抑うつや倦怠感へ総合的に介入することで不眠を軽減することが期待されている このようなことから睡眠障害と密接に関わりをもつ患者の身体的 QOL( 痛

診療科 血液内科 ( 専門医取得コース ) 到達目標 血液悪性腫瘍 出血性疾患 凝固異常症の診断から治療管理を含めた血液疾患一般臨床を豊富に経験し 血液専門医取得を目指す 研修日数 週 4 日 6 ヶ月 ~12 ヶ月 期間定員対象評価実技診療知識 1 年若干名専門医取得前の医師業務内容やサマリの確認

第4章:施策と目標 2:生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底(3)糖尿病(4)COPD

中間とりまとめ素案(公的賃貸住宅のあり方について)

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10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1

要望番号 ;Ⅱ 未承認薬 適応外薬の要望 ( 別添様式 1) 1. 要望内容に関連する事項 要望 者 ( 該当するものにチェックする ) 優先順位 学会 ( 学会名 ; 日本ペインクリニック学会 ) 患者団体 ( 患者団体名 ; ) 個人 ( 氏名 ; ) 2 位 ( 全 4 要望中 )

循環器 Cardiology 年月日時限担当者担当科講義主題 平成 23 年 6 月 6 日 ( 月 ) 2 限目 (10:40 12:10) 平成 23 年 6 月 17 日 ( 金 ) 2 限目 (10:40 12:10) 平成 23 年 6 月 20 日 ( 月 ) 2 限目 (10:40 1

わが国における糖尿病と合併症発症の病態と実態糖尿病では 高血糖状態が慢性的に継続するため 細小血管が障害され 腎臓 網膜 神経などの臓器に障害が起こります 糖尿病性の腎症 網膜症 神経障害の3つを 糖尿病の三大合併症といいます 糖尿病腎症は進行すると腎不全に至り 透析を余儀なくされますが 糖尿病腎症

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患者学講座第1講「医療と社会」

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【最終版】医療経営学会議配付資料 pptx

3. 臨地実習 臨地実習時間数は 0 時間とした

10050 WS2-3 ワークショップ P-129 一般演題ポスター症例 ( 感染症 ) P-050 一般演題ポスター症例 ( 合併症 )9 11 月 28 日 ( 土 ) 18:40~19:10 6 分ポスター会場 2F 桜 P-251 一般演題ポスター療

総合診療

5. がん患者さんの在宅医療 介護等の基礎知識 財団法人名古屋市療養サービス事業団名古屋市西区訪問看護ステーション所長訪問看護認定看護師村井満美子 講義の狙い がん患者さんの在宅医療と在宅医療 療養を支える資源について学ぶ 訪問看護の利用の仕方について学ぶ 事例を通してより良い在宅医療のあり方を学ぶ

2 保険者協議会からの意見 ( 医療法第 30 条の 4 第 14 項の規定に基づく意見聴取 ) (1) 照会日平成 28 年 3 月 3 日 ( 同日開催の保険者協議会において説明も実施 ) (2) 期限平成 28 年 3 月 30 日 (3) 意見数 25 件 ( 総論 3 件 各論 22 件

資料 3 全国精神保健福祉センター長会による自殺予防総合対策センターの業務のあり方に関するアンケート調査の結果全国精神保健福祉センター長会会長田邊等 全国精神保健福祉センター長会は 自殺予防総合対策センターの業務の在り方に関する検討チームにて 参考資料として使用されることを目的として 研修 講演 講

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1 資料 4 循環器疾患における緩和ケアについて 厚生労働省健康局がん 疾病対策課

緩和ケアの定義 (2002 年世界保健機関 ) 2 Palliative care is an approach that improves the quality of life of patients and their families facing the problem associated with life-threatening illness, through the prevention and relief of suffering by means of early identification and impeccable assessment and treatment of pain and other problems, physical, psychosocial and spiritual. http://www.who.int/cancer/palliative/definition/en/ 生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して 痛みやその他の身体的問題 心理社会的問題 スピリチュアルな問題を早期に発見し 的確なアセスメントと対処を行うことによって 苦しみを予防し 和らげることで QOL を改善するアプローチである 緩和ケアの対象患者はがんに限定されるものではない

人生の最終段階に緩和ケアを必要とする者の疾患別割合 ( 成人 ) 1 位心血管疾患 2 位がん 出典 :Global Atlas of Palliative Care at the End of Life (WHO, January 2014) 3

心疾患の病類別にみた死亡者数 心不全と急性心筋梗塞が心疾患死亡の半数以上を占め 心不全による死亡者数は増加傾向にある 心筋症 2% 慢性非リウマチ性心内膜疾患 5% 心疾患の病類別に見た死亡者数の割合 (2015 年 ) 慢性リウマチ性心疾患 1% 不整脈及び伝導障害 15% その他の心疾患 3% 心不全 37% 80000 70000 60000 50000 40000 30000 20000 心不全および急性心筋梗塞による死亡者数の推移 心不全 急性心筋梗塞 その他の虚血性心疾患 18% 急性心筋梗塞 19% 10000 0 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 出典 : 平成 27 年人口動態統計 4

本邦における心不全患者の現状 1 心不全患者の約 70% が 75 歳以上の高齢者であり 今後患者数が増加することが予測されている 心不全患者は 心不全増悪による再入院を繰り返しながら 身体機能が悪化する悪循環が特徴であり 患者の約 20~40% は 1 年以内に再入院する 1,2 心不全において 75 歳以上の患者が占める割合 ( 平成 26 年 ) 3 75 歳未満, 27% 75 歳以上, 73% 心不全の Stage 分類 Stage A 危険因子あり器質的心疾患なし心不全症状なし 心血管疾患から心不全への臨床経過のイメージ 5 心不全リスク状態 器質的心疾患への進展 心不全症状の発現 Stage B 器質的心疾患あり心不全症状なし Stage C 器質的心疾患あり心不全症状あり ( 既往も含む ) 症候性心不全 心不全治療難治化 Stage D 難治性心不全 日本における高齢者 (65 歳以上 ) の新規心不全発症数推計 4 ( 千人 ) 400 350 300 250 200 150 100 50 0 ( 年 ) 身体機能 高血圧動脈硬化性疾患糖尿病等 ( 突然死 ) 虚血性心疾患左室リモデリング ( 左室肥大 駆出率低下 ) 無症候性弁膜症等 心不全発症 慢性心不全の増悪による入院治療 慢性心不全 心不全の難治化 時間経過 1: Circulation Journal.2006; 70(12): 1617-1623 2: Circulation Journal.2015; 79(11): 2396-2407 3: 平成 26 年患者調査 4: Eur J Heart Fail 2015 sep;17 (9) 884-92 より引用改変 5: 脳卒中 心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方について ( 平成 29 年 7 月 ) より引用改変 5

本邦における心不全患者の現状 2 高齢心不全患者 (75 歳以上 ) の治療に関するステートメント ( 日本心不全学会 ) における高齢心不全患者の特徴 1 Common Disease であり その絶対数が増加してゆく 根治が望めない進行性かつ致死性の悪性疾患である その大半が心疾患以外の併存症を有する ( 感染症 脳血管障害 認知症 腎機能障害 運動機能障害等 ) 高齢者の心不全管理については エビデンスと言えるデータは限られている 服薬管理等の自己管理能力に限界がある事が多い 個体差が大きい 心不全患者の多くを占める 75 歳以上の高齢心不全患者の管理方針は 個々の症例の重症度 併存症の状態 社会的背景等の全体像を踏まえた上で検討することが推奨されている かかりつけ実地医家等が地域で形成する診療体制を中心に 循環器専門医が所属する基幹病院が急性増悪時の入院治療 心血管疾患リハビリテーション等で連携 支援する体制を提言している 1: 日本心不全学会高齢心不全患者の治療に関するステートメント (2016 年 10 月 ) 6

心不全対策の考え方について ( 脳卒中 心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方に関する検討会 報告書より抜粋 ) 慢性心不全の主な治療目標は 年齢 併存症の有無 心不全の重症度等により適切に設定される必要があり 状況によっては心不全に対する治療と連携した緩和ケアも必要とされる 慢性心不全患者の管理体制としては かかりつけ医等の総合的診療を中心に 専門的医療を行う施設が急性増悪時の入院治療 多職種チームによる疾病管理等で連携 支援する体制の検討が必要である 慢性心不全対策を推進するに当たっては 幅広い心不全の概念を 患者やその家族 心血管疾患を専門としない医療従事者や行政等の関係者間で共有することが重要である 身体機能の推移 想定される主な管理方針 無症状期 ( 学会ガイドラインにおける ) 急性心不全 器質的心疾患の予防 進行抑制 心不全症状の予防 心不全患者の臨床経過のイメージ 1 初回症状発現期 ( 軽症 ) ( 重症 ) ( 突然死 ) 症状の程度に応じた適切な心不全治療 心不全原因疾患の評価 慢性安定期 急性増悪期 再入院予防にむけた日常管理 急性増悪時には症状の程度に応じた適切な急性期治療 治療抵抗期 心不全の進行 ( 学会ガイドラインにおける ) 慢性心不全 ( 心不全の治療と連携した ) 緩和ケア 急性増悪 ( 入院管理 ) 症状のコントロール 人生の最終段階のケア ( 適応があれば心臓移植 補助人工心臓 ) 1: 脳卒中 心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方について ( 平成 29 年 7 月 ) より引用改変 7

8 循環器疾患における緩和ケアに関する検討の方向性 ( 案 ) 循環器疾患の中でも すべての心疾患の共通した 終末的な病態であり 今後の増加が予想される 心不全患者に対する緩和ケアを主に検討する 心不全患者の臨床経過を踏まえた緩和ケアを検討する

心不全患者の臨床経過を踏まえた緩和ケアを検討する上での論点 ( 案 ) 9 心不全患者における緩和ケアのニーズの認識と概念の共有について 心不全患者の臨床経過に伴う課題について 多職種連携および地域連携による心不全患者管理の一環としての緩和ケアについて

心不全患者における緩和ケアのニーズの認識と概念の共有に関する検討の方向性 ( 案 ) 末期心不全患者の多くは 呼吸困難 倦怠感 疼痛などの身体的苦痛に加えて 精神心理的苦痛や社会的苦痛といった問題も抱えている 1,2 このような背景から 循環器専門医研修施設を対象に行ったアンケート調査において 循環器専門医研修施設の 98% が心不全患者に対する緩和ケアの必要性を認識している 3 しかしながら 末期心不全患者に対する緩和ケアの提供内容については確立されたものがなく 具体的な提供内容は 施設や担当する医療従事者に委ねられている 4 心疾患患者の終末期における苦痛の頻度 2 呼吸困難 60-88% 倦怠感 69-82% 疼痛 41-77% 不安 49% うつ 9-36% 混乱 18-32% 心不全患者に対する緩和ケアの必要性に関する調査結果 3 末期心不全患者における全人的苦痛を踏まえ 心不全患者に対する緩和ケアの提供内容について検討する ニーズや提供内容等の心不全患者における緩和ケアの概念を 関係する医療従事者等の間で共有する方法について検討する 1: ESC Heart Fail. 2017; 4: 81-87 2: J Pain Symptom Manage. 2006; 31: 58-69 3: 第 21 回日本心不全学会学術集会発表資料 ( 兵庫県立尼崎総合医療センター佐藤幸人先生 ) 4: 心不全緩和ケアの基礎知識 35( 心不全緩和ケア研究会編集 ) 2% 98% 質問項目 : 心不全患者に対する緩和ケアは必要と思うか? ( 循環器専門医研修施設 539 施設 ) 必要と思う 必要とは思わない 10

心不全患者の臨床経過に伴う課題に関する検討の方向性 ( 案 ) 心不全は慢性の進行性疾患であるが 心不全患者は心不全増悪による再入院を繰り返しながら 身体機能が悪化していくことが多く 難治性心不全となる時期の予測が困難である 心不全においては 原疾患に対する治療が症状緩和につながるため 最終段階においても 侵襲的な治療を含む原疾患の治療が 治療の選択肢に上がりうる Stage C ( 症候性心不全 ) Stage D ( 難治性心不全 ) 身体機能 ケアの強度 心不全発症 従来のケア ( 原疾患への治療 ) 薬物治療 (RA 阻害薬 β 遮断薬 利尿薬 強心薬等 ) デバイス治療 ( 両室ペーシング 植込型除細動器等 ) 緩和ケア 身体的苦痛に対するケア 精神心理的苦痛に対するケア 社会的苦痛に対するケア ( 心臓移植 補助人工心臓 ) 慢性心不全の増悪による入院治療 難治性心不全への移行 内服治療抵抗性 重大な意志決定をするための時 適応があれば補助人工心臓や心臓移植を考慮 緩和的なアプローチを中心としたケアプランへの変更を考慮 時間経過 Circulation. 2012;125(15):1928-52. を参考に作成 難治性心不全となる時期の予測が困難であり 最終段階においても原疾患の治療が選択肢に上がりうるといった心不全患者の特徴を踏まえ 原疾患の治療と 緩和ケアをどう並行して提供していくべきかについて検討する 11 11

多職種連携および地域連携による心不全患者管理の一環としての緩和ケアに関する検討の方向性 ( 案 ) 慢性心不全患者の管理体制としては かかりつけ医等の総合的診療を中心に 専門的医療を行う施設が急性増悪時の入院治療 医師 看護師 薬剤師 理学療法士 栄養士 医療ソーシャルワーカー 保健師等の多職種連携による疾病管理等で連携 支援する体制が必要であるとされている 1,2 また 心不全患者の多くを占める75 歳以上の高齢心不全患者の管理方針は 個々の症例の重症度 併存症の状態 社会的背景等の全体像を踏まえた上で検討することが推奨されている 1,2 心血管疾患患者の診療提供体制のイメージ心不全患者に対する多職種連携のイメージ 2 患者情報の共有に基づく地域に応じた疾病管理 心不全患者 入院管理 患者の状況に応じた多職種による介入 急性期の医療 連携 回復期の医療 薬剤師 理学療法士 医師 情報の共有に基づく管理方針の決定 患者支援部門 ( 医療ソーシャルワーカー等 ) 看護師 栄養士 連携 外来管理 回復期の医療 再発 症状増悪時の入院治療 心血管疾患患者の社会生活 心血管疾患患者の社会生活のサポート ( 状態によっては 在宅医療によるサポートを考慮 ) 連携 維持期の医療 ( かかりつけ医等と専門的医療を行う施設が連携して提供 ) 多職種連携および地域の現状に応じた地域連携体制による心不全患者管理の中で 緩和ケアに関連する職種がどのように連携していくべきかについて これまでの取組事例を踏まえながら検討する 12 1: 日本心不全学会高齢心不全患者の治療に関するステートメント (2016 年 10 月 ) 2: 脳卒中 心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方について ( 平成 29 年 7 月 ) より引用改変 12