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日本システム監査人協会第 233 回月例研究会 IT システム開発のトラブルは どこからくるのか? 日本アイ ビー エム株式会社 東京基礎研究所インダストリーソリューションサービス 品質エンジニアリング部長細川宣啓氏 2018 年 7 月 12 日 ( 水 ) 機械振興会館ホール

トラブルプロジェクトの発生メカニズムと対策 の今昔物語 2018 年 6 月 13 日 日本アイ ビー エム株式会社東京基礎研究所細川宣啓

目次 1. 品質に対する一般認識 2. 開発者 運用者 の役割 3. 弊社の取り組み 2 2007/08/15

1. 品質に対する一般認識 品質の一般定義は絶対的なものではなく 相対的なものです ISO 8402 ( 品質管理及び品質保証 - 用語 ) ある もの の明示された又は暗黙の必要性を満たす能力に関する特性の全体 ISO 9000 ( 品質マネジメントシステム ) 本来備わっている特性の集まりが 要求事項を満たす程度 品質保証 : 品質要求事項が満たされるという確信を与えることに焦点を合わせた品質マネジメントの一部 3 2007/08/15

1. 品質に対する一般認識 IT に対する期待は立場によってまちまちなため 品質 の一律な定義はできません IT に対する期待の一例 IT 部門責任者 開発担当者プロジェクトの... 納期 コスト 生産性 要件対応率 初期障害率 経営層 プロジェクト成功率 システム障害発生件数 要員の稼働率 要員のスキル 先進性 利用部門責任者 運用担当者システムの... 稼働率 障害発生件数 障害対応時間 変更要求対応率 IT ベンダー 事業の売上げ 利益 お客様満足度への IT の貢献 IT 予算水準の妥当性 IT 部門の価値 (IT 施策の実現度など ) 業務の効率改善度 プロジェクトの投資額対効果 契約遵守 ( 納期 コスト ) SLA お客様満足度 利用者 使いやすさ 応答時間 監査部門 機密性 完全性 4 2007/08/15

1. 品質に対する一般認識 IT プロジェクトの成功率は 3 割 うち過半数が品質の問題というデータもありますが 失敗プロジェクト自体が開発方法や開発者の品質の問題と捉えることもできるでしょう 日本企業における IT プロジェクトの成功率 日経コンピュータ 2003.11.17, 特集プロジェクト成功率は 26.7%,pp50-71 より 5 2007/08/15

1. 品質に対する一般認識 失敗プロジェクトを プロジェクトそのものの問題と構造的な問題に区別する考え方もあります 1) プロジェクトそのものに問題がある そもそもプロジェクト計画に無理があるスコープ 納期 予算 要求品質 スキル プロジェクトの進め方に無理があるプロジェクトマネジメント 要員調達 意思決定 2) 業界や組織などに構造的な問題がある 業界や組織の文化 常識がプロジェクトになじまない 意思決定者の個人的性格 目的がプロジェクトになじまない どちらもプロジェクト単体では対応できない 参照資料 : 日本システムアナリスト協会 不条理なコンピュータ研究会 メンバー清水順夫 プロジェクト失敗の構造を生むユーザー企業が抱える問題 30 のプロジェクト破綻例に学ぶ IT 失敗学 の研究 6 2007/08/15

1. 品質に対する一般認識 情報システム部門のミッションも変化しています 情報システム部門に対する期待の変化 グローバル レベルの競争 経営が情報システム部門へ 連結経営の重視 顧客ニーズの多様化 IT の急速な進歩 プロセス指向 期待する役割業務プロセス 企業競争力 強化への貢献 ビジネス環境変化 改革への貢献 機能指向 業務効率向上 への貢献 業務効率化 ビジネス戦略支援 7 2007/08/15

1. 品質に対する一般認識 IT 部門の組織的な位置づけもまた変化しており IT および IT 部門の貢献度をどう評価するか 評価の裏づけとしてのシステムの品質をどう捕らえるかは難しい課題です CIO の抱える問題と IT 部門の位置づけ 外部に任せる アウトソーシング 再内包化 内部統制セキュリティ 経営資源の選択と集中コスト削減 IT 子会社化 人材の確保技術やスキルの高度化 CIOのミッション ITを使って経営に貢献する ITのリスクを管理する IT 資源を最大限活用する IT 部門の位置 企業本体で持つ 8 2007/08/15

1. 品質に対する一般認識 参考 : 情報システム部門のミッションと課題 ( 例 ) 情報システム部門のミッション ITを使って経営に貢献する ITのリスクを管理する IT 資源を最大限活用する 情報システム部門の課題 IT 投資コストの抑制 IT の投資対効果が見えない 効果的な IT 投資が行えない 保守コストの増大 IT サービスの品質低下 重大なセキュリティ事故の発生 属人的な IT 運用による重大トラブルの発生 組織の弱体化 情報システム部門の役割が不透明 利用部門の IT 有効活用を支援できない プロジェクトマネジメント能力の低下 欠如 コストセンターとしの位置付けから脱却できない 情報システム部門の価値に対する不信感の増大 ベテラン要員の減少 情報システム部門の要員のモラルダウン 無秩序なシステム開発 運用 IT に関する標準や業務ルールの未確立 サーバーシステムの乱立 統一性の無いシステムインフラによる開発 運用コストの増大 社外向け Web のデザインの不統一 変化に対する対応の遅れ コード体系の不整合によるパッケージ導入の阻害 複雑化したシステムインフラによるシステム統合の阻害 9 2007/08/15

目次 1. 品質に対する一般認識 2. 開発者 運用者 の役割 3. 弊社の取り組み 10 2007/08/15

2. 開発者 運用者 の役割 ところで IT に対する期待や IT 部門の位置づけが変化する一方で 情報システムの開発 運用における各者の論理的な役割分担は変わっていません 情報システム管理体系 各部門の役割り分担の明確化と部門間牽制 1. 役割 適用業務システムの企画立案 具現化の推進 ユーザー要件の確定 システムテストへの参画 局面完了の承認 システムの普及推進 投資の最適化 2. 責任 / 権限 システム化ニーズのまとめ システム化優先順位付け 構築 / 運用者の決定 活用の促進 期待効果の実行評価 1. 役割 対象とする業務のシステム化による期待と目標の定義 システムを活用し目標に貢献する 2. 責任 / 権限 システム化ニーズ業務への適用 予算措置 利用者のニーズの提示 構築内容の検収 活用ガイド等 定着への活動実施 サービスの利用による効果結果の提示 ユーザー オーナー アプリケーションシステム サービスの提供 開発 運用委託 サプライヤー 1. 役割 高品質の情報システム構築 / 運用 低コストの情報システム構築 / 運用 納期遵守の情報システム構築 / 運用 2. 責任 / 権限 オーナーからの依頼に基づく実施 実施内容の監査性の証明 サービスの提供 技術 / 人材の育成 11 2007/08/15

2. 開発者 運用者 の役割 補足説明 : オーナー ユーザー サプライヤーの関係 基本形基本的な役割分担は ユーザーがサプライヤーにニーズを示し サプライヤーがシステムサービスを提供することです アプリケーションオーナー機能の必要性 戦略的にビジネスに貢献するシステムが求められると ユーザーとサプライヤーの橋渡しをするアプリケーションオーナー機能が必要になります ユーザー ( 利用者 ) ニーズ サービス サプライヤー ( 提供者 ) CEO CFO CIO 意思決定者の必要性関係者が増えると ニーズとサービスを整理調整するために システム投資の意思決定者であるオーナーが必要になります オーナーはユーザー側 サプライヤー側 および経営側の3 種類が考えられます ( アプリケーション ) オーナー CEO,CFO 経営責任者 ( 経営オーナー ) CIO (IT 部門のオーナー ) ユーザー ( 利用者 ) ( アプリケーション ) オーナー サービス サプライヤー ( 提供者 ) ユーザー ( 利用者 ) ニーズ 12 2007/08/15 サービス サプライヤー ( 提供者 )

2. 開発者 運用者 の役割 弊社の SI サービスの位置づけを単純化すると サプライヤーの役割になります 弊社の SI サービスの位置づけ CEO CFO CIO オーナー システム化ニーズ 業務への適用 開発 運用委託 ユーザー サプライヤー お客様 サービスの提供 弊社 13 2007/08/15

2. 開発者 運用者 の役割 お客様のニーズに合わせ オーナーやユーザーの責務を分担させていただくケースもあります CEO CFO オーナー CIO 企画 意思決定もアウトソースしている場合 システム化ニーズ 業務への適用 開発 運用委託 お客様 弊社 ユーザー業務もアウトソースしている場合サービスの提供 サプライヤー 14 2007/08/15

2. 開発者 運用者 の役割 開発者は 開発者の役割を果たす必要があります ライフサイクル上の役割分担 オーナー ユーザー ( お客様 ) 契約 受入 戦略策定 企画立案要件定義 設計 開発 テスト運用 保守 契約 引渡 サプライヤーは この部分で ご提案作業や開発準備などはある サプライヤー ( 開発者 = 弊社 ) サプライヤー ( 運用者 = お客様 弊社 ) 15 2007/08/15

参考 ) 大トラブル発生の段階 - トラブルは大トラブルになりやすい スコープの見誤りにより 見積りコストでの開発目途が立たない お客様満足度 ( 提案品質 ) 良 プロジェクト スタート時にこの象限にないのは論外 無理な提案 トラブル 健全フ ロシ ェクト コスト ( プラン ) 悪 良 コスト不足により品質低下 SOW( カバレッジ ) の縮小 大トラブル トラブル 低品質 納期遅れ リカバリするために体制強化 オーバーラン 悪 スキル不足 16

負の連鎖を断ち切る必要がある さもなければ同じことの繰り返し... スキル リソースが不足 不十分な体制 リスク未対応のままビジネス プレッシャーに押し切られる 優先度の明確化 低稼働率のため リソースシフト 将来起こる案件を把握してアサインするために オポチュニティ情報をシェア コストが十分でなく 稼働率低迷 育成する時間が取れない ミスマッチのアサイン 育成強化 PM/ITA/SS トラブル解決のため 優秀な PM ラインを投入 トラブルの発生 17

例 ) 月次報告をプロジェクトに義務づけ プロジェクトの健康度を測るために 7 つの観点で検証 追跡しています 従来の月次報告 Q: 品質 C: コスト D: 進捗 R: リスク D:Discipline 遵守 ただちに是正アクションが必要 近いうちに是正アクションが必要 順調 特別なアクション不要 7 Keys Health/Risk Management ステークホルダーがコミットしている Stakeholders are Committed ビジネス上の利益が実現されている Business Benefits are being realized 作業およびスケジュールは予測可能である Work and Schedule are Predictable スコープは現実的で的確に管理されている Scope is Realistic and Managed チームは高いパフォーマンスを実現している Team is High Performing リスクが軽減されている Risk are Being Mitigated デリバリー組織にとっての利益が実現されている Delivery Organization Benefits are being realized 各 Key の詳細解説は付録にあります 18

サービスサイエンスの一例として 7Keys の結果や 月次報告書の記述内容を元に トラブルを予兆させる手掛かりを抽出しようとしています 7 Keys スコア 因子分析 プロジェクトの 7 キースコアの時系列変化のパターン 時系列変化によりプロジェクトの状態を把握できないか? アクションの効果を可視化したい 7 Keys スコア算出のための質問項目数 : 77 ニューラル ネットワーク プロジェクトのリスクの予測 質問項目の答えの変化により将来のリスクを予測できないか? プロジェクト レポートのテキスト分析によるキーワード抽出 傾向分析など 重要質問項目の選択 ニューラル ネットワークと統計的学習手法により データに基づく重要質問項目の決定 19

因子分析トラブルパターン解析 Reduction of dimension for easier visualization - Analyzed data 7 Keys All Score (QA report) - For overall trend 御参考資料 Two main factors are selected from 7 keys by Principal Factor Method with promax rotation Project time-transition pattern is useful to confirm action effectiveness 7 keys factor relationship by Structural Equation Modeling DelScheduleRiskScope 6.00000 4.00000 2.00000 0.00000 3 4,5,6,11 7,8 2 12 9 10 1 y=0.0751x+0.526 96.7% Status Green Incomplete Red Yellow y=-0.155x+2.981 96.2% -2.00000 20 scope schedule Delivery benefit factor result Stakeholder benefit team risk -2.00000 0.00000 2.00000 4.00000 6.00000 8.00000 StakeholderBenTeam Factor 1 2 Delivery Benefit 0.760-0.135 Schedule 0.722 0.049 Risk 0.621-0.013 Scope 0.449 0.241 Stakeholder -0.183 0.791 Benefit 0.237 0.544 Team 0.300 0.470

参考 ) 因子分析トラブルに陥るときのパターンの可視化 6.00000 5.00000 4/07 ed exit 6/07 id,ip exit 7/07 itb, st, si 8/07 red 12/07 mnt review 2007/8 si 2007/9 Status Red Yellow Contract update 3.00000 2/07 ip exit 5/07 red 7/07 itb exit ITb 2007/5 Status Green Red Yellow DelScheduleRiskScope 4.00000 3.00000 2.00000 2008/2 2008/1 2007/12 2007/11 2007/10 DelScheduleRiskScope 2.00000 1.00000 2007/9 2007/8 2007/7 2007/2 2007/3 2007/4 2007/6 1.00000 2007/7 0.00000 2006/9 2007/1 2006/12 0.00000 0.00000 1.00000 2.00000 3.00000 4.00000 StakeholderBenTeam -0.50000 0.00000 0.50000 1.00000 1.50000 2.00000 StakeholderBenTeam 21

バックアップ マスタースケジュールだけでも兆候がとらえられることがあります 品質欠陥の兆候 : マスタースケジュールからわかる兆候の例 局面間のオーバーラップがある ( 特に要件定義と外部設計の境界の重なり またはこのどちらかが他の局面とオーバーラップ ) マスタースケジュールが頻繁に更新されている 今後の計画だけで 過去が省かれているマスタースケジュール マイルストーンが書かれていない タスク間の依存関係が示されていない クリティカルパスがわからない マスタースケジュールと WBS や要員計画との整合性がない 周辺の関連するプロジェクトのスケジュールが書かれていない 注意 : 上記のケースが常に失敗するわけではない 22 2007/08/15

バックアップ 特に意思決定やコミュニケーションの不足は失敗しやすい環境を作ります 品質欠陥の兆候 : 失敗を予兆させるコミュニケーション状況の例 お客様のマネジメントレベルと定例会合がない 投資額に見合うお客様トップレベルの参画がない 最終意思決定者が曖昧で 体制図に書かれていない 最終意思決定は 多数の関係者による合議となっている 体制図がない 体制図上に責任者が書かれていない または複数書かれている ( プロジェクトリーダー チームリーダー...) 注意 : 上記のケースが常に失敗するわけではない 23 2007/08/15

バックアップ プロジェクトマネジメントの勘所 (1/4) 1. 全体 スコープ 常に明確にしておく 最初に明確化 ( お客様 協力会社 ) 作業範囲と分担( それ以外はやらないという意味ではない 限界以上は別枠管理) 作成成果物 etc 当初 それで見積りを作成 契約時との整合性を持たせる 随時 関係者の共同認識 台帳管理 一目でわかるように 変更管理 必ず変更管理システムを通して対応する 担当者が勝手に受けない 些細な仕様変更の積み重ねに要注意 チリも積もれば数十人月? 総量 重要度別 チーム別等の工数 期間の把握 24 2007/08/15

バックアップ プロジェクトマネジメントの勘所 (2/4) 2. スケジュール 進捗管理 目に見える形 ( 仕組み ) で実施 (WBS ベースなど ) 現状および予定の把握 数字とグラフ 対策などを共通フォームで ( 全員が共有 ) EVM による管理 3. 品質 開発工程での作り込み テスト検証では手戻りしてしまう! 品質保証 (QA:Quality Assurance) 開始前のガイド ルール化 成果物作成ガイド 各局面完了基準 ウォークスルー インスペクションのルール化 ガイド等 WBS:Work Breakdown Structure, EVM: Earned Value Management 25 2007/08/15

バックアップ プロジェクトマネジメントの勘所 (3/4) 4. 生産性 品質の向上 ノウハウ 情報の活用 仕組み作りは後からでも可 まずルール化 スコープ( 作業 (WBS) 成果物) の定義サンプル テンプレート サンプルフォーム... 作成成果物の展開と活用 スキルの横展開 各種のデザイン 開発スキル プロジェクト運営スキルなど データ管理 一元管理 後工程でとても有効 5. コスト 問題の早期発見 ( 顕在化 ) お客様に報告 迅速対応 初期消火の徹底 結果的に最小費用化 26 2007/08/15

バックアップ プロジェクトマネジメントの勘所 (4/4) 6. リソース メンバーの体調管理 抜けると大きなインパクト 早く治す お客様にきちんとお願いし 了解を得る 7. 報告 定期報告 定義( 種類 内容 相手先 サイクル ) 不定期報告 ( リスク 作業 工数...) 隠さない 状況 対策案 見通し... 等を判り易くまとめてご報告 緊急時はまず口頭で 27 2007/08/15

バックアップ 失敗プロジェクトの共通の特徴 プロジェクト計画の不備 プロジェクトマネジメント (PM) 計画 (PMP) がない 過少見積り 自己流見積り 品質管理の不備 変更管理の不備 PMの不備 ( 特にスコープマネジメント不備 ) PMの不足 上流局面が不備のまま次局面へ見切り発車 開発当事者以外の要員 ( 例 : コンサルタント ) が要件定義を実施 立上り時の体制 社内要員不足 開発者 ( 質 量とも ) 不足 テクニカルスペシャリスト不足 プログラミングが多いにもかかわらず非局面化 要件定義 (RD) が適切に行われていない 不適切な契約 / サブコントラクティング = 共通項 = プロセス, 標準からの逸脱 28 2007/08/15

目次 1. 品質に対する一般認識 2. 開発者 運用者 の役割 3. 弊社の取り組み 29 2007/08/15

3. 弊社の取り組み 弊社の考える品質は 一言で言えば お客様の要求を満たすこと です そのことがお客様の満足度を高め 結果的に 品質が高い サービスをお届けすることになります 弊社の 品質 = お客さまの要求を満たすこと お客様の高い満足度 = 品質が高い お客さまの要求を満たすには... 優れた製品やサービス それをご提供する人 管理方法 協力会社等の高いスキル が必要です... これらを実現するために 一定の利益も必要です 30 2007/08/15

3. 弊社の取り組み 品質を高めるためのポイントは サービスをご提供するデリバリーチームのプロジェクトマネジメント能力 CRM プロセス QA レビューの 3 つです 品質向上のポイント お客さま 満足度調査 プロジェクトチーム CRM プロセス プロジェクト マネジメント能力 QA レビュー お客さま満足度 REV GP 評価 カルチャー 方法論 開発方法論 開発プロセス プロジェクト指向 組織 スキル 技術 多様な研修 開発ツール ベストプラクティス 31 2007/08/15

3. 弊社の取り組み お客様の要求を満たす ためには 何よりもサービスを提供するデリバリーチームの品質が高くなくてはいけません 弊社はデリバリーチームに高いプロジェクトマネジメント能力を求めています プロジェクトマネジメントとは... 個々人を組織化して 作業を順序良く行うことにより 1. 決められた品質以上の成果物を 2. 決められた期間以内で 3. 決められた予算以内で作り上げる しかも 最短距離を 最適な技術で 32 2007/08/15

3. 弊社の取り組み 実際 ソフトウェア開発の生産性の個人差は 3~25 倍以上あり 品質を高めるためには デリバリーチームメンバーのスキルの維持 向上が何よりも必要です 個人のスキル分布例 参照 :IBM サンノゼ研究所 Programming &Programmers Productivity 70 33 2007/08/15

3. 弊社の取り組み プロジェクトチームは下記のマネジメント体系に沿ってプロジェクトを遂行することが求められます 立ち上げ 企画 運営 変更管理 プロジェクト計画 WBS ( 成果物一覧 ) 進捗管理 予算管理問題 / 課題管理 品質管理 計画 リスク リスク管理 終結 プロジェクトマネジメント体系 評価 34 2007/08/15

3. 弊社の取り組み 主要なプロジェクトは EVM による進捗管理を行うことが義務付けられています EVM と EAC EAC( 完了時コスト予測 ) 1,200,000 1,000,000 VAC( 完了時コスト差異 ) ETC( 残作業コスト予測 ) <EVM による進捗報告項目の一例 > 800,000 PV( 出来高計画値 ) BAC ( 完成時総予算 ) SV A チーム 1.2 B チーム 0.9 C チーム 1.0 600,000 CV( コスト差異 ) CV 1.2 0.9 1.0 400,000 SV( スケジュール差異 ) TV 5 日先行 3 日遅れ 計画通り 200,000 AC( コスト実績値 ) EV( 出来高実績値 ) SV = 計画と実績のコスト差異を表します CV = 計画と実績のスケジュール差異を表します TV = 計画と実績の時間差異を表します 0 8/30 9/6 9/13 9/20 9/27 10/4 10/11 10/18 10/25 11/1 11/8 11/15 11/22 11/29 12/6 12/13 12/20 12/27 35 2007/08/15

3. 弊社の取り組み インスペクションやチームレビューなど プロジェクト内での日常の品質管理活動も重要です レビューの種類 最も公式コスト高 最も非公式コスト低 インスペクション チームレビュー ウォークスルー ペアプログラミング ピアデスクチェック パスアラウンド アドホックレビュー 公式レビュー Karl E. Wiegers ピアレビュー 日経 BP ソフトプレス 2004.01 36 2007/08/15

5 0 3. 弊社の取り組み 欠陥除去活動は 規模の大きなプロジェクトほど効果が期待できます 1 K ステッフ 当たりの相対負荷 3 5 3 0 2 5 2 0 1 5 個人差欠陥除去活動最小労力 1 0 1 2 4 8 1 6 3 2 6 4 1 2 8 2 5 6 5 1 2 1 0 2 4 2 0 4 8 開発 K ステップ 37 2007/08/15

3. 弊社の取り組み 人材については必要な 3 つのスキル領域 ( 経営 ビジネス IT ) を定義しています 経営に関する知識 スキル ビジネススキル 100 事業活動の概要 101 リーダーシップ 102 顧客 市場の理解と対応 103 戦略の策定と展開 104 人財開発と学習環境 105 プロセスマネージメント 106 情報の共有化と活用 107 事業活動の成果 108 顧客満足 経営に関する知識 スキル ミッション達成 IT 経営 ビジネス ビジネススキル 300 コンサルティングスキル 301 ドキュメンテーション能力 ( 静的なもの ) 302 コミュニケーション能力 ( 動的なもの ) 303 問題解決能力 304 プロジェクトマネジメント能力 305 英語 306 ヒューマンスキル ( 人間力 ) 307 投資価値定量化スキル IT に関する知識 スキル IT に関する知識 スキル : : 107 事業活動の成果事業計画の予算管理ができる投資対効果の把握ができる財務管理がわかる有形資産の管理ができる 108 顧客満足顧客満足度 不満足度の判断ができる 200 最新 IT の技術動向, 技術予測, 評価技術 201 自社の IT 基盤の理解 203 システム構築技術 204 プロジェクト管理技術, 技法, 知識 205 情報システム構築提案 評価技術 206 ハードウェア, ソフトウェア 通信ネットワーク関連技術 207 データベース関連技術 応用技術 208 クライアントサーバ技術 209 個別アプリケーション技術 210 ネットワーク技術 応用技術 211 システム運用管理 構成管理知識 212 インターネット関連技術 213 ドキュメントソリューション技術 38 2007/08/15

3. 弊社の取り組み プロジェクトの上流フェーズでの品質の作りこみも大きな効果を発揮します コスト 大規模開発での手戻りコストの実績 局 面 内 で の 欠 陥 除 去 コ ス ト 前工程以前の欠陥除去コスト 本来の理想的開発コスト 要件定義外部設計内部設計開発実施 ( 統合テスト a ) 統合テスト b システムテスト 局 面 39 2007/08/15

3. 弊社の取り組み 配布対象外 プロジェクトチームを支える CRM プロセスも品質管理の重要なポイントです 弊社の CRM プロセス (1/2) オポチュニティ マネジメント ソリューション デザインー ソリューション デリバリー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 オホ チュニティの連絡 オホ チュニティ内容の確認 オホ チュニティの検証 オホ チュニティの評価 ソリューション デザイン 営業活動の終了 プロジェクトの開始 - プロジェクトの遂行 会議 レビューの仕組み S J-SOX Control Point QAレビューポイント プロジェクトのクローズ 1.1 お客様のビジネスと契約情報の識別 1.2 オポチュニティ識別者 (OI) のアサイン 1.3 オポチュニティの通知 / OM システムの更新 2.1 お客様のビジネス ニーズの理解 2.2 お客様のスポンサーの確認 2.3 オポチュニティの識別 3.1 オポチュニティの確認 3.2 お客様要望事項の討議 / 識別 3.3 オポチュニティの検証 / OM システムの更新 4.1 カスタマー レコードの確認 4.2 オポチュニティ アセスメントの実施と BTT の決定 4.3 リスク アセスメントの実施 4.4 オポチュニティの評価 S DB1 B2B B&P 40 2007/08/15

3. 弊社の取り組み プロジェクトのトラブルの原因の 3 割は企画 計画段階にあると言われており プロジェクト開始までにそれらの要因を潰す必要があると考えます IT プロジェクトの危機要因 ( 分析の一例 ) 企画 計画 出展 : クロスリンク コンサルティング 失敗を回避するプロジェクトマネジメントの勘所 要件定義 プロジェクト体制 34% 32% 34% 戦略的意図 無謀な市場参入 売上げ至上主義 PM 選定の誤り等 要件設定能力不足 要件構築力不足 マネジャーのマネジメント能力不足 組織の PM サポート不足 上流の品質管理の重要性 早くコーディングに着手しても早く完成しない~むしろ遅れる大規模システムの欠陥の45%~80% は設計までの問題に起因する早期の欠陥除去はスケジュール遵守に不可欠であるテストによる欠陥除去は必須だが, プロジェクトの全体から見れば有効ではない 出展 :Capers Jones 41 2007/08/15

3. 弊社の取り組み 3 つめのポイントとして QA を中心としたプロジェクトの品質管理活動があります Quality Assurance (QA) とは お客さまのご要望を満たす高品質かつ一定の利益の確保ができるソリューション提供を確実にするための独立したレビュー活動である QA レビューによって 弊社が提供するサービスの品質を組織的かつ継続的に確保 向上することによりお客様の経営に対する適切な貢献を果たし 結果としてお客様と弊社の双方の利益を確保する QA レビューは 提案書の作成時からサービス実施期間にわたり 第三者 ( 社長直属組織 ) であるサービス品質部門の専任 QAer によって実施される 42 2007/08/15

3. 弊社の取り組み QA は トラブル予防 発生トラブル対応 スキル向上の 3 つの目的を持っています 予防 トラブルプロジェクト QA と PM のスキルの向上 全ての契約の提案の品質を向上する - 適切なリスクレベルの決定 - IBMのサービス実現可能性の検証 - リスク抑制のアクション及びプラン策定のために提案書作成責任者を支援 プロジェクトの品質を向上する プロダクト品質 プロセス品質の両方 - 問題の早期発見 - 問題収束アクションを作るプロジェクト マネジャーへの支援 トラブルプロジェクトの数の減少 - 実行可能な改善策を策定する PM への適切な提言と支援 - 改善活動のフォローアップ ビジネスへの影響の検証と報告 根本原因の分析と問題収束アクション作成の支援 お客様満足度の向上 QA 教育と研修の実施 QA 活動を通しプロジェクトチームへプロジェクトマネジメントに必要とされる能力の向上を支援 43 2007/08/15

3. 弊社の取り組み QA 部門は プロセスとプロダクトの両面から品質を検証しています プロダクトの品質 * 設計品質 プログラム品質と分類されることもある 正しいものを作っているか 作成物をチェック 開発局面毎の作成物の中身 - 文法上のエラー - 局面に応じた精度 - 目標品質の実現性 - 全体の整合性 妥当性 契約書と提案書 成果物等の整合性 プロセスの品質 正しく作っているか 品質を作りこむ過程をチェック 開発局面や開発メソッドの妥当性 契約や計画の妥当性 プロジェクトマネジメントの方法 チーム内レビューの方法 44 2007/08/15

3. 弊社の取り組み QA レビューを補足する具体的検証作業として QI を実施しています When? プロジェクト上流フェーズにて ( 概念 / 基本設計 ) What? 中間 最終成果物の品質を QI とは何か Why? Who? レビュー専門の第三者組織が How? 目視で プロセスに従って 一定評価基準にて プロジェクト リスク最小化と上流成果物品質の向上 欠陥検出 品質向上 / 欠陥予防 リスク最小化 45 2007/08/15

3. 弊社の取り組み 最新のスキルと現場感覚を持った QAer を確保するために 現場との人材交流を進めています サービス品質の位置づけと人材調達 社長 サービス品質担当役員 サービス品質所属部員の 3 分の一が 過去一年で現場と入れ替わっています 品質技術 SI サービス担当 QAer SI サービス提供部門 SI プロジェクト 担当者の頻繁な異動 46 2007/08/15

3. 弊社の取り組み プロジェクトがレビューの価値をどのように捕らえるかによって 効果も変わるでしょう QAに付加価値を求めるのか 自己点検の機会と見るのか WWのルールとして強制されるのか 自発的なチェックポイントと見るのか QA バイオレーション を避けるのか 積極的な点検に活用するのか 考え方の違いはプロジェクトの 結果にも影響している 47 2007/08/15

3. 弊社の取り組み これらの取り組みの効果を測るため プロジェクト毎 お客様毎に満足度を伺っています 調査項目 Q1 総合満足度 Q3_19 適切なソリューション設計 Q3_1 目的 要望に対する傾聴 Q3_20 コンサルティング方法論 Q3_2 目的 要望に対する理解 Q3_21 メンバーの専門性の保有 Q3_3 目的 要望に対する対応 Q3_22 プロフェッショナルとしての資質 Q3_4 技術的支援の満足度 Q3_23 IBMパートナー / 上位管理者の対応 Q3_5 技術的支援対応の満足度 Q3_24 お客様とのチームワーク Q3_6 業界に対する知識保有 Q3_25 プロジェクトマネージャーへの総合満足度 Q3_7 ビジネスに対する提案 革新 Q3_26 IBMパートナー / 上位管理者の貢献度 Q3_8 合意内容の契約書への反映 Q3_27 全体を通した明快なコミュニケーション Q3_9 価格設定他社との比較 Q3_28 協業のし易さ Q3_10 プロジェクト全体の満足度 Q3_29 要望に対する達成 Q3_11 効果的なコミュニケーション Q3_30 投資に見合った価値 Q3_12 完了時の成果物の納品 Q8-Q10 リースの利用 Q3_13 プロジェクト期間 LM1-2 再販 他社への推奨 Q3_14 効果的な管理運営 Q16 お客様の所属とITへの責任の有無 Q3_15 メンバーの知識 ノウハウの提供 Q17 IT 関連,Consultingを選択する際の役割 Q3_16 プロジェクトの品質 Q18 お客様の職位 Q3_17 IT 技術を業務に結びつける能力 Q19 お客様の従業員数 Q3_18 結果に対する説明責任 Q21 アンケート以外でのご意見 ご要望 48 2007/08/15

3. 弊社の取り組み IBM の ADE モデルによれば プロジェクト遂行には 6 つの要素があります ADE モデル : プロジェクト遂行に必要な 6 つの要素 組織の目標 計画の明確性 取組み姿勢 コミュニケーション 動機付け 企業文化等 カルチャー 開発 保守の手順 技法 標準化 管理方法等 品質 生産性 見積り コスト スケジュール 満足度 業績評価 管理指標等 評価 組織 スキル 方法論 技術 開発支援ツール 管理ツール 開発保守環境 ハードウェア ソフトウェア ネットワーク等 組織 人の役割 責任 体制 人材配置等 49 2007/08/15 開発方法論や IT 技術等の教育 訓練 管理者教育等 ADE: Application Development Effectiveness

3. 弊社の取り組み プロジェクトの遂行能力は桶の水量にたとえることができ 6 つの要素のバランスが重要です 対応策 : 評価指標の導入と評価 対応策 : 採用 研修 ナレッジの共有など 対応策 : 体制と責務の明確化 50 2007/08/15

3. 弊社の取り組み 配布対象外 これらの活動の結果 長期的にはトラブルプロジェクトが大きく減少しています トラブル減少のトレンド 51 2007/08/15

ありがとうございました 52 2007/08/15