人間と生活環境 JH し lman and JivingEni, iromrnent ),2 ],3 /36,199 原著論文 人体表面の温度点分布 ( 第 1 報 ) 冷点分布密度の部位差 李旭子, 田村照子文化女子大学家政学部 Tllermal Spot oyer Human Body Surface (Par 吐 1 ) Regi Dnal Differencein Cold Sp D{1)istribution Uk jalee and Teruko TAMURA F α! 吻 qf Home h cc 脚 mic,bunlcaw θ 耀 η M 珈て丿 廠り Abstract: In order tq clarify the fact ぐ )rs contributing to the regional differenceill :old sensitivity,cold spot distributionover the human body was investigatedby a mapping method in a chmatic chamber (2 ± 0 )Sammi temperature apparatus,the tip of which was contrqlled at a temperature of 10± 0 was used forthe stimulator The subjects were g femelestudents and the measurements were conducted on the 2 body regions The results showed that cold sp ぐ )ts were distributedin the 23 per cm2 range, 广 the higheston the face and the loweston the leg The correlation coefficients between cold sensitivity and cold spot distribution were highlysignifice 取 nt ( = r 0 7 0 > exclud 玉 ng tlle palln and sde The percent of coincidence among two maps obtained on the sallle area alld illthe same subject in a l hour interval showed that the mapping method was reliable forevaluating cold spot distribution Key words : cold spots, rnapping, regiqnal differences, cold sensitivi y (1{eceiwed! eptember 30,1994 /ICCt Ptedr 正 ) 齠 め ザ 21,1994 丿 要旨 : 人体表面における冷感覚の部位差に寄与する要因を明らかにする日的で, マッピング法を用いて, 人体表一面の冷点分布を測定した 被験者は 9 名, 人 気候室は 2 ± 0 に調整された 冷刺激負荷には, サンミ温 覚計の先端部分を直径 0 J rrlm, 先立崙温度 IO ± 0 に改良したものが用いられた 結果, 冷点密度は 23/cm2 に分布し, 部位による差異が認められた 平均として顔面が最も高く, 下腿では最も低い値が得られた 冷点密度と冷感受性の相関は, 手掌と足底を除くと r = 07 0, と有意で, 手掌足底以外の皮膚面では冷点 密度は, 冷感受性の大きな要因と考えられる 同一部位, 同一被験者について 1 時間問隔で測定した 2 つの マップの一致度により, 冷点分布密度を評価する予法としてのマッピング法が信頼しうるものであることが明ら かとなった キーワード : 冷点, マッピング, 部位差, 冷感受性 1 緒言 着衣や, 暖 冷房などは人体の周辺に不均一 な温熱環 境を形成する したがっ て人体各部に負荷される温熱刺 激がヒトの局所的および全身的温冷感や快適感にいかな る影響を及ぼすか, すなわち, 人体各部の部位別温熱特 性を知ることは, 環境設計上, 重要なことと考えられる 皮膚からの温度入力は, 温度受容器を介して行われ, そ の情報は, 自律性体温調節の駆動要因となり, 同時に, ヒトの温冷感 快適感認知の情報源ともなる 本研究は, 皮膚の温度受容器密度が人体の部位別温熱特性を規定する車要な因子であると考え, これを無侵襲に予測する手法としての温度点を実測し, その部位差について考察しようとするものである 第 1 報では, 冷点分布密度の部位差について, 第 2 報では温点分布密度の部位差につい て検刮を加えたい 冷点密度については, まずその測定法についての一連の研究が行われている Dallenbach (1927),Heiser と McNair (1934 ), Jenkins ( 1941 ), Melzack et al (1962) 等は, 冷点測定における環境温度, 刺激温度, Address:Teruko TAMURA 11Japan,Facultyof Home Economics,Bunka Women s University,3 22 1 Yoy } gi,shibuya ku,tqkyq 30
李旭子 山村照子!31 } 刺激圧, 負荷時間などを検討した その結果, 現在広く採用されている 2 crrl 2cm の枠内に 2mm ピッチの EXTERNM 10m 皿 格子を入れ, この格子に微少な冷刺激を負荷し, 冷感覚の有無をマッピングする方法が確立された B ^π C 眤 CK 一 0 OFF, 転籌 方, 体の各部位における冷点の分布密度についてみ ると,Strughold と Porz (1931 ) は, 例ではあるが, 体のほぼ全面積について冷点のマッピングを行った 分布の結果を体の区分毎にみると, 顔面部, 体幹部, 上肢部, 下肢 部の順に, 冷点密度の高い結果が得られている これに対し村田と入来 (1974) は, 身体 部位について, INSIDE STR 矼 URE 1 丶画 3 1 男女被験者を含む青年群 (26 ± 才,20 人 ) と老人群 (73 ± 4 才,30 人 ) の冷点密度を比較検討し, 体幹部が四肢末稍部より密度が大きく, 老人群は占年群に比べて明らかにその数が減少すること, とくに, ド腿部, 足甲部での減少が大きいことを明らかにした 李英淑ら 19) は,14 部位について, 若い女性 30 人 ( 韓国人 ) protection cap hattery check 且 amp graduation of temperaturc resistor i 叩 roved to 叩 erature sti 田 utator (tip:0mmip) rotary siich thc 皿 0 dule hattery bodv Fig1 Salllnli telnperatul e appar (made by S U Co 1 d ) 齪 us を対象とし冷点密度の測定を行っ た 測定ノ 法は村田ら の場合と同一であるが, 冷点密度は前述の : つ の研究に 比べて全体として大きい また顔面部が体幹部より密度 の小さいことが若干 異なる 以上いくつかの研究がみられるが, いずれも 例報告 であっ たり部位数に制眼があり, 全身の部位差を概観し ようとする本研究の目的には合わない また, 冷刺激負 荷のロートの結露, 大きさなども気になるところである これ らを踏まえて, 本研究では独自の冷刺激付加装置に より, 全身 2 部位の冷点密度を実測し, また, その分布形状の再現性等についても検討を加えた 2 実験条件および方法 21 冷点密度の測定 冷刺激負荷には, 市販 Sammi 温覚計の先端部 円形 mm φ) に 0 mm φ の銀先端を取り付け改良したもの を用いた 本温覚計は Fig,1 に示す通り, サーモ モジュールにより 先端部を約 10 の恒温に維持すべく設計されたものである v 測定マップの大きさは 2cm 2 cm の正方形とし, これに 2mm ピッチの格子をいれたゴム印を使って皮膚上に捺印した 1 マップ の各則定点は,100 点となる 温覚計の先端部を 1 点ずつ軽く皮膚而に接触させ, そのときの冷覚の有無を自己申告させた スケールは,0 冷覚なし, 1 = 冷覚あり, 2 = 強い冷覚ありの 3 段階であるが,1 と 2 の反応のあった点を冷点として評価した マップ内の測定順位はランダムとし, 刺激温度は 10 ± 0, 接触時間は 2 秒, 次点との問には後感覚を考慮して, 秒の間隔を置いた 秒の時間設定に当たっては, 接触皮膚面の温度回復を確認するため, サーモグラフィーによる直接撮影を試みたが, 刺激面積が 0 mm φと小さいため, 撮影不可能であった そこで, 被 Rg 2 Experimelltal scelle 験者による主観と刺激面積のより大きい 20mm φ) 冷 刺激の接触後皮膚温の変化を参考として決めた Fig 2 に, マッピング風景を示す マソピングの妥当性については, 同 被験者の同一部 位における反復測定による再現性を調べた すなわち, 身体の 4 部位 前額, 胸, 洫腕, 大脚を対象として, 1 時間間隔で 2 回マッピングを行い, その 1 回目と 2 回 目のマップ間の致度を検討した 22 測定部位 測定部位は Fig3 に示すとおり, 前而では, 顔面部 額, 頬, 顎 ), 頸部 頸, 肩 ), 体幹部 ( 胸, 乳房下部, ド腹 ), 上肢部 上腕, 前腕, 手掌 ), 下肢部 ( 大腿, 下 31
32 人体表面の 温度点分布 Il 第 1 柵 ; 冷点分布絶度の部位差 みると, 被験者 D,G,1 はやせ型,C はやややせ型で frontlfoie あり, 他の A,B,E,F,H は標準体型といえる 着衣はブラジーとャシーツョのみとし, 人工気候室に入室し 30 分問椅座安静後, 測走を行った 測定時は, サランベットを用い, 前面の測定には仰臥位を, 後面の測定には伏臥位をとらせた 1 部位の測定における冷刺激順序はランダムとした結 :1ia4Nek /1mi2Ctieek3C 巳 st7up a じ do 匡 e11atdore 日 Should 皀 r6ch 9Uppc a OFOimarzdFa1 面 12Tl11 : h13l 明 14FQO ヒ 2 彦 FLg3 Sitesforc ldspot measurement back11 巳 ck16 Sha1LderIT Upper back1 陥 cktg Loin2011pcera 圏 a21forearm22hand23thlgh24leg2sole 果, 100 点のマッピングの所要時闘は約 20 分であった 1 回の実験で最大 6 7 部位を測定し, 全身 2 部位の マッピングには被験者 1 入当たり 4 回の実験を要した 皮膚温は 1 マップ作成前後にサーモグラフィ国本電子 製,JIG3300) により撮影した, 測定時期は, 冬期に 名 (A,B,C,D,E ), 夏期に 4 名 (F,G,H,1) を対象として実施し, 渕定時刻は, 被 験者のサーカディアンリズムを考慮し, なるべく同 時 間帯になるよう配慮した 腿, 足背 ) の合計 14 点, 後而では頸部 項, 肩 ), 体幹 部 ( 肩甲, 胴, 腰 ), 上肢部 上腕, 前腕, 手背 ), ド肢 部 ( 大腿, 卜腿, 足底 ) の合計 Il 点, 計全身 2 点であ る 測定点は人体の左半身を対象とし, 各点は局所部位 のほぼ中央領域, 体幹部については, 乳頭線 匠または肩 甲線 E とした 姿勢は, 原則的に前面は仰臥位で, 後而 は伏臥位であるが, 頬は頬面が水平になるよう配慮した 23 実験条件および測定手川頁 実験は, 温度 2 ± O, 湿度 0 ± 10%, 気流 02m /sec 以ドに llil 亅徒 1 された人 E 気候室で行った u 被験 者は年齢 24 ± 4 才の健康な成人女子 9 名で, その身体 特性は Table 1 のとおりである, 平均身長は 1616 + 4,7 cm, 休重は 2 2 kg である ローレル指数を 3 冷点密度の部位差 3 結果および考察 実験が, 夏期と冬期にわたっ て行われたため, まず冷 点密度の結果に季節差があるかないかについての検討を 行っ た 冬期, 夏期それぞれの冷点密度の部位別平均値 を Fig4 に示す これによれば, 冷点分布の傾向は双 方近似し回帰分析の結果, 両者間には有意な季節差はみ られなかった そこで, 以下の分析ではこれらのデータ をプールして行うこととした Tuble 2 は, 被験者全員の部位別冷点密度をまとめた ゐ 冊目 O 巴 9 聡 日 Svbjects ABCDEFGHI 姻 刪 酷 酷 駅 齣 K 胴 甑 Table l PhysLcalcharac τeris i s of 3ubje ts Age Heighl Wc ight BSA R hrcr v 肛一 * } し 1 cm ) kg (nil ) ir1 1ex * 22222322216Ol64 7311 ol2 2 062 41,016 3 Ol60 4461 o 664 弓ー ]64 01621642 } 31,0161 2 040, 上 11 69 1341 31 61 721 601 71 39 137142111 臼 2 田 }101461091196 ot a 巳 コ 臼 1 2 3 嬬 6 7 9 9 te 11 12 13 14 measuri site 圀副 nt 囲 SUmor 文 2, i, 161,6 2 S D 106 470 2 ] D 621 120 1 6 1 t6 1T l tg 四 21 鯰 23 24 ゐ ffmesuring site * Body surface area = 11 eight 4L fi heightu 7 コ 7246 半 * Rohrer iu lex 二 ( weightfheight3 ) 1 戸 Z NFnto 圀 u )mot Fig4 Seasonaldifferences incold spot distribution 32
李旭子 田村照了 3 Table 2C ld P t di t ihuti h sp t per cm り Measuremcnt ABCD E F GHI Pt{elln s1) nrf 1Forehead 2Cheek3,Chin4 Neck ShOu 且 der 6Chest7 疋 JP 肢 bd nlen Abdonlen 9UPper ann 10Forearln 冂 Palm12 厂 rhigh l3,leg14 F )ot 2120 02U 31 314 314 319 312,C 9313 3L2 3 3, 21 21,3 21, 170 13 19 22 3 ]70 20 19 190 21 1, 170 203 12 113 22 3 220 20 0 203 160 レ11 22 O l20 16O l7 O l3,4 L2,3 19 11 3 7 6 3 10, 上 6, 1, 10 6 63 4 63 22 16 3 17 21 1 1 0 24 14, E ri3 12,0 14 3 11 10 12 O l6,0 20 0 22,0 143 17 3 113 19 24 20 14 1 ), L2 ],3 [ 6 t 17 19 1 0 6, 16O l6 0 1 t0 2 ユ 1 4 6, 22 23 21 24 23 02 122 Ol6,20 321 刊 31 9 9 24 3 2]] 2 34 2 0 20 2 2,60 23 19 9 3 1 3 17 弖 414 20 0 /6 9 3, 工 9 1ア 4 0 22 19,4 3,24 21 10 4 03 12 14 ) 3 26 L 169 3ll ] : ]]2 4 9 17 140 31 1 O 弖 6 3 ユ3 160 0 326 彫ー曲 1NeckI6 Sl/ou [der l7 UPper back ]Backl9 Loin20 UPper Elrrt1 21Forearm 22 Hand 23 厂 rlligh 24,Lcg2 Sole 16ol4 20 122 OL9,0 ]21, 12, 17,L6 20 17,20 1611 O 上 2,39 4 36 O 1,32 12 21 22 9 013 Ol6 4 0 1,3 2221221 12i326724 30303003 1 12 17 24 322,39 上 11 3 16 32 04 3 23,19 23,12 022 1] 313 レ 11 L322 ]21 3 ]914 9 0 2 02 023 22 024 23 313, 1 L9,322 22 322 321 } 130 19 19, 120 619 122 416 3T2 3 213 02,14 IGL9 223 04 2 4 094 4 ものである これをみると, 冷点分布は部位および被験 ゐ Front 者によって多様であることが示されている,Fig に, その平均値と標準偏差を示す 田七り 戯 θ o 幽の 1 旧 平均値をもとに冷点密度の高い順位をみると, 前面の場合, 前額, 頬, 顎, 乳房ド部, 卜腹, 胸, 頸, 前腕, 肩, ヒ腕, 大腿, 手掌, 足背, ド腿の願になる 後面の 場合は, 腰, 肩甲, 項, 肩, 胴, 手背, 上腕, 大腿, 前 ヨ oo 臼 12346791911121314 皿 easur 訌 ng site 圀 hehn 土 sd 腕, 足底, 下腿の順である これを体節毎にみると, 冷点密度は, 前面では顔面が平均 2 } 個 /cm2 ともっとも高 く つぎに体幹部平均は 1 個 /cm2 頸部平均 17 個 /cmz, 上肢部平均 14 個 /cmz の順になり, 下肢部平均 セ o α 躅 田 1 Beck は 9 個ん m2 ともっとも低い 後面においては, 体幹部 平均 21 個 /cm2, 頸部平均 20 個 /cm, E 肢部平均 1 個 /cm2, 下肢部平均 10 個 /CmZ の順となる すなわち 前後面ともに顔面部, 体幹部, 頸部,E 肢部, 下肢部の 順になり, 各部位における前後の冷点密度の部位差は近 ρ o 畝の 門 19 o り 似している 各部位冷点密度の標準偏差は, 顔面がもっ とも小さく体幹部が四肢部より小さい すなわち, 冷点 e 1 16 17 1 19 M 21 腔 23 24 お neasuri site 圀 trben と SD Fig, Mean and standard deviation Ω f co [d spot 密度が高いほど個人差が小さい傾向が認められた 皮膚面の冷点分布に関する従来の研究には, Strughold と Porz (1931) の結果がある, ここでは 1 例 についてのみであるが, 皮膚面における全面積の冷点分 布密度が調べられている 一 方, 本研究は 4cm2 の局所 33
3 1 ) 人体表而の温度点分布 第 1 幸艮 ) 冷点分布密度の部位差 部位に対する結果であるので, 同部位といっても全体と 部分との関係になる 彼等のデータと直接比較できる測 定部位および位置などの制限はあるが, 対応する 13 ヶ 所の部位すなわち, 前額, 前額を除く顔面, 胸部, 腹部, 背中, 上腕前後両, 前腕前後而, 手掌, 手背, 大腿前後 面, 下腿前後面, 足背, 足底について, 両データ間の冷 点密度の相関を調べ た Fig6 1 に, その結果を示す 横軸が本研究による冷点密度であ り, 縦軸は Strughold らの結果である 図に不されているように, 絶対値は Strughold より本結果の方が大きい しかし腹 部, 前額およびド腿, 手掌など部位によって若 のずれ はみられるが, 両者問には, 相関係数 r = 074 (P く 0Ol) が得られた また, 村田と人来 (1974) は, 男女 で構成される青年と老人に対する冷点密度を比較してい る コントロールグループである同年齢の占年 20 名の データと今回の結果との比較を試みた 比較部位は 部 位 ( 削額, 胸, 腹, 背中, 前腕, 手背, ド腿, 足底 ) の みであるが, 測定方法は今回の方法と同様である Fig 6 2 に, その結果を示す 冷点密度は顔面および体幹部 が高く,L 肢部, 下肢部の順となり, 両者間の相関係数 は r = 01 p < 0,0) と高い また, 絶対値について 12N 〇〇目 コ o 岳記あ 6 言一 4 民 コ 09e 2 O 10 20 00 且 d SPO 重 by the present 血 dy じ Dkd s し pur 二岡 z Fig6 1 CorreLatiu between cold spots distrlb しltL m est i mated by the present stu 1y とmd th se by Stnlghold and Porz 2 6 萋島 η 諺 2 2 塁葺 Σ 言琶の コ 3 4 10 0 Fig6 2 eg 占 f し abdo ロen forehead 欝, 盻 閣畷諸 10 20 cold SPDt by 山 e PI 醐 t s dy cold spot per c ゴ Y=03X ウ 109 r = 011p く 0 06 } CorreLanon betweell cold spot s listributiom csti mated by the prescnt study and those by 八 1urat and Iriki 30 も, 下肢部を除いて冷点の数がよく 致している 下腿 と足底の密度差は, 測定位置の相違によるものかもしれ ない 32 冷点密度測定結果の再現性 冷点のマッピング結果をみると, その分布形態が部位 および個人によってかなり異なる そこで冷点密度の測 定の信頼 生, 妥当性を検討するために, 同被験者の同一部位を 1 時間間隔で 2 回反復測定した際のマッピング 結果を検討した J また, マッピングの広がりをみるため に 1 同目は 2cm 2cm の範 1 井 1を対象とし,2 回目は同 部位を含む 4cm 4cm の範囲を対象としたマッピン グを試みた Fig7 にその例を示す 同一部位の 1 回目 のマップと 2 回目のマップを比較した結果, 同一スポッ トの 2 回の判定が一致したスポットの比率 以下, 一致 度とする ) を求めると, 頬の場合平均 2 %, 胸 0 %, 下腹 6 %, L 腕 76 %, 前腕 73 %, 手掌 76 %, 大腿 3 %, 肩後而 3 % となり, 全休として 73 一 6 % の高い 致度が得られた また一 致度は 100% ではなくとも, 全体的な冷点分布の形態は,Fig,7 が示すとお り再現性 が高く, この手法である程度の冷受容器の密度予測が可 能ではないかと考えられる このようなマッピングの結 S 1 し es3 forehead chest 1 z 巳 / 氤丶ノ forearm th19h 賦 プ ヰ cmt 璽 L9/c 16C 顯 10/c ゴ 1 19 2 L9 ロ 難 16 驪 12 7 % 調 胃一 132216 Fig7 Maps of co 且 d spo 吐 obtajned at tlle di ferentsize ( 4 cm nd I6crnz on forehead,chest,forearm,thigh >for the same subject C 9 34
李旭子 田村照子 3 果は, 感覚と受容器の関係は 1 対 1 ではなく, いくつかの受容器が集束して 1 本の知覚神経に伝達するという Jenkins(1941a) の見解, 温度点は離散型の 点としてよ り広い面の形として分布するという Melzack (1962) の見解を支持するものであり, マップの位置が固定されれば結果はかなり高い再現性を示し, その部位における神 比較法 ( 凵本繊維製品消費科学会編 190)) によって 求めた冷感受性の距離尺度構成結果を示している 全体としては, 前額は感受性がもっとも高い部位で, 冷点密度も高く, 下腿はもっとも感受性の低い部位で, 冷点密度も低い 前面では r = 061 と危険率 % で有 意な相関が認められたが, 後面では r = O4 と相関が低 経終末の分布をうかがうことができる マップの位置の い このうち, 全体の中で, 冷感受性が著しく高い手掌 ずれは冷点密度の差として, 個体差あるい は測定誤差の と足底は, 両部位とも全体の分布から離れた位置にある 原因を形成するが, 冷点密度は比較的高いため, 現行の 2cm 2cm のマッピングで, より広い面の平均値を予測しても, 大きな差がないものと考えられる ただし, 下腿のように密度の低い部位では, 位置のずれが個体差 や誤差の原因となるかもしれない 33 冷点と冷感受性の関係 ヒ トは外部温度刺激を, 皮膚における温度受容器を通 して感受する 般的に, 温度感受性は温冷点の分布密度に依存するといわれている そこで, 著者らが別に測走した冷感受性の部位差 と田村 :199 掲載予定 ) が今回の冷点の結果とどのよ うな関係を示すかについて検討した Fig は, 冷感受性と冷点密度との相関を求めたものである 横軸に冷点密度を, 縦軸にはサーストンの一 対 ( 李 そこでこの 2 部位を除いて相関係数を求めると, 両者間には r ; 07 0 の危険率 1 % 以下の有意な相関がみられ 手掌 足底を除く皮膚画では冷点の分布密度の高い部位ほど冷感受性が高い結果となった 冷点密度は, 人体各部の冷感受性に寄与する重要な要因であることが明らかである 例外であった手掌 足底は, 無毛部で表皮が厚く指掌紋がある, 汗腺機能が精神性発汗のみに関与するなどほかの皮膚面とは形態 機能ともに異なり, 冷感受性の面においてもこのような特異な結果を示したと考えられる これらの部位については, 冷点分布密度の評価方法等, さらに検討の必要がある 4 要約 入体表面の冷点分布密度をマッピング手法によって実測し, その身体部位による差異を検討した 測定部位は 2 点, 被験者は成人女子 9 名である 1 26421642 fron 七 主たる結果は以ドの通りである 1 ) 人体各部位に対するマッピングの結果, 冷点は個体および剖 1 位によって変異を示すが, 全体的に 23 個 か嘱 三 ご圏霧 三 壼写ゴ窃 2 コ go 1L L a 巳 6 日 巳 Z 2 6 4 2 臼 6 巳 4 臼 2 B, ld, p t p, cm2 back cold SPQt per cm2 r = O 4 = 61 f ) Fig Relationshipbetween cold spot and cold scnsitivi ties /cm2 の密度で分布している 身体中, 腰と前額がもっ とも冷点密度が高く, 個体差も小さい 反対に, 冷点密 度が低い部位は下腿部であった 舸後而まとめてみると, 顔面部, 体幹部, 頸部, 上肢部, 1 肢部の順に密度が高 く, 冷点密度の部位差が認められた 2 > 同一 部位を対象とした 2 回繰り返しマッピングの測 定結果の再現性は極めて良好で, 胸の場合は 0 %, 上 腕では 76 % の高い一致度が得られた また, マッピン グ而積 2cm X 2 crn と 4cm 4cm の比較において, 冷点は散在する点としてではなくあるまとまりのあるパ ターンとして存在することが観察されたが, 冷点密度の 測定面積としては現状の 2cm 2cm で妥当であると 考えられた 3 ) 冷点密度と冷感受性との間には, 千掌および足底を 除くと, 全体として r = 0 7 O の危険率 1 % 以下の 有意な相関が得られた すなわち, 冷点密度は冷感受性 の部位差の形成要因であることが確認できた 手掌およ び足底については, さらに今後の検討の必要があると考 えられる 3
(36 ) 人体表両の温度点分布 ( 第 1 報 ) 冷点分布密穫の部位差 引用文献 Dallenbach,K M : The temperature spots and endorgans,j Neurophysiol,39,402f427,1927 Heiser,Fand McNair W K Stimuius press し匸 rc and thermai sellsation, Arner J PsychQl, 46,0/9,1934 Jenkins, W L ; Studiesin thermal sensltivlty : 17The topo graphical and fullctional re ]ations of warm and cold,j ExptlPsychol,29,11 / 16,1941 李英淑, 田村照子, 真家和生, 近藤四郎 : 局所加温の効果につ いて, 第 9 圓人間一生活環境系シンポジウム報告耆, 131/ 工 319 Melzack,R,Rose G and McglntyD : Skin sensitivity to ther Inal stimuli Exp Neumlogy,6,300f314,1962 村田成 f, 入來正躬 : 老人の体温一皮膚感覚点分布頻度に及ぼす加齢の影響,H 本老年医学会雑誌,ll, 17/163,1974 日本繊維製凸,L 消費科学会編 : 消費科学のためのデータ処理法, 日本繊維製晶消費科学会,190 SLrugh ( ) ld & Porz : ZHiol,91,63f71,1931 岩村吉晃 : 体性感覚野の階層構造, 科学 T3,214f220 193> より, 36