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ヒト慢性根尖性歯周炎のbasic fibroblast growth factor とそのreceptor

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解禁日時 :2019 年 2 月 4 日 ( 月 ) 午後 7 時 ( 日本時間 ) プレス通知資料 ( 研究成果 ) 報道関係各位 2019 年 2 月 1 日 国立大学法人東京医科歯科大学 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 IL13Rα2 が血管新生を介して悪性黒色腫 ( メラノーマ ) を

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られる 糖尿病を合併した高血圧の治療の薬物治療の第一選択薬はアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬とアンジオテンシン II 受容体拮抗薬 (ARB) である このクラスの薬剤は単なる降圧効果のみならず 様々な臓器保護作用を有しているが ACE 阻害薬や ARB のプラセボ比較試験で糖尿病の新規


4氏 すずき 名鈴木理恵 り 学位の種類博士 ( 医学 ) 学位授与年月日平成 24 年 3 月 27 日学位授与の条件学位規則第 4 条第 1 項研究科専攻東北大学大学院医学系研究科 ( 博士課程 ) 医科学専攻 学位論文題目 esterase 染色および myxovirus A 免疫組織化学染色

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のと期待されます 本研究成果は 2011 年 4 月 5 日 ( 英国時間 ) に英国オンライン科学雑誌 Nature Communications で公開されます また 本研究成果は JST 戦略的創造研究推進事業チーム型研究 (CREST) の研究領域 アレルギー疾患 自己免疫疾患などの発症機構

上原記念生命科学財団研究報告集, 30 (2016)

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用法 用量 発作性夜間ヘモグロビン尿症における溶血抑制 mg mg mg mg kg 30kg 40kg 20kg 30kg 10kg 20kg 5kg 10kg 1900mg mg mg mg

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がん免疫療法モデルの概要 1. TGN1412 第 Ⅰ 相試験事件 2. がん免疫療法での動物モデルの有用性がんワクチン抗 CTLA-4 抗体抗 PD-1 抗体 2

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第6号-2/8)最前線(大矢)

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能性を示した < 方法 > M-CSF RANKL VEGF-C Ds-Red それぞれの全長 cdnaを レトロウイルスを用いてHeLa 細胞に遺伝子導入した これによりM-CSFとDs-Redを発現するHeLa 細胞 (HeLa-M) RANKLと Ds-Redを発現するHeLa 細胞 (HeL

ヒト胎盤における

報告にも示されている. 本研究では,S1P がもつ細胞遊走作用に着目し, ヒト T 細胞のモデルである Jurkat 細胞を用いて血小板由来 S1P の関与を明らかにすることを目的とした. 動脈硬化などの病態を想定し, 血小板と T リンパ球の細胞間クロストークにおける血小板由来 S1P の関与につ

図 B 細胞受容体を介した NF-κB 活性化モデル

八村敏志 TCR が発現しない. 抗原の経口投与 DO11.1 TCR トランスジェニックマウスに経口免疫寛容を誘導するために 粗精製 OVA を mg/ml の濃度で溶解した水溶液を作製し 7 日間自由摂取させた また Foxp3 の発現を検討する実験では RAG / OVA3 3 マウスおよび

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 花房俊昭 宮村昌利 副査副査 教授教授 朝 日 通 雄 勝 間 田 敬 弘 副査 教授 森田大 主論文題名 Effects of Acarbose on the Acceleration of Postprandial

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 大道正英 髙橋優子 副査副査 教授教授 岡 田 仁 克 辻 求 副査 教授 瀧内比呂也 主論文題名 Versican G1 and G3 domains are upregulated and latent trans

2.4 非臨床試験の概括評価エクリズマブ エクリズマブ ソリリス点滴静注 300mg 第 2 部 CTD の概要 2.4 非臨床試験の概括評価 アレクシオンファーマ合同会社

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るマウスを解析したところ XCR1 陽性樹状細胞欠失マウスと同様に 腸管 T 細胞の減少が認められました さらに XCL1 の発現が 脾臓やリンパ節の T 細胞に比較して 腸管組織の T 細胞において高いこと そして 腸管内で T 細胞と XCR1 陽性樹状細胞が密に相互作用していることも明らかにな

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卵管の自然免疫による感染防御機能 Toll 様受容体 (TLR) は微生物成分を認識して サイトカインを発現させて自然免疫応答を誘導し また適応免疫応答にも寄与すると考えられています ニワトリでは TLR-1(type1 と 2) -2(type1 と 2) -3~ の 10

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日本内科学会雑誌第98巻第12号

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糖鎖の新しい機能を発見:補体系をコントロールして健康な脳神経を維持する

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< 背景 > HMGB1 は 真核生物に存在する分子量 30 kda の非ヒストン DNA 結合タンパク質であり クロマチン構造変換因子として機能し 転写制御および DNA の修復に関与します 一方 HMGB1 は 組織の損傷や壊死によって細胞外へ分泌された場合 炎症性サイトカイン遺伝子の発現を増強

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ハイゼントラ20%皮下注1g/5mL・2g/10mL・4g/20mL

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第一章自然免疫活性化物質による T 細胞機能の修飾に関する検討自然免疫は 感染の初期段階において重要な防御機構である 自然免疫を担当する細胞は パターン認識受容体 (Pattern Recognition Receptors:PRRs) を介して PAMPs の特異的な構造を検知する 機能性食品は

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学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 山田淳 論文審査担当者 主査副査 大川淳野田政樹 上阪等 論文題目 Follistatin Alleviates Synovitis and Articular Cartilage Degeneration Induced by Carrageenan ( 論文

考えられている 一部の痒疹反応は, 長時間持続する蕁麻疹様の反応から始まり, 持続性の丘疹や結節を形成するに至る マウスでは IgE 存在下に抗原を投与すると, 即時型アレルギー反応, 遅発型アレルギー反応に引き続いて, 好塩基球依存性の第 3 相反応 (IgE-CAI: IgE-dependent

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審査結果 平成 26 年 2 月 7 日 [ 販売名 ] 1 ヘプタバックス-Ⅱ 2 ビームゲン 同注 0.25mL 同注 0.5mL [ 一般名 ] 組換え沈降 B 型肝炎ワクチン ( 酵母由来 ) [ 申請者名 ] 1 MSD 株式会社 2 一般財団法人化学及血清療法研究所 [ 申請年月日 ]

前立腺癌は男性特有の癌で 米国においては癌死亡者数の第 2 位 ( 約 20%) を占めてい ます 日本でも前立腺癌の罹患率 死亡者数は急激に上昇しており 現在は重篤な男性悪性腫瘍疾患の1つとなって図 1 います 図 1 初期段階の前立腺癌は男性ホルモン ( アンドロゲン ) に反応し増殖します そ

Microsoft PowerPoint - 資料3-8_(B理研・古関)拠点B理研古関120613

図アレルギーぜんそくの初期反応の分子メカニズム

審査結果 平成 23 年 4 月 11 日 [ 販 売 名 ] ミオ MIBG-I123 注射液 [ 一 般 名 ] 3-ヨードベンジルグアニジン ( 123 I) 注射液 [ 申請者名 ] 富士フイルム RI ファーマ株式会社 [ 申請年月日 ] 平成 22 年 11 月 11 日 [ 審査結果

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ランゲルハンス細胞の過去まず LC の過去についてお話しします LC は 1868 年に 当時ドイツのベルリン大学の医学生であった Paul Langerhans により発見されました しかしながら 当初は 細胞の形状から神経のように見えたため 神経細胞と勘違いされていました その後 約 100 年


平成24年7月x日


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未承認の医薬品又は適応の承認要望に関する意見募集について

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献血ベニロン Ⅰ 静注用 500 mg 献血ベニロン Ⅰ 静注用 1000 mg 献血ベニロン Ⅰ 静注用 2500 mg 献血ベニロン Ⅰ 静注用 5000 mg 医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請 2.6 非臨床試験の概要文及び概要表 2.6.1 緒言 KM バイオロジクス株式会社 1

2.6.1 緒言 2.6.1 緒言 GLOBULIN-S ( 成分名 : スルホ化人免疫グロブリン G 被験薬名:GGS; 以下 本剤 という ) は 人免疫グロブリンの鎖間ジスルフィド結合を選択的にスルホ化し 免疫グロブリン分子の Fc フラグメント活性を保持したまま補体の異常な活性化を抑制する完全分子型の静注用人免疫グロブリン製剤である 本剤は帝人ファーマ株式会社が創案し KMバイオロジクス株式会社 ( 一般財団法人化学及血清療法研究所 より承継) との共同開発により本邦で初めて製剤化された静注用免疫グロブリン (Intravenous Immunoglobulin: IVIg) である 現在 献血ベニロン R-Ⅰ として KMバイオロジクス株式会社が製造し 本邦で帝人ファーマ株式会社が販売している 本剤は 昭和 54 年 (1979 年 )5 月 22 日に 低又は無ガンマグロブリン血症 及び 重症感染症における抗生物質との併用 を適応として 2,500~5,000 mg の点滴静注又は直接静注にて製造承認を得た その後 特発性血小板減少性紫斑病 ( 他剤が無効で著明な出血傾向があり 外科的処置又は出産など一時的止血管理を必要とする場合 ) 川崎病の急性期( 重症であり 冠動脈障害の発生の危険がある場合 ) ギラン バレー症候群( 急性増悪期で歩行困難な重症例 ) 及び 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症における神経障害の改善 ( ステロイド剤が効果不十分な場合に限る ) を適応として それぞれ 200~400 mg/kg 体重 / 日 5 日間 200 mg/kg 体重 / 日 5 日間及び 2,000 mg/kg 体重 1 回 400 mg/kg 体重 / 日 5 日間の用法 用量にて効能 効果が追加された 視神経炎は 視神経の細胞が炎症により障害を受けておこる脱髄性の視機能障害である 原因不明の特発性視神経炎以外に 多発性硬化症 (Multiple Sclerosis: MS) 及び視神経脊髄炎 (Neuromyelitis Optica: NMO) 由来の視神経炎などが存在する 1) MS 患者に発症する視神経炎では 中枢神経の髄鞘蛋白質又はオリゴデンドロサイトを標的とした自己免疫応答が免疫病態の中心であると考えられている 2) 一方 NMO 患者に発症する視神経炎では アストロサイト上に発現しているアクアポリン 4(Aquaporin 4: AQP4) に対する自己抗体 ( 抗 AQP4 抗体 ) が補体や細胞を介してアストロサイトの障害とそれに引き続く神経の炎症及び脱髄を引き起こす 抗 AQP4 抗体陽性例は視力予後不良であり 抗 AQP4 抗体陽性視神経炎として定義されている 3) これまで 抗 AQP4 抗体陽性の NMO 患者血清を曝露したラットを用いて 視神経障害と関連する網膜神経節細胞 (Retina Ganglion cell: RGC) に対する GGS の効果を検討した NMO モデル 4) に関する公表論文が 1 報報告されている しかし 視神経の病理組織学的解析から GGS の有効性を検討した報告はない そこで今回 MS などの中枢神経系炎症性脱髄疾患の動物モデルとして知られ 視神経炎を発症する実験的自己免疫性脳脊髄炎 (Experimental Autoimmune Encephalomyelitis: EAE) モデル EAE を強化免疫した実験的自己免疫性視神経炎 (Experimental Autoimmune Optic Neuritis: EAON) モデルを用いて GGS の視神経炎抑制効果を病理組織学的に検討した なお 薬物動態試験及び毒性試験に関しては 用法 用量が既承認時の範囲内であることから 今回の新効能に関する追加試験の実施は必要ないと判断し 新たな試験は実施しなかった 2

2.6.1 緒言 本剤の予定する効能 効果及び用法 用量は以下の通りである 1. 効能 効果視神経炎の急性期 ( ステロイド剤が効果不十分な場合 ) 2. 用法 用量通常 1 日にスルホ化人免疫グロブリン G 400 mg(8 ml)/kg 体重を 5 日間点滴静注する 参考文献 1) 遠藤高生, 不二門尚, 森本壮, 三村治, 西田幸二. 抗アクアポリン 4 抗体陽性視神経炎の臨床調査. 日眼会誌.2014; 118: 751-758. [4.3-1] 2) 多発性硬化症 視神経脊髄炎診療ガイドライン 2017. 医学書院. 2017. [4.3-2] 3) 抗アクアポリン 4 抗体陽性視神経炎診療ガイドライン. 日眼会誌. 2014; 118: 446-460. [4.3-3] 4)Nobuyoshi S, Kanamori A, Matsumoto Y, Nakamura M. Rescue effects of intravenous immunoglobulin on optic nerve degeneration in a rat model of neuromyelitis optica. Jpn J Ophthalmol. 2016; 60: 419-23. [4.3-4] 3

献血ベニロン Ⅰ 静注用 500 mg 献血ベニロン Ⅰ 静注用 1000 mg 献血ベニロン Ⅰ 静注用 2500 mg 献血ベニロン Ⅰ 静注用 5000 mg 医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請 2.6 非臨床試験の概要文及び概要表 KM バイオロジクス株式会社 1

目次... 5 2.6.2.1 まとめ... 5 2.6.2.2 効力を裏付ける試験... 7 2.6.2.3 副次的薬理試験... 19 2.6.2.4 安全性薬理試験... 19 2.6.2.5 薬力学的薬物相互作用試験... 19 2.6.2.6 考察及び結論... 19 2.6.2.7 図表... 19 2.6.2.8 参考文献... 20 2

略号一覧表 略号英名日本語 ADCC Antibody-dependent Cell-mediated Cytotoxicity 抗体依存性細胞介在性傷害 AQP4 Aquaporin 4 アクアポリン 4 CDC Complement-dependent Cytotoxicity 補体依存性細胞傷害 CD8 Cluster of Differentiation 8 C3a, C3b Complement 3a, Complement 3b 補体 C3a, C3b CD8(T 細胞受容体の共受容体として働く膜貫通糖タンパク質 ) DMSO Dimethyl Sulfoxide ジメチルスルホキシド EAE EAON Fc Experimental Autoimmune Encephalomyelitis Experimental Autoimmune Optic Neuritis Fc fragment of immunoglobulin molecules (crystallizable fragment) 実験的自己免疫性脳脊髄炎 実験的自己免疫性視神経炎 免疫グロブリン分子の Fc フラグメント ( 結晶化可能部位 ) FcRn Neonatal Fc Receptor 胎児性 Fc 受容体 GFAP Glial Fibrillary Acidic Protein グリア線維性酸性蛋白質 GGS Freeze-dried sulfonated human normal immunoglobulin 一般名 : 乾燥スルホ化人免疫グロブリン成分名 : スルホ化人免疫グロブリン G 治験成分記号 :GLOBULIN-S HE 染色 Hematoxylin Eosin staining ヘマトキシリン エオジン染色 IFNγ Interferon γ インターフェロン γ IgG Immunoglobulin G 免疫グロブリン G IL-1 Interleukin 1 インターロイキン 1 IL-2 Interleukin 2 インターロイキン 2 IL-17 Interleukin 17 インターロイキン 17 IVIg Intravenous Immunoglobulin 静注用免疫グロブリン MAC Membrane Attack Complex 膜侵襲複合体 MBP Myelin Basic Protein ミエリン塩基性蛋白質 MMP2/9 Matrix Metalloproteinase 2/9 マトリックスメタロプロテアーゼ 2/9 MOG Myelin Oligodendrocyte Glycoprotein ミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白質 MS Multiple Sclerosis 多発性硬化症 NF Neurofilament ニューロフィラメント NK 細胞 Natural Killer cell ナチュラルキラー細胞 NKT 細胞 Natural Killer T cell ナチュラルキラー T 細胞 NMO Neuromyelitis Optica 視神経脊髄炎 RGC Retina Ganglion cell 網膜神経節細胞 S1P Sphingosine-1-phosphate スフィンゴシン-1-リン酸 Th1 細胞 Helper T 1 cell Th1 細胞 ( ヘルパー T 細胞の亜群 ) Th17 細胞 Helper T 17 cell Th17 細胞 ( ヘルパー T 細胞の亜群 ) 3

略号一覧表 ( 続き ) 略号 英名 日本語 TNF-α Tumor Necrosis Factor α 腫瘍壊死因子 α Treg 細胞 Regulatory T cell 制御性 T 細胞 4

2.6.2.1 まとめ MS などの中枢神経系炎症性脱髄疾患の動物モデルとして知られ 視神経炎を発症する EAE モデル EAE を強化免疫した EAON モデルを用いて GGS の視神経炎抑制効果を病理組織学的に検討した その結果 GGS は両モデルの視神経において抗炎症作用及び脱髄抑制作用 EAE モデルの視神経において軸索保護作用を有することが示された また EAON マウスでは GGS が用量依存的に臨床症状スコアを抑制することを確認した NMO モデルと考えられる抗 AQP4 抗体陽性 NMO 患者血清を曝露したラットでは 視神経障害の指標となりうる RGC の密度 ニューロフィラメント (Neurofilament: NF) の低下を GGS はいずれも抑制したと報告されている 1) 以上より GGS は視神経炎の発症原因となる MS 及び NMO の各モデルにおいて薬効を示したことから 視神経炎患者において有効性が期待される なお MS 及び NMO 由来の視神経炎の発症機序 各視神経炎に対する GGS の作用メカニズムは 文献情報より以下の通りと想定される MS 由来の視神経炎に関しては 中枢神経系炎症性脱髄疾患の動物モデルである EAE の研究などから 急性期病巣形成には髄鞘抗原に対して特異的に反応するインターフェロン γ(ifnγ) 産生性の Th1 細胞及びインターロイキン 17(IL-17) 産生性の Th17 細胞が主役をなすと考えられており 末梢で活性化された Th1/Th17 細胞が中枢神経内へ浸潤し病巣を形成する仮説が広く受け入れられている 2) すなわち 1 末梢で活性化した Th1/Th17 細胞が血管内皮を通過し血管周囲腔へ侵入する 2そこで抗原提示細胞が提示する髄鞘抗原に反応する Th1/Th17 細胞のみが再活性化される 3 再活性化された Th1/Th17 細胞は IL-17 又は IFNγ を産生するほか マトリックスメタロプロテアーゼ 2/9(MMP2/9) などの作用により グリア境界膜を破壊して中枢神経実質内へ侵入する 4 実質内へ侵入した Th1/Th17 細胞はミクログリア又は樹状細胞などの抗原提示細胞によって抗原提示を受けさらに活性化した結果 炎症性サイトカイン及びケモカインを産生し ミクログリア及びマクロファージなどの炎症性細胞を動員して炎症性脱髄病巣を形成する 3) また B 細胞 CD8 陽性 T 細胞 ナチュラルキラー (NK) 細胞 ナチュラルキラー T (NKT) 細胞 好中球 好酸球などの関与も報告されている 4, 5) GGS の MS に対する作用機序は明らかではないが 主に以下の機序が想定される 6, 7) T 細胞に対する作用 :Th1 細胞から分泌されるインターロイキン 2(IL-2) 及び IFNγ の産生を抑制する Fc レセプターを介した作用 : マクロファージなどの貪食細胞上の Fc レセプターに結合し 飽和することによりオプソニン化を阻害し 貪食細胞の活性化を抑制する サイトカインに対する作用 : 血中におけるインターロイキン 1(IL-1) 及び腫瘍壊死因子 α(tnfα) などのサイトカインレベルを抑制する 8, 9) 最近では IVIg の制御性 T(Treg) 細胞誘導 MMP2/9 活性化抑制 10) スフィンゴシン-1-11) リン酸 (S1P) 受容体発現低下による細胞遊走抑制 などの作用も報告されている 5

その他 B 細胞及び抗体などに対する IVIg の作用として以下の報告がある 6, 7) 自己抗体の異化亢進作用 : エンドサイトーシスにより細胞内に取り込まれた IgG はリソソームに運搬されて分解されるが 胎児性 Fc 受容体 (FcRn) に結合した IgG は異化を受けずに循環血液中に戻される GGS により血中 IgG 濃度が上昇すると FcRn が飽和することにより IgG の異化が亢進し 自己抗体が減少すると考えられる 抗イディオタイプ抗体を介した作用 :GGS には多様なイディオタイプを持つ抗体 若しくはこれに対する抗イディオタイプ抗体を多数含む こうした抗イディオタイプ抗体による自己抗体の中和が病態軽減に作用すると考えられる 補体活性化抑制 : 組織傷害を引き起こす膜侵襲複合体 (Membrane Attack Complex: MAC) の形成を阻害する 補体活性化経路で重要な C3b の活性化を抑制する 抗原提示細胞 血液脳関門 抗原提示細胞 2. 抗原提示による活性化 4. 抗原提示による活性化 ( 末梢 ) 1. 末梢で活性化された Th1/Th17 細胞が血管周囲腔へ侵入 Th1/Th17 細胞 血中サイトカインレベルを抑制 Th1/Th17 細胞 3. Th1/Th17 細胞は MMP2/9 などの作用によりグリア境界膜を破壊して中枢神経実質内へ侵入 Th1/Th17 細胞 ミクログリア及びマクロファージ マクロファージなどの Fc レセプターへの結合により貪食作用抑制 5. 炎症性サイトカイン及びケモカインを産生 Th1/Th17 細胞から分泌される IFNγ などの産生抑制 髄鞘 6. ミクログリア及びマクロファージなどを動員して炎症性脱髄病巣を形成 1.-6. は病態発症メカニズム青のボックス :GGS の作用メカニズム ( 主要な作用のみ ) 図 2.6.2-1 MS 由来視神経炎における GGS の作用メカニズム ( 仮説 ) NMO 由来の視神経炎に関しては 血液脳関門のアストロサイトの足突起に豊富に存在している水チャネル AQP4 に対する自己抗体 ( 抗 AQP4 抗体 ) が 補体や細胞を介してアストロサイトの障害とそれに引き続く神経の炎症及び脱髄を引き起こすことが知られている 2) 抗体による細胞傷害メカニズムには 1 抗体の結合により補体の活性化が生じ MAC が形成され細胞膜破壊を生じる補体依存性細胞傷害 (Complement-dependent Cytotoxicity: CDC) と 2 結合抗体の Fc 部分に NK 細胞又はマクロファージなどのエフェクター細胞上の Fc 受容体が結合することにより 細胞傷害性物質の放出を誘導する抗体依存性細胞介在性傷害 (Antibody-dependent Cell- 6

mediated Cytotoxicity: ADCC) の二つの機序が想定されている 12) 最近 自己抗体として抗 AQP4 抗体以外にミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白質 (Myelin Oligodendrocyte Glycoprotein: MOG) 抗体が陽性の NMO の報告が相次いでおり 13) それ以外に未知の自己抗体が関わる可能性も考えられる ヒト免疫グロブリンは CDC 及び ADCC を軽減することが培養細胞系で示されている 14) GGS により NMO を軽減するメカニズムとして 抗 AQP4 抗体の代謝促進 補体活性化の抑制 アナフィラトキシン (C3a など ) の中和 エフェクター細胞の遊走抑制 エフェクター細胞の AQP4- 抗 AQP4 抗体複合体への結合阻害などが挙げられる 14) 抗 AQP4 抗体の代謝亢進 抗 AQP4 抗体 7. アストロサイトの傷害 6. エフェクター細胞の脱顆粒 MAC の沈着 1. 抗 AQP4 抗体の AQP4 への結合 2.C1q の AQP4- 抗 AQP4 抗体複合体への結合補体活性化 アストロサイト エフェクター細胞の結合抑制 5. エフェクター細胞の AQP4- 抗 AQP4 抗体複合体への結合 補体活性化の抑制 エフェクター細胞 3. アナフィラトキシン (C3a など ) の遊離 4. エフェクター細胞の遊走 アナフィラトキシンの中和 1.-7. は病態発症メカニズム青のボックス :GGS の作用メカニズム エフェクター細胞の遊走抑制 1 図 2.6.2-2 NMO 由来視神経炎における GGS の作用メカニズム ( 仮説 参考文献 14) より引 用 一部改変 ) 2.6.2.2 効力を裏付ける試験 15) 実験的自己免疫性視神経炎 (EAON) マウスにおける臨床症状改善作用 [ 概要表 2.6.3.2; 報告書 4.2.1.1-1(1301341)] 中枢神経系炎症性脱髄疾患の動物モデルである EAE では 実験動物にミエリン塩基性蛋白質 7

(Myelin Basic Protein: MBP) 又は髄鞘構成蛋白質である MOG などをアジュバントとともに免疫することにより 中枢神経系への炎症性細胞の浸潤を起因として 尾や後肢麻痺などの神経障害が惹起される その症状並びに病理所見の類似性から MS の発症機序及び MS 治療薬の研究に有用な急性期動物モデルとして広く用いられている 16) 但し 本モデルでは視神経炎の発症率が 60% から 70% のため より高頻度に発症するように MOG ペプチド抗原に DMSO を混和させて強化免疫し 80% から 90% の発症率となる EAON モデルが確立された 17) EAE における GGS の臨床症状スコアの有効性は既に報告されており 9) 今回 EAON において GGS の臨床症状を評価した ( 方法 ) C57BL/6J マウス (8 週齢 雌 ) に MOG 35 残基から 55 残基に相当するペプチド MOG 35-55 結核菌の死菌 フロイント完全アジュバント及び DMSO を混和してエマルジョンを作製し マウスの首回り皮下に免疫した 免疫時及び免疫 2 日後に百日咳毒素を腹腔内投与した 免疫時より生理食塩液 GGS 100 200 400 及び 800 mg/kg を 5 日間腹腔内投与した 臨床症状評価には以下の EAE スコアを用いた 0: 正常 1: 尾の緊張低下 2: 尾の緊張完全消失 3: 軽い歩行異常 4: 片後肢麻痺 5: 両後肢麻痺 6: 両後肢麻痺および片前肢麻痺 7: 四肢麻痺 8: 瀕死 9: 死亡発症日 発症日数 最大スコア 得られたスコアの値を合計した累積スコア (Area under the curve: AUC) を算出後 Shirley-Williams の多重比較検定を実施した ( 結果 ) 生理食塩液投与群に対し GGS 投与群は EAON モデルにおける発症日 発症日数 最大スコア AUC いずれも有意に抑制した また その効果は GGS の投与量に依存していた [ 図 2.6.2-3] 8

9 8 7 EAE スコア 6 5 4 3 2 生理食塩液 GGS 100 mg/kg GGS 200 mg/kg GGS 400 mg/kg 1 0 10 15 20 25 30 35 40 45 GGS 800 mg/kg 免疫後日数 ( 日 ) 図 2.6.2-3 EAON マウスにおける臨床症状評価 グラフは平均値 ± 標準誤差 ( 各群 12 例 ). 各群の発症日 発症日数 最大スコア AUC を Shirley- Williams の多重比較検定で解析した結果 生理食塩液投与群に対し GGS 投与群 (100-800 mg/kg) はいずれの項目も有意に抑制した (p<0.05). 実験的自己免疫性脳脊髄炎 (EAE) 及び実験的自己免疫性視神経炎 (EAON) マウ 15) スにおける視神経病態改善作用 [ 概要表 2.6.3.2; 報告書 4.2.1.1-2(B2-18001)] EAE 及び EAON マウスにおいて 視神経炎に対する GGS の抑制効果を病理組織学的に評価した ( 方法 ) EAON マウスの病態作製方法は 2.6.2.2.1 と同様であり EAE マウスの病態作製では EAON マウス免疫時に用いたエマルジョンから DMSO を除いたものを脇腹皮下に免疫した いずれのモデルにおいても免疫時より生理食塩液 GGS 800 mg/kg を 5 日間腹腔内投与した 免疫後 14 日及び 21 日に視神経を採取してホルマリン固定し ヘマトキシリン エオジン (HE) 染色 Klüver-Barrera 染色 Bodian 染色 さらに抗 Iba1 抗体 抗 MBP 抗体及び抗グリア線維性酸性蛋白質 (Glial Fibrillary Acidic Protein: GFAP) 抗体を用いた免疫組織学的染色の各視神経標本を作製した HE 染色標本は 炎症性細胞浸潤の程度をスコアリングした HE 染色以外の染色標本は 標本面積及び染色面積を計測し 標本面積に対する染色面積の割合 (%) を算出後 生理食塩液投与群に対する GGS 投与群の平均値の差に関して Mann-Whitney U 検定を実施した ( 結果 ) HE 染色では EAE 及び EAON 群とも無処置群と比較して 免疫後 14 及び 21 日いずれも炎症性細胞浸潤を主体とした病変が認められ 視神経炎が惹起されていることが確認された EAE 9

及び EAON 群とも生理食塩液投与群と比較して GGS 投与により免疫後 14 及び 21 日いずれも有意に炎症が抑制された [ 図 2.6.2-4] 炎症性細胞浸潤の詳細な検討のため ミクログリアの特異的マーカーである Iba1 の免疫染色を実施した EAE 及び EAON 群とも無処置群と比較して 免疫後 14 及び 21 日いずれも Iba1 陽性の面積の割合が増加した EAE 及び EAON 群とも生理食塩液投与群と比較して GGS 投与により免疫後 14 日に有意に Iba1 陽性の面積の割合が減少した [ 図 2.6.2-5] 脱髄の検討のため 髄鞘を染色する Klüver-Barrera 染色を実施した EAE 及び EAON 群とも無処置群と比較して 免疫後 14 及び 21 日いずれも Klüver-Barrera 陽性の面積の割合が減少した EAE 群において生理食塩液投与群と比較して GGS 投与により免疫後 14 及び 21 日いずれも有意に Klüver-Barrera 陽性の面積の割合が増加した [ 図 2.6.2-6] 脱髄の詳細な検討のため 髄鞘形成を担うオリゴデンドロサイトの特異的マーカーである MBP の免疫染色を実施した EAE 及び EAON 群とも無処置群と比較して 免疫後 14 及び 21 日いずれも MBP 陽性の面積の割合が減少した EAON 群において生理食塩液投与群と比較して GGS 投与により免疫後 21 日に有意に MBP 陽性の面積の割合が増加した [ 図 2.6.2-7] 軸索損傷を検討するため 軸索などを染色する Bodian 染色を実施した EAE 群は無処置群と比較して 免疫後 14 及び 21 日いずれも Bodian 陽性の面積の割合が減少した EAE 群において生理食塩液投与群と比較して GGS 投与により免疫後 14 日及び 21 日いずれも有意に Bodian 陽性の面積の割合が増加した [ 図 2.6.2-8] GGS のアストロサイトへの影響を検討するため アストロサイトの特異的マーカーである GFAP の免疫染色を実施した EAE 群において生理食塩液投与群と比較して GGS 投与により免疫後 21 日に有意に GFAP 陽性の面積の割合が減少した [ 図 2.6.2-9] EAE 及び EAON マウスにおいて 視神経炎に対する GGS の抑制効果を病理組織学的に評価した その結果 GGS は両モデルの視神経において抗炎症作用及び脱髄抑制作用 EAE モデルの視神経において軸索保護作用を有することが示された 10

献血ベニロン-I 静注用 A Inflammation score 3.5 3.0 2.5 2.0 * 1.5 1.0 0.5 * ** ** 0.0 14 日 B 21 日 C 免疫後 D 図 2.6.2-4 視神経 HE 染色標本を用いた病理組織学的検討 (A) Inflammation score 炎症スコア 平均±標準誤差 各群 5 例 無処置群のみ 3 例 **P < 0.01 vs EAE, *P < 0.05 vs EAON Mann-Whitney U 検定 (B) - (D) 典型例. (B) 無処置群. (C) EAE 群 免疫後 14 日 細胞浸潤の増加がみられる. (D) EAE GGS 群 免疫後 14 日 GGS 投与により浸潤の抑制が みられる. 11

献血ベニロン-I 静注用 A 0.18 Iba1-positive Area/Unit 0.16 0.14 0.12 0.10 0.08 0.06 0.04 ** ** 0.02 0.00 14 日 B 21 日 C 免疫後 D 図 2.6.2-5 視神経 Iba1 染色標本を用いたミクログリアの免疫組織化学的検討 (A) Iba1-positive area per unit Iba1 陽性の面積の割合 平均±標準誤差 各群 5 例 無処置群のみ 3 例 **P < 0.01 vs EAE or EAON Mann-Whitney U 検定 (B) - (D) 典型例. (B) 無処置群. (C) EAE 群 免疫後 14 日 ミクログリア浸潤の増加がみられる. (D) EAE GGS 群 免疫後 14 日 GGS 投与 により浸潤の抑制がみられる. 12

献血ベニロン-I 静注用 A KB-positive Area/Unit 0.9 0.8 ** ** 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0.0 14 日 B 21 日 C 免疫後 D 図 2.6.2-6 視神経 Klüver-Barrera (KB) 染色標本を用いた病理組織学的検討 (A) KB-positive area per unit KB 陽性の面積の割合 平均±標準誤差 各群 5 例 無処置群のみ 3 例 **P < 0.01 vs EAE Mann-Whitney U 検定 (B) - (D) 典型例. (B) 無処置群. (C) EAE 群 免疫後 14 日 脱髄がみられる. (D) EAE GGS 群 免疫後 14 日 GGS 投与により脱髄の抑制がみられる. 13

A MBP-positive Area/Unit 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 * 0.0 14 日 21 日 ( 免疫後 ) B C D 図 2.6.2-7 視神経 MBP 染色標本を用いたオリゴデンドロサイトの免疫組織化学的検討 (A) MBP-positive area per unit(mbp 陽性の面積の割合 ). 平均 ± 標準誤差 ( 各群 5 例 無処置群のみ 3 例 ). *P < 0.05 vs EAON(Mann-Whitney U 検定 ). (B) - (D) 典型例. (B) 無処置群. (C) EAE 群 ( 免疫後 14 日 ). 脱髄がみられる. (D) EAE(GGS) 群 ( 免疫後 14 日 ). GGS 投与により脱髄の抑制がみられる. 14

献血ベニロン-I 静注用 A Bodian-positive Area/Unit 0.9 0.8 ** * 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0.0 14 日 B 21 日 C 免疫後 D 図 2.6.2-8 視神経 Bodian 染色標本を用いた病理組織学的検討 (A) Bodian-positive area per unit Bodian 陽性の面積の割合 平均±標準誤差 各群 5 例 無処置群のみ 3 例 **P < 0.01 vs EAE, *P < 0.05 vs EAE Mann-Whitney U 検定 (B) - (D) 典型例. (B) 無処置群. (C) EAE 群 免疫後 14 日 軸索損傷がみられる. (D) EAE GGS 群 免疫後 14 日 GGS 投与により軸 索損傷の抑制がみられる. 15

A GFAP-positive Area/Unit 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0.0 ** 14 日 21 日 ( 免疫後 ) 図 2.6.2-9 視神経 GFAP 染色標本を用いたアストロサイトの免疫組織化学的検討 (A) GFAP-positive area per unit(gfap 陽性の面積の割合 ). 平均 ± 標準誤差 ( 各群 5 例 無処置群のみ 3 例 ). **P < 0.01 vs EAE(Mann-Whitney U 検定 ). 16

抗 AQP4 抗体陽性 NMO 患者血清曝露ラットにおける視神経変性改善作用 1) [ 概要表 2.6.3.2] 抗 AQP4 抗体陽性視神経炎では 網膜神経線維の菲薄化と視機能障害に強い相関性がある 18) RGC の密度 神経線維のマーカーである NF を指標に抗 AQP4 抗体陽性 NMO 患者血清を曝露したラットにおいて GGS の視神経変性に対する効果を検討したと報告されている 1) ( 方法 ) SD ラット ( 雄 ) の頭頂骨にドリルで小さな穴をあけ 神経回路を標識するため Fluoro-Gold を上丘に注入した 注入から 7 日後に NMO 患者から採取された抗 AQP4 抗体陽性血清を切開した視神経鞘に注入した 血清曝露 0 日及び 7 日後 ( コホート A) 7 日及び 10 日後 ( コホート B) において 生理食塩液 GGS 500 mg/kg を各日尾静脈内投与した 血清曝露 14 日後に網膜を採取してパラホルムアルデヒド固定し Fluoro-Gold で標識された RGC を蛍光顕微鏡下でカウントし 単位面積あたりの細胞密度を算出した また 網膜と同時にコホート A の視神経を採取してホモジナイズ後 抗 NF 抗体のウエスタンブロットを実施した ( 結果 ) RGC の密度は 対照群で 981±182 /mm 2 コホート A の GGS 投与群で 1455±192 /mm 2 コホート B の GGS 投与群で 1657±192 /mm 2 であり 対照群と比較して GGS 投与群はいずれも有意に高値を示した [ 図 2.6.2-10] NF 量は 対照群と比較してコホート A の GGS 投与群で有意に高値を示した [ 図 2.6.2-11] 網膜神経節細胞の密度(/mm2 )対照群 GGS 群 ( コホート A)GGS 群 ( コホート B) 図 2.6.2-10 ラット網膜神経節細胞 (RGC) の密度 平均 ± 標準偏差 ( 対照群 10 例 GGS 群 ( コホート A)7 例 GGS 群 ( コホート B)4 例 ). *P < 0.001 vs 対照群. GGS 投与により神経節細胞の脱落の抑制がみられる ( 参考文献 1) より引用 一部改変 ). 17

ラット視神経における抗 NF 抗体 のウエスタンブロット 対照群 GGS 群 ( コホート エスタンブロットのバンドの濃淡比対照群 GGS 群 ( コホートウ* 図 2.6.2-11 ラット視神経における抗ニューロフィラメント (NF) 抗体のウエスタンブロット 平均 ± 標準偏差 ( 対照群 5 例 GGS 群 ( コホート A)4 例 ). *P < 0.05 vs 対照群. GGS 投与により NF の増加がみられる ( 参考文献 1) より引用 一部改変 ). 18

2.6.2.3 副次的薬理試験 本申請では 新たな試験は実施していない 2.6.2.4 安全性薬理試験 本申請では 新たな試験は実施していない 2.6.2.5 薬力学的薬物相互作用試験 本申請では 新たな試験は実施していない 2.6.2.6 考察及び結論効力を裏付ける試験として MS などの中枢神経系炎症性脱髄疾患の動物モデルとして知られ 視神経炎が発症する EAE モデル EAE を強化免疫した EAON モデルを用いて GGS の視神経炎抑制効果を病理組織学的に検討した その結果 GGS は両モデルの視神経において抗炎症作用及び脱髄抑制作用 EAE モデルの視神経において軸索保護作用を有することが示された また EAON マウスでは GGS が用量依存的に臨床症状スコアを抑制することを確認した NMO モデルと考えられる抗 AQP4 抗体陽性 NMO 患者血清を曝露したラットでは 視神経障害の指標となりうる RGC の密度 NF の低下を GGS はいずれも抑制したと報告されている 1) 以上より GGS は視神経炎の発症原因となる MS 及び NMO の各モデルにおいて薬効を示したことから 視神経炎患者において有効性が期待される 2.6.2.7 図表 図表は本文中に示した 19

2.6.2.8 参考文献 1)Nobuyoshi S, Kanamori A, Matsumoto Y, Nakamura M. Rescue effects of intravenous immunoglobulin on optic nerve degeneration in a rat model of neuromyelitis optica. Jpn J Ophthalmol. 2016; 60: 419-23. [4.3-4] 2) 多発性硬化症 視神経脊髄炎診療ガイドライン 2017. 医学書院. 2017. [4.3-2] 3)Sallusto F, Impellizzieri D, Basso C, Laroni A, Uccelli A, Lanzavecchia A, Engelhardt B. T-cell trafficking in the central nervous system. Immunol Rev. 2012; 248: 216-27. [4.3-5] 4)Hauser SL, Waubant E, Arnold DL, Vollmer T, Antel J, Fox RJ, Bar-Or A, Panzara M, Sarkar N, Agarwal S, Langer-Gould A, Smith CH; HERMES Trial Group. B-cell depletion with rituximab in relapsing-remitting multiple sclerosis. N Engl J Med. 2008; 358: 676-88. [4.3-6] 5)Hemmer B, Kerschensteiner M, Korn T. Role of the innate and adaptive immune responses in the course of multiple sclerosis. Lancet Neurol. 2015; 14: 406-19. [4.3-7] 6)Jacob S, Rajabally YA. Current proposed mechanisms of action of intravenous immunoglobulins in inflammatory neuropathies. Curr Neuropharmacol. 2009; 7: 337-42. [4.3-8] 7) 千葉厚郎. 免疫グロブリン静注療法. 内科. 2010; 105: 835-838. [4.3-9] 8)Trinath J, Hegde P, Sharma M, Maddur MS, Rabin M, Vallat JM, Magy L, Balaji KN, Kaveri SV, Bayry J. Intravenous immunoglobulin expands regulatory T cells via induction of cyclooxygenase-2-dependent prostaglandin E2 in human dendritic cells. Blood. 2013; 122: 1419-27. [4.3-10] 9)Okuda S, Kamei S, Harano S, Shinya N, Hayashida K, Sasaki T. Enhancement of regulatory T cell induction by intravenous S-sulfonated Immunoglobulin during the treatment of experimental autoimmune encephalomyelitis. Yakugaku Zasshi. 2012; 132: 243-9. [4.3-11] 10)Niimi N, Kohyama K, Kamei S, Matsumoto Y. Intravenous immunoglobulin therapy prevents development of autoimmune encephalomyelitis and suppresses activation of matrix metalloproteinases. Neuropathology. 2011; 31: 392-400. [4.3-12] 11)Othy S, Hegde P, Topçu S, Sharma M, Maddur MS, Lacroix-Desmazes S, Bayry J, Kaveri SV. Intravenous gammaglobulin inhibits encephalitogenic potential of pathogenic T cells and interferes with their trafficking to the central nervous system, implicating sphingosine-1 phosphate receptor 1-mammalian target of rapamycin axis. J Immunol. 2013; 190: 4535-41. [4.3-13] 12)Levin MH, Bennett JL, Verkman AS. Optic neuritis in neuromyelitis optica. Prog Retin Eye Res. 2013; 36: 159-71. [4.3-14] 13)Sato DK, Callegaro D, Lana-Peixoto MA, Waters PJ, de Haidar Jorge FM, Takahashi T, Nakashima I, Apostolos-Pereira SL, Talim N, Simm RF, Lino AM, Misu T, Leite MI, Aoki M, Fujihara K. Distinction between MOG antibody-positive and AQP4 antibody-positive NMO spectrum disorders. Neurology. 2014; 82: 474-81. [4.3-15] 14)Ratelade J, Smith AJ, Verkman AS. Human immunoglobulin G reduces the pathogenicity of 20

aquaporin-4 autoantibodies in neuromyelitis optica. Exp Neurol. 2014; 255: 145-53. [4.3-16] 15)Takahashi H, Okuda S, Tamura M, Kamei S, Aizawa R, Kobayashi T. Prophylactic Treatment with Intravenous Immunoglobulin Attenuates Experimental Optic Neuritis in Mice. Biol Pharm Bull. 2019; 42: 173-8. [4.3-17] 16)Aranami T, Yamamura T. Th17 Cells and autoimmune encephalomyelitis (EAE/MS). Allergol Int. 2008; 57: 115-20. [4.3-18] 17)Kezuka T, Usui Y, Goto H. Analysis of the pathogenesis of experimental autoimmune optic neuritis. J Biomed Biotechnol. 2011; 2011: 294046. [4.3-19] 18) 抗アクアポリン 4 抗体陽性視神経炎診療ガイドライン. 日眼会誌. 2014; 118: 446-460. [4.3-3] 21

献血ベニロン Ⅰ 静注用 500 mg 献血ベニロン Ⅰ 静注用 1000 mg 献血ベニロン Ⅰ 静注用 2500 mg 献血ベニロン Ⅰ 静注用 5000 mg 医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請 2.6 非臨床試験の概要文及び概要表 2.6.3 薬理試験概要表 KM バイオロジクス株式会社 1

2.6.3 薬理試験概要表 目次 2.6.3 薬理試験概要表... 3 2.6.3.1 薬理試験 : 一覧表... 3 2.6.3.2 効力を裏付ける試験... 3 2.6.3.3 副次的薬理試験... 4 2.6.3.4 安全性薬理試験... 4 2.6.3.5 薬力学的薬物相互作用試験... 4 2

2.6.3 薬理試験概要表 2.6.3 薬理試験概要表 2.6.3.1 薬理試験 : 一覧表 試験の種類 試験系 投与方法 実施施設 試験番号 報告書番号 効力を裏付ける試験 実験的自己免疫性視神経炎 (EAON) マウスにおける臨床症状改善作用実験的自己免疫性脳脊髄炎 (EAE) 及び実験的自己免疫性視神経炎 (EAON) マウスにおける視神経病態改善作用抗 AQP4 抗体陽性 NMO 患者血清曝露ラットにおける視神経変性改善作用 マウス マウス ラット 腹腔内投与 腹腔内投与 尾静脈内投与 KM バイオロジクス株式会社 KM バイオロジクス株式会社 / 帝人ファーマ株式会社 1301341 4.2.1.1-1 B2-18001 4.2.1.1-2 神戸大学 - - 2.6.3.2 効力を裏付ける試験 試験内容 臨床症状改善作用 視神経病態改善作用 視神経変性改善作用 動物種 系統 C57BL/ 6J マウス C57BL/ 6J マウス SD ラット 試験方法 MOG ペプチドなど以外に DMSO を混和して強化免疫した EAON マウスに生理食塩液 GGS 100 200 400 及び 800 mg/kg を 5 日間腹腔内投与した 臨床症状評価には EAE スコアを用いた EAE 及び EAON マウスに生理食塩液 GGS 800 mg/kg を 5 日間腹腔内投与した 免疫後 14 日及び 21 日に視神経を採取してホルマリン固定し HE 染色 Klüver- Barrera 染色 Bodian 染色 さらに抗 Iba1 抗体 抗 MBP 抗体及び抗 GFAP 抗体を用いた免疫組織学的染色の各視神経標本を作製し 病理組織学的に評価した 抗 AQP4 抗体陽性 NMO 患者血清を曝露したラットにおいて 血清曝露 0 日及び 7 日後 ( コホート A) 7 日及び 10 日後 ( コホート B) において 生理食塩液 GGS 500 mg/kg を各日尾静脈内投与した 血清曝露 14 日後に網膜を採取してパラホルムアルデヒド固定し Fluoro-Gold で標識された RGC を蛍光顕微鏡下でカウントし 単位面積あたりの細胞密度を算出した また 網膜と同時にコホート A の視神経を採取してホモジナイズ後 抗 NF 抗体のウエスタンブロットを実施した 投与量 100, 200, 400, 800 mg/kg 800 mg/kg 500 mg/kg 動物数 / 群 12 匹 / 群 3-5 匹 / 群 4-10 匹 / 群 特筆すべき所見 生理食塩液投与群に対し GGS 投与群は EAON モデルにおける発症日 発症日数 最大スコア AUC いずれも有意に抑制した また その効果は GGS の投与量に依存していた GGS は両モデルの視神経において抗炎症作用及び脱髄抑制作用 EAE モデルの視神経において軸索保護作用を有することが示された RGC の密度は 対照群と比較して GGS 投与群はいずれも有意に高値を示した NF 量は 対照群と比較してコホート A の GGS 投与群で有意に高値を示した 試験番号 1301341 B2-18001 - - 報告書番号 4.2.1.1-1 4.2.1.1-2 3

2.6.3 薬理試験概要表 2.6.3.3 副次的薬理試験 本申請では 新たな試験は実施していない 2.6.3.4 安全性薬理試験 本申請では 新たな試験は実施していない 2.6.3.5 薬力学的薬物相互作用試験 本申請では 新たな試験は実施していない 4