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Transcription:

小 惑 星 探 査 における ダストその 場 観 察 並 木 則 行, 小 林 正 規, 千 秋 博 紀, 和 田 浩 二 2011 年 10 月 29 日 第 8 回 ライトカーブ 研 究 会 国 立 天 文 台 三 鷹 キャンパス

本 日 の 予 定 惑 星 探 査 研 究 センターの 紹 介 小 惑 星 ダスト 観 測 の 科 学 はやぶさの 成 果 を 発 展 させるために, 次 に 日 本 が 目 指 すべき 科 学 浮 遊 ダストの 理 論 的 予 測 小 惑 星 の 周 囲 を 取 り 巻 く 塵 の 雲 はやぶさ2の 衝 突 実 験 小 惑 星 衝 突 進 化 の 実 証 観 測 機 器 提 案 間 に 合 うのか,はやぶさ2 搭 載 千 葉 工 業 大 学 惑 星 探 査 研 究 センター

常 勤 研 究 員 名, 客 員 研 究 員 名 惑 星 物 質 分 析 理 論 惑 星 科 学 研 究 搭 載 機 器 開 発 惑 星 地 質

小 惑 星 ダスト 観 測 の 科 学 Hayabusa 以 前 宇 宙 線 照 射 年 代 ( 表 層 から 落 下 までの 時 間 ) 太 陽 風 インプランテーション( 太 陽 からの 距 離 ) 礫 質 隕 石 の 分 析 衝 突 放 出 衝 突 合 体 破 壊 室 内 衝 突 実 験 シミュレーション 地 上 分 光 観 測

小惑星ダスト観測の科学 Hayabusa以後 表層進化 宇宙線照射年代 表層 宇宙線照射年代 表層から から落下までの時間 落下までの時間 太陽風インプランテーション 太陽からの距離 礫質隕石 礫質隕石の分析 の分析 鉛直方向の移流 衝突 震動 水平方向の移流 レビテーション 水平方向の移流 レビテーション 軌道進化 軌道 進化 衝突 放出 衝突 合体 破壊 室内衝突実験 シミュレーション 室内衝突実験 シミュレーション 地上分光観測

小惑星ダスト観測の科学 Hayabusa以後 小惑星表層でのダストの挙動 宇宙線照射年代 放出から落下までの時間 (1) 浮遊による水平移動と脱出 小惑星上での浮遊ダストの実証 太陽風インプランテーション 太陽からの距離 (2) 衝突による放出と移流 はやぶさ2衝突実験でのイジェクタの観測 隕石の分析 表層進化 (3) 惑星間空間からの堆積 背景ダストの観測 鉛直方向の移流 衝突 震動 水平方向の移流 レビテーション 一度きりの観測で全てが分かるというのは思い上がりだろうが まず小惑 星から始めるのは順当であろう 衝突 放出 衝突 合体 破壊 室内衝突実験 シミュレーション 室内衝突実験 シミュレーション 地上分光観測

2014年7月 or 12月打ち上げ 2018年6月に小惑星到達 2019年12月までランデブー 2020年12月地球帰還 初代Hayabusaとほぼ同じ機能 Hayabusa 性能 時代遅れの観測装置 衝突実験 新規 対象天体 1999JU3 スペクトルC型 平均直径 900 m

光電効果によるダストの浮遊 太陽光 1. 大気を持たず伝導性が悪い天体の表面が太陽 光を受けると 電子がはじき出され 正に帯電する 2. 天体表面の微粒子は地面と反発し 跳び上がる 特徴的なサイズ 光電効果 電子を弾きだす 100μm 動かない 100 10μm 少し跳びあがる 10 1μm 大きく飛びあがる 1μm 重力を振り切る はやぶさ 回収試料 ダスト浮遊の数値モデル((Colwell et al., ダスト浮遊の数値モデル al., 2005) 電場の生成 ダストの浮遊 ダストの電荷 光電効果 電子の再吸 収 太陽風電子 小天体表層の電場 E z E 1 z 2 0 サイズに依存 D ダストの運動方程式 2 z Q 2 t m E z g z 0 k B T n, 0 D e 2 Debye length

ダストの運動を記述する方程式群 鉛直1次元モデル 運動方程式 2 Q z 2 t m z E z g 表面電場 粒子の電荷 Q t I I e I sw 太陽紫外線による光電効果 I 2 r ei r 2 ei ph 0 ph 0 e k T B exp for 0 for 0 I e 8k B T m 8k B e T m e I sw sw sw 8 k B T sw m e 8 k B T sw m e ph 0 exp e s k T B n sw 0 E 2 1 0 2 2 z D s D D k 0 B T n, 0 e 2 光電効果による電流 e exp k T B 1 e k B T for for 0 0 I n e k B T sw e 1 k B T sw exp for k B T sw 2 m e e 1 k BT 0 0 1 0 F n, 0, 0 2 I 1 ph 0 sin z 2 D i s / v 2 粒子の電荷と電位の関係 for ph 0 電場中の電子密度 n 4 0 rq 以上は微分系 解くには初期 条件と境界条件が必要 地表面電位Φは次のバランスで決まる I E 太陽風電子の打ち込み 2 r en r 2 en z 特徴的長さ デバイ長 光電電子の再撃ち込み 2 r en r 2 en E s sw 初期条件 速度 はよくわからない 境界条件 光電効果の効率 も実はよく わかっていない

計算結果 初期速度 打ち上げ速度 はわからないのでパラメタ 初期に持っている電荷は0とする 電荷のバランスは極めて早いので 初期の電荷 は結果に影響しない EROS, Itokawa, 1999JU3 について計算を行う 近日点 遠日点 太陽からの平均距離を想定 天体からの距離で重力加速度が変わる事を考慮 小さな天体で重要 ダストサイズは様々に振ったが ここでは特徴を 見てとり易いものだけを示す 太陽風の影響は考慮しない 自転や地形は考慮しない 1次元モデルのため

計算結果 EROS の場合 軌道長半径1.458AU 離心率0.223 天体半径 11200m 表面重力加速度 0.0059m/s2 r=0.1mm 0.3mm 1.0mm v=0.5m/s v=1.0m/s v=2.0m/s v=3.0m/s Time [s]

計算結果 ITOKAWA の場合 軌道長半径1.1324AU 離心率0.28 天体半径 165m 表面重力加速度 0.00008m/s2 r=8mm 10mm 12mm v=3cm/s v=4cm/s V~5cm/s v=6cm/s v=7cm/s Time [s]

計算結果 1999JU3の場合 軌道長半径1.189AU 離心率0.190 天体半径 461m 表面重力加速度 0.00029m/s2 r=3mm 5mm 7mm v=8cm/s v=9cm/s v=10cm/s v=12cm/s v=14cm/s Time [s]

議論 地表面電位は 太陽からの距離に依らない 紫外線 太陽風ともに距離の2乗で減衰するため両者がバランスする電位は距離に依らない デバイ長は太陽からの距離に比例する 光電効果で放出される電子の運動量は太陽からの距離に依存するため 構造が変化する ダストの運動は デバイ長を越えられるか否かで決まる デバイ長を越えられないダストは落下する プラズマ電子の再吸収で負に帯電するため 加速的に地面に落下する デバイ長を越えられたダストの運動パターンは 以下の3種類に分類される 重力を振り切って脱出 電気的反発が重力に勝る場合 IDPの起源になるのではないか 放物軌道で落下 重力が強い場合 落下速度が速すぎて戻れない場合 上空で振動し長時間浮遊し続ける 重力と 地表面との電気的反発がバランスする場合 ダストの運動の違いは 重力と日心距離の違いを反映 Eros は重力が強く 太陽から遠い Itokawaは天体サイズが小さいので重力が小さく 重力加速度の減衰も早い 1999JU3はErosとItokawaの中間的性質を持つ 天体のサイズ 位置とラフネスに関係がありそう 脱出速度はわからない 実験 観測で押さえる必要

衝突体の諸量 EFP Explosively forme projectile [netrator] http://en.wikiia.org/wiki/explosively_forme_netrator 衝突速度 U = 2000 m/s 質量 m = 2 kg 密度 = 2400 kg/m3 仮定 垂直衝突を仮定

クレーター形成とイジェクタ放出過程 (Housen & Holsapple 2011) 同じ位置(x) を通過するイジェクタは同じイジェクタ速度 v で放出される xが増加するにつれてvは減少 放出角q はほぼ一定 若干減少 典型的な岩石や砂への衝突では q ~ 45 空隙率の大きなターゲットでは q は大きくなる傾向 また 空隙率が大きいとイジェクタ総量も小さくなる 低重力 低強度 の天体において低速放出イジェクタは再堆積過程に重要

低速イジェクタの軌跡 scale unit: [m] 初速v 等時間線

低速イジェクタの初速度推定 原理的には 焦点 初期位置 検出位置 検出時刻 v q t=0 t = tc 楕円軌道が決まる 軌道面 離心率 軌道長半径 近点方向 表層空隙率 表層粒子のサイズ分布 イジェクタの質量 mcも決定 (自転による初速度補正後 v, q 決定 検出時の速度 vc も決定 ダストモニターは運動量 mcvcを測定

観測方法 小惑星ダストの発見 上空のダストの分布を測る サイズ毎の高度分布または運動量分布 ある高度に存在する確率は モデルから計算可能 観測値と計算結果との比較から サイズ 速度分布が出せるのではないか LIDAR観測ができれば望ましいが 視野を横切る 光線を射出し 反射光の分布を見るのでも良い ダスト 連続光 を送信 LED 400nm CCDカメラ 1フレーム 1/30秒 1cm2を想定 1999JU3の場合のダストの高度分布 計算結果

まとめ ダスト観測は小惑星探査の重要な科学 リターンサンプルの出自 礫質隕石の分析結果の理解 浮遊ダストが小惑星周辺の空間に存在す る可能性 Hayabusa 2でのダスト観測を提案