JPEA PV OUTLOOK 2030 2030 年 に 向 けた 確 かな 歩 み ~ スマートカントリー 日 本 を 目 指 して ~ 2015 年 3 月 一 般 社 団 法 人 太 陽 光 発 電 協 会
一 般 社 団 法 人 太 陽 光 発 電 協 会 太 陽 光 発 電 産 業 ビジョン 作 成 履 歴 2002 年 太 陽 光 発 電 産 業 自 立 に 向 けたビジョン エネルギー 環 境 へ 貢 献 する 新 しい 産 業 創 生 2006 年 太 陽 光 発 電 産 業 自 立 に 向 けたビジョン 2006 年 改 訂 版 めざせ ソーラー にっぽん 2010 年 JPEA PV OUTLOOK 2030 日 本 ブランド 10 兆 円 産 業 を 目 指 す 2012 年 JPEA PV OUTLOOK 2030 2012 年 改 訂 版 10 兆 円 産 業 より 豊 かな 2030 年 の 実 現 へ 2013 年 JPEA PV OUTLOOK 2030 2013 年 改 訂 版 FIT が 開 く 太 陽 光 発 電 普 及 の 新 しい 扉 2015 年 JPEA PV OUTLOOK 2030 2030 年 に 向 けた 確 かな 歩 み ~スマートカントリー 日 本 を 目 指 して~
目 次 1. はじめに 1 頁 2. 急 拡 大 した 国 内 市 場 2 頁 2.1 国 内 の 状 況 2.2 世 界 の 中 の 日 本 2.3 国 内 住 宅 用 見 通 し 2.4 国 内 非 住 宅 用 見 通 し 3. 設 備 認 定 量 が 示 すもの 17 頁 3.1 都 道 府 県 別 規 模 3.2 電 力 供 給 に 占 める 規 模 4. 顕 在 化 してきた 系 統 接 続 制 約 問 題 20 頁 4.1 背 景 と 当 面 の 系 統 接 続 ルールの 見 直 し 4.2 系 統 接 続 制 約 問 題 の 今 後 の 進 展 4.3 時 間 軸 視 点 での 年 次 導 入 ペース 4.4 普 及 度 合 いで 変 化 する 系 統 接 続 制 約 問 題 と 対 策 5. 太 陽 光 発 電 にとっての 電 源 価 値 の 最 大 化 34 頁 5.1 日 本 のエネルギー 政 策 における 太 陽 光 発 電 の 位 置 付 けと 評 価 5.2 エネルギー 政 策 から 見 た 太 陽 光 発 電 の 課 題 5.3 太 陽 光 発 電 の 価 値 向 上 に 必 要 となる 蓄 電 技 術 6. 2030 年 への 確 かな 歩 み 49 頁 6.1 見 えてきた 時 代 区 分 6.2 脱 化 石 燃 料 社 会 6.3 100GW を 通 過 点 として 100 年 先 へ 6.4 適 正 処 理 問 題 6.5 設 備 償 却 後 の 太 陽 光 発 電 所 6.6 蓄 エネ 社 会 を 経 て 最 強 のスマートカントリーへ 7. おわりに 61 頁
1. はじめに 前 回 の JPEA PV OUTLOOK 2030 改 訂 (2013 年 12 月 )より 僅 か 1 年 余 りで 今 回 姉 妹 編 として 2030 年 に 向 けた 確 かな 歩 み ~スマートカントリー 日 本 を 目 指 して~ を 発 行 することとなった 再 生 可 能 エネルギーの 固 定 価 格 買 取 制 度 (FIT)による 劇 的 な 導 入 促 進 効 果 が 明 らかになるにつれ 普 及 の 急 上 昇 が 一 転 して 急 降 下 することによるハード ランディングの 事 態 が 危 惧 されるようになったことがその 背 景 である 太 陽 光 発 電 産 業 が この 衝 撃 に 耐 え スムーズなテークオフにより 2030 年 に 向 けて 健 全 な 発 展 を 遂 げて 行 く ために 越 えなければならないハードルをより 具 体 的 に 記 述 することで JPEA ビジョンの 一 貫 したテーマである 太 陽 光 発 電 産 業 の 持 続 的 発 展 のための 可 能 性 をさらに 補 強 する 資 料 となることを 目 指 した 又 2030 年 までは 残 すところ 僅 か 15 年 であり 長 期 的 な 未 来 と 言 う 意 味 で さらにその 先 の 社 会 を 展 望 する 端 緒 となることも 意 図 した 本 稿 は JPEA PV OUTLOOK 2030 のストーリーを 踏 襲 しているため 改 訂 版 ではな く 姉 妹 編 とし 2030 年 での 国 内 累 積 導 入 量 目 標 100GW は 変 えることなく 国 内 状 況 に 限 定 して 補 強 を 行 った FIT の 設 備 認 定 量 が 70GW を 超 えたこと 九 州 電 力 管 内 では 大 量 の 設 備 認 定 量 により 電 力 需 要 の 小 さい 軽 負 荷 期 に 太 陽 光 発 電 の 供 給 電 力 量 が 需 要 電 力 量 を 上 回 ること エネルギー 基 本 計 画 ( 平 成 26 年 4 月 策 定 )で 示 される 2030 年 のエネ ルギー 需 給 においての 太 陽 光 発 電 が 572 億 kwh( 設 備 容 量 53GW) 以 上 であること 等 々 からは 1974 年 に 始 まった 国 家 計 画 であるサンシャイン 計 画 以 来 の 官 民 挙 げての 開 発 や 普 及 の 努 力 が 結 実 し 既 に 太 陽 光 発 電 の 普 及 は 所 期 の 目 標 を 達 成 したと 性 急 に 結 論 づけられ る 懸 念 もある この 点 からは やるべきこと やれることはもう 無 い という 声 も 聞 こえ てきそうではあるが むしろそうではなく 産 業 を 含 む 日 本 全 体 で 為 すべきことがより 具 体 的 現 実 的 なものになったと 認 識 すべきである 又 本 稿 では 純 粋 な 国 産 エネルギーであると 共 に 産 業 振 興 や 地 域 活 性 化 環 境 対 策 に 貢 献 する 等 の 点 から 太 陽 光 発 電 はまだまだ 伸 ばさなければならないという 考 えに 立 ち あえて 導 入 の 限 界 量 にも 言 及 し 100GW を 超 えてもなお 必 要 なものであり かつ 導 入 が 可 能 であることを 示 した 太 陽 光 発 電 産 業 の 発 展 が 日 本 のエネルギー 問 題 環 境 問 題 の 解 決 の 一 助 となることは 疑 いようもないが 太 陽 光 発 電 の 価 値 が 生 活 者 のレベルにおいて 如 何 に 消 費 者 に 受 け 入 れら れるかという 点 については 正 念 場 を 迎 えつつある 1
2. 急 拡 大 した 国 内 市 場 2.1 国 内 の 状 況 2.1.1 国 内 導 入 見 通 し 図 2-1 は 今 回 見 直 しの 中 心 となる 2030 年 までの 国 内 累 積 導 入 量 見 通 しである 図 中 赤 枠 赤 線 で 重 ねたグラフは FIT 制 度 が 始 まった 直 後 の 2012 年 8 月 に 作 成 したビジョ ンである FIT 制 度 による 導 入 促 進 効 果 が 見 えていない 段 階 では 現 在 の 設 備 認 定 量 であ る 約 70GW に 到 達 するのは 2025 年 を 過 ぎてからと 予 測 していた その 意 味 で 現 在 の 系 統 接 続 制 約 問 題 は 10 年 前 倒 しで 現 実 のものとなったと 言 える 図 2-1 国 内 累 積 導 入 量 見 通 し 国 内 累 積 導 入 量 見 通 しは 下 記 の 内 容 を 考 慮 して 試 算 した 2012 年 7 月 より 実 施 された FIT 制 度 における 設 備 認 定 量 約 70GW の 導 入 を 考 慮 する 第 8 回 新 エネルギー 小 委 員 会 (2014 年 12 月 18 日 開 催 )で 示 された 電 力 会 社 毎 の 再 生 可 能 エネルギー 接 続 可 能 量 も 考 慮 する 東 北 地 方 の 震 災 復 興 事 業 や 東 京 オリンピック 開 催 準 備 との 期 間 重 複 による 絶 対 的 な 施 工 人 員 不 足 を 見 込 み 経 験 による 習 熟 度 向 上 も 前 提 とした 上 で 毎 年 の 導 入 量 に 一 定 の 上 限 値 を 設 定 する 施 工 能 力 の 限 界 などの 理 由 により 設 備 認 定 分 で 早 期 に 設 置 できなかったものも 数 年 間 は 安 定 した 導 入 量 とする 2
FIT 制 度 のプレミアム 期 間 終 了 後 2020 年 までは 10kW 以 上 の 市 場 での 適 地 の 減 少 や 買 取 単 価 下 落 による 事 業 性 の 低 下 により 設 備 認 定 量 及 び 導 入 量 は 一 旦 減 少 するものと する 2022 年 以 降 は 電 力 システム 改 革 の 進 展 や 発 電 コストの 低 下 により 安 定 した 導 入 を 見 込 んだ FIT 制 度 以 前 から 普 及 を 支 えてきた 10kW 未 満 の 住 宅 用 システムは 市 場 のベースとし て FIT 制 度 下 でも 余 剰 電 力 へのインセンティブにより 安 定 的 に 伸 長 するものとする 10kW 以 上 の 市 場 が 一 段 落 する 2020 年 以 降 は 新 築 住 宅 における 搭 載 率 が 毎 年 上 昇 す ると 共 に 既 築 住 宅 においても 搭 載 が 進 み 住 宅 用 への 期 待 の 高 まりから 毎 年 安 定 的 に 成 長 するものとする 図 2-2 に 2006 年 度 から 2013 年 度 までの 太 陽 電 池 出 荷 量 推 移 を 示 す 過 去 の 実 績 から も FIT 制 度 の 効 果 が 2012 年 以 降 非 住 宅 分 野 の 激 増 に 顕 著 に 表 れていることが 分 かる 海 外 市 場 においては FIT 単 価 引 き 下 げにより 発 電 事 業 としての 経 済 的 魅 力 が 失 われると 共 に 過 当 競 争 もあり 輸 出 比 率 は 激 減 した この 窮 地 から 産 業 を 救 ったのは FIT 制 度 に より 活 性 化 した 国 内 市 場 と 言 える 一 方 で 海 外 製 品 の 調 達 も 増 えてきた FIT 制 度 を 先 行 して 導 入 してきた EU 市 場 で 起 こったことを 見 れば 産 業 振 興 エネルギー 政 策 にどの ような 影 響 を 及 ぼすかを 考 える 上 で 大 いに 教 訓 となる MW/ 年 輸 出 比 率 / 年 9,000 8,000 7,000 6,000 5,000 参 考 平 成 25 年 度 モジュール 国 内 出 荷 輸 出 国 内 非 住 宅 ( 公 共 産 業 用 ) 国 内 住 宅 輸 出 比 率 114 6,179 90.0% 80.0% 70.0% 60.0% 50.0% 4,000 562 40.0% 3,000 2,000 1,000 0 1,940 1,281 1,476 1,045 199 2,367 884 196 1,869 41 80 196 544 862 1,206 2006FY 2007FY 2008FY 2009FY 2010FY 2011FY 2012FY 2013FY 30.0% 20.0% 10.0% 0.0% 図 2-2 太 陽 電 池 出 荷 量 推 移 出 典 :JPEA 2.1.2 便 益 FIT 制 度 の 問 題 点 のみがクローズアップされる 中 効 果 や 便 益 の 検 証 も 重 要 である 図 2-3~ 図 2-6 は 2014 年 8 月 8 日 の 第 2 回 新 エネルギー 小 委 員 会 の 場 で JPEA が 発 表 した 資 料 である 特 筆 すべきは 僅 か 3 年 で 白 物 家 電 市 場 と 同 等 の 約 2.5 兆 円 の 市 場 が 創 出 され たこと 設 備 インフラ 産 業 として 10 万 人 超 の 直 接 雇 用 を 生 み 出 したことである 特 に 販 売 施 工 の 会 社 が 全 国 で 5,000 社 を 超 えたことは 地 域 の 活 性 化 に 貢 献 した 3
図 2-3 太 陽 光 発 電 の 大 量 導 入 がもたらす 便 益 図 2-4 太 陽 光 発 電 便 益 の 試 算 結 果 4
図 2-5 地 域 に 貢 献 する 太 陽 光 発 電 1:2013 年 度 の 直 接 雇 用 人 員 対 象 は モジュール パワーコンディショナ 架 台 工 事 関 連 土 地 関 連 系 統 関 連 運 転 維 持 関 連 2:2013 年 度 の 総 雇 用 人 員 対 象 は 上 記 直 接 雇 用 + 間 接 1 次 ( 原 材 料 等 の 中 間 需 要 によって 起 こる 生 産 波 及 効 果 )+ 間 接 2 次 ( 誘 発 された 雇 用 者 所 得 のうち 消 費 支 出 分 の 生 産 ) 雇 用 を 含 む 図 2-6 太 陽 光 発 電 国 内 市 場 と 雇 用 創 出 5
さらに 表 2-1 に 2014 年 の 夏 季 最 大 需 要 日 における 供 給 電 源 としての 太 陽 光 発 電 の 貢 献 を 示 す もし 太 陽 光 発 電 が 設 置 されていなかったら 供 給 電 源 の 予 備 率 がどうなったかを 下 段 に 示 す 最 大 需 要 日 のピーク 需 要 時 間 は 各 電 力 で 13~17 時 までの 間 でばらついており 太 陽 光 発 電 の 出 力 がピークとなる 12 時 頃 との 時 間 のずれがあることから 貢 献 度 はこの 点 にも 留 意 し 全 体 としてメリット デメリットを 評 価 しなければならない 北 海 道 東 北 東 京 中 部 関 西 北 陸 中 国 四 国 九 州 供 給 力 ( 万 KW) 510 1,586 5,444 2,647 2,843 572 1,160 572 1,714 最 大 需 要 ( 万 KW) 459 1,360 4,980 2,452 2,667 518 1,061 526 1,522 予 備 率 (%) 11.1 16.7 9.3 8.0 6.6 10.4 9.3 8.8 12.7 (PVが 無 い 場 合 ) (7.3) (13.9) (4.8) (2.7) (2.8) (7.5) (4.8) (0.7) (5.4) 出 典 : 電 力 需 給 検 証 小 委 員 会 第 7 回 会 合 資 料 / PV が 無 い 場 合 は 同 資 料 より JPEA 再 計 算 表 2-1 2014 年 夏 季 最 大 需 要 日 需 給 状 況 実 績 2.2 世 界 の 中 の 日 本 国 際 的 にも 太 陽 光 発 電 は 電 力 供 給 の 面 からだけでなく GDP( 国 内 総 生 産 )への 貢 献 の 面 からも 評 価 されるようになり 産 業 として 一 定 の 評 価 を 得 るところまできた 国 際 エ ネルギー 機 関 (IEA)の TRENDS 2014 の 冒 頭 S.Nowak 議 長 は 太 陽 光 発 電 は 従 来 のニッチマーケットを 脱 し 電 力 供 給 の 主 流 になりつつある イタリアでは 太 陽 光 発 電 由 来 電 気 が 電 力 供 給 の 8%に 迫 り ドイツでは 6%を 超 え ギリシャも 6%に 近 い 供 給 を 果 た すまでになった その 中 で 太 陽 光 発 電 のピーク 出 力 を 電 力 システムにどう 組 み 込 むか 新 しいビジネスモデルや 市 場 設 計 において この 新 たな 課 題 に 取 り 組 む 必 要 がある と 述 べ た このことは 正 に 現 在 日 本 が 直 面 している 問 題 であり 先 進 導 入 国 共 通 の 認 識 でもある 図 2-7 図 2-8 は 2013 年 末 時 点 の 太 陽 光 発 電 由 来 電 気 の 比 率 であり 対 消 費 電 力 量 比 で は 6%を 超 えるイタリアとドイツが 突 出 している 系 統 が 隣 国 と 連 系 されていること 調 整 のための 揚 水 発 電 や 火 力 発 電 の 構 成 が 異 なることなど 一 概 に EU と 比 較 することはで きないが 対 消 費 電 力 量 比 で 1.4%の 日 本 が 今 後 の 工 夫 次 第 で 世 界 No.1 になることも 可 能 である 系 統 対 策 自 由 電 力 市 場 形 成 電 力 制 御 方 法 などの 点 で EU の 経 験 には 参 考 にな るものが 多 い 電 力 多 消 費 国 であり かつ 独 立 した 島 国 資 源 小 国 の 日 本 がどのような 方 向 を 目 指 すべきかについては これらの 経 験 を 元 にすれば 自 ずと 明 らかになる 対 GDP 比 ではいずれの 国 も 1%に 満 たないが 日 本 の 太 陽 光 発 電 産 業 としては ビジョン 当 初 目 標 である 10 兆 円 ( 対 GDP 比 約 2%)を 超 えて 行 かなければならない 6
MW 50,000 45,000 40,000 35,000 30,000 25,000 累 積 PV (MW) PV 電 気 / 需 要 (%) PV 市 場 /GDP (%) 1US$=97.6 円 % 8.0 7.0 6.0 5.0 4.0 20,000 15,000 10,000 5,000 0 3.0 2.0 1.0 0.0 出 所 :IEA-PVPS T1-25:2014 TRENDS 2014 図 2-7 太 陽 光 発 電 由 来 電 気 と 対 GDP 市 場 規 模 図 2-8 消 費 電 力 量 に 占 める 太 陽 光 発 電 由 来 電 気 順 位 (2013 年 末 計 算 値 ) 7
図 2-9 は 2006 年 から 2013 年 までの 主 要 国 と 世 界 の 年 間 導 入 量 であるが 時 々の 政 策 や 制 度 の 変 更 により 大 きく 波 打 っており 必 ずしも 右 肩 上 がりではない これは 太 陽 光 発 電 の 市 場 規 模 推 移 が 単 に 生 産 と 消 費 の 関 係 だけで 決 まっている 訳 ではないことを 示 してい る 言 い 換 えればその 普 及 は 市 場 原 理 経 済 原 理 による 力 を 未 だ 有 していないというこ とである 国 別 年 間 導 入 量 MW 世 界 年 間 導 入 量 MW 14,000 世 界 12,000 日 本 ドイツ 10,000 イタリア 8,000 スペイン 米 国 6,000 中 国 4,000 39,957 12,920 30,391 31,095 9,454 7,406 7,609 7,485 6,968 17,069 5,000 4,751 3,348 2,500 3,304 2,321 3,346 45,000 40,000 35,000 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 2,000 1,867 991 2,000 1,620 5,000 918 1,296 276 500 102 0 392 472 0 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 暦 年 IEAPVPS TRENDS 2014 より 算 出 図 2-9 主 要 国 と 世 界 の 年 間 導 入 量 図 2-10 は 2013 年 末 の 主 要 国 における 累 積 導 入 量 と 2013 年 に 導 入 された 量 を 示 す 2013 年 単 年 の 比 率 が 高 い 中 国 や 日 本 は 近 年 市 場 が 活 性 化 されていることを 表 している MW 40000 35000 30000 25000 20000 15000 累 積 内 単 年 2013 年 末 累 積 導 入 量 (TOP10) 世 界 計 : 139.8 GW イギリス, 3,377 スペイン, 4,640 フランス, 4,733 アメリカ, 12,079 オーストラ リア, 3,226 (8.6%) 日 本 (9.7%), 13,599 (12.9%) イタリア, 18,074 ベルギー, 3,009 (25.6%) ドイツ, 35,766 MW MW (14.1%) 中 国, 19,720 10000 5000 IEA PVPS T1-25:2014を 参 考 に JPEA 作 成 日 本 : 経 済 産 業 省 News Release 掲 載 の 数 値 より 計 算 0 ドイツ 中 国 イタリア 日 本 米 国 スペイン フランス 出 典 :Report IEA-PVPS T1-25:2014 オーストラリア ベルギー 英 国 ギリシア インド チェコ 韓 国 カナダ ルーマニア ブルガリア スイス タイ オランダ ウクライナ オーストリア デンマーク スロバキア イスラエル 台 湾 ポルトガル メキシコ マレーシア スウェーデン トルコ ノルウェー 図 2-10 国 別 累 積 及 び 2013 年 単 年 導 入 8
2.3 国 内 住 宅 用 見 通 し 2.3.1 住 宅 用 太 陽 光 発 電 の 状 況 図 2-11 に 1994 年 から 2014 年 度 までの 住 宅 用 太 陽 光 発 電 の 累 積 導 入 件 数 を 示 す 2009 年 度 以 降 に 市 場 が 急 速 に 拡 大 しているが その 変 化 要 因 は 以 下 の 通 りである 1) 余 剰 電 力 買 取 制 度 と 補 助 金 2009 年 1 月 に 開 始 された 国 による 補 助 金 及 び 2009 年 11 月 に 開 始 された 余 剰 電 力 買 取 制 度 によって 住 宅 用 太 陽 光 発 電 の 市 場 が 一 気 に 活 性 化 した 2) 固 定 価 格 買 取 制 度 (FIT)への 移 行 2012 年 7 月 の FIT 買 取 制 度 導 入 により 住 宅 用 太 陽 光 発 電 の 1 戸 あたりの 設 置 容 量 が 拡 大 し 市 場 構 造 が 変 化 した 補 助 金 の 交 付 対 象 は 容 量 10kW 未 満 のシステムであったが 補 助 金 終 了 後 は 戸 建 住 宅 でも 10kW 以 上 のシステムを 搭 載 する 住 宅 モデルの 導 入 が 加 速 さ れている 図 2-11 住 宅 用 太 陽 光 発 電 累 積 導 入 件 数 9
2.3.2 直 近 の 市 場 の 変 化 1) 戸 建 住 宅 容 量 10kW 以 上 のシステムを 搭 載 できるように 屋 根 形 状 を 工 夫 した 住 宅 モデルの 導 入 が 活 性 化 している 又 屋 根 上 設 置 で 容 量 10kW を 確 保 できない 場 合 は カーポートの 屋 根 等 を 活 用 した 事 例 も 見 られる( 写 真 2-1 写 真 2-2) 写 真 2-1 10kW 以 上 システム 搭 載 モデル 写 真 2-2 屋 根 以 外 設 置 事 例 2) 集 合 住 宅 ( 長 屋 ) 賃 貸 集 合 住 宅 では 10kW 以 上 のシステムを 搭 載 し 全 量 売 電 にてオーナーの 賃 貸 住 宅 経 営 を 改 善 するモデルが 普 及 し 始 めた( 写 真 2-3) 写 真 2-3 集 合 住 宅 用 太 陽 光 発 電 設 置 事 例 10
前 述 のような 容 量 10kW 以 上 の 市 場 の 急 速 な 活 性 化 を 反 映 し 市 場 見 通 しの 見 直 しを 行 った 直 近 では 20 年 全 量 買 い 取 りを 前 提 とした 容 量 10kW 以 上 のシステムが 件 数 の 約 2 割 を 占 めることで 導 入 容 量 が 大 きく 拡 大 すると 想 定 しているが 数 年 後 には 本 来 の 住 宅 用 太 陽 光 発 電 の 容 量 である 10kW 未 満 の 市 場 に 収 斂 し その 後 は 安 定 的 な 市 場 を 形 成 する と 想 定 している 2014 年 9 月 に 発 生 した 電 力 会 社 の 系 統 接 続 申 し 込 みへの 回 答 一 時 保 留 によって 10kW 以 上 の 大 容 量 システム 導 入 のリスクが 顕 在 化 した 為 よりリスクの 少 ない 10kW 未 満 の 住 宅 用 への 回 帰 の 動 きもある さらに FIT 買 い 取 り 単 価 のプレミア 期 間 が 終 了 する 2015 年 以 降 は 10kW 以 上 / 未 満 の 設 置 容 量 傾 向 は 変 動 する 可 能 性 もある 但 しその 場 合 でも 容 量 10kW 超 は 9~10kW へのシフトとなり 全 体 の 件 数 容 量 への 影 響 は 限 定 的 であろ う 図 2-12 は 住 宅 用 太 陽 光 発 電 システムの 容 量 及 び 件 数 表 示 での 導 入 見 通 しである 250 200 容 量 表 示 10kW 以 上 既 築 戸 建 新 築 戸 建 累 積 容 量 万 kw 5000 4000 150 3000 100 2000 50 1000 0 2010 11 12 13 14 15 16 17 18 19 2020 21 22 23 24 25 26 27 28 29 2030 0 50 件 数 表 示 10kW 以 上 既 築 戸 建 新 築 戸 建 累 積 件 数 万 件 1000 40 800 30 600 20 400 10 200 0 2010 11 12 13 14 15 16 17 18 19 2020 21 22 23 24 25 26 27 28 29 2030 0 図 2-12 住 宅 用 太 陽 光 発 電 システム 導 入 見 通 し 11
2.3.3 今 後 想 定 される 系 統 連 系 問 題 に 対 する 住 宅 用 太 陽 光 発 電 の 変 化 2009 年 11 月 に 開 始 された 住 宅 用 太 陽 光 発 電 の 余 剰 電 力 買 取 制 度 は 買 い 取 り 期 間 10 年 間 で 終 了 するため 2019 年 以 降 は 余 剰 電 力 の 売 電 が 自 由 市 場 での 取 引 になるものが 年 々 増 加 していくことになる この 自 由 取 引 想 定 量 を 累 積 導 入 容 量 見 通 しと 合 わせてグラフ 化 すると 図 2-13 となる(10kW 以 上 は 除 外 ) 2020 年 までは FIT が 適 用 される 累 積 容 量 が 毎 年 増 加 傾 向 にあるが 2020 年 以 降 は FIT 適 用 分 の 増 加 は 緩 やかなものになるため 電 力 消 費 者 の 負 担 (サーチャージ)も 限 定 的 なものになることが 想 定 される 次 に これを 系 統 に 流 入 する 余 剰 電 力 量 で 評 価 したものが 図 2-14 である 導 入 後 11 年 目 以 降 は 余 剰 電 力 の 売 電 が 自 由 取 引 に 移 行 することになるが 自 由 市 場 においては 安 価 な 売 電 単 価 が 予 想 されるため エコキュート( 自 然 冷 媒 CO2ヒートポンプ 式 給 湯 機 )の 昼 間 運 転 蓄 電 池 の 活 用 等 で 自 家 消 費 した 方 が 経 済 的 なメリットが 大 きくなると 考 えられる そこで 自 家 消 費 電 力 量 の 増 加 により 売 電 量 ( 系 統 への 流 入 量 )が 11 年 目 以 降 は 10 年 目 ま での 50%になる 場 合 (CASE-1) 全 量 を 自 家 消 費 電 力 量 に 回 した 場 合 (CASE-2)の 試 算 結 果 もグラフ 中 に 併 記 した ユーザーは 当 初 10 年 間 の FIT 制 度 活 用 により 太 陽 光 発 電 設 備 への 投 資 はほぼ 回 収 され ているため 11 年 目 以 降 は 自 家 消 費 での 活 用 を 促 すことで 系 統 への 流 入 量 を 抑 制 し 系 統 への 負 担 が 軽 減 できる 可 能 性 がある 系 統 連 系 システムを 持 続 可 能 なシステムとして 運 用 するためには 余 剰 電 力 の 売 電 制 度 を 有 効 に 活 用 すべきである 4000 3000 万 kw FIT 適 用 自 由 取 引 容 量 累 積 容 量 2000 1000 0 09 2010 11 12 13 14 15 16 17 18 19 2020 21 22 23 24 25 26 27 28 29 2030 図 2-13 FIT 後 の 住 宅 市 場 容 量 12
250 200 150 億 kwh FIT 適 用 自 由 取 引 累 積 流 入 量 case1(50%) case2(100%) 100 50 0 2010 11 12 13 14 15 16 17 18 19 2020 21 22 23 24 25 26 27 28 29 2030 < 試 算 条 件 > 1kW 当 たり 年 間 1000kWh/ 年 の 発 電 電 力 量 で 1 邸 当 たりの 自 家 消 費 電 力 量 は 1500kWh/ 年 とし 余 剰 分 が 系 統 に 流 入 する 図 2-14 FIT 後 の 住 宅 市 場 からの 電 力 量 2.4 国 内 非 住 宅 用 見 通 し 2.4.1 非 住 宅 用 太 陽 光 発 電 の 状 況 2011 年 までの 太 陽 光 発 電 市 場 は 70~80%を 住 宅 用 が 占 め 残 りが 非 住 宅 用 であり 最 も 出 荷 の 多 かった 2010 年 から 2011 年 でも 年 間 200MW 程 度 であった 大 きく 公 共 分 野 と 産 業 分 野 に 分 けられる 非 住 宅 用 市 場 は 住 宅 用 に 比 べ 電 気 料 金 が 1/2 以 下 であることから 導 入 における 事 業 経 済 性 の 障 壁 は 高 く 環 境 貢 献 や 省 エネというボランタリー 精 神 に 支 えら れた 市 場 であった そのため 導 入 規 模 は 補 助 金 予 算 総 額 の 範 囲 に 留 まっていた 2.4.2 直 近 の 市 場 の 変 化 2012 年 7 月 の FIT 制 度 の 導 入 は 非 住 宅 用 の 市 場 ( 公 共 産 業 分 野 )を 大 きく 変 える こととなった 国 内 総 出 荷 に 占 める 非 住 宅 用 の 割 合 は 2012 年 度 で( 国 内 総 出 荷 量 3.8GW に 対 し)50% 2013 年 度 で( 同 8.4GW に 対 し)73% 2014 年 度 上 半 期 で( 上 期 国 内 総 出 荷 量 4.3GW に 対 し)77%と 大 幅 に 伸 張 し 住 宅 用 を 大 きく 上 回 る 市 場 拡 大 の 牽 引 力 とな った FIT 制 度 の 最 大 の 成 果 は ボランタリー 導 入 に 依 存 していた 太 陽 光 発 電 産 業 にとって 事 業 経 済 性 が 確 保 されさえすれば 導 入 への 障 壁 は 低 く ポテンシャルは 非 常 に 高 い こと を 証 明 したことである 従 来 は 太 陽 光 発 電 導 入 のポテンシャルを 議 論 する 上 での 制 約 条 件 として 設 置 スペースの 有 無 導 入 者 の 有 無 投 資 資 金 の 有 無 システム 技 術 の 熟 度 施 工 を 含 むサプライヤーの 供 給 能 力 などの 懸 念 材 料 が 根 底 にあった しかし FIT 制 度 に より 事 業 の 予 見 性 が 保 証 されたことで 幅 広 い 層 からの 参 入 が 促 された 何 よりも 想 定 外 で 13
あったのは 机 上 での 検 討 では 想 像 できない 程 の 大 量 の 未 利 用 遊 休 スペースが 現 れたことで あり 他 の 再 生 可 能 エネルギーに 比 べ 施 工 までのリードタイムが 短 いことと 併 せ システ ム 設 計 規 模 の 自 由 度 が 大 きいという 太 陽 光 発 電 ならではの 特 長 が 活 かされた 形 となってい る 2014 年 4 月 からは 設 備 容 量 をさらに 細 分 化 した 結 果 が 公 開 されている 制 度 開 始 の 2012 年 7 月 から 2014 年 11 月 末 までの 太 陽 光 発 電 の 運 転 開 始 容 量 と 2014 年 12 月 末 ま での 設 備 認 定 容 量 を 図 年 2-15 に 示 す 図 2-15 2014 年 12 月 までに 認 定 を 受 けた 設 備 容 量 と 運 転 開 始 特 別 高 圧 連 系 の 対 象 となる 2MW 以 上 のメガソーラーについては 特 別 高 圧 用 送 電 線 の 敷 設 等 電 力 会 社 との 系 統 アクセス 作 業 に 時 間 がかかることなどを 考 慮 すれば 今 後 3~5 年 の 間 に 運 転 開 始 していくものと 想 定 される 10kW 以 上 の 規 模 別 の 設 備 認 定 において 当 該 認 定 期 間 (2012 年 7 月 ~2014 年 11 月 ) の 特 色 としては 2014 年 3 月 まで 認 められていた 低 圧 分 割 案 件 が 含 まれること 手 続 き 的 にも 簡 便 な 10~50kW 規 模 の 低 圧 連 系 案 件 が 多 く 含 まれること 統 計 上 に 現 れにく かった 未 利 用 有 休 スペースの 利 用 が 盛 んに 計 られたこと がある 一 方 2014 年 4 月 からは 制 度 面 での 運 用 が 見 直 され 低 圧 分 割 や 高 圧 分 割 の 分 割 案 件 は 認 められなくなった 又 2012 年 度 2013 年 度 の 未 設 置 案 件 については 土 地 及 び 設 備 が 一 定 期 間 中 に 確 保 できていない 場 合 設 備 認 定 が 失 効 することとなった これらの 対 応 は FIT 制 度 の 構 造 上 の 欠 陥 によるものというより 制 度 の 趣 旨 に 照 らし 逸 脱 する 部 14
分 を 運 用 で 改 善 して 行 こうとするものである 非 住 宅 用 の 分 野 では 急 激 な 設 備 認 定 の 拡 大 により 電 力 需 要 の 小 さい 軽 負 荷 期 に 電 力 の 需 給 バランスが 崩 れ 安 定 供 給 に 支 障 が 出 るとの 懸 念 から 2014 年 9 月 に 電 力 会 社 が 系 統 接 続 申 し 込 みへの 回 答 を 一 時 保 留 するという 事 態 となった 系 統 接 続 制 約 問 題 については 4 章 で 詳 述 するが 大 別 して 接 続 点 近 傍 での 系 統 の 熱 容 量 の 問 題 と 電 力 会 社 管 内 で の 需 給 バランスの 問 題 がある 尚 これらの 問 題 が 出 てきた 発 端 が 現 実 の 連 系 量 から 起 こる( 起 こった) 実 際 のこと を 前 提 としてではなく 現 時 点 の 設 備 認 定 量 が 全 て 運 転 開 始 された 場 合 を 想 定 してのこと であることは 留 意 すべき 点 である これにより 既 に 設 備 認 定 済 み 案 件 であっても 運 転 開 始 に 至 るか 否 かが 重 要 なポイントとなるため 国 と してはさらに 一 部 物 件 の 精 査 を 余 儀 なくされているが もし 連 系 枠 だけを 押 さえてそれを 転 売 するようなビジネスがあるなら それは 制 度 本 来 の 趣 旨 ではない 冒 頭 2.1.1 項 の 国 内 導 入 量 見 通 しは これらの 発 電 事 業 の 中 止 取 り 止 め 分 をある 程 度 見 込 んでいる 2.4.3 今 後 の 非 住 宅 用 市 場 の 見 通 しについて FIT 制 度 施 行 後 3 年 間 は 買 取 価 格 算 定 に 当 たって 利 潤 に 特 に 配 慮 するよう 定 められて いると 同 時 に 電 気 料 金 に 上 乗 せされる 賦 課 金 による 国 民 負 担 が 過 重 なものにならないこ とが 求 められている 非 住 宅 用 の 税 抜 き 買 取 価 格 については 毎 年 見 直 され 平 成 24 年 度 ( 導 入 年 度 )40 円 /kwh 平 成 25 年 度 36 円 /kwh 平 成 26 年 度 32 円 /kwh と 推 移 し い ずれも 利 益 指 標 となる IRR が 6%( 適 正 水 準 4%+プレミアム 2%)を 前 提 としていた 2015 年 7 月 以 降 にはこのプレミアム 分 がなくなることや システム 価 格 の 低 下 水 準 が 鈍 化 していること 適 地 減 少 から 系 統 アクセス 費 用 や 土 地 造 成 費 用 などの 条 件 が 悪 化 して いることなどから 今 後 は 設 備 認 定 量 の 伸 びがスローダウンする 可 能 性 が 高 い 結 果 とし て 2015 年 度 以 降 の 非 住 宅 用 市 場 については システム 設 置 に 伴 う 制 約 や 障 害 が 少 ない 分 野 で 設 置 が 進 むと 想 定 される 又 今 後 電 力 システム 改 革 が 進 められていく 中 で 電 力 自 由 化 による 業 態 をこえた 動 きや デマンドレスポンスなどの 新 しいビジネスモデルと 組 み 合 わせた 普 及 が 拡 大 する 可 能 性 が 高 い 今 後 は スマート 化 がより 加 速 されると 考 えら れ エネルギー 貯 蔵 や 地 域 特 性 に 応 じた 多 様 なシステムによる 付 加 価 値 の 拡 大 も 期 待 され る 表 2-2 に 短 期 長 期 に 分 けての 非 住 宅 用 市 場 の 特 徴 を 写 真 2-4~ 写 真 2-6 に 設 置 事 例 を 示 した 15
表 2-2 非 住 宅 市 場 の 変 化 と 今 後 の 展 開 の 可 能 性 写 真 2-4 低 圧 案 件 地 上 設 置 写 真 2-5 高 圧 案 件 折 板 屋 根 設 写 真 2-6 特 別 高 圧 発 電 設 備 16
3. 設 備 認 定 量 が 示 すもの 3.1 都 道 府 県 別 規 模 FIT 制 度 による 2012 年 7 月 から 2014 年 9 月 末 までの 設 備 認 定 量 と それ 以 前 の 余 剰 電 力 買 取 制 度 下 の 設 置 量 (FIT 制 度 へのいわゆる 移 行 容 量 )を 合 わせた 73.9GW の 太 陽 光 発 電 が 全 て 稼 働 した 場 合 の 年 間 推 定 発 電 量 は 875 億 kwh となり 公 表 されている 直 近 (2011 年 度 )の 総 電 力 需 要 1 兆 550 億 kwh のほぼ 8% 程 度 となる JPEA PV OUTLOOK 2030 の 2030 年 時 点 での 目 標 である 約 100GW の 太 陽 光 発 電 が 導 入 された 場 合 の 年 間 推 定 発 電 量 は 1,184 億 kwh となり これは 総 需 要 の 11.2%となる 仮 に 各 都 道 府 県 の 電 力 需 要 の 11.2%を 太 陽 光 発 電 の 導 入 目 標 と 置 き 換 え 都 道 府 県 別 の 認 定 ( 及 び 移 行 ) 設 備 の 発 電 量 と 比 較 したものが 図 3-1 である 需 要 の 大 きい 都 道 府 県 か ら 順 に 示 したが 認 定 設 備 の 立 地 に 地 域 偏 在 のあることがわかる 当 然 のことながら 人 口 が 多 く 産 業 の 集 積 も 大 きい 東 京 名 古 屋 阪 神 地 区 では 電 力 需 要 は 大 きく 認 定 容 量 は 目 標 の 僅 か 1 割 程 度 にしかならないが 東 北 九 州 地 方 では 多 くの 県 で 既 に 目 標 の 2 倍 を 超 える 認 定 容 量 となっている この 認 定 容 量 を 導 入 ポテンシャルと 見 れば 設 置 可 能 な 地 域 と 需 要 地 を 結 ぶ 系 統 の 強 化 が 認 定 済 の 設 備 を 連 系 し 稼 働 させるために 必 要 である また 需 要 地 での 設 備 導 入 の 促 進 も 重 要 であり 土 地 に 制 約 があるならば 屋 根 への 設 置 や 未 利 用 有 休 スペースへのさら なる 導 入 促 進 策 が 必 要 である 百 万 kwh 2014 年 9 月 末 時 点 の 都 道 府 県 別 認 定 移 行 設 備 容 量 は 経 済 産 業 省 開 示 データによる 都 道 府 県 別 発 電 量 は 上 記 容 量 と 県 庁 所 在 地 の MONSOLA-11( 真 南 30 度 設 置 ) 日 射 データにより 算 出 都 道 府 県 別 電 力 需 要 は 経 済 産 業 省 開 示 データ 2011 年 度 確 報 による 図 3-1 都 府 県 別 設 備 認 定 発 電 量 と 2030 年 時 点 導 入 目 標 量 17
11.2%を 目 標 値 として 電 力 別 に 括 ると 図 3-2 になる 都 道 府 県 別 でみた 認 定 設 備 の 立 地 の 偏 在 により 九 州 電 力 及 び 東 北 電 力 管 内 では 目 標 値 である 11.2%を 既 に 超 えている 特 に 九 州 電 力 管 内 では 目 標 値 の 2 倍 近 い 認 定 量 に 達 している しかし 東 京 電 力 中 部 電 力 関 西 電 力 (いわゆる 中 3 社 )では 認 定 設 備 発 電 量 が 目 標 値 を 大 幅 に 下 回 っており さ らなる 導 入 促 進 が 必 要 である これらの 地 域 に 適 地 が 少 ない 等 の 導 入 制 約 があるならば 九 州 から 関 西 へ 東 北 から 東 京 へ 配 電 する 系 統 強 化 による 広 域 運 用 が 必 須 であり 加 えて 新 たな 需 要 の 創 出 や 能 動 化 も 検 討 する 必 要 がある 100 万 kwh 40,000 35,000 30,000 25,000 認 定 設 備 発 電 量 需 要 x11% 20,000 15,000 10,000 5,000 0 北 海 道 東 北 東 京 中 部 北 陸 関 西 中 国 四 国 九 州 沖 縄 図 3-2 電 力 会 社 別 設 備 認 定 発 電 量 と 2030 年 時 点 導 入 目 標 量 図 3-3 では さらに 低 圧 と 高 圧 以 上 を 区 別 して 整 理 した ここでは 仮 に 今 後 増 大 するで あろう 低 圧 需 要 の 導 入 目 標 を 15%とし 残 りを 高 圧 以 上 の 導 入 目 標 としてそれぞれの 発 電 量 と 比 較 した 九 州 では 低 圧 も 高 圧 も 目 標 値 を 超 えている 北 海 道 では 高 圧 以 上 の 方 が 目 標 値 に 近 く 規 模 の 大 きな 設 備 の 認 定 が 進 んでいることが 分 かる それ 以 外 の 地 域 では 総 じて 低 圧 の 方 が 目 標 値 に 近 く 高 圧 以 上 の 設 備 導 入 の 促 進 が 必 要 である 百 万 kwh 25,000 20,000 15,000 低 圧 設 備 発 電 量 高 圧 以 上 発 電 量 低 圧 目 標 高 圧 以 上 目 標 10,000 5,000 0 北 海 道 東 北 東 京 中 部 北 陸 関 西 中 国 四 国 九 州 沖 縄 図 3-3 電 力 会 社 別 低 圧 高 圧 設 備 2030 年 時 点 目 標 量 18
3.2 電 力 供 給 に 占 める 規 模 表 3-1 に 既 存 発 電 設 備 諸 元 に 対 する 設 備 認 定 量 の 規 模 感 を 示 す 北 海 道 東 北 東 京 中 部 北 陸 関 西 中 国 四 国 九 州 沖 縄 10 社 計 総 発 電 量 *1 100 万 kwh 34,236 85,219 291,023 139,011 31,020 153,832 65,086 30,007 91,861 8,557 929,850 PV: 移 行 + 認 定 設 備 発 電 量 * 2 100 万 kwh 3,354 12,381 21,061 9,656 1,072 6,608 6,498 3,309 22,817 782 87,540 PV 発 電 量 / 総 発 電 量 % 10% 15% 7% 7% 3% 4% 10% 11% 25% 9% 9% 発 電 設 備 容 量 *1 万 kw 755 1,777 6,505 3,339 807 3,597 1,199 696 2,014 243 20,932 内 火 力 発 電 容 量 *1 万 kw 421 1,183 4,294 2,451 440 1,798 780 380 1,108 243 13,099 最 大 需 要 *3 万 kw 516 1,553 5,669 2,737 570 2,924 1,181 583 1,693 216 17,642 PV: 移 行 + 認 定 容 量 *4 万 kw 300 1,117 1,764 785 102 566 548 265 1,877 66 7,390 PV:ピーク 発 電 容 量 *5 万 kw 210 782 1,235 549 71 396 384 186 1,314 46 5,173 ピーク 容 量 / 火 力 容 量 % 50% 66% 29% 22% 16% 22% 49% 49% 119% 19% 39% ピーク 容 量 / 最 大 需 要 % 41% 50% 22% 20% 13% 14% 32% 32% 78% 21% 29% 1: 電 事 連 電 力 統 計 情 報 2013 年 度 データより 2: 経 済 産 業 省 公 表 値 2014 年 度 9 月 までの 移 行 容 量 + 認 定 容 量 より 都 道 府 県 別 発 電 量 を 試 算 し 電 力 別 を 想 定 3: 電 力 需 給 検 証 小 委 員 会 資 料 より 4: 経 済 産 業 省 公 表 値 2014 年 度 9 月 までの 都 道 府 県 別 より 電 力 別 を 想 定 5: 全 稼 働 容 量 の 70%と 仮 定 表 3-1 発 電 設 備 諸 元 再 生 可 能 エネルギーを 系 統 内 で 活 用 するために 必 要 な 調 整 電 源 としての 火 力 発 電 の 設 備 能 力 と 太 陽 光 発 電 の 全 設 備 が 晴 天 下 でフル 稼 働 したと 想 定 したピーク 設 備 能 力 ( 設 置 容 量 の 0.7 倍 と 想 定 )を 比 較 すると 表 3-1 のように 全 体 では 太 陽 光 発 電 は 火 力 発 電 の 39% の 設 備 容 量 となっている 最 新 の 制 御 機 器 を 用 いたディーゼルエンジンと 太 陽 光 発 電 シス テムの 組 み 合 わせでは ディーゼルエンジン 容 量 の 対 定 格 出 力 30%までも 安 定 的 に 運 転 可 能 である 今 後 広 域 での 運 用 において 台 数 制 御 以 外 に 調 整 電 源 の 下 げ 代 問 題 が 想 定 される が 火 力 発 電 の 調 整 能 力 は 制 御 技 術 とも 深 く 関 係 しており 技 術 開 発 とともに 再 生 可 能 エ ネルギー 導 入 可 能 量 も 変 わって 行 くものと 考 えられる しかし ここでも 設 備 の 地 域 偏 在 が 課 題 となる 九 州 電 力 管 内 では 太 陽 光 発 電 が 120% と 火 力 発 電 の 容 量 を 超 えており 仮 に 地 域 内 の 系 統 容 量 が 十 分 であっても 調 整 電 源 が 足 ら ないこととなる 一 方 電 力 大 需 要 地 である 東 京 電 力 中 部 電 力 関 西 電 力 管 内 で 見 ると 20% 前 後 であり 未 だ 余 裕 があると 言 える 北 と 南 からこの 中 3 社 管 内 への 連 系 強 化 を 行 うことは 再 生 可 能 エネルギー 導 入 における 最 重 要 課 題 であることが 分 かる 19
太 陽 光 発 電 の 発 電 ピークは 基 本 的 に 昼 間 の 大 きな 電 力 需 要 がある 時 間 帯 に 含 まれるが 導 入 推 進 にはこのピーク 能 力 をどのように 活 用 するか 需 要 側 での 工 夫 も 重 要 な 課 題 とな る 再 生 可 能 エネルギー 導 入 の 目 的 が CO2 削 減 及 びエネルギーの 国 産 化 だとすれば 全 エ ネルギー 消 費 を 化 石 燃 料 ベースのエネルギーから 再 生 可 能 エネルギー 起 因 のエネルギーへ 転 換 して 行 くことが 必 要 であり 太 陽 光 発 電 のピーク 能 力 がその 時 点 の 電 力 需 要 を 上 回 る ことがあれば その 余 剰 電 力 を 新 たな 需 要 につなげることが 大 切 になる 熱 水 素 等 への 変 換 等 化 石 燃 料 で 作 っていたエネルギーを 再 生 可 能 エネルギーで 作 り 且 つ 必 要 に 応 じ 備 蓄 することで 太 陽 光 発 電 のピーク 能 力 はフルに 活 用 される 4. 顕 在 化 してきた 系 統 接 続 制 約 問 題 4.1 背 景 と 当 面 の 系 統 接 続 ルールの 見 直 し 2014 年 3 月 末 全 国 の 設 備 認 定 量 は 66GW に 達 した 中 でも 南 九 州 地 域 ( 熊 本 県 宮 崎 県 鹿 児 島 県 )は 設 備 認 定 量 が 3 県 合 計 で 9.9GW( 九 州 全 体 17GW の 58%) 系 統 接 続 量 でも 0.8GW( 九 州 全 体 1.9GW の 42%)となり この 地 域 への 偏 在 が 発 生 することに なった このためこの 地 域 の 系 統 では 配 電 用 変 電 所 に 大 量 のバンク 逆 潮 流 が 発 生 するこ とから 既 設 の 上 位 送 電 線 (66kV)の 熱 容 量 が 不 足 することに 対 応 した 送 電 線 の 張 り 替 え や 新 たな 送 電 用 鉄 塔 の 建 設 が 必 要 となるほか 上 位 系 統 送 電 用 変 電 所 の 変 圧 器 の 増 強 な どが 必 要 となり 数 十 億 円 から 数 百 億 円 規 模 の 費 用 が 発 生 する 事 態 となった この 問 題 は 大 きく 二 つの 系 統 問 題 を 惹 起 することになった 1) 九 州 電 力 全 体 での 需 給 バランスの 問 題 全 ての 認 定 設 備 容 量 が 稼 働 した 場 合 軽 負 荷 時 ( 九 州 電 力 の 場 合 約 8GW)の 電 力 需 要 を 上 回 ることで 需 給 調 整 ができなくなる 2) 南 九 州 地 域 など 設 備 偏 在 による 上 位 連 系 線 強 化 の 問 題 配 電 用 変 電 所 への 大 量 のバンク 逆 潮 流 などにより 上 位 送 電 線 の 容 量 不 足 から 新 たな 送 電 線 変 電 所 の 増 強 が 必 要 となり 発 電 事 業 者 の 負 担 は 事 業 性 に 大 きな 影 響 を 及 ぼす 図 4-1 は 接 続 点 近 傍 での 熱 容 量 問 題 箇 所 と 対 策 案 を 示 したものである 20
図 4-1 接 続 点 近 傍 の 連 系 問 題 個 所 と 対 策 例 この 状 況 下 2014 年 9 月 24 日 九 州 電 力 は 系 統 接 続 申 し 込 みへの 回 答 を 一 時 保 留 する という 措 置 をとった 九 州 電 力 に 続 き 北 海 道 東 北 四 国 沖 縄 の 4 電 力 会 社 も 同 様 の 措 置 をとり 9 月 30 日 の 第 4 回 新 エネルギー 小 委 員 会 において 各 電 力 会 社 の 現 状 と 対 応 が 報 告 された 国 は 同 小 委 員 会 の 下 に 系 統 ワーキンググループ(WG)を 設 置 し 早 急 に 各 電 力 会 社 における 再 生 可 能 エネルギーの 導 入 可 能 量 の 検 討 に 入 った( 第 1 回 WG 10 月 16 日 開 催 第 2 回 WG 10 月 30 日 開 催 ) 12 月 16 日 開 催 の 第 3 回 WG においては 中 国 電 力 北 陸 電 力 の 2 社 を 含 めた 電 力 7 社 の 接 続 可 能 量 の 算 定 結 果 と 接 続 容 量 拡 大 方 策 について の 検 討 結 果 が 示 された 系 統 WG での 議 論 を 踏 まえた 各 電 力 会 社 の 接 続 可 能 量 の 算 定 については 既 存 の 設 備 前 提 の 中 でどこまで 変 動 電 源 である 太 陽 光 発 電 と 風 力 発 電 が 受 け 入 れられるかの 検 討 と なった 表 4-1 は 各 電 力 会 社 が 示 した 接 続 可 能 量 である 既 に 低 負 荷 時 の 接 続 可 能 量 を 超 えている 北 海 道 電 力 の 他 九 州 電 力 東 北 電 力 でも 接 続 済 と 接 続 承 諾 済 の 申 込 み 合 計 量 が 算 定 された 接 続 可 能 量 を 上 回 る 結 果 となった この 結 果 を 受 け 12 月 18 日 開 催 の 第 8 回 新 エネルギー 小 委 員 会 において 従 来 の 接 続 ル ールである 500kW 以 上 の 太 陽 光 発 電 設 備 については 30 日 / 年 まで 事 業 者 への 補 償 なし で 発 電 抑 制 が 可 能 が 小 規 模 太 陽 光 発 電 までを 対 象 として 360 時 間 / 年 まで 事 業 者 への 補 償 なしで 発 電 抑 制 が 可 能 とし 新 たに 設 置 する 設 備 については 遠 隔 抑 制 設 備 の 義 務 付 け に 変 更 された(2015 年 1 月 22 日 省 令 改 正 ) 21
又 12 月 22 日 には 北 海 道 電 力 に 加 え 電 力 6 社 ( 東 北 北 陸 中 国 四 国 九 州 沖 縄 )が 指 定 電 気 事 業 者 に 指 定 され 各 電 力 会 社 の 示 した 導 入 可 能 量 を 超 える 場 合 には 年 間 抑 制 量 360 時 間 / 年 を 超 えて 無 制 限 無 補 償 の 出 力 抑 制 を 条 件 として 系 統 接 続 を 受 け 入 れる 方 法 ( 指 定 ルール)をとることで 系 統 接 続 が 再 開 されることとなった 表 4-1 系 統 WG による 各 電 力 会 社 の 接 続 可 能 量 の 検 証 結 果 今 回 の 系 統 接 続 ルールの 見 直 しは あくまで 既 存 の 電 力 インフラや 設 備 認 定 量 を 前 提 とした 暫 定 的 な 対 策 であるが FIT 制 度 運 用 の 難 しさを 露 呈 したとも 言 える 導 入 が 速 過 ぎると 系 統 問 題 が 懸 念 され 逆 に 導 入 が 進 まなければ 制 度 自 体 の 効 果 が 問 題 視 される 買 い 取 り 単 価 次 第 でアクセルにもブレーキにもなる 程 よい 制 度 運 用 は 年 度 内 あるいはプ レミア 期 間 に 起 こる 市 場 の 激 変 を 捉 えきれないという 側 面 があることもわかった 今 後 の 中 長 期 的 取 り 組 みとしては 電 力 システム 改 革 や 地 域 間 連 系 線 を 活 用 しての 広 域 的 な 系 統 利 用 などによる 接 続 可 能 量 の 増 大 を 早 急 に 検 討 する 必 要 がある 電 力 需 要 予 測 や 発 電 量 予 測 の 精 度 向 上 制 御 技 術 の 向 上 等 まだまだ 取 り 組 むべき 課 題 が 多 いことを 10 年 早 く 知 ることとなった 22
4.2 系 統 接 続 制 約 問 題 の 今 後 の 進 展 2014 年 4 月 に 閣 議 決 定 されたエネルギー 基 本 計 画 で 再 生 可 能 エネルギーは 現 時 点 で は 安 定 供 給 面 コスト 面 で 様 々な 課 題 が 存 在 するが 温 室 効 果 ガスを 排 出 せず 国 内 で 生 産 できることから エネルギー 安 全 保 障 にも 寄 与 できる 有 望 かつ 多 様 で 重 要 な 低 炭 素 の 国 産 エネルギー 源 と 位 置 付 けられ 2013 年 から 3 年 程 度 導 入 を 最 大 限 加 速 していき その 後 も 積 極 的 に 推 進 していく そのため 系 統 強 化 規 制 の 合 理 化 低 コスト 化 等 の 研 究 開 発 などを 着 実 に 進 める とした 上 で これまでのエネルギー 基 本 計 画 を 踏 まえて 示 し た 水 準 (2030 年 の 発 電 電 力 量 のうちの 再 生 可 能 エネルギー 等 の 割 合 は 約 2 割 )を 更 に 上 回 る 水 準 の 導 入 を 目 指 し エネルギーミックスの 検 討 に 当 たっては これを 踏 まえること とする と 定 めている 今 後 の 進 展 としては 以 下 のようなことが 考 えられる 1) 電 力 広 域 的 運 営 推 進 機 関 による 全 国 的 な 調 整 2015 年 4 月 に 発 足 する 電 力 広 域 的 運 営 推 進 機 関 での 運 営 を 強 化 することで 地 域 間 連 系 線 の 活 用 による 全 国 的 な 調 整 が 可 能 となる 2) 地 域 間 連 系 線 運 用 ルールの 見 直 し 電 力 会 社 間 の 地 域 間 連 系 線 の 利 用 については 従 来 各 電 力 会 社 における 地 域 最 適 化 が 優 先 されたことから 再 生 可 能 エネルギー 導 入 拡 大 による 電 力 余 剰 を 想 定 していなかった 今 後 は 地 域 間 連 系 線 運 用 ルールを 見 直 すことで 広 域 的 な 電 力 融 通 や 緊 急 回 避 措 置 などが 可 能 となる 3) 地 域 間 連 系 線 による 運 用 容 量 の 拡 大 地 域 間 連 系 線 による 運 用 容 量 については 安 全 サイドの 考 え 方 から 送 電 線 の 熱 容 量 系 統 安 定 性 電 圧 安 定 性 周 波 数 維 持 などの 面 からの 各 限 度 値 の 設 定 において 厳 しい 値 によって 算 定 されている これらの 要 素 は 発 電 機 の 運 転 状 況 送 電 線 の 構 成 エリア 内 電 力 需 要 の 大 小 電 力 系 統 の 状 態 等 によって 変 化 する 現 在 設 定 されている 各 限 度 値 にお けるマージン 設 定 を 運 用 面 から 見 直 すことで 運 用 容 量 拡 大 の 可 能 性 があると 考 えられる ローカル 系 統 での 接 続 制 約 問 題 への 対 応 としては 下 記 のようなことが 求 められる 1) 系 統 情 報 の 積 極 的 な 公 開 電 力 系 統 情 報 については 発 電 事 業 者 が 事 前 に 事 業 判 断 をできるように 6.6kV 配 電 線 への 接 続 状 況 系 統 接 続 申 し 込 み 状 況 系 統 接 続 可 能 量 等 に 関 し より 一 層 の 公 開 が 求 め られる 又 今 後 の 送 配 電 網 の 増 強 更 新 計 画 も 積 極 的 に 公 開 していくことも 必 要 である これらの 情 報 を 定 期 的 に 更 新 し 公 開 することは 非 常 に 重 要 であり 普 及 の 全 体 像 を 掴 む という 点 からは 国 にとっても 必 要 な 情 報 である 2) 複 数 事 業 者 や 自 治 体 による 共 同 負 担 方 式 による 導 入 複 数 事 業 者 や 自 治 体 による 共 同 負 担 方 式 による 導 入 を 可 能 とするため 公 平 な 負 担 とな るような 仕 組 み 作 りや 促 進 のための 支 援 制 度 が 必 要 である 23
3) 上 位 送 電 線 整 備 への 財 政 的 支 援 上 位 送 電 線 の 敷 設 や 上 位 送 電 用 変 電 所 の 変 圧 器 増 設 など 今 後 の 再 生 可 能 エネルギー 導 入 拡 大 を 可 能 とする 上 位 送 電 線 整 備 への 財 政 的 支 援 が 必 要 である 4.3 時 間 軸 視 点 での 年 次 導 入 ペース FIT 制 度 運 用 開 始 からの 3 年 間 で 急 激 に 変 化 した 市 場 の 状 況 については 次 の 点 に 留 意 して 見 なければならない 1) 全 ての 設 備 認 定 量 が 一 挙 に 運 転 開 始 できるわけではなく 機 器 供 給 能 力 施 工 能 力 の 範 囲 で 順 次 導 入 から 運 転 開 始 に 至 る 2)しかしながら 一 定 の 時 間 的 余 裕 があったとしてもいずれは 導 入 に 至 るため 現 時 点 での 接 続 可 能 量 に 余 裕 があるということではないことにも 留 意 する 必 要 がある 3) 従 って この 一 定 の 時 間 的 余 裕 をどう 活 用 するかが 重 要 なポイントとなる 接 続 可 能 量 拡 大 に 向 けての 対 策 オプションには 実 現 に 時 間 を 要 するものも 多 く この 時 間 的 余 裕 の 中 で 技 術 的 物 理 的 ルール 的 検 討 を 進 めるべきである 又 対 策 については 短 期 中 期 長 期 に 分 けてタイムラインを 示 しつつスケジュール 化 する 必 要 がある 4) 今 後 の 対 応 策 やルール 変 更 等 の 方 向 によっては 太 陽 光 発 電 普 及 へのモチベーション が 低 下 したり 設 備 認 定 量 に 対 して 実 際 の 導 入 量 が 大 幅 に 減 少 したりすることも 考 えられ る そういった 事 態 に 陥 った 場 合 九 州 地 域 以 外 は 系 統 への 対 策 等 もほとんど 行 われない まま FIT 制 度 による 導 入 促 進 が 終 息 し 結 果 として 今 後 のエネルギーミックスの 検 討 で 設 定 さ れる 2030 年 までの 再 生 可 能 エネルギー 導 入 目 標 値 が 達 成 できなくなる 恐 れがあることも 留 意 し ておく 必 要 がある 図 4-2 は 2012 年 度 以 降 の 新 たな 設 置 量 累 積 をビジョン 数 字 の 元 で 推 計 したものである 70 60 50 10KW 以 上 10KW 未 満 40 30 GW 20 10 0 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 < 年 度 ごとの 導 入 量 試 算 の 前 提 条 件 > 2014 年 12 月 の 第 8 回 新 エネルギー 小 委 員 会 で 示 された7 電 力 会 社 毎 の 再 生 可 能 エネルギー 導 入 量 限 界 を2020 年 までの 導 入 限 界 量 として 試 算 上 記 以 外 の3 電 力 会 社 に 於 いては 2012 年 度 2013 年 度 の 設 備 認 定 量 の 内 取 消 断 念 を 除 した 設 置 想 定 量 に 基 づき 年 度 ごとの 導 入 想 定 量 を 試 算 2014 年 度 以 降 は 設 置 の 最 大 ネックとなる 施 工 能 力 の 上 限 値 を 年 度 の 設 置 上 限 値 として 試 算 太 陽 光 発 電 協 会 内 の 主 な 発 電 事 業 者 に 対 して 実 施 したヒアリング 結 果 により 施 工 経 験 値 等 を 踏 まえて 翌 年 度 以 降 を 試 算 2013 年 度 実 績 (7GW)に 対 して2014 年 度 は 前 年 比 110% 2015 年 度 以 降 は2014 年 比 105%を 施 工 能 力 の 上 限 として 試 算 図 4-2 JPEA 推 計 による 2020 年 までの 導 入 量 試 算 24
4.4 普 及 度 合 いで 変 化 する 系 統 接 続 制 約 問 題 と 対 策 4.4.1 普 及 度 合 いと 系 統 接 続 制 約 問 題 への 対 策 図 4-3 に 今 後 太 陽 光 発 電 の 普 及 拡 大 が 続 く 中 で 考 えられる 技 術 的 制 度 的 な 面 からの 系 統 接 続 制 約 問 題 への 対 策 の 例 を 示 す 普 及 が 進 むにつれて 技 術 的 な 対 策 からライフスタ イルやその 前 提 となる 社 会 制 度 さらには 電 力 市 場 そのものの 有 り 様 まで 様 々なことが 検 討 される 図 4-3 普 及 に 伴 う 技 術 的 制 度 的 系 統 対 策 技 術 的 対 策 については 日 本 が 世 界 で 初 めて 直 面 するものではない 導 入 先 進 地 域 である 欧 州 では 既 にこの 面 での 取 り 組 みが 行 われており 図 4-4 はこれら 欧 州 での 対 策 手 法 の 中 で 日 本 でも 適 用 できそうなものを 普 及 度 合 いに 重 ねて 示 したものである 25
万 KW 8000 7000 6000 5000 天 候 予 測 系 統 監 視 による 全 分 散 電 源 制 御 広 域 電 圧 制 御 監 視 によるインバータ 制 御 市 場 価 格 による 需 要 サイドデマンドレスポンス 需 要 サイド 無 効 電 力 制 御 4000 3000 2000 1000 需 要 サイド 分 散 蓄 電 配 電 系 蓄 電 昇 圧 トランス 力 率 制 御 SVR ShR トランス 新 増 設 太 線 化 タップ 切 替 出 力 抑 制 自 家 消 費 優 遇 料 金 メニュー ピーク 貢 献 出 力 万 KW 定 格 0.705 万 KW 0 ピーク 貢 献 は 電 力 需 給 小 委 による 22.9% 定 格 0.705 は 設 備 実 績 能 力 図 4-4 普 及 拡 大 に 伴 い 日 本 でも 適 用 可 能 な 欧 州 の 系 統 対 策 4.4.2 余 剰 電 力 発 生 時 の 出 力 制 御 について 1) 出 力 制 御 の 必 要 性 とその 手 段 大 量 の 設 備 認 定 量 により それらが 全 て 稼 動 した 場 合 電 力 需 要 の 小 さい 軽 負 荷 期 に 太 陽 光 発 電 の 供 給 電 力 量 が 需 要 電 力 量 を 上 回 る 懸 念 が 出 てきたことにより 指 定 電 気 事 業 者 において 無 制 限 無 補 償 の 出 力 抑 制 を 条 件 として 系 統 接 続 を 行 うこととなった これ は 特 定 の 電 力 管 内 で 太 陽 光 発 電 が 制 御 無 しに 運 転 されると 需 要 が 少 ない 時 期 ( 例 えば ゴールデンウィークや 年 末 年 始 等 )では 電 力 供 給 過 剰 により 電 圧 周 波 数 が 上 昇 し 安 全 のため 次 々と 発 電 所 が 停 止 したり 逆 に 一 斉 に 太 陽 光 発 電 が 解 列 されると 電 圧 周 波 数 が 急 激 に 低 下 し 電 力 管 内 全 体 で 安 定 供 給 が 損 なわれたりする 可 能 性 があるということであ る このような 事 態 に 至 らないためにとり 得 る 余 剰 電 力 発 生 時 の 出 力 制 御 の 手 段 としては 火 力 発 電 や 揚 水 式 /ダム 式 水 力 発 電 等 の 調 整 電 源 を 活 用 することや 太 陽 光 発 電 自 体 を 出 力 制 御 手 段 とすることが 考 えられる 2) 出 力 制 御 手 段 としての 太 陽 光 発 電 今 後 小 規 模 分 散 型 電 源 としての 再 生 可 能 エネルギー 中 でも 太 陽 光 発 電 が 大 量 導 入 さ れるにおいては 優 先 給 電 の 原 則 を 堅 持 しつつ それらを 余 剰 電 力 発 生 時 の 出 力 制 御 手 段 として 活 用 することも 必 要 である そのためには 既 存 の 電 源 保 有 者 を 含 めた 事 業 者 間 の 公 平 性 を 確 保 することが 重 要 であり 規 模 等 によって 異 なる 電 源 種 別 毎 の 系 統 接 続 条 件 を 踏 まえた 上 で 全 体 としての 調 和 を 図 るための 一 定 ルールを 設 ける 場 合 国 民 的 な 理 解 は 欠 か せない 26
以 下 は 出 力 制 御 手 段 としての 太 陽 光 発 電 を 考 える 場 合 に 留 意 すべき 点 である 事 前 通 告 によるマニュアル 制 御 カレンダー 機 能 による 制 御 日 の 設 定 といった 方 式 は 技 術 的 には 容 易 ではある しかし 真 に 制 御 が 必 要 な 時 間 帯 以 外 にも 余 分 な 制 御 を 行 うことともなり 経 済 合 理 性 が 問 われる 常 態 としての 出 力 制 御 を 検 討 する 場 合 既 に 欧 州 や 北 海 道 電 力 等 で 行 われている 系 統 側 ( 中 央 給 電 指 令 所 等 )からの 通 信 指 令 によるリアルタイムの 遠 隔 制 御 や 再 生 可 能 エネルギー 電 力 も 含 めた 高 度 な 需 給 監 視 自 動 制 御 システムによるコントロールの 実 現 が 望 まれる 一 方 現 実 問 題 としての 制 御 の 困 難 さ と ネットワーク 化 の 必 要 性 は 認 識 しな ければならない 現 在 は 中 央 給 電 指 令 所 での 需 給 調 整 によって 系 統 の 電 圧 周 波 数 を 制 御 しているが 通 常 この 時 の 制 御 対 象 は 系 統 の 最 上 流 にある 大 規 模 かつ 少 数 の 発 電 所 である 余 剰 電 力 発 生 に 対 する 出 力 制 御 を 行 う 場 合 これらの 発 電 所 の 出 力 を 系 統 の 下 流 にある 給 電 制 御 所 系 統 制 御 所 等 の 監 視 する 電 力 需 要 及 びその 予 測 値 に 追 従 させることが 必 要 になってくる 表 4-2 に 太 陽 光 発 電 設 備 の 稼 働 件 数 を 容 量 帯 別 電 力 会 社 別 に 示 す 従 来 から 制 御 の 対 象 であった 500kW 以 上 の 設 備 は 稼 働 済 の 分 だけでも 3,823 件 となっている 2MW 以 上 の 特 別 高 圧 連 系 設 備 に 限 れば 1,705 件 であり 中 央 給 電 指 令 所 からの 直 接 指 示 で 制 御 できる 可 能 性 はある しかし 50kW 以 上 の 高 圧 連 系 設 備 は 既 に 1 万 1 千 件 を 超 えており 中 央 給 電 指 令 所 からの 直 接 制 御 の 実 現 は 非 常 に 困 難 である アグリゲータ ー 等 を 介 した 制 御 も 考 えられるものの 対 象 全 設 備 を 網 羅 した 実 効 性 のある 制 御 の 実 現 を 考 えると サービスプロバイダー 経 由 ではなく 中 央 給 電 指 令 所 の 下 に 中 位 区 分 指 令 所 下 位 区 分 指 令 所 などを 設 ける 等 統 制 のとれた 一 体 運 用 の 制 御 システムの 整 備 が 必 要 と 考 えられる 10kW 未 満 50kW 未 満 500kW 未 満 1M 未 満 2M 未 満 2M 以 上 合 計 北 海 道 24,128 2,590 104 77 80 5 26,984 東 北 119,949 8,582 365 116 155 5 129,172 東 京 548,442 46,261 1,921 548 398 16 597,585 中 部 309,989 37,599 1,420 262 170 6 349,445 北 陸 26,865 2,798 206 52 32 0 29,953 関 西 259,786 22,726 1,059 250 158 16 283,995 中 国 150,034 17,753 511 174 136 7 168,615 四 国 73,426 11,372 491 140 98 3 85,530 九 州 275,225 41,132 1,059 498 397 17 318,328 沖 縄 16,904 6,749 56 1 7 0 23,717 合 計 1,804,747 197,562 7,191 2,118 1,630 75 2,013,323 経 済 産 業 省 公 表 数 値 を JPEA にて 電 力 別 に 分 類 表 4-2 2014 年 9 月 末 時 点 の 稼 働 設 備 件 数 27
さらに 制 御 範 囲 を 50kW 未 満 の 低 圧 連 系 設 備 まで 広 げることを 想 定 すると 表 4-2 記 載 の 稼 動 分 を 除 き 対 象 を 今 後 の 接 続 契 約 分 からとしても その 数 は 年 間 数 十 万 件 のレベ ルで 増 加 する これらの 設 備 を 100% 把 握 して 制 御 するという 考 え 方 では システム 構 築 コストが 膨 大 となり 現 実 的 ではない 制 御 の 仕 組 みとしては もう 少 し 緩 やかで あ る 一 定 期 間 を 区 切 った 上 での 協 力 要 請 とその 対 応 へのインセンティブ 付 与 といったよ うな 形 のものが 望 ましいと 思 われる 又 ここではアグリゲーター 等 経 由 での 制 御 も 推 進 すべきである 以 上 より 太 陽 光 発 電 所 のみならず 分 散 型 電 源 全 体 を 制 御 するインフラ 整 備 は 今 後 の 日 本 の 系 統 計 画 及 び 電 力 システム 改 革 の 実 現 に 大 きな 影 響 を 与 えるものと 考 えられる 4.4.3 緊 急 対 策 としての 出 力 制 御 2014 年 12 月 22 日 の 経 済 産 業 省 告 示 で 示 された 指 定 電 気 事 業 者 ( 北 海 道 電 力 東 北 電 力 北 陸 電 力 中 国 電 力 四 国 電 力 九 州 電 力 沖 縄 電 力 )では 既 に 接 続 申 込 量 が 接 続 可 能 量 を 超 過 又 は 超 過 しようとしている 実 際 の 系 統 接 続 量 が 接 続 可 能 量 に 達 し 余 剰 電 力 が 発 生 した 場 合 には 出 力 制 御 が 行 なわれることとなる その 時 期 は 少 し 先 であってもい ずれ 訪 れることであり その 時 に 向 けて 予 め 行 っておくべき 運 用 ルールの 整 備 は 待 ったな しである この 対 処 は 前 項 で 述 べた 分 散 型 電 源 全 体 を 制 御 するという 目 的 とは 別 に 普 及 が 先 行 している 太 陽 光 発 電 に 限 って 緊 急 対 策 として 行 わなければならない 太 陽 光 発 電 システムにおけるパワーコンディショナ(PCS)は 日 射 強 度 に 応 じて 自 動 的 に 最 大 出 力 点 を 追 尾 する 制 御 機 能 (MPPT 機 能 )を 持 っている 従 って 原 理 的 には 制 御 機 能 を 拡 張 して 出 力 上 限 値 を 0~100%の 間 で 1% 刻 みの 値 で 強 制 的 に 最 大 出 力 点 から 外 すことで 制 御 が 必 要 な 時 間 量 に 対 してのみリアルタイムで 出 力 制 御 を 行 うことも 可 能 である 今 後 太 陽 光 発 電 の 系 統 接 続 量 の 増 加 に 伴 い 電 力 需 給 調 整 としての 出 力 制 御 実 施 は 現 実 のものとなる 制 御 対 象 設 備 の 範 囲 も 500kW 未 満 まで 拡 大 され これを 遠 隔 制 御 によ って 実 施 するための PCS 側 及 び 通 信 インフラ 側 双 方 の 技 術 仕 様 が 関 係 者 の 間 でほぼ 固 め られた 状 況 となっている 一 方 緊 急 対 策 とはいえ 出 力 制 御 は 事 業 性 に 直 結 する 問 題 であり 技 術 仕 様 の 内 容 に よっては 流 通 在 庫 の 処 理 生 産 ラインの 改 変 等 課 題 も 多 い 出 力 制 御 の 必 要 性 を 理 解 しつ つも 新 しいルールの 適 用 にはあらゆる 面 からの 配 慮 が 必 要 である 4.4.4 出 力 制 御 で 起 こること 出 力 制 御 は 事 業 者 の 利 益 に 直 結 しており 制 御 量 を 予 測 することは 事 業 の 予 見 性 に 大 き く 影 響 する しかし 太 陽 光 発 電 の 事 業 者 は 必 ずしも 事 業 家 としてのプロばかりでなく 一 般 消 費 者 も 含 めてさまざまな 層 に 亘 っている そうした 一 般 の 設 置 者 ( 発 電 事 業 者 )に とって 無 制 限 無 補 償 の 出 力 制 御 という 表 現 は 見 込 まれる 発 電 事 業 収 益 に 対 して 非 常 に 大 きく 且 つ 予 見 性 の 無 いリスクを 想 起 させるものであり 導 入 を 躊 躇 することは 間 違 28
いない 本 項 では 制 御 の 持 つ 意 味 を 解 説 する 尚 無 制 限 無 補 償 の 出 力 制 御 を 条 件 とすれば 接 続 可 能 量 はほぼ 無 制 限 に 増 える 接 続 可 能 量 と( 実 際 の) 系 統 接 続 量 は 明 確 に 区 別 して 理 解 しなければならない 図 4-5 に 系 統 接 続 量 が 接 続 可 能 量 に 達 した 電 力 会 社 で 制 御 対 象 が 新 設 された 場 合 の 太 陽 光 発 電 全 体 の 出 力 の 変 化 を 幾 つかのパターンに 分 けて 示 す A B F C D 図 4-5 接 続 可 能 量 に 達 した 後 の 新 設 分 制 御 E A: 接 続 されている 太 陽 電 池 出 力 100sinθ が 丁 度 接 続 限 界 量 100 に 達 したところに 新 た に 50sinθ の 新 設 があった 場 合 B: 制 御 が 掛 からなければ 合 成 出 力 は 150sinθ となるが 限 界 量 より 飛 び 出 した 斜 線 部 分 ( 余 剰 )はカットされる 全 ての 設 備 が 抑 制 対 象 の 場 合 同 じ 比 率 で 時 刻 θ1~θ2 まで 100sinθ も 50sinθ も 正 弦 波 の 上 部 がカットされる C: 既 設 100sinθ の 構 成 事 業 が 非 制 御 対 象 もしくは 30 日 ( 又 は 360 時 間 ) 制 御 対 象 者 であるところに 無 制 限 制 御 対 象 者 50sinθ が 新 設 された 場 合 余 剰 分 の 抑 制 は 全 てこ の 50sinθ が 負 う 29
D:50sinθ がリアルタイムで 制 御 された 場 合 制 御 時 間 帯 θ1~θ2 に 出 力 された 分 は 100sinθ の 肩 の 部 分 の 出 力 増 に 寄 与 する E:D のリアルタイム 制 御 ではなく θ1~θ2 の 時 刻 に 50sinθ の 出 力 がゼロ(on/off 制 御 ) に 制 御 された 場 合 を 示 す 以 上 の sin 曲 線 で 斜 線 の 部 分 は 抑 制 で 本 来 発 電 すべき 量 が 減 じられることを 示 す F: 次 々と 抑 制 対 象 の 太 陽 光 発 電 が 増 設 されると 合 成 出 力 曲 線 は 図 のように 肩 幅 が 張 り 台 形 から 長 方 形 の 出 力 に 変 化 して 行 く つまり 低 日 射 で 急 激 に 立 ち 上 がり 極 端 な 場 合 には 日 の 出 とともに 接 続 可 能 量 に 達 する 事 業 予 見 性 の 面 からは 本 来 は 個 々の 発 電 事 業 に 対 してどの 程 度 の 制 御 量 になるかを 予 測 できることが 望 ましいが 上 記 から 分 かることは 以 下 の 通 りである 1) 電 力 会 社 が 示 す 接 続 可 能 量 に 系 統 接 続 量 が 達 するまでは 如 何 なる 種 別 の 対 象 者 に 対 しても 出 力 制 御 は 行 なわれない( 出 力 制 御 する 理 由 が 無 い) 2) 接 続 可 能 量 に 対 して 実 際 に 連 系 できる 接 続 量 は 各 発 電 事 業 がどのような 制 御 種 別 ( 非 制 御 30 日 ルール 360 時 間 ルール 無 制 限 )の 割 合 で 構 成 されるかで 変 わってくる 3) 系 統 接 続 量 が 接 続 可 能 量 に 達 した 後 は 全 ての 新 設 分 が 無 制 限 無 補 償 の 出 力 制 御 対 象 となるが 個 別 事 業 の 抑 制 率 は 予 測 できない 例 えば D 図 において 50sinθ ではなく 10,000sinθ が 参 入 する 場 合 ほとんどの 時 間 帯 で 接 続 可 能 量 100 を 超 えるため 本 来 期 待 できる 発 電 量 に 占 める 制 御 量 ( 抑 制 率 )は 明 らかに 50sinθ より 大 きい 4) 既 設 のものは 制 御 種 別 が 決 まっており 全 体 における 種 別 構 成 の 割 合 が 把 握 できれば ( 制 御 される 順 序 は 不 明 であるが) 抑 制 される 量 は 推 定 が 可 能 である 5) 合 計 出 力 の 形 状 ( 上 図 F の 台 形 の 形 すなわち 制 御 種 別 構 成 )が 分 かった 上 で 新 設 分 の 量 ( 無 制 限 対 象 者 の 総 出 力 )を 仮 定 すれば 抑 制 される 量 は 推 定 が 可 能 である 現 実 的 には 今 後 新 たに 接 続 される 量 が MW に 達 するまでは 最 悪 %の 出 力 制 御 が 掛 かる という 推 定 になると 考 えられる 但 し 事 業 期 間 20 年 を 通 してこの 新 た な 接 続 量 が 変 化 するため 制 御 量 も 変 化 し 事 業 性 の 精 確 な 予 測 は 難 しいが 接 続 可 能 量 に 達 したところでは 自 ずと 新 設 されるものは 減 って 行 くと 予 想 され ある 一 定 のレベルに 収 束 した 上 でリプレース 市 場 へと 移 行 するであろう 本 項 では 出 力 制 御 について 詳 述 したが そのマイナス 面 だけを 捉 えることからは 新 しい 展 開 は 見 出 せない 時 期 は 別 にして 需 要 供 給 はいずれの 電 力 会 社 でも 起 こり 得 る 状 況 である 無 制 限 無 補 償 の 出 力 制 御 は 反 面 ほぼ 無 制 限 接 続 を 可 能 にする 限 界 を 超 えた 余 剰 電 力 は 捨 てるより 有 効 利 用 することが 設 置 者 にとっても 国 にとっても 有 益 であり その 方 策 が 試 されることとなる 後 述 するように 余 剰 電 力 を 有 効 利 用 して 他 の 用 途 や 形 価 値 に 転 換 する 事 業 が 萌 芽 し 大 きなビジネスチャンスとなるであろう 直 近 で 考 えられる 有 効 利 用 の 方 法 は 自 家 消 費 へ 回 すことであり その 先 は 太 陽 光 発 電 と 相 性 の 良 い 負 荷 との 組 み 合 わせ さらにはピークカット 電 源 としての 双 方 向 制 御 へと 繋 がる 30
4.4.5 出 力 制 御 シミュレーション 設 備 認 定 量 の 急 増 に 対 し 電 力 会 社 が 系 統 接 続 申 し 込 みへの 回 答 を 一 時 保 留 するという 事 態 となったことから この 事 態 を 打 開 するための 施 策 の 一 環 として 東 京 電 力 中 部 電 力 関 西 電 力 を 除 く 電 力 7 社 を 指 定 電 気 事 業 者 とし 従 来 の 上 限 枠 (30 日 )を 超 える 無 制 限 無 補 償 の 出 力 制 御 を 条 件 として 系 統 接 続 を 受 け 入 れる 方 法 ( 指 定 ルール)をとる ことで 系 統 接 続 が 再 開 されることとなった しかし 無 制 限 無 補 償 の 出 力 制 御 とい う 表 現 は 見 込 まれる 発 電 事 業 収 益 に 対 して 非 常 に 大 きく 且 つ 予 見 性 の 無 いリスクを 想 起 させるものであり 今 後 新 たに 設 置 を 考 える 事 業 者 やそれを 資 金 面 で 後 押 しする 金 融 機 関 等 の 関 係 者 の 事 業 マインドを 過 度 に 冷 え 込 ませる 状 況 ともなっている この 状 況 に 対 処 するため 太 陽 光 発 電 協 会 (JPEA)では 今 後 新 たに 設 置 を 検 討 され る 事 業 者 等 が リスクを 踏 まえた 事 業 性 を 自 ら 判 断 するための 情 報 提 供 を 目 的 として 出 力 制 御 シミュレーション を 公 表 した(2015 年 3 月 5 日 ) このシミュレーションは 以 下 の 要 素 情 報 をもとに 試 算 されている 1) 電 力 需 要 実 績 各 電 力 会 社 より 公 表 されている 2013 年 の 時 間 毎 (24 時 間 365 日 =8,760 時 間 )の 電 力 需 要 実 績 値 を 使 用 した 2)ベースロード 等 電 源 容 量 経 済 産 業 省 総 合 資 源 エネルギー 調 査 会 新 エネルギー 小 委 員 会 の 第 3 回 系 統 ワーキンググ ループ(2014 年 12 月 16 日 開 催 ) 配 布 資 料 に 記 載 されている 各 電 力 会 社 におけるベース 電 源 ( 一 定 量 の 電 力 を 安 定 的 に 供 給 する 電 源 = 流 れ 込 み 式 水 力 地 熱 バイオマス 原 子 力 ) 容 量 値 合 計 から 地 域 間 連 系 線 活 用 による 容 量 値 を 差 し 引 いた 数 値 とした 将 来 的 に より 広 域 的 な 地 域 間 連 系 線 による 電 力 の 融 通 が 実 現 した 場 合 は その 分 この 数 値 が 減 少 す ることとなる 3) 系 統 接 続 量 ( 太 陽 光 発 電 導 入 量 )と 発 電 電 力 量 系 統 接 続 量 は 今 後 の 太 陽 光 発 電 導 入 量 増 加 に 伴 う 系 統 接 続 量 の 累 積 値 であり その 値 に 対 する 発 電 電 力 量 は NEDO( 国 立 研 究 開 発 法 人 新 エネルギー 産 業 技 術 総 合 開 発 機 構 )が 公 開 している 年 間 時 別 日 射 量 データベース( 過 去 20 年 間 の 平 均 )を 用 いて 算 出 した シミュレーショングラフは 電 力 会 社 別 / 想 定 ベースロード 等 電 源 容 量 別 に 系 統 接 続 量 の 増 加 に 対 して 想 定 される 年 間 発 電 電 力 量 の 抑 制 率 推 移 を 表 したものであり 出 力 制 御 が 無 い 場 合 の 年 間 発 電 電 力 量 に 対 し 出 力 制 御 により 抑 制 される 年 間 電 力 量 の 割 合 を 示 した 又 適 用 される 出 力 制 御 のルールが 異 なる(30 日 ルール 360 時 間 ルール 指 定 ルール) 対 象 設 備 別 にグラフを 作 成 した 図 4-6 に 九 州 電 力 の 場 合 のシミュレーションを 例 示 する その 他 の 電 力 会 社 のシミュレ ーション 結 果 については JPEA ホームページ(http://www.jpea.gr.jp/)を 参 照 願 いたい 31
図 4-6 出 力 制 御 シミュレーション 例 / 九 州 電 力 の 場 合 32
尚 シミュレーション 結 果 については 以 下 の 点 に 留 意 してご 覧 頂 きたい 示 されている 年 間 抑 制 率 は 太 陽 光 発 電 の 系 統 全 体 における 発 電 電 力 量 に 対 する 出 力 制 御 の 想 定 割 合 であり 個 別 の 発 電 事 業 者 に 対 して 実 際 に 行 なわれる 出 力 制 御 の 割 合 を 示 すものではない 500kW 以 上 設 備 /30 日 ルール 10KW 以 上 設 備 /360 時 間 ルール と 10kW 以 上 設 備 / 指 定 ルール の 出 力 制 御 割 合 については 500kW 以 上 設 備 /30 日 ルール 10KW 以 上 設 備 /360 時 間 ルール の 出 力 制 御 日 数 及 び 時 間 が 上 限 に 達 するまでは 極 力 同 等 の 出 力 抑 制 率 となるよう 制 御 が 行 なわれるものとしている 360 時 間 ルール 及 び 指 定 ルール 適 用 による 出 力 制 御 は 時 間 単 位 の 一 律 制 御 を 前 提 とし た 又 10kW 未 満 設 備 / 指 定 ルール については 他 のすべての 太 陽 光 発 電 の 発 電 を 制 御 した 上 で 最 後 に 出 力 制 御 を 行 なうこととしている グラフ 横 軸 左 端 の 始 まりの 数 値 ( 九 州 電 力 の 例 では 403 万 kw)は 2014 年 11 月 現 在 での 太 陽 光 発 電 系 統 接 続 量 を 示 し 又 グラフ 横 軸 中 央 の 数 字 ( 九 州 電 力 の 例 では 817 万 kw)は 第 3 回 系 統 ワーキンググループ 配 布 資 料 にて 各 電 力 会 社 から 報 告 された 接 続 可 能 量 を 示 している 時 間 軸 を 考 慮 した 情 報 として 現 時 点 での 設 備 認 定 量 と 導 入 量 推 移 実 績 をもとに 推 定 された 系 統 接 続 量 が 接 続 可 能 量 に 到 達 する 時 期 およびグラフ 横 軸 右 端 の 系 統 接 続 量 に 到 達 する 時 期 も 試 算 した 九 州 電 力 の 場 合 接 続 可 能 量 817 万 kw に 到 達 するのは 2017 年 頃 又 グラフ 横 軸 右 端 の 1,300 万 kw に 到 達 するのは 2021 年 頃 と 推 定 した 今 後 電 力 会 社 によるタイムリーな 接 続 申 し 込 み 量 や 系 統 接 続 量 の 情 報 公 開 が 望 まれる が そこに 出 力 制 御 シミュレーション により 示 された 想 定 年 間 抑 制 率 の 推 移 を 重 ね 合 わせれば 新 規 参 入 における 事 業 性 判 断 の 一 助 とすることができ 発 電 事 業 者 や 金 融 機 関 等 の 関 係 者 に 有 用 なものとなる 4.4.6 発 電 量 予 測 つなぐこと(ネットワーク 化 ) と 共 に 太 陽 光 発 電 の 大 量 導 入 に 伴 う 出 力 制 御 や 後 述 する 蓄 電 池 の 充 放 電 やヒートポンプによる 貯 湯 給 湯 などによる 出 力 制 御 量 の 最 小 化 と 太 陽 光 発 電 電 力 の 有 効 利 用 を 行 うために 必 要 且 つ 重 要 な 技 術 が 予 測 すること である 太 陽 光 や 風 力 に 関 しての 発 電 量 予 測 は 早 くからその 重 要 性 が 着 目 され ドイツやスペイン では 既 に 系 統 運 用 に 使 用 されている 我 が 国 でも 平 成 23~25 年 度 に 経 済 産 業 省 の 太 陽 光 発 電 出 力 予 測 技 術 実 証 事 業 において 検 討 された その 概 要 を 図 4-8 に 示 す 33
日 本 気 象 協 会 の 例 予 測 種 別 予 測 値 提 示 時 期 予 測 範 囲 予 測 値 出 力 間 隔 週 間 予 測 当 日 11 時 7 日 先 まで 1 日 ごと 翌 日 予 測 前 日 11 時 翌 日 1 日 間 30 分 間 隔 当 日 予 測 当 日 5 時 当 日 1 日 間 30 分 間 隔 数 時 間 先 任 意 の 正 時 30 分 6 時 間 先 まで 30 分 間 隔 数 十 分 先 任 意 の#0 分 60 分 先 まで 10 分 間 隔 図 4-8 太 陽 光 発 電 出 力 予 測 技 術 実 証 事 業 での 検 討 内 容 出 典 : 次 世 代 電 力 供 給 システム 分 野 に 係 る 技 術 評 価 報 告 書 ( 案 ) 産 業 構 造 審 議 会 産 業 技 術 環 境 分 科 会 週 間 予 測 や 翌 日 予 測 等 の 長 期 間 の 予 測 には 数 値 気 象 モデルを 用 いる 一 方 数 時 間 先 の 予 測 には 衛 星 からの 画 像 情 報 を 用 いた 予 測 手 法 が 確 立 され 精 度 の 向 上 が 報 告 されている 天 候 の 急 変 により 予 測 精 度 が 低 い 場 合 に 課 題 があるが 精 度 を 補 完 する 情 報 として 予 測 が 当 たる 確 率 の 算 出 が 有 用 とされている 2014 年 10 月 に 打 ち 上 げられた 気 象 衛 星 ひまわ り 8 号 によって 衛 星 からの 画 像 情 報 の 解 像 度 の 向 上 や 取 得 間 隔 の 短 縮 化 が 実 現 される ことから 今 後 予 測 精 度 はさらに 向 上 していくことが 期 待 される 5. 太 陽 光 発 電 にとっての 電 源 価 値 の 最 大 化 5.1 日 本 のエネルギー 政 策 における 太 陽 光 発 電 の 位 置 付 けと 評 価 5.1.1 エネルギー 政 策 の 基 本 的 視 点 3E+S と 再 生 可 能 エネルギーの 位 置 付 け 我 が 国 のエネルギー 政 策 の 基 本 的 視 点 は 3E+S と 呼 ばれ 安 全 性 (Safety) を 前 提 とした 上 で エネルギーの 安 定 供 給 (Energy Security) を 第 一 とし 経 済 効 率 性 の 向 上 (Economic Efficiency) による 低 コストでのエネルギー 供 給 を 実 現 し 同 時 に 環 境 への 適 合 (Environment) を 図 ることである 2014 年 4 月 に 閣 議 決 定 された 現 行 のエネルギー 基 本 計 画 において 太 陽 光 発 電 を 含 む 再 生 可 能 エネルギーは 現 時 点 では 安 定 供 給 面 コスト 面 で 様 々な 課 題 が 存 在 するが 温 室 効 果 ガスを 排 出 せず 国 内 で 生 産 できることから エネルギー 安 全 保 障 にも 寄 与 できる 有 望 かつ 多 様 で 重 要 な 低 炭 素 の 国 産 エネルギー 源 と 位 置 付 けられ FIT 制 度 等 の 政 策 支 援 の 下 に 普 及 拡 大 が 進 められている 表 5-1 に エネルギー 政 策 の 基 本 的 視 点 である 3E +S における 太 陽 光 発 電 の 評 価 を 纏 めた 34
エネルギー 政 策 の 基 本 的 視 点 3E+S 太 陽 光 発 電 の 位 置 付 け 評 価 安 全 性 /Safety リスク( 事 故 発 生 時 の 損 害 廃 棄 物 問 題 等 )が 小 さいが 将 来 の 廃 棄 に 備 え 適 正 処 理 は 考 慮 安 定 供 給 /Energy Security 国 産 エネルギーとして 国 の 安 全 保 障 に 寄 与 又 災 害 時 には 非 常 用 電 源 としての 利 用 が 可 能 但 し 出 力 変 動 に 対 する 電 力 系 統 の 安 定 化 対 策 が 課 題 経 済 効 率 性 の 向 上 /Economic Efficiency 現 時 点 ではコスト 面 に 課 題 があり 技 術 革 新 等 による 電 源 としての 競 争 力 の 向 上 が 求 められる 環 境 への 適 合 /Environment 発 電 時 に 温 室 効 果 ガスを 排 出 しない 低 炭 素 の エネルギー 源 表 5-1 3E+S における 太 陽 光 発 電 の 位 置 付 け 評 価 (エネルギー 基 本 計 画 をもとに JPEA が 作 成 ) 5.1.2 エネルギー 政 策 から 見 た 太 陽 光 発 電 の 便 益 2.1.2 項 では 3E+S の 視 点 から 太 陽 光 発 電 が 大 量 導 入 された 時 の 便 益 を グローバ ル( 地 球 人 類 ) ナショナル( 国 家 国 民 ) ローカル( 地 域 住 民 )の 三 つのレベルで 示 した 本 ビジョンで 示 す 2030 年 時 点 で 100GW の 太 陽 光 発 電 が 導 入 された 場 合 の 便 益 として 国 内 総 発 電 量 に 占 める 太 陽 光 発 電 の 割 合 が 約 12%に 達 し その 分 がエネルギー 自 給 率 の 向 上 に 資 することが 挙 げられる 又 化 石 燃 料 の 輸 入 コスト 削 減 効 果 としては LNG を 代 替 するケースで 年 間 1 兆 4 千 億 円 程 度 (2013 年 度 の 輸 入 価 格 で 試 算 )の 貢 献 が 期 待 できる 温 室 効 果 ガスの 削 減 効 果 としては 発 電 に 伴 う 排 出 量 の 12% 近 くを 削 減 できると 試 算 されている 100GW 規 模 の 太 陽 光 発 電 が 導 入 されれば 定 量 的 な 評 価 においても 3E +S の 面 から 十 分 意 義 のある 貢 献 が 期 待 できる 5.1.3 太 陽 光 発 電 の 特 質 がもたらす 電 源 としての 価 値 と 可 能 性 エネルギー 政 策 における 太 陽 光 発 電 の 評 価 と 便 益 は 定 性 的 には 太 陽 光 発 電 以 外 の 再 生 可 能 エネルギーとは 共 通 点 が 多 いが ここでは 太 陽 光 発 電 に 特 有 の 性 質 に 基 づいた 電 源 と しての 価 値 と 可 能 性 を 提 示 する エネルギー 基 本 計 画 でも 評 価 されている 通 り 他 の 再 生 可 能 エネルギーに 無 い 太 陽 光 発 電 の 特 質 として 需 要 サイドとの 近 接 性 と 連 携 の 容 易 さ がある 具 体 的 には 以 下 の 通 りである 住 宅 や 公 共 インフラ オフィス 商 業 工 業 農 林 漁 業 施 設 等 の 需 要 地 及 び 需 要 近 接 地 での 発 電 が 可 能 であること 電 気 の 需 要 家 ( 家 庭 から 大 規 模 工 場 まで)が 自 ら 設 置 し 発 電 事 業 者 となることが 可 能 であり さ らに 情 報 通 信 技 術 (ICT)の 活 用 により 需 要 サイドとの 連 携 が 容 易 であること 35
又 これらの 太 陽 光 発 電 の 特 質 を 活 かすことで 生 まれる 電 源 としての 価 値 と 可 能 性 としては 以 下 の 4 つが 考 えられる(5.3 項 にて 詳 述 ) 1 自 家 消 費 の 活 用 等 により 需 要 と 一 体 化 することで 電 力 系 統 への 負 担 を 軽 減 できること 2 非 常 用 電 源 としての 活 用 が 可 能 であり 地 域 の 安 心 安 全 に 貢 献 できること 3 消 費 者 参 加 型 のエネルギーマネジメント( 需 要 の 能 動 化 )の 実 現 に 貢 献 できること 4 需 要 サイドのエネルギー 転 換 ( 電 化 )と 一 体 化 することでエネルギー 消 費 効 率 の 向 上 と 低 炭 素 化 が 同 時 に 達 成 可 能 であること 太 陽 光 発 電 に 備 わるその 他 の 特 質 としては 以 下 が 挙 げられる 電 力 需 要 の 多 い 昼 の 時 間 帯 に 発 電 すること PCS を 制 御 することで 比 較 的 容 易 に 出 力 の 調 整 ( 下 方 への 調 整 抑 制 )ができること これらの 特 質 が 生 み 出 す 電 源 としての 価 値 と 可 能 性 として 以 下 の 2 つが 挙 げられる 5 晴 れた 日 であれば 昼 の 時 間 帯 のピーク 電 力 需 要 を 補 うことができ 夏 季 の 需 給 緩 和 に 貢 献 できること 6 出 力 調 整 機 能 を 活 用 すれば 電 力 系 統 の 安 定 化 に 寄 与 できること 以 上 をヒントに 便 益 の 最 大 化 と 系 統 対 策 を 同 時 に 実 現 する 効 果 的 な 方 策 を 考 えた 場 合 以 下 の 需 要 のエネルギー 転 換 ( 電 化 ) 需 要 の 能 動 化 ( 需 給 統 合 ) 太 陽 光 発 電 の 能 動 化 を 一 体 的 に 推 進 することが 一 つの 可 能 性 として 挙 げられる 図 5-1 にそのイメージを 示 した 図 5-1 便 益 の 最 大 化 と 系 統 対 策 推 進 の 方 策 イメージ 図 36
尚 エネルギー 基 本 計 画 において 太 陽 光 発 電 については 個 人 を 含 めた 需 要 家 に 近 接 し たところで 中 小 規 模 の 発 電 を 行 うことも 可 能 で 系 統 負 担 も 抑 えられる 上 に 非 常 用 電 源 としても 利 用 可 能 である 一 方 発 電 コストが 高 く 出 力 不 安 定 性 などの 安 定 供 給 上 の 問 題 があることから 更 なる 技 術 革 新 が 必 要 である 中 長 期 的 には コスト 低 減 が 達 成 され ることで 分 散 型 エネルギーシステムにおける 昼 間 のピーク 需 要 を 補 い 消 費 者 参 加 型 の エネルギーマネジメントの 実 現 等 に 貢 献 するエネルギー 源 としての 位 置 付 けも 踏 まえた 導 入 が 進 むことが 期 待 される と 記 述 されている 5.1.4 需 要 ピーク 時 の 供 給 力 としての 価 値 と 低 需 要 時 の 安 定 化 対 策 図 5-2 は 2014 年 4 月 末 までに 設 備 認 定 を 受 けたもの 及 び それ 以 前 に 稼 働 しているも のを 加 えた 約 70GW(7,000 万 kw)の 太 陽 光 発 電 の 出 力 特 性 を 需 要 曲 線 に 重 ね 合 せたも のである 又 この 図 では 約 15,900 万 kw のピーク 供 給 に 対 する 7,000 万 kw の 太 陽 電 池 の 晴 天 時 ピーク 出 力 を 緑 破 線 で 示 しているが 実 線 は 実 際 の 供 給 力 として 評 価 され 国 の 委 員 会 で 示 されたピーク 時 (15 時 )の 供 給 実 績 を 定 格 の 22.9%とした 時 の 電 力 量 を 示 している 需 要 のピーク 時 間 帯 の 供 給 信 頼 度 が 高 くなるほど 太 陽 光 発 電 の 出 力 が 最 大 とな る 12 時 頃 の 出 力 を 如 何 に 制 御 するかが 問 題 となる 出 力 制 御 問 題 は 太 陽 光 発 電 のピーク 出 力 で 論 じられる 太 陽 光 発 電 が 相 当 量 連 系 され 接 続 量 の 上 限 で 抑 制 された 場 合 前 述 の ようにイメージ 的 には 太 陽 光 発 電 の 正 弦 波 形 の 出 力 が 台 形 化 し さらに 徐 々に 長 方 形 に 近 づき 安 定 電 源 化 していく 抑 制 された 電 気 が 切 り 捨 てられることなく 他 に 有 効 利 用 でき れば 抑 制 分 の 有 効 利 用 + 太 陽 光 発 電 の 準 安 定 化 という 新 しい 価 値 創 造 の 可 能 性 もある 百 万 KW 200 180 160 供 給 力 として 評 価 可 能 な 太 陽 光 発 電 によるカット 量 159 2013 年 8 月 9 日 の 実 需 要 量 140 120 100 80 60 快 晴 時 の 太 陽 光 発 電 出 力 によるカット 量 94 快 晴 時 70GW 出 力 快 晴 時 のカット 後 の 需 要 量 相 当 供 給 力 として 評 価 70GW 0.229=16.3 百 万 KW ( 原 子 力 エ ネルギー 図 面 集 2013 年 度 版 ; 電 気 事 業 連 合 会 調 べ) 40 20 供 給 力 として 評 価 可 能 な70GWPV 出 力 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 時 電 力 需 給 検 証 小 委 員 会 第 5 回 配 布 資 料 3より 1 太 陽 光 発 電 は 天 候 によって 供 給 力 が 大 きく 左 右 されるため 高 需 要 が 発 生 した 日 に 確 実 に 見 込 める 分 を 供 給 力 として 計 上 具 体 的 には 夏 季 上 位 3 日 の 電 力 需 要 が 発 生 した 日 の 太 陽 光 出 力 について 直 近 20 年 間 分 を 推 計 ( 計 60データ)し このうち 下 位 5 日 の 平 均 を 安 定 的 に 見 込 め る 出 力 として 評 価 2 同 資 料 より 自 家 消 費 も 考 慮 した 出 力 比 率 は22.9%(361 万 KW/1578 万 KW)となり これをピーク 時 間 帯 の15 時 に 適 応 32013/3 末 時 点 での 既 設 プラス 設 備 認 定 分 として 約 70GW 原 子 力 エネルギー 図 面 集 2013 年 度 版 ; 電 気 事 業 連 合 会 調 べ 図 5-2 最 大 電 力 発 生 日 における 70GW 太 陽 光 発 電 によるピークカットイメージ 37
5.2 エネルギー 政 策 から 見 た 太 陽 光 発 電 の 課 題 前 述 の 通 り エネルギー 基 本 計 画 で 太 陽 光 発 電 は 発 電 コストが 高 く 出 力 不 安 定 性 など の 安 定 供 給 上 の 問 題 があることから 更 なる 技 術 革 新 が 必 要 である と 評 価 されている すなわち 電 源 としてのコスト 競 争 力 並 びに 大 量 導 入 時 の 電 力 系 統 対 策 が 課 題 であり この 課 題 を 克 服 することで 国 民 負 担 の 増 大 を 回 避 することが 求 められている 5.2.1 電 源 としてのコストの 課 題 発 電 コストに 関 しては NEDO の 報 告 書 太 陽 光 発 電 開 発 戦 略 (NEDO PV Challenges) (2014 年 9 月 発 表 )において 2030 年 には 革 新 的 技 術 により 基 幹 電 源 並 みの 7 円 /kwh が 可 能 であるとされている 一 方 RITE( 公 益 財 団 法 人 地 球 環 境 産 業 技 術 研 究 機 構 )から 発 表 された 電 源 別 発 電 コストの 最 新 推 計 と 電 源 代 替 の 費 用 便 益 分 析 ( 2014 年 10 月 発 表 )では 2013 年 時 点 で の 原 子 力 石 炭 LNG での 発 電 コストが 8.0~12.5 円 /kwh であるのに 対 し 太 陽 光 発 電 のコストは 30.6~33.8 円 /kwh であるとされている 又 2030 年 時 点 の 推 定 コストは 原 子 力 石 炭 LNG での 発 電 コストが 8.0~11.9 円 /kwh であるのに 対 し 太 陽 光 発 電 の コストは 系 統 対 策 費 用 を 除 くと 13.3~14.8 円 /kwh と 将 来 のグリッドパリティーに 向 けた 技 術 の 進 展 の 可 能 性 を 示 唆 しており 今 後 も 国 地 域 業 界 による 継 続 的 なチャレン ジが 求 められている 5.2.2 需 要 のエネルギー 転 換 ( 電 化 Electrification) 図 5-3 に 示 すように 我 が 国 の 最 終 エネルギー 消 費 に 占 める 電 力 の 割 合 ( 電 化 率 )は 1973 年 度 の 13.4%から 上 昇 を 続 け 電 化 は 着 実 に 進 んでいる しかしながら 2012 年 度 におい ても 電 化 率 は 23%であり 残 りの 77%は 電 力 以 外 のエネルギーとして 石 油 ガス 石 炭 等 の 化 石 燃 料 を 主 として 消 費 していることになる これら 残 りの 77%に 関 しても 今 後 は 電 化 が 進 むと 考 えられるが 利 便 性 の 向 上 に 加 え 経 済 的 メリットとエネルギー 消 費 効 率 の 向 上 に 繋 がることが 重 要 かつ 不 可 欠 である 図 5-3 最 終 エネルギー 消 費 に 占 める 電 化 率 ( 出 典 : 資 源 エネルギー 庁 エネルギー 白 書 2014 ) 38
表 5-2 に 2012 年 度 の 部 門 別 の 最 終 エネルギー 消 費 を 示 す 電 化 率 は 家 庭 部 門 50.5% 業 務 部 門 45.0% 産 業 部 門 14.8% 運 輸 部 門 2.1%である 太 陽 光 発 電 との 相 性 から 家 庭 部 門 と 運 輸 部 門 に 焦 点 を 当 てることとした ( 10 15 J) 家 庭 部 門 業 務 部 門 産 業 部 門 運 輸 部 門 計 構 成 比 構 成 比 構 成 比 構 成 比 構 成 比 1 次 エネル ギーに 対 す る 構 成 比 電 力 1,034 50.5% 1,292 45.0% 905 14.8% 70 2.1% 3,301 23.0% 15.9% ガス 426 20.8% 796 27.7% 336 5.5% 1,558 10.9% 7.5% 石 油 製 品 その 他 586 28.6% 782 27.2% 3,204 52.4% 3,247 97.9% 7,820 54.5% 37.6% 石 炭 製 品 1,667 27.3% 1,667 11.6% 8.0% 計 2,047 100.0% 2,870 100.0% 6,113 100.0% 3,317 100.0% 14,347 100.0% 68.9% 部 門 別 構 成 比 14.3% 20.0% 42.6% 23.1% 100.0% 1 次 エネルギーから の 転 換 損 失 6,472 31.1% 1 次 エネルギー 20,819 100.0% 表 5-2 部 門 別 最 終 エネルギー 消 費 の 内 訳 ( エネルギー 白 書 2014 を 元 に JPEA 作 成 ) 5.2.3 家 庭 部 門 における 電 化 (Electrification)と 太 陽 光 発 電 需 要 の 能 動 化 (Active Demand-side Management) 家 庭 部 門 における 電 化 によるエネルギー 利 用 効 率 の 改 善 では 従 来 型 のガス 石 油 給 湯 器 を 高 効 率 ヒートポンプ(エコキュート)に 変 えることだけでも 一 次 エネルギーを 約 30% 削 減 できる 可 能 性 がある( 図 5-4) 図 5-4 高 効 率 ヒートポンプ 給 湯 器 のメリット( 出 展 : 一 般 財 団 法 人 ヒートポンプ 蓄 熱 センターホームページ) 39
さらに 高 効 率 ヒートポンプ 給 湯 器 と 太 陽 光 発 電 を 組 み 合 わせれば 以 下 の 通 りより 一 層 の 削 減 の 可 能 性 が 出 てくる 1) 深 夜 早 朝 の 運 転 から 太 陽 光 が 発 電 している 日 中 (= 気 温 が 高 い)の 運 転 に 変 える ことで 最 大 15% 程 度 のエネルギー 消 費 効 率 の 改 善 が 期 待 できる( 電 中 研 報 告 書 :Q10037 等 に 基 づき JPEA が 試 算 ) 2) 自 宅 設 置 の 太 陽 光 発 電 の 電 力 を 利 用 することで 送 電 ロスを 4%~8% 程 度 削 減 できる (JPEA 試 算 ) 3) 火 力 発 電 の 電 気 を 太 陽 光 発 電 の 電 気 に 切 り 替 えることで 一 次 エネルギーを 最 大 6 割 程 度 削 減 可 能 であり 温 室 効 果 ガスについては 95% 以 上 の 削 減 が 可 能 となる 高 効 率 ヒートポンプ 給 湯 器 を 太 陽 光 発 電 と 組 み 合 わせることのもう 一 つの 大 きなメリッ トは その 蓄 エネ 機 能 にある 高 効 率 ヒートポンプ 給 湯 器 は 従 来 型 の 給 湯 器 と 異 なり 通 常 は 電 気 代 が 安 い 深 夜 から 早 朝 に 動 かして 貯 湯 槽 にお 湯 (150~300 リットル 程 度 )を 貯 めておくが 動 かす 時 間 を 調 整 すれば 太 陽 光 発 電 の 余 剰 電 力 を 吸 収 することが 可 能 であ り 電 力 系 統 の 安 定 化 効 果 が 十 分 期 待 できる 又 太 陽 光 発 電 の 出 力 制 御 も 回 避 できるこ とから 優 先 度 の 高 い 対 策 となる 家 庭 用 の 高 効 率 ヒートポンプ 給 湯 器 の 導 入 台 数 は 2014 年 末 現 在 で 累 計 約 450 万 台 に 達 しており 今 後 も 年 間 50 万 台 程 度 のペースで 導 入 が 進 めば 2030 年 には 1,300 万 台 近 くまで 普 及 すると 推 定 される( 図 5-5) 図 5-5 高 効 率 ヒートポンプ 給 湯 器 の 国 内 導 入 台 数 40
この 導 入 台 数 における 余 剰 電 力 の 吸 収 能 力 を 示 したものが 図 5-6 である 高 効 率 ヒート ポンプ 給 湯 器 の 消 費 電 力 が 1.5kW のケースでは 2030 年 に 19GW(1,900 万 kw) 程 度 のポ テンシャルがあることになる この 19GW は JPEA ビジョンで 示 した 2030 年 の 太 陽 光 発 電 の 累 計 導 入 量 100GW 見 通 しの 約 20%に 相 当 し 余 剰 電 力 吸 収 能 力 の 規 模 としては 大 いに 期 待 できる 尚 この 蓄 エネ 機 能 (= 余 剰 電 力 吸 収 能 力 )を 十 分 に 発 揮 させるためには 情 報 通 信 技 術 (ICT)による 負 荷 機 器 のネットワーク 化 HEMS や 電 力 系 統 との 連 携 による 需 要 の 能 動 化 が 前 提 となる 図 5-6 高 効 率 ヒートポンプ 給 湯 器 による 余 剰 電 力 吸 収 能 力 5.2.4 運 輸 部 門 における 電 化 と 太 陽 光 発 電 需 要 の 能 動 化 図 5-3 で 示 したエネルギーの 最 終 消 費 において 運 輸 部 門 における 石 油 製 品 (ガソリン 軽 油 重 油 )の 占 める 割 合 は 97.8%と 圧 倒 的 である この 一 部 でも 太 陽 光 発 電 で 賄 うことが できれば エネルギー 消 費 効 率 の 改 善 に 加 え 化 石 燃 料 消 費 と 温 室 効 果 ガス 排 出 の 削 減 に 大 きな 効 果 が 期 待 できる 表 5-3 に 示 した 一 般 財 団 法 人 日 本 自 動 車 研 究 所 の 報 告 書 では WtoW(Well to Wheel) 効 率 として J08 モード 走 行 時 の 一 次 エネルギー 消 費 量 を 算 出 している ガソリン 車 2.0 MJ/km ディーゼル 車 1.8 MJ/km ハイブリッド(HV) 車 1.3 MJ/km 電 気 自 動 車 (EV) 0.9 MJ/km となっている( 電 力 の 構 成 比 が 2009 年 の 場 合 ) これはガソリン 車 やハイブ リッド 車 を 電 化 するだけで エネルギー 効 率 が 30~55% 改 善 することを 意 味 する 又 通 常 の 系 統 電 源 から 太 陽 光 発 電 の 電 気 に 切 り 替 えれば 一 次 エネルギー 消 費 量 は 0.4 MJ/km に 下 がり エネルギー 消 費 効 率 がさらに 55% 程 度 改 善 することになる 電 気 自 動 41