序章



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Transcription:

第 1 講 力 学 を 学 ぶ 1. 大 学 で 学 ぶ 力 学 都 市 工 学 科 では 建 物 を 設 計 し 造 るための 理 論 や 手 法 を 学 びます. 構 造 力 学, 土 質 力 学, 水 理 学, 環 境 工 学,コンクリート 工 学 などその 守 備 範 囲 は 非 常 に 広 く 多 岐 に 亘 っていますが,これら もの づくり に 関 する 学 問 の 根 底 に 一 貫 して 流 れている 思 想 は 安 全 性, 機 能 性, 経 済 性 を 兼 ね 備 えた 構 造 物 を 造 る ことです.このあたりの 哲 学 的 なことについては 後 ほど 詳 しく 講 義 しますが,これ らの 学 問 のよって 立 つところの 基 本 のき が 力 学 です.だから, 力 学 が 完 璧 に 解 ってないヤ ツには, 建 物 の 設 計 は 任 せられません! ということで, 都 市 工 学 科 では 入 学 直 後 から, 高 校 物 理 の 力 と 運 動 をちょっとバージョンア ップして 総 ざらいします.このバージョンアップの 内 容 は?というと,もちろん 我 々は 都 市 工 学 を 専 門 とするわけですから,この 方 面 の 題 材 を 多 く 引 っ 張 り 出 してくる ということがひとつ,もうひ とつは, 数 学 の 微 分 積 分 ベクトル の 考 え 方, 技 法 (ワザ)をふんだんに 使 う ということで す.よって 高 校 までの 学 習 内 容 の 物 理 Ⅰ: 運 動 とエネルギー( 運 動 方 程 式, 運 動 エネルギーと 位 置 エネルギー 熱 と 温 度 など) 物 理 Ⅱ: 力 と 運 動 ( 物 体 の 運 動, 円 運 動 など) 数 学 Ⅱ B: 三 角 関 数, 指 数 関 数, 微 分 と 積 分,ベクトル 数 学 Ⅲ C: 行 列, 微 分 法, 積 分 法 の 事 項 をよ~ぉく 復 習 しておいてください. 間 違 っても 高 校 の 教 科 書 や 受 験 のときに 使 った 参 考 書 は 捨 ててはいけません. 常 に 机 の 横 においていつでも 参 照 できるようにしておいてください. 1-1

2. 力 学 で 使 用 する 数 学 の 基 礎 知 識 演 習 1.1 以 下 を 2 階 ( 二 回 ) 微 分 しなさい Bx y = Ae : A, Bはともに 定 数 y= Acos 2x+ Bsin 2 x : AB, はともに 定 数 x y = e cos x 演 習 1.2 ベクトル a とベクトル b の 間 のなす 角 θを 求 めなさい. 演 習 1.3 3 つのベクトル F x 1 = 3, F = 5 2 2, F = 1 3 y が, F F F 0 1 + 2 + 3 = を 満 たすとき x y を 求 めよ. 少 し 発 展! 高 校 では 習 っていないけど, 微 分 方 程 式 の 基 礎 をやってみよう.ある 関 数 とそれを 微 分 した 関 数 が 等 号 で 結 ばれているのが 微 分 方 程 式 だ 多 くの 物 理 現 象 が 表 現 されるのでその 構 造 を 理 解 して 覚 えること! dy 演 習 1.4 3y dx = の 関 係 があるとき,y を x の 関 数 として 表 せ. ほかにも, 三 角 関 数 の 加 法 定 理, 複 素 数 など,しっかり 復 習 しておいてください. 1-2

3. 力 はベクトル 我 々は 物 体 に 力 が 作 用 したときの 変 形 を 見 て あるいは 自 分 の 体 に 力 が 加 わったときに 力 を 感 じることはできますが 力 そのものは 目 で 見 ることはできないので 我 々にとって 使 いやすい 力 の 表 現 法 を 考 えておく 必 要 があります.ここでは2 次 元 ( 平 面 ) 問 題 における 力 の 現 し 方 につい て 考 えてみます. 直 進 力 は その 性 質 上 大 きさ 方 向 向 きを 持 つので ベクトル(vector)として 取 り 扱 われます. ベクトルは 2 次 元 平 面 内 では2つの 3 次 元 空 間 内 では 3 つの 成 分 (component)を 持 っていて, 2 次 元 問 題 においては 直 進 力 のベクトルは 平 面 直 交 座 標 系 内 で 二 つの 成 分 を 持 つことになります 演 習 1.5: 右 図 のように 3 本 の 糸 が 点 k で 結 ばれている. そのうち 2 本 は 天 井 ( 同 じ 高 さ)の a 点 と b 点 に 残 りの 1 本 には 重 さ 25N のおもりが c に 繋 がれ ている.ab 間 が 25cm,ak 間 が 20cm,bk 間 が 15cm のとき 3 本 の 糸 に 作 用 する 張 力 を 求 めよ. a k b 1 まずは 座 標 系 を 設 定 する.a を 原 点 に 右 向 き+x, 下 向 き+y 各 点 の 座 標 値 を 求 めておく 2 三 本 の 糸 の 張 力 を F a,f b,f cとおいてみる. このなかで,F cだけは 明 らかに F c=25[n] 3 三 本 の 糸 の 方 向 を 示 す 方 向 余 弦 を 計 算 する. 方 向 余 弦 : 長 さが 1 のベクトルで 単 に 方 向 を 表 すための 数 学 的 道 具 あるベクトルの 方 向 余 弦 を 知 りたければ,そのベクトルを 長 さで 割 ればよい. αa = αb = α c =,, 4 F a,f b,f cにそれぞれ 方 向 余 弦 を 掛 けることによって, 成 分 分 解 する. 三 つの 力 は F a,f b,f cの 大 きさとα a, α b, α cの 方 向 を 持 つ 力 のベクトルとして 表 現 される. Fa = Fb = F c =,, 5 この 三 つの 力 は 結 び 目 k において 釣 り 合 っているので 釣 合 式 : Fa + Fb + Fc = 0 が 成 立 する. 物 体 に 作 用 する 力 をすべて 足 し 合 わせたものが ゼロ になるとき これによって, 連 立 1 次 方 程 式 を 解 く. 釣 り 合 い が 成 立 する c *ベクトルを 数 式 で 表 すときは (いろいろな 表 示 法 があるが) 本 講 義 では 太 文 字 で F のように 表 示 する 板 書 では 影 文 字 を 用 いる. 1-3

4. 力 学 で 使 用 する 物 理 量 とその 単 位 力 (force)は, 質 量 m の 物 体 に 加 速 度 a を 発 生 させる 力 は ma である と 定 義 することができる ので その 単 位 は 質 量 加 速 度 の 次 元 (dimension)を 持 つことになります 工 学 で 取 り 扱 う 力 は 重 力 に 関 連 する 場 合 が 多 く 重 力 の 加 速 度 を g( 9.806m/s 2 )とすれば mg という 力 を 考 えれば よいことになります そこで いわゆる 技 術 畑 での 実 務 には, 従 来 より 以 下 のような 工 学 単 位 系 が よく 使 われてきました 工 学 単 位 系 : 質 量 1[kg]の 物 体 に 重 力 加 速 度 g を 発 生 させる 力 =1[kgf(キロク ラムフォース)] しかし 現 在 では 以 下 の 定 義 による SI 単 位 系 が 国 際 標 準 単 位 として 採 用 されているため 本 講 義 でも 基 本 的 には SI 単 位 系 を 用 いることにします SI 単 位 系 : 質 量 1[kg]の 物 体 に 加 速 度 1[m/s 2 ] を 発 生 させる 力 =1[N(ニュートン)] < 参 考 > 出 典 :ウィキペディア(http://ja.wikipedia.org/wiki/) 国 際 単 位 系 (こくさいたんいけい 仏 : Le Système International d'unités 英 : The International System of Units 略 称 SI)は 十 進 法 を 原 則 とした 最 も 普 遍 的 な 単 位 系 である 日 本 の 計 量 法 でも 一 部 の 例 外 を 除 き 計 量 単 位 に 国 際 単 位 系 を 採 用 している 略 称 SI はフランス 語 からきているが これは 歴 史 的 理 由 による 国 際 単 位 系 は 7 つの 基 本 単 位 を 組 み 合 わせて 組 立 単 位 の 定 義 を 行 う 基 本 単 位 は 時 間 [s] 長 さ [m] 質 量 [kg] 電 流 [A] 熱 力 学 温 度 [K] 物 質 量 [mol] 光 度 [cd] である 量 基 本 単 位 定 義 名 称 記 号 時 間 秒 s セシウム 133 原 子 の 基 底 状 態 の 2 つの 超 微 細 準 位 (F=4,M=0 および F=3,M=0) 間 の 遷 移 に 対 応 する 放 射 の 周 期 の 9 192 631 770 倍 の 継 続 時 間 長 さ メー m 1 秒 の 1/299 792 458 の 時 間 に 光 が 真 空 中 を 進 む 距 離 トル 質 量 キロ グラ ム kg 国 際 キログラム 原 器 (プラチナ 90% イリジウム 10%からなる 合 金 で 直 径 高 さともに 39mm の 円 柱 )の 質 量 電 流 アン ペア A 無 限 に 長 く 無 限 に 小 さい 円 形 断 面 積 を 持 つ 2 本 の 直 線 状 導 体 を 真 空 中 に 1 メートルの 間 隔 で 平 行 においたとき 導 体 の 長 さ 1 メートルにつき 2 10-7 ニュートンの 力 を 及 ぼしあう 導 体 のそれぞれに 流 れる 電 流 の 大 きさ 水 の 三 重 点 (0.01 )の 熱 力 学 温 度 の 1/273.16 温 度 間 隔 も 同 じ 単 位 熱 力 学 温 度 ケル ビン K 物 質 量 モル mol 0.012kg の 炭 素 12 に 含 まれる 原 子 と 等 しい 数 の 構 成 要 素 を 含 む 系 の 物 質 量 モルを 使 うときは 構 成 要 素 (entités élémentaires) が 指 定 されなけれ ばならないが それは 原 子 分 子 イオン 電 子 その 他 の 粒 子 またはこ の 種 の 粒 子 の 特 定 の 集 合 体 であってよい 光 度 カン デラ cd 周 波 数 540 1012 ヘルツの 単 色 放 射 を 放 出 し 所 定 方 向 の 放 射 強 度 が 1/683 W sr-1 である 光 源 のその 方 向 における 光 度 1-4

基 本 となるのは 以 上 の7 個 です それ 以 外 の 単 位 は,これらの 基 本 単 位 を 組 み 合 わせて 新 たに 定 義 したものか, 研 究 者, 技 術 者 が 使 いやすい ように 定 義 したものです それでも, 世 界 で 普 通 に 使 われているものがあります 力 学 に 関 す るものだけを 抽 出 してみましょう 力 学 でよく 出 てくる 物 理 量 : 力 のモーメント: 力 距 離 (てこの 腕 の 長 さ)なので Nm(ニュートンメートル) kgfm(キロク ラムフォースメートル)などと 表 記 する 応 力 : 物 体 の 内 部 における 単 位 面 積 当 たりの 力, 圧 力 と 同 じディメンジョン N/m 2 (ニュートンハ イスクエアメートル)Pa(ハ スカル)などと 表 記 する. エネルギー: 運 動 エネルギー, 位 置 エネルギー,ひずみエネルギー 何 れも, 力 距 離 Nm(ニュートンメートル) kgfm(キロク ラムフォースメートル)などと 表 記 する 科 学 技 術 の 世 界 では,キロ,メガなどのけた 数 を 表 す 接 頭 語 がよく 用 いられます 右 の 表 は 単 位 となる1を 基 準 に して 大 きい 方 の 接 頭 語 と 小 さい 方 の 接 頭 語 を 示 したもので す コンピュータ 等 の 使 用 によく 用 いられているのでお 馴 染 みの 接 頭 語 が 多 いと 思 います 250[Gbyte(ギガバイト)] の 容 量 を 有 するハードディスクには, 9 9 12 250 10 ( Byte) = 250 8 10 ( bit) = 2 10 ( bit) 単 位 につける 接 頭 語 テラ tera T 10 12 ギガ giga G 10 9 メガ mega M 10 6 キロ kilo k 10 3 ヘクト hecto h 10 2 デカ deca da 10 1 デシ deci d 10-1 センチ centi c 10-2 ミリ milli m 10-3 マイクロ micro μ 10-6 ナノ nano n 10-9 ピコ pico p 10-12 2000 億 個 の[0,1] 記 号 が 記 録 できることになるのです ナノ,ピコといった 微 少 量 を 表 す 接 頭 語 は 微 少 量 を 取 り 扱 う 物 理 化 学 生 物 の 世 界 でしばしば 登 場 します 最 近, 我 々も 環 境 問 題 を 取 り 扱 うことが 多 くなってきましたのでこれらの 接 頭 語 を 十 分 に 使 いこなせるようになってください 工 学 単 位 系 と SI 単 位 系 の 間 の 変 換 直 進 力 力 のモーメント 圧 力 ( 応 力 ) SI 単 位 系 1[N] 1[kN] 1[MN] 9.806[N] 1[Nm] 9.806[Nm] 1[Pa] 9.806[Pa] 工 学 単 位 系 0.102[kgf]=102[gf] 102[kgf] 102[tf] 1[kgf] 0.102[kgfm] 1[kgfm] 0.102[kgf/m 2 ] 1[kgf/m 2 ] 1-5

< 再 録 > 工 学 単 位 系 : 質 量 1[kg]の 物 体 に 加 速 度 g(=9.8[ m/sec 2 )]を 発 生 させる 力 を1[kgf(キロク ラムフォース)]とする SI 単 位 系 : 質 量 1[kg]の 物 体 に 加 速 度 1[m/sec 2 ] を 発 生 させる 力 を1[N(ニュートン)]とする といっても,われわれは 工 学 技 術 者 なので,9.8=10 と 大 雑 把 に 考 えて, 感 覚 を 掴 めばよい. 1[N]は 100[gf]より 少 し 大 きい, 1[kgf]は 10[N]よりすこし 小 さい. 演 習 1.6 1) 質 量 60[kg]の 人 に 作 用 する 引 力 の 大 きさを 求 めなさい 2) 単 位 体 積 質 量 7.8[g/cm 3 ]の 鉄 材 の 5[cm] 6[cm] 8[cm]の 直 方 体 の 質 量 は 何 [kg]か 3) 右 下 図 に 示 す 断 面 を 持 つ 鋼 円 管 をはりとして 用 いる 円 管 自 身 の 重 さが 等 分 布 荷 重 となる 1[m]あたりの 荷 重 ( 等 分 布 荷 重 ) の 大 きさを 求 めよ ただし 鋼 の 単 位 体 積 質 量 は 7.8[g/cm 3 ]と する 有 効 数 字 3 桁 で 答 えよ w N m 厚 さ t = 1cm D = 40cm 有 効 数 字 : 測 定 誤 差 を 考 慮 したとき 誤 差 の 混 入 が 想 定 される 桁 以 下 を 丸 め 信 頼 できる 桁 まで のみを 表 示 する 5 階 建 てのビルディングの 高 さを4 隅 で 測 るとき 数 十 センチの 違 いは 問 題 になるが 数 ミリの 違 いは 問 題 にならないはず 誤 差 の 範 囲 たとえば 有 効 数 字 3 桁 (1/100 以 下 は 信 頼 できない)のとき 258367.33 は 2.58 10 5 と 表 示 して 有 効 桁 とスケール( 物 理 量 の 大 きさ) で 表 現 すれば 十 分 ということになります 1-6