東京方言における属格主語に関して : 奪格主語との比較から * 佐久間篤 (atsushi.sakuma.linguistics@gmail.com) 南山大学大学院生 1 はじめに東京方言では従属節の中で (1a) のように主語に主格の が が付与されることも (1b) のように属格の の が付与されることも可能である この現象は Nominative-Genitive Conversion (NGC; Harada 1971) やが- の交替 ( 井上 1976) 主格属格交替現象と呼ばれている ( 以下 主格属格交替現象とする ) (1) a. boku ga yonda hon b. boku no yonda hon (Harada 1971 : 26) 東京方言において 主格属格交替現象は (2) のような関係節や同格節などの従属節 ( 以下 NGC 節とする ) で起こる 属格主語は (3) のように尊敬語化の対象にも 自分 の先行詞にもなる Miyagawa (2011) は 属格主語は述部と隣接する必要があることから属格主語は (4) のように TP までしか存在しない NGC 節の中の vp の指定部で生成されるが TP の指定部には移動しないとした (2) a. Kinoo John ga/no katta hon (Hiraiwa 2001 : 73) b. John ga/no kuru kanousei (Ochi 2001 : 247) (3) a. [ 昨日田中先生のお買いになった ] 本 b. [ 太郎 iの自分 iの息子の嫌いな ] 理由 (4) [ TP [ vp Subj=no VP v] T] また 東京方言では ある種の動詞の主語に が が付与されることも (5) のように奪格の から が付与される事も可能である ( 以下 この現象を主格奪格交替現象とする ) 奪格主語は (6a) のように尊敬語化の対象にも (6b) のように 自分 の先行詞にもなる Ueda (2002) は 奪格主語は (7) のように vp の指定部で生成されるが TP の指定部には移動しないとした (5) 母親から衣類を送ってきた ( 井上 2002 : 50) (6) a. 山田先生から花子に発表の内容をお話になった b. 太郎 iから花子に自分 iの発表の内容を教えた (7) [ TP [ vp Subj=kara VP v] T] 本発表では 1 属格主語と奪格主語に同じである と主張し 2 Miyagawa (2011) の属格主義は vp の指定部に生成されるが TP の指定部には移動しない という主張を支持する また 属格主語が vp の指定部から移動しないとするとラベル (Chomsky 2013, 2015) の問題が発生することから 3 属格主語の の は奪格主語の から と同様に後置詞であり 属格主語は PP である と主張する * 本発表を含めて様々な場面で Doan Le Hoai Anh 氏 王冠亮氏 市川賢汰氏から様々なアドバイスを頂きまし た この場で深く感謝を申し上げます -1-
2 属格主語について 2.1 D-licensing と C-licensing Miyagawa (2011) によると 生成言語学の枠組みにおいて NGC 節内の主語への属格認可の説明とし ては (8) のように NGC 節外にある D と一致することで与えられる D-licensing と (9) のように NGC 節 内の名詞化した C と一致することで与えられる C-licensing がある (8) D-licensing a. DS: [ DP[ TP[ vp kodomotati [ VP tab] e] ta] raamen D] b. SS: [ DP[ TP[ vp kodomotati i=no [ VP tab] e] ta] raamen D] c. LF: [ DP kodomotati i=no [ TP[ vp t i [ VP tab] e] ta] raamen D] (Miyagawa 1993 に基づいて作成 ) (9) C-licensing [ DP[ CP [ TP[ vp kodomotati [φ] [ VP tab [φ]] e [φ]] ta [φ]] C [φ]] raamen D] AGREE AMALGAMATE (Hiraiwa 2001 に基づいて作成 ) 2.2 Genitive subject in Spec vp Miyagwa (2013) は (10a) のように D が主語に属格を与えるほか (10b) のように weak v と相対テンス (dependent tense) が属格を与えるとした (10) Genitive Licenser in Japanese a. D b. weak v, in conjunction with dependent tense (Miyagawa 2013 : 11) 特に D が属格を与える場合の NGC 節について Miyagawa (2013) は主格主語が現れる場合については (11a) のような構造 属格主語が現れる場合については (11b) のような構造を仮定した (11a) では C が存在するため形式素性が C から T に継承され T から主語に主格が与えられる しかし (11b) では C が存在したないため T に形式素性が存在せずまた D からのライセンスをブロックする要素も vp と DP の間に存在しないため D から主語に属格が与えられる (11) a. Nominative Subject [ DP [ CP [ TP Subj i [ vp t i VP] T] C] NP D] b. Genitive Subject [ DP [ TP [ vp Subj VP] T] NP D] Miyagawa (2011) は (11b) の構造が正しいとすると (12) のような介在効果について説明可能だとしている 属格主語が vp の指定部にあるとすると (12) のように属格主語と述部の間に別の要素が現れる場合 属格主語が vp の指定部から高い位置に移動する必要があるが この移動は理由がないため移動は起こりえず 文法性が下がる また (13) のように VP に付加する要素であれば属格主語と述部の間に現れても文法性は変わらないとした (12) a. こどもたち { が /?? の }{ みんなで / いっぱい } 読んだ絵本 b. こどもたち { が /* の } みんなでいっぱい読んだ絵本 (13) Koozi-no mattaku sir-anai kakudo (Miyagawa 2011 : 1274) -2-
3 奪格主語について 3.1 日本語の奪格主語一般的に 日本語の文には主格主語が存在しなければならないとされているが Kuroda (1978) や Inoue (1998) は (14) のように主語に奪格が付与された場合 主格が付与された名詞句が存在しなくても文法的であるとしている 井上 (2002) は主格奪格交替現象について 物の移動を示し 主語が動作主で ニ句が着点の意味役割を担いかつ有性である三項動詞で起こるとした (14) a. 私 { が / から } 課長に FAX を送りますよ b. 俺 { が / から } 太郎をきつく叱っておくよ c. あなた { が / から } 田中さんに会議の時間を伝えてください ( 伊藤 2001 : 45) 3.2 Ablative subject in Spec vp Ueda (2002) は Alexiadou & Anagnostopoulou (1998) のギリシャ語とカタルーニャ語の議論を基に 日本語の奪格主語は vp の指定部に生成されるが TP の指定部へは移動しないとした まず 使役文内の埋め込み節内では文副詞は現れないが VP 修飾の副詞は現れるため この埋め込み節は vp であるとされている ここで奪格主語が可能な動詞は (15a) のように動作主に対して与格を付与するは難しいが奪格を付与することは可能である さらに 奪格主語が使役文内の埋め込み節に現れた場合 (15b) のように VP 修飾の副詞は現れるが文副詞は現れないため 奪格主語は vp 内にあるとしている (15) a. Taroo-ga [watasi{??-ni/-kara} Mary-ni kanozyo no byoozyoo-o setumei-s]-(s)ase-ta b. Taroo-ga [{yukkurito/*saiwaini} watasi-kara Mary-ni kanozyo no byoozyoo-o setumei-s]-(s)ase-ta (Ueda 2003 : 203-204) 次に (16) のように補文の主語が主格の場合 補文の主語と主文の主語とは束縛変項読みができないが 補文の主語が奪格の場合 補文の主語と主文の主語とは束縛変項読みができる 最後に (17a) のように主格主語の場合 主語と目的語が取るスコープの曖昧性は発生しないが (17b) のように奪格主語の場合 スコープの曖昧性は発生する これらの事実から Ueda (2002) は奪格主語が可能な動詞の vp までの構造は (18a) であり 奪格主語の場合は (18b) のように移動が起こらず 主格主語の場合 (18c) のように CP の指定部に移動するとした (16) a. Daremo i-ga [karera i{*-ga/kara} byoozyoo-o hanas-u to] it-ta b. Daremo i-ga [karera i{*-ga/kara} Taroo-o sikar-u to] it-ta (ibid : 205) (17) a. ga-subject: (some > every, *every > some) Dareka-ga donotegami-mo okut-te-oi-te-kudasai b. kara-subject: (some > every, every > some) Dareka-kara donotegami-mo okut-te-oi-te-kudasai (ibid : 206) (18) a. [ v*p Subj j [ VP Obj V] v*] b. [ CP [ TP [ v*p Subj=kara [ VP Obj V] v*] T] C] c. [ CP Subj i=ga [ TP [ v*p Subj i [ VP Obj V] v*] T] C] また Kishimoto (2012) は否定対極表現 (NPI) と尊敬語を使い奪格主語は vp の指定部に生成されるが TP の指定部へは移動しないとした まず 誰 は も に束縛されている場合 NPI と解釈できる -3-
(19a) のように 誰 に主格が付与され動詞の後に も が現れた場合 誰 は NPI と解釈されないが 誰 に奪格が付与されている場合 NPI として解釈できる Kishimoto(2012) は も は vp よりも高い位置に現れ 奪格主語が (19b) のように vp に留まるとすると も に束縛されるが 主格主語が (19c) のように TP の指定部に移動すると も に束縛されないとした (19) a. Kon-kai-wa {*dare-ga/dare-kara} kihu-o yobikake-mo si-nakat-ta. b. [ TP [ [ vp SU-kara [VP... V] V-v-mo] si-nakat] ta] c. * [ TP SU- NOM [ [vp SU- NOM [VP... V] V-v-mo] si-nakat ] ta] (Kishimoto 2012 : 15-16) 次に Kishimoto(2012) はアスペクト動詞の いる を尊敬語化した場合 主格主語か奪格主語かで文法性が変わるとした 話す は奪格主語が取れる動詞であり (20) のようにアスペクト動詞の いる に埋め込まれた場合でも奪格主語も現れる (20) a. Ken-ga Eri-ni sono-koto-o hanasi-te i-ru. b. Ken-kara Eri-ni sono-koto-o hanasi-te i-ru. (ibid : 20) 尊敬語化は本動詞かアスペクト動詞のどちらかで起こる 主格主語の場合 (21a) のように本動詞もアスペクト動詞も尊敬語化が可能であるが 奪格主語の場合 (21b) のように本動詞は尊敬語化が可能であるがアスペクト動詞は不可能である Kishimoto (2012) は (21c) のような構造を仮定し本動詞が尊敬語化する場合は vp の指定部で一致する必要が アスペクト動詞が尊敬語化する場合は vp asp で一致する必要があるとした そして 主格主語は一番高い位置にある TP の指定部に移動するため vp でも vp asp でも一致できるが 奪格主語の場合は vp の指定部に留まるため vp asp では一致ができないとした (21) a. Sensei-ga Eri-ni sono-koto-o {o-hanasi-ni-nat-te i-ru/hanasi-te o-ide-ni-nar-u}. b. Sensei-kara Eri-ni sono-koto-o {o-hanasi-ni-nat-te i-ru/*hanasi-te o-ide-ni-nar-u}. c. [ TP... [ vpasp [ VP... [ TP... [ vp [ VP... V] V-v] te] V] V-vasp] T] (ibid : 21-23) 4 属格主語について 4.1. 属格主語はどこにあるのだろうか Ueda (2002) と Kishimoto (2012) の議論を基に 東京方言の属格主語は vp の指定部で生成されるがさらに高い位置には移動しないことを示す まず Ueda (2002) の議論が正しいとすると NGC 節内では文副詞は現れないが VP 修飾の副詞は現れると予想できるが Miyagawa (2011) などでも指摘がされている通り (22) のように文副詞は NGC 節内には現れることはできないが (23) のように VP 修飾の副詞は NGC 節内に現れることができる (22) a. 短距離選手の花子は日常生活では走らないようにしているけど 太郎は [ 昨日わざと花子 { が /* の } 走った理由 ] を知っているらしいよ b. [ 昨日おそらく花子 { が /* の } 焼くまで ] あのスーパーの肉はおいしく感じられなかった (23) a. 短距離選手の花子は走る時いつも本気を出すけど 太郎は [ 昨日ゆっくりと花子 { が / の } 走った理由 ] を知っているらしいよ b. [ 昨日じっくりと花子 { が / の } 焼くまで ] あのスーパーの肉はおいしく感じられなかった 次に NGC 節の主語に主格が付与されている場合 主文の主語とは束縛変項読みはできないが 属格が付与されている場合 束縛変項読みはできると予想ができるが (24) のように属格主語であれば主 -4-
文の主語との束縛変項読みができる (24) a. 誰も i が [ 昨日彼ら i{* が / の } 選んだ本 ] を大絶賛した b. 誰も i が [ 昨日彼ら i{* が / の } 来るまで ] そのクイズの解答は分からなかった最後に 主格主語の場合 主語と目的語が取るスコープの曖昧性は発生しないが 属格主語の場合 スコープの曖昧性は発生すると予想できるが Miyagawa (1993) でも指摘されている通り (25) のように二重主格構文で主格属格現象が起こった場合 (25c) のように主語と目的語が共に属格となった場合スコープの曖昧性は発生する (25) a. John-ga [tenisu-ka sakkaa]-ga dekiru riyuu reason > [tennis or soccer]; *[tennis or soccer] > reason b. John-no [tenisu-ka sakkaa]-ga dekiru riyuu reason > [tennis or soccer]; *[tennis or soccer] > reason c. John-no [tenisu-ka sakkaa]-no dekiru riyuu reason > [tennis or soccer]; [tennis or soccer] > reason d. John-ga [tenisu-ka sakkaa]-no dekiru riyuu reason > [tennis or soccer]; *[tennis or soccer] > reason (Miyagawa 1993 : 229) また Kishimoto (2011) が正しいとすると NGC 節内で 誰 に主格が付与され NGC 節の主要部の動詞の後に も が現れた場合は 誰 は NPI と解釈され得ないが 属格が付与されている場合は 誰 は NPI として解釈できると予想ができるが (26) のように NGC 節内の主語 誰 に属格が付与されている場合は NGC 節の主要部の動詞の後に も が現れた場合 NPI として解釈される (26) a. 太郎は [ 昨日誰 {* が / の } 買いもしなかった本 ] を知っている b. [ 昨日誰 {* が / の } も来もしなかった理由 ] が未だに分からない 次に 主格主語の場合では本動詞もアスペクト動詞もが尊敬語化が可能であるが 属格主語の場合では本動詞が尊敬語化のみ可能と予想ができるが (27a) や (28a) のように主格主語の場合にはどちらも文法的であるが (27b) や (28b) のように属格主語の場合には本動詞が尊敬語化できるが アスペクト動詞は尊敬語化できない (27) a. [ 昨日田中社長が { お食べになっていた / 食べておいでになった } 料理 ] は花子が作った b. [ 昨日田中社長の { お食べになっていた /* 食べておいでになった } 料理 ] は花子が作った (28) a. [ 昨日山田先生が { お買いになっていた / 買っておいでになった } 理由 ] をその場にいた花子は分からなかった b. [ 昨日山田先生の { お買いになっていた /* 買っておいでになった } 理由 ] をその場にいた花子は分からなかった 4.2 属格主語とラベリングの問題しかし 属格主語が DP であるとすると (29) のように vp の指定部に存在し DP と vp が併合した XP YP 構造が現れる Chomsky (2013, 2015) が正しいとすると XP もしくは YP がさらに高い位置で併合するもしくは XP と YP の共通素性を探索することでラベル付けが起こる しかし 属格主語も vp もさらに高い位置で併合はせず また属格主語とvP の間に共通素性があると考えることは難しい -5-
よって属格主語が DP であるとラベル付けの時に問題が発生するが属格主語が vp に付加している場合は問題が発生しない vp に付加することが可能である要素は副詞か PP であるが 属格主語は副詞的な要素ではない PP であれば (30) のように属格主語は v に付加することになり vp としてラベル付をすることが可能である (29) [? [ DP 太郎 =no] [ vp V v]] (30) [ vp [ PP 太郎 [ P no]] [ vp V v]] 5 まとめ本発表では 1 属格主語と奪格主語の統語的振る舞いは同じである であると主張し 2 Miyagawa (2011) での属格主義は vp の指定部に生成されるが TP の指定部には移動しない という主張を支持し最後に 3 属格主語の の は奪格主語の から と同様に後置詞であり 属格主語は PP である と主張した 今後は 属格主語は PP であることが本当に正しいか 詳しく検討する必要があると考えている 参考文献 Alexiadou, Artemis & Anagnostopoulou, Elena. 1998. Parameterizing AGR: Word Order, V-Movement, and EPP-Checking. Natural Language and Linguistic Theory 16, 491-539. / Chomsky, Noam. 2013. Problems of Projection. Lingua 130, 33-49. / Chomsky, Noam. 2015. Problems of Projection: Extension. Elisa D. Domenico, Cornelia Hamann & Simona Matteini (eds.). Structures, Strategies and Beyond: Studies in honour of Adriana Belletti. 3-16. John Benjamins. / Harada, Shin-Ichi. 1971. Ga- No Conversion and Idiolectal Variations in Japanese. Gengo Kenkyu 60, 25-38. / Hiraiwa Ken. 2001. On nominative-genitive conversion. Guerzoni Elena & Matushansky Ora (eds.). MITWPL 39: A Few from Building E39: Papers in Syntax, Semantics and their Interface. 66-125. MIT Working Papers in Linguistics. / 井上和子. 1976. 変形文法と日本語 大修館. / Inoue, Kazuko. 1998. Sentences without Nominative Subject in Japanese. Kazuko Inoue (ed.). Report (2): Researching and Verigying and Advanced Theory of Human Language. 1-29. Kanda University of International Studies. / 井上和子. 2002. 能動文, 受動文, 二重目的語構文と から 格. Scientific approaches to language 1, 49-76. / 伊藤健人. 2001. 主語名詞句におけるガ格とカラ格の交替について. 明海日本語 6: 45-63. / Kishimoto, Hideki. 2012. Subject honorification and the position of subjects in Japanese. Journal of East Asian Linguistics 21 (1), 1-41. /Kuroda, S.-Y. 1978. Case Marking. Canonical Sentence Patterns, and Counter Equi in Japanese. In John Hinds & Irwin Howards (eds.). Problems in Japanese Syntax and Semantics. 30-51. Kaitakusha. / Miyagawa, Shigeru. 1993. Case-checking and Minimal Link Condition. Phillips Colin (ed.) Papers on Case and agreement II MITWPL 19. 213-254. MIT Working Papers in Linguistics. / Miyagwa, Shigeru. 2011. Genitive subjects in Altaic and specification of phase. Lingua 121, 1265 1282. / Miyagwa, Shigeru. 2013. Strong Uniformity and Ga/No Conversion. English Linguistics 30, 1 24. / Ochi, Masao. 2001. Move F and Ga/No Conversion in Japanese. Journal of East Asian Linguistics 10, 247-286 / Ueda, Yukiko. 2002. Subject Positions, Ditransitives, and Scope in Minimalist Syntax: A Phase-Based Approach. Doctoral dissertation, Kanda University of International Studies. / Ueda, Yukiko. 2003. Subject Positions and Derivational Scope Calculation: A Phase-Based Approach. Scientific approaches to language 2, 189-215. -6-