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Transcription:

フィンランドにおける 小 学 校 英 語 教 育 の 実 態 調 査 - 学 校 訪 問 とアンケート 調 査 の 結 果 から- 鳴 門 教 育 大 学 伊 東 治 己 平 成 16 年 12 月 に 経 済 協 力 開 発 機 構 (OECD)による2003 年 度 国 際 学 習 到 達 度 調 査 (PISA)の 結 果 が 公 表 されて 以 来 世 界 的 な 規 模 でフィンランドの 学 校 教 育 が 教 育 関 係 者 の 注 目 を 集 めている 日 本 においては フィンランドの 成 績 との 比 較 から 特 に 国 語 教 育 や 算 数 数 学 教 育 のさらなる 推 進 改 革 が 叫 ばれているが フィンラン ドとの 比 較 という 文 脈 では PISA では 対 象 となっていない 英 語 は 実 に 悲 惨 な 状 況 に あることが 殆 ど 理 解 されていない 本 発 表 は 小 学 校 への 教 科 としての 英 語 の 導 入 を 視 野 に 入 れ 平 成 17 年 3 月 から7 月 にかけて 実 施 したフィンランドでの 英 語 教 育 に 関 する 現 地 調 査 の 結 果 を 報 告 するものである 学 校 訪 問 と 関 係 者 への 聞 き 取 り 調 査 の 結 果 を 基 に フィンランドの 小 学 校 英 語 教 育 の 実 態 を 報 告 するとともに 担 当 教 師 の 英 語 授 業 観 についても 論 究 し グローバル 化 への 迅 速 な 対 応 が 求 められている 日 本 の 学 校 英 語 教 育 への 示 唆 を 提 示 する キーワード:フィンランド,PISA, 外 国 語 教 育 制 度, 小 学 校 英 語 教 育 1.はじめに 平 成 16 年 12 月 に 経 済 協 力 開 発 機 構 (OECD) による 国 際 学 習 到 達 度 調 査 (PISA)の 結 果 が 公 表 されて 以 来 我 が 国 だけでなく 世 界 的 な 規 模 でフ ィンランドの 学 校 教 育 が 教 育 関 係 者 の 注 目 を 集 め ている( 福 田, 2005; 庄 井 中 嶋, 2005) 日 本 か らも 多 くの 研 究 者 教 育 関 係 者 マスコミ 関 係 者 がフィンランドを 訪 れ PISA で 好 成 績 を 上 げた フィンランドの 学 校 教 育 の 秘 密 を 探 ろうとしてい る フィンランドの 首 都 であるヘルシンキ 市 内 お よびその 周 辺 にある 学 校 には 世 界 各 国 ( 特 にヨー ロッパ 諸 国 )から 多 数 の 教 育 視 察 団 が 訪 れ その 数 の 多 さからこれ 以 上 の 学 校 訪 問 お 断 りという 学 校 も 増 えてきている 教 科 教 育 に 係 わる 者 にとって フィンランドの PISA での 好 成 績 の 背 後 にある 理 由 を 探 ることは 非 常 に 興 味 あるテーマである 1) 幸 いにも 平 成 16 年 度 ~17 年 度 文 部 科 学 省 海 外 先 進 教 育 研 究 実 践 支 援 プログラムにより 平 成 17 年 3 月 より7 月 までの5ヶ 月 間 にわたり フィンランドのユバ スキュラ(Jyväskylä) 大 学 教 育 学 部 教 員 養 成 学 科 を 研 究 拠 点 とし フィンランドの 教 育 制 度 と 外 国 語 教 育 制 度 (その 中 でも 特 に 小 学 校 における 英 語 教 育 )について 調 査 研 究 する 機 会 に 恵 まれた 本 稿 は 現 地 での 学 校 訪 問 と 教 育 関 係 者 に 対 する 聴 き 取 り 調 査 とアンケート 調 査 を 軸 とする 小 学 校 における 英 語 教 育 に 関 する 調 査 研 究 活 動 の 成 果 をまとめたものである なお 学 校 訪 問 に 関 して は 既 に 世 界 各 国 から 数 多 くの 調 査 団 が 訪 問 して いる 首 都 ヘルシンキを 避 け 2) フィンランド 中 央 部 に 位 置 するユバスキュラ(Jyväskylä) タンペレ (Tampere) クオピオ(Kuopio)の 各 都 市 にあ る 21 校 の 総 合 学 校 ( 日 本 の 小 学 校 と 中 学 校 に 相 当 )と2 校 の 中 等 学 校 を 訪 問 した 2.フィンランドの 教 育 制 度 フィンランドの 外 国 語 教 育 制 度 と 小 学 校 にお ける 英 語 教 育 の 実 態 に 触 れる 前 に 簡 単 にフィン ランドの 教 育 制 度 を 概 観 しておきたい 3) 次 頁 の 図 1は FNBE (2004)などを 参 考 にフィンランド の 教 育 制 度 ( 成 人 教 育 を 除 く)を 簡 単 にまとめた ものである フィンランドでは 原 則 として 児 童 が7 歳 にな る 年 の8 月 に 総 合 学 校 (comprehensive school) に 入 学 し その 後 の 10 年 間 又 は 総 合 学 校 を 卒 業 するまでの 教 育 期 間 が 義 務 教 育 (basic education)となっている 総 合 学 校 は9 年 制 で 初 等 課 程 ( 小 学 校 )と 中 等 課 程 ( 中 学 校 )に 分 か れている 大 半 の 総 合 学 校 が 初 等 部 と 中 等 部 に 物 理 的 に 分 かれているが 中 には 同 じ 校 舎 で9 年 一 1

大 学 院 5 4 3 2 大 学 1 3 2 1 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 高 等 学 校 図 1 総 合 学 校 高 等 職 業 専 門 学 校 職 業 専 門 学 校 ( 中 等 課 程 ) ( 初 等 課 程 ) プレスクール フィンランドの 教 育 制 度 16 15 14 13 12 11 10 9 8 7 6 歳 貫 教 育 をしている 学 校 もある 大 半 の 生 徒 は9 年 間 で 総 合 学 校 での 教 育 を 終 えることになるが 一 部 の 生 徒 は 学 校 側 の 指 導 の 下 或 いは 自 発 的 に 総 合 学 校 の 10 年 目 に 留 まり 上 級 学 校 へ 進 学 する ための 準 備 をより 確 固 たるものにすることも 許 さ れている そこには 決 して 落 第 という 暗 いイメ ージはなく あくまで 国 家 教 育 委 員 会 が 唱 道 する 個 々の 学 習 者 のニーズに 的 確 に 答 えていくという フィンランド 教 育 の 基 本 精 神 がそこに 現 れている とも 言 える 総 合 学 校 卒 業 後 は 高 等 学 校 ( 進 学 率 55.3%)か 職 業 専 門 学 校 ( 進 学 率 36.8%)に 進 学 することに なる(フィンランド 大 使 館 広 報 部, 1999, p.2) 高 等 学 校 は 大 学 進 学 を 目 指 す 生 徒 に3 年 間 の 普 通 教 育 を 提 供 する 場 であり コース 制 かつ 無 学 年 制 を 採 用 している 卒 業 時 には 大 学 入 学 資 格 試 験 を 受 験 することになる フィンランド 語 が 母 語 である 大 半 の 受 験 者 にとっては 母 語 としてのフィンラ ンド 語 外 国 語 第 二 国 語 としてのスウェーデン 語 数 学 総 合 の5 科 目 のうち フィンランド 語 を 含 んだ4 科 目 が 必 修 となっている この 試 験 ( 必 修 4 科 目 )の 合 格 者 にはフィンランド 社 会 におい てある 種 のステイタスシンボルとなっている 白 い 学 生 帽 (Ylioppilaslakki)をかぶる 権 利 が 与 えら れる 職 業 専 門 学 校 は 高 校 レベルで 職 業 教 育 を 提 供 する 場 である 総 合 学 校 卒 業 生 を 主 な 対 象 にし ているが 高 等 学 校 卒 業 生 も 受 け 入 れている ま た 高 等 学 校 と 職 業 専 門 学 校 の 間 でのカリキュラ ムの 連 携 も 図 られている 高 等 教 育 は 大 学 と 高 等 職 業 専 門 学 校 で 提 供 され ている 大 学 は 全 国 に 20 校 (そのうち 総 合 大 学 が10 校 単 科 大 学 が10 校 ) 存 在 し フィンラン ドの 第 二 国 語 であるスウェーデン 語 で 授 業 を 行 っ ている 大 学 が2 校 ある 近 年 は EU 諸 国 からの 留 学 生 が 急 増 しているため 英 語 でカリキュラム の 一 部 又 はコース 全 体 を 提 供 している 大 学 が 増 え ている 3 年 間 で 学 士 号 の 取 得 が 可 能 であるが 修 士 号 が 基 本 学 位 と 見 なされている 基 本 的 には 5 年 間 で 取 得 可 能 であるが 授 業 料 がなく 学 生 でいることの 社 会 的 恩 恵 も 多 く 修 士 号 取 得 まで 平 均 6.5 年 かかっている 高 等 職 業 専 門 学 校 は かつて 高 等 職 業 教 育 を 行 っていた 職 業 専 門 学 校 を 昇 格 させ 新 たな 総 合 的 職 業 教 育 を 提 供 する 高 等 教 育 機 関 として 再 編 されたものであり 全 国 に29 校 存 在 している 授 業 内 容 は どちらかと 言 えば 原 理 的 理 論 的 研 究 に 重 点 が 置 かれる 大 学 とは 違 って 社 会 の 今 日 的 ニーズに 合 致 しており 即 戦 力 を 備 えた 専 門 職 の 養 成 機 関 として 機 能 している なお フィンランドでは 高 等 教 育 ( 博 士 課 程 も 含 む)にいたるまで 留 学 生 も 含 めて 無 料 で 教 育 が 提 供 されている 3. 外 国 語 教 育 制 度 (1) 教 科 としての 外 国 語 教 育 の 枠 組 み フィンランドの 学 校 における 外 国 語 教 育 は 総 合 学 校 と 高 等 学 校 に 限 定 した 場 合 図 2のような 枠 組 みで 提 供 されている(FNBE, 2004) まず 学 習 に 提 供 される 外 国 語 が 最 終 到 達 目 標 に 応 じて A 言 語 と B 言 語 に 分 けられる A 言 語 はさらに A1 言 語 とA2 言 語 に 類 別 される A1 言 語 の 学 習 は 原 則 として 総 合 学 校 初 等 課 程 ( 日 本 の 小 学 校 に 相 当 )の3 年 次 から 開 始 され 高 等 学 校 まで 継 続 される 初 等 課 程 6 年 次 までの4 年 間 で 週 累 積 8 時 間 教 えることになっており 基 本 的 には 初 等 課 程 の 間 は 週 2 時 間 ずつ 教 えられることになる 場 合 によっては 初 等 課 程 1 年 次 からの 開 始 も 可 能 である A2 言 語 ( 選 択 科 目 )の 学 習 は 原 則 5 年 次 から 開 始 されるが これも 場 合 によっては 初 等 課 程 1 年 次 からの 開 始 も 可 能 である 現 在 多 く の 総 合 学 校 ( 初 等 課 程 )がA1 言 語 の 授 業 時 間 数 ( 週 2 時 間 )に 合 わせるべく 4 年 次 からの 開 始 に 移 行 しつつある 高 等 学 校 に 進 学 すると 特 定 2

の 外 国 語 ( 例 えばドイツ 語 )を 総 合 学 校 では A2 言 語 として 学 習 した 生 徒 も A1 言 語 として 学 習 した 生 徒 用 に 開 設 されているコースで 学 習 するこ とになる 総 合 学 校 1 2 3 4 5 6 7 8 9 高 等 学 校 A1 8 時 間 8 時 間 6コース 必 修 2コース 選 A2 B1 6 時 間 6 時 間 6 時 間 5コース 必 修 2コース 選 B2 4 時 間 8コース 選 択 B3 8コース 選 択 図 2 外 国 語 教 育 の 枠 組 み( 時 間 数 は 週 累 積 時 間 数 ) 総 合 学 校 の 中 等 課 程 (7 年 次 )からは B1 言 語 ( 必 修 科 目 )の 学 習 も 開 始 され 高 等 学 校 へと 受 け 継 がれる 加 えて B2 言 語 の 学 習 も 選 択 科 目 として 開 始 される さらに 高 等 学 校 に 進 学 する と B3 言 語 ( 選 択 科 目 )の 学 習 も 開 始 される このように フィンランドの 外 国 語 教 育 は 非 常 に 多 様 化 しており もし 希 望 すれば 高 校 卒 業 時 ま でに 母 語 以 外 に5つの 言 語 を 学 習 できる 体 制 が 整 えられており 今 日 のヨーロッパで 急 速 に 高 まり つつある plurilingualsim つまり 複 数 言 語 活 用 能 力 (Council of Europe, 2001, pp.4-5) 育 成 への 社 会 的 要 請 に 応 える 形 ができあがっている なお 全 ての 子 ども 達 に A 言 語 ひとつとB 言 語 ひとつ を 履 修 することが 義 務 づけられている かつ こ れらのいずれかはフィンランドの 第 二 国 語 (スウ ェーデン 語 或 いはフィンランド 語 )でなければな らないことになっている つまり 第 二 国 語 はA1 言 語 として 学 習 することもできれば B1 言 語 と して 学 習 することも 可 能 であり その 選 択 は 個 々 の 学 習 者 に 任 されている とは 言 え 自 分 が 通 う 学 校 にすべてこの 体 制 が 整 えられているとは 限 ら ない 第 二 国 語 の 学 習 はB1 言 語 として 総 合 学 校 の 中 等 課 程 から 開 始 されるのが 一 般 的 である (2) 外 国 語 選 択 状 況 上 で 指 摘 したように フィンランドの 子 ども 達 は 第 二 国 語 (スウェーデン 語 或 いはフィンランド 語 )に 加 えて 最 低 でもひとつの 外 国 語 を 学 習 す ることが 義 務 づけられている 次 に 示 す 表 1は 国 家 教 育 委 員 会 の 下 で 推 進 された 外 国 語 教 育 多 様 化 プロジェクト(KIMMOKE)の 一 貫 として 実 施 された 小 学 校 でのA 言 語 ( 第 一 外 国 語 )の 選 択 状 況 をまとめたものである なお この 調 査 の 対 象 になったのはフィンランド 語 を 母 語 とする 子 ども 達 である 4) 表 1 KIMMOKE 学 校 におけるA 言 語 履 修 状 況 経 年 変 化 小 学 校 A1 言 語 履 修 児 童 数 言 語 年 度 全 割 合 (%) 割 合 (%) 児 童 数 全 体 A1 履 修 者 全 児 童 英 語 1997-98 9457 79.5 55.9 2000-01 11740 83.2 62.9 スウェーデン 語 1997-98 271 2.3 1.6 2000-01 298 2.1 1.6 フランス 語 1997-98 853 7.2 5.0 2000-01 726 5.1 3.9 ドイツ 語 1997-98 1210 10.2 7.1 2000-01 1047 7.4 5.6 ロシア 語 1997-98 111 0.9 0.7 2000-01 138 1.0 0.7 合 計 1997-98 16925 11902 100 70.3 2000-01 18665 14118 100 75.6 1995 年 の 欧 州 連 合 (EU)への 加 入 やその 後 の 急 速 なフィンランド 社 会 のグローバル 化 を 受 けてか 圧 倒 的 に 多 くの 子 ども 達 によって 英 語 が 第 一 外 国 語 として 選 択 されている 2000 年 度 を 例 に 取 れば A1 言 語 履 修 者 全 体 の83.2% 全 児 童 数 の62.9% に 達 している A1 言 語 が 必 修 であるにも 拘 わら ず 全 児 童 数 の62.9%に 留 まっているのは 全 児 童 数 の 中 にまだ 英 語 を 学 習 していない1 年 生 と2 年 生 が 含 まれているからである さらに 1997 年 度 と2000 年 度 を 比 較 した 場 合 英 語 のみその 履 修 者 の 割 合 が 大 幅 に 増 加 している 第 二 国 語 である スウェーデン 語 は 殆 どの 場 合 B1 言 語 として 学 習 されるため A1 言 語 として 学 習 する 子 ども 達 の 数 は ごく 限 られている 2000 年 度 を 例 に 取 れ ば A1 言 語 履 修 者 全 体 の2.1% 全 児 童 数 の1.6% に 留 まっている 実 際 今 回 の 筆 者 による 調 査 活 動 の 拠 点 となったフィンランド 中 央 部 でのスウェ ーデン 語 の 存 在 感 は 非 常 に 低 く 第 二 国 語 である にも 拘 わらず スウェーデン 語 学 習 への 動 機 づけ は 非 常 にかなり 低 いという 印 象 を 受 けた (3) 目 的 と 到 達 目 標 国 家 教 育 委 員 会 が 発 行 している 学 習 指 導 要 領 National Core Curriculum for Basic Education 2004(FNBE, 2004)においては 外 国 語 教 育 の 目 的 が 言 語 能 力 (language proficiency) 文 化 技 能 (cultural skills) 学 習 方 略 (learning strategies) の 三 本 柱 で 構 成 されている 特 徴 的 なのは 学 習 方 略 が 教 科 の 目 標 として 提 示 されている 点 で 外 3

国 語 学 習 が 生 涯 教 育 の 一 環 として 明 確 に 捉 えられ ているためである 言 語 能 力 に 関 しては その 到 達 目 標 がヨーロッパ 共 通 の 外 国 語 能 力 基 準 である Common European Framework (Council of Europe, 2001)をベースに 設 定 されている Common European Framework( 通 称 CEF)と は 既 に 猫 田 猫 田 三 浦 (2004)や 三 浦 猫 田 猫 田 (2005)によって 詳 しく 紹 介 されているように ヨーロッパ 共 通 の 外 国 語 能 力 レベルを 規 定 するも ので 加 盟 国 内 にて 外 国 語 教 育 シラバス カリキ ュラム 試 験 テキスト 等 を 作 成 するためのヨー ロッパ 共 通 基 盤 を 提 供 するものである CEF は 外 国 語 能 力 レベルを A1 (Breakthrough) A2 (Waystage) B1 (Threshold) B2 (Vantage) C1 (Effective Operational Proficiency) C2 (Mastery)の6 段 階 に 分 けているが フィンラン ドの 学 習 指 導 要 領 では 学 校 教 育 での 守 備 範 囲 とし て 下 のような10 段 階 (C がより 進 んだ 段 階 )が 設 定 されている(FNBE, 2004, pp. 278-295) A1.1 First stage of elementary proficiency A1.2 Developing elementary proficiency A1.3 Functional elementary proficiency A2.1 First stage of basic proficiency A2.2 Developing basic proficiency B1.1 Functional basic proficiency B1.2 Fluent basic proficiency B2.1 First stage of independent proficiency B2.2 Functional independent proficiency C1.1 First stage of fluent proficiency この 10 段 階 スケールを 基 に 小 学 校 6 年 生 に 期 待 される 英 語 能 力 が 以 下 のように 規 定 されている 表 2 小 学 校 6 年 生 に 期 待 される 英 語 能 力 言 語 聞 く 話 す 読 む 書 く 英 語 A2.1 A1.3 A2.1 A1.3 他 の 外 国 語 A1.3 A1.2 A1.3 A1.2 なお それぞれの 到 達 レベルには 日 本 の 評 価 基 準 に 相 当 する 記 述 子 (descriptor)が 準 備 されてい るが 誌 面 の 都 合 上 ここでは 省 略 する (4) 外 国 語 或 いは 第 二 国 語 での 教 科 指 導 改 訂 学 習 指 導 要 領 (FNBE, 2004)の 大 きな 特 徴 として 外 国 語 ( 実 質 的 に 英 語 )での 教 科 指 導 い わゆるCLIL(Content and Language Integrated Learning)と 第 二 国 語 ( 実 質 的 にスウェーデン 語 )での 教 科 指 導 いわゆるimmersion education が 初 めて 学 校 外 国 語 教 育 の 選 択 肢 として 明 記 され た 点 を 挙 げることができる 日 本 でもごく 一 部 の 私 立 小 学 校 で 英 語 イマージョン 教 育 の 取 り 組 みが なされているが フィンランドでは 学 校 教 育 ( 殆 どが 公 立 )の 中 ですでに 市 民 権 を 獲 得 している 特 にCLIL は 基 本 的 には 言 語 ( 特 に 英 語 )と 教 科 内 容 の 統 合 を 図 る 教 育 法 で イマージョン 教 育 の 上 位 概 念 として 規 定 されており(Marsh & Langé, 1999) フィンランドのみならず ヨーロ ッパの 初 等 教 育 において 急 速 な 拡 大 を 見 せている 4. 小 学 校 英 語 教 育 の 実 際 (1) 多 様 な 類 型 現 在 フィンランドの 小 学 校 における 英 語 教 育 には 以 下 の6つの 類 型 が 認 められる 1English shower としての 英 語 教 育 2A1 外 国 語 としての 英 語 教 育 3A2 外 国 語 としての 英 語 教 育 4CLIL としての 英 語 教 育 5 英 語 クラスでの 英 語 教 育 6インターナショナルスクールでの 英 語 教 育 1は 3 年 生 からA1 言 語 としての 英 語 教 育 が 開 始 される 学 校 で 行 われている 第 1 2 学 年 を 対 象 とした 英 語 教 育 で その 頻 度 や 内 容 は 学 校 によっ て 様 々で 日 本 で 総 合 的 な 学 習 の 時 間 に 行 われて いる 英 語 活 動 に 近 い 形 態 である 3はA1 言 語 に 英 語 以 外 の 言 語 を 選 択 した 児 童 を 対 象 とした 英 語 教 育 である 5は 通 常 の 公 立 学 校 に 設 置 された 特 別 英 語 クラスでの 英 語 教 育 で 教 科 としての 英 語 教 育 に 加 え 通 常 教 科 の 一 部 ( 例 えば 理 科 や 算 数 ) が 英 語 で 指 導 される 形 態 である 6は 外 国 生 活 が 長 いフィンランド 人 児 童 やフィンランド 在 住 の 外 国 人 の 子 ども 達 を 受 け 入 れている 学 校 で 行 われて いる 形 態 で 基 本 的 には 全 ての 教 科 が 英 語 で 指 導 される ここで 注 目 すべきは 5や6も 含 めてこ れら 全 ての 形 態 の 英 語 教 育 が 公 立 学 校 の 枠 内 で 実 施 されている 点 である 私 立 小 学 校 が 先 行 してい る 日 本 とは 大 きく 異 なっている (2) 濃 厚 な 英 語 教 科 書 フィンランドの 場 合 教 科 書 検 定 制 度 が 廃 止 さ れており かつ 指 導 方 針 だけを 示 すという 学 習 指 導 要 領 の 性 格 上 教 育 省 が 教 科 書 の 在 り 方 を 拘 束 4

する 要 素 は 極 めて 少 ない 教 科 書 会 社 の 経 験 と 創 意 工 夫 と 会 社 間 の 自 由 競 争 がフィンランドの 英 語 教 科 書 を 育 ててきたと 言 っても 決 して 過 言 ではな い 現 在 使 用 されている 主 な 教 科 書 は Yes (WSOY) Wow! (WSOY) Surprise (Otava) What s On? (Tammi)というシリーズで 各 学 年 Storybook とWorkbook の2 冊 併 用 システムが 採 用 されている Storybook は 学 年 末 に 学 校 に 返 却 することになっているが Workbook は 児 童 に 無 償 で 配 布 されている 質 量 ともに 実 に 濃 厚 で 発 音 記 号 も 初 等 課 程 3 年 次 ( 初 年 度 )から 提 示 され ている 一 部 は 海 外 にも 輸 出 されている (3) 授 業 方 法 (A1 外 国 語 としての 英 語 ) 日 本 の 小 学 校 と 比 較 した 場 合 の 第 一 の 特 徴 は そのクラスサイズの 小 ささである 通 常 のクラス が 20 名 前 後 である 上 に 外 国 語 や 図 工 の 授 業 は 分 割 クラスで 実 施 されるため 英 語 授 業 は 大 概 10 名 前 後 という 極 めて 少 人 数 で 実 施 されている 授 業 時 数 は 週 2 時 間 である 指 導 者 は Subject teacher( 教 科 担 当 )かClass teacher(クラス 担 当 )である 5) 授 業 は 概 ね 教 科 書 をベースに 進 め られる 特 にWorkbook に 納 められている 各 種 の 活 動 が 中 心 となる 適 宜 フィンランド 語 も 使 用 さ れているが 英 語 の 授 業 は 英 語 でという 方 針 が 基 本 となっており 大 量 の comprehensible input (Krashen, 1982)が 児 童 に 提 供 されている 具 体 的 指 導 内 容 としては 語 彙 指 導 と 音 読 指 導 に 力 点 が 置 かれている いわゆる Slow learners への 配 慮 サポート 体 制 も 充 実 しており 通 常 の 授 業 に Special education 担 当 の 教 師 が 加 わる 場 合 もあ れば Slow learners だけを 取 り 出 した 補 習 授 業 も 頻 繁 に 行 われている 学 習 慣 を 早 期 に 身 につ けさせるためか 毎 回 かなりの 宿 題 が 出 され 次 回 の 授 業 でその 点 検 が 行 われる 理 解 度 を 点 検 す るための 小 テストが 頻 繁 に 行 われ 定 期 試 験 も 3 ~4 課 ごと 年 間 数 回 実 施 されている 学 年 末 の 評 価 に 関 しては 3 年 生 と4 年 生 は 文 章 表 記 で 5 年 生 と6 年 生 には 評 定 値 (4~10 段 階 標 準 は 8)が 示 される また 6 年 生 対 象 にNational Test も 希 望 する 学 校 単 位 で 実 施 されている 6) 内 容 は 日 本 の 高 校 入 試 以 上 のレベルである 結 果 はあくま で 担 当 教 師 による 授 業 改 善 のために 利 用 され 学 校 のランクづけには 活 用 されていない 5. 英 語 教 師 の 授 業 観 を 探 る (1) 調 査 の 目 的 教 育 省 など 公 的 機 関 から 公 表 された 資 料 から だけではフィンランドの 小 学 校 での 英 語 教 育 の 実 態 を 掴 むのは 困 難 である 程 度 の 差 こそあれ ど の 国 にも 立 前 と 本 音 は 存 在 する そこで 日 々の 実 践 の 中 に 埋 め 込 まれている 英 語 教 師 の 本 音 の 部 分 言 い 換 えれば 個 々の 教 師 の 授 業 観 を 探 るこ とにした 公 表 された 資 料 から 構 築 された 英 語 教 育 の 実 態 像 を 補 足 することがその 主 な 目 的 である (2) 調 査 の 方 法 郵 送 によるアンケート 調 査 と その 中 に 含 まれ る 質 問 項 目 を 柱 とした 聞 き 取 り 調 査 ( 半 構 造 化 イ ンタビュー)を 用 いて 調 査 を 実 施 した 実 施 期 間 は 平 成 17 年 4 月 上 旬 から5 月 下 旬 にかけての 約 2ヶ 月 間 である 合 計 で 27 名 の 英 語 教 師 から 回 答 を 得 ることができた 調 査 に 使 用 した 質 問 項 目 は 以 下 の 通 りである 7) 問 1: 授 業 で 重 視 する 言 語 技 能 問 2: 授 業 で 重 視 する 言 語 要 素 問 3: 授 業 で 主 に 活 用 する 教 材 問 4: 教 材 研 究 の 基 盤 問 5: 英 語 教 師 としての 専 門 性 の 源 問 6: 評 価 観 点 の 相 対 的 重 要 性 問 7: 評 価 での 公 式 言 語 能 力 スケールの 参 照 度 問 8: 誤 りの 訂 正 頻 度 問 9: 教 科 書 選 択 の 基 準 問 10: 学 習 者 の 英 語 力 への 満 足 度 (3) 調 査 の 結 果 まず 学 年 ごとに4 技 能 ( 聞 く 話 す 読 む 書 く)それぞれの 指 導 がどの 程 度 重 視 されている のかを 調 べるため 各 学 年 全 体 を100%とした 時 の4 技 能 個 々の 相 対 的 重 要 性 をそれぞれ% 値 で 示 すように 依 頼 したところ( 問 1) 次 の 表 3のよう な 結 果 ( 平 均 値 )になった 8) 表 3 問 1: 授 業 で 指 導 する4 技 能 の 相 対 的 重 要 性 (%) 学 年 聞 く 話 す 読 む 書 く 合 計 3 年 31.6 35.4 18.9 14.1 100 4 年 29.3 33.2 20.0 17.5 100 5 年 26.1 29.8 22.3 21.8 100 6 年 23.6 29.9 22.5 24.0 100 現 在 我 が 国 においても 総 合 的 な 学 習 の 時 間 の 中 で 英 語 活 動 ( 場 合 によっては 英 語 学 習 )が 展 開 さ れているが 殆 どが 聞 く 話 すという 音 声 言 語 を 5

中 心 とした 活 動 が 主 となっている フィンランド の 場 合 初 年 度 の3 年 次 から 読 む 書 くという 文 字 言 語 による 活 動 もかなりの 割 合 ( 約 3 分 の1) で 展 開 されていることが 見 て 取 れる 実 際 の 授 業 観 察 においても 子 ども 達 がワークブックに 含 ま れる 練 習 問 題 を 鉛 筆 を 片 手 に 必 死 に 解 いている 姿 がよく 見 かけられた このように 初 年 度 から 文 字 を 通 しての 活 動 がかなり 取 り 入 れられる 大 きな 理 由 としては フィンランド 語 の 書 記 体 系 が 基 本 的 には 英 語 のそれと 同 一 ( 英 語 にない 文 字 はä å ö の3 文 字 のみ)である 点 を 挙 げることができる 子 ども 達 も 普 段 からアルファベットに 親 しんでい るためか 英 語 の 文 字 を 読 んだり 書 いたりする ことにさほど 抵 抗 はなさそうである 授 業 の 中 で も 文 字 で 示 された 英 語 の 単 語 や 文 を 正 しく 発 音 すること つまり 音 読 が 格 段 重 視 されており 初 年 度 の3 年 次 から 発 音 記 号 の 指 導 も 体 系 的 に 行 わ れている なお 学 年 が 進 行 するにつれて 音 声 言 語 技 能 の 相 対 的 重 要 性 が 徐 々に 低 下 し それと 連 動 して 文 字 言 語 技 能 の 相 対 的 重 要 性 が 徐 々に 高 まっている 初 等 課 程 の 最 終 年 度 である6 年 次 の 段 階 では 4 技 能 それぞれの 相 対 的 重 要 性 が4 分 の1 程 度 に 均 衡 しており 4 技 能 に 関 してはバラ ンスの 取 れた 指 導 が 志 向 されていることが 分 かる 次 に 学 年 ごとに 個 々の 言 語 要 素 ( 内 容 語 彙 文 法 発 音 )の 指 導 がどの 程 度 重 視 されているの かを 調 べるため 各 学 年 全 体 を100%とした 時 の 個 々の 言 語 要 素 の 相 対 的 重 要 性 をそれぞれ% 値 で 示 すように 依 頼 したところ( 問 2) 次 の 表 4のよ うな 結 果 になった 表 4 問 2: 授 業 で 扱 う 言 語 要 素 の 相 対 的 重 要 性 (%) 学 年 内 容 語 彙 文 法 発 音 合 計 3 年 21.8 38.4 10.2 29.5 100 4 年 23.8 36.0 16.7 23.5 100 5 年 26.3 31.4 24.3 18.0 100 6 年 25.1 30.1 28.5 16.3 100 初 等 課 程 の 間 一 貫 して 語 彙 に 最 大 の 比 重 が 置 か れていることが 分 かる 英 語 学 習 における 語 彙 の 役 割 を 重 視 する 最 近 の 流 れ(Lewis, 1993)を 反 映 しているとも 考 えられるし 担 当 教 師 自 らが 自 己 の 英 語 学 習 経 験 から 本 能 的 に 感 じ 取 ったものか もしれない 今 回 の 聞 き 取 り 調 査 ではそこまで 踏 み 込 んだ 質 問 はできなかったので 今 後 の 課 題 と したい なお 6 年 次 においては 文 法 の 重 要 性 が 語 彙 (30.1%)に 次 いで2 番 目 (28.5%)に 高 く 評 価 されている 点 と 発 音 の 比 重 が 最 も 低 く (16.3%) 評 価 されている 点 も 注 目 に 値 する 小 学 生 に 文 法 は 無 用 まずは 音 声 と 考 えられがちな 我 が 国 の 小 学 校 英 語 活 動 とは 対 局 に 位 置 している と 言 っても 過 言 ではない 次 に 授 業 で 扱 われる 教 材 (Storybook Workbook 教 師 用 指 導 書 に 含 まれる 補 助 教 材 自 作 教 材 )に 関 して 学 年 ごとに 全 体 を 100%と した 場 合 の 活 用 率 を 尋 ねたところ( 問 3) 表 5の ような 結 果 となった 表 5 問 3: 授 業 における 教 材 の 活 用 率 (%) 学 年 Storybook Workbook 補 助 教 材 自 作 教 材 合 計 3 年 35.7 43.2 12.2 9.0 100 4 年 35.7 42.6 11.8 9.9 100 5 年 35.3 41.2 12.8 10.7 100 6 年 33.9 41.3 13.6 11.2 100 基 本 的 には 普 段 の 授 業 が 教 科 書 中 心 に 行 われてい ることが 読 み 取 れる 実 際 の 授 業 観 察 でも 多 くの 学 習 活 動 が 教 科 書 をもとに 展 開 されていた かつ 教 科 書 の 中 でも 練 習 問 題 がふんだんに 用 意 され ているワークブックの 活 用 率 が 一 貫 して 高 いレベ ルに 維 持 されている 補 助 教 材 や 自 作 教 材 を 使 う 必 要 がないほど 正 規 の 教 科 書 が 充 実 しているの である 担 当 教 師 が 日 々 自 作 教 材 の 作 成 に 追 われ ている 日 本 の 英 語 教 育 とは 実 に 対 照 的 である 現 在 総 合 的 な 学 習 の 時 間 を 利 用 しての 英 語 活 動 が 日 本 全 国 で 展 開 されているが 多 くが 月 1 回 或 い は1 学 期 に1 回 といった 程 度 である 9) 教 科 書 の 欠 如 裏 を 返 せば 担 当 教 師 一 人 一 人 が 自 作 教 材 を 準 備 しなければならないという 状 況 が 多 くの 小 学 校 教 師 を 英 語 活 動 から 遠 ざけている 原 因 のひと つになっていると 言 えるであろう 実 際 学 校 に よって 英 語 活 動 実 施 の 密 度 に 大 きな 開 きが 存 在 す ることは 教 育 の 機 会 均 等 を 謳 った 憲 法 教 育 基 本 法 の 精 神 に 抵 触 すると 言 えなくもない その 意 味 でも 一 刻 も 早 く 教 科 として 英 語 を 小 学 校 に 導 入 することの 必 要 性 を 痛 感 する 問 4においては 授 業 のための 教 材 研 究 におい て 学 習 指 導 要 領 教 師 用 指 導 書 自 己 の 知 識 と 経 験 それぞれにどの 程 度 依 存 しているのかを 尋 ね たところ 次 頁 の 表 6のような 結 果 となった な お 表 中 の 学 習 指 導 要 領 とは 国 家 教 育 委 員 会 が 発 行 しているカリキュラム(FNBE, 1994 & 2004)の 6

ことである 表 6 問 4: 教 材 研 究 での 依 存 度 ( 人 数 と5 段 階 の 平 均 値 項 目 5 4 3 2 1 非 常 に かなり 幾 分 僅 かに 全 然 平 均 学 習 指 導 要 領 5 2 11 7 2 3.0 教 師 用 指 導 書 4 12 7 3 1 3.6 知 識 と 経 験 13 11 3 0 0 4.4 結 果 的 に 回 答 者 の 間 では 圧 倒 的 に 自 己 の 知 識 と 経 験 に 頼 っている 姿 が 浮 き 彫 りになった フィン ランドには 日 本 のような 教 科 書 検 定 制 度 は 存 在 し ない 一 応 現 在 使 用 されている 教 科 書 の 多 くは 1994 年 に 発 表 された Framework Curriculum (FNBE, 1994)に 準 拠 して 編 集 されてはいるも のの 10) 内 容 的 にそれに 縛 られるということはな い 実 際 Framework Curriculum は その 名 前 が 示 すとおり 学 校 教 育 の 大 きな 枠 組 みのみを 示 したもので 教 科 書 の 編 集 や 教 室 での 指 導 の 在 り 方 に 直 接 言 及 した 部 分 はない そのため 現 場 教 師 が 教 材 研 究 においてさほど 学 習 指 導 要 領 に 依 存 していないという 今 回 の 結 果 は 半 ば 当 然 であろ う 自 己 の 知 識 と 経 験 に 大 きく 依 存 している 姿 が 浮 かび 上 がってきたが フィンランドの 教 師 は 学 級 担 当 も 教 科 担 当 もすべて 修 士 号 取 得 者 で 主 専 攻 に 加 え 通 常 二 つの 副 専 攻 を 取 らなければならず 当 初 から 広 範 な 知 識 と 高 度 な 専 門 性 を 備 えている ことを 明 記 しておかなくてはならない では その 教 師 としての 専 門 性 はどこから 生 ま れてくるのか 英 語 教 師 としての 専 門 性 の 源 を 尋 ねたところ( 問 5) 大 学 教 育 (31.1%) 現 職 教 育 (21.3%) 公 開 講 座 等 (10.6%) 専 門 書 購 読 (12.8%) その 他 の 自 己 研 鑽 (24.3%)となった 大 学 教 育 が 自 らの 英 語 教 師 としての 専 門 性 を 形 成 している 第 一 要 因 として 位 置 づけられている しかも 教 職 経 験 の 浅 い 教 師 つまり 教 育 委 員 会 等 が 実 施 する 現 職 教 育 の 経 験 が 浅 い 教 師 ほど 大 学 教 育 を 自 己 の 専 門 性 の 源 として 高 く 評 価 する 傾 向 が 伺 えた 大 学 教 育 に 続 いて その 他 の 自 己 研 鑽 が 第 二 の 要 因 として 位 置 づけられていることも 注 目 に 値 する 裏 を 返 せば 自 力 で 研 鑽 を 続 けていくだけの 専 門 性 が 備 わっているということであろう 実 際 教 員 養 成 学 科 のカリキュラムにおいては いわゆる アクションリサーチ 遂 行 への 力 量 育 成 が 重 視 され ており a teacher as a researcher として 自 ら 探 求 する 教 師 の 育 成 が 目 標 とされている( 伊 東, 2006) 次 に 指 導 要 録 の 改 訂 に 伴 い 日 本 でも 従 前 以 上 に 強 力 に 推 進 されている 観 点 別 評 価 の 観 点 につ いて 尋 ねてみたところ( 問 6) 表 7のような 結 果 となった 表 7 問 6: 評 価 観 点 の 相 対 的 重 要 性 (%) 英 語 での 理 解 運 用 技 能 47.3 英 語 及 びその 文 化 に 関 する 知 識 18.6 英 語 コミュニケーションに 対 する 意 欲 15.6 英 語 学 習 への 積 極 的 態 度 18.5 合 計 100 この 質 問 に 利 用 した 観 点 については 現 在 日 本 の 学 校 現 場 で 利 用 されている 評 価 の 観 点 を 参 考 に 設 定 した 11) 具 体 的 には 指 導 要 録 に 示 されている 四 つの 観 点 を 三 つにまとめ コミュニケーション に 対 する 意 欲 と 同 様 或 いはそれ 以 上 に 学 習 の 成 否 に 関 わる 英 語 学 習 への 積 極 的 態 度 を 付 け 加 えた 日 本 の 場 合 外 国 語 科 の 目 標 に 積 極 的 に コミュニケーションを 図 ろうとする 態 度 の 育 成 が 明 記 されている 関 係 で 評 価 においても 相 当 重 視 される 傾 向 にあるが フィンランドでは 四 つの 観 点 の 中 での 相 対 的 重 要 性 は 一 番 低 くなっている 基 本 的 には 英 語 で 理 解 し 表 現 する 能 力 が 評 価 の 柱 として 位 置 づいている 学 習 者 の 英 語 能 力 の 評 価 においては フィンラ ンドにおいても 絶 対 評 価 が 採 用 されており 日 本 の 学 校 現 場 で 活 用 されている 評 価 規 準 評 価 基 準 に 当 たるものも 用 意 されている 日 本 と 異 なる 点 は 学 習 者 個 々の 評 定 (4~10)を 決 定 するため の 評 価 基 準 がヨーロッパ 統 一 規 格 である Common European Framework (Council of Europe, 2001)をベースに 設 定 されている 点 であ る 学 校 単 位 で 独 自 の 評 価 基 準 を 設 定 することが 推 奨 されている 日 本 の 場 合 とは 異 なり 同 じ 絶 対 評 価 であっても 評 価 方 法 だけでなく 評 価 基 準 の 絶 対 性 が 強 く 志 向 されているのである ただ 実 際 の 評 価 においてその 種 の 公 的 評 価 基 準 がどの 程 度 活 用 されているかは 別 問 題 である そこで 評 価 における 公 式 評 価 基 準 への 依 存 度 を5 段 階 に 分 けて 尋 ねたところ( 問 7) 5. 非 常 に が4 人 4. かなり が5 人 3. 幾 分 が15 人 2. 僅 かに が3 人 1. 全 然 が0 人 5 段 階 の 平 均 値 が3.4 となった この 結 果 からは 公 式 評 価 基 準 が 絶 えず 参 照 されているという 姿 は 浮 かんでこ 7

ない 実 際 の 授 業 観 察 でも 日 々の 宿 題 の 点 検 や 小 テスト さらには 教 科 書 会 社 が 適 宜 準 備 してい る 復 習 テストの 実 施 が 評 価 の 主 要 な 柱 を 形 成 して いたようである 少 なくとも 公 的 評 価 基 準 を 片 手 に 個 々の 生 徒 の 評 価 に 追 われる 姿 は 一 度 も 見 か けることは 無 かった 次 に 評 価 との 関 連 で 子 ども 達 が 英 語 学 習 の 過 程 で 犯 す 誤 りへの 対 処 の 仕 方 に 着 目 した 具 体 的 には 綴 り 字 文 法 発 音 語 彙 に 対 象 を 分 け て 誤 りの 訂 正 の 頻 度 を5 段 階 に 分 けて 尋 ねてみ た( 問 8) 結 果 は 表 8の 通 りである 表 8 問 8: 誤 りの 訂 正 頻 度 ( 人 数 と5 段 階 の 平 均 値 ) 項 目 5 4 3 2 1 いつもしばしば 時 々めったに 全 然 平 均 綴 字 9 14 4 0 0 4.2 文 法 3 11 13 0 0 3.6 発 音 3 13 10 1 0 3.7 語 彙 4 15 8 0 0 3.9 小 学 生 による 英 語 学 習 にも 拘 わらず かなり 頻 繁 に 誤 りを 訂 正 している 姿 が 浮 き 彫 りになった 綴 り 字 の 誤 りの 訂 正 が 最 も 頻 繁 に 行 われているが これはひとつには 日 々の 宿 題 が 書 くことを 要 求 する 形 で 出 される 傾 向 が 強 く 子 ども 達 が 書 いた 英 文 を 評 価 する 機 会 が 自 然 と 多 くなることに 起 因 していると 思 われる いずれにしても 全 ての 項 目 で 誤 りの 訂 正 頻 度 が 比 較 的 高 く なるべく 早 期 に 問 題 を 見 つけ その 解 決 法 を 探 るというフィン ランドの 教 育 全 体 に 流 れる 教 育 哲 学 がそこに 反 映 されているとも 言 えるであろう 教 科 書 に 関 しては 地 区 単 位 での 採 択 が 基 本 と なっている 日 本 の 場 合 とは 異 なり あくまで 教 師 個 人 が 使 用 教 科 書 を 採 択 する 方 式 が 採 用 されてい る そこで 問 9では 教 科 書 採 択 に 際 してどのよ うな 点 にどの 程 度 注 目 するのか 尋 ねてみた 表 9 はその 結 果 を 示 している 表 9 問 9: 教 科 書 選 択 基 準 の 重 要 度 ( 人 数 と5 段 階 の 平 均 値 ) 項 目 5 4 3 2 1 平 均 教 科 書 本 文 のトピック 題 材 5 17 3 0 0 4.1 ワークブックに 含 まれる 活 動 18 7 1 0 0 4.7 附 属 の 補 助 教 材 の 質 と 量 7 4 14 1 0 3.7 挿 絵 や 写 真 の 出 来 具 合 3 9 13 1 0 3.5 文 法 項 目 の 配 列 順 序 2 8 10 5 1 3.2 本 文 や 活 動 に 含 まれる 語 彙 8 4 12 2 0 3.7 備 考 :5: 非 常 に,4:かなり,3:ある 程 度,2: 僅 か,1: 全 然 表 5に 示 されているように 授 業 自 体 が 教 科 書 し かもワークブックを 中 心 に 進 められるという 傾 向 を 反 映 してか ワークブックに 含 まれる 活 動 の 善 し 悪 しが 教 科 書 採 択 のもっとも 重 要 な 柱 となって いる 続 いて 教 科 書 本 文 のトピック 題 材 が 重 要 な 柱 として 見 なされている 反 面 日 本 の 中 学 校 教 科 書 の 採 択 ではかなり 重 要 な 柱 と 見 なされている 文 法 項 目 の 配 列 順 序 の 重 要 度 は 最 も 低 くなってい る 最 後 に 子 ども 達 が 授 業 を 通 して 獲 得 した 英 語 力 への 満 足 度 を5 段 階 に 分 けて 尋 ねてみたところ ( 問 10) 5. 非 常 に 満 足 が5 人 4. かなり 満 足 が21 人 3. 幾 分 満 足 が1 人 2. あま り 満 足 ではない と 1. 全 然 満 足 ではない がと もに0 人 5 段 階 の 平 均 値 が4.1 となった 担 当 教 師 が 子 ども 達 の 英 語 力 に 十 分 に 満 足 している 姿 が 浮 かび 上 がってきた しかも 英 語 の 授 業 は 小 学 校 の 間 僅 か 週 2 回 である にも 拘 わらず こ れだけの 満 足 度 が 得 られる 原 因 は 一 体 どこにある のか 非 常 に 興 味 あるところであるが 今 回 の 調 査 ではそこまで 解 明 するには 至 らなかった ただ 現 段 階 で 言 えることは これが 決 して 教 師 の 側 の 一 方 的 な 楽 観 主 義 を 反 映 したものではないという ことである 例 えば 表 10はヨーロッパ8ヶ 国 ( 北 からノルウエー スウェーデン フィンランド デンマーク オランダ ドイツ フランス スペ イン)の 中 学 生 の 英 語 力 を 比 較 した 調 査 (Bonnet, 2002)の 結 果 をまとめたものである 表 10 ヨーロッパ8カ 国 中 学 3 年 生 英 語 力 国 際 比 較 ( 平 均 正 答 率 %) 参 加 国 聞 くこと 文 法 能 力 読 むこと 書 くこと 総 合 ノルウエー 73.3 66.4 82.0 56.3 69.5 スウェーデン 72.2 64.2 85.9 55.4 69.4 フィンランド 59.7 67.6 80.3 47.7 63.8 オランダ 61.6 65.0 77.5 46.0 62.5 デンマーク 64.8 54.0 78.3 46.2 60.8 スペイン 38.3 58.8 63.6 23.4 46.0 フランス 30.6 48.0 56.8 14.6 37.5 注 :ドイツは 試 験 形 式 の 相 違 から 分 析 対 象 外 この 中 では フィンランドのみがインドヨーロッ パ 語 族 に 属 さない 言 語 (ウラル 語 族 )を 母 語 としてい る 国 である 一 方 オランダ 語 は 英 語 の 方 言 といって も 過 言 ではない 程 語 族 的 に 近 い 関 係 にある そ れにも 拘 わらず フィンランドの 中 学 生 の 健 闘 ぶ りは 注 目 に 値 する 小 学 校 の 段 階 から 英 語 が 教 科 として 組 織 的 に 教 えられてきたことがその 下 敷 き になっていることは 容 易 に 想 像 できる 子 ども 達 が 獲 得 した 英 語 力 への 英 語 教 師 の 高 い 満 足 度 が 決 して 教 師 の 側 の 楽 観 主 義 を 反 映 していないことは 明 らかである 8

6.おわりに 授 業 観 察 と 授 業 観 の 分 析 から フィンランドの 小 学 校 では 概 ね 教 科 書 を 主 体 として 語 彙 文 法 を 重 視 したどちらといえば 伝 統 的 な 方 法 で 英 語 が 教 えられている 姿 が 浮 かび 上 がってきた 日 本 の 中 学 校 での 指 導 がそのまま 小 学 校 で 実 施 されてい ると 言 えなくもない 中 学 校 の 先 取 りをすべきで はないという 主 張 が 正 論 と 見 なされがちな 今 の 日 本 にはない 発 想 である 当 然 教 科 としての 指 導 年 数 が 長 いだけ 学 習 者 の 英 語 力 も 高 くなると 考 えることもできるが それだけではフィンランド の 英 語 学 習 者 の 高 い 英 語 力 は 説 明 がつきそうもな い その 背 景 としては 国 際 企 業 ( 例 えばNokia) の 躍 進 に 象 徴 されるグローバル 化 の 進 行 という 社 会 的 要 因 に 加 え 次 のような 要 因 が 考 えられる ひとつは フィンランドにおける 教 育 の 位 置 づ けである PISA の 結 果 が 示 すように 英 語 教 育 に 限 らず 学 校 教 育 全 体 に 対 する 国 民 一 人 一 人 の 姿 勢 が 実 に 真 摯 なのである 教 員 に 対 する 信 頼 感 も 厚 く 6 月 初 旬 から8 月 中 旬 まで 有 給 で2ヶ 月 半 も 夏 休 みを 享 受 しているからと 言 って 教 職 に 対 するあこがれが 増 大 しこそすれ 教 師 に 対 する 批 判 が 増 大 することはない 結 果 的 に 優 秀 な 人 材 が 教 職 に 就 くという 良 い 意 味 での 連 鎖 反 応 が 見 ら れる マスメディアにおける 英 語 の 取 扱 にも 言 及 する 必 要 がある アメリカ 映 画 などテレビの 英 語 番 組 は 音 声 はそのままでフィンランド 語 の 字 幕 が 画 面 に 示 される まだフィンランド 語 が 読 めな い 幼 児 向 け 番 組 は 別 として 日 本 のテレビ 番 組 の ような 吹 き 替 えは 行 われていない フィンランド の 子 ども 達 はごく 自 然 な 形 で 大 量 の 生 きた 英 語 に 晒 されていると 言 える また 大 学 入 学 資 格 試 験 の 存 在 も 看 過 できない 英 語 は 準 必 修 で Listening Comprehension Test (45 分 )とWritten Part (6 時 間 )に 分 かれて 年 に2 回 実 施 される 内 容 は 実 に 高 度 で 試 験 結 果 は 点 数 化 され 大 学 入 試 の 書 類 審 査 に 利 用 される フィンランド 語 が 英 語 と 書 記 体 系 をほぼ 共 有 しているという 点 も 見 逃 せない 読 むことや 書 くことの 学 習 にはその 点 が 大 きなメリットとなっている 英 語 とまったく 異 なる 書 記 体 系 しかも 非 常 に 複 雑 な 書 記 体 系 を 学 習 しなけれ ばならない 日 本 の 児 童 からすれば 羨 ましい 限 りで あるが 日 本 語 と 同 様 語 族 的 には 英 語 とは 全 く 異 なっていることも 再 度 押 さえておきたい 日 本 の 英 語 教 育 への 示 唆 としては 1 外 国 語 教 育 そのものの 充 実 (フィンランドでは 高 校 卒 業 時 までに 複 数 の 言 語 が 学 習 可 能 ) 2 教 師 の 英 語 力 の 向 上 (クラス 担 当 教 師 もかなり 流 暢 に 英 語 が 話 せ る) 3クラスサイズの 縮 小 (10 前 後 の 少 人 数 ク ラスが 主 流 ) 4 英 語 教 科 書 の 整 備 ( 良 質 教 科 書 の 普 及 が 英 語 教 育 の 質 を 高 いレベルで 均 等 に 保 持 ) などが 挙 げられる 小 学 校 への 英 語 教 育 の 教 科 と しての 導 入 が 間 近 に 迫 りつつある 我 が 国 にとって フィンランドの 小 学 校 英 語 教 育 は 実 に 多 くのこと を 教 えてくれそうである 注 1) 例 えば 国 家 教 育 委 員 会 のホームページの PISA 情 報 (http://www.oph.fi/english/page.asp? path=447,488,36263)を 参 照 2) 首 都 であるヘルシンキには 既 に 数 多 くの 調 査 団 が 訪 れていることに 加 えて 他 人 に 見 られるこ とを 意 識 した 指 導 の 実 態 をフィンランド 教 育 全 体 へと 一 般 化 することは 適 切 でないと 判 断 したため 3) 国 家 教 育 委 員 会 のホームページ(http://www. edu.fi/english/frontpage.asp?path=500)にフィン ランドの 教 育 制 度 に 関 する 情 報 が 掲 載 されている 4) KIMMOKE 情 報 は 国 家 教 育 委 員 会 ホームペー ジ (http://www.edu.fi/english/page.asp?path=50 0,18918,18920)で 入 手 可 能 5) クラス 担 当 教 員 は 教 育 学 部 の 教 員 養 成 学 科 で 教 科 担 当 教 員 は 教 育 学 部 以 外 の 学 部 で 養 成 される 詳 細 は 伊 東 (2006)を 参 照 6) フィンランド 英 語 教 師 協 会 (The Association of Teachers of English in Finland, www.suome nenglanninopettajat.fi)が 製 作 7) 具 体 的 質 問 文 は 著 者 のホームページ(http:// www.naruto-u.ac.jp/~itohh/link/elt%20in%20 Finland/Questionnaire.pdf)に 掲 載 8) 27 名 全 員 が 必 ずしも 各 学 年 に 回 答 していない ため 実 際 の 回 答 者 人 数 内 で 平 均 値 を 求 めた 9) 文 部 科 学 省 ホームページ(http://www.mext.go. jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/015/04 070501/005/001.pdf) 参 照 10) 学 習 指 導 要 領 が 変 わっても 需 要 があれば 旧 来 の 教 科 書 が 継 続 して 出 版 されている 9

11) 我 が 国 の 指 導 要 録 に 示 されている 観 点 は 1 コミュニケーションへの 関 心 意 欲 態 度 2 表 現 の 能 力 3 理 解 の 能 力 4 言 語 や 文 化 について の 知 識 理 解 の4つである 引 用 文 献 Bonnet, G. (Ed.) (2002) The assessment of pupils skills in English in eight European countries 2002. European Network of the Policy Makers for the Evaluation of Education Systems (http://cisad.adc.education.fr/ reva/pdf/assessmentofenglish.pdf). Council of Europe. (2001) Common European framework of reference for languages: Learning, teaching, assessment. Cambridge: Cambridge University Press. フィンランド 大 使 館 広 報 部 (1999) フィンランド の 教 育 東 京 :フィンランド 大 使 館 広 報 部. FNBE (Finnish National Board of Education). (1994) Framework curriculum for the comprehensive school 1994. Helsinki: Author. FNBE (Finnish National Board of Education). (2004) National core curriculum for basic education 2004. Helsinki: Author. 福 田 誠 治 (2005) 競 争 しなくても 世 界 一 :フィン ランドの 教 育 東 京 :アドバンテ-ジサ-バ-. Graddol, D. (1997) The future of English? London: The British Council. 伊 東 治 己 (2006) フィンランドの 教 員 養 成 制 度 鳴 門 英 語 研 究 第 19 号, 129-144. Krashen, S. (1982) Principles and practice in second language acquisition. Oxford: Pergamon. Lewis, M. (1993) The lexical approach. Hove: Language Teaching Publications. Marsh, D. & Langé, G. (Eds.) (1999) Implementing content and language integrated learning. Jyväskylä: University of Jyväskylä. 三 浦 省 五 猫 田 和 明 猫 田 英 伸 (2005) The Common European Reference Scales: A study of their applicability to Japanese learners of English 教 育 学 研 究 ジャーナル No.1, 41-47. 猫 田 英 伸 猫 田 和 明 三 浦 省 吾 ( 2004) ヨーロッ パにおける 評 価 規 準 及 び 基 準 の 理 論 的 比 較 中 国 地 区 英 語 教 育 学 会 研 究 紀 要 No.34, 29-36. 庄 井 良 信 中 嶋 博 (2005) フィンランドに 学 ぶ 教 育 と 学 力 東 京 : 明 石 書 店. Research on English Language Education at Primary Schools in Finland by ITO Harumi Naruto University of Education This paper reports the results of the five-month research in Finland on her English language education at primary schools. Since the publication of the 2003 PISA results by the OECD in December 2004, more and more educators and researchers in Japan have been focusing their attention on school education in Finland, especially on her literacy and mathematics education. In the context of comparison between Japan and Finland, however, much more attention should be given to English language education in Finland, since her English learners have achieved a top-class attainment in some international comparisons of English proficiency such as in TOEFL. Putting her foreign language education in a wider context of school education in general, this paper has disclosed how English is taught and tested at primary schools in Finland on the basis of extensive class observations, and also looked into English teachers perceptions and beliefs concerning English language education at primary school through questionnaires and interviews. 10