舗装工事を対象とした地上型レーザースキャナーの計測精度に関する検証実験 樋口智明 1 佐田達典 江守央 3 村山盛行 福森秀晃 1 学生会員日本大学大学院理工学研究科交通システム工学専攻 ( 7-1 千葉県船橋市習志野台 7--1) E-mail: csto11@g.nihon-u.ac.jp 正会員日本大学教授理工学部交通システム工学科 ( 7-1 千葉県船橋市習志野台 7--1) E-mail: sada.tatsunori@nihon-u.ac.jp 3 正会員日本大学准教授理工学部交通システム工学科 ( 7-1 千葉県船橋市習志野台 7--1) E-mail: emori.hisashi@nihon-u.ac.jp 正会員株式会社フィールドテック ( 11-1 東京都台東区台東 --) E-mail: smurayam@fieldtech.co.jp 正会員株式会社フィールドテック ( 11-1 東京都台東区台東 --) E-mail: fukumori@fieldtech.co.jp 従来, 出来形管理では巻尺, レベルを用いて, 幅, 長さ, 高さの計測が行われてきた.1 年度から国土交通省では i-construction に取り組んでおり, 生産性の向上を目標としている. その中で 1 年 月に地上型レーザースキャナーを用いた出来形管理要領 ( 舗装工事編 )( 案 ) が公表され, 今後の利用が見込まれる. 本研究は, 複数の性能の異なる地上型レーザースキャナーを用いて, 出来形管理要領の精度確認試験方法に沿って実験を行い, 計測精度を検証した. その結果, 出来形管理要領に規定されている表層の要求精度に対して, 機種の性能に応じて, 想定通りに満たす場合と想定通り満たさない場合があったが, 機器の不具合や観測条件に影響されて想定に反して満たさない場合も見られた. Key Words: TLS,pavement construction,point cloud data 1. はじめに現在, 日本の建設施工は, 少子高齢化, 低い労働生産性, 施工現場の安全確保, 社会資本の老朽化等の諸問題がある 1). 従来, 出来形管理では, 巻尺, レベルを用いて, 幅, 長さ, 高さの計測が行われてきた. しかし,1 年から国土交通省では i-construction に取り組んでおり,GNSS,UAV( ドローン ), 地上型レーザースキャナー ( 以下,TLS:Terrestrial Laser Scanner) の導入が進められている. その中で 1 年 3 月に国土交通省の地上型レーザースキャナーを用いた出来形管理要領 ( 舗装工事編 )( 案 ) ) ( 以下, 出来形管理要領 ) が公表され, 今後, 利用が増加すると見込まれる. TLS による出来形計測は, 従来の施工管理手間の大幅な軽減と, 短時間かつ高密度で詳細な地形や出来形 の形状取得が可能である. 一方で計測対象点を指定した計測が出来ない, 計測間隔が均一ではない, また, ソフトウェアを用いた大量の計測点群処理データの処理が必要である. 以上のことから, 出来形管理に TLS を用いるための出来形計測手順や管理基準が策定された. 出来形管理要領では, 各現場の制約条件を考慮して TLS の測定精度を確認するために, 鉛直方向と平面方向の精度確認試験を行う. 本研究は, 出来形管理要領の精度確認試験方法 ( 以下, 試験方法 ) に沿って, 複数の性能の異なる TLS で計測を行い, 平面方向や鉛直方向の計測精度を求め, 出来形管理要領の要求条件を満たす機種の確認, また, 機種の性能が精度に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする. II_13
. 実験概要 (1) 計測方法 本研究では, 機種の性能が精度に及ぼす影響を明ら かにし, 出来形管理の要求条件を満たす機種の確認を することを目的としていることから, 器械の機構が異 なることによる測定精度の変化を無くすため, 照射方 法が同一の機構である, 表 -1 に示す RIEGL 社の 機種 の TLS を用いて実験を行った. したがって, 本研究で 得られた結果が, 他社の同等製品に対しても適用でき るとは限らない. 実験日時は,1 年 3 月 3 日で TLS の計測時間帯は, 13 時から 1 時である. レーザーの照射間隔は,.,.1,.,. (LMS-Z1 は.1,.1,.7 )(VZ- i は.1 も含む ) に設定した. また, 本研究では鉛 直方向と水平方向のレーザーの照射間隔は同じ値とす る.TLS の器械高を図 -1 のように 1.m と設定した. 出 来形管理要領では 1m 1m に 1 点以上照射されている ことが計測可能距離とされており, 各照射間隔におけ る最大距離を式 (1) により求めた. ここで, α: 照射間隔 ( ) tan 1L+. h 1 α L tan α 1 (1) L: 機器位置から照射点までの水平距離 (m) h:tls の照射部の高さ (m) である. 式 (1) で設定したレーザーの照射間隔毎の最大距離の 結果を表 - に示す. TLS で取得した座標を世界測地系にするために, 座 標変換を行う. 座標変換を行うために標定点を図 - の ように TG1~TG の つ設置した. 鉛直方向の精度を検証するために, 出来形管理要領 の試験方法に記載されている図 -3 のイメージ図を参考 に, 図 - のように 1m 1m の検査面を表 - で求めた最 大距離に設置し, そしてレベルであらかじめ検査面の 四隅の標高を計測した. 次に, 平面方向の精度を検証するために, 出来形管 理要領の試験方法に記載されている図 - のイメージ図 を参考に, 図 - のように 以上離して,TLS から照 射方向に向けて左側のターゲットを地面に, 右側のタ ーゲットは三脚に載せて設置した. 設置場所は表 - で 求めた最大距離の外側とした. 各照射間隔でターゲッ トを移動させたため,TLS の計測ごとにトータルステ ーション ( 以下,TS) で つのターゲットの中心座標 を計測した. また,TLS はターゲットを抽出するため にターゲットスキャンを行った. その上で, 表 -1 の 機種を用いてターゲットと検査 面を含む範囲を設定した照射間隔で計測した. 表 -1 各機種の性能 機種名 (A) LMS-Z1 (B) LMS-Z3i (C) LMS-Zi (D) VZ-i スキャナー画像 測定精度 mm 1mm mm mm 測定レート 1 点 / 秒 1 点 / 秒 11 点 / 秒 点 / 秒 ビームの広がり角 3mrad mrad.mrad.3mrad 最長測定距離 3m m 1m m 照射間隔 ( ) 計測時間 ( 水平方向 ). 3.1 1 1 3 1 3. 3 1 1 3. - 1 9 1.1 - - - 11 LMS-Z1は.1,.1,.7 図 -1 TLS 設置方法 ( 例 ) 図 - 標定点設置位置 (Google Earth Pro の画像より筆者が作成 ) 表 - 1m 1m に 1 点取得できる最大距離 照射間隔 ( )..1...1 最大距離 L(m) 1 1 19 3 7 II_137
要求精度を満足できる範囲 = 計測可能距離 1 m 1m以内に勾配変化のない平坦な箇所を選定して計測すること 標準反射板や反射シートなどは設置せず 計測面が露出した状態で計測すること 1 m 方向の精度を検証した. 鉛直方向の精度は,TLS の検査面の標高平均値とレベルの四隅の平均値との差を求め,TLS の検査面の標高値の標準偏差, 最大値と最小値の差を比較した. 平面方向の精度は,TLS と TS でターゲットの点間距離の差を求め, それぞれのターゲットの反射強度の比較をした. 図 -3 鉛直方向の試験方法イメージ図 ) 3. 実験結果と考察 図 - 検査面設置方法 図 - 平面方向試験方法イメージ図 ) (1) 鉛直方向の精度 a) 各距離の検査面の標高値比較表 - で示した,1m 1mに取得できる最大距離に設置した検査面の TLS とレベルとの標高値の差を表 -3, 図 - 7 に示す. また, 検査面の点群照射画像を図 -, 各機種の要求精度に対する満足度を表 - に示す. 出来形管理要領の鉛直方向の要求精度は, 表層表面で ±mm 以内である. VZ-i は, 図 -7 より機器から 3m の地点の検査面で唯一要求精度を満たすことができた. また, 表 -3 より, の地点も計測が可能で, 要求精度も満たすことができたことから, 従来の 3 機種と比べ,1 回の計測で 3 倍の距離を計測することができる. LMS-3i は, 図 -7 より 地点の検査面のみ要求精度を満たすことができたが, 他の地点では満たすことができなかった. また, から 地点ではレベルよりも標高値が高い結果となり,3m 地点では低い値を示したため, 機器の鉛直軸と水平軸が直交していないなどの不具合の可能性がある. LMS-1 は, 図 - より, 他機種よりも点群数が多くなる地点はあるが, 要求精度を満たすことができなかった. 点群数が多くても, 各点の座標を正確に計測できなければ, 精度は劣化する. 表 - より,LMS-Z1 は全てのケースで要求精度を満足できなかった. 表 -1 より, 測定精度が mm, ビームの広がり角が 3mrad と性能が低いことを反映した結果といえる. また,LMS-Z3i は 1 つのケースを除き要求精度を満たすことができなかった. 機器の不具合の可能性に加え, 表 -1 より, ビームの広がり角が mrad と大きいことを反映した結果と考えられる. 表 -3 各距離の TLS とレベルとの標高差 () 解析方法 図 - ターゲット設置方法 計測で得た点群データを解析して, 平面方向, 鉛直 機器からの距離 ( 照射間隔 ) (. ) (.1 ) (. ) 3m (. ) (.1 ) レベル LMS-Z1 LMS-Z3i LMS-Zi VZ-i 標高値 (m).7.1.97.7.7 レベルとの差 (m) - -.13.3 -.. 標高値 (m).7.3.3.7.7 レベルとの差 (m) - -.13.7 -. -.1 標高値 (m).77.9.7.73.7 レベルとの差 (m) - -..1 -. -.1 標高値 (m).1 -.7.77. レベルとの差 (m) - - -. -. -.1 標高値 (m).79 - - -.7 レベルとの差 (m) - - - -. II_13
- - - - - - - - 地点 (. ) 地点 (.1 ) 地点 (. ) 3m 地点 (. ) 図 -7 各距離の TLS とレベルとの標高差比較図 (mm) 機種名 (A) LMS-Z1 (B) LMS-Z3i (C) LMS-Zi (D) VZ-i 照射方向. 地点 点群数 ( 個 ) 1 13 11 7.1 地点 点群数 ( 個 ) 1 11 1 1. 地点 点群数 ( 個 ) 1 11 111 11. 3m 地点 点群数 ( 個 ) - 113 1 111.1 地点 - - - - - - - - B C D 表 - 地点の TLS とレベルの標高計測値比較 機種名 レベル LMS-Z1 LMS-Z3i LMS-Zi VZ-i 平均値 (m).77.9.7.73.7 レベルとの差 (m) - -..1 -. -.1 標準偏差 (m) -.7... RMS 誤差 (m) -.1... 最大値 (m)...9.. 最小値 (m).9.7... 最大値 - 最小値 (m).1.37..17.1 7 3 1 3 3 1 1 標準偏差 (mm) レベル 最大値 - 最小値 (mm) RMS 誤差 (mm) 標高の点群の分布 (m) 図 -9 機種毎の鉛直方向の比較図 図 -7 より,LMS-Z1 を除いた 3 機種は, 要求精度を 満たしている.LMS-Z1 は, 図 -9 から, 機種の性能に より, 標準偏差,RMS 誤差, 最大値と最小値の差が 機種の中で最も大きい値を示した. また, 座標変換の 誤差も大きいことから, 標高の点群の分布から, レベ ルの標高値から外れた値を多く示している. 以上のこ とから最も精度が劣化したと考えられる. 一方,VZ-i は, 図 -9 から, いずれの項目でも機種 の性能に応じて, 最も良い結果となった. このことか ら計測距離が長距離となっても要求精度を満たすこと ができたと考えられる. RMS 誤差 (mm)..3.1.79.77.7.73.71.9 1 LMS-Z1 LMS-Z3i LMS-Zi VZ-i TLS 平均値 レベル平均値 点群数 ( 個 ) - - - 11 図 - 1m 1m 検査面の照射画像と点群数 表 - 鉛直方向の要求精度に対する満足度 (A) LMS-Z1 (B) LMS-Z3i (C) LMS-Zi (D) VZ-i (. ) 〇 〇 (.1 ) 〇 〇 (. ) 〇 〇 〇 3m(. ) - 〇 〇 (.1 ) - - - 〇 b) 地点の検査面 照射間隔., 機器設置位置から 地点の TLS の 平均値からの標準偏差,RMS 誤差, 最大値と最小値の 差, 標高の点群の分布を表 -, 図 -9 に示す. () 平面方向の精度 a) 各距離の点間 ( ターゲット間 ) 距離の比較最大距離における TLS の TS とターゲット間距離の結果を, 表 - 及び図 -1 に示す.TS よりも長い距離を示した場合は橙色, 短い距離の場合は, 青色とした. また, 各距離のターゲットの点群照射画像を図 -11, 各機種の要求精度に対する満足度を表 - に示す. 出来形管理要領の平面方向の要求精度は, 表層表面で ±m 以内である. LMS-Z1 は, 図 -11 よりターゲットスキャンができず, 他機種よりもターゲットに照射される点群数は少ないことから精度が劣化したと考えられる. LMS-Zi は, 図 -1 から, 一部を除き要求精度を満たしておらず,LMS-Z3i よりも精度が劣化している. II_139
機器からの距離 ( 照射間隔 ) (. ) (.1 ) (. ) 3m (. ) (.1 ) 機器からの距離 ( 照射間隔 ) (. ) (.1 ) (. ) 3m (. ) (.1 ) 表 - TLS と TS のターゲット間距離の比較 (A) LMS-Z1 (B) LMS-Z3i TS TLS TS TLS 点間距離 (m) 1. 1. 1. 1.33 TSとの差 (m) - -.19 -.7 点間距離 (m) 1.17 1.1 1.1 1. TSとの差 (m) - -.7 - -.1 点間距離 (m) 1. 1.7 1.1 1.1 TSとの差 (m) -. - -. 点間距離 (m) - - 1.319 1.317 TSとの差 (m) - - - -. 点間距離 (m) - - - - TSとの差 (m) - - - - (C) LMS-Zi (D) VZ-i TS TLS TS TLS 点間距離 (m) 1.1 1.39 1.397 1.3 TSとの差 (m) - -.17 - -.9 点間距離 (m) 1.197 1.19 1.1 1.13 TSとの差 (m) - -.3 - -.1 点間距離 (m) 1.3 1. 1. 1. TSとの差 (m) - -.1 - -.1 点間距離 (m) 1.33 1.3 1.3 1.3 TSとの差 (m) - -. -. 点間距離 (m) - - 1.19 1.3 TSとの差 (m) - - -. 設置場所左 右左 右左 (A) LMS-Z1 (B) LMS-Z3i (C) LMS-Zi (D) VZ-i 1 1 1 1 - - -1-1 -1-1 - - (. ) (.1 ) 1 1 1 1 - - -1-1 -1-1 - - B C D (. ) 3m(. ) 図 -1 機種毎のターゲット間距離の TS との差 (mm) 機種の性能は良いが, 図 -11 より, 図 - のように地面に設置した左ターゲットに, ノイズが生じていることが原因と考えられる. VZ-i は, いずれの距離でも最も良い結果を示してる. ターゲットの形状を正確に計測できていることが精度向上に寄与していると考えられる. 表 -7 より,LMS-Z1,LMS-Zi は, 地点で平面方向の要求精度を満たすことができなかった. また, 図 -1 より, 各機種の 地点で大きく精度が劣化している. 本検証に用いたターゲットは, 座標変換の標定点のターゲットと同様のものであるため, 機器設置位置から距離を離して設置したほうが良いと考えられる. b) ターゲットの反射強度の比較各地点のターゲットの反射強度を表 -, 図 -1 に示す. ただし VZ-i は, 反射強度における器械設置位置離れるほど暗く表現されてしまう問題を解決するために, 強度情報に距離要素を加えた, 反射率を示している 3). 3m 右 左 右 VZ-i のみ 左 図 -11 各距離のターゲットの照射画像 表 -7 平面方向の要求精度に対する満足度 (A) LMS-Z1 (B) LMS-Z3i (C) LMS-Zi (D) VZ-i (. ) 〇 〇 (.1 ) 〇 〇 〇 〇 (. ) 〇 〇 〇 〇 3m(. ) - 〇 〇 〇 (.1 ) - - - 〇 図 -11 より,LMS-Zi は図 - のように地面に設置し た各地点の左ターゲットにノイズが生じている. また, そのターゲットは, 図 -1 より,VZ-i を除いた 機種 よりも反射強度の値が低くなっている. 以上のことか ら, 各地点で精度の劣化が生じたと考えられる.LMS- Zi を用いる際は, 地面からなるべく離して, ターゲ ットを設置したほうが良いと考えられる. 右 II_1
表 - 各地点のターゲットの反射強度 機器からの距離 (A)LMS-Z1 (B)LMS-Z3i ( 照射間隔 ) 左 右 左 右 (. ) (db) 39. 391.77 37.1. (.1 ) (db) 3.9.99 33.7 17.7 (. ) (db) 3.71.3 39.7 11.1 3m(. ) (db) - - 391.9 391.7 (.1 ) (db) - - - - 機器からの距離 (C)LMS-Zi (D)VZ-i ( 照射間隔 ) 左 右 左 右 (. ) (db) 3.9 31.3 1. 1.39 (.1 ) (db) 3. 3. 19.9 19.71 (. ) (db) 1.9 3.1 19.1 1.17 3m(. ) (db) 11.9 33.91 1. 1. (.1 ) (db) - - 1.7. 設置場所 (A) LMS-Z1 (B)LMS-Z3i (C) LMS-Zi (D) VZ-i TG1 TG TG3 TG 3 3 1 1 3 3 1 1 3 3 1 1 3 3 1 1 ( 左ターゲット ) ( 右ターゲット ) ( 左ターゲット ) ( 右ターゲット ) ( 左ターゲット ) ( 右ターゲット ) 3m( 左ターゲット ) 3m( 右ターゲット ) 図 -1 ターゲットの反射強度値 (db) (3) 標定点のターゲットの比較 座標変換のために設置した標定点の反射強度, ター ゲットの照射状況の確認を行った. 各標定点の照射画像は図 -13, 反射強度を図 -1, 表 -9 に示す. (B) (C) (D) 図 -13 から,LMS-1 は機器の性能よりターゲットス キャンができないため, 照射点数が少なかった. この ことから, 座標変換の誤差が生じて, 鉛直方向の精度 が劣化したと考えられる. 3 3 1 1 3 3 1 1 3 3 1 1 3 3 1 1 (B) (C) (D) 3 3 1 1 3 3 1 1 TG 図 -13 標定点のターゲットの照射画像 TG1 TG3 3 3 1 1 表 -9 標定点の反射強度値 標定点番号 LMS-Z1 LMS-Z3i LMS-Zi VZ-i TG1(dB) 9.13 37.1.7 1.7 TG(dB) 39.1 7.1 7.9 1.33 TG3(dB) 97.939 31.93 1. 17.99 TG(dB) 7.99 1.1.71 1.7 TG(dB) 3.39 33.7 7.3 1. 3 3 1 1 3 3 1 1 TG TG TG 図 -1 標定点の反射強度値比較図 (db) II_11
LMS-i は, 他機種と比べノイズが大きく生じている. また, 図 -1 から反射強度の値も VZ-i よりも小さい値を示しているため, ターゲットを正確に計測できなかったと考えられる. TG,TG,TG はアルミ製の三脚の脚にターゲットを設置しており, 各機種ターゲットスキャンを行ったが,LMS-Zi と VZ-i は三脚の脚も計測している. ターゲットと誤認識したと考えられる.. おわりに本研究では, 出来形管理要領に沿って複数の異なる性能の TLS の精度を検証した. VZ-i は, 鉛直方向と平面方向の精度が全ての距離で要求精度を満たすことができた. また,LMS-Z1 は, 一部を除き要求精度を満たすことができなかった. これらは機種の性能に応じた結果となった. しかし, LMS-Z3i は, 器械の不具合が生じた可能性があること, LMS-Zi は, 座標変換の誤差が生じたことによって, 本来の機種の性能に応じた結果とならなかった. 機器の調整, 標定点のターゲットの設置方法を適切に行えば, 計測精度が向上すると考える. 本研究で LMS-Z1 は, 鉛直方向の精度を全く満たしていないため, 出来形管理に用いることは難しい. LMS-Z3i は, 多くのケースで鉛直方向の精度を満たしていないが, 機器の不具合等が発生しない場合, 用いることができる可能性もある.LMS-Zi は, 要求精度は満たしているが, 計測方法を十分注意して行わなければ, 精度が担保されない場合もある.VZ-i は, 全てのケースで要求精度を満たしており, 他機種と比べ, 計測時間の短縮, 長距離の計測が可能であるため, 最も適している. 今後は, 標定点の設置方法や出来形計測の最も効率的な運用方法の検討をしていきたい. 参考文献 1) 国土交通省 : 建設施工を巡る諸課題に関するニーズ調査結果について, <http://www.mlit.go.jp/common/973.pdf> ( 入手 :1..1). ) 国土交通省 : 地上型レーザースキャナーを用いた出来形管理要領 ( 舗装工事編 )( 案 ),pp.1-,1. 3) リーグルジャパン総合カタログ,pp.1-,1. (1.1. 受付 ) STUDY ON THE ACCURACY OF MEASUREMENT BY TLS IN PAVEMENT WORK Tomoaki HIGUCHI, Tatsunori SADA, Hisashi EMORI, Shigeyuki MURAYAMA, and Hideaki FUKUMORI Conventionally, measurements of width, length, and height have been performed using tape measure and level in management of work done. Since 1, the Ministry of Land, Infrastructure and Transport is working on i-construction and aims to improve productivity. Among them, in April 1 formulation management procedure (draft) (using pavement work) using a terrestrial laser scanner was announced, and it is expected that usage will increase in the future. Although the result could be measured with the accuracy according to the performance of the model, there were cases in which it was not possible to secure the assumed precision due to the malfunction of the equipment and the observation condition.. II_1