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は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし


定 性 的 情 報 財 務 諸 表 等 1. 連 結 経 営 成 績 に 関 する 定 性 的 情 報 当 第 3 四 半 期 連 結 累 計 期 間 の 業 績 は 売 上 高 につきましては 前 年 同 四 半 期 累 計 期 間 比 15.1% 減 少 の 454 億 27 百 万 円 となり


4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 有

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4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 有

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損 益 計 算 書 自. 平 成 26 年 4 月 1 日 至. 平 成 27 年 3 月 31 日 科 目 内 訳 金 額 千 円 千 円 営 業 収 益 6,167,402 委 託 者 報 酬 4,328,295 運 用 受 託 報 酬 1,839,106 営 業 費 用 3,911,389 一

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損 益 計 算 書 ( 自 平 成 25 年 4 月 1 日 至 平 成 26 年 3 月 31 日 ) ( 単 位 : 百 万 円 ) 科 目 金 額 営 業 収 益 75,917 取 引 参 加 料 金 39,032 上 場 関 係 収 入 11,772 情 報 関 係 収 入 13,352 そ

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

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第316回取締役会議案

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注 記 事 項 (1) 当 四 半 期 連 結 累 計 期 間 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 : 無 (2) 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 : 有 ( 注 ) 詳 細 は 添 付 資 料 4ページ 2.サマリー 情 報 (

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入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入

第 41 期

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科 売 上 原 価 売 上 総 利 益 損 益 計 算 書 ( 自 平 成 26 年 4 月 1 日 至 平 成 27 年 3 月 31 日 ) 目 売 上 高 販 売 費 及 び 一 般 管 理 費 営 業 利 益 営 業 外 収 益 受 取 保 険 金 受 取 支 援 金 補 助 金 収 入 保

の 提 供 状 況 等 を 総 合 的 に 勘 案 し 土 地 及 び 家 屋 に 係 る 固 定 資 産 税 及 び 都 市 計 画 税 を 減 額 せずに 平 成 24 年 度 分 の 固 定 資 産 税 及 び 都 市 計 画 税 を 課 税 することが 適 当 と 市 町 村 長 が 認 め

(1) 貸 借 対 照 表 ( 平 成 26 年 11 月 30 日 現 在 ) ( 単 位 : 千 円 ) 資 産 の 部 負 債 の 部 科 目 金 額 科 目 金 額 流 動 資 産 4,623,985 流 動 負 債 3,859,994 現 金 及 び 預 金 31,763 支 払 手 形

平 成 24 年 4 月 1 日 から 平 成 25 年 3 月 31 日 まで 公 益 目 的 事 業 科 目 公 1 公 2 公 3 公 4 法 人 会 計 合 計 共 通 小 計 苦 情 相 談 解 決 研 修 情 報 提 供 保 証 宅 建 取 引 健 全 育 成 Ⅰ. 一 般 正 味 財

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2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

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1. 決 算 の 概 要 法 人 全 体 として 2,459 億 円 の 当 期 総 利 益 を 計 上 し 末 をもって 繰 越 欠 損 金 を 解 消 しています ( : 当 期 総 利 益 2,092 億 円 ) 中 期 計 画 における 収 支 改 善 項 目 に 関 して ( : 繰 越

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(1) 率 等 一 覧 ( 平 成 26 年 度 ) 目 課 客 体 及 び 納 義 務 者 課 標 準 及 び 率 法 内 に 住 所 を 有 する ( 均 等 割 所 得 割 ) 内 に 事 務 所 事 業 所 又 は 家 屋 敷 を 有 する で 内 に 住 所 を 有 し ないもの( 均 等

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3 独 占 禁 止 法 違 反 事 件 の 概 要 (1) 価 格 カルテル 山 形 県 の 庄 内 地 区 に 所 在 する5 農 協 が, 特 定 主 食 用 米 の 販 売 手 数 料 について, 平 成 23 年 1 月 13 日 に 山 形 県 酒 田 市 所 在 の 全 国 農 業 協

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科 目 予 算 額 決 算 額 差 異 Ⅱ 投 資 活 動 収 支 の 部 1. 投 資 活 動 収 入 特 定 資 産 取 崩 収 入 13,811,848 62,532,864 48,721,016 退 職 給 付 引 当 資 産 取 崩 収 入 2,811,848 54,237,864 51,

1 総 合 設 計 一 定 規 模 以 上 の 敷 地 面 積 及 び 一 定 割 合 以 上 の 空 地 を 有 する 建 築 計 画 について 特 定 行 政 庁 の 許 可 により 容 積 率 斜 線 制 限 などの 制 限 を 緩 和 する 制 度 である 建 築 敷 地 の 共 同 化 や

その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農

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(2) 実 務 上 の 取 扱 い 減 価 償 却 の 方 法 は 会 計 方 針 にあたるため その 変 更 は 本 来 会 計 方 針 の 変 更 として 遡 及 適 用 の 対 象 と なります しかしながら 減 価 償 却 方 法 の 変 更 については 会 計 方 針 の 変 更 を 会

預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

添 付 資 料 の 目 次 1.サマリー 情 報 (その 他 )に 関 する 事 項... 2 (1) 当 四 半 期 連 結 累 計 期 間 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動... 2 (2) 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用.

1 特 別 会 計 財 務 書 類 の 検 査 特 別 会 計 に 関 する 法 律 ( 平 成 19 年 法 律 第 23 号 以 下 法 という ) 第 19 条 第 1 項 の 規 定 に 基 づき 所 管 大 臣 は 毎 会 計 年 度 その 管 理 する 特 別 会 計 について 資 産

退職手当とは

 

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( 別 途 調 査 様 式 1) 減 損 損 失 を 認 識 するに 至 った 経 緯 等 1 列 2 列 3 列 4 列 5 列 6 列 7 列 8 列 9 列 10 列 11 列 12 列 13 列 14 列 15 列 16 列 17 列 18 列 19 列 20 列 21 列 22 列 固 定

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18 国立高等専門学校機構

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土 購 入 土 借 用 土 所 有 権 移 転 登 記 確 約 書 農 転 用 許 可 書 ( 写 ) 農 転 用 届 出 受 理 書 ( 写 ) 土 不 動 産 価 格 評 価 書 土 見 積 書 ( 写 ) 又 は 売 買 確 約 書 ( 写 ) 土 売 主 印 鑑 登 録 証 明 書 売 主

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(2) 単 身 者 向 け 以 外 の 賃 貸 共 同 住 宅 等 当 該 建 物 に 対 して 新 たに 固 定 資 産 税 等 が 課 税 される 年 から 起 算 して5 年 間 とする ( 交 付 申 請 及 び 決 定 ) 第 5 条 補 助 金 の 交 付 を 受 けようとする 者 は

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16 日本学生支援機構

4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 新 規 社 ( 社 名 ) 除 外 社 ( 社 名 ) (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の

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注 記 事 項 (1) 四 半 期 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 : 無 (2) 会 計 方 針 の 変 更 会 計 上 の 見 積 りの 変 更 修 正 再 表 示 1 会 計 基 準 等 の 改 正 に 伴 う 会 計 方 針 の 変 更 : 無 2 1

第5回法人課税ディスカッショングループ 法D5-4

< 現 在 の 我 が 国 D&O 保 険 の 基 本 的 な 設 計 (イメージ)> < 一 般 的 な 補 償 の 範 囲 の 概 要 > 請 求 の 形 態 会 社 の 役 員 会 社 による 請 求 に 対 する 損 免 責 事 由 の 場 合 に 害 賠 償 請 求 は 補 償 されず(

1 予 算 の 姿 ( 平 成 25 当 初 予 算 ) 長 野 県 財 政 の 状 況 H 現 在 長 野 県 の 予 算 を 歳 入 面 から 見 ると 自 主 財 源 の 根 幹 である 県 税 が 全 体 の5 分 の1 程 度 しかなく 地 方 交 付 税 や 国 庫 支

送 信 局 を 電 気 通 信 事 業 者 に 貸 し 付 けるとともに 電 気 通 信 事 業 者 とあらかじめ 契 約 等 を 締 結 する 必 要 があること なお 既 に 電 気 通 信 事 業 者 において 送 信 局 を 整 備 している 地 域 においては 当 該 設 備 の 整 備

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参 考 改 正 災 害 対 策 基 本 法 1 ( 災 害 時 における 車 両 の 移 動 等 ) 第 七 十 六 条 の 六 道 路 管 理 者 は その 管 理 する 道 路 の 存 する 都 道 府 県 又 はこれに 隣 接 し 若 しくは 近 接 する 都 道 府 県 の 地 域 に 係

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定款  変更

損 益 計 算 書 ( 自 平 成 23 年 4 月 1 日 至 平 成 24 年 3 月 31 日 ) 金 額 ( 単 位 : 百 万 円 ) 売 上 高 99,163 売 上 原 価 90,815 売 上 総 利 益 8,347 販 売 費 及 び 一 般 管 理 費 4,661 営 業 利 益

Transcription:

自 然 災 害 リスク 研 究 会 中 間 報 告 書 2013 年 7 月

目 次 1. わが 国 が 抱 える 自 然 災 害 リスク 4 1) わが 国 の 自 然 災 害 リスクの 経 験 と 想 定 4 2) 海 外 の 自 然 災 害 の 影 響 10 2. 経 済 的 手 当 の 現 況 と 課 題 12 1) 自 然 災 害 による 損 害 の 種 類 12 2) 保 険 による 手 当 12 3) 保 険 以 外 の 手 当 (リスク 保 有 リスク 移 転 ) 16 3. 経 済 的 被 害 軽 減 のための 取 り 組 み 案 19 1) 2.で 挙 げた 課 題 への 対 応 ( 既 存 の 経 済 的 枠 組 みの 拡 充 ) 19 2) 新 たな 経 済 的 枠 組 みとして 考 えられること 21 巻 末 資 料 30

はじめに 2011 年 3 月 11 日 に 発 生 した 東 日 本 大 震 災 は 岩 手 宮 城 福 島 の 東 北 三 県 を 中 心 に 広 く 東 日 本 の 太 平 洋 沿 岸 地 域 に 甚 大 な 被 害 をもたらしました さらに 近 い 将 来 首 都 直 下 地 震 や 南 海 ト ラフの 地 震 が 高 い 確 率 で 発 生 すると 評 価 されており 気 象 災 害 についても 地 球 温 暖 化 により 災 害 が 大 型 化 していくことが 予 想 されています これらの 自 然 災 害 の 脅 威 に 対 して まずは 防 災 の 向 上 を 図 り 被 害 を 軽 減 していく 必 要 がありま す また 災 害 により 経 済 が 破 綻 することの 無 いように 経 済 的 な 備 えを 整 備 しておくことが 重 要 です 特 に グローバル 経 済 が 進 展 した 今 日 では 復 旧 に 時 間 を 要 する 場 合 には 産 業 の 海 外 移 転 を 助 長 してしまうため 被 災 した 場 合 にも 早 期 に 復 旧 が 図 れるように 備 えを 確 立 しておく 必 要 が あります また 家 計 においても 住 宅 復 旧 に 関 するローン 問 題 など 生 活 を 立 て 直 す 上 で 重 要 と なる 経 済 的 な 枠 組 みが 必 要 と 考 えられています 今 般 プライスウォーターハウスクーパース 総 合 研 究 所 では 東 日 本 大 震 災 で 大 きな 被 害 を 受 けた 仙 台 市 の 参 加 も 得 て 自 然 災 害 リスクに 備 える 経 済 的 な 枠 組 みに 焦 点 を 当 てた 研 究 会 を 開 催 することといたしました 本 研 究 会 は 2012 年 10 月 29 日 を 第 一 回 として 基 本 的 に 月 次 の 頻 度 で 会 合 を 開 催 していま す 研 究 会 メンバーならびに 開 催 実 績 は 以 下 のとおりとなっています < 研 究 会 メンバー 敬 称 略 > 座 長 鴨 池 治 東 北 福 祉 大 学 総 合 マネジメント 学 部 教 授 メンバー 天 野 元 仙 台 市 経 済 局 産 業 政 策 部 参 事 兼 経 済 企 画 課 長 ( 五 十 音 順 ) 石 井 隆 General Reinsurance AG P&C 再 保 険 オフィス ゼネラルマネージャー 大 垣 尚 司 立 命 館 大 学 大 学 院 法 学 研 究 科 教 授 小 沢 史 朗 三 井 住 友 海 上 火 災 保 険 株 式 会 社 再 保 険 部 プロパティリスク 出 再 チーム 課 長 並 河 芳 明 ソニー 株 式 会 社 リスクマネジメント 部 担 当 部 長 錦 野 裕 宗 中 央 総 合 法 律 事 務 所 弁 護 士 西 山 慎 一 東 北 大 学 大 学 院 経 済 学 研 究 科 准 教 授 1

橋 本 哲 実 株 式 会 社 日 本 政 策 投 資 銀 行 常 務 執 行 役 員 松 尾 繁 東 京 海 上 日 動 火 災 保 険 株 式 会 社 企 業 商 品 業 務 部 財 産 保 険 グループ 課 長 水 口 啓 子 株 式 会 社 日 本 格 付 研 究 所 チーフアナリスト 兼 格 付 企 画 部 長 山 本 匡 株 式 会 社 損 害 保 険 ジャパン 調 査 部 課 長 主 催 者 木 村 浩 一 郎 プライスウォーターハウスクーパース 総 合 研 究 所 代 表 取 締 役 オブザーバー 小 野 尚 金 融 庁 監 督 局 参 事 官 杉 本 武 夫 損 害 保 険 料 率 算 出 機 構 リスク 業 務 室 長 前 利 正 アジア 開 発 銀 行 駐 日 代 表 事 務 所 次 席 事 務 局 佐 々 木 貴 司 あらた 監 査 法 人 金 融 ビジネス 担 当 執 行 役 出 澤 尚 あらた 監 査 法 人 第 2 金 融 部 長 宇 塚 公 一 あらた 監 査 法 人 第 2 金 融 部 AIMS/Advisory グループリーダー 2

< 研 究 会 開 催 実 績 > 第 1 回 10 月 29 日 ( 月 ) 趣 旨 説 明 並 びに 進 め 方 の 確 認 自 然 災 害 に 関 する 被 害 の 状 況 など 第 2 回 12 月 12 日 ( 水 ) 自 然 災 害 リスクへの 対 応 など 第 3 回 1 月 23 日 ( 水 ) 仙 台 市 での 開 催 経 済 的 な 枠 組 みとして 考 えられる 方 策 など 第 4 回 2 月 21 日 ( 木 ) 中 間 報 告 書 骨 子 の 論 点 ディスカッション 第 5 回 5 月 10 日 ( 金 ) 中 間 報 告 書 の 取 り 纏 めにかかる 認 識 共 有 以 下 研 究 会 での 検 討 内 容 について 記 載 しています なお 本 中 間 報 告 書 において 経 済 的 被 害 を 軽 減 させるための 取 組 み 案 を 記 載 していますが これは 自 由 な 意 見 交 換 の 中 から 出 された 提 案 についての 第 一 次 報 告 と 位 置 づけられるもので あり すべての 関 係 者 による 意 見 の 一 致 をみたものではなく また 関 係 者 を 拘 束 するものでも ありません しかしながら そうした 点 を 含 め 今 後 関 係 者 間 の 議 論 を 更 に 深 めていくととも に 幅 広 い 参 加 により 記 載 されているアイデアを 参 考 に 具 体 化 に 向 けた 検 討 が 前 進 していくこと を 期 待 しています 3

1. わが 国 が 抱 える 自 然 災 害 リスク 1) わが 国 の 自 然 災 害 リスクの 経 験 と 想 定 1 地 震 リスク 東 日 本 大 震 災 は 1 万 8 千 名 を 超 える 死 者 行 方 不 明 者 建 物 の 全 壊 焼 失 約 13 万 戸 直 接 経 済 被 害 16.9 兆 円 ( 内 閣 府 推 定 )という 未 曾 有 の 災 害 となった 政 府 では 中 央 防 災 会 議 防 災 対 策 推 進 検 討 会 議 の 下 に 南 海 トラフ 巨 大 地 震 対 策 検 討 ワーキンググルー プを 設 置 し 東 日 本 大 震 災 を 踏 まえた 南 海 トラフ 地 震 の 想 定 規 模 と 予 想 経 済 被 害 額 の 見 直 しを 行 い マグニチュード 9.1 の 巨 大 地 震 と 津 波 により 最 大 220.3 兆 円 の 経 済 被 害 ( 間 接 被 害 を 含 む)が 発 生 するとの 被 害 想 定 を 2013 年 3 月 に 発 表 したところである 政 府 では 各 地 域 で 発 生 が 懸 念 される 巨 大 地 震 について 被 害 想 定 を 行 っており その 結 果 から 死 者 経 済 被 害 などを 抜 き 出 してとりまとめたものを 表 1-1 に 示 す これによ れば 東 日 本 大 震 災 の 経 済 被 害 を 大 きく 上 回 るものが 少 なくない 表 1-1 地 震 被 害 の 想 定 (2013 年 5 月 時 点 ) 地 震 名 死 者 行 方 不 明 者 ( 人 ) 建 物 全 壊 焼 失 棟 数 直 接 経 済 被 害 ( 兆 円 ) GDP に 対 する 割 合 (%) 首 都 直 下 地 震 11,000 850,000 66.6 14.0 東 海 地 震 9,200 460,000 26 5.5 東 南 海 南 海 地 震 18,000 628,700 43 9.0 南 海 トラフ 地 震 *¹ 323,000 2,386,000 169.5 35.6 近 畿 直 下 地 震 42,000 970,000 61 12.8 中 部 直 下 地 震 11,000 300,000 24 5.0 < 参 考 > 東 日 本 大 震 災 *² 18,000 超 130,000 16.9 3.6 阪 神 淡 路 大 震 災 *³ 6,437 105,000 9.6 1.9 出 典 : 内 閣 府 防 災 担 当 ホームページ 掲 載 の 各 想 定 地 震 の 専 門 調 査 会 報 告 資 料 を 参 考 に 各 地 震 で 複 数 の 被 害 想 定 がなされている 場 合 には 各 項 目 で 最 大 となる 数 値 を 当 研 究 会 事 務 局 でとりま とめたもの (2013 年 5 月 時 点 確 認 ) 注 : GDP( 名 目 ):2012 年 475.9 兆 円 ( 内 閣 府 ) 東 日 本 大 震 災 阪 神 淡 路 大 震 災 は 各 年 度 GDP *¹ M9.1 に 基 く 想 定 死 者 行 方 不 明 者 :2012 年 8 月 29 日 公 表 経 済 被 害 総 額 ( 間 接 損 害 を 含 む) は 最 大 220.3 兆 円 :2013 年 3 月 18 日 公 表 *² 死 者 行 方 不 明 者 : 警 察 庁 統 計 2013 年 3 月 時 点 直 接 被 害 : 内 閣 府 推 計 南 海 トラフ 地 震 以 外 の 地 震 は 東 日 本 大 震 災 発 生 以 前 に 被 害 想 定 が 行 われたものである 今 後 の 各 地 震 の 想 定 規 模 等 の 見 直 しがあった 場 合 には 上 記 想 定 被 害 が 修 正 される 可 能 性 がある これらは いわゆる 海 溝 型 と 呼 ばれ 過 去 繰 り 返 し 巨 大 地 震 が 発 生 した 地 震 と いわゆ る 直 下 型 と 呼 ばれ 現 在 の 都 市 近 郊 で 発 生 した 場 合 に 大 きな 被 害 が 懸 念 される 地 震 であ り 政 府 において 発 生 に 備 えるべき 地 震 と 認 識 されているものである これらの 被 害 想 定 の 結 果 は 政 府 の 防 災 減 災 対 策 の 基 礎 資 料 として 利 用 されている これに 関 連 し 関 東 及 び 以 西 の 太 平 洋 沿 岸 地 域 で 江 戸 時 代 以 降 の 約 4 百 年 間 に 発 生 した 地 震 の 発 生 時 期 と 規 模 をまとめたものを 表 1-2 に 示 す 4

表 1-2 太 平 洋 沿 岸 地 域 における 江 戸 時 代 以 降 の 大 地 震 背 景 色 は 海 溝 型 地 震 無 色 は 直 下 型 地 震 年 代 南 海 東 南 海 東 海 関 東 1600 1605 年 慶 長 M7.9 1633 年 寛 永 M7.0 1700 1707 年 宝 永 M8.6 1703 年 元 禄 M7.9 8.2 1782 年 天 明 M7.0 1800 1854 年 安 政 南 海 M8.4 1854 年 安 政 東 海 M8.4 1855 年 安 政 江 戸 M7.0 7.1 1900 1946 年 昭 和 南 海 M8.0 1944 年 昭 和 東 南 海 M7.9 1923 年 関 東 大 震 災 M7.9 注 :マグニチュード(M)は 最 新 版 日 本 被 害 地 震 総 覧 [416-2001] 宇 佐 美 龍 夫 著 による 太 平 洋 沿 岸 地 域 で 繰 り 返 し 発 生 している 地 震 は 現 在 経 済 活 動 が 活 発 に 行 われている 地 域 と 重 なっており 政 府 としても 被 害 想 定 を 行 い 防 災 減 災 対 策 を 推 進 していると ころである また 範 囲 を 日 本 全 体 に 広 げれば 1891 年 の 濃 尾 地 震 1995 年 の 阪 神 淡 路 大 震 災 2011 年 の 東 日 本 大 震 災 など 大 きな 被 害 が 発 生 した 地 震 は 各 地 で 発 生 している 地 震 の 発 生 メカニズムに 関 する 研 究 は 進 歩 してきているものの 東 日 本 大 震 災 を 踏 まえた 想 定 規 模 の 見 直 しが 行 われるなど まだまだ 未 知 の 領 域 がある 日 本 においては 想 定 外 の 地 震 が 起 こることを 常 に 認 識 し 地 震 に 対 する 耐 震 化 などの 防 災 減 災 対 策 と 共 に 経 済 的 な 備 えをしておくことが 必 要 である 被 災 地 企 業 の 地 震 保 険 等 加 入 状 況 と 保 険 金 支 払 い 状 況 東 北 大 学 経 済 学 研 究 科 震 災 復 興 研 究 センターでは 2012 年 7 月 に 被 災 地 企 業 3 万 社 を 対 象 として 震 災 復 興 企 業 実 態 調 査 と 題 した 大 規 模 なアンケート 調 査 を 行 った 本 アンケート 調 査 では 被 災 地 企 業 の 被 災 状 況 や 震 災 前 後 のヒト モノ カネに 係 る 企 業 活 動 について 包 括 的 に 調 査 している 調 査 項 目 には 個 人 向 けの 地 震 保 険 ( 家 計 地 震 保 険 )もしくは 事 業 者 向 けの 地 震 危 険 担 保 特 約 ( 以 下 地 震 保 険 等 と 呼 称 )への 加 入 状 況 被 害 の 認 定 区 分 保 険 金 の 支 払 い 状 況 なども 含 まれている 本 節 では 自 然 災 害 リスク 研 究 会 における 基 礎 資 料 として これら 地 震 保 険 等 に 関 連 する 項 目 の 調 査 結 果 の 一 部 を 報 告 する 1 1 報 告 内 容 の 詳 細 については 震 災 復 興 企 業 実 態 調 査 をご 参 照 頂 きたい 5

i. 地 震 保 険 等 への 加 入 状 況 表 1-3 では 震 災 前 の 時 点 における 地 震 保 険 等 への 加 入 状 況 を 企 業 規 模 別 に 示 している 表 からもわかる 通 り 零 細 企 業 では 地 震 保 険 等 への 加 入 率 が 34.3%と 全 体 平 均 ( 加 入 率 30.8%)を 上 回 った 一 方 で 中 小 企 業 と 中 堅 企 業 で 加 入 率 が 22% 前 後 大 企 業 で 加 入 率 が 28.3%と 全 体 平 均 を 下 回 っている 損 害 保 険 料 率 機 構 が 公 表 している 家 計 地 震 の 世 帯 別 加 入 率 は 被 害 の 大 きかった 東 北 三 県 で 約 22%( 世 帯 別 加 重 平 均 )という 数 字 もあり 特 に 零 細 企 業 の 加 入 率 について アンケート 結 果 に 影 響 しているものと 考 えられる 2 表 1-3 震 災 前 の 時 点 における 地 震 保 険 等 への 加 入 状 況 企 業 規 模 加 入 していた 加 入 していなかった 零 細 企 業 1,610 (34.3%) 3,082 (65.7%) 中 小 企 業 409 (22.9%) 1,378 (77.1%) 中 堅 企 業 48 (21.7%) 173 (78.3%) 大 企 業 15 (28.3%) 38 (71.7%) 全 体 2,082 (30.8%) 4,671 (69.2%) 注 ) 企 業 規 模 は 従 業 員 数 に 応 じて 分 類 している 零 細 企 業 は 従 業 員 数 1~20 人 中 小 企 業 は 21~100 人 中 堅 企 業 は 101~300 人 大 企 業 は 301 人 以 上 として 分 類 した 括 弧 内 の 数 字 は 企 業 規 模 別 に 見 た 加 入 未 加 入 の 構 成 比 (%)を 表 す ii. 保 険 金 の 支 払 い 状 況 保 険 金 カバー 率 保 険 金 の 支 払 い 状 況 は 企 業 規 模 の 違 いや 被 害 状 況 の 違 いによって 大 きく 変 わっ てくるため 企 業 間 の 一 様 な 比 較 は 難 しい そこで 規 模 や 被 害 状 況 が 異 なる 企 業 間 でも 比 較 が 可 能 となるよう 地 震 保 険 等 からの 保 険 金 支 払 いにより 有 形 固 定 資 産 ( 土 地 除 く)に 対 する 被 害 額 がどれぐらいの 率 でカバー( 補 償 )されたかという 基 準 で 保 険 金 カバー 率 ( 保 険 金 支 払 額 / 被 害 額 )を 算 出 することとした 表 1-4 においては 3 つのケースにおける 保 険 金 カバー 率 の 平 均 値 を 試 算 してい る 震 災 前 の 時 点 において 地 震 保 険 等 への 加 入 率 が 低 調 であったため 企 業 の 地 震 保 険 等 の 仕 組 みが 被 害 を 十 分 にカバーするには 至 らなかったと 言 えよう 2 岩 手 県 ( 世 帯 数 :500,973 件 家 計 地 震 保 険 加 入 率 :13.2%) 宮 城 県 ( 世 帯 数 :899,364 件 家 計 地 震 保 険 加 入 率 :33.6% 福 島 県 ( 世 帯 数 :745,762 件 家 計 地 震 保 険 加 入 率 :14.6%)の 統 計 値 に 基 づく 家 計 地 震 保 険 の 都 道 府 県 別 世 帯 加 入 率 は 損 害 保 険 料 率 算 出 機 構 (2011 年 3 月 末 ) 世 帯 数 は 総 務 省 統 計 (2009 年 3 月 末 )を 使 用 家 計 地 震 保 険 の 加 入 率 は 2010 年 3 月 末 から 大 き く 異 ならないため 震 災 のあった 2011 年 3 月 11 日 に 近 い 率 を 使 用 6

表 1-4 地 震 保 険 等 による 被 害 額 のカバー 率 ( 保 険 金 カバー 率 ) ケース 分 け 観 測 数 平 均 値 実 際 に 保 険 金 を 受 け 取 った 企 業 768 0.529 地 震 保 険 等 に 加 入 していた 企 業 875 0.464 有 形 固 定 資 産 に 被 害 があった 全 ての 企 業 2,932 0.127 注 ) 保 険 金 カバー 率 とは 地 震 保 険 等 からの 保 険 金 支 払 い 額 を 有 形 固 定 資 産 ( 土 地 除 く)に 対 する 被 害 額 で 割 った 比 率 である 2 風 水 災 リスク 日 本 における 昭 和 以 降 の 主 な 台 風 や 豪 雨 による 災 害 を 表 1-5 に 示 す これを 見 ると 犠 牲 者 が 千 人 を 超 える 大 きな 被 害 がたびたび 発 生 していたことがわかる 表 1-5 昭 和 以 降 の 台 風 や 豪 雨 による 主 な 災 害 No 西 暦 災 害 名 主 な 被 災 地 1 1934 室 戸 台 風 西 日 本 北 陸 2 1945 枕 崎 台 風 西 日 本 3 1947 カスリーン 台 風 東 海 以 北 4 1948 アイオン 台 風 四 国 ~ 東 北 5 1950 ジェーン 台 風 四 国 以 北 6 1951 ルース 台 風 全 国 参 考 : 襲 来 時 の 各 地 の 最 低 海 面 気 圧 例 ( 一 部 上 陸 時 の 中 心 気 圧 )(hpa) 911.6 室 戸 岬 ( 高 知 県 ) 統 計 開 始 前 916.1 枕 崎 ( 鹿 児 島 県 枕 崎 市 ) 統 計 開 始 前 986.3 石 廊 崎 ( 静 岡 県 南 伊 豆 町 ) 948.0 石 廊 崎 ( 静 岡 県 南 伊 豆 町 ) 964.0 神 戸 ( 神 戸 市 中 央 区 ) 964.4 室 戸 岬 ( 高 知 県 室 戸 市 ) 944.5 枕 崎 ( 鹿 児 島 県 枕 崎 市 ) 935 上 陸 時 ( 鹿 児 島 県 串 木 野 市 付 近 ) 死 者 行 方 不 明 者 数 3,036 人 3,756 人 1,930 人 838 人 539 人 943 人 7 1953 大 雨 ( 前 線 ) 九 州 四 国 中 国 - 1,013 人 8 1953 南 紀 豪 雨 東 北 以 西 - 1,124 人 9 1954 風 害 ( 低 気 圧 ) 北 日 本 近 畿 - 670 人 10 1954 洞 爺 丸 台 風 全 国 958.9 寿 都 ( 北 海 道 寿 都 町 ) 961.2 稚 内 ( 北 海 道 稚 内 市 ) 1,761 人 11 1957 諫 早 豪 雨 九 州 - 722 人 12 1958 狩 野 川 台 風 近 畿 以 東 955.2 石 廊 崎 ( 静 岡 県 南 伊 豆 町 ) 1,269 人 13 1959 伊 勢 湾 台 風 全 国 ( 九 州 を 929.2 潮 岬 ( 和 歌 山 県 串 本 町 ) 除 く) 929 上 陸 時 ( 和 歌 山 県 潮 岬 の 西 ) 5,098 人 14 1961 918 名 瀬 ( 鹿 児 島 県 名 瀬 市 ) 第 二 室 戸 台 風 西 日 本 北 陸 925 上 陸 時 ( 高 知 県 室 戸 岬 の 西 ) 202 人 15 1965 台 風 第 23 24 25 号 16 1966 台 風 第 24 26 号 全 国 中 部 関 東 東 北 946.9 室 戸 岬 ( 高 知 県 室 戸 市 ) 940 (23 号 上 陸 時 高 知 県 安 芸 市 付 近 ) 965.6 御 前 崎 ( 静 岡 県 御 前 崎 町 ) 181 人 317 人 7

No 西 暦 災 害 名 主 な 被 災 地 17 1967 7 8 月 豪 雨 18 1972 19 1976 台 風 第 6 7 9 号 及 び 7 月 豪 雨 台 風 第 17 号 及 び 9 月 豪 雨 中 部 以 西 東 北 南 部 参 考 : 襲 来 時 の 各 地 の 最 低 海 面 気 圧 例 ( 一 部 上 陸 時 の 中 心 気 圧 )(hpa) - 死 者 行 方 不 明 者 数 256 人 全 国 - 447 人 全 国 20 1979 台 風 第 20 号 全 国 937.3 沖 永 良 部 ( 鹿 児 島 県 和 泊 町 ) 948 名 瀬 ( 鹿 児 島 県 名 瀬 市 ) 959.9 沖 永 良 部 ( 鹿 児 島 県 和 泊 町 ) 960.4 根 室 ( 北 海 道 根 室 市 ) 171 人 115 人 21 1982 7 8 月 豪 雨 及 び 台 風 第 10 号 全 国 - 439 人 22 1983 梅 雨 前 線 豪 雨 山 陰 以 東 - 117 人 941.1 佐 世 保 23 1991 台 風 19 号 ( 長 崎 県 佐 世 保 市 ) 全 国 (ミレーユ) 940 上 陸 時 86 人 ( 長 崎 県 佐 世 保 市 の 南 ) 24 1995 平 成 5 年 8 月 豪 雨 台 風 18 号 (バート) 台 風 18 号 (ソングダ) 全 国 - 79 人 25 1999 中 部 以 西 943.9 牛 深 ( 熊 本 県 牛 深 市 ) 31 人 26 2004 924.4 名 護 ( 沖 縄 県 名 護 市 ) 全 国 944.3 佐 賀 ( 佐 賀 県 佐 賀 市 ) 46 人 949.4 沖 永 良 部 ( 鹿 児 島 県 和 泊 27 2004 台 風 第 23 号 全 国 町 ) 98 人 950.8 名 護 ( 沖 縄 県 名 護 市 ) 28 2011 台 風 第 12 号 近 畿 四 国 980 ほぼ 上 陸 時 ( 高 知 県 東 部 ) 94 人 出 典 防 災 白 書 平 成 24 年 版 昭 和 20 年 以 降 の 主 な 自 然 災 害 および 気 象 庁 ホームページ 災 害 をもたらした 気 象 事 例 等 から 主 な 風 水 災 を 当 研 究 会 事 務 局 でとりまとめたもの No1,14,23,25,26 以 外 は 防 災 白 書 掲 載 の 災 害 参 考 : 襲 来 時 の 各 地 の 最 低 海 面 気 圧 例 上 陸 時 の 中 心 気 圧 (hpa) は 気 象 庁 ホームペ ージ 中 心 気 圧 が 低 い 台 風 および 災 害 をもたらした 気 象 事 例 から 事 務 局 にて 選 択 して 掲 載 No23 の 死 者 行 方 不 明 者 は 台 風 17,18,19 号 の 合 計 この 中 の 1959 年 伊 勢 湾 台 風 1934 年 室 戸 台 風 1945 年 枕 崎 台 風 は 昭 和 の 三 大 台 風 と 呼 ばれ 最 大 の 犠 牲 者 数 は 伊 勢 湾 台 風 で 記 録 されている しかしながら この 伊 勢 湾 台 風 以 外 の 室 戸 台 風 第 二 室 戸 台 風 枕 崎 台 風 の 上 陸 時 の 勢 力 は 伊 勢 湾 台 風 を 超 える 強 力 な 台 風 であった 台 風 は 地 震 や 津 波 のように 地 中 に 痕 跡 を 残 さないため 近 代 的 な 気 象 観 測 体 制 が 整 備 される 以 前 に 襲 来 した 台 風 についての 正 確 な 規 模 や 進 路 の 科 学 的 な 検 証 は 難 しく 昭 和 初 期 以 前 の 災 害 については 歴 史 資 料 などから 断 片 的 に 規 模 や 被 害 などを 推 測 するに とどまっている これらの 風 水 災 に 対 しては 損 害 保 険 会 社 の 担 保 力 の 向 上 に 合 わせ 保 険 の 普 及 と 制 度 の 改 善 が 行 われてきており 被 害 が 発 生 した 場 合 には 数 千 億 円 規 模 の 保 険 支 払 いが 行 われている 表 1-6 は 気 象 災 害 に 関 する 保 険 金 等 支 払 額 のトップ 3 を 示 したものであ 8

る 表 1-6 台 風 被 害 保 険 金 等 支 払 額 トップ 3 ( 金 額 単 位 : 億 円 ) 災 害 名 ( 発 生 年 / 国 際 名 ) 損 害 保 険 会 社 支 払 保 険 金 JA 共 済 連 支 払 共 済 金 合 計 1991 年 台 風 19 号 (ミレーユ) 表 5 No23 2004 年 台 風 18 号 (ソングダ) 表 5 No26 1999 年 台 風 18 号 (バート) 表 5 No25 5,679 1,488 7,167 3,874 1,081 4,955 3,147 637 3,784 資 料 : 損 害 保 険 協 会 JA 共 済 連 台 風 は 通 過 する 地 域 やスピード 降 雨 高 波 高 潮 などの 気 象 条 件 によって 被 害 が 大 きくかわる 表 1-6 の 中 では 台 風 19 号 (ミレーユ)で 保 険 金 等 の 最 大 の 支 払 い がなされているが 1959 年 の 伊 勢 湾 台 風 クラスが 再 来 した 場 合 現 在 の 被 害 地 域 への 財 物 等 の 集 積 を 勘 案 すると これを 大 幅 に 上 回 る 支 払 いが 発 生 すると 考 えられている これを 踏 まえ 損 害 保 険 会 社 の 支 払 余 力 を 示 すソルベンシー マージンの 計 算 に 用 い る 異 常 災 害 としては 関 東 大 震 災 ならびに 伊 勢 湾 台 風 クラスの 再 来 による 最 大 予 想 損 害 額 を 使 用 することが 多 い また 河 川 氾 濫 や 高 潮 などによる 都 市 近 郊 への 広 範 囲 な 大 規 模 水 害 の 発 生 も 懸 念 され ている 中 央 防 災 会 議 の 下 の 大 規 模 水 害 対 策 に 関 する 専 門 調 査 会 では 首 都 圏 の 人 口 密 集 地 において 広 域 な 被 害 が 発 生 するケースとして 利 根 川 及 び 荒 川 について 氾 濫 想 定 を 行 っており これを 表 1-7 に 示 す 表 1-7 洪 水 氾 濫 時 の 被 害 想 定 項 目 利 根 川 の 氾 濫 荒 川 の 氾 濫 想 定 決 壊 箇 所 埼 玉 県 加 須 市 東 京 都 北 区 浸 水 面 積 約 530 km² 約 110 km² 浸 水 区 域 内 人 口 約 230 万 人 約 120 万 人 浸 水 世 帯 数 床 上 浸 水 約 68 万 世 帯 約 45 万 世 帯 床 下 浸 水 約 18 万 世 帯 約 6 万 世 帯 資 料 : 中 央 防 災 会 議 大 規 模 水 害 対 策 に 関 する 専 門 調 査 会 この 被 害 想 定 に 加 え 風 水 災 については 化 石 燃 料 等 の 燃 焼 により 排 出 される 温 室 効 果 ガスが 現 在 以 上 の 速 度 で 増 加 し 続 けた 場 合 の 影 響 が 心 配 されている 環 境 省 が 2013 年 4 月 12 日 に 公 表 した 気 候 変 動 の 観 測 予 測 影 響 評 価 に 関 する 統 合 レポート 日 本 の 気 候 変 動 とその 影 響 (2012 年 度 版 ) では 地 域 気 候 モデルを 用 いた 予 測 結 果 として 日 本 の 平 均 温 度 は 今 世 紀 末 には 2.1 ~4 上 昇 し このような 気 温 9

上 昇 が 起 こった 場 合 には 様 々な 影 響 が 発 生 すると 指 摘 している これによると 大 雨 に 伴 う 災 害 のリスクが 増 加 し 全 国 の 1 級 河 川 の 洪 水 発 生 確 率 は 1.8 倍 ~4.4 倍 に 高 まる との 予 測 となっている また 三 大 湾 ( 東 京 湾 伊 勢 湾 大 阪 湾 )において 気 温 上 昇 に 伴 って 仮 に 海 面 が 60cm 上 昇 すると ゼロメートル 地 帯 の 面 積 および 人 口 が 1.5 倍 に 拡 大 し 台 風 の 強 度 や 進 路 の 変 化 に 伴 い これらの 太 平 洋 沿 岸 地 域 における 高 波 によるリスクが 高 まるとの 指 摘 がされている ( 表 1-8) これらの 地 域 には 地 下 構 造 物 が 多 く 所 在 すると 共 に 活 発 な 経 済 活 動 がなされてお り 予 測 どおりの 影 響 が 発 生 した 場 合 財 物 被 害 のみならず 経 済 被 害 が 大 規 模 になるこ とが 懸 念 される 表 1-8 三 大 湾 ( 東 京 湾 伊 勢 湾 大 阪 湾 )の 高 波 高 潮 リスクの 増 加 出 典 環 境 省 気 候 変 動 の 観 測 予 測 影 響 評 価 に 関 する 統 合 レポート 日 本 の 気 候 変 動 とその 影 響 (2012 年 度 版 ) http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=21903&hou_id=16548 2) 海 外 の 自 然 災 害 の 影 響 グローバル 経 済 の 進 展 に 伴 い 世 界 各 国 がそれぞれの 特 徴 と 強 みを 生 かしながら 産 業 の 役 割 分 担 を 進 めており 日 本 企 業 が 生 産 拠 点 を 海 外 に 持 つことはもはや 止 めようにない 潮 流 と なっている また 海 外 進 出 は 大 企 業 のみならず 大 企 業 の 下 請 けを 行 う 中 小 企 業 にとっても 事 業 の 存 続 のために 否 応 なしに 採 らざるを 得 ない 企 業 戦 略 となっている 国 際 協 力 銀 行 が 2012 年 に 行 った 進 出 先 に 関 する 調 査 によれば 中 期 的 ( 今 後 3 年 程 度 ) 有 望 事 業 展 開 先 国 地 域 の 上 位 20 カ 国 は 表 1-9 のとおりである 10

表 1-9 中 期 的 ( 今 後 3 年 程 度 ) 有 望 事 業 展 開 先 国 地 域 の 上 位 20 カ 国 順 位 国 地 域 名 回 答 社 数 順 位 地 域 名 回 答 社 数 1 位 中 国 319 11 位 マレーシア 36 2 位 インド 290 12 位 韓 国 23 3 位 インドネシア 215 12 位 トルコ 23 4 位 タイ 165 14 位 台 湾 22 5 位 ベトナム 163 15 位 フィリピン 21 6 位 ブラジル 132 16 位 シンガポール 16 7 位 メキシコ 72 17 位 カンボジア 13 8 位 ロシア 64 18 位 オーストラリア 11 9 位 米 国 53 19 位 バングラデシュ 10 10 位 ミャンマー 51 20 位 ドイツ 6 出 典 : 株 式 会 社 国 際 協 力 銀 行 2012 年 度 海 外 直 接 投 資 アンケート 結 果 ( 第 24 回 ) 中 期 的 ( 今 後 3 年 程 度 )に 有 望 と 考 える 事 業 展 開 先 国 地 域 名 を 一 企 業 5 つまで 記 入 この 中 で 目 立 つのが 成 長 が 著 しく 日 本 から 地 理 的 にも 遠 くないアジア 諸 国 が 上 位 にラ ンクされていることである それらの 国 々の 多 くに 共 通 するのは 環 太 平 洋 造 山 帯 の 上 にあ り 地 震 国 であること 降 雨 量 が 多 く 大 規 模 な 洪 水 リスクを 潜 在 的 に 抱 える 国 や 地 域 であるこ とである これらの 国 々に 進 出 する 場 合 には 治 安 社 会 情 勢 法 制 および 規 制 制 度 資 本 移 動 に 関 する 制 度 税 制 税 率 立 地 条 件 現 地 市 場 の 成 長 性 安 価 な 労 働 力 インフラ 優 秀 な 人 材 の 確 保 日 本 に 対 する 国 民 感 情 などの 様 々な 経 営 上 の 進 出 戦 略 や 対 策 の 検 討 に 加 え 地 域 の 持 つ 自 然 災 害 のリスクに 備 える 防 災 減 災 の 対 策 万 一 の 被 災 時 に 円 滑 な 対 応 を 行 うため の 事 業 継 続 対 策 が 大 事 である 2011 年 のタイ 洪 水 では 日 本 企 業 約 450 社 が 被 災 し 浸 水 による 物 理 的 被 害 と 長 期 間 に 亘 る 操 業 停 止 により 巨 額 の 損 害 を 被 ったが これらの 日 本 企 業 においては 復 旧 作 業 を 行 い 現 在 では 多 くの 企 業 が 操 業 再 開 を 果 たしている この 洪 水 における 支 払 い 保 険 金 総 額 等 のとりまとめはされていないが 多 くの 日 系 進 出 企 業 においては 保 険 が 付 保 されていたと 考 えられ 支 払 い 保 険 金 等 が 事 業 再 開 の 支 援 に 繋 が った 事 例 も 少 なくないと 考 えられる 経 済 のグローバル 化 と 効 率 的 経 営 が 重 要 性 を 増 す 中 で 操 業 再 開 に 長 期 間 を 要 し 取 引 先 への 部 品 や 製 品 の 供 給 が 暫 く 滞 る 事 態 が 発 生 すれば 企 業 間 競 争 に 生 き 残 れなくなることが 懸 念 される 日 本 企 業 は 今 後 も ASEAN 諸 国 や 中 国 を 中 心 に 海 外 進 出 していくと 考 えられるが このよ うな 地 域 へ 進 出 する 場 合 には 自 然 災 害 のリスクを 認 識 し 事 業 継 続 の 対 策 を 推 進 すると 共 に 経 済 的 な 備 えを 確 保 しておくことが 重 要 である 特 に 事 前 に 資 金 確 保 することが 難 しい 中 小 企 業 等 においては 保 険 等 の 具 体 的 な 手 段 に より 非 常 時 に 必 要 な 資 金 を 用 意 できるようにしておくことが 望 まれる 11

2. 経 済 的 手 当 の 現 況 と 課 題 1) 自 然 災 害 による 損 害 の 種 類 自 然 災 害 による 被 害 は 建 物 や 家 財 などの 財 産 が 毀 損 滅 失 するといった 直 接 損 害 と こ の 直 接 損 害 またはその 他 の 外 的 要 因 によって 引 き 起 こされる 派 生 損 害 の2つに 大 きく 分 類 される 直 接 損 害 には 物 的 損 害 とそこから 直 接 的 に 生 じる 利 益 損 失 がある( 表 2-1 ) 死 亡 疾 病 精 神 的 ストレスなどの 人 的 損 害 などもあるが 本 報 告 書 では 物 的 損 害 に 起 因 す る 損 害 に 焦 点 を 当 てて 議 論 している こうした 直 接 損 害 および 派 生 損 害 の 一 部 については 実 損 害 をてん 補 する 現 在 の 損 害 保 険 の 枠 組 みが 機 能 しており 損 害 の 全 部 または 一 部 を 保 険 金 という 形 で 補 償 している 一 方 派 生 損 害 の 一 部 は 発 生 経 路 が 複 雑 多 様 であり 物 的 損 害 とは 異 なり 保 険 が 機 能 しに くいものもある 代 表 的 な 例 が 債 務 負 担 であり 東 日 本 大 震 災 においても 住 宅 などの 二 重 ローン 問 題 が 顕 在 化 したが こうしたローンに 対 する 補 償 は 保 険 に 期 待 される 本 来 機 能 には 含 まれていない こうした 費 用 に 対 しては 保 険 に 加 えて 新 たな 経 済 的 枠 組 みによる 補 償 を 検 討 する 余 地 がある 表 2-1 直 接 損 害 と 派 生 損 害 の 分 類 災 害 企 業 家 計 直 接 損 害 物 的 損 害 建 物 設 備 商 品 等 建 物 家 財 利 益 損 失 売 上 減 少 - 収 益 減 少 防 止 費 用 等 派 生 損 害 - 損 害 賠 償 など 法 的 負 担 収 入 の 喪 失 失 業 債 務 負 担 返 済 猶 予 返 済 不 能 追 加 借 入 2) 保 険 による 手 当 自 然 災 害 で 巨 額 の 損 害 となりうる 事 象 としては 地 震 や 台 風 があるが 1)で 述 べたとお り これらの 自 然 災 害 に 対 する 主 要 な 経 済 的 手 当 として 保 険 が 挙 げられる 保 険 は 災 害 や 事 故 による 損 害 を 填 補 する 合 理 的 経 済 制 度 であり 自 然 災 害 に 対 しても 個 人 の 生 活 維 持 企 業 活 動 の 復 旧 のために 非 常 に 大 きな 役 割 を 果 たしている 風 災 や 水 災 をもたらす 台 風 は 発 生 頻 度 も 比 較 的 高 く 年 平 均 2 個 以 上 の 台 風 が 上 陸 して いるが 高 い 頻 度 で 観 測 される 規 模 の 台 風 でも 数 千 億 円 単 位 の 損 害 をもたらす 可 能 性 があ る こうした 風 水 災 に 対 する 補 償 として 火 災 保 険 があり 火 災 保 険 は 家 計 企 業 ともに 広 く 普 及 している 実 際 に 過 去 の 巨 大 台 風 をみる 限 りでは その 被 害 総 額 の 過 半 が 損 害 保 険 で カバーされている 12

地 震 は 発 生 頻 度 は 台 風 ほどではないものの いつかは 発 生 することが 確 実 といわれる 事 象 であること 一 方 で 地 震 の 頻 度 を 予 測 することは 困 難 であり 巨 大 地 震 の 再 現 期 間 が 長 い ことから 長 期 的 な 期 間 で 収 支 を 観 察 する 必 要 があること また 損 害 の 規 模 も 発 生 地 域 におけ る 物 件 の 密 集 度 合 気 象 条 件 時 間 帯 によって 異 なることなどから 地 震 は 台 風 よりも 保 険 事 業 の 数 理 的 基 盤 である 大 数 の 法 則 に 馴 染 まないリスクといえる こうした 特 徴 のある 地 震 に 対 する 保 険 については 表 2-2 のとおり 家 計 と 企 業 で 保 険 の 補 償 体 系 が 異 なっている 表 2-2 家 計 企 業 自 然 災 害 の 種 類 と 保 険 台 風 火 災 保 険 ( 保 険 会 社 ) 火 災 保 険 ( 保 険 会 社 ) 地 震 地 震 保 険 ( 政 府 + 保 険 会 社 ) 火 災 保 険 に 原 則 自 動 付 帯 火 災 保 険 の 拡 張 担 保 特 約 ( 保 険 会 社 ) 住 宅 の 損 害 を 補 償 する 家 計 分 野 の 地 震 保 険 ( 以 下 地 震 保 険 という )は 被 災 者 の 生 活 の 安 定 に 寄 与 することを 目 的 として 地 震 保 険 に 関 する 法 律 により 政 府 のバックアップ による 官 民 一 体 の 補 償 スキームが 構 築 されている 地 震 保 険 は その 公 共 性 の 高 さから ノーロス ノープロフィット( 損 得 なし) の 原 則 が 採 用 されており 可 能 な 限 り 低 廉 な 保 険 料 を 国 民 に 提 供 するために 経 費 率 を 極 力 圧 縮 す るとともに 利 潤 率 は 織 り 込 まれていない 契 約 者 から 収 受 した 保 険 料 は 保 険 契 約 の 事 務 コ ストや 保 険 金 支 払 時 の 損 害 査 定 コストなど 必 要 な 経 費 を 除 き 将 来 発 生 する 地 震 による 保 険 金 支 払 に 備 えて 積 み 立 てられている 地 震 保 険 は このような 仕 組 みのため 後 述 する 海 外 の 再 保 険 市 場 のようにマーケットの 需 給 環 境 によって 保 険 料 が 大 きく 変 動 するという 事 態 は 生 じず 安 定 した 保 険 料 を 実 現 している 地 震 保 険 は 住 宅 向 けの 火 災 保 険 に 付 帯 して 契 約 される 主 契 約 である 火 災 保 険 の 保 険 金 額 の 30%~50%の 範 囲 内 で 建 物 5,000 万 円 家 財 1,000 万 円 を 限 度 として 地 震 保 険 の 保 険 金 額 が 設 定 される 保 険 金 の 支 払 に 際 しては 大 規 模 災 害 時 に 多 くの 物 件 が 罹 災 するため 損 害 査 定 を 簡 便 化 する 観 点 から 全 損 半 損 一 部 損 のいずれかに 査 定 分 類 され 保 険 金 が 支 払 われる 1 回 の 地 震 に 対 して 支 払 われる 保 険 金 の 総 支 払 限 度 額 は 巨 大 地 震 による 被 害 額 を 想 定 し て 6.2 兆 円 となっている (2011 年 3 月 の 東 日 本 大 震 災 後 に 5.5 兆 円 から 引 き 上 げられた ) 因 みに 東 日 本 大 震 災 では 震 災 後 約 3 ヶ 月 間 で 約 50 万 件 約 1 兆 円 の 保 険 金 が また 2012 年 5 月 末 現 在 で 78 万 件 を 超 える 物 件 に 対 して 1.2 兆 円 を 超 える 保 険 金 が 地 震 保 険 によっ て 支 払 われた 13

国 民 に 広 く 加 入 してもらうために 地 震 保 険 の 普 及 促 進 に 向 けた 広 報 活 動 も 業 界 を 挙 げて 行 っている 結 果 として 阪 神 大 震 災 が 発 生 した 1995 年 度 は 11.6%だった 世 帯 加 入 率 は 2011 年 度 に 26.0% 火 災 保 険 への 付 帯 率 でみると 53.7%と 一 貫 して 増 加 基 調 にあり 今 後 も 増 加 が 見 込 まれる 地 震 保 険 以 外 に 共 済 制 度 がある 東 日 本 大 震 災 では 共 済 から 約 1.1 兆 円 が 支 払 われた 一 方 企 業 の 物 件 に 対 しては 火 災 保 険 に 付 帯 する 地 震 拡 張 担 保 特 約 ( 以 下 地 震 特 約 という )で 地 震 リスクに 対 する 補 償 を 提 供 している 地 震 特 約 では 企 業 向 けにオーダーメイドで 補 償 の 設 計 がなされる 住 宅 向 け 地 震 保 険 と 異 なり 損 害 査 定 も 全 損 半 損 一 部 損 といった 区 分 に 従 った 支 払 いではなく 実 損 害 をて ん 補 する 補 償 形 態 が 通 常 である 契 約 者 である 企 業 は 自 社 の 財 務 体 力 や 保 険 調 達 コストなどを 考 慮 しながら 自 己 負 担 額 および 支 払 限 度 額 を 設 定 した 上 で 契 約 するが 一 定 規 模 以 上 の 企 業 になると 保 険 料 負 担 が 大 きくなることから 当 該 企 業 が 有 している 資 産 全 額 に 対 して 地 震 特 約 の 支 払 限 度 額 が 設 定 されるケースは 少 なく また 地 震 に 対 する 保 険 カバーを 購 入 しないと 判 断 する 企 業 も 多 い 結 果 として 地 震 保 険 ほどの 普 及 には 至 っていない 東 日 本 大 震 災 では 地 震 特 約 による 保 険 金 支 払 額 は 約 6,000 億 円 と 見 込 まれている 住 宅 向 けの 地 震 保 険 と 地 震 特 約 との 最 大 の 違 いは 地 震 特 約 には 政 府 のバックアップが 存 在 しないという 点 である 大 数 の 法 則 に 馴 染 みにくいこうした 自 然 災 害 リスクに 対 して 保 険 会 社 が 自 己 資 本 だけを 原 資 として 引 き 受 けると 引 受 能 力 は 相 当 限 定 的 にならざるをえないため 民 間 保 険 会 社 は 自 己 資 本 と 併 せて 伝 統 的 再 保 険 やリスク 証 券 化 リスクスワップなどのリスクヘッジ 手 段 を 活 用 して 自 助 努 力 の 範 囲 で 保 険 を 提 供 している 自 然 災 害 に 対 する 再 保 険 は 保 険 会 社 が 自 然 災 害 によって 被 る 損 害 の 不 確 定 性 をヘッジす る 性 格 を 有 している このため 再 保 険 料 は その 損 害 発 生 に 対 する 危 険 保 険 料 に 加 えて 大 数 の 法 則 に 乗 らな いというリスクの 不 確 実 性 に 対 して 資 本 を 提 供 している 再 保 険 会 社 側 の 資 本 コスト 相 当 分 更 には 再 保 険 会 社 の 諸 経 費 やブローカー 手 数 料 なども 上 乗 せされるため 保 険 において 長 期 的 な 累 計 ベースで 保 険 料 合 計 > 保 険 金 合 計 となるのと 同 様 再 保 険 においても 再 保 険 料 合 計 > 再 保 険 金 合 計 となることが 保 険 料 設 定 時 の 前 提 となる 特 に 再 保 険 市 場 の 方 がいわゆるボラティリティ( 変 動 性 )が 高 いため 危 険 保 険 料 に 上 乗 せされる 再 保 険 料 が 高 くなる 傾 向 にあり 各 年 度 において 再 保 険 料 合 計 > 再 保 険 金 合 計 となる 傾 向 は 元 受 市 場 よりも 顕 著 となる また こうした 再 保 険 調 達 コストなども 織 り 込 んだ 保 険 料 設 定 を 行 う 必 要 があることなど から 元 受 の 地 震 特 約 においては ノーロス ノープロフィットの 原 則 がある 住 宅 向 け 地 震 保 険 と 比 して 相 対 的 に 保 険 料 は 高 めに 設 定 される 14

上 記 の 通 り 伝 統 的 再 保 険 の 購 入 には 相 応 のコストがかかるが 再 保 険 カバーの 調 達 は 保 険 会 社 の 引 受 責 任 の 一 部 または 全 部 を 第 三 者 である 再 保 険 会 社 に 移 転 することで より 大 き なキャパシティを 確 保 できる 方 法 であり 特 に 自 然 災 害 リスクなど1 事 故 で 巨 額 の 損 害 が 想 定 されるリスクに 対 するリスクヘッジ 手 段 として 有 効 である 因 みに 東 日 本 大 震 災 では 地 震 特 約 による 約 6,000 億 円 の 支 払 のうち その 2/3 に 当 た る 約 4,000 億 円 が 再 保 険 からの 回 収 とされている 再 保 険 市 場 全 体 でみれば 保 険 引 受 のキャパシティには まだ 余 裕 があり 一 般 的 には 相 応 の 再 保 険 料 を 支 払 うことで 再 保 険 キャパシティを 確 保 することが 可 能 である ただし 元 受 保 険 会 社 も 再 保 険 カバーに 過 度 に 依 存 するわけにはいかない 事 情 がある 再 保 険 会 社 は 世 界 各 地 の 自 然 災 害 リスクを 引 き 受 けることで 引 受 リスクを 分 散 させ 保 険 の 効 用 を 確 保 しようとするが 一 般 的 には 元 受 保 険 市 場 よりも 市 場 の 需 給 バランスに 応 じ て 保 険 料 率 および 提 供 キャパシティが 大 きく 変 動 しやすいマーケットであり 世 界 のどこか で 自 然 災 害 などの 大 災 害 が 発 生 して 巨 額 の 再 保 険 金 の 支 払 いが 行 われると 再 保 険 料 率 は 数 割 から 数 倍 という 幅 で 急 激 に 上 昇 する 可 能 性 が 高 い このため 元 受 保 険 会 社 もこうした 激 しい 再 保 険 料 率 の 変 動 を 受 けて 再 保 険 調 達 コストが 大 幅 に 上 昇 し 経 営 が 圧 迫 されることになる 元 受 保 険 会 社 は 再 保 険 料 の 大 幅 な 上 昇 分 の 全 てを 元 受 保 険 料 率 の 引 上 げに 転 嫁 するわけにもいかず 再 保 険 市 場 のこうしたボラティリ ティの 高 さは 元 受 保 険 会 社 にとって 経 営 の 安 定 上 大 きな 問 題 となりうる また 国 際 的 な 再 保 険 資 本 は 米 国 ドル ユーロ 英 国 ポンド 建 てで 資 産 を 保 有 している 元 受 保 険 会 社 では 為 替 の 変 動 により 円 建 ての 日 本 の 再 保 険 に 対 する 外 国 通 貨 建 てのキャパ シティ 及 び 資 本 コストが 変 動 する 為 替 リスクも 考 慮 しながら 再 保 険 カバーを 調 達 しなけれ ばならない 為 替 変 動 のリスクなどがない 長 期 安 定 的 で 低 廉 な 再 保 険 カバーの 調 達 が 可 能 となれば 元 受 保 険 会 社 の 引 受 能 力 拡 大 に 寄 与 するといえる 長 期 安 定 的 な 再 保 険 カバーの 調 達 が 可 能 となるためには 既 存 の 再 保 険 市 場 の 需 給 バラン スによるマーケット 変 動 の 影 響 を 受 けないほど 大 きな 資 本 力 を 有 し 自 然 災 害 による 巨 額 の 再 保 険 金 支 払 を 自 己 資 本 の 範 囲 で 行 えるような 巨 大 な 再 保 険 市 場 が 必 要 となる 元 受 保 険 会 社 の 引 受 能 力 拡 大 には 上 述 の 伝 統 的 再 保 険 やリスクスワップなどのリスクヘ ッジ 手 段 の 他 に 保 険 会 社 そのものの 資 本 の 増 強 がある ただし 直 接 的 な 資 本 の 増 強 は 株 式 発 行 コストや 追 加 資 本 対 する 配 当 の 確 保 など 相 応 のコストがかかることや 資 本 効 率 の 観 点 などから 容 易 に 採 りえる 手 段 ではない 資 本 増 強 に 類 似 の 効 果 をもつ 制 度 として 保 険 会 社 には 各 種 準 備 金 の 積 立 制 度 が 認 められ 15

ている そして 大 災 害 発 生 時 の 保 険 金 支 払 余 力 を 担 保 するものとして 異 常 危 険 準 備 金 制 度 がある 保 険 会 社 にとっての 準 備 金 制 度 は 一 定 額 を 無 税 で 積 み 立 てることができ 取 崩 時 まで 益 金 算 入 されないため 保 険 会 社 の 経 営 の 健 全 性 確 保 に 寄 与 している 火 災 保 険 ( 表 2-2 のとおり 自 然 災 害 リスクは 主 に 火 災 保 険 または 火 災 保 険 に 付 帯 する 特 約 によって 補 償 が 提 供 される )については 正 味 収 入 保 険 料 の 5%( 無 税 積 立 率 ) 相 当 額 について 損 金 算 入 が 可 能 となっているが この 無 税 積 立 率 は 徐 々に 引 き 上 げられてきた 歴 史 にあり 保 険 会 社 による 異 常 危 険 準 備 金 の 積 立 は 着 実 に 進 捗 している また 当 該 年 度 の 正 味 収 入 保 険 料 の 30%がいわゆる 洗 替 保 証 率 として 無 税 積 立 残 高 率 の 上 限 となっている この 異 常 危 険 準 備 金 は 一 旦 大 きく 取 崩 してしまうと 取 崩 し 前 の 水 準 に 戻 すのに 長 年 を 要 するが 異 常 危 険 準 備 金 の 無 税 積 立 額 の 上 限 や 無 税 積 立 率 が 引 き 上 げられ 取 崩 しの 基 準 が 柔 軟 になれば 保 険 会 社 の 経 営 健 全 性 が 更 に 確 保 されることになる 3) 保 険 以 外 の 手 当 (リスク 保 有 リスク 移 転 ) 伝 統 的 な 保 険 または 再 保 険 以 外 の 手 当 として 証 券 化 (キャット ボンド) リスクスワ ップを 含 むデリバティブ 担 保 付 再 保 険 などがある これらは 伝 統 的 再 保 険 市 場 ではなく 巨 大 な 金 融 市 場 にリスク 移 転 を 行 うという 点 で 代 替 手 段 としての 潜 在 性 は 非 常 に 高 いとい える デリバティブの 一 つに 地 震 デリバティブがあり 地 震 リスクのヘッジ 手 段 として 活 用 され ている 地 震 デリバティブとは 一 定 の 契 約 期 間 において マグニチュードや 震 度 などを 基 準 とし て 条 件 を 定 め その 条 件 を 満 たした 事 象 が 発 生 した 場 合 に 実 際 の 損 害 額 とは 関 係 なく 所 定 の 補 償 金 が 支 払 われるという 金 融 商 品 である 保 険 と 異 なり 損 害 査 定 のロードがないため 企 業 側 も 比 較 的 迅 速 にキャッシュを 確 保 することができるというメリットがある 一 方 実 際 の 損 害 額 とは 直 接 の 関 係 がない 所 与 の 条 件 に 従 って 金 額 が 支 払 われるため 実 際 に 損 害 が 発 生 していても 全 く 補 償 金 の 支 払 が 生 じないケースがあることや デリバティブ 取 引 によって 生 じた 利 益 や 損 失 は ただちに 財 務 諸 表 に 反 映 されるといった 点 で 保 険 商 品 と 比 べて 劣 る 面 がある また 地 震 による 損 傷 度 合 いなどは 考 慮 されず 発 生 確 率 のみで 必 要 なコストが 算 出 され ることもあり 保 険 料 に 相 当 するプレミアムは 相 対 的 に 高 めの 設 定 となることが 多 い デリバティブ 取 引 は 保 証 金 額 が 数 千 万 円 程 度 の 比 較 的 小 規 模 の 契 約 を 中 小 企 業 が 締 結 す るケースが 多 く 何 百 億 円 規 模 のデリバティブが 組 成 されることはまずない キャット ボンドとは スポンサーから 一 定 のリスクを 投 資 家 に 移 転 するためのリスク 関 連 証 券 である 16

自 然 災 害 再 保 険 市 場 に より 多 くのリスク 負 担 能 力 を 供 給 するビークル( 媒 介 物 )として 1990 年 代 から 発 行 され 始 めた 大 きなキャパシティを 確 保 できる 手 段 であり 保 険 会 社 に 加 えて 企 業 がボンドのスポンサーとなることがある キャット ボンドもデリバティブと 類 似 の 特 徴 があり トリガーの 設 定 方 法 によっては 損 害 が 発 生 していても 回 収 できないというケースが 生 じ 金 融 市 場 の 状 況 にもよるが 伝 統 的 再 保 険 に 比 較 して 組 成 コストが 総 じて 高 く かつ 組 成 にも 相 当 のロードがかかることから 一 定 規 模 以 上 の 金 額 での 組 成 することが 一 般 的 である こうしたコスト 面 や 手 続 きの 煩 雑 さ などの 問 題 などから 一 般 企 業 の 利 用 は 限 定 的 であり 保 険 会 社 が 再 保 険 購 入 の 補 完 として 発 行 するケースが 殆 どであった しかし 近 年 は キャット ボンドの 投 資 対 象 としての 認 知 度 が 高 まり 保 険 実 損 害 を カバーする 形 態 も 増 えており 利 用 拡 大 の 可 能 性 がある 証 券 化 などのリスク 移 転 の 他 に 予 想 される 損 害 を 定 量 化 した 上 で 内 部 または 外 部 の 準 備 金 などで 引 き 当 てることで 企 業 がリスクを 自 己 保 有 するという 手 段 もある 準 備 金 を 外 部 化 したものがキャプティブで 現 在 世 界 には 約 5,700 社 のキャプティブ 保 険 会 社 が 存 在 する 通 常 親 会 社 がキャプティブ 子 会 社 を 設 立 して 親 会 社 のリスクをキャプ ティブに 移 転 するという 手 法 がとられる キャプティブは 保 険 引 受 のキャパシティが 不 足 するようなリスクであったり リスク 測 定 が 困 難 なリスクや 逆 選 択 が 働 きやすいリスクをヘッジする 場 合 や 保 険 料 コストの 見 合 い から 企 業 が 保 険 カバーを 購 入 できない 場 合 などに 活 用 されるケースが 多 く 具 体 的 には 元 受 保 険 会 社 が 親 会 社 のリスクを 引 き 受 け この 元 受 保 険 会 社 からキャプティブ 子 会 社 にリス クの 大 部 分 を 再 保 険 契 約 として 移 転 することで 保 険 の 購 入 と 経 済 合 理 性 を 高 めるというも のである 経 済 合 理 性 の 観 点 としては キャプティブから 再 保 険 市 場 や 金 融 市 場 に 直 接 アクセスする ことが 可 能 であり 再 保 険 または 再 々 保 険 の 調 達 に 際 して 選 択 肢 が 広 がるという 点 がある キャプティブは バミューダやケイマンなど 税 制 上 の 優 遇 措 置 がとられ 保 険 会 社 設 立 および 運 営 に 関 する 法 規 制 が 緩 やかな 特 定 の 国 や 州 に 集 中 して 設 立 される 傾 向 にある 実 際 現 在 約 100 社 存 在 するといわれている 国 内 企 業 所 有 のキャプティブ 子 会 社 は 全 て 海 外 (オフ ショア 市 場 )に 本 社 登 録 をしている 日 本 国 内 においてキャプティブ 保 険 会 社 の 設 立 が 可 能 になれば 利 便 性 の 向 上 と 為 替 リス クが 回 避 できるというメリットが 生 じ 企 業 のリスクファイナンスの 向 上 のための 手 段 とし て 利 用 拡 大 が 期 待 されるという 面 が 考 えられる しかし 国 内 において キャプティブ 会 社 によるリスク 保 有 を 行 うためには 保 険 契 約 者 を 保 護 する 観 点 から 再 保 険 者 であるキャプティブが 一 定 以 上 の 信 用 力 ( 最 低 資 本 金 ソル ベンシー マージン 基 準 など)を 満 たすことが 必 要 であるなど クリアすべき 課 題 が 複 数 存 在 するため 現 在 は 国 内 にキャプティブが 設 立 されていない 状 況 にある 17

また 通 常 キャプティブの 資 本 金 は 一 般 保 険 事 業 会 社 よりも 相 当 程 度 小 さく いったん 親 会 社 で 巨 大 損 害 が 発 生 するとキャプティブの 資 本 金 を 大 きく 毀 損 し 親 会 社 が 追 加 資 本 金 の 提 供 を 余 儀 なくされるなど キャプティブ 事 業 の 安 定 性 はそれほど 高 くないといえる 18

3. 経 済 的 被 害 軽 減 のための 取 り 組 み 案 1) 2.で 挙 げた 課 題 への 対 応 ( 既 存 の 経 済 的 枠 組 みの 拡 充 ) 1 保 険 会 社 ( 再 保 険 会 社 )によるリスクテイク 厳 しい 国 家 財 政 の 下 では 国 家 保 険 の 創 設 あるいは 家 計 地 震 保 険 に 加 えて 企 業 の 地 震 保 険 や 風 水 災 害 に 対 する 保 険 に 政 府 の 信 用 供 与 を 行 うなど 新 たな 政 府 の 財 政 負 担 を 伴 う 方 法 は 現 実 的 には 期 待 できない 一 方 民 間 の 保 険 制 度 の 利 用 拡 大 すなわち 保 険 会 社 が 自 然 災 害 に 対 する 保 険 引 受 を 拡 大 するためには より 大 きな 資 本 余 力 が 必 要 となる 再 保 険 には 資 本 余 力 を 補 う 効 果 があり 保 険 会 社 はすでに 再 保 険 を 活 用 することにより 企 業 に 対 し 地 震 による 損 害 をカバーする 保 険 を 提 供 している 仮 に 安 価 な 再 保 険 が 多 額 手 配 可 能 となれば 企 業 が 地 震 に 対 する 保 険 を 活 用 できる 可 能 性 が 高 まる また 保 険 会 社 がその 資 本 余 力 確 保 手 段 を 再 保 険 に 依 存 している 背 景 には 規 制 税 制 がある 現 在 の 税 制 下 では 保 険 会 社 が 将 来 の 巨 大 災 害 に 対 して 支 払 能 力 を 確 保 するた めの 異 常 危 険 準 備 金 制 度 は 必 ずしも 十 分 なものではなく さらに 再 保 険 会 社 にも 同 様 の 税 制 が 適 用 される もし 税 制 優 遇 により 異 常 危 険 準 備 金 の 無 税 積 立 が 認 められれば 保 険 会 社 がより 長 期 での 収 支 均 衡 を 前 提 に 保 険 設 計 ができるようになり より 魅 力 的 な 保 険 を 企 業 に 提 供 できるようになる 可 能 性 がある 同 時 に 再 保 険 会 社 が 設 立 されやすい 環 境 となりうる 日 本 国 内 で 再 保 険 市 場 が 拡 大 されることは 保 険 会 社 にとっての 再 保 険 の 利 便 性 を 高 めることとなり 間 接 的 に 企 業 向 けの 保 険 普 及 を 促 すことにもつながる ただし 日 本 国 内 で 再 保 険 市 場 が 拡 大 されることが 保 険 に 加 入 する 企 業 にとってメ リットに 結 び 付 けられるためには 多 くの 課 題 がある まず 世 界 規 模 での 再 保 険 市 場 規 模 が 拡 大 しなければ その 市 場 の 一 部 が 日 本 に 移 転 されたとしても 再 保 険 料 の 軽 減 にはつながりにくい 海 外 の 出 資 者 を 国 内 に 誘 致 し 現 在 海 外 に 所 在 する 再 保 険 会 社 と 類 似 した 事 業 展 開 を 行 ったとしても 海 外 の 再 保 険 会 社 に 再 々 保 険 でヘッジするのであれば 日 本 の 自 然 災 害 リスクに 関 する 再 保 険 料 が 下 がる ことはない また 再 保 険 市 場 は 変 動 が 大 きい 市 場 であることも 併 せて 考 慮 する 必 要 がある 保 険 会 社 は 再 保 険 市 場 の 変 動 を 一 定 吸 収 した 上 で 企 業 に 継 続 的 に 保 険 を 安 定 的 に 提 供 し ている 仮 に 国 内 再 保 険 会 社 設 立 に 海 外 資 本 を 導 入 した 場 合 その 海 外 資 本 は 短 期 的 な 収 益 性 を 重 視 して マーケット 動 向 によっては 資 本 をいつ 引 き 揚 げるか 分 からず 国 内 投 資 家 に 比 して 海 外 投 資 家 は 安 定 的 なキャパシティ 提 供 者 となりえない 可 能 性 が 高 い 企 業 にとっては 保 険 料 が 急 騰 したり 契 約 が 継 続 できなくなるような 保 険 はリスクヘッ ジ 手 段 として 機 能 しないであろう 一 般 的 に 資 本 の 一 定 割 合 (30% 程 度 )に1 事 故 当 たりの 引 受 量 をコントロールするの が 実 務 になっている 中 一 定 規 模 のリスクを 引 き 受 けるとすれば その 数 倍 の 資 本 が 必 要 となる 例 えば 3,000 億 円 のリスクを 引 き 受 けるとすれば 1 兆 円 程 度 の 資 本 が 必 19

要 となるが それだけの 資 本 を 集 めるのは 至 難 の 業 である 特 に 国 内 企 業 からのみ 資 本 を 集 めようとした 場 合 には 実 現 可 能 性 が 非 常 に 低 いと 考 えられる 国 内 に 新 たな 再 保 険 会 社 を 設 立 しようと 考 えた 場 合 元 受 保 険 会 社 からみて 魅 力 的 な 再 保 険 会 社 となるためには 長 期 安 定 的 に 再 保 険 料 率 が 海 外 マーケット 対 比 で 魅 力 的 で ある 必 要 があるが 海 外 の 再 保 険 会 社 に 再 々 保 険 でヘッジしない 国 内 再 保 険 会 社 を 設 立 した 場 合 でも 料 率 が 海 外 マーケットより 低 い 再 保 険 料 率 で 引 き 受 けることは 経 済 合 理 性 の 観 点 からは 可 能 性 が 低 いと 考 えられる 2 保 険 以 外 の 多 様 な 受 け 皿 の 活 用 (デリバティブなど) 自 然 災 害 に 対 する 保 険 や 再 保 険 と 同 様 な 機 能 を 持 つものとしてキャット ボンドがあ り 他 にも 天 候 デリバティブ 地 震 デリバティブなどの ILS( 保 険 リンク 証 券 ) 担 保 付 再 保 険 などがある 中 でもキャット ボンドは 大 きなキャパシティを 確 保 できる 手 段 であり 保 険 会 社 に 加 えて 企 業 がボンドのスポンサーとなることがある 市 場 資 料 によれば 2012 年 のキャット ボンドの 新 規 発 行 は 生 命 保 険 のキャット ボンドを 含 めて 世 界 全 体 で 約 62.5 億 ドルであり 発 行 残 高 はこれまでのピークであっ た 2007 年 を 超 え 約 165 億 ドルに 上 っている 他 にも 保 険 デリバティブなどの ILS 担 保 付 再 保 険 などを 含 めた 伝 統 的 再 保 険 に 依 らないキャパシティがほぼ 同 額 あり 総 計 は 約 350 億 ドルであるものと 推 計 される 一 方 伝 統 的 再 保 険 のキャパシティは 2,500 億 ドルを 超 えているものと 推 計 されており キャット ボンドを 始 めとした 再 保 険 以 外 の 保 険 を 補 完 するキャパシティは 全 体 の 15% 程 度 である 日 本 の 保 険 会 社 もキャット ボンドを 発 行 することがあり 2012 年 には 地 震 損 害 を 対 象 とした 3 億 ドル( 約 300 億 円 )の 債 券 と 台 風 損 害 を 対 象 とした 1.3 億 ドル( 約 130 億 円 )の 債 券 が 発 行 されている また 企 業 がスポンサーとなった 例 も 過 去 にはあ るが コスト 面 や 手 続 きの 煩 雑 さなどの 問 題 などから 一 般 企 業 の 利 用 は 限 定 的 である キャット ボンドは 保 険 や 再 保 険 に 比 較 して 支 払 が 迅 速 に 行 われることや 複 数 年 契 約 が 可 能 であることなどのメリットがあり また ボンドを 引 受 ける 金 融 市 場 の 規 模 は 巨 大 であり 潜 在 的 には 大 きな 拡 大 の 余 地 があることから 今 後 も 国 際 再 保 険 市 場 の 再 保 険 料 率 及 びキャパシティが 急 激 に 変 動 する 局 面 で 再 保 険 の 補 完 機 能 として 利 用 の 拡 大 が 見 込 まれる 一 方 東 日 本 大 震 災 ではサプライチェーンの 寸 断 が 問 題 になったが 自 然 災 害 によっ て 事 業 中 断 が 発 生 した 場 合 の 逸 失 利 益 に 対 しては 天 候 デリバティブや 地 震 デリバティ ブなどを 利 用 して 金 融 市 場 の 資 本 を 活 用 する 方 法 が 考 えられ 今 後 保 険 の 利 用 と 併 せて さらに 研 究 を 進 める 必 要 がある 20

また キャプティブ 保 険 会 社 を 利 用 する 方 法 があるが 前 述 の 通 り 現 行 制 度 の 下 で は 日 本 国 内 での 設 立 が 困 難 であり オフショア 市 場 にキャプティブ 保 険 会 社 を 設 立 しな ければならない そのため 利 便 性 に 問 題 があり 加 えて 多 くの 設 立 地 の 場 合 は 為 替 の 問 題 が 生 じるため 利 用 は 限 定 的 である 国 内 での 設 立 を 可 能 にするためには 規 制 緩 和 と 優 遇 税 制 の 適 用 が 前 提 になる 他 日 本 企 業 は 高 額 の 自 然 災 害 リスクを 抱 えるために 再 保 険 市 場 とのアクセスも 重 要 となる 2) 新 たな 経 済 的 枠 組 みとして 考 えられること 1 二 重 債 務 問 題 への 対 応 の 必 要 性 i. 二 重 債 務 問 題 の 定 義 二 重 債 務 問 題 とは 住 宅 購 入 のために 当 該 住 宅 を 担 保 に 住 宅 ローンを 借 り 入 れた 個 人 や 事 業 資 産 等 を 担 保 に 資 金 の 調 達 を 行 った 企 業 が 被 災 によって 担 保 資 産 を 失 った 場 合 に 債 務 が 残 存 するために 資 産 の 再 取 得 や 当 該 資 産 の 価 値 を 引 当 とし た 借 入 れの 継 続 が 困 難 となる 状 態 をいう ii. 二 重 債 務 問 題 の 弊 害 巨 大 災 害 により 二 重 債 務 問 題 が 発 生 するとさまざまな 弊 害 が 生 ずる 経 済 学 的 視 点 から 資 源 配 分 にかかる 第 一 種 の 過 誤 ( 貸 されるべき 借 り 手 に 資 金 が 供 給 されな いという 非 効 率 性 の 問 題 )と 第 二 種 の 過 誤 ( 貸 されるべきでない 借 り 手 に 資 金 が 供 給 されてしまうという 非 効 率 性 の 問 題 )があると 指 摘 されている いずれにせよ 二 重 債 務 が 被 災 者 の 再 起 にとって 大 きな 障 害 となることは 明 らかであり 何 らかの 対 応 が 必 要 である iii. 地 震 保 険 の 機 能 と 限 界 地 震 保 険 は 既 存 債 務 の 有 無 にかかわらず 滅 失 した 資 産 の 損 害 を 補 填 するものだ が 保 険 金 を 債 務 の 返 済 に 充 てることを 想 定 すれば 二 重 債 務 への 事 前 の 備 えとなり うる しかし 保 険 金 を 債 務 の 返 済 に 充 てると 再 起 再 建 のために 必 要 な 資 金 は 新 たな 借 入 れに 頼 らねばならなくなる さらに 保 険 金 額 が 債 務 残 高 に 満 たず 残 債 務 があると 新 たな 資 金 調 達 が 困 難 となる これに 対 し 別 途 債 務 を 免 れることが できれば 地 震 保 険 金 は 再 建 資 金 に 充 当 することができるし 不 足 資 金 の 新 規 調 達 にかかる 障 害 も 相 対 的 に 軽 微 となる このように 地 震 保 険 は 二 重 債 務 問 題 自 体 を 解 決 するための 施 策 とはならず 二 重 債 務 解 消 には 何 らかの 追 加 的 施 策 が 必 要 である iv. 事 後 的 な 取 組 みの 限 界 ただし 起 きてしまった 二 重 債 務 問 題 を 解 消 するには 公 的 資 金 による 利 息 補 助 や 21

返 済 支 援 が 必 要 となり 巨 額 の 財 源 を 要 することに 加 え そもそもその 当 否 につい て 懐 疑 的 な 意 見 が 有 力 である 実 際 東 日 本 大 震 災 における 対 応 は 円 滑 な 債 務 整 理 や 返 済 猶 予 といったものとなっている v. 事 前 対 応 の 必 要 性 こうしてみると 今 後 の 巨 大 災 害 に 備 え 二 重 債 務 回 避 のために 何 らかの 事 前 措 置 を 講 ずることが 喫 緊 の 課 題 である 国 の 責 務 はそうした 事 前 措 置 の 機 会 を 提 供 する ことで 自 助 努 力 をしようと 思 えば 可 能 な 制 度 整 備 をすることにあるといっても よいであろう 事 後 的 対 応 には 限 界 があるため 事 前 の 対 応 を 怠 ると 過 去 の 不 幸 が 再 び 繰 り 返 されることになるからである 一 方 そうした 制 度 整 備 により 事 前 措 置 を 促 せば 結 果 的 に 事 後 的 な 公 的 対 応 にかかる 負 担 を 減 少 させることにもつな がる 2 代 替 的 なリスクファイナンス 手 法 の 活 用 巨 大 地 震 の 災 害 は (i)ひとたび 起 これば 被 害 が 広 域 かつ 巨 額 となる 一 方 (ii)a 一 部 地 域 については 近 い 将 来 における 発 生 の 蓋 然 性 がかなり 高 い (ii)b 残 りの 地 域 につ いては 発 生 の 蓋 然 性 が 非 常 に 低 いという 特 徴 があり 大 数 の 法 則 でリスクを 分 散 する 損 害 保 険 の 手 法 になじまない 一 方 再 保 険 を 通 じたリスク 移 転 については 引 受 コストが 市 場 の 需 給 関 係 で 決 定 さ れるために 近 時 のように 日 本 だけでなく 各 地 域 で 大 地 震 の 被 害 が 続 いている 状 態 では 保 険 料 が 本 来 の 発 生 確 率 や 損 害 率 に 基 づく 理 論 値 を 大 きく 上 回 り 十 分 なキャパシティ も 得 られないという 問 題 がある さらに 伝 統 的 な 損 害 保 険 は 損 害 の 填 補 を 目 的 とするため 建 物 の 被 害 以 外 に 勤 め 先 の 被 災 や 経 済 の 停 滞 といった 理 由 で 返 済 が 困 難 となる 問 題 を 保 険 でカバーすること が 難 しい こうした 背 景 から 近 年 リスク デリバティブやファイナイト 再 保 険 といった 代 替 的 なリスク 移 転 リスク 保 有 の 手 法 が 発 展 してきている これらの 中 以 下 のような 特 徴 を 備 えるものがあり 二 重 債 務 に 対 する 事 前 対 応 への 活 用 が 期 待 される 代 替 的 な 法 形 式 伝 統 的 な 保 険 契 約 によるのではなく デリバティブ 契 約 や 金 銭 消 費 貸 借 契 約 の 特 約 といった 新 しい 法 形 式 を 採 用 これにより 保 険 規 制 とは 別 の 枠 組 みで 仕 組 みを 構 築 することが 可 能 となる インデックス 型 実 損 填 補 ではなく 一 定 の 事 象 (トリガーイベント)が 発 生 したら 定 額 の 支 払 (もしくは 損 害 負 担 )を 実 施 事 故 発 生 により 何 らかの 損 害 は 発 生 するがそ の 確 定 や 予 想 が 難 しい 場 合 や 二 次 損 害 等 の 査 定 が 困 難 な 場 合 にメリットがある 22

ファイナイト 型 積 立 型 リスクを 外 部 に 移 転 するのではなく 一 定 の 時 間 軸 におい て 収 支 相 等 とすることで 利 益 の 平 準 化 や 遡 及 的 な 損 失 処 理 を 狙 うもの 不 確 実 性 の 高 い リスクに 対 応 するため 想 定 外 の 不 足 資 金 には 外 部 調 達 で 対 応 の 上 爾 後 の 保 険 料 で 償 還 する 一 方 保 障 期 間 中 に 損 害 発 生 がなければ 預 り 保 険 料 を 返 還 地 震 リスクについて は 地 域 的 リスク 分 散 は 可 能 だが 全 国 的 には 30 年 といった 長 期 間 でみれば 高 い 蓋 然 性 で 一 定 の 損 失 発 生 が 見 込 まれるため 疑 似 ファイナイト 的 な 仕 組 みがなじむ 資 本 市 場 の 活 用 リスク 移 転 先 として 再 保 険 市 場 の 100 倍 以 上 の 規 模 を 有 する 資 本 市 場 を 活 用 このためには 上 述 の 代 替 的 法 形 式 の 採 用 に 意 義 国 内 リスク 投 資 市 場 の 創 設 大 数 法 則 でリスク 分 散 を 行 う 元 受 保 険 と 異 なり 再 保 険 はリスクへの 投 資 で 金 融 収 益 を 獲 得 そうした 投 資 市 場 を 国 内 で 創 設 すれば 海 外 再 保 険 市 場 の 価 格 変 動 を 回 避 する 一 方 新 たな 収 益 機 会 を 国 内 投 資 家 に 提 供 することが 可 能 となる 3 制 度 設 計 のたたき 台 以 上 の 考 察 に 基 づき 現 行 金 融 商 品 取 引 法 の 下 で 構 築 可 能 と 考 えられる 代 替 的 な 枠 組 みを 検 討 した 検 討 にあたっては 制 度 提 案 に 加 え 全 国 に 分 散 する 住 宅 金 融 支 援 機 構 の 貸 出 残 高 を 対 象 に 地 震 調 査 研 究 推 進 本 部 の 想 定 による 今 後 30 年 間 で 震 度 6 強 以 上 の 地 震 発 生 確 率 を 用 いて 簡 易 的 な 経 済 計 算 も 実 施 した i. 概 要 全 国 規 模 で 住 宅 ローン 残 高 が 分 散 しておりわが 国 の 住 宅 ローン 市 場 のサンプルとして 適 切 と 考 えられ る 住 宅 金 融 支 援 機 構 のフラット35の 残 高 全 体 (2013 年 3 月 末 全 約 10 兆 円 程 度 )を 対 象 に 二 重 債 務 リスク 回 避 の 制 度 設 計 を 行 う E CAT 23

表 3-1 制 度 の 概 要 制 度 名 項 目 内 容 E CAT(Earthquake CATastrophe Protection) 当 事 者 借 主 住 宅 ローン(フラット 35)の 借 主 取 引 貸 主 RCH カバー 取 引 巻 末 投 資 取 引 巻 末 住 宅 金 融 支 援 機 構 民 間 住 宅 ローンの 場 合 は 銀 行 その 他 の 貸 主 金 融 機 関 リスク クリアリングハウス ii 被 災 時 の 債 務 免 除 特 約 E CAT ワラント( 金 融 機 関 譲 渡 口 ) E CAT 債 ( 債 務 者 口 ) E CAT 債 ( 投 資 口 ) E CAT ワラント( 一 般 口 ) 借 主 - 貸 主 貸 主 RCH RCH 借 主 RCH 個 人 投 資 家 RCH 企 業 等 参 考 住 宅 機 構 の 県 別 ローン 残 高 (2013 年 3 月 末 ) 3 都 道 府 県 名 ローン 残 高 ( 億 円 ) 都 道 府 県 名 ローン 残 高 ( 億 円 ) 都 道 府 県 名 ローン 残 高 ( 億 円 ) 都 道 府 県 名 ローン 残 高 ( 億 円 ) 北 海 道 2,477 東 京 都 19,211 滋 賀 県 850 香 川 県 676 青 森 県 387 神 奈 川 県 11,007 京 都 府 945 愛 媛 県 640 岩 手 県 481 新 潟 県 1,003 大 阪 府 7,504 高 知 県 434 宮 城 県 1,522 富 山 県 564 兵 庫 県 4,469 福 岡 県 3,368 秋 田 県 399 石 川 県 695 奈 良 県 823 佐 賀 県 409 山 形 県 315 福 井 県 432 和 歌 山 県 392 長 崎 県 554 福 島 県 792 山 梨 県 908 鳥 取 県 298 熊 本 県 750 茨 城 県 2,346 長 野 県 942 島 根 県 189 大 分 県 651 栃 木 県 1,469 岐 阜 県 831 岡 山 県 1,357 宮 崎 県 626 群 馬 県 1,394 静 岡 県 1,926 広 島 県 2,438 鹿 児 島 県 1,315 埼 玉 県 8,108 愛 知 県 5,737 山 口 県 923 沖 縄 県 368 千 葉 県 6,937 三 重 県 1,403 徳 島 県 358 合 計 101,625 3 住 宅 機 構 から 本 作 業 のために 提 供 された 素 データに 基 づき 集 計 したもの 24

ii. リスク クリアリングハウスの 設 立 制 度 運 営 の 要 となる RCH を 以 下 の 要 領 で 設 立 する 4 表 3-2 項 目 設 立 要 領 内 容 名 称 日 本 リスク クリアリング 株 式 会 社 ( 仮 称 ) 法 人 形 態 許 認 可 会 社 法 に 基 づく 取 締 役 会 ならびに 監 査 役 または 委 員 会 設 置 の 株 式 会 社 ( 金 商 法 156 条 の 4 第 2 項 1 号 ) 金 商 法 2 条 28 項 5 にいう 金 融 商 品 債 務 引 受 業 を 行 う 金 融 商 品 取 引 清 算 機 関 ( 同 29 項 ) 同 法 156 条 の 2 に 基 づき 内 閣 総 理 大 臣 ( 金 融 庁 )の 免 許 を 取 得 資 本 金 10 億 円 以 上 ( 金 商 令 19 条 の 4 の 2) 出 資 想 定 者 設 立 地 二 重 債 務 問 題 対 応 を 希 望 する 民 間 金 融 機 関 株 式 会 社 日 本 政 策 金 融 公 庫 株 式 会 社 日 本 政 策 投 資 銀 行 政 府 もしくは 独 立 行 政 法 人 住 宅 金 融 支 援 機 構 大 手 を 中 心 とした 住 宅 事 業 者 マンションデベロッパー 等 リスク 市 場 への 参 入 を 希 望 する 商 社 その 他 の 事 業 会 社 株 式 は 譲 渡 制 限 付 とする 仙 台 市 ( 東 日 本 大 震 災 の 被 災 地 がよいのではないか) 業 務 1. 融 資 金 融 機 関 からの E CAT ワラント( 金 商 令 1 条 の 14)を 通 じた 債 務 の 負 担 ( 金 商 法 156 条 の 6 第 1 項 参 照 ) 2.その 他 の 事 業 者 と 行 う 1と 同 様 の 事 業 ( 同 上 ) 3. 前 2 項 で 引 き 受 けた 債 務 にかかる 将 来 負 担 を 移 転 するために 行 う E CAT 債 の 発 行 ( 特 認 業 務 ) 4. 基 幹 業 務 から 得 られた 知 見 に 基 づくリスクファイナンスにか かる 研 究 調 査 受 託 機 関 設 計 出 資 者 代 表 から 組 成 される 取 締 役 会 と 実 際 の 業 務 執 行 にあたる 執 行 役 を 分 離 した 委 員 会 設 置 会 社 とし 全 社 が 後 者 を 選 任 監 督 法 定 の 3 委 員 会 のほか 定 款 上 で 外 部 有 識 者 が 過 半 を 占 めるリス ク 管 理 委 員 会 を 設 け 執 行 役 が 定 期 的 に 報 告 してリスク 管 理 を 行 う 4 単 なる 私 案 であり 研 究 会 参 加 者 の 合 意 に 基 づくものではない 5 この 法 律 において 金 融 商 品 債 務 引 受 業 とは 金 融 商 品 取 引 業 者 登 録 金 融 機 関 又 は 証 券 金 融 会 社 ( 以 下 この 項 において 金 融 商 品 債 務 引 受 業 対 象 業 者 という )を 相 手 方 とし て 金 融 商 品 債 務 引 受 業 対 象 業 者 が 行 う 対 象 取 引 ( 有 価 証 券 の 売 買 若 しくはデリバティブ 取 引 ( 取 引 の 状 況 及 び 我 が 国 の 資 本 市 場 に 与 える 影 響 その 他 の 事 情 を 勘 案 し 公 益 又 は 投 資 者 保 護 のため 支 障 を 生 ずることがないと 認 められるものとして 政 令 で 定 める 取 引 を 除 く ) 又 はこれらに 付 随 し 若 しくは 関 連 する 取 引 として 政 令 で 定 める 取 引 をいう )に 基 づく 債 務 を 引 受 け 更 改 その 他 の 方 法 により 負 担 することを 業 として 行 うことをいう 25

項 目 共 同 融 資 枠 業 務 運 営 内 容 出 資 銀 行 は 想 定 を 超 える 災 害 の 集 中 的 発 生 等 により RCH が 万 が 一 資 金 不 足 に 陥 った 場 合 のために 共 同 で 融 資 枠 を 設 定 すること とする( 清 算 機 関 の BIS 自 己 資 本 比 率 規 制 上 のリスクウェイトは ゼロ) 株 式 会 社 形 態 をとるが リスク 集 中 のための 枠 組 みを 提 供 するこ とが 目 的 であり 実 際 の 事 業 運 営 の 大 半 は 会 員 企 業 側 で 行 うこと ができること リスク 引 受 事 業 そのものは 収 支 相 等 で 運 営 される ことから 最 小 限 の 規 模 を 維 持 して 資 本 金 と E CAT 債 ( 債 務 者 口 )の 払 込 金 の 運 用 収 益 リスクファイナンス 関 連 の 研 究 調 査 受 託 収 入 ならびに 出 資 者 からの 人 員 その 他 の 支 援 を 受 け 手 固 定 費 を 賄 う 以 上 から 大 きな 収 益 は 期 待 できないが 仮 に 剰 余 金 が 出 る 場 合 にはできるかぎり 内 部 留 保 として 積 み 立 てる iii. RCH による E CAT スキームの 経 済 計 算 以 下 については 現 在 入 手 可 能 なデータを 用 いつつ 仮 に 設 定 した 損 害 率 などの パラメーターを 用 いた 試 みの 計 算 である この 試 算 については 別 途 検 証 が 必 要 であ るが 今 回 提 案 の 具 体 的 なイメージ 示 すためにここに 提 示 するものである シミュレーションの 前 提 被 災 の 程 度 地 震 調 査 研 究 推 進 本 部 の 地 震 ハザード 情 報 に 関 するデータ( 市 区 町 村 役 場 位 置 )のう ち 30 年 間 に 震 度 6 強 以 上 の 地 震 が 発 生 する 確 率 を 採 用 ( 以 下 発 生 確 率 ) 地 域 のクラスタリングと 発 生 確 率 データは JIS の 住 所 コード 単 位 であったが 巨 大 地 震 が 発 生 すると 広 域 にわたり 同 時 に 被 災 するため 本 来 なら 活 断 層 や 海 域 別 に 連 動 を 考 慮 したクラスタリングを 行 うべき と 考 えられるが 本 報 告 書 では 次 のような 簡 易 な 方 法 によった a) 対 象 となるローン 残 高 は 県 単 位 でクラスタリングする b) 県 内 にある JIS 住 所 コードにかかる 発 生 確 率 の 最 大 値 を 当 該 県 の 発 生 確 率 として 採 用 (このため 相 当 程 度 保 守 的 な 想 定 になっていることに 注 意 ) 具 体 的 には 以 下 の 通 り 26

表 3-3 各 県 別 の 想 定 発 生 確 率 都 道 府 県 名 30 年 震 度 6 強 確 率 の 地 域 内 都 道 府 県 名 最 大 値 30 年 震 度 6 強 確 率 の 地 域 内 都 道 府 県 名 最 大 値 30 年 震 度 6 強 確 率 の 地 域 内 都 道 府 県 名 最 大 値 30 年 震 度 6 強 確 率 の 地 域 内 最 大 値 北 海 道 21.15% 東 京 都 14.45% 滋 賀 県 10.34% 香 川 県 21.82% 青 森 県 2.29% 神 奈 川 県 45.37% 京 都 府 18.78% 愛 媛 県 45.35% 岩 手 県 5.50% 新 潟 県 5.66% 大 阪 府 23.89% 高 知 県 58.17% 宮 城 県 5.51% 富 山 県 3.31% 兵 庫 県 11.90% 福 岡 県 2.33% 秋 田 県 4.99% 石 川 県 2.18% 奈 良 県 31.64% 佐 賀 県 0.95% 山 形 県 2.56% 福 井 県 3.85% 和 歌 山 県 67.96% 長 崎 県 2.03% 福 島 県 22.04% 山 梨 県 62.66% 鳥 取 県 0.87% 熊 本 県 3.81% 茨 城 県 41.53% 長 野 県 22.79% 島 根 県 0.81% 大 分 県 14.06% 栃 木 県 0.84% 岐 阜 県 22.44% 岡 山 県 5.97% 宮 崎 県 9.62% 群 馬 県 1.22% 静 岡 県 92.21% 広 島 県 4.48% 鹿 児 島 県 8.95% 埼 玉 県 14.85% 愛 知 県 71.93% 山 口 県 6.73% 沖 縄 県 7.06% 千 葉 県 30.36% 三 重 県 74.23% 徳 島 県 52.66% 6 30 年 間 の 発 生 確 率 の 分 布 30 年 間 の 発 生 確 率 は 30 年 間 に 一 定 強 度 以 上 の 地 震 が 1 回 以 上 発 生 する 確 率 と 定 義 されている 本 報 告 書 の 仕 組 みは 1 回 目 の 発 生 において 所 要 の 債 務 免 除 を 行 うため 2 回 目 以 降 の 発 生 にかかる 損 害 をカバーする 必 要 がない つまり 今 次 シミュレーショ ンにあたっては t 年 目 に 初 めて 一 定 強 度 以 上 の 地 震 が 発 生 する 確 率 を 上 記 30 年 間 の 発 生 確 率 から 想 定 する 必 要 がある( 実 際 には 30 年 間 の 発 生 確 率 を 算 出 した 根 拠 を 用 いて 活 断 層 海 溝 別 により 精 緻 な 分 析 を 行 うことが 可 能 なはずであり 周 期 性 がある 場 合 はそうした 分 析 により 発 生 時 期 をある 程 度 特 定 できるため そうでない 場 合 に 比 べて E CAT 債 の 額 を 縮 減 することができる) この 場 合 t 年 目 に 初 めて 巨 大 地 震 が 起 こる 確 率 を ௧とするなら 30 年 間 の 発 生 確 率 は 2 回 以 上 発 生 する 確 率 を 含 むことから ௧ = 30 年 間 の 発 生 確 率 1 となるように ௧を 設 定 すれば 本 来 よりも 高 めとなるため 保 守 的 といえる ௧を 設 定 するにあたり 予 想 発 生 確 率 が 高 い 県 については 周 期 性 等 から 発 生 の 可 能 性 が 予 測 されている 地 域 だと 考 えられ 30 年 間 にわたって 確 率 が 一 様 に 分 布 していると 考 えることは 現 実 的 ではない しかし 個 別 の 活 断 層 等 における 周 期 性 等 を 組 み 込 んで 6 長 期 的 な 地 震 発 生 確 率 については 対 数 正 規 分 布 によることの 問 題 点 が 指 摘 され, 活 断 層 や 海 溝 ごとに, 周 期 性 がある 場 合 には Brownian Passage Time 分 布,そうでないものについてはポ アソン 分 布 によることが 提 言 されている( 地 震 調 査 委 員 会 長 期 的 な 地 震 発 生 確 率 の 評 価 手 法 について (2011.6)) 27

モデリングすることは 与 えられたデータからは 不 可 能 である このため 保 守 的 な 想 定 となるように 以 下 の 方 針 で ௧を 設 定 することにする a. 発 生 確 率 が 5% 以 下 の 先 に 関 する t 年 目 における 発 生 確 率 ௧については 発 生 確 率 が 一 様 だと 想 定 し 金 利 の 要 素 は 勘 案 せず 単 純 に 以 下 で 近 似 させる(5% 以 下 としたことに 関 して 特 段 の 根 拠 はない) ௧ = 1 30 30 年 間 の 発 生 確 率 b. 一 方 5% 超 の 地 域 については 巨 大 地 震 が 初 めて 発 生 するまでの 時 間 が 指 数 分 布 に 従 うと 想 定 し( 仮 に 地 震 発 生 がポアソン 分 布 に 従 うとすればその 待 ち 時 間 分 布 は 指 数 関 数 となる) 1を 満 たすように t 年 目 における 発 生 確 率 ௧を 次 の 式 であらわすこととする ௧ = 30 年 間 の 発 生 確 率 ൫ e ୲ + (௧ ଵ) ൯ パラメーターλは 小 さくするほど 期 間 における 一 様 性 が 高 まる ここでは λ=0.5 と 想 定 ( 特 段 の 根 拠 はない) この 場 合 最 初 の 10 年 間 に 発 生 する 確 率 がかなり 高 くなるため 制 度 運 営 上 は 相 応 に 保 守 的 な 想 定 となる c. E CAT 債 の 元 本 額 E CAT 債 の 要 発 行 額 面 額 N はある 地 域 のローンの 年 返 済 額 ( 元 利 均 等 )を M( 残 存 期 間 は 30 年 借 入 金 利 は 3%と 想 定 ) t 期 における 残 ܤ高を ௧ 同 期 における 住 宅 の 敷 地 の 減 価 後 の 評 価 ܮ額を ௧ 総 借 入 額 にしめる 土 地 取 得 資 金 の 比 率 を とし 全 ローンのうち 担 保 住 宅 が 全 壊 もしくは 半 壊 となる 確 率 をܦと すると( 現 在 価 値 を 求 めるにあたり 割 引 率 =0 とする) ଷ N = ቐ ଵ ଵ max 0, ܤ ܮ ൧ ቑ ܯ ܦ ܤ となる 右 辺 第 1 項 はローン 残 高 のうち 上 述 のように 通 常 の 値 下 がり+ 被 災 による 減 価 を 考 慮 した 土 地 の 価 額 で 保 全 されている 部 分 を 控 除 した 残 額 の 当 初 借 入 額 に 占 める 比 率 を 意 味 する 具 体 的 には 県 別 に 次 のような 想 定 値 を 用 いた 28

東 京 神 奈 川 愛 知 京 都 大 阪 埼 玉 千 葉 滋 賀 兵 庫 福 岡 通 常 値 下 り 率 7 被 災 毀 損 率 8 ܦ 60% 10% 10% 25% 50% 10% 20% 25% その 他 40% 10% 30% 25% シミュレーションの 結 果 以 上 によれば ローン 残 高 10 兆 1625 億 円 に 対 し 5237 億 円 ( 額 面 比 率 5.15%)の E CAT 債 を 発 行 すればよいという 経 済 計 算 になる 9 これを 個 人 の 借 入 れに 引 き 直 してみ ると 平 均 的 な 借 入 額 である 2500 万 円 について 約 128.8 万 円 の 額 面 の E CAT 債 を 購 入 すればよいことになる 仮 に E CAT 債 購 入 資 金 についても 住 宅 ローンが 借 りられる とすれば ローンにかかる 月 返 済 額 は 105,401 円 から 110,833 円 に 増 え 月 5,432 円 の 負 担 増 年 間 では 65,180 円 の 負 担 増 となるが 元 本 償 還 がなされる 可 能 性 もあるこ とを 考 慮 すれば 十 分 に 現 実 的 な 水 準 ではないかと 思 われる 表 3-4 各 県 別 にみた E CAT 債 の 要 購 入 価 額 が 借 入 元 本 に 占 める 比 率 都 道 府 県 名 E CAT 債 の 残 高 比 率 都 道 府 県 名 E CAT 債 の 残 高 比 率 都 道 府 県 名 E CAT 債 の 残 高 比 率 都 道 府 県 名 E CAT 債 の 残 高 比 率 北 海 道 5.46% 東 京 都 2.51% 滋 賀 県 2.27% 香 川 県 5.63% 青 森 県 0.22% 神 奈 川 県 7.89% 京 都 府 3.27% 愛 媛 県 11.71% 岩 手 県 1.42% 新 潟 県 1.46% 大 阪 府 4.16% 高 知 県 15.02% 宮 城 県 1.42% 富 山 県 0.32% 兵 庫 県 2.61% 福 岡 県 0.18% 秋 田 県 0.49% 石 川 県 0.21% 奈 良 県 8.17% 佐 賀 県 0.09% 山 形 県 0.25% 福 井 県 0.38% 和 歌 山 県 17.55% 長 崎 県 0.20% 福 島 県 5.69% 山 梨 県 16.18% 鳥 取 県 0.08% 熊 本 県 0.37% 茨 城 県 10.73% 長 野 県 5.88% 島 根 県 0.08% 大 分 県 3.63% 栃 木 県 0.08% 岐 阜 県 5.79% 岡 山 県 1.54% 宮 崎 県 2.48% 群 馬 県 0.12% 静 岡 県 23.81% 広 島 県 0.44% 鹿 児 島 県 2.31% 埼 玉 県 3.26% 愛 知 県 12.52% 山 口 県 1.74% 沖 縄 県 1.82% 千 葉 県 6.66% 三 重 県 19.17% 徳 島 県 13.60% 全 国 5.15% 以 上 7 地 価 はバブル 崩 壊 以 降 相 応 に 値 下 がりしているため 期 間 にかかわらず 1 割 程 度 の 減 価 と 想 定 8 9 大 都 市 圏 と 地 方 では 被 災 による 土 地 の 潜 在 価 値 の 下 落 幅 に 差 があると 想 定 必 要 発 行 額 は 前 提 の 置 き 方 によって 大 きく 変 化 する 可 能 性 がある 点 に 留 意 が 必 要 29

< 巻 末 資 料 > 3.1)1との 関 連 1. 経 済 被 害 額 と 保 険 支 払 額 の 比 率 通 貨 : 百 万 ドル 年 事 象 国 名 犠 牲 者 経 済 被 害 保 険 支 払 (A) (B) (B) / (A) 2011 東 日 本 大 震 災 日 本 15,840 210,000 40,000 19.0% 2005 ハリケーン カトリーナ 米 国 1,322 125,000 62,200 49.8% 1995 阪 神 淡 路 大 震 災 日 本 6,430 100,000 3,000 3.0% 2008 四 川 大 地 震 中 国 84,000 85,000 300 0.4% 2012 ハリケーン サンディ 米 国 210 65,000 30,000 46.2% 1994 ノースリッジ 地 震 米 国 61 44,000 15,300 34.8% 2011 タイ 洪 水 タイ 813 43,000 16,000 37.2% 2008 ハリケーン アイク 米 国 他 170 38,300 18,500 48.3% 1998 長 江 洪 水 中 国 4,159 30,700 1,000 3.3% 2010 2010 チリ 地 震 チリ 520 30,000 8,000 26.7% 資 料 :Munich Re, NatCatSERVICE, March 2013 1980~2011 年 日 本 における 台 風 被 害 の 保 険 金 支 払 い 上 位 10 通 貨 : 百 万 ドル 年 災 害 名 被 災 地 域 1 被 害 総 計 2 保 険 支 払 US$m, original values 2/1% 犠 牲 者 1991 台 風 19 号 (ミレーユ 九 州 北 海 道 10,000 7,000 70% 62 Mireille) 2004 台 風 18 号 (ソングダ Songda) 西 日 本 南 韓 国 9,000 4,700 52% 41 1999 台 風 18 号 (バート Bart) 九 州 沖 縄 本 州 北 海 道 南 韓 国 5,000 3,500 70% 29 1998 台 風 7 号 8 号 四 国 本 州 北 海 道 (ヴィッキ/ワルド Vicki / Waldo) 神 戸 福 井 奈 良 3,000 1,600 53% 121 2004 台 風 23 号 (トカゲ Tokage) 沖 縄 本 州 兵 庫 京 都 千 葉 2,300 1,300 57% 80 2006 Typhoon (サンサン Shanshan) 日 本 南 韓 国 2,500 1,200 48% 10 2004 台 風 16 号 (チャバ Chaba) 日 本 ロシア 2,000 1,200 60% 16 2011 2000 1993 出 典 台 風 15 号 (ロウキーRoke) 台 風 14 号 (サオマイ Saomai) 台 風 13 号 (ヤンシー Yancy) Munich Re, NatCatSERVICE 名 古 屋 浜 松 唐 津 岐 阜 静 岡 愛 知 東 京 仙 台 岩 手 日 本 南 韓 国 グア ム ロシア 九 州 鹿 児 島 沖 縄 四 国 1,700 1,200 71% 13 1,500 1,050 70% 25 1,300 975 75% 87 30

2.2010 年 2011 年 の 主 な 自 然 災 害 の 保 険 支 払 に 占 める 再 保 険 の 割 合 出 典 :Insurance Information Institute from reinsurance share percentages provided in RAA, ABIR and CEA press release, Jan. 13, 2011 参 考 :2005 年 の 米 国 ハリケーン カトリーナ 及 び 一 連 のハリケーンの 保 険 支 払 に 対 する 再 保 険 の 割 合 は 約 45% 3. 世 界 の 自 然 災 害 に 対 する 再 保 険 料 率 の 変 遷 *1990 = 100 Rate on Line Index 出 典 :Guy Carpenter & Company. LLC 31

4.2011 年 世 界 の 主 な 再 保 険 会 社 マーケット シェアおよび 株 主 調 整 資 本 シェアは 以 下 の 金 額 に 基 づき 計 算 2011 年 世 界 正 味 再 保 険 料 合 計 : US$ 174,131.2 million 2011 年 世 界 調 整 株 主 資 本 合 計 : US$ 349,817.3 million ( 通 貨 : 百 万 ドル) マーケ S&P 順 正 味 収 入 調 整 株 主 調 整 株 主 会 社 名 国 名 ット 信 用 格 位 再 保 険 料 資 本 資 本 シェア シェア 付 1 Munich Re ドイツ 33,719.2 19.4% AA- 28,737.4 8.2% 2 Swiss Re スイス 22,868.0 13.1% AA- 30,931.0 8.8% 3 Berkshire Hathaway / Gen Re 米 国 15,350.0 8.8% AA+ 95,000.0 27.2% 4 Hannover Re ドイツ 14,279.2 8.2% AA- 9,914.5 2.8% 5 Lloyd s 英 国 10,735.5 6.2% A+ 28,154.1 8.0% 6 SCOR フランス 8,891.5 5.1% A 5,701.9 1.6% 7 RGA 米 国 7,335.7 4.2% AA- 6,137.1 1.8% 8 Partner Re バミューダ 4,486.3 2.6% A+ 6,467.5 1.8% 9 Everest Re バミューダ 4,108.9 2.4% A+ 6,071.4 1.7% 10 Transatlantic HD 米 国 3,859.6 2.2% A+ 4,083.0 1.2% 11 MS&AD Holdings 日 本 3,700.9 2.1% A+ 28,074.2 8.0% 12 Korean Reinsurance Co. 韓 国 3,057.5 1.8% A- 1,242.0 0.4% 13 NKSJ Holdings 日 本 2,786.1 1.6% A+ 16,426.6 4.7% 14 Tokio Marine Group 日 本 2,654.2 1.5% AA- 19,388.5 5.5% 15 General Ins. Corp. of India インド 2,421.9 1.4% NR 1,913.0 0.5% 16 Mapfre Re スペイン 2,310.5 1.3% A- 1,097.7 0.3% 17 XL Re Ltd バミューダ 2,088.1 1.2% A NA NA 18 Toa Re Co. Ltd. 日 本 1,961.4 1.1% A+ 2,191.8 0.6% 19 AXIS Capital Holdings Ltd. バミューダ 1,953.3 1.1% A+ 5,444.1 1.6% 20 Validus Holdings Ltd バミューダ 1,835.5 1.1% A- 3,448.4 1.0% 出 典 : S&P Global Reinsurance Highlights 2012 Edition 信 用 格 付 け:2012 年 8 月 6 日 時 点 ( 表 上 主 要 子 会 社 の 格 付 を 採 用 しているケースもある) 32

3.1)2との 関 連 1.キャット ボンド 発 行 残 高 出 典 :Aon Benfield Securities 33

3.2)との 関 連 E CAT 債 による 借 主 のリスク 負 担 RCH は 以 下 の E CAT 債 ( 償 還 金 に 関 する 特 約 付 社 債 )を 随 時 発 行 債 務 免 除 特 約 を 希 望 する 借 主 は 必 要 額 面 を 貸 主 金 融 機 関 等 を 通 じて RCH から 直 接 購 入 することとする 1 RCH リスク クリアリングハウス ( 金 融 取 引 清 算 機 関 ) 準 備 金 E CAT 債 課 税 特 例 等 金 利 補 てん 流 動 性 補 完 等 政 府 34

項 目 名 称 E CAT 債 ( 債 務 者 口 ) 10 発 行 体 投 資 家 RCH 借 主 内 容 会 社 法 上 の 位 置 づけ 会 社 法 に 基 づく 社 債 ( 償 還 金 にかかる 特 約 付 ) 発 行 頻 度 毎 月 1 回 ~4 回 融 資 実 行 月 に 発 行 されるものを 購 入 せねばな らない 金 額 住 宅 ローンの 借 入 額 に RCH が 決 定 する 購 入 比 率 を 乗 じた 金 額 利 息 無 利 息 とする( 債 務 者 口 ) 11 E CAT ワラント 満 期 返 済 期 限 一 括 12 償 還 額 の 減 額 E CAT 債 には E CAT ワラントを 添 付 する E CAT ワラントは E CAT 債 から 分 離 可 能 だが RCH があらか じめ 指 定 する 貸 主 に 対 してのみ 譲 渡 可 能 とする ローン 満 期 と 一 致 なお 投 資 家 ( 借 主 )が 対 象 となる 住 宅 ローンを 満 期 前 に 完 済 しても E CAT 債 は 満 期 まで 償 還 され ないものとする 以 下 のトリガーイベント 発 生 時 には 満 期 における 償 還 額 が 以 下 の 割 合 だけ 減 額 されるものとする 13 トリガーイベント 期 限 前 償 還 当 該 E CAT 債 の 発 行 回 号 に 対 応 する E CAT ワラントの 権 利 行 使 が 行 われたこと 一 定 期 間 トリガーイベントが 発 生 せず RCH が 満 期 までに 負 担 するリスク 額 に 基 づいて RCH が 毎 月 発 行 回 号 ごとに 計 算 する 必 要 準 備 金 の 額 がこれに 対 応 する E CAT 債 の 額 面 金 額 を 下 回 った 場 合 には 差 額 について 期 限 前 に 償 還 する 募 集 方 式 RCH による 直 接 発 行 ( 事 務 取 扱 は 当 該 E CAT 債 に 対 応 する E CAT ワラントの 保 有 者 となる 貸 主 金 融 機 関 が 行 う) 10 E CAT 債 には,このほかに 一 般 投 資 家 に 販 売 する 投 資 口 を 設 ける( 発 展 ) E CAT 債 ( 投 資 口 )については 一 定 のクーポンを 付 す 11 付 利 すれば,RCH の 収 益 が 減 るから,E CAT 債 の 元 本 とは 別 に RCH の 固 定 費 を 賄 うため 何 ら かの 追 加 的 な 措 置 を 講 ずる 必 要 があり, 結 局 借 主 の 負 担 が 増 えるため, 無 利 息 としてこれを 回 避 する E CAT 債 に 添 付 された E CAT ワラントの 価 値 が 得 べかりし 利 息 と 概 ね 見 合 うと も 考 えられる 12 E CAT 債 は 期 間 内 にトリガー イベントが 発 生 しなければ 全 額 償 還 される この 点 で 掛 け 捨 ての 地 震 保 険 と 大 きく 異 なる 13 償 還 額 は 借 主 地 震 の 被 災 の 場 合 だけでなく, 他 の 借 主 が 被 災 した 場 合 にも 減 額 される これ により 一 定 のリスク 分 散 が 図 られる 35

項 目 券 面 譲 渡 の 制 限 自 己 信 託 課 税 の 特 例 券 面 は 発 行 しない 内 容 E CAT 債 は RCH ならびに 取 扱 い 金 融 機 関 ( 貸 主 )の 承 諾 がな いかぎり 譲 渡 禁 止 質 入 禁 止 とする E CAT 債 の 払 込 金 については 保 全 のために RCH が 自 己 信 託 証 書 により E CAT ワラントの 名 義 人 を 受 益 者 とし 自 らを 受 託 者 としてこれを 保 有 することとし 業 務 方 法 書 で 定 める 安 全 な 投 資 対 象 ( 国 債 決 済 性 預 金 等 )で 運 用 する E CAT 債 投 資 額 については 毎 年 元 本 額 の(20%)を 購 入 時 から(5) 年 間 にわたり 所 得 控 除 ( 税 額 控 除 )できる 特 例 を 設 けることを 検 討 する 14 被 災 時 の 債 務 免 除 特 約 2 E CATワラント 譲 渡 RCH 借 主 貸 主 債 務 免 除 特 約 ワラント 譲 受 けの 通 知 借 主 は 住 宅 機 構 ( 融 資 金 融 機 関 )からフラット 35( 住 宅 ローン)を 借 入 れるに 際 し RCH から 購 入 した E CAT 債 に 添 付 された E CAT ワラントを 住 宅 機 構 ( 融 資 金 融 機 関 )に 譲 渡 し 見 返 りに 金 銭 消 費 貸 借 契 約 に 以 下 のような 債 務 免 除 特 約 を 付 すことを 要 求 することができる これ により 大 規 模 災 害 によって 住 宅 ( 建 物 )が 損 壊 した 場 合 にはこれに 見 合 う 債 務 残 高 が 免 除 され る 14 被 災 により E CAT 債 の 償 還 額 が 減 額 されれば,その 年 度 の 雑 損 失 としか 認 識 されない 可 能 性 があるため, 少 なくともこれを 譲 渡 損 失 とするか, 所 得 控 除 を 認 める 対 応 が 必 要 しかし, 自 助 努 力 を 促 す 観 点 からは 投 資 額 を 当 初 5 年 ~10 年 で 償 却 することを 認 めてはどうか 36

債 務 額 と 免 除 額 のイメージ 住 宅 の 購 入 価 額 建 物 取 得 資 金 土 地 取 得 資 金 借 入 金 建 物 対 応 土 地 対 応 通 常 の 地 価 下 落 被 災 による 地 価 減 価 ローン 残 高 土 地 の 価 値 ( 減 価 せず) この 金 額 を 債 務 免 除 項 目 契 約 当 事 者 形 態 対 象 住 宅 前 提 条 件 債 務 免 除 ト リ ガ ー イ ベント 借 主 貸 主 金 銭 消 費 貸 借 契 約 の 特 約 とする 内 容 借 入 金 の 担 保 となる 住 宅 が 認 定 長 期 優 良 住 宅 または 新 築 住 宅 性 能 評 価 において 耐 震 等 級 が 2 もしくは 3 であること( 基 準 値 の 1.25 倍 以 上 ) 15 本 特 約 の 付 帯 を 希 望 する 借 主 は 住 宅 ローンの 借 入 額 に RCH が 決 定 す る 購 入 比 率 を 乗 じた 金 額 の E CAT 債 に 添 付 される E CAT 債 ワラント を 貸 主 に 対 して 譲 渡 せねばならない E CAT ワラント 譲 受 けの 対 価 として 貸 主 は 以 下 のトリガーイベ ントが 発 生 した 場 合 に 以 下 の 免 除 額 を 限 度 に 住 宅 ローン 債 務 を 将 来 にわたり 免 除 する( 連 帯 債 務 者 連 帯 保 証 人 の 債 務 を 含 む) これに 伴 い 抵 当 権 の 被 担 保 債 権 金 額 も 減 額 する( 物 上 保 証 人 の 場 合 を 含 む) 以 下 のすべてを 満 足 すること 1 担 保 住 宅 のある 地 域 が 激 甚 災 害 指 定 を 受 けたこと 15 耐 震 住 宅 建 築 促 進 モラルハザード 防 止 リスクミティゲーションの 観 点 から 一 定 の 耐 震 性 能 を 有 する 住 宅 のみと 対 象 とする 参 考 日 本 住 宅 性 能 表 示 基 準 より 等 級 1 ( 標 準 的 な 基 準 ) 等 級 2 等 級 3 極 めて 稀 に( 数 百 年 に 一 度 程 度 ) 発 生 する 地 震 による 力 ( 建 築 基 準 法 施 行 令 第 88 条 第 3 項 に 定 めるもの)に 対 して 倒 壊 崩 壊 等 しな い 程 度 同 上 の 1.25 倍 の 力 に 対 して 倒 壊 崩 壊 等 しない 程 度 同 上 の 1.5 倍 の 力 に 対 して 倒 壊 崩 壊 等 しない 程 度 37