1 日 本 語 で 自 己 紹 介 をする POINT 1 会 話 を 始 めるとき どうしますか POINT 1 のねらいは 自 ら 積 極 的 に 日 本 語 でインターアクションを 始 めるにはどうしたら いいか 考 えてもらい 実 際 の 場 面 で 使 う 方 法 を 学 習 することです 1 こんなとき どの 人 に どう 話 しかけますか 表 現 例 A : 男 の 人 が 食 べ 物 を 取 ろうとしている 例 )お 皿 を 持 って 料 理 おいしそうですね あの 何 がおいしいですか など B : 2 人 の 女 の 人 がお 皿 を 持 って 立 ち 話 をしている 例 ) あの 何 か 食 べますか 料 理 を 取 りに 行 きますか など C : 男 の 人 が 飲 み 物 を 持 って 立 っている 例 ) あの 何 を 飲 んでいるんですか そのジュース おいしいですか すみません ジュースはどこにあるんですか など D : 4 人 の 男 女 がワイワイ 話 している( 空 席 なし) 例 ) あの すみません 私 も 座 ってもいいですか すみません あの イスを 持 ってきて いっしょに 話 してもいいですか など E : 2 人 の 男 女 が 座 って 話 している( 空 席 あり) 例 ) この 席 空 いていますか すみません ここに 座 ってもいいですか あの いっしょに 話 してもいいですか など F : 3 人 の 男 女 が 立 ち 話 をしている 例 ) あの いっしょに 話 してもいいですか 楽 しそうですね など A B C のように 食 べ 物 や 飲 み 物 などの 見 える 手 がかりがあれば それをきっかけに 話 を 始 めると いいでしょう D E F のように 特 に 手 がかりがない 場 合 は 席 があいているか 会 話 に 参 加 してもいいか に ついて 尋 ねると 輪 に 入 りやすいです 話 しかけるときは 突 然 話 しかけるのではなく あの や すみません などのフィラーや 前 置 きの 表 現 を 入 れることが 重 要 です 唐 突 に 話 を 始 めて 相 手 を 驚 かせてしまう 学 習 者 がいるので 事 前 に 確 認 し ておくといいでしょう 1 課 _1
2 相 手 が 日 本 語 で 話 さなかったら どうしますか 日 本 語 で 話 したいとき どのように 言 ったらいいか 考 えてもらいましょう 下 記 のような 表 現 が 考 えられ ます 表 現 例 控 えめに あの すみません 日 本 語 で 話 してもいいですか もっと 上 手 になりた いので 非 英 語 圏 の 場 合 あ すみません 英 語 がわからないので 日 本 語 でもいいですか 授 業 で 学 習 者 から 日 本 人 はなぜ 英 語 で 話 したがるのか と 聞 かれることがあります 日 本 人 の 対 応 は 場 面 の 状 況 や 英 語 能 力 によって 異 なると 思 いますが 相 手 は 日 本 語 がわからないかもしれない と 気 をつ かって 英 語 を 使 う 場 合 もあるでしょう 教 科 書 のイラストを 見 て どうして 直 美 さんは 英 語 で 話 してい ると 思 いますか などと 質 問 し クラスで 話 し 合 うといいでしょう フィラーや 前 置 き 表 現 ( 例 : あの すみません など)を 言 わずに 日 本 語 でお 願 いします 日 本 語 で 話 したいです と 言 うと 強 い 響 きになり 相 手 を 驚 かせてしまう 場 合 があります すみません な どの 表 現 で 相 手 に 配 慮 を 示 し 丁 寧 に 自 分 の 意 志 を 伝 えるようにします お 詫 びと 訂 正 イラストのセリフ 部 分 ( 誤 ) I'm Nomi Nagai ( 正 ) I'm Naomi Nagai POINT 2 初 めて 会 った 人 と どんな 話 題 について 話 しますか POINT 2 のねらいは 初 対 面 場 面 の 話 題 選 択 について 注 意 を 向 け 次 の 2 点 について 考 え てもらうことです どのような 話 題 が 適 切 か 注 意 したほうがいい 話 題 はどのようなものか 1 初 めて 会 った 人 に 次 の 話 題 について 質 問 されました あなたはどう 思 いますか [ ]に A ~ D(あ なたの 気 持 ち)を 書 いてください まず 個 人 で 表 の[ ]に A ~ D(あなたの 気 持 ち)を 書 いてもらいます 次 にペア グループまたは 全 体 で 他 の 人 がどのような 回 答 になったか 共 有 します 全 体 で 共 有 するとき 学 習 者 から C: 変 だなあ D: 答 えたくない という 回 答 があった 項 目 については な ぜそう 思 いますか などと 質 問 し 学 習 者 の 考 えを 聞 きます これにより 自 分 と 異 なる 他 者 の 意 見 に 気 づき 話 題 選 択 に 対 する 意 識 が 高 まります ここでは 家 族 趣 味 のように 大 きい 項 目 を 取 り 上 げているため 質 問 内 容 によっては B: 大 丈 夫 になったり C: 答 えたくない になったりする 場 合 があります 例 えば 家 族 は 何 人 ですか という 質 問 は B: 大 丈 夫 ですが 複 雑 な 家 族 事 情 があるため 家 族 構 成 についての 質 問 には D: 答 えたく ない という 場 合 などです 家 族 宗 教 仕 事 アルバイト などは 多 様 な 質 問 が 考 えられる 項 目 です これらの 項 目 については さらに 具 体 的 な 質 問 内 容 についても 話 し 合 うといいでしょう 1 課 _2
POINT 3 初 めて 会 った 人 と 楽 しく 会 話 を 続 けたいとき どうしますか POINT 3 のねらいは 初 対 面 場 面 の 関 係 づくりに 重 要 な 話 の 続 け 方 について 考 えてもらい 実 際 の 場 面 で 話 を 続 ける 方 法 を 学 習 することです 1 相 手 の 話 題 に 興 味 を 持 って 話 を 深 める 学 習 者 の 言 語 によっては 相 手 の 話 を 聞 くとき 日 本 語 のように あいづち を 頻 繁 に 使 用 しないことも あるようです また あいづちを 練 習 すると わざとらしくなってしまう 場 合 があるので 会 話 例 (p. 11)や あいづち (p. 208)などを 使 い 自 然 なあいづちを 練 習 しましょう 相 手 に 質 問 をするとき 一 方 的 に 質 問 をするとインタビューのように 不 自 然 なインターアクションになっ てしまいます 自 分 の 話 も 適 度 に 入 れながら お 互 いにやり 取 りをするように 注 意 しましょう れんしゅう 練 習 2 相 手 の 話 を 聞 いて 話 を 深 める 練 習 をしましょう POINT 2 の 話 題 選 択 と POINT 3 の 会 話 の 続 け 方 を 意 識 して 練 習 します 話 す 時 間 (3 分 )は 目 安 とし 学 習 者 のレベルによって 調 整 してください 2 自 分 のことについて 詳 しく 話 す 直 美 さんの 話 の 場 合 次 のように 話 が 進 むことが 考 えられます わたし せんもん こくさいかんけい 私 の 専 門 は 国 際 関 係 です とてもおもしろいです なお み 直 美 さん 1あなた: そうですか 次 の 話 題 に 移 ってしまう 2あなた: 関 連 した 質 問 をする 直 美 が 質 問 に 答 える 例 ) 国 際 関 係 の 特 にどんなことを 勉 強 していますか どうしてその 専 門 を 選 びましたか など 3あなた: 短 く 自 分 の 話 をする すぐに 次 の 話 題 に 移 ってしまう 例 ) 私 の 専 門 は 経 済 です ちょっと 難 しいです 祐 太 さんの 話 の 場 合 次 のように 話 が 進 むことが 考 えられます ゆう た 祐 太 さん わたし せんもん こくさいかんけい ひがし れき し けいざい べんきょう 私 の 専 門 は 国 際 関 係 で 東 アジアの 歴 史 や 経 済 について 勉 強 こ れき し だい す しています 子 どものときから 歴 史 が 大 好 きなので いろ くに れき し べんきょう いろな 国 の 歴 史 が 勉 強 できて とてもおもしろいです 1あなた: そうですか 次 の 話 題 に 移 る 2あなた: 関 連 した 質 問 をする 祐 太 が 質 問 に 答 える 例 ) 将 来 東 アジアに 関 係 する 仕 事 をしたいですか 1 課 _3
中 国 語 や 韓 国 語 が 話 せますか 特 にどの 時 代 の 歴 史 を 勉 強 していますか など 3あなた: 少 し 詳 しく 自 分 の 話 をする 次 の 話 題 に 移 る 例 : 私 の 専 門 は 教 育 で 卒 業 したら 先 生 になりたいと 思 っています 子 どもが 大 好 きなので 小 学 校 で 教 えたいです *1のように 次 の 話 題 に 移 る 場 合 直 美 さんの 話 では 専 門 しか 伝 わりませんが 祐 太 さんの 話 で は 祐 太 さんの 専 門 国 際 関 係 を 専 門 にした 理 由 おもしろいと 思 う 理 由 などが 詳 しく 伝 わ ります *2のように 関 連 した 質 問 をする 場 合 直 美 さんのほうは 基 本 的 な 質 問 のやり 取 りが 多 くなり 話 が 深 まりにくいですが 祐 太 さんの 話 は 情 報 量 があるので そこから 話 を 深 めたり 広 げたりし やすくなります *3のように 自 分 の 話 をする 場 合 相 手 の 発 話 量 にあわせて 発 話 することが 多 いです 直 美 さんの 場 合 短 いやりとりが 続 き 話 を 深 めることが 難 しくなります また 祐 太 さんの 話 のように 情 報 が 多 いと 例 えば 私 も 日 本 の 歴 史 が 好 きです などのように 共 通 点 が 見 つけやすく 話 を 深 めやすくなります *1 回 のターンが 長 すぎると 一 方 的 に 話 すことになるので 注 意 しましょう 自 分 が 話 したあとに ~さんは? と 相 手 の 情 報 を 聞 くことも 大 切 です 3 共 通 点 を 見 つける 今 まで 授 業 で 行 った 私 のクラスのインターアクション の 実 際 の 活 動 をみると 共 通 点 が 早 く 見 つかっ たペア グループのほうが 話 が 盛 り 上 がり すぐに 打 ち 解 けたり そのあとの 関 係 が 築 きやすくなった りする 傾 向 にあります 実 際 に 体 験 し 振 り 返 りを 行 ったときに この 部 分 の 大 切 さに 気 づく 学 習 者 もいるので フィードバック の 際 に 気 づきを 促 すといいでしょう POINT 4 相 手 の 言 ったことがわからないとき どうしたらいいですか POINT 4 のねらいは 相 手 の 言 ったことがわからないとき どのように 解 決 をするかを 考 えることです 問 題 を 解 決 する 方 法 の 1 つとして 聞 き 返 しの 方 法 を 学 習 します 相 手 の 発 話 がわからないからといって 聞 き 返 しをしすぎると インターアクションの 妨 げになります 最 少 の 聞 き 返 しで 問 題 を 解 決 するためには 適 切 な 返 答 が 得 られるように 聞 き 返 しのしかたを 工 夫 する 必 要 があります 相 手 の 言 ったことの 何 がわからなかったのかによって 聞 き 返 しのしかたを 変 えると 成 功 率 が 高 まります 必 要 に 応 じて 聞 き 返 し (pp. 206 ~ 207)を 参 考 にしてください 1 話 がぜんぜんわかりませんでした 答 え:cが 一 番 適 切 a: は? は 学 習 者 の 言 語 によっては よく 使 うあいづちの 1 つで 無 意 識 に 使 っている 場 合 が 見 1 課 _4
られる 日 本 語 の 初 対 面 場 面 では 失 礼 な 印 象 を 与 えるので 気 をつけるように 指 導 する b: 何 がわからないのかが 不 明 確 で 適 切 な 返 答 を 得 にくい c: 私 の 以 降 が 聞 きとれていないことが 相 手 に 伝 わり 適 切 な 返 答 を 得 やすい 2 文 や 言 葉 の 一 部 が 聞 きとれませんでした 答 え:bが 一 番 適 切 a: 何 がわからないのかが 不 明 確 なので 適 切 な 返 答 を 得 にくい b: できるだけ 聞 きとれなかった 部 分 を 特 定 して 聞 き 返 すことで 次 の 相 手 の 答 えが 明 確 になる c:もう 一 度 同 じことを 繰 り 返 す 場 合 さらに 聞 き 返 しが 必 要 になる 可 能 性 が 高 くなる 3 言 葉 は 聞 きとれましたが 意 味 がわかりませんでした 答 え:bとcが 適 切 a: 相 手 の 言 葉 を 繰 り 返 す 場 合 相 手 に 言 葉 の 意 味 を 理 解 していないことが 伝 わらず 適 切 な 回 答 を 得 られない 可 能 性 が 高 い b: 意 味 がわからないことが 伝 わり 適 切 な 返 答 を 得 やすい c: 意 味 がわからないことが 伝 わり 適 切 な 返 答 を 得 やすい 4 言 葉 の 意 味 がはっきりわかりませんでした 答 え:bが 一 番 適 切 a: 相 手 に 聞 き 返 しとして 受 け 取 られないので 不 適 切 b: 自 分 の 解 釈 とともに 聞 き 返 すと 適 切 な 返 答 を 得 やすい c: 推 測 で 返 答 すると あとで 問 題 になる 可 能 性 があるので 不 適 切 5 相 手 の 言 ったことがわからないとき あなたはどうしますか ここでは 教 科 書 で 練 習 したように 聞 き 返 しをして 言 葉 で 伝 えてもらうだけではなく 絵 を 描 いてもらう ジェスチャーを 使 ってもらう 写 真 を 見 せてもらう などの 方 法 も 考 えられます 場 面 や 状 況 によって 方 法 が 異 なるので 学 習 者 がよく 困 る 場 面 や 状 況 を 具 体 的 に 取 り 上 げて 考 えてみる といいでしょう 例 ) 具 体 的 な 場 面 : 道 に 迷 って 近 くにいる 人 に 道 を 聞 く 問 題 ( 相 手 の 言 ったことがわからない)を 軽 減 したり 起 こらないようにするには どうしたらよいかに ついて 考 えることも 大 切 です れんしゅう 練 習 2 聞 き 返 しの 練 習 をしましょう 教 師 がクラスのニーズにあった 練 習 問 題 を 追 加 すると 効 果 的 です 例 えば 地 域 方 言 若 者 言 葉 キャン パス 言 葉 職 場 の 専 門 用 語 などを 入 れた 練 習 にしたり 流 行 語 を 入 れた 練 習 にしたりすると 楽 しく 練 習 が できます 1 課 _5
POINT 5 会 話 を 終 えたいとき どう 言 いますか POINT 5 のねらいは 印 象 よく 会 話 を 終 え 今 後 も 関 係 を 継 続 させるための 表 現 を 学 習 す ることです 教 科 書 の 表 現 例 を 参 考 に 具 体 的 に 相 手 を 想 像 して( 例 : 同 じ 大 学 の 趣 味 が 同 じ 人 / 年 上 の 地 域 の 人 住 まいが 近 い 人 ) いくつかの 自 分 なりの 締 めの 話 し 方 を 考 えさせるといいでしょう 1 課 _6