痛み(Pain)の定義



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Transcription:

緩 和 ケア 疼 痛 コントロール 担 当 井 上 莊 一 郎 ( 麻 酔 科 緩 和 ケア 科 ) 到 達 することが 必 須 である 目 標 がん 性 疼 痛, 痛 みのアセスメント,WHO 方 式 がん 性 疼 痛 治 療 痛 みの 分 類 ( 侵 害 受 容 性 疼 痛 ( 体 性 痛 内 臓 痛 ), 神 経 障 害 性 疼 痛, 突 出 痛 ) 痛 みに 影 響 する 要 因 ( 身 体 的, 精 神 的, 社 会 的,スピリチュアルな 要 因 ) 非 オピオイド オピオイド( 薬 理 学 的 特 徴,タイトレーション, 副 作 用 とその 対 策 ) 到 達 することが 望 ましい 目 標 鎮 痛 補 助 薬,オピオイド ローテーション, 鎮 痛 薬 投 与 以 外 の 鎮 痛 法 の 適 応 ( 放 射 線 療 法, 神 経 ブロック, 外 科 的 療 法 )

痛 み(Pain)の 定 義 An unpleasant sensory and emotional experience associated with actual or potential tissue damage, or described in terms of such damage. 組 織 の 実 質 的 あるいは 潜 在 的 な 傷 害 に 結 びつくか,そのような 傷 害 を 表 す 言 葉 を 使 って 表 現 される 感 覚, 情 動 体 験 実 際 に 組 織 損 傷 が 起 こったか,あるいは 組 織 損 傷 の 可 能 性 のあると き,またはそのような 損 傷 を 表 す 言 葉 によって 述 べられる 不 快 な 感 覚 と 情 動 体 験

全 人 的 苦 痛 (Total Pain) 身 体 的 苦 痛 痛 み 他 の 身 体 症 状 日 常 生 活 動 作 の 支 障 精 神 的 苦 痛 不 安 いらだち うつ 状 態 全 人 的 苦 痛 (total pain) 社 会 的 苦 痛 経 済 的 な 問 題 仕 事 上 の 問 題 家 庭 内 の 問 題 スピリチュアルな 苦 痛 生 きる 意 味 への 問 い 死 への 恐 怖 自 責 の 念

痛 みの 病 因 による 分 類 侵 害 受 容 性 疼 痛 nociceptive pain 痛 覚 受 容 器 の 刺 激 体 性 somaticと 内 臓 性 visceral 組 織 の 侵 害 受 容 器 の 刺 激 警 報 の 役 目 急 性 痛 の 大 部 分 外 傷, 術 後, 急 性 炎 症 慢 性 痛 にも 大 いに 関 与 慢 性 痛 の 急 性 増 悪, 慢 性 炎 症, 虚 血, 癌 性 疼 痛 非 侵 害 受 容 性 疼 痛 神 経 障 害 性 ( 神 経 因 性 ) neuropathic 神 経 系 の 一 次 的 な 損 傷 やその 機 能 異 常 が 原 因 となる, もしくはそれによって 惹 起 される 疼 痛 心 因 性 psycogenic

神 経 障 害 性 疼 痛 neuropathic pain 発 症 機 序 不 詳 ( 刺 激 伝 達 の 質 の 変 化?) 侵 害 受 容 体 の 感 受 性 増 大 脊 髄 後 角 細 胞 のシナプス 異 常 形 成 脱 髄 線 維 の 再 生 異 常 交 感 神 経 線 維 異 常 分 布 など 心 因 性 疼 痛 痛 みを 説 明 できる 病 態 が 現 在 はない 身 体 表 現 性 障 害 ( 心 身 症 ) 精 神 科 心 療 内 科 との 境 界 領 域 治 療 難 特 徴 的 な 症 状 ビリビリ,ピリピリ しびれる, 電 気 が 走 る, 刺 される, 切 り 刻 まれる,ような 特 徴 的 な 所 見 自 発 痛 痛 覚 過 敏 : 侵 害 性 刺 激 に 対 する 閾 値 が 低 下 アロディニア: 通 常 痛 みを 引 き 起 こさない 刺 激 ( 触 覚 )などで 惹 起 される 疼 痛 特 効 的 な 治 療 がない

痛 みの 認 知 と 抑 制 のメカニズム

組 織 傷 害 により 誘 発 される 痛 み

末 梢 神 経 線 維 と 受 容 体 の 種 類

内 臓 痛 受 容 器 大 脳 受 容 器 C 線 維 受 容 器 C 線 維 視 床 体 性 痛 侵 害 受 容 器 C 線 維 Aδ 線 維 C 線 維 神 経 叢 脊 髄 脊 髄 視 床 路

痛 みの 性 状 と 分 類 内 臓 痛 体 性 痛 神 経 障 害 性 疼 痛 腹 部 腫 瘍 の 痛 みなど 局 在 が あいまいで 鈍 い 痛 み.ズーン と 重 い 骨 転 移 など 局 在 がはっきりし た 明 確 な 痛 み. ズキッとする 神 経 叢 浸 潤 脊 髄 浸 潤 など びりびり 電 気 が 走 るような し びれる じんじんする 痛 み オピオイドが 効 きや すい 突 出 痛 に 対 するレス キューの 使 用 が 重 要 になる 難 治 性 で 鎮 痛 補 助 薬 を 必 要 とすること が 多 い

下 行 性 抑 制 系 の 神 経 伝 達 物 質

痛 みのある 患 者 を 診 る, 看 る 傾 聴, 共 感, 支 持, 保 証 疼 痛 の4 要 素 部 位 どこが 痛 いですか?. 圧 痛 の 有 無, 炎 症 の 有 無, 組 織 傷 害 の 有 無, 放 散 痛 の 有 無. 必 要 なら 画 像 検 査 などを 用 いて 評 価 程 度 痛 みはどの 程 度 ですか?, 眠 ることはできますか? 性 質 どのような 種 類 の 痛 みですか?. 鋭 い 鈍 い, 急 性 慢 性, 持 続 的 断 続 的, 自 発 痛 運 動 時 痛. 神 経 系 の 診 察, 筋 骨 格 系 の 診 察 疼 痛 以 外 の 症 状, 所 見 < 注 意 点 > 癌 患 者 の 痛 みがすべて 癌 による 痛 みとは 限 らない. がある 新 しく 出 現 した 症 状 は 新 しい 病 変 や 症 状 の 出 現 の 可 能 性 を 考 える 必 要

痛 みの 程 度 の 評 価 visual analogue pain score (VAPS) 視 覚 アナログ 尺 度 なし numerical rating score (NRS) 0(なし)~10 ( 耐 えられない) ( 想 像 を 絶 する 痛 み) face pain scale 耐 えられない 想 像 を 絶 する 11 段 階 の 評 価 定 量 的, 精 密? 世 界 的 なgold standard 事 前 に 説 明 が 必 要,やや 煩 雑 非 日 常 的 な 表 現 簡 単,VAPSとの 良 好 な 相 関 事 前 に 説 明 が 必 要, 非 日 常 的 な 表 現, 特 定 の 数 字 に 集 中 簡 単, 小 児 や 意 識 障 害 者 OK 事 前 に 説 明 が 必 要, 疼 痛 以 外 の 症 状 の 影 響, 痛 み 無 し= 笑 顔? verbal descriptor (category or rating) scale ( VDS, VCS,VRS ) 無 し, 弱 ( 軽 ), 中 ( 中 等 度 ), 強, 最 悪 (nil),(mild),(moderate),(severe),(worst) 簡 単, 日 常 的 な 表 現 大 雑 把, 評 価 者 の 誘 導

痛 みのパターンを 聞 く 持 続 痛 と 突 出 痛 に 分 けられる 一 日 中 ずっと 痛 い 時 々 痛 くなる 10 10 10 0 0 0 持 続 痛 持 続 痛 + 突 出 痛 突 出 痛

悪 性 腫 瘍 患 者 にみられる 痛 み 悪 性 腫 瘍 自 体 による 痛 み 軟 部 組 織, 骨 組 織, 神 経 組 織 への 浸 潤, 神 経 組 織 の 圧 迫, 内 臓 閉 塞 悪 性 腫 瘍 に 関 連 する 痛 み 筋 攣 縮,リンパ 浮 腫, 便 秘, 褥 瘡 悪 性 腫 瘍 の 治 療 処 置 に 関 連 した 痛 み 化 学 療 法 による 粘 膜 病 変, 慢 性 の 術 後 痛, 感 染, 放 射 線 皮 膚 炎, 注 射, 薬 物 による 神 経 症 状 など 併 存 疾 患 による 痛 み

治 療 の 目 標 第 1 目 標 痛 みに 妨 げられずに 眠 ることができる 状 態 第 2 目 標 安 静 時 に 痛 みがない 状 態 第 3 目 標 体 動 時 にも 痛 みがない 状 態

WHO 方 式 癌 性 疼 痛 治 療 の 原 則 by mouth 経 口 投 与 が 基 本 ( 非 侵 襲 的, 非 拘 束 的 ) by the ladder WHOのラダーに 沿 って, 痛 みの 強 さに 応 じた 薬 剤 を 選 択 for the individual 患 者 にみあった 個 別 的 な 量 を 投 与 する by the clock 時 間 を 決 めて 定 期 的 に 投 与 する 疼 痛 時 のみ で 使 用 しない attention to detail そして, 患 者 に 合 わせた 細 かい 配 慮 を 副 作 用 対 策, 睡 眠 障 害 対 策, 心 のケア

WHOのラダー モルヒネ,オキシコドン, フェンタニル コデイン,オキシコドン( 少 量 ) トラマドール 非 ステロイド 性 消 炎 鎮 痛 薬 アスピリン ロキソプロフェン ジクロフェナク COX-2 選 択 性 の 高 いもの アセトアミノフェン

オピオイドの 剤 形 と 製 剤 の 選 択 経 口 非 経 口 速 放 性 製 剤 徐 放 性 製 剤 注 射 剤 坐 剤 貼 付 剤 オプソ モルヒネ( 散 水 ) オキノーム MSコンチン カディアン ピーガード パシーフ モルペス MSツワイスロン オキシコンチン モルヒネ 注 フェンタニル 注 パビナール アンペック 坐 薬 デュロテップ

モルヒネの 薬 理 作 用 - 血 中 濃 度 との 関 係 - 武 田 文 和 :がんの 痛 みの 鎮 痛 薬 治 療 マニュアル,pp. 64-68, 金 原 出 版, 東 京 (1994)

オピオイドの 比 較 モルヒネ 剤 形 が 豊 富. 経 口 ( 速 放 性 徐 放 性 製 剤 ), 静 注, 皮 下 注, 経 直 腸 など 様 々 な 投 与 経 路 の 変 更 に 対 応 可 能. 各 投 与 経 路 間 の 換 算 比 が 確 立. 腎 障 害 が ある 場 合, 活 性 代 謝 産 物 (M-6-G)が 蓄 積 して 傾 眠 や 呼 吸 抑 制 などが 生 じ やすい オキシコドン フェンタニル 経 口 剤 ( 速 放 性, 徐 放 性 製 剤 )と, 複 合 剤 である 注 射 剤 がある. 活 性 代 謝 産 物 は 微 量 に 生 成 されるが 腎 機 能 障 害 による 影 響 を 受 けにくい. 徐 放 製 剤 の 最 小 規 格 には5mgがあり, 最 低 用 量 での 開 始 が 可 能. 注 射 剤 と 経 皮 吸 収 型 の 貼 付 剤 がある( 内 服 薬 がない!).レスキューはモ ルヒネまたはオキシコドンの 速 放 性 製 剤. 貼 付 剤 は72 時 間 作 用 が 持 続 する が, 増 量 や 減 量 の 際 の 調 節 性 は 劣 る. 他 のオピオイドに 比 して 便 秘 眠 気 などの 副 作 用 の 頻 度 が 低 い.

オピオイド 力 価 表 モルヒネ 坐 薬 40mg = フェンタニル 経 皮 吸 収 製 剤 デュロテップMT 4.2mg/3d 経 口 オキシコドン 40mg = 経 口 モルヒネ 60mg = デュロテップ 2.5mg/3d = = モルヒネ 注 30mg フェンタニル 注 0.6mg

オピオイド 導 入 時 の 注 意 点 1.レスキュー 痛 みの 悪 化 にそなえて 指 示 を 出 す. 基 本 は 徐 放 性 製 剤 と 同 じ 種 類 のオピオイドを 用 いる. 投 与 量 の 原 則 は, 内 服 坐 薬 はオピオイド1 日 量 の6 分 の1 量. 持 続 注 射 では1 時 間 量 を 早 送 り. 内 服 は1 時 間 以 上 あけて, 持 続 注 射 では15 ~30 分 以 上 あけて 繰 り 返 し 使 用 してよい

オピオイド 導 入 時 の 注 意 点 2. 副 作 用 対 策 : 悪 心 嘔 吐, 便 秘, 眠 気, 掻 痒 感 便 秘 : ほぼ 全 員 に 生 じる. 導 入 時 から 併 用. 軟 便 化 する 浸 透 圧 下 剤 と 腸 蠕 動 を 亢 進 させる 大 腸 刺 激 性 下 剤 悪 心 嘔 吐 : 投 与 初 期 にみられることがある. 頻 度 は 約 30%. 一 旦 出 現 するとオピオイドの 投 与 が 困 難 になるので, 予 防 対 策 が 必 須. 一 方, 漫 然 な 投 与 にも 注 意 が 必 要 眠 気 : 開 始 数 日 には 見 られることが 多 い. 患 者 にとって 不 快 であれば 対 処 を 始 める. 対 処 法 は,オピオイドの 減 量,オピオイドローテー ション, 他 の 薬 剤 の 見 直 し

1000 モルヒネの50% 鎮 痛 用 量 に 対 する 各 種 薬 理 作 用 の 比 率 357.5 100 10 2.6 3.4 10.4 1 1 0.1 0.1 0.02 0.01 便 秘 悪 心 嘔 吐 鎮 痛 行 動 抑 制 カタトニー 呼 吸 抑 制 死 亡

オピオイドローテーション < 目 的 > 鎮 痛 が 十 分 ではない,または 副 作 用 で 生 活 に 支 障 があ るときに,オピオイドの 種 類 を 変 更 すること < 方 法 > 力 価 表 に 従 って, 現 在 のオピオイドと 等 価 の 新 しいオピ オイドの 投 与 量 を 決 め 変 更 投 与 量 が 多 いときに( 経 口 モルヒネ 換 算 120mg 以 上 )は 原 則 として 一 度 に 変 更 せずに,30~50%づつ 置 き 換 える 投 与 経 路 も 同 時 に 変 更 される 場 合 もある <オピオイドローテーションを 行 うタイミング> 可 能 な 限 り 副 作 用 対 策 を 行 い,それでも 改 善 しない 場 合

タイトレーション 鎮 痛 が 得 られるまでオピオイドを 繰 り 返 し 投 与 する < 目 的 > 痛 みの 緩 和,レスキュー,オピオイドの 必 要 量 をみ つける < 方 法 > 少 量 の 速 効 性 オピオイドを 繰 り 返 し 投 与 する.オピ オイド 投 与 中 であればレスキュー 量 が 原 則

痛 い オ ピ オ イ ド の 増 量 レ ス キ ュ ー 痛 い 眠 くない 気 持 ち 悪 くない 痛 い 眠 い 気 持 ち 悪 い 痛 くない 眠 い 気 持 ち 悪 い 判 断 : 保 留 オピオイド 不 足? 吸 収 障 害? 血 中 濃 度 が 上 がらない 病 態? オピオイドの 効 かない 痛 み? 対 処 :オピオイド 増 量 の 前 に, 投 与 経 路 を 考 える! 判 断 :オピオイドは 無 効 オピオイドの 効 かない 痛 み? 判 断 :オピオイドは 鎮 痛 には 有 効 レスキュー 投 与 量 は 減 らす ローテーション? 痛 くない 調 子 よい! 判 断 :オピオイドは 有 効 レスキュー 量 も 適 量 1 日 量 を 再 考

オピオイドが 効 きにくい 痛 み オピオイドによって 良 好 な 鎮 痛 が 得 られるのは70~80% 程 度 鎮 痛 効 果 がえられないときに 考 えなくてはいけないこと オピオイドの 血 中 濃 度 上 昇 が 不 十 分 投 与 量 の 絶 対 的 な 不 足 増 量 服 用 回 数 が 守 られていない 時 間 の 遵 守 吸 収 不 全 ( 消 化 管 狭 窄 閉 塞, 嘔 吐, 便 秘, 下 痢. 経 口 摂 取 量 低 下, 広 範 囲 小 腸 切 除 術 後, 胃 管 などによるドレナージ 投 与 経 路 の 変 更 オピオイドが 無 効 な 疼 痛 の 存 在 神 経 因 性 疼 痛, 消 化 管 閉 塞, 急 速 な 膜 ( 骨 膜, 髄 膜, 胸 膜, 腹 膜 )や 皮 下 組 織 の 進 展, 褥 瘡, 緊 張 性 頭 痛

神 経 障 害 性 疼 痛 末 梢 または 中 枢 神 経 の 障 害 や 機 能 障 害 による 疼 痛. 慢 性 に 経 過 し, 難 治 性 原 因 : 癌 によるもの: 神 経 叢 の 破 壊 浸 潤, 神 経 根 への 浸 潤, 脊 髄 圧 迫 癌 治 療 によるもの: 手 術 後 の 創 部 痛, 幻 肢 痛, 抗 がん 剤 による 末 梢 神 経 障 害, 放 射 線 治 療 による 神 経 叢 の 破 壊 その 他 : 帯 状 疱 疹 後 神 経 痛, 糖 尿 病 性 末 梢 神 経 障 害, 脳 血 管 後 遺 症 に 伴 う 神 経 痛 治 療 法 : 神 経 ブロック, 鎮 痛 補 助 薬 ( 抗 痙 攣 薬, 抗 うつ 薬, 抗 不 整 脈 薬,NMDA 受 容 体 拮 抗 薬 ), 理 学 療 法 Pain relief in advanced cancer, Churchill Livingstone, New York, 68, 1994

鎮 痛 補 助 薬 ビリビリした 痛 みやじんじんした 痛 みなど( 神 経 障 害 性 疼 痛 )で 有 効 な 可 能 性 がある 十 分 なエビデンスと 保 険 適 応 がない 薬 剤 が 多 い 三 環 系 抗 うつ 薬, 四 環 系 抗 うつ 薬, 抗 てんかん 薬,ステロイド, 抗 不 整 脈 薬,ケタミン,など. 骨 転 移 の 場 合 にはビスホスホン 酸 製 剤 鎮 痛 補 助 薬 の 有 効 性 :40~60% 副 作 用 ( 主 に 眠 気 )があるので, 効 果 と 副 反 応 とのバランスを とりながら 処 方

治 療 に 抵 抗 する 痛 みの 治 療 単 独 の 薬 剤, 単 独 の 方 法 に 頼 らない 神 経 ブロック 選 択 肢 のひとつ.オピオイド 減 量 効 果 に 期 待. 体 動 時 の 痛 み,あたためると 和 らぐ 痛 みに 有 効, 施 行 例 は 少 ない 可 逆 的 ブロック 時 限 的 硬 膜 外 鎮 痛 ( 拘 束 的 ),クモ 膜 下 オピオイド, 診 断 的 な 末 梢 神 経 ブロック, 末 梢 神 経 熱 凝 固 療 法 非 可 逆 的 ブロック 運 動 神 経 遮 断, 血 圧 低 下 クモ 膜 下 フェノールブロック, 腹 腔 神 経 叢 ブロック, 肋 間 神 経 ブロックなど

治 療 のSTEP オピオイドローテーション or 鎮 痛 補 助 薬 定 期 オピオイドの 増 量 30~50%/1~3 日 ごと NSAIDs 最 大 投 与 量 まで 増 量 放 射 線 治 療 神 経 ブロック STEP1 STEP2 STEP3

オピオイドに 関 連 する 用 語 麻 薬 : 麻 薬 及 び 向 精 神 薬 取 締 法 によって 麻 薬 と 指 定 され, 規 制 を 受 けている 薬 物 の 総 称. オピオイド 麻 薬 麻 薬 性 鎮 痛 薬 :オピオイドのなかで, 法 で 規 制 されているもの(モルヒネ,フェンタニ ル,ペチジン,オキシコドンなど) 薬 理 学 的 には 完 全 作 動 薬. 投 与 量 依 存 性 に 鎮 痛 効 果 非 麻 薬 性 鎮 痛 薬 :オピオイドのなかで, 麻 薬 取 締 法 で 麻 薬 と 指 定 されていないも の(ペンタゾシン,ブプレノルフィン,ブトルファノール,トラマドール,エプタゾシン). 薬 理 学 的 には 部 分 作 動 薬. 天 井 効 果 拮 抗 性 鎮 痛 薬 : 一 部 のオピオイド 受 容 体 には 作 動 薬 としてはたらき, 一 部 のオピオ イド 受 容 体 に 拮 抗 作 用 をもつもの

症 例 1 54 歳 女 性, 膵 臓 癌 1 週 間 前 より 心 窩 部 から 背 部 にかけて 痛 みが 出 現. 徐 々に 強 くなってきているため 外 来 を 受 診. どこがいつから 痛 いのか? 1 週 間 前 から 心 窩 部 から 背 部 にかけて 痛 い どのように 痛 いのか? 持 続 する 鈍 痛 内 臓 痛 の 可 能 性 が 高 い 痛 みのパターンと 強 さは? 1 日 中 痛 い 強 さはNRS 3/10 痛 みの 原 因 となる 病 変 がある? 検 査 を 計 画 NSAIDs(ロキソプロフェン)の 内 服 を 開 始

症 例 1 2 週 間 後, 検 査 結 果 も 判 明 した. 心 窩 部 から 背 部 の 痛 みは 一 時 は 良 くなったものの,4~5 日 前 から 強 くなってきた. 程 度 は NRS で4/10. 寝 つきも 悪 くなっている 画 像 検 査 では 膵 体 部 に 門 脈 浸 潤 を 伴 う4cm 大 の 膵 臓 癌 を 認 め, 多 発 肝 転 移, 大 動 脈 周 囲 リンパ 節 転 移 もみられた どのようにして 痛 みをとっていけばよいだろうか? どのような 薬 剤 を 選 択 するか?

症 例 1 オキシコドンの 徐 法 製 剤 (オキシコンチン R )1 回 10 mg,1 日 2 回 投 与 を 開 始 することとした 医 療 用 の 麻 薬 であることを 説 明 レスキューとしてオキノーム R 散 2.5 mgを 処 方 した 便 秘, 悪 心 嘔 吐 対 策 も 行 った. 眠 気 の 説 明 もした 4 日 後 の 再 診 時, 痛 みの 程 度 はNRS3/10であった.レスキュー を 使 うと 痛 みの 程 度 は1/10まで 改 善 するので,1 日 4 回 服 用 し ていた どのように 対 処 すればよいだろうか?

症 例 1 定 期 的 に 服 用 するオキシコドンを 増 量 する 基 本 的 には50% 増 量 する 現 在 の1 日 20 mgを30 mgに 増 量 それまでに 使 用 した1 日 あたりのレスキューを 上 乗 せする 方 法 もある レスキューを4 回 使 用 している 2.5 4=10mgを 追 加 して 20 mg + 10 mg = 30 mgとする

症 例 1 その 後... 痛 みを 評 価 しながらオキシコンチン を 徐 々に 増 量 した 1 日 100mgから120mgに 増 量 したところ, 痛 みは 軽 減 したものの, 眠 気 が 強 くなり, 患 者 は 不 快 に 感 じていた どのように 対 処 すればよいだろうか?

症 例 1 膵 臓 癌 の 痛 みは, 腹 腔 神 経 叢 ブロックの 適 応 になることがある 必 要 に 応 じて 麻 酔 科 医,ペインクリニシャンに 相 談 オピオイドローテーションを 検 討 オキシコンチン R 120 mgをデュロテップmt R 12.6 mgに 段 階 的 にローテーション 鎮 痛 補 助 薬 の 使 用 を 検 討 専 門 家 にコンサルテーション

内 臓 痛 受 容 器 大 脳 受 容 器 C 線 維 受 容 器 C 線 維 視 床 体 性 痛 侵 害 受 容 器 C 線 維 Aδ 線 維 C 線 維 神 経 叢 脊 髄 脊 髄 視 床 路

症 例 1 膵 臓 癌 の 痛 みは, 腹 腔 神 経 叢 ブロックの 適 応 になることがある 必 要 に 応 じて 麻 酔 科 医,ペインクリニシャンに 相 談 オピオイドローテーションを 検 討 オキシコンチン R 120 mgをデュロテップmt R 12.6 mgに 段 階 的 にローテーション 鎮 痛 補 助 薬 の 使 用 を 検 討 専 門 家 にコンサルテーション

オピオイド 力 価 表 モルヒネ 坐 薬 40mg = フェンタニル 経 皮 吸 収 製 剤 デュロテップMT 4.2mg/3d 経 口 オキシコドン 40mg = 経 口 モルヒネ 60mg = デュロテップ 2.5mg/3d = = モルヒネ 注 30mg フェンタニル 注 0.6mg

症 例 1 1 2 3 4 オキシコンチン 120mg/ 日 レスキュー: オキノーム 20mg/ 回 オキシコンチン 80mg デュロテップMT 4.2mg オキシコンチン 40mg デュロテップMT 8.4mg デュロテップMT 12.6mg オキシコンチン 60 60 40 40 40 40 40 40 20 20 20 20 20 20 デュロテップMT 4.2mg 8.4mg 12.6mg

症 例 2 50 歳 女 性, 乳 癌, 多 発 骨 転 移 ロキソプロフェン R の 定 期 内 服 とデュロテップ R MTパッチ12.6 mgが 貼 付 されている.レスキューは 速 効 性 モルヒネ5mg 最 近,トイレに 行 くときには 腰 がとても 痛 い.レスキューは 使 用 して いない 安 静 にしているときに, 左 の 臀 部 や 脚 がしびれたり,びりびり 痛 く なることがある どのように 対 処 すればよいだろうか?

症 例 2 放 射 線 照 射 を 考 慮 ビスホスホネートの 点 滴 投 与 を 検 討 デュロテップMTパッチ R 12.6mgはモルヒネ 内 服 換 算 で180mg/ 日 となる. 標 準 的 なレスキュー 量 は180 6 =モルヒネ 内 服 30 mg 必 要 量 が 処 方 されておらず 増 量 とともに,レスキューの 使 用 に ついて 十 分 に 説 明 する 臀 部, 左 脚 のしびれ,びりびりした 痛 みには 抗 てんかん 薬 などを 考 慮 する