浜 と 水 試 の 情 報 交 換 会 開 催 要 領 - 東 日 本 大 震 災 に 関 する 平 成 24 年 度 第 2 回 水 産 試 験 研 究 取 組 報 告 会 - 1 目 的 東 日 本 大 震 災 後 に 宮 城 県 水 産 技 術 総 合 センター 気 仙 沼 水 産 試 験 場 等 が 実 施 した 調 査 等 の 内 容 を 漁 業 関 係 者 及 び 水 産 関 係 団 体 等 に 報 告 し, 漁 業 養 殖 業 の 復 興 に 向 けて 意 見 交 換 を 行 い, 本 県 水 産 業 の 発 展 に 資 するもの 2 開 催 日 時 平 成 25 年 3 月 4 日 ( 月 ) 午 後 1 時 30 分 から 午 後 4 時 30 分 3 開 催 場 所 宮 城 県 気 仙 沼 合 同 庁 舎 2 階 大 会 議 室 宮 城 県 気 仙 沼 市 赤 岩 杉 ノ 沢 47-6 TEL:0226-23-6880 4 主 催 宮 城 県 水 産 技 術 総 合 センター 気 仙 沼 水 産 試 験 場 5 内 容 挨 拶 場 長 酒 井 敬 一 講 演 エゾアワビの 生 態 学 的 特 性 に 基 づいた 資 源 管 理 水 産 総 合 研 究 センター 東 北 区 水 産 研 究 所 資 源 生 産 部 高 見 秀 輝 主 任 研 究 員 情 報 提 供 と 意 見 交 換 ( 仮 題 順 不 同 ) (1) 気 仙 沼 湾 における 震 災 後 の 水 質 環 境 と 同 湾 内 に 設 置 した 多 項 目 水 質 計 について ~ 震 災 前 との 環 境 の 比 較 と 多 項 目 データの 利 用 方 法 について~ 地 域 水 産 研 究 部 日 下 啓 作 (2) 各 地 天 然 ワカメと 交 配 種 の 高 温 耐 性 ~ 秋 季 の 高 水 温 に 耐 える 芽 胞 体 ( 幼 芽 )を 作 る~ 地 域 水 産 研 究 部 押 野 明 夫 (3) 養 殖 用 種 苗 の 生 産 の 現 状 と 今 後 の 展 開 ~マボヤ ホタテガイ マガキを 中 心 として~ 普 及 指 導 チーム 富 川 なす 美 (4) 先 端 的 な 養 殖 技 術 とその 導 入 の 可 能 性 ~ 先 端 技 術 による 省 力 化 と 省 コスト 化 ~ 場 長 酒 井 敬 一 6 参 集 範 囲 宮 城 県 漁 協 本 所 同 気 仙 沼 総 合 支 所 唐 桑 支 所 気 仙 沼 地 区 支 所 大 谷 本 吉 支 所 歌 津 支 所 志 津 川 支 所 北 部 地 区 漁 業 士 会 北 部 地 区 青 年 研 究 会 北 部 地 区 漁 協 女 性 部 県 漁 協 関 係 部 会 気 仙 沼 漁 業 協 同 組 合 気 仙 沼 市 南 三 陸 町 東 北 区 水 産 研 究 所 東 北 大 学 石 巻 専 修 大 学 宮 城 大 学 気 仙 沼 向 洋 高 校 気 仙 沼 地 方 振 興 事 務 所 気 仙 沼 水 産 漁 港 部 気 仙 沼 保 健 福 祉 事 務 所 県 水 産 業 振 興 課 県 水 産 業 基 盤 整 備 課 県 農 林 水 産 政 策 室 県 農 林 水 産 経 営 支 援 課 県 食 産 業 振 興 課 環 境 対 策 課 岩 手 県 水 産 技 術 センター 岩 手 県 大 船 渡 水 産 振 興 センター 気 仙 沼 市 記 者 クラブ
エゾアワビの 生 態 学 特 性 に 基 づいた 資 源 管 理 - 東 日 本 大 震 災 の 影 響 とその 後 の 動 向 - 所 属 ( 独 ) 水 産 総 合 研 究 センター 東 北 区 水 産 研 究 所 職 氏 名 資 源 生 産 部 主 任 研 究 員 高 見 秀 輝 東 日 本 大 震 災 前 のエゾアワビ 資 源 の 状 態 が 明 らかとなっている 漁 場 では 震 災 後 に 稚 貝 の 生 息 密 度 が 大 きく 減 少 したことが 明 らかとなり 数 年 後 の 漁 獲 対 象 資 源 の 減 少 が 懸 念 された そこで 震 災 影 響 の 全 体 像 およびその 後 の 資 源 の 変 化 過 程 を 明 らかにするため 三 陸 沿 岸 の 複 数 の 漁 場 におい て 特 に 資 源 の 動 向 を 左 右 する 稚 貝 期 の 生 残 について 経 時 変 化 を 調 査 した 得 られた 結 果 から エ ゾアワビの 生 態 学 的 な 特 性 を 考 慮 し 持 続 的 な 漁 業 が 可 能 となる 管 理 方 策 について 検 討 した 資 源 の 現 状 岩 手 県 大 槌 湾 宮 城 県 気 仙 沼 牡 鹿 半 島 で 震 災 前 後 におけるエゾアワビの 生 息 密 度 を 比 較 し た 結 果 殻 長 40 mm 以 上 に 成 長 した 個 体 では 牡 鹿 半 島 で 震 災 前 の 半 分 以 下 に 減 少 した 一 方 大 槌 湾 と 気 仙 沼 では 変 化 が 認 められなかった しかし 殻 長 30 mm 以 下 の 稚 貝 の 生 息 密 度 は 3 箇 所 で 共 通 して 震 災 前 と 比 較 し 減 少 した 岩 手 県 水 産 技 術 センターによる 調 査 においても 震 災 前 後 で 親 貝 は 目 立 った 減 少 が 認 められない 一 方 稚 貝 の 生 息 密 度 が 明 らかに 低 下 したこと が 判 明 している 三 陸 沿 岸 の 広 い 範 囲 で 震 災 当 時 の 当 歳 貝 (2010 年 級 群 )が 減 少 したものと 考 え られた 震 災 後 の2011 年 夏 から 秋 に 発 生 した 稚 貝 (2011 年 級 群 )の 生 残 過 程 を 宮 城 県 内 11 カ 所 の 漁 場 で 調 査 した このうち 稚 貝 の 発 生 が 多 かったほとんどの 場 所 では 2012 年 2 月 から 同 年 7 月 にかけて 生 息 密 度 が 大 きく 減 少 した 三 陸 沿 岸 のエゾアワビでは 親 潮 系 の 冷 水 が 冬 ~ 春 季 に 接 岸 し 沿 岸 水 温 が 5 以 下 に 低 下 すると 当 歳 貝 の 死 亡 率 が 著 しく 増 加 することが 知 られている 2012 年 3 月 には 三 陸 沿 岸 の 広 い 範 囲 で 冷 水 が 接 岸 し 沿 岸 水 温 が5 以 に 低 下 したため 2011 年 級 群 が 減 少 した 原 因 として 水 温 低 下 による 減 耗 が 考 えられた 今 後 の 動 向 震 災 当 時 の 当 歳 貝 である 2010 年 級 群 は 三 陸 沿 岸 の 広 い 範 囲 で 地 震 津 波 攪 乱 により 減 少 し 震 災 後 に 発 生 した 2011 年 級 群 は 冷 水 の 接 岸 によって 多 くの 場 所 で 減 耗 したことが 明 らかとな った エゾアワビは 制 限 殻 長 の 9 cm に 成 長 するまで 4~5 年 かかる したがって 現 状 で 親 資 源 が 豊 富 な 場 所 でも 震 災 から 4~5 年 たったあとに 資 源 が 減 少 し 始 める 可 能 性 がある アワビ 類 では 大 幅 に 減 少 した 資 源 を 回 復 させるのは 極 めて 困 難 である 種 苗 放 流 や 禁 漁 などの 対 策 を 講 じても 一 度 減 少 した 資 源 が 元 の 状 態 に 回 復 した 例 はほとんどない 今 後 数 年 間 は 乱 獲 に 陥 ら ないように 慎 重 な 漁 業 管 理 を 検 討 する 必 要 がある 再 生 産 を 保 障 する 親 貝 生 息 密 度 を 下 回 らな いように 注 意 しなければならない
気 仙 沼 湾 における 震 災 後 の 水 質 環 境 と 同 湾 内 に 設 置 した 多 項 目 水 質 計 について 職 氏 名 副 主 任 研 究 員 日 下 啓 作 東 日 本 大 震 災 により 気 仙 沼 湾 周 辺 の 環 境 は 著 しく 変 化 し,これに 伴 う 水 質 環 境 の 変 化 が 懸 念 され ている 現 在, 気 仙 沼 湾 では 養 殖 業 の 復 興 が 進 められており, 震 災 後 の 水 質 環 境 の 推 移 を 把 握 しな がら 適 切 な 養 殖 管 理 を 行 っていく 必 要 がある また, 今 後 の 養 殖 業 の 本 格 復 興 に 向 けては, 新 たな 技 術 や 手 法 により 生 産 の 効 率 化 や 高 度 化 を 目 指 すことが 重 要 であり,その 一 つの 方 策 として,リア ルタイムな 水 質 環 境 データの 活 用 による 種 苗 の 安 定 生 産 や, 養 殖 物 の 高 品 質 化 を 図 っていくことが 有 効 と 考 えられる 今 回 は, 気 仙 沼 湾 内 における 震 災 前 後 の 水 質 調 査 結 果 の 推 移 と, 震 災 後, 気 仙 沼 湾 に 設 置 した 多 項 目 水 質 計 について,その 利 用 方 法 も 含 めて 紹 介 する 調 査 方 法 水 質 調 査 結 果 は, 気 仙 沼 湾 内 の 7 地 点 のうち 湾 奥 ( 大 浦 ), 湾 央 ( 二 ツ 根 ), 外 洋 ( 岩 井 崎 )の 3 地 点 について, 平 成 21 年 1 月 ~ 平 成 25 年 2 月 の 0m 層 5m 層 の 水 温 栄 養 塩 濃 度 ( 無 機 三 態 窒 素 : 硝 酸 態 窒 素 + 亜 硝 酸 態 窒 素 +アンモニア 態 窒 素 ) 溶 存 酸 素 量,プランクトン 沈 殿 量 の 推 移 を 比 較 し た 海 水 中 の 有 害 物 質 濃 度 については, 震 災 直 後 の 平 成 23 年 5,6 月 は 人 と 健 康 の 保 護 に 関 する 環 境 項 目 27 項 目 と 生 活 環 境 の 保 全 に 関 する 環 境 基 準 2 項 目, 平 成 23 年 9 月 以 降 は 大 腸 菌,ヒ 素, 油 分 について 外 部 委 託 により 分 析 を 行 った また, 平 成 23 年 11 月 以 降 は 残 留 塩 素 の 簡 易 測 定 を 行 った 水 質 環 境 をリアルタイムで 把 握 し 養 殖 生 産 に 活 用 していくことを 目 的 として, 平 成 24 年 2 月 に 岩 井 崎 の 水 温 自 動 観 測 ブイ,3 月 に 二 ツ 根 の 多 項 目 水 質 計 による 自 動 観 測 を 開 始 した このうち, 二 ツ 根 の 多 項 目 水 質 計 については 水 深 3m の 水 温, 塩 分, 溶 存 酸 素,クロロフィル a 濃 度, 濁 度 ( 現 在 は 携 帯 のみ)のデータが 30 分 間 隔 で 送 信 され,ホームページで 公 開 されている 結 果 と 考 察 平 成 21 年 1 月 から 平 成 25 年 2 月 までの 水 温, 溶 存 酸 素 量,プランクトン 沈 殿 量 の 推 移 について は, 震 災 前 後 で 明 らかな 差 は 認 められなかった 栄 養 塩 濃 度 については, 震 災 後 の 平 成 23~24 年 が 震 災 前 の 平 成 21~22 年 に 比 べて 低 めで 推 移 した 傾 向 が 見 られたが, 栄 養 塩 は 沖 合 の 海 況 や 陸 水 の 流 入, 波 浪 など 多 くの 要 因 により 変 動 するため, 今 後 も 継 続 的 に 推 移 を 見 ていく 必 要 がある 海 水 中 の 有 害 物 質 については, 調 査 開 始 から 現 在 まで 検 出 されていない 大 腸 菌 については 平 成 24 年 10 月 の 雨 天 後 に 湾 奥 部 で 基 準 値 を 超 える 値 が 検 出 されたが,これ 以 外 は 水 産 用 水 基 準 より 大 幅 に 低 い 値 であった また, 残 留 塩 素 についても 調 査 開 始 から 現 在 まで 検 出 されていない 気 仙 沼 湾 岩 井 崎 の 水 温 自 動 観 測 ブイ, 二 ツ 根 の 多 項 目 水 質 計 につい ては,インターネットでリアルタイムデータの 閲 覧 が 可 能 となってい る なお, 多 項 目 水 質 計 については 下 記 のQRコードを 携 帯 電 話 に 登 録 しておくことで, 現 場 で 簡 単 に 観 測 データを 見 ることができるので, 浜 作 業 の 参 考 にぜひご 活 用 ください 今 後 の 課 題 震 災 後 の 水 質 環 境 については 今 後 も 継 続 的 に 調 査 を 行 い,データを 多 項 目 水 質 計 ( 携 帯 サイト)の 蓄 積 しながら 推 移 を 見 ていく 必 要 がある 海 上 の 自 動 観 測 ブイは 無 人 QR コード 観 測 が 可 能 であるが, 付 着 物 によるデータの 誤 差 や 故 障, 波 浪 による 流 失 等 のリスクがあるため, 適 切 な 維 持 管 理 が 今 後 不 可 欠 である
各 地 天 然 ワカメと 交 配 種 の 高 温 耐 性 職 氏 名 上 席 主 任 研 究 員 押 野 明 夫 温 暖 化 による 養 殖 漁 場 の 高 水 温 傾 向 に 対 応 するため 漁 場 の 特 性 にあった 養 殖 ワカメ 品 種 を 継 続 して 作 出 すると 共 に 地 種 の 安 定 確 保 につながるタンク 採 苗 技 術 の 普 及 も 不 可 欠 な 沖 出 し 時 の 芽 落 ち 防 止 技 術 を 開 発 する 必 要 がある 今 回 タンク 採 苗 されたワカメ 種 苗 とフリー 配 偶 体 から 発 生 させた 芽 胞 体 を 用 い 東 北 のワカメ と 気 仙 沼 種 と 各 地 域 の 交 配 種 の 高 温 耐 性 についての 検 討 したところ 品 種 によって 高 温 耐 性 が 異 な ることが 確 認 された 配 偶 体 は 長 期 間 にわたって 同 様 な 性 質 が 保 存 できることから 今 後 高 温 耐 性 が 高 い 品 種 および 交 配 種 をフリー 配 偶 体 から 作 成 すれば 高 水 温 期 でも 比 較 的 安 定 した 種 苗 の 育 成 が 可 能 となる 今 回 このワカメ 芽 胞 体 の 高 温 耐 性 について 得 られた2,3の 成 果 を 報 告 する 試 験 方 法 1 試 験 場 所 と 試 験 期 間 平 成 23 年 10 月 から 準 備 し 11 月 ~12 月 に 実 施 宮 城 大 学 食 産 業 学 部 2 試 験 系 列 1) 東 北 のワカメの 高 温 耐 性 試 験 種 苗 の 中 から 比 較 的 大 きめで 色 調 のよいもの 15 個 体 程 度 選 んで 供 試 種 苗 は 宮 城 県 水 産 技 術 総 合 センター 養 殖 生 産 部 が 天 然 ワカメを 用 いてタンク 採 苗 した 宮 古 天 然 品 種 大 槌 天 然 品 種 秋 田 天 然 品 種 と 徳 島 県 で 室 内 採 苗 された 岩 井 崎 天 然 品 種 を 使 用 (1~3mm) 2) 交 配 種 の 高 温 耐 性 試 験 ( 各 試 験 区 とも 15 個 体 前 後 0.3~0.5mm) 芽 胞 体 は 全 て 宮 城 大 学 で 配 偶 体 から 発 生 させた 気 仙 沼 市 大 島 天 然 品 種 島 根 県 隠 岐 天 然 品 種 長 崎 県 対 馬 天 然 品 種 を 使 用 3 実 験 条 件 1) 温 度 条 件 ;20~28 まで 5 段 階 ( 温 度 勾 配 培 養 装 置 ) 2) 栄 養 添 加 ; 海 水 に PESI 1L 当 たり 20mL 添 加 4 観 察 方 法 1) 観 察 間 隔 ;おおむね 12 時 間 毎 2) 芽 胞 体 の 状 態 ; 顕 微 鏡 下 で 芽 胞 体 が 傷 んでいたり 壊 死 していたらカウントする 成 果 東 北 系 統 の 気 仙 沼 岩 井 崎 天 然 大 槌 天 然 宮 古 天 然 は 22 以 上 の 温 度 帯 において 正 常 率 が 低 下 す るのに 対 し 西 日 本 系 統 の 隠 岐 種 対 馬 種 26 以 上 で 生 存 率 の 低 下 がみられ 始 めたことから 南 方 系 種 は 北 方 系 種 と 比 べ 温 度 耐 性 が 高 いことが 明 らかであった また この 温 度 耐 性 の 異 なる 種 の 交 配 は 相 互 の 中 間 値 付 近 の 温 度 耐 性 を 示 し 交 配 によって 東 北 系 統 の 温 度 耐 性 が 向 上 したことも 示 唆 される また 秋 田 天 然 ワカメは 東 北 の 品 種 でありながら 西 日 本 系 統 のワカメよりも 高 温 耐 性 が 優 れて いることが 明 らかであった ま と め 本 試 験 により 環 境 耐 性 の 高 い 品 種 の 存 在 が 確 認 され 特 に 極 めて 高 温 耐 性 に 優 れている 秋 田 品 種 については 成 長 してからの 形 態 による 選 抜 や 他 の 品 種 との 交 配 によって 良 品 質 のものが 作 出 で きるかを 今 後 検 討 する 必 要 がある また 交 配 による 高 温 耐 性 が 向 上 する 傾 向 も 認 められ 今 後 宮 城 県 のワカメ 産 業 の 維 持 のため まずは 高 温 でも 芽 落 ちしにくい 種 苗 を 安 定 生 産 して その 次 の 品 質 生 産 性 の 向 上 に 繋 げていくために 配 偶 体 の 系 統 保 存 が 重 要 である
養 殖 用 種 苗 の 生 産 の 現 状 と 今 後 の 展 開 職 氏 名 普 及 指 導 チーム 技 術 次 長 富 川 なす 美 東 日 本 大 震 災 からの 復 興 に 向 けて 各 養 殖 種 の 復 旧 を 進 めるため 普 及 指 導 チームでは 養 殖 業 の 復 興 に 不 可 欠 な 養 殖 用 種 苗 の 確 保 に 重 点 を 置 いて 情 報 提 供 や 指 導 を 行 ってきた 本 報 告 では これら2 年 間 の 取 組 をとりまとめ 主 要 な 養 殖 用 種 苗 の 生 産 の 現 状 と 問 題 点 を 整 理 し 今 後 の 情 報 提 供 のあり 方 について 検 討 した 生 産 の 現 状 1 ホタテガイ 震 災 以 前 の 県 北 部 では 天 然 採 苗 した 地 種 が 養 殖 用 種 苗 の 多 くを 占 めていたが 震 災 後 はその ほとんどが 北 海 道 から 購 入 した 半 成 貝 となった そのため 地 種 の 採 苗 数 は 平 成 23 年 は 3,500 袋 平 成 24 年 は 4,000 袋 に 留 まった 2 マガキ 震 災 以 前 と 同 様 に 養 殖 用 種 苗 のほとんどを 石 巻 等 の 種 苗 産 地 から 購 入 しているが 志 津 川 湾 では 震 災 以 前 から 一 部 地 種 を 採 苗 していたため 震 災 後 も 平 成 23 年 には 2,000 連 平 成 24 年 には 8,000 連 の 地 種 を 採 苗 した 3 マボヤ 震 災 以 前 は 鮫 浦 等 の 種 苗 産 地 から 養 殖 用 種 苗 のほとんどを 購 入 していたが 震 災 後 は 産 地 での 種 苗 生 産 の 見 通 しが 明 確 にならないことから 地 種 の 天 然 採 苗 や 人 工 採 苗 を 実 施 して 養 殖 用 種 苗 を 確 保 している 天 然 採 苗 は 唐 桑 大 島 志 津 川 湾 で 実 施 し 人 工 採 苗 については 平 成 23 年 には 7 グル ープが 実 施 し 約 3 万 m 平 成 24 年 には 8 グループで 約 10.1 万 m の 種 苗 を 確 保 した 4 ワカメ 震 災 以 前 とほぼ 同 様 に 地 種 の 採 苗 及 び 塩 釜 種 等 を 購 入 し 養 殖 用 種 苗 としている 今 後 の 展 開 ホタテガイについては 今 後 施 設 の 復 旧 が 進 むにつれ 養 殖 用 種 苗 の 需 要 が 増 加 し 地 種 の 採 苗 についても 再 開 すると 考 えられるため 養 殖 通 報 による 情 報 提 供 を 継 続 する マガキについては 地 種 の 採 苗 にあたっての 指 導 を 継 続 する マボヤについては 人 工 採 苗 の 方 法 を 見 直 し より 効 率 的 な 採 苗 方 法 を 検 討 する ワカメについては 高 水 温 や 異 常 冷 水 等 のワカメの 生 育 に 影 響 を 及 ぼす 海 況 が 予 測 される 場 合 に 情 報 提 供 を 行 う また 各 養 殖 通 報 等 の 情 報 をより 入 手 し 易 くするために 携 帯 電 話 用 のホームページも 作 成 し 幅 広 い 情 報 提 供 に 努 める
先 端 的 な 養 殖 技 術 とその 導 入 の 可 能 性 職 氏 名 場 長 酒 井 敬 一 東 日 本 大 震 災 からまもなく 2 年 が 経 過 しようとしており 沿 岸 の 養 殖 施 設 もかなり 復 旧 してきて いる 低 コストで 育 成 期 間 の 短 いワカメやコンブは 震 災 以 前 の 規 模 にまで 回 復 した 水 域 もあり 松 島 湾 では 早 くも 密 植 の 影 響 が 現 れ 始 めている 今 後 の 本 格 的 な 養 殖 業 の 復 興 に 当 たり 従 前 のよう に 量 で 稼 ぐ 養 殖 に 戻 るのではなく 高 品 質 低 コストを 意 識 した 近 代 的 な 養 殖 を 目 指 すべきである 本 報 告 は 海 外 や 他 県 の 先 進 事 例 並 びに 今 後 養 殖 に 応 用 できそうな 他 分 野 の 技 術 を 紹 介 し 本 県 養 殖 業 の 新 たな 発 展 のための 情 報 を 提 供 するもの 期 待 される 技 術 製 品 シングルシードによる 一 粒 ガキ 養 殖 現 在 本 県 の 一 粒 カキはカルチ( 原 盤 ) 養 殖 された 塊 を 砕 いて 耳 吊 りやカゴ 養 殖 に 持 ち 込 んで いるが 粒 の 揃 ったカップの 深 いカキに 仕 立 てるには 早 い 段 階 からシングルシードによる 育 成 が 必 要 である 北 米 では FLUPSY( 海 上 中 間 育 成 装 置 )とカゴ 養 殖 の 組 み 合 わせが 主 流 であり 我 が 国 でも 先 進 的 なカキ 養 殖 水 域 では 既 に 導 入 されつつある さらに 無 害 なシリコン 系 防 汚 剤 をカゴに 塗 布 することにより 付 着 物 による 目 詰 まりが 大 幅 に 軽 減 されるようになった バイオファンによる 海 水 流 動 促 進 内 水 面 においては 水 質 環 境 の 維 持 や 浄 化 のために 人 工 湧 昇 流 発 生 装 置 であるバイオファンが 用 い られている まだ 海 面 での 利 用 は 見 られていないが 松 島 湾 や 万 石 浦 などの 閉 鎖 性 の 強 い 浅 海 域 における 貧 酸 素 水 塊 発 生 抑 制 や 気 仙 沼 湾 のカキ 筏 内 の 海 水 交 流 促 進 に 使 えるものと 期 待 されている さらに これのソーラー 化 により 自 然 エネルギー 利 用 のランニングコストフリータイプも 検 討 され ている アプリテック 水 の 応 用 ホタテガイ 等 の 貝 殻 を 900 以 上 の 高 温 で 加 熱 すると 酸 化 カルシウム( 生 石 灰 )となり これの 水 溶 液 は Ph12~13 の 強 アルカリ 性 を 示 す これはもっぱら 食 品 衛 生 のための 殺 菌 剤 として 用 いら れており アルカリ 性 のため 金 属 を 錆 びさせない さらに 食 品 添 加 物 としても 認 められている ボ イル 塩 蔵 ワカメを 製 造 する 過 程 で 茹 で 湯 がワカメから 溶 出 した 有 機 酸 のために 酸 性 に 傾 き 製 品 の 発 色 が 悪 かったり 後 に 変 色 したりすることがある そこで 食 添 であるアプリテック 水 の 自 動 添 加 装 置 の 開 発 により 安 定 した 安 全 な 製 品 が 作 れる 可 能 性 がある ジャリッコによる 排 水 浄 化 ジャリッコは 砕 石 を 直 径 10cm の 球 状 にエポキシ 樹 脂 で 固 めたものであるが 活 性 汚 泥 法 に 変 わ る 環 境 に 優 しい 排 水 浄 化 が 可 能 となっている 養 殖 場 に 近 い 河 川 の 浄 化 や 加 工 排 水 都 市 排 水 ( 下 水 )の 浄 化 に 使 われ 始 めており 活 性 汚 泥 や 薬 品 の 添 加 が 不 要 でメインテナンスも 要 らない 大 腸 菌 もほとんど 残 らないので 下 水 処 理 場 のように 放 流 直 前 の 塩 素 ( 次 亜 塩 素 酸 ナトリウム)の 注 入 も 不 要 であり 養 殖 漁 場 環 境 への 影 響 も 少 ない 今 後 の 取 り 組 み 本 県 の 水 産 業 復 興 プランにおいても 単 なる 震 災 以 前 の 復 旧 ではなく さらなる 発 展 を 伴 った 復 興 を 目 指 している そのためには 現 在 から 新 しい 技 術 や 手 法 の 導 入 を 検 討 していく 必 要 があり 気 仙 沼 水 産 試 験 場 としても 養 殖 業 者 の 皆 様 と 新 技 術 導 入 ための 調 査 や 実 験 等 に 鋭 意 取 り 組 んでいく 所 存 です