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Transcription:

管 制 業 務 監 査 報 告 書 - 管 制 業 務 の 現 状 と 今 後 の 安 全 対 策 について- 平 成 18 年 2 月 24 日 国 土 交 通 省 航 空 局

はじめに 平 成 17 年 4 月 29 日 羽 田 空 港 において 工 事 予 定 のため 閉 鎖 されていた 滑 走 路 に 航 空 管 制 官 ( 以 下 管 制 官 という )が 航 空 機 を 誘 導 着 陸 さ せるという 事 案 が 発 生 した 8 月 16 日 には 新 潟 空 港 において 航 空 機 の 離 陸 前 にパイロットに 伝 達 されるべき 飛 行 計 画 の 承 認 が 離 陸 後 に 伝 達 され たという 事 案 が 発 生 し その 再 発 防 止 の 指 示 を 行 ったにも 関 わらず 9 月 2 3 日 には 宮 崎 空 港 において 新 潟 空 港 同 様 に 離 陸 前 に 飛 行 計 画 の 承 認 が 伝 達 されなかったという 事 案 が 発 生 した また これ 以 外 にも11 月 2 日 に は 大 阪 空 港 において 着 陸 許 可 が 発 出 されず 到 着 機 が 着 陸 復 行 する 事 案 が 発 生 さらに 管 制 官 が 関 わっていない 事 案 ではあるが 昨 年 3 月 30 日 に 羽 田 空 港 でのトーイング 中 の 航 空 機 と 警 備 システムカメラとの 接 触 事 案 8 月 2 日 に 同 空 港 での 電 源 供 給 系 統 に 障 害 事 案 等 航 空 交 通 の 安 全 確 保 を 使 命 とする 航 空 局 自 身 が 関 わった 事 案 が 連 続 して 発 生 し 国 民 の 信 頼 を 低 下 させていることは 誠 に 遺 憾 である 13 年 1 月 31 日 に 発 生 した 日 本 航 空 907 便 事 故 ( 同 958 便 との 異 常 接 近 によ り100 名 が 負 傷 した 事 故 ) 以 降 ヒューマンエラーを 防 止 するため 研 修 の 実 施 パイロットとの 交 流 会 の 充 実 等 に 取 り 組 んできたところであるが これらの 取 組 みが 十 分 に 達 成 されているとは 言 えず 今 後 も 継 続 して 行 っ ていく 必 要 がある また これまで 事 案 ごとに 再 発 防 止 策 を 講 じてきたが 同 種 事 案 が 発 生 したことを 考 えれば 根 本 的 に 有 効 な 対 策 にはならなかっ たということも 事 実 である このようなヒューマンエラーへの 取 組 みについて 根 本 的 な 見 直 しを 行 い これまでの 反 省 の 上 に 立 って 決 して 場 当 たり 的 な 対 策 とならないよ う 真 摯 に 検 討 することが 必 要 であり 人 間 が 行 う 以 上 エラーはあり 得 る ことをあらためて 認 識 するとともに これを 前 提 とした 対 策 を 講 じる 必 要 がある このため 昨 年 10 月 に 管 制 機 関 を 対 象 に 全 国 一 斉 の 業 務 監 査 を 実 施 した 今 回 の 監 査 取 りまとめにあたっては 昨 年 に 発 生 した 事 例 への 対 策 のみな らず 今 後 の 安 全 対 策 全 般 について 広 く 検 討 を 行 うこととした - 1 -

1. 管 制 業 務 の 現 状 と 問 題 点 (1) 実 地 監 査 結 果 全 国 37の 管 制 機 関 に 対 し 業 務 実 施 状 況 等 の 実 地 監 査 を 行 った 1 管 制 承 認 の 発 出 のあり 方 羽 田 大 阪 関 西 及 び 那 覇 の4 空 港 においては 取 扱 機 数 が 多 く 出 発 機 の 遅 延 軽 減 を 図 るために あらかじめ 空 港 管 制 機 関 と 管 制 部 が 管 制 承 認 の 内 容 について 調 整 し 国 際 線 等 を 除 く 出 発 機 から 管 制 承 認 の 要 求 が あった 際 に 従 来 逐 一 行 っていた 空 港 管 制 機 関 と 管 制 部 との 間 の 管 制 承 認 に 係 るやりとりを 省 略 ( 下 図 において 2と3を 省 略 )し 空 港 管 制 機 関 が 航 空 機 に 管 制 承 認 を 伝 達 する 方 式 を 実 施 している ( 参 考 ) 通 常 の 管 制 承 認 の 流 れ 1 管 制 承 認 要 求 2 管 制 承 認 要 求 出 発 機 空 港 管 制 機 関 航 空 交 通 管 制 部 4 管 制 承 認 伝 達 3 管 制 承 認 発 出 具 体 的 には 空 港 管 制 機 関 は 出 発 機 に 対 し 推 奨 された 飛 行 計 画 経 路 とあらかじめ 両 者 で 調 整 した 一 時 的 な 巡 航 高 度 等 の 管 制 承 認 を 伝 達 し 出 発 機 が 管 制 部 の 管 轄 空 域 に 入 った 後 管 制 部 が その 時 点 の 交 通 状 況 を 勘 案 し 最 終 的 な 巡 航 高 度 に 上 昇 させるものである レーダー 網 の 整 備 に 伴 い 航 空 機 間 の 安 全 間 隔 を 短 縮 することが 可 能 となったことから 出 発 後 であっても 航 空 機 が 要 求 する 巡 航 高 度 またはそれに 近 い 高 度 を 承 認 することができるようになったものである この 方 式 の 導 入 により 管 制 部 及 び 空 港 管 制 機 関 における 管 制 承 認 に 関 する 業 務 が 軽 減 され 管 制 承 認 の 伝 達 のタイミングの 制 約 も 少 なくな ることから 管 制 承 認 の 未 発 出 や 発 出 遅 れの 防 止 に 寄 与 しているものと 考 えられる また 航 空 機 側 も 管 制 機 関 内 の 管 制 承 認 の 調 整 による 受 領 の 遅 れから 解 放 され 遅 延 軽 減 の 効 果 もある 2 管 制 官 の 連 携 管 制 業 務 は 基 本 的 に 一 つの 業 務 を 複 数 の 管 制 官 が 分 担 して 実 施 され ている 必 要 に 応 じ 他 の 管 制 官 と 連 携 を 図 りながら 航 空 機 に 対 する 指 示 や 他 管 制 機 関 等 との 調 整 を 行 っているものの それぞれの 管 制 官 が 自 己 - 2 -

の 担 当 業 務 に 専 念 しなければならない 状 況 が 発 生 することから 指 示 内 容 等 を 他 の 管 制 官 が 常 時 確 認 できる 体 制 にはなっていない しかしながら 各 官 署 においては 他 の 管 制 官 の 使 用 周 波 数 を 可 能 な 限 りモニターすること 等 により 適 宜 アドバイスを 行 い エラー 防 止 に 努 めており 一 定 の 効 果 を 上 げているところである 交 通 量 の 多 い 管 制 機 関 を 除 きこのための 専 用 席 が 配 置 されていないことから 各 自 の 業 務 を 行 いつつモニターを 行 うことになるため この 対 策 にも 限 界 がある 例 えば 羽 田 空 港 の 飛 行 場 管 制 業 務 ( 管 制 塔 )では 9 管 制 席 に 対 してこれ らを 統 括 (モニター)する 席 は1 席 であり 必 ずしも 十 分 とは 言 えない また 組 織 内 のコミュニケーションについて 管 制 機 関 全 体 やチーム の 人 数 年 代 構 成 により 必 ずしも 円 滑 に 図 られていない 状 況 が 一 部 見 受 けられる 小 さなエラーであっても 経 験 年 数 が 短 い 若 手 から 経 験 の 長 いベテランにはなかなか 指 摘 しにくい 等 管 制 官 同 士 が 連 携 してエラー を 防 止 する 体 制 としては 不 十 分 な 状 況 にあると 言 わざるを 得 ない 3 訓 練 研 修 体 制 管 制 官 は 採 用 直 後 はもちろん 異 動 のたびに 新 任 地 において 業 務 資 格 を 取 得 する 必 要 があることから このための 訓 練 が 必 須 であり 18 年 2 月 1 日 現 在 全 国 で254 名 ( 定 員 の 約 14%)の 管 制 官 が 各 現 場 において 訓 練 中 である 管 制 官 の 訓 練 は 訓 練 監 督 の 資 格 を 有 した 管 制 官 ( 以 下 訓 練 監 督 者 という )の 指 導 監 督 の 下 に 業 務 を 行 いながら 行 われるが 全 体 的 に 訓 練 監 督 者 が 不 足 している 等 のために 効 果 的 効 率 的 な 訓 練 を 行 う 体 制 であるとは 言 えない なお 訓 練 監 督 者 数 が 不 足 していると 考 えている 管 制 機 関 は 全 体 の 3 割 を 超 えている 4その 他 管 制 室 における 執 務 環 境 が 不 十 分 であったり 訓 練 をサポートする 訓 練 資 料 等 の 不 足 も 見 受 けられ 充 実 を 図 る 必 要 がある また 業 務 量 の 増 加 等 によりストレスを 強 く 感 じている 者 も 散 見 され ることから 健 康 管 理 について 配 慮 する 必 要 がある (2) 調 査 結 果 昨 年 管 制 承 認 等 の 未 発 出 や 遅 れ 等 手 続 き 面 で 不 適 切 だった 事 例 が 相 次 いで 発 生 したことに 鑑 み 類 似 のエラー 事 例 が 管 制 業 務 の 現 場 でどのよう に 発 生 しているのか 実 地 監 査 と 並 行 して 調 査 を 実 施 したが その 状 況 は - 3 -

次 のとおりである いずれも 管 制 官 の 思 い 込 み 勘 違 い 等 人 的 要 素 に 係 るものであった なお エラーとして 報 告 されているものは あくまでも 管 制 官 の 記 憶 や 経 験 に 基 づくものである 管 制 官 がエラーしても 直 後 に 自 ら 気 づいたり パイロットからの 確 認 や 他 の 管 制 官 からの 指 摘 により 気 づき 訂 正 または 適 切 な 措 置 をとっていることにより 安 全 上 の 問 題 に 至 っていない ちなみに 米 国 連 邦 航 空 局 (FAA)においても 管 制 承 認 等 の 未 発 出 等 の 手 続 き 面 でのエラーは 管 制 機 関 に 対 し 報 告 を 求 めておらず データの 収 集 や 公 表 は 行 っていない 1 便 名 DBC(レーダー 用 トランスポンダーコード)の 言 い 間 違 い 等 航 空 機 の 便 名 (コールサイン) 等 の 言 い 間 違 い 聞 き 間 違 いは 比 較 的 起 こりやすいエラーであり 交 通 量 の 多 い 管 制 機 関 ほど 交 信 回 数 が 多 く なることから 発 生 も 特 に 多 い 傾 向 にある 原 因 としては 管 制 官 の 単 純 な 数 字 の 言 い 間 違 いや 同 じ 時 間 帯 に 類 似 した 便 名 の 航 空 機 が 存 在 して いることによる 言 い 間 違 い 交 通 の 集 中 によりレーダー 画 面 上 で 便 名 表 示 が 重 なることでの 混 同 等 があげられる 2 管 制 承 認 の 伝 達 や 管 制 許 可 の 発 出 の 遅 れ 成 田 中 部 等 管 制 承 認 伝 達 席 が 配 置 されている 空 港 においては 地 上 走 行 開 始 前 の 伝 達 が 徹 底 されており 管 制 承 認 の 未 発 出 や 発 出 遅 れが 発 生 するケースは 皆 無 である 他 方 地 方 空 港 においては 到 着 機 のため に 早 くスポットを 開 放 する 必 要 があった 場 合 などに 管 制 承 認 を 伝 達 す る 前 に 地 上 走 行 を 許 可 することがある 誘 導 路 を 走 行 中 に 管 制 承 認 を 伝 達 しようとしたが 交 通 の 輻 輳 や 他 機 からの 呼 び 込 みへの 対 応 に 管 制 官 が 気 をとられたことにより 離 陸 間 際 に 管 制 承 認 を 伝 達 したケースが 発 生 している また 空 港 管 制 機 関 に 対 する 管 制 承 認 の 発 出 遅 れがどの 管 制 部 におい ても 見 られるが 原 因 としては 同 一 時 間 帯 に 多 数 の 要 求 が 集 中 したこと 管 轄 空 港 が 多 く 管 制 承 認 内 容 の 調 整 に 時 間 を 要 すること 等 があげられ る 管 制 部 からの 管 制 承 認 の 発 出 遅 れは 空 港 管 制 機 関 から 航 空 機 への 管 制 承 認 伝 達 の 遅 れの 一 因 と 考 えられる このほか 空 港 において 交 通 の 輻 輳 や 他 機 からの 呼 び 込 みへの 対 応 に 管 制 官 が 気 をとられたことにより 着 陸 許 可 の 発 出 が 遅 れるなど 管 制 許 可 の 発 出 遅 れも 発 生 している 3 滑 走 路 誘 導 路 指 示 間 違 い 管 制 官 の 思 いこみや 勘 違 いによる 滑 走 路 番 号 や 誘 導 路 名 称 の 言 い 間 違 - 4 -

いが 発 生 している また 滑 走 路 指 示 間 違 いは 風 向 きの 変 化 により 使 用 滑 走 路 を 変 更 した 直 後 に 多 く 発 生 しており 誘 導 路 の 指 示 間 違 いは 誘 導 路 数 の 多 い 空 港 において 発 生 しやすい 4その 他 繁 忙 時 において 他 に 優 先 度 の 高 い 処 理 が 必 要 であった 時 などに 隣 接 する 空 域 を 担 当 する 管 制 席 等 への 業 務 移 管 の 遅 れ 業 務 移 管 先 の 周 波 数 の 言 い 間 違 いやパイロットからの 復 唱 聞 き 漏 らし 等 が 発 生 している 復 唱 聞 き 漏 らしは 特 に 交 通 量 の 多 い 空 港 や 交 信 にVHF( 主 に 民 間 機 ) とUHF( 軍 用 機 )を 使 用 する 航 空 機 が 混 在 する 空 港 において 発 生 する 場 合 が 多 い 2. 安 全 対 策 今 回 の 管 制 業 務 監 査 の 背 景 となった 事 例 は 管 制 承 認 の 授 受 に 係 る 不 適 切 な 例 をはじめとして その 多 くが 管 制 官 の 思 いこみによるもの 及 び 管 制 官 とパイロットの 間 のコミュニケーションが 十 分 でなかったことに 基 づく ものであった 管 制 官 とパイロットの 間 における 情 報 の 授 受 等 に 適 正 さを 欠 いていたものの 関 連 航 空 機 との 必 要 な 間 隔 は 適 切 に 設 定 されており 航 空 管 制 の 大 前 提 である 航 空 交 通 の 安 全 の 確 保 に 関 しては 問 題 のない ものであった しかしながら 調 査 結 果 で 明 らかなように トラブルや 事 故 に 至 らずと も 管 制 業 務 上 のさまざまな 事 項 にわたってヒューマンエラーは 発 生 してい る 人 間 からエラーを 完 全 に 無 くすことはできないことから これらのエ ラーを 減 少 させるため また 発 生 した 場 合 でも 安 全 上 の 問 題 を 生 じさせ ないために 管 制 業 務 の 実 施 方 法 と 体 制 の 見 直 し 及 びフェイルセーフの 充 実 強 化 を 図 る 必 要 がある (1) 業 務 の 実 施 方 法 及 び 体 制 の 見 直 し 現 在 管 制 官 は 航 空 機 間 の 安 全 間 隔 の 設 定 だけでなく 管 制 承 認 の 伝 達 とそれに 伴 う 関 係 機 関 との 調 整 業 務 や 新 規 配 属 者 への 訓 練 等 の 業 務 を 併 せ て 行 っている ここ20 年 間 で 我 が 国 の 管 制 取 扱 機 数 はほぼ 倍 増 ( 約 230 万 機 ( 昭 和 60 年 ) 約 460 万 機 ( 平 成 16 年 ))しているにもかかわらず 管 制 官 の 定 員 は 約 1. 2 倍 の 増 加 (1,474 人 ( 昭 和 60 年 度 ) 1,835 人 ( 平 成 16 年 度 ))に 留 まってい - 5 -

る さらに 今 後 も 羽 田 再 拡 張 等 により 交 通 量 の 増 加 が 見 込 まれる 中 で 要 員 体 制 の 強 化 を 図 ることが 基 本 である しかしながら 昨 今 の 厳 しい 定 員 事 情 を 踏 まえつつ 航 空 交 通 の 安 全 を 確 保 していくためには 管 制 官 を 航 空 機 間 の 安 全 間 隔 の 設 定 等 より 安 全 に 直 結 する 業 務 に 専 念 させる 体 制 を 早 急 に 構 築 する 必 要 があることから 以 下 の 方 策 を 講 ずることとする 1 類 似 した 便 名 の 解 消 等 便 名 の 言 い 間 違 いは 例 えば 類 似 した 便 名 の 航 空 機 と 取 り 違 えて 誤 った 指 示 が 伝 達 された 場 合 には 安 全 上 の 問 題 につながる 可 能 性 があり 安 全 確 保 のためには 類 似 した 便 名 の 解 消 改 善 等 に 早 急 に 取 り 組 む 必 要 が ある このため 実 際 に 便 名 を 付 ける 航 空 会 社 と 言 い 間 違 いの 要 因 につ いて 詳 細 な 分 析 を 行 い 同 一 時 間 帯 の 類 似 便 名 を 解 消 する 等 抜 本 的 な 対 策 について 18 年 度 中 を 目 途 に 具 体 化 を 図 る 2 管 制 承 認 伝 達 業 務 の 簡 素 化 飛 行 計 画 の 承 認 自 体 は 国 際 標 準 上 求 められる 手 続 であるとともに 航 空 交 通 量 や 交 通 流 を 管 理 する 観 点 から 今 後 も 必 要 な 行 為 である また これをパイロットとの 間 で 授 受 することについても 飛 行 計 画 の 有 無 ( 飛 行 計 画 が 関 係 管 制 機 関 に 確 実 に 配 信 されているか)を 確 認 するためにも 必 要 であることに 変 わりはない 飛 行 計 画 の 承 認 については 17 年 10 月 に 発 足 した 航 空 交 通 管 理 センタ ーにおいて 空 域 の 混 雑 状 況 や 航 空 会 社 の 希 望 を 踏 まえて 行 われており 管 制 部 は 安 全 間 隔 を 確 保 するための 適 切 な 高 度 等 を 考 慮 して 管 制 承 認 を 発 出 している 現 状 にある 実 地 監 査 の 結 果 にもあるとおり レーダー 網 の 整 備 に 伴 い 管 制 承 認 の 伝 達 手 続 きについては 簡 素 化 が 可 能 になってきており かつ この 簡 素 化 された 手 続 きは 管 制 承 認 の 未 発 出 発 出 遅 れの 防 止 や 航 空 機 の 遅 延 軽 減 に 寄 与 するものと 考 えられる また 17 年 9 月 末 から 導 入 されたRVSM (Reduced Vertical Separation Minimum:29,000フィート 以 上 の 巡 航 高 度 の 間 隔 を2,000フィートから1,000フィートに 短 縮 )により 燃 料 消 費 効 率 の 良 い 高 度 帯 の 空 域 容 量 が 倍 増 したため 航 空 機 が 希 望 する 高 度 を 承 認 できる 割 合 が 高 くなってきているものと 考 えられる 以 上 のことか ら 管 制 承 認 の 伝 達 手 続 きの 簡 素 化 について 取 扱 機 数 の 多 い 空 港 等 緊 急 度 の 高 いところから 順 に 簡 素 化 を 図 り 今 後 2 年 間 で 国 際 線 等 一 部 の 航 空 機 を 除 き 可 能 な 限 り 全 国 に 展 開 することとする さらに 欧 米 諸 国 においては 一 部 データリンクによる 管 制 承 認 の 伝 達 が 導 入 されているところであり これらの 実 施 状 況 の 調 査 及 び 我 が 国 に 適 した 方 式 の 検 討 を 踏 まえ 今 後 導 入 に 向 けた 検 討 を 具 体 化 する - 6 -

3 飛 行 場 支 援 機 能 の 具 体 化 今 回 の 監 査 の 背 景 となった 事 例 の 多 くが 飛 行 場 管 制 業 務 に 関 連 して 発 生 している 飛 行 場 管 制 業 務 ( 管 制 塔 )は ターミナル レーダー 管 制 業 務 ( 空 港 レーダー 室 )や 航 空 路 管 制 業 務 ( 管 制 部 )に 比 較 して 十 分 なシステムによる 支 援 体 制 が 確 立 されている 状 況 にはない 管 制 官 のエラーの 減 少 を 図 るための 管 制 承 認 未 発 出 時 における 警 告 表 示 や 使 用 滑 走 路 の 自 動 表 示 等 の 飛 行 場 支 援 機 能 について 諸 外 国 の 実 施 状 況 も 含 めて 調 査 の 上 20 年 度 を 目 途 に 具 体 化 を 図 る 4 各 官 署 における 業 務 資 格 取 得 のための 訓 練 等 ア. 訓 練 監 督 者 要 件 の 見 直 し 日 本 航 空 907 便 事 故 の 再 発 防 止 策 として 訓 練 監 督 者 の 資 格 要 件 に ついて 管 制 機 関 一 律 の 業 務 経 験 年 数 ( 管 制 官 経 験 10 年 以 上 所 属 管 制 機 関 での 技 能 証 明 取 得 後 1 年 以 上 )を 含 む 規 定 を13 年 3 月 に 定 めた しかしながら 航 空 保 安 大 学 校 岩 沼 研 修 センター( 以 下 岩 沼 セン ター という )の 航 空 管 制 官 訓 練 監 督 者 養 成 特 別 研 修 (14 年 度 から 実 施 )により 一 律 の 経 験 年 数 に 拘 らなくても 十 分 な 訓 練 監 督 能 力 を 有 する 管 制 官 を 育 成 することが 可 能 となった 業 務 意 欲 能 力 の 高 い より 多 くの 管 制 官 を 訓 練 監 督 者 として 指 名 することで 訓 練 監 督 者 の 不 足 を 解 消 することが 可 能 となることから 効 率 的 効 果 的 な 訓 練 を 実 施 するため 一 律 の 経 験 年 数 の 資 格 要 件 を 緩 和 する 等 見 直 しを 行 い 関 係 規 定 を 改 正 し 本 年 3 月 1 日 から 適 用 することとした イ. 航 空 保 安 大 学 校 における 研 修 期 間 の 延 長 交 通 量 の 増 大 に 伴 い 高 度 な 管 制 技 能 が 求 められるようになってき ており 管 制 官 になるための 基 礎 を 教 授 する 航 空 保 安 大 学 校 以 下 保 ( 安 大 という )における 研 修 を 充 実 する 必 要 に 迫 られている 保 安 大 における 航 空 管 制 官 養 成 課 程 には 高 校 卒 業 程 度 を 対 象 とし た 研 修 期 間 2 年 のコース( 本 科 )と 大 学 卒 業 程 度 を 対 象 とした 研 修 期 間 6 ヶ 月 のコース( 専 修 科 )がある コースを 修 了 した 後 各 管 制 機 関 に 配 属 され 現 場 で 訓 練 (OJT)を 受 けることになるが 専 修 科 の6ヶ 月 の 研 修 期 間 では 増 大 した 交 通 量 高 度 化 した 管 制 システムに 対 応 すること は 困 難 となりつつある 訓 練 監 督 者 は 他 管 制 席 と 連 携 を 取 りながら 訓 練 生 を 指 導 することとなるが 訓 練 生 のレベル( 成 熟 度 )が 低 い 場 合 は 監 督 業 務 に 集 中 せざるを 得 ないため 他 管 制 席 との 連 携 に 影 響 を 及 ぼし ヒューマンエラー 発 生 の 一 因 になる 可 能 性 を 常 に 含 んでいる このため 専 修 科 の 研 修 期 間 の 延 長 について 早 急 に 検 討 し 遅 くと も 保 安 大 の 移 転 実 習 機 器 更 新 が 予 定 されている20 年 度 までに 具 体 化 - 7 -

を 図 り 本 科 とともに 研 修 内 容 を 充 実 させることで OJTを 円 滑 かつ 効 率 的 に 実 施 できるようにする ウ.IT 教 育 システムの 活 用 管 制 機 関 配 属 後 は 岩 沼 センターで 実 施 されている 様 々な 研 修 に 参 加 することになるが 研 修 期 間 が 長 期 にわたるものもあり 厳 しい 要 員 体 制 の 下 では 研 修 に 参 加 することが 困 難 な 状 況 である 岩 沼 センターでより 効 率 的 な 要 員 の 育 成 を 行 うため 例 えば 座 学 の 大 半 をCBI(Computer Based Instruction) 等 により 各 管 制 機 関 で 行 い 岩 沼 センターでは 実 習 を 中 心 に 実 施 するなど 各 管 制 機 関 で 十 分 な 事 前 学 習 と 研 修 後 のフォローアップを 可 能 とするIT 教 育 システム の 活 用 について 調 査 を 行 っており 更 に 教 育 内 容 等 についての 検 討 を 進 め 可 能 なものから 具 体 化 する (2)フェイルセーフの 更 なる 充 実 昨 年 来 航 空 のみならず 運 輸 各 部 門 において ヒューマンエラーが 背 景 と 見 られるトラブルが 相 次 いでいる 国 民 の 移 動 の 基 礎 的 な 手 段 である 公 共 交 通 機 関 について 安 全 性 の 向 上 を 図 り 国 民 の 信 頼 を 回 復 するため 国 土 交 通 省 では 今 国 会 に 運 輸 の 安 全 性 向 上 のための 鉄 道 事 業 法 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 案 を 提 出 している 同 法 案 では 安 全 優 先 意 識 の 形 骸 化 経 営 現 場 間 及 び 部 門 間 の 意 思 疎 通 情 報 共 有 の 不 足 経 営 陣 の 安 全 確 保 に 対 する 関 与 不 十 分 といった 問 題 意 識 の 下 運 輸 事 業 者 に 対 し 輸 送 の 安 全 を 確 保 するための 取 組 みの 強 化 を 求 めており 安 全 管 理 規 程 の 作 成 安 全 統 括 管 理 者 の 選 任 等 を 義 務 づけて いる 航 空 局 としても 直 轄 部 門 における 安 全 管 理 体 制 の 強 化 を 図 るため 昨 年 11 月 に 本 省 及 び 現 場 機 関 に 安 全 推 進 委 員 会 を 設 置 し トップ 主 導 による 自 律 的 継 続 的 な 安 全 確 保 を 最 重 要 事 項 として 取 り 組 んでいるところであ る また 国 際 民 間 航 空 機 関 (ICAO)において 航 空 交 通 業 務 に 関 する 安 全 管 理 制 度 (SMS:Safety Management System)に 係 る 関 連 附 属 書 の 改 正 等 が1 8 年 度 中 に 予 定 されていることから 我 が 国 の 管 制 業 務 についても19 年 度 を 目 途 に 同 制 度 を 導 入 していくこととしている 1パイロット 等 との 交 流 の 更 なる 充 実 管 制 官 がエラーしてもパイロットからの 確 認 またはその 逆 のケース によりそのエラーを 防 止 できている 状 況 にはあるが 更 なるエラー 発 生 - 8 -

防 止 の 観 点 からは 管 制 官 とパイロットの 協 力 関 係 を 構 築 することが 重 要 である 管 制 官 とパイロットとの 交 流 会 は 日 本 航 空 907 便 事 故 の 再 発 防 止 策 として 安 全 性 の 一 層 の 向 上 を 図 るため 管 制 官 側 と 運 航 者 側 との 相 互 理 解 を 深 め お 互 いの 業 務 における 意 思 疎 通 の 円 滑 化 に 寄 与 することを 目 的 に 全 管 制 機 関 で 実 施 されている 現 在 は 管 制 方 式 や 運 航 方 式 に 関 する 意 見 交 換 が 主 流 であるが 今 後 ヒヤリ ハット 等 に 係 る 合 同 の 事 例 研 究 の 実 施 や 日 常 の 管 制 交 信 におけ る 確 実 な 意 思 確 認 の 方 法 等 についても 意 見 交 換 を 行 い ヒューマンエラ ーを 減 少 させるためのシステム 作 りを 進 める あわせて 岩 沼 センターにおいて 実 施 される 研 修 においても 管 制 官 とパイロットの 意 思 疎 通 に 係 る 相 互 理 解 を 深 めるための 講 義 内 容 を 盛 り 込 むこととする 2 管 制 官 の 連 携 強 化 管 制 官 の 連 携 を 強 化 するためには 今 後 の 厳 しい 定 員 事 情 があるもの の 各 管 制 席 を 支 援 する 要 員 の 確 保 が 基 本 であり 勤 務 体 制 の 見 直 しに よる 繁 忙 度 に 応 じたきめの 細 かい 要 員 の 再 配 置 ができないか 早 急 に 検 討 を 行 い 結 論 を 得 る 3TRM(Team Resource Management)の 充 実 TRMは 良 好 なチームワークによってヒューマンエラーを 管 理 し チ ーム 全 体 の 能 力 を 高 めることにより 安 全 かつ 効 率 の 良 い 管 制 業 務 を 提 供 する 環 境 を 作 ることを 目 的 として 15 年 度 から 岩 沼 センターで 研 修 が 実 施 され これまでに219 名 が 受 講 している 管 制 業 務 は 個 人 で 判 断 し 個 人 で 指 示 する 独 任 的 業 務 ではあるが 各 管 制 官 が 連 携 して 安 全 で 効 率 的 な 運 航 を 確 保 する 必 要 があり ヨー ロッパ 等 では パイロットに 導 入 されているCRM(Cockpit Resource Management)と 同 様 のTRMが 管 制 官 にも 導 入 されている しかし 特 に 飛 行 場 管 制 業 務 のみを 行 っているような 少 人 数 の 管 制 機 関 においては 研 修 への 参 加 が 困 難 なのが 現 状 である また 現 段 階 で 岩 沼 センターと 同 じTRM 研 修 を 現 地 管 制 機 関 で 行 うことは チームの 規 模 及 び 業 務 の 内 容 が 異 なること 十 分 な 知 識 及 び 経 験 を 持 った 教 官 が 確 保 されていないことから 困 難 である したがって 今 後 岩 沼 センターにおけるTRM 研 修 の 参 加 者 数 の 拡 大 を 図 るため IT 教 育 システムの 活 用 とあわせて 現 行 研 修 コースの 再 編 を 行 い 将 来 的 には TRMに 関 して 十 分 な 知 識 及 び 経 験 を 持 った 教 官 を 養 成 して 各 管 制 機 関 に 配 置 することにより 各 管 制 機 関 において 定 期 的 な - 9 -

TRM 研 修 を 可 能 とする 等 TRMの 充 実 を 図 る 4 航 空 管 制 安 全 情 報 の 活 用 航 空 管 制 安 全 情 報 は 日 本 航 空 907 便 事 故 後 の 再 発 防 止 策 の 一 環 として 安 全 に 係 る 報 告 提 言 等 を 基 に 関 係 者 間 で 情 報 を 共 有 し 業 務 に 生 かすとともに 必 要 に 応 じて 運 用 方 式 やシステムの 改 善 を 図 るため に 導 入 された しかしながら 現 状 においては いわゆるヒヤリ ハットに 係 る 事 例 が 十 分 に 報 告 されている 状 況 とは 言 えない また 現 行 の 航 空 管 制 安 全 情 報 の 分 析 内 容 のままでは 情 報 の 抽 象 化 を 行 っている 結 果 発 生 状 況 等 が 具 体 性 に 欠 けるため 事 例 研 究 に 活 用 することは 難 しいとの 意 見 もある このため 管 制 官 からのより 積 極 的 な 報 告 を 促 し また 分 析 内 容 の 具 体 性 を 高 め 改 善 策 に 関 する 提 言 を 追 加 すること 等 により 管 制 現 場 が 求 めるようなより 具 体 的 実 効 的 なものとするよう 早 急 に 検 討 する (3) 人 事 のあり 方 の 抜 本 的 見 直 し 等 管 制 業 務 の 性 格 上 異 動 のたびに 業 務 資 格 を 取 得 する 必 要 があること 等 により 人 事 が 硬 直 化 ( 長 期 在 籍 )している 現 在 の 人 事 制 度 は 業 務 の 熟 練 度 の 観 点 からプラスである 一 方 モチベーションの 低 下 年 齢 構 成 の 偏 りによるコミュニケーション 不 足 等 組 織 の 活 性 化 を 阻 む 要 因 とも なっていると 考 えられる このため これら 従 来 の 弊 害 を 解 消 し 意 欲 と 能 力 のある 者 が 活 き 活 きと 働 けるよう 人 事 のあり 方 に 関 する 諸 問 題 の 改 善 を 図 ることとし 18 年 度 中 に 人 事 のあり 方 を 抜 本 的 に 見 直 し 19 年 度 から 順 次 具 体 化 を 図 る また 安 全 の 確 保 を 図 るには 管 制 塔 やレーダー 室 の 執 務 環 境 や 訓 練 は 重 要 なファクターであり そのための 機 器 施 設 等 を 充 実 させること は 重 要 である あわせて 健 康 状 態 もヒューマンエラー 発 生 に 関 連 する 要 素 であることから 欧 米 では 既 に 着 目 されているメンタル 面 を 含 めた 健 康 管 理 のあり 方 についても 今 後 検 討 していく 必 要 がある おわりに 国 土 交 通 省 では 運 輸 事 業 者 に 安 全 への 取 組 みの 強 化 を 求 める 法 案 を 今 国 会 に 提 出 している 我 が 身 を 顧 みるに 航 空 交 通 の 安 全 確 保 は 航 空 局 に - 10 -

課 せられた 最 大 の 使 命 であり とりわけ 管 制 官 の 業 務 は 公 権 力 を 行 使 す る 責 任 の 重 いものである 事 業 者 に 求 めるのと 同 様 安 全 意 識 の 浸 透 安 全 文 化 の 構 築 をこれまで 以 上 に 図 っていかなければならない 管 制 業 務 は レーダー システム 等 最 新 の 技 術 を 駆 使 することにより 管 制 官 の 負 担 を 軽 減 することは 可 能 であるものの 最 終 的 には 約 1900 人 の 管 制 官 の 判 断 指 示 に 依 存 せざるを 得 ない 業 務 である 各 管 制 官 は 強 い 責 任 感 と 誇 りをもって 日 夜 職 務 に 当 たっているが 人 間 が 行 う 以 上 エラーを 皆 無 にすることは 不 可 能 と 言 わざるを 得 ない このため ヒューマンエラ ーをできるだけ 少 なくするように 努 めるとともに ヒューマンエラーが 発 生 した 場 合 であってもその 拡 大 を 防 ぎ 安 全 を 脅 かすことにならないよう フェールセーフの 確 立 を 図 っていく 必 要 がある 我 々は このような 認 識 に 立 って 航 空 の 安 全 を 確 保 することを 最 優 先 とし 国 民 から 信 頼 される 管 制 業 務 を 一 日 も 早 く 構 築 するよう 全 力 を 尽 く してまいりたい - 11 -