第 4 章 観 光 戦 略 の 展 開 (アクションプログラム) 本 章 では 前 章 の 酒 田 市 中 長 期 観 光 戦 略 ( 新 酒 田 物 語 )を 受 けて オリジナル ス トーリーを 具 現 化 するためのサブ ストーリーの 具 体 的 な 展 開 方 法 等 について 記 述 し さらには 実 現 に 向 けた 観 光 推 進 体 制 の 構 築 や 観 光 プロモーションの 展 開 観 光 の 推 進 に 関 する 環 境 整 備 について 明 示 している (1)サブ ストーリーごとの 観 光 施 策 の 展 開 1 歴 史 伝 統 の 活 用 サブ ストーリー1 交 易 で 栄 えた 豪 商 と 雅 な 文 化 の 融 合 < 豪 商 の 面 影 を 残 す 歴 史 的 資 源 > 酒 田 は 北 前 船 や 最 上 川 舟 運 による 交 易 で 栄 えた 商 都 であり 今 なお 豪 商 の 面 影 を 残 す 本 間 家 旧 本 邸 や 旧 鐙 屋 など 歴 史 的 資 源 が 現 存 している < 京 都 からもたらされた 雅 な 生 活 文 化 > これらの 豪 商 は 北 前 船 で 栄 華 を 極 め 北 前 船 の 往 来 で 賑 わった 港 町 酒 田 にもた らされた 京 の 文 化 は 長 い 時 代 の 流 れの 中 で 育 まれ 酒 田 の 伝 統 文 化 として 成 熟 継 承 されてきた 北 前 船 の 歴 史 や 文 化 を 残 す 様 々な 建 物 や 資 源 は 従 来 より 観 光 資 源 として 活 用 してきた しかし これらの 歴 史 文 化 的 な 資 源 を 観 光 資 源 としてさらに 活 用 す るためには 従 来 のような 活 用 方 法 だけでなく 新 たな 視 点 をもって 戦 略 的 に 活 用 しなければならない <オリジナル ストーリーとの 関 連 > 酒 田 の 歴 史 はまさに 交 易 の 歴 史 である 酒 田 の 街 なかには 交 易 に 関 連 する 貴 重 な 歴 史 的 資 源 が 数 多 く 残 っており 歴 史 や 文 化 の 地 域 資 源 を 活 用 した 観 光 開 発 はすでに 進 んできているところである 今 後 は 街 なかの 回 遊 を 促 進 するために 情 報 発 信 機 能 や 街 なかガイド 機 能 の 強 化 観 光 ルートの 整 備 が 重 要 である - 30 -
酒 田 柳 小 路 屋 台 村 北 前 横 丁 山 居 倉 庫 傘 福 旧 鐙 屋 雛 人 形 相 馬 樓 の 酒 田 舞 娘 施 策 例 さかた 歳 時 記 酒 田 の 歴 史 や 伝 統 と 食 文 化 祭 りなどを 関 連 付 けた 情 報 を 提 供 する 情 報 を 一 元 化 することによって 酒 田 の 観 光 が 一 覧 でき 来 訪 目 的 や 来 訪 時 期 について 動 機 づけを 行 う 多 くのイベントや 祭 り 情 報 と 歴 史 や 食 文 化 を 連 動 させるこ とによって 酒 田 の 魅 力 を 発 信 する 観 光 案 内 機 能 の 充 実 酒 田 への 来 訪 を 促 し 来 訪 者 の 回 遊 性 を 高 めるため 情 報 発 信 機 能 の 強 化 や 街 中 案 内 機 能 の 充 実 などに 取 り 組 む 北 前 船 を 活 用 したイベント 開 催 酒 田 の 発 展 を 支 え 酒 田 のシンボルともなっている 北 前 船 を 活 用 した 様 々 なイベントを 開 催 する 外 国 人 観 光 客 の 誘 致 外 国 人 観 光 客 の 誘 致 に 向 け 酒 田 市 の 歴 史 や 文 化 資 源 を 巡 るモニターツアー や 海 外 教 育 旅 行 外 航 クルーズ 船 の 誘 致 に 取 り 組 む 回 遊 性 を 高 める 観 光 ルートの 創 設 観 光 客 誘 致 を 目 的 に 市 内 の 回 遊 性 を 高 めるとともに 周 辺 地 域 との 連 携 に よる 広 域 観 光 ルートを 造 成 する - 31 -
2 食 食 文 化 の 活 用 サブ ストーリー2 豊 かな 食 材 を 使 った おもてなしの 食 文 化 < 地 形 地 勢 から 見 た 庄 内 地 域 の 食 の 特 徴 > 鳥 海 山 と 出 羽 三 山 に 抱 かれる 庄 内 平 野 は 夏 と 冬 の 気 温 差 が 40 度 近 くにもなる 独 特 の 気 候 や 最 上 川 赤 川 の 恵 みによって 多 彩 かつ 味 わい 深 い 食 材 に 恵 まれ ている 特 に 農 産 物 では 昔 ながらの 在 来 作 物 が 数 多 く 残 り 特 徴 的 な 食 材 とし て 今 なお 食 されていることもこの 地 域 の 特 色 の 一 つである < 北 前 船 交 易 と 酒 田 の 食 食 文 化 > 北 前 船 によって 酒 田 が 大 坂 と 直 結 したことで 酒 田 からは 庄 内 米 や 一 級 品 として 名 を 馳 せた 紅 花 などが 上 方 向 けに 運 ばれ 反 対 に 酒 田 には 上 方 の 文 化 がもたらされた 特 に 京 の 食 や 食 文 化 は 今 なお 酒 田 の 色 濃 く 根 付 いている < 庄 内 の 米 と 湧 水 から 生 まれる 酒 田 の 酒 > 今 や 海 外 からも 注 目 されている 日 本 の 米 当 地 域 の 庄 内 米 は 国 内 トップ クラスの 等 級 を 誇 り 全 国 ブランドともなっている また 酒 田 市 内 には7つもの 酒 蔵 が 存 在 する 質 の 良 い 米 ときれいな 水 に 恵 ま れ それぞれの 蔵 人 のこだわりにより 造 り 続 けられている 日 本 酒 の 味 は 格 別 で 食 資 源 の 中 でも 重 要 な 位 置 を 占 めている < 酒 田 のフレンチ> 一 方 多 くの 食 材 や 農 産 物 等 を 活 かした 調 理 手 法 についても 固 有 の 資 源 が 存 在 している その 一 つがフレンチであり 欅 (1968 年 )や ル ポットフー (1973 年 )など 酒 田 を 代 表 するフランス 料 理 店 が 生 まれ 東 京 大 阪 などから グルメツアーが 組 まれるほどであった これら 伝 説 のレストランは 現 在 でも 存 在 し その 流 れを 受 け 継 いだ 料 理 人 たちが 酒 田 フレンチ として 磨 き 上 げている < 豊 かな 食 文 化 > 酒 田 には 料 亭 文 化 ( 上 方 から 伝 わった 食 文 化 )やフレンチ 以 外 にも 豊 富 な 海 産 物 を 素 材 とした 寿 司 やラーメンなど 地 域 性 のあるメニューをバラエティー 豊 かに 取 り 揃 えて 幅 の 広 い 食 が 提 供 される 地 域 である 地 域 の 食 は 旅 行 目 的 の 一 つとなるため 当 地 の 豊 かな 食 文 化 を 素 材 として 観 光 客 の 誘 致 に 取 り 込 む <オリジナル ストーリーとの 関 連 > 酒 田 市 を 中 心 とする 庄 内 地 域 の 固 有 の 自 然 食 材 や 食 文 化 を 北 前 船 交 易 や 最 上 川 舟 運 の 歴 史 性 と 関 連 させ 交 易 のオリジナル ストーリーと 連 携 し それら - 32 -
のサブ ストーリーとしての 展 開 を 図 る サクラマス( 県 魚 ) 岩 ガキ 刈 屋 梨 酒 田 の 地 酒 酒 田 のラーメン 酒 田 フレンチ 施 策 例 酒 田 庄 内 の 食 を 活 用 したイベントの 開 催 酒 田 庄 内 の 食 を 一 堂 に 集 めた 食 のフェスタなど 様 々な 調 理 方 法 で 料 理 さ れた 庄 内 の 食 に 関 するイベントや 酒 田 庄 内 の 食 材 を 活 用 した 料 理 コン テストなど 酒 田 庄 内 の 食 に 拘 ったイベントを 開 催 する 外 国 人 モニターツアーの 開 催 外 国 人 に 庄 内 の 食 材 や 料 理 の 魅 力 を 認 識 発 信 してもらうため 酒 田 の 食 や 食 文 化 を 体 験 するモニターツアーを 実 施 する フレンチに 合 う 日 本 酒 近 年 海 外 では 日 本 酒 がブームとなっており フランス 料 理 にも 合 うと 言 わ れている これを 機 会 に 酒 田 の 酒 と 酒 田 フレンチ の2つの 要 素 を 結 び 付 けるものとして 酒 田 フレンチに 合 う 酒 田 の 地 酒 を 市 内 のフレンチ レ ストランで 提 供 する 日 本 酒 の 試 飲 スペースの 設 置 酒 田 市 内 には 7 つの 酒 蔵 があり 各 々が 個 性 ある 日 本 酒 を 製 造 している こ の 7 つの 酒 蔵 が 一 堂 に 会 し 各 酒 蔵 自 慢 のお 酒 が 試 飲 でき 気 に 入 った 酒 を 購 入 できる 施 設 の 整 備 を 検 討 する - 33 -
3 自 然 景 観 の 活 用 サブ ストーリー3 壮 大 な 鳥 海 山 と 最 上 川 飛 島 の 独 自 の 自 然 環 境 < 酒 田 市 の 自 然 景 観 の 特 徴 > 酒 田 市 には 鳥 海 山 や 日 本 海 最 上 川 や 庄 内 平 野 などの 雄 大 な 自 然 景 観 や 山 居 倉 庫 をはじめとする 歴 史 的 文 化 的 な 景 観 が 多 数 存 在 する 市 では 市 民 から 推 薦 された 魅 力 的 な 景 観 30 景 を 選 定 しており 酒 田 の 素 晴 らしい 自 然 景 観 を 再 認 識 できるものとなっている < 鳥 海 山 の 魅 力 と 飛 島 の 歴 史 性 > 鳥 海 山 は 数 えきれない 噴 火 を 繰 り 返 してきた 活 火 山 でありながら 天 然 のダム と 言 われるほどの 湧 水 群 を 持 つ 山 でもある この 湧 水 が 鳥 海 山 の 生 態 系 を 育 み 私 たちは 豊 かな 自 然 の 恩 恵 を 受 けながら 独 自 の 文 化 を 築 いてきた また 飛 島 には 全 国 でも 貴 重 な 漁 村 文 化 が 色 濃 く 残 り 島 の 自 然 は 島 民 の 生 活 様 式 と 共 に 大 きく 姿 を 変 えてきた 歴 史 を 持 つ 鳥 海 山 と 飛 島 には 二 つを 結 びつける 伝 説 や 習 慣 が 数 多 く 残 り 自 然 と 歴 史 を 同 時 に 体 験 できる 貴 重 な 場 所 となっている < 鳥 海 山 飛 島 ジオパーク 構 想 > ジオパークとは ジオ( 大 地 )の 活 動 がもたらす 貴 重 な 地 形 地 質 の 上 に 成 り 立 つ 自 然 環 境 と そこで 暮 らす 人 間 の 文 化 を 一 体 として 学 べる 場 所 のことである 鳥 海 山 飛 島 ジオパーク 構 想 では 日 本 海 と 大 地 をめぐる 水 の 命 の 循 環 をテ ーマに 地 域 に 眠 る 貴 重 な 資 源 を 掘 り 起 し 環 境 保 全 自 然 教 育 を 通 じて 地 域 を 知 ることで 自 分 の 住 む 地 域 の 誇 りを 持 つことを 基 本 にした 地 域 の 活 性 化 に 取 り 組 んでいる < 市 郊 外 の 自 然 豊 かな 里 山 エリア> 酒 田 市 内 の 郊 外 に 目 を 向 けると 八 幡 エリアや 平 田 エリア 松 山 エリア 眺 海 の 森 エリアには 今 でも 豊 かな 里 山 の 風 景 が 残 っており また それぞれのエリア には これらの 自 然 を 満 喫 できる 施 設 がたくさんあり 同 時 にそばが 食 べられる お 店 も 点 在 しているなど ゆっくり 自 然 や 歴 史 を 楽 しむことができるとともに 食 も 十 分 に 満 足 できるエリアである <オリジナル ストーリーとの 関 連 > 以 上 のように 鳥 海 山 や 飛 島 などを 中 心 とする 自 然 環 境 は 酒 田 にとって 重 要 な 観 光 資 源 である よって これらの 自 然 環 境 を 酒 田 の 観 光 の 入 り 口 とし これら - 34 -
に 歴 史 や 公 益 の 精 神 などを 結 びつけることで 新 たな 観 光 テーマを 見 出 すことが でき また 酒 田 の 観 光 が 重 層 的 に 展 開 をするためにも 不 可 欠 である 鳥 海 山 ( 春 ) 鳥 海 山 ( 冬 ) 飛 島 飛 島 の 鼻 戸 崎 からみた 鳥 海 山 眺 海 の 森 からみた 夕 陽 ライトアップされた 玉 簾 の 滝 施 策 例 酒 田 の 自 然 や 気 候 風 土 を 活 用 したイベントの 開 催 酒 田 の 特 徴 的 な 自 然 環 境 や 気 候 風 土 を 活 用 し 多 様 なイベントの 開 催 や 酒 田 を 体 感 できる 独 自 のツアーを 実 施 する ジオパーク 関 連 イベントの 開 催 鳥 海 山 飛 島 ジオパークの 日 本 ジオパーク 認 定 を 目 指 して 市 民 の 機 運 醸 成 のため 現 地 視 察 ツアーを 開 催 する 観 光 施 設 等 のライトアップによる 夜 間 景 観 の 形 成 滞 在 型 の 観 光 を 促 進 するため 夜 間 景 観 の 魅 力 向 上 を 図 る 観 光 施 設 等 のライ トアップ 事 業 を 行 う また 観 光 施 設 のみならず 新 井 田 川 河 畔 の 桜 並 木 や 玉 簾 の 滝 のライトアップなど 自 然 景 観 を 対 象 としたライトアップも 行 い 通 年 型 の 観 光 を 推 進 する - 35 -
4 公 益 と 豪 商 の 活 用 サブ ストーリー4 本 間 光 丘 の 植 林 事 業 にみる 公 益 の 精 神 < 本 間 光 丘 による 植 林 事 業 > 南 北 33km 長 さ 日 本 一 の 庄 内 砂 丘 は シベリア 下 ろしの 北 西 風 が 日 本 海 から 吹 きつけ 1 年 を 通 じて 砂 嵐 を 巻 き 起 こしていた 本 間 家 三 代 目 本 間 光 丘 は こ の 砂 嵐 を 防 ぐため 私 費 を 投 じて 西 浜 砂 防 林 植 林 事 業 に 取 り 組 んだことで 知 られている < 本 間 家 の 累 代 による 公 益 活 動 > 本 間 家 は 三 代 目 光 丘 だけにとどまらず 町 立 酒 田 商 業 高 校 や 山 形 高 等 学 校 建 設 時 の 支 援 や 各 種 団 体 に 対 する 寄 付 行 為 など 累 代 様 々な 社 会 貢 献 活 動 や 事 業 を 行 っている また 二 代 目 光 寿 の 弟 本 間 宗 久 は 相 場 の 神 様 とも 言 われ 氏 が 考 案 し た 手 法 が 今 でも 株 式 相 場 や 商 品 先 物 相 場 などの 投 機 の 世 界 で 相 場 の 指 標 を 求 め る 手 段 として 国 境 を 越 えて 活 用 されている < 東 北 公 益 文 科 大 学 の 開 学 > 平 成 13 年 酒 田 市 に 開 学 した 東 北 公 益 文 科 大 学 は 日 本 で 唯 一 の 公 益 学 の 教 育 研 究 を 行 う 大 学 である 研 究 対 象 は 経 済 行 政 財 政 経 営 管 理 国 際 協 力 教 育 福 祉 医 療 環 境 保 全 など 多 岐 にわたり 公 益 学 部 はいわゆる 学 際 的 総 合 的 学 問 を 学 べる 学 部 であるといえる < 究 極 の 公 益 の 極 み 即 身 仏 > 日 本 国 内 におよそ 十 数 体 ある 即 身 仏 のうち 庄 内 地 域 には 6 体 酒 田 ( 日 吉 町 の 海 向 寺 )には 2 体 の 即 身 仏 が 安 置 されている 自 分 の 体 を 後 世 に 残 すことによ って いつまでも 民 衆 のために 祈 り 続 けるお 姿 は まさに 公 益 の 極 みである <オリジナル ストーリーとの 関 連 > このように 即 身 仏 はまさに 公 益 の 極 みであるが 酒 田 の 豪 商 本 間 家 も 累 代 にわたり 公 益 的 な 活 動 を 実 践 してきた この 意 味 で 本 間 家 の 歴 史 は 世 の ため 人 のために 尽 くす 公 益 活 動 を 実 践 してきた 歴 史 である この 公 益 の 精 神 は いまでも 酒 田 市 民 の 精 神 的 根 幹 に 奥 深 く 根 付 いており 観 光 振 興 への 取 り 組 みにおいても 重 要 な 精 神 性 おもてなしの 心 として 育 まれている このおもてな しの 心 をもって 観 光 客 を 迎 え 入 れることが 重 要 である - 36 -
本 間 家 旧 本 邸 光 丘 文 庫 東 北 公 益 文 科 大 学 庄 内 砂 丘 と 黒 松 の 防 風 林 三 代 目 本 間 光 丘 海 向 寺 の 即 身 仏 施 策 例 東 北 公 益 文 科 大 学 と 連 携 した 観 光 人 材 の 育 成 日 本 で 唯 一 の 公 益 学 の 教 育 研 究 を 行 う 大 学 である 東 北 公 益 文 科 大 学 との 連 携 し 酒 田 の 観 光 を 支 える 人 材 を 育 成 する 公 益 の 精 神 を 体 感 するイベントの 開 催 累 代 に 渡 って 公 益 に 貢 献 してきた 本 間 家 の 歴 史 や 即 身 仏 に 思 いを 馳 せるツ アー ボランティア 精 神 公 益 の 精 神 を 体 感 するイベントを 開 催 する 土 門 拳 の 活 動 と 公 益 ( 仮 ) 酒 田 市 出 身 の 世 界 的 写 真 家 である 土 門 拳 の 活 動 に 関 して 生 い 立 ちを 含 む 歴 史 的 背 景 や 活 動 内 容 についてあらためて 見 直 し 社 会 的 リアリズムが 社 会 に 及 ぼし た 影 響 等 について 特 に 公 益 の 観 点 から 採 り 上 げる - 37 -
(2) 観 光 推 進 体 制 の 構 築 1 地 域 プラットフォームの 創 設 全 国 的 な 観 光 推 進 組 織 の 今 後 のあり 方 や 取 り 組 みの 方 向 性 に 鑑 み 観 光 推 進 組 織 のあり 方 としては 多 様 な 主 体 が 連 携 できるような 酒 田 市 の 関 係 団 体 等 が 一 致 団 結 して オール 酒 田 の 観 光 推 進 を 目 指 していく 組 織 形 態 はもとより 多 様 な 主 体 が 連 携 できるような 枠 組 みとするため 以 下 に 酒 田 市 の 観 光 推 進 組 織 のイメージを 示 した 行 政 は 推 進 組 織 を 支 援 協 力 する ことに 専 心 し 主 体 はあくまで 観 光 推 進 組 織 の 構 成 メンバーとした 現 在 国 が 推 進 している 日 本 版 DMO 6 のような 組 織 体 制 を 目 指 す そして 様 々な 主 体 が 連 携 した 観 光 推 進 組 織 は 地 域 のプラットフォームとし ての 役 割 を 担 い 関 係 者 の 円 滑 な 事 業 運 営 を 全 面 的 に 実 施 するとともに 事 業 に よっては 自 ら 主 体 的 に 企 画 運 営 していくことが 可 能 となるような 組 織 を 作 るこ とが 望 まれる < 観 光 推 進 体 制 のイメージ 図 > 交 通 事 業 者 旅 行 事 業 者 宿 泊 事 業 者 観 光 関 連 施 設 観 光 物 産 協 会 商 工 事 業 者 酒 田 商 工 会 議 所 酒 田 市 のあるべき 観 光 推 進 組 織 ( 地 域 プラットフォーム) スポーツ 関 連 団 体 市 民 市 民 団 体 飲 食 店 等 農 林 水 産 業 従 事 者 農 協 漁 協 文 化 関 連 施 設 大 学 学 生 支 援 協 力 酒 田 市 6 日 本 版 DMO(Destination Marketing/Management Organization): 地 域 の 稼 ぐ 力 を 引 き 出 すとともに 地 域 への 誇 りと 愛 着 を 醸 成 する 観 光 地 経 営 の 視 点 に 立 った 観 光 地 域 づく りの 舵 取 り 役 として 多 様 な 関 係 者 と 協 同 しながら 明 確 なコンセプトに 基 づいた 観 光 地 域 づくりを 実 現 するための 戦 略 を 策 定 するとともに 戦 略 を 着 実 に 実 施 するための 調 整 機 能 を 備 えた 法 人 のこと( 引 用 : 観 光 庁 ) - 38 -
2 インバウンド 7 に 対 応 した 受 け 皿 組 織 づくり 近 年 急 激 に 増 加 している 訪 日 外 国 人 旅 行 者 (インバウンド)に 対 応 し 外 国 語 が 堪 能 なガイドの 育 成 や 外 国 語 の 表 記 のある 案 内 看 板 やパンフレット さらに は 外 国 人 が 興 味 を 持 ちそうな 観 光 資 源 等 の 開 発 とプロモーション 等 に 関 して 統 一 的 かつ 円 滑 な 対 応 を 行 うための 専 門 的 な 受 け 皿 組 織 をつくる 国 でも 訪 日 外 国 人 による 経 済 効 果 を 都 心 部 から 地 方 への 波 及 を 目 指 し 地 方 空 港 の 着 陸 料 の 補 助 なども 表 明 しており 今 後 庄 内 空 港 を 利 用 したインバウンド 客 の 誘 致 が 現 実 味 を 帯 びてきており 日 本 各 地 での 争 奪 戦 が 繰 り 広 げられること も 予 想 される また 山 形 県 唯 一 の 重 要 港 湾 である 酒 田 港 への 大 型 外 航 クルーズ 船 の 受 け 入 れも 見 据 え 国 内 観 光 のみならず インバウンドを 視 野 に 入 れた 体 制 づくりについて 検 討 を 行 う 3 関 係 省 庁 や 関 連 機 関 との 連 携 酒 田 市 の 中 長 期 観 光 戦 略 の 実 施 に 当 たっては 庄 内 地 域 やさらに 広 域 での 連 携 によって ダイナミックなエリアの 魅 力 向 上 を 図 る 現 在 実 施 されている 広 域 連 携 事 業 は 以 下 の 通 り 広 域 観 光 圏 連 携 活 動 との 連 携 庄 内 観 光 コンベンション 協 会 日 本 海 きらきら 羽 越 観 光 圏 庄 内 北 部 定 住 自 立 圏 構 想 鳥 海 国 定 公 園 観 光 開 発 協 議 会 鳥 海 山 飛 島 ジオパーク 構 想 推 進 協 議 会 などで 様 々な 広 域 連 携 事 業 が 実 施 されている 中 には 成 果 が 見 えにくい 活 動 があるのも 現 状 である 再 度 共 通 目 標 の 認 識 を 持 ち 成 果 を 具 体 的 に 図 るわ かりやすい 指 標 を 持 って 事 業 を 推 進 する 例 えば 広 域 での 二 次 交 通 手 段 の 課 題 を 解 決 するため 各 市 町 を 回 遊 する 交 通 手 段 を 共 同 で 整 備 することによって 観 光 客 の 広 範 な 観 光 行 動 を 促 進 し 連 携 事 業 のインフラとなるよう 整 備 を 行 うなど 必 要 に 応 じて 検 討 会 等 を 設 ける 国 観 光 庁 との 連 携 酒 田 市 中 長 期 観 光 戦 略 の 実 施 にあたっては 政 府 が 進 める 観 光 立 国 政 策 や 観 光 庁 の 事 業 の 進 捗 状 況 等 を 十 分 に 見 極 め 積 極 的 に 支 援 を 仰 ぐなど 国 等 の 公 的 補 助 金 等 の 獲 得 も 視 野 に 入 れながら 事 業 展 開 を 進 める そのため 国 等 の 施 策 や 推 進 方 針 等 について 常 に 視 野 に 入 れながら 積 極 的 に 情 報 収 集 と 分 析 を 行 い 事 業 の 方 向 性 を 検 討 していく また 県 等 の 観 光 政 策 の 方 向 性 や 周 辺 市 町 とも 情 報 交 流 を 行 いながら 協 調 連 携 して 進 めていく 7 外 国 から 自 国 への 観 光 移 動 のこと( 訪 日 外 国 人 ) - 39 -
(3) 観 光 プロモーションの 展 開 1 国 内 旅 行 者 向 けプロモーション < 首 都 圏 での 観 光 客 誘 致 プロモーションと 物 産 展 の 開 催 > 庄 内 地 域 の 食 や 食 材 をアピールするための 物 産 展 の 開 催 と 観 光 客 誘 致 プロ モーションを 行 う 実 際 に 庄 内 の 食 を 試 食 してもらい 来 訪 の 動 機 づけを 促 す とともに 魅 力 をアピールすることで 新 酒 田 物 語 を 認 知 してもらう 旅 行 会 社 等 へのプロモーションに 関 しては 首 都 圏 の 旅 行 会 社 及 びキャリ ア 系 の 旅 行 会 社 に 対 して 継 続 的 で 地 道 なプロモーション 活 動 を 展 開 し 一 つ でも 多 くのツアー 誘 致 を 行 う < 旅 行 関 連 サイト 等 と 連 携 したプロモーション> 旅 行 専 用 サイト じゃらん 楽 天 トラベル Yahoo!トラベル な ど 旅 行 関 連 サイトと 連 携 し 庄 内 の 旅 をメインとしたキャンペーンを 展 開 す る 専 用 サイトでの 宣 伝 等 はもちろん 特 別 なモデルツアーを 提 供 したり モ ニターツアーを 実 施 したり 観 光 客 のメリットを 出 したプロモーションを 行 う また 庄 内 の 食 に 関 するアピールを 行 い 土 産 品 や 景 品 などを 提 供 して 庄 内 に 来 てもらうことを 前 提 としたキャンペーンを 行 う <SNS(ソーシャルメディア)の 活 用 > 実 際 に 影 響 力 の 強 い 口 コミ facebook 等 (ソーシャルメディア)で 酒 田 の 魅 力 を 拡 散 する 観 光 物 産 協 会 などの 公 式 メディアのほかに 参 加 メンバーでも 積 極 的 に 拡 散 できるよう グループメディアを 設 置 する( 新 酒 田 物 語 SNS グループなど) なお この 取 り 組 みは 国 内 向 けのみならず 海 外 向 けのコミュ ニティとしての 意 識 を 持 って 実 施 することが 重 要 であるため 在 酒 の 外 国 人 を 巻 き 込 むことも 必 要 である 2 海 外 旅 行 者 向 けプロモーション < 広 域 連 携 による 海 外 プロモーションの 展 開 > 海 外 で 開 催 されている 旅 行 博 等 のイベントに 出 展 し 直 接 顧 客 を 誘 致 するプ ロモーションを 展 開 する そのためには 酒 田 市 だけでは 訴 求 力 に 乏 しいため 山 形 県 庄 内 地 域 全 体 を 含 めた 広 域 連 携 によるプロモーションを 行 う < 訪 日 外 国 人 向 けの 観 光 資 源 のモニタリング> 外 国 人 目 線 での 観 光 振 興 を 図 るため 海 外 の 旅 行 会 社 及 び 雑 誌 社 等 を 含 めて モニターツアーなどの 招 聘 事 業 を 行 い 庄 内 地 域 や 酒 田 の 観 光 の 魅 力 を 理 解 し - 40 -
てもらうと 同 時 に 何 が 訪 日 外 国 人 にとって 魅 力 的 な 資 源 であるのかモニタリ ングする さらに 外 国 人 留 学 生 等 を 活 用 して 酒 田 の 観 光 の 魅 力 を 情 報 発 信 するととも に 海 外 の 学 校 を 対 象 として 日 本 文 化 を 学 ぶ 教 育 旅 行 の 誘 致 を 行 う <MICE 8 等 の 誘 致 とプロモーション> 海 外 の 学 会 や 世 界 大 会 などの 国 際 的 なMICEを 誘 致 するために MICE アドバイザーを 採 用 するなど 積 極 的 な 活 動 を 展 開 するとともに コンベンショ ンの 開 催 やエクスカーション 9 による 観 光 の 魅 力 などをアピールするためプロ モーションを 行 う また 外 国 人 向 けパンフレットや 専 用 サイトの 構 築 など 多 言 語 を 用 いたPR 活 動 などを 行 う <クルーズ 船 の 誘 致 プロモーション> 酒 田 は 山 形 県 唯 一 の 港 湾 都 市 であり 大 型 旅 客 船 の 寄 港 可 能 な 港 や 埠 頭 を 持 っている 立 地 的 に 酒 田 は 陸 からのアクセスがあまりよくない 地 域 であり 港 町 という 海 の 玄 関 口 を 活 用 した 施 策 の 展 開 を 図 る そのため 大 型 クルーズ 客 船 を 誘 致 して 酒 田 周 辺 から 庄 内 全 体 の 観 光 をア ピールし 港 湾 利 用 料 や 市 内 観 光 のインセンティブなど あらゆる 手 法 での 誘 致 を 行 う 特 にクルーズ 船 は 訪 日 外 国 人 の 誘 客 に 対 して 非 常 に 効 果 的 であり 日 本 海 側 の 立 地 を 活 かして 中 国 やロシア 韓 国 などを 中 心 としたプロモーシ ョン 活 動 を 展 開 する 8 MICE:Meeting( 会 議 研 修 セミナー) Incentive tour( 報 奨 招 待 旅 行 ) Convention または Conference( 大 会 学 会 国 際 会 議 ) Exhibition( 展 示 会 )の 頭 文 字 をとった 造 語 でビ ジネス 旅 行 の 形 態 9 エクスカーション: 従 来 の 見 学 会 や 説 明 を 受 けるタイプの 視 察 とは 異 なり 訪 れた 場 所 で 案 内 人 の 解 説 を 聞 きながら 参 加 者 と 意 見 を 交 わし 地 域 の 自 然 や 歴 史 文 化 など 様 々な 学 習 的 内 容 で 専 門 家 の 解 説 を 聞 くとともに 参 加 者 も 現 地 での 体 験 や 議 論 を 行 い 理 解 を 深 める 見 学 会 - 41 -
(4) 観 光 の 推 進 に 関 する 環 境 整 備 1 情 報 環 境 整 備 (Wi-Fi 等 ) 観 光 庁 が 平 成 23 年 10 月 に 実 施 した 訪 日 外 国 人 に 対 するアンケート 調 査 に よると 旅 行 中 に 困 ったことの 第 1 位 に 無 料 公 衆 無 線 LAN 環 境 が 上 げられ ている 平 成 27 年 6 月 に 観 光 立 国 推 進 閣 僚 会 議 にて 決 定 された 観 光 立 国 実 現 に 向 けたアクション プログラム 2015 においても 外 国 人 旅 行 者 が 利 用 しやす い 無 料 公 衆 無 線 LAN 環 境 の 整 備 を 促 進 する と 記 載 されており 各 地 で 整 備 が 進 められている 酒 田 市 内 でも ホテルなどでは 無 料 公 衆 無 線 LANの 環 境 が 整 備 されているも のの 外 国 人 観 光 客 の 誘 致 に 向 けて 無 料 公 衆 無 線 LANの 環 境 の 整 備 を 拡 充 し ていく 必 要 がある 2 お 土 産 品 となる 名 物 名 産 品 の 開 発 外 国 人 旅 行 者 のみならず 日 本 人 にとっても 旅 先 での 名 物 や 名 産 品 の 買 い 物 は 旅 行 の 楽 しみの 一 つとなっている 酒 田 市 においては 新 鮮 な 魚 介 類 や 農 産 物 な どを 買 い 求 める 日 本 人 旅 行 者 は 多 いものの これは 酒 田 独 自 のものとは 言 えず また 外 国 人 旅 行 者 には 不 向 きである 旅 行 者 のニーズに 応 えるには 酒 田 に 来 た 記 念 や 思 い 出 となる 酒 田 でしか 手 に 入 らない 酒 田 独 自 の 名 物 や 名 産 品 の 開 発 を 進 める 必 要 がある 3 滞 在 型 観 光 メニューの 開 発 酒 田 市 の 観 光 の 課 題 でも 記 したとおり 酒 田 市 を 訪 れる 観 光 客 は 日 帰 りが 多 く また 日 帰 り 客 の 平 均 滞 在 時 間 も 4 時 間 弱 と 短 い そのため 酒 田 市 内 での 滞 在 時 間 の 拡 大 や 宿 泊 してもらえるような 滞 在 型 観 光 メニューの 開 発 を 進 める 本 項 (1)サブ ストーリーごとの 観 光 施 策 の 展 開 の 施 策 例 で 列 記 した 各 種 事 業 も 滞 在 時 間 の 延 長 に 資 するメニュー 開 発 となるが 特 に 宿 泊 客 を 増 大 させるため 泊 まることが 必 然 となるよう 夜 を 楽 しむことので きる 観 光 メニューが 必 要 となることから 酒 田 の 夜 の 魅 力 づくりも 同 時 に 進 める 4 交 通 ネットワークの 整 備 酒 田 に 観 光 で 訪 れる 際 の 首 都 圏 からのアクセスでは 鉄 道 で 酒 田 駅 を 利 用 する か 高 速 バス あるいは 庄 内 空 港 を 利 用 した 航 空 便 自 家 用 車 による 交 通 手 段 が 一 般 的 である しかし 鉄 道 では 山 形 新 幹 線 で 新 庄 経 由 上 越 新 幹 線 で 新 潟 経 由 のいずれも 所 要 時 間 で 約 4 時 間 かかる 飛 行 機 を 利 用 しても 羽 田 空 港 と 庄 内 空 港 は 約 1 時 間 - 42 -
であるが 庄 内 空 港 から 酒 田 市 内 までは 連 絡 バスで 約 40 分 ほどかかる 路 線 も 1 社 体 制 である また 高 速 道 路 についても 首 都 圏 から 直 結 する 道 はなく いずれも かなりの 所 要 時 間 を 要 する 今 後 酒 田 の 観 光 を 振 興 していくためには 交 通 ネットワークの 整 備 が 必 要 不 可 欠 である 国 等 に 対 しては 山 形 新 幹 線 の 延 伸 や 庄 内 空 港 のダブルトラック 化 日 本 海 沿 岸 東 北 自 動 車 道 の 延 伸 等 を 含 めた 交 通 ネットワークの 整 備 を 求 めていく - 43 -