わが 国 と 東 京 における 観 光 振 興 に 関 する 意 見 2 0 1 5 年 5 月 13 日 東 京 商 工 会 議 所 基 本 的 な 考 え 方 ( 日 本 東 京 の 魅 力 向 上 につながる 観 光 まちづくりの 推 進 ) 観 光 は 地 域 経 済 の 好 循 環 を 生 み 出 す 成 長 産 業 であるとともに まちづくりや 文 化 政 策 と 一 体 的 に 取 り 組 むことによって 大 きな 相 乗 効 果 が 期 待 できる 2013 年 は 2020 年 東 京 オリンピック パラリンピック 大 会 の 開 催 が 決 定 し さらに 2014 年 は 日 本 を 訪 れた 外 国 人 旅 行 者 数 が 1,341 万 人 に 達 するなど 観 光 立 国 に 向 けた 機 運 が 一 層 高 まっているこの 機 会 を 捉 え 国 内 外 の 持 続 的 な 相 互 交 流 をさらに 促 進 し 日 本 東 京 の 魅 力 向 上 と 地 域 の 活 性 化 を 図 るべきである 2013 年 の 国 内 における 旅 行 消 費 額 は 23.6 兆 円 に 上 り インバウンドの 効 果 が 顕 著 にな ってはいるが その 内 約 90%を 占 めているのが 国 内 居 住 者 による 国 内 観 光 である ことから 官 民 連 携 市 民 参 加 型 の 国 内 観 光 の 振 興 その 促 進 を 図 ることも 不 可 欠 である ( 訪 日 外 国 人 旅 行 者 受 け 入 れ 促 進 のための 環 境 整 備 ) ビザ 発 給 要 件 の 緩 和 免 税 制 度 改 正 を 契 機 に 伸 長 著 しいショッピング ツーリズムの 振 興 やMICE 誘 致 競 争 力 の 強 化 などの 誘 客 促 進 に 併 せて ガイド ボランティアの 育 成 ICTを 活 用 した 多 言 語 対 応 や 危 機 管 理 対 策 など 旅 行 者 の 満 足 度 を 高 め また 来 たい と 思 われるような 受 入 環 境 整 備 を 加 速 すべきである ( 人 の 移 動 と 交 流 を 活 発 化 させるインフラの 整 備 ) 訪 日 旅 行 の 急 増 を 背 景 に 空 港 貸 切 バスや 宿 泊 施 設 などの 需 給 逼 迫 が 危 惧 されており 限 られた 時 間 のなかで 包 括 的 に 解 決 を 図 らなければならない 同 時 に 増 加 する 個 人 旅 行 に 応 えるための 二 次 交 通 網 の 改 善 強 化 や 水 辺 空 間 の 整 備 と 舟 運 ネットワークの 構 築 など 人 の 移 動 と 交 流 を 活 発 化 させる 基 盤 の 整 備 も 着 実 に 進 めるべきである ( 総 合 的 な 観 光 振 興 に 向 けた 国 の 推 進 体 制 強 化 ) 観 光 を 地 域 経 済 活 性 化 に 結 びつけるには 域 外 からの 需 要 を 獲 得 すると 同 時 に 域 内 循 環 の 強 化 を 図 ることが 重 要 であることから 観 光 入 込 客 数 のみならず 地 域 経 済 に 直 接 的 な 波 及 効 果 をもたらす 旅 行 消 費 額 の 拡 大 に 力 点 をおいた 取 り 組 みの 強 化 が 必 要 で ある 推 進 体 制 の 強 化 にあたっては 官 民 連 携 はもとより 事 業 者 間 の 異 業 種 連 携 同 業 種 連 携 などを 促 し 観 光 振 興 の 担 い 手 を 拡 げることも 重 要 である 観 光 分 野 に 関 する 規 制 事 項 を 取 り 除 くことは 意 欲 ある 地 域 や 現 場 の 挑 戦 自 由 度 を 向 上 させるため わが 国 の 観 光 競 争 力 の 強 化 に 資 する 制 度 面 の 環 境 整 備 をさらに 検 討 すべ きである 以 上 の 基 本 的 な 考 え 方 に 基 づき アクション プログラムの 実 現 状 況 の 検 証 を 行 いつつ 2020 年 東 京 オリンピック パラリンピックを 跳 躍 台 として 観 光 立 国 日 本 の 未 来 を 切 り 拓 く ためにも 以 下 の 項 目 について 意 見 を 申 し 上 げる なお 東 京 商 工 会 議 所 は 地 域 総 合 経 済 団 体 として 観 光 振 興 に 主 体 的 に 取 り 組 んでいく 所 存 であり 観 光 諸 政 策 の 実 現 に 向 けて も その 支 援 を 惜 しまない 1
Ⅰ. 日 本 東 京 の 魅 力 向 上 につながる 観 光 まちづくりの 推 進 1.まちあるきによる 都 市 観 光 の 推 進 都 市 観 光 は 世 界 的 な 大 交 流 時 代 を 迎 えた 今 日 都 市 の 賑 わい 創 出 活 性 化 のために 重 要 な 役 割 を 担 っている とりわけ 繰 り 返 し 訪 問 するリピーター 層 の 厚 みを 増 していく 上 では 都 市 が 常 に 新 たな 魅 力 を 創 り 出 し 発 信 していくことが 欠 かせない 都 市 観 光 の 魅 力 は その 都 市 固 有 の 歴 史 生 活 文 化 はもとより 今 日 では 個 々 人 の 高 度 な 知 的 要 求 をも 満 たす 交 流 型 体 験 型 へと 変 化 している こうした 変 化 は 個 人 の 自 由 な 旅 行 に 沿 った もので 新 たな 都 市 観 光 としての 期 待 も 高 い このような 観 点 において 日 本 東 京 の 治 安 の 良 さや 二 次 交 通 網 の 充 実 度 は 強 みであり 国 内 外 旅 行 者 による 個 人 旅 行 や 滞 在 型 フリープラン あるいは まちあるき といった 着 地 型 観 光 に 向 いている 都 市 は 海 外 にもあまり 例 がない 特 に 滞 在 型 の 都 市 観 光 においては 旅 行 者 が 訪 問 地 でまちを 歩 き 人 と 触 れ 合 い 地 域 の 日 常 に 根 差 した 人 モノ コト 街 の 魅 力 を 体 感 することによって 住 んでみたい と 思 うような まちづくりと 一 体 となっ た 持 続 的 な 観 光 振 興 を 図 ることが 重 要 である これらを 踏 まえ 都 市 の 魅 力 に 直 結 するまちなかの 賑 わいと 交 流 を 創 出 するために 次 の 取 り 組 みを 推 進 されたい 歩 行 者 空 間 の 整 備 促 進 官 民 が 協 働 し 道 路 など 公 共 空 間 公 開 空 地 の 活 用 安 全 性 回 遊 性 の 確 保 などによって 地 区 内 外 を 連 続 させた 歩 行 者 ネットワーク の 形 成 安 全 で 快 適 な 通 行 空 間 の 確 保 をはじめ 災 害 の 防 止 良 好 な 景 観 の 形 成 歴 史 的 街 並 みの 保 全 の 観 点 から 電 線 類 の 地 中 化 無 電 柱 化 バリアフリー 化 の 促 進 ユニバーサルデザインの 考 え 方 に 基 づいた 円 滑 な 移 動 施 設 利 用 のためのバリアフリ ー 化 賑 わい 創 出 促 進 公 道 上 でのイベントやフェスティバルにおける 道 路 占 用 の 要 件 緩 和 と 道 路 使 用 の 柔 軟 化 地 域 の 素 材 を 新 たな 観 光 資 源 として 転 用 する 観 点 から 歴 史 的 建 造 物 や 文 化 施 設 をレ ストラン カフェ 等 として 有 効 活 用 滞 在 時 間 の 拡 大 促 進 駅 や 公 共 施 設 に 無 料 休 憩 場 の 機 能 を 付 加 まちなかにあるトイレ 貸 与 可 能 な 店 舗 に 外 国 語 表 記 を 設 置 交 通 系 ICカードの 利 用 促 進 移 動 手 段 として 外 国 人 旅 行 者 が 快 適 に 二 次 交 通 網 を 利 用 できるよう 交 通 系 ICカ ー ド( 非 接 触 型 ICカードシステムによる 共 通 乗 車 カード)の 利 用 2.エリアマネジメントによる 地 域 活 性 化 の 推 進 ニューヨーク 市 (アメリカ)は 2006 年 から 2012 年 の 間 に インバウンド 旅 行 者 数 を 726 万 人 から 1100 万 人 へ 大 幅 に 増 加 させている この 要 因 の 一 つに 複 数 の 区 が 官 民 一 体 となって 取 り 組 んだマーケティングモデルがあると 考 えられている 受 入 体 制 整 備 の 面 では アメリカの 州 法 に 基 づくBID(Business Improvement District)が 活 用 されて 2
いる BIDは 主 にビジネスエリアにおいて 資 産 所 有 者 事 業 者 が 地 域 の 発 展 を 目 指 して 必 要 な 事 業 を 行 うための 組 織 化 と 地 区 内 の 資 産 所 有 者 に 強 制 的 な 負 担 金 を 課 すこと ができる 財 源 調 達 の 仕 組 みである 事 業 内 容 は 地 域 美 化 や 治 安 維 持 活 動 を 担 うほかに 地 域 によってはイベント 実 施 コミュニティバスの 運 行 等 の 地 域 振 興 事 業 をはじめ 公 園 歩 道 などの 公 共 空 間 の 管 理 運 営 ストリートファニチャーの 統 一 などのインフラ 整 備 や 土 地 利 用 の 調 整 デザインコントロール テナント 誘 致 などのマーケティング 政 策 提 言 活 動 など 極 めて 多 彩 な 活 動 を 展 開 している わが 国 では 大 阪 市 が 2014 年 4 月 にエリアマネジメント 条 例 を 施 行 し 民 間 まちづく り 団 体 が 都 市 再 生 推 進 法 人 に 指 定 され 敷 地 内 の 歩 道 など 公 共 空 間 の 管 理 を 担 っている しかし 地 方 自 治 法 に 基 づく 分 担 金 制 度 は 受 益 者 と 負 担 者 の 関 係 が 明 確 であることを 求 めているため 資 金 使 途 が 施 設 管 理 などに 限 られ イベントなど 賑 わいにつながる 事 業 に 利 用 できないなどの 制 限 がある 政 府 におかれては 公 共 的 なサービス 強 化 に 加 え 地 域 の 魅 力 が 向 上 し 交 流 人 口 が 促 進 されるまちづくりのために 日 本 版 BID 手 法 など 制 度 面 の 整 備 も 検 討 されたい 3.ニューツーリズム 産 業 の 育 成 ニューツーリズムは 観 光 産 業 以 外 の 連 携 による 新 たな 観 光 の 形 であり 経 済 成 長 を 牽 引 する 産 業 として 注 目 されている 近 年 のマラソンブームによる 東 京 マラソンをはじめ としたスポーツツーリズムや 農 業 体 験 植 林 体 験 をテーマとしたエコツーリズム 農 林 漁 業 体 験 民 宿 によるグリーンツーリズムなど 部 分 的 に 成 長 し 始 めているものの 依 然 大 きな 盛 り 上 がりに 欠 けている まずは 政 府 がリーダーシップを 取 り 例 えば 高 度 な 医 療 ニーズに 対 応 する 医 療 ツーリズムの 推 進 や 旅 館 業 法 の 規 制 緩 和 を 通 じた 民 泊 などをさら に 推 進 されたい 4. 芸 術 文 化 政 策 の 強 化 東 京 は 上 野 にユネスコの 世 界 遺 産 暫 定 リストに 記 載 された 国 立 西 洋 美 術 館 等 の 文 化 施 設 や 歴 史 的 財 産 が 集 積 しているほか デザイン アニメ 等 都 市 型 創 造 産 業 の 一 大 拠 点 であ る また 欧 米 系 の 旅 行 者 を 中 心 に 人 気 の 高 い 現 代 美 術 を 中 心 とする 美 術 館 ギャラリー や 江 戸 東 京 の 文 化 を 発 信 する 博 物 館 等 多 種 多 様 な 芸 術 文 化 施 設 が 点 在 している 一 方 で イギリスの 大 英 博 物 館 やフランスのルーヴル 美 術 館 に 匹 敵 する 大 規 模 展 示 施 設 がない また 日 本 の 文 化 予 算 は 人 口 比 にするとフランスの 10 分 の1 韓 国 の4 分 の1であり 諸 外 国 と 比 べて 低 い 水 準 にある 文 化 と 観 光 は 密 接 な 繋 がりがあり 多 くの 国 において 文 化 観 光 省 を 設 置 し 連 携 を 深 めている 政 府 におかれては オリンピック パラリンピック 開 催 に 伴 う 文 化 プログラムの 実 現 に 向 けた 予 算 の 確 保 や 推 進 体 制 の 構 築 さらに 上 野 文 化 の 杜 構 想 の 着 実 な 推 進 など 芸 術 文 化 政 策 を 強 化 することで 交 流 人 口 の 拡 大 と 都 市 の 活 性 化 を 図 られたい 5. 地 域 間 の 連 携 による 相 互 交 流 の 拡 大 東 京 と 周 辺 都 市 をつなぐ 関 東 広 域 連 携 をはじめとして 個 性 豊 かな 地 方 への 送 客 拡 大 に 向 け 複 数 の 都 道 府 県 にまたがって テーマ 性 ストーリー 性 を 持 った 一 連 の 魅 力 ある 観 光 地 を 交 通 アクセスも 含 めてネットワーク 化 し 国 内 外 旅 行 者 の 滞 在 日 数 拡 大 に 資 する 3
広 域 観 光 周 遊 ルート の 形 成 を 推 進 されたい また 東 京 の 情 報 発 信 力 や 注 目 度 を 活 かし 地 方 の 魅 力 を 伝 えるショーケースとして 東 京 を 戦 略 的 に 活 用 することが 重 要 である 公 共 空 間 や 民 間 施 設 等 において 地 方 の 伝 統 芸 能 祭 り 食 のイベント 開 催 等 を 促 進 するとともに これら 相 互 交 流 の 拡 大 に 貢 献 する 取 り 組 みに 対 する 支 援 を 期 待 する 6. 交 流 人 口 の 回 復 拡 大 を 通 じた 東 日 本 大 震 災 被 災 地 復 興 の 促 進 東 北 6 県 や 関 東 地 方 沿 岸 部 では 訪 問 旅 行 者 数 が 未 だに 震 災 前 の 水 準 を 下 回 る 被 災 地 が 多 く 継 続 的 な 支 援 が 求 められている このため 風 評 被 害 の 払 拭 に 向 けた 国 内 外 への 正 確 な 情 報 発 信 の 強 化 に 加 え 大 規 模 な 国 際 会 議 クルーズ 船 の 誘 致 や 修 学 旅 行 をはじめと する 教 育 旅 行 を 対 象 とした 復 興 ツーリズム さらには 里 山 文 化 や 三 陸 地 方 の 食 海 歴 史 文 化 等 を 活 かしたグリーンツーリズムの 推 進 やJNTOによる 海 外 での 東 北 デスティネ ーションキャンペーンの 実 施 など 交 流 人 口 の 回 復 拡 大 に 資 する 様 々な 施 策 を 実 行 され たい 7.オリンピック パラリンピックレガシーの 創 造 1964 年 に 開 催 された 東 京 オリンピック パラリンピックは 日 本 が 戦 後 の 荒 廃 から 抜 け 出 し 高 度 経 済 成 長 を 迎 え 経 済 大 国 としてまさに 飛 躍 を 遂 げようとした 時 代 の 象 徴 的 なイベントとして 歴 史 に 刻 まれている 2020 年 東 京 大 会 は 震 災 からの 復 興 と 経 済 再 生 を 果 たし 輝 きを 取 り 戻 した 日 本 を 世 界 に 対 し 強 力 にアピールすると 同 時 に 少 子 高 齢 化 や 環 境 問 題 等 の 諸 課 題 に 対 する 技 術 力 や 取 り 組 みをショーケースとして 紹 介 し 東 京 の 魅 力 を 世 界 に 向 けて 発 信 すべきである また パラリンピック 大 会 開 催 を 契 機 として ユニバーサルデザインの 考 え 方 に 基 づく まちづくりを 促 進 するとともに 障 害 者 や 高 齢 者 外 国 人 を 含 めた 人 々の 多 様 性 の 理 解 を 図 り 思 いやる 心 を 育 むソフト 面 の 取 り 組 みを 推 進 すべきである 4
Ⅱ. 訪 日 外 国 人 旅 行 者 受 け 入 れ 促 進 のための 環 境 整 備 1. 国 際 相 互 理 解 を 深 めるツーウェイツーリズムの 拡 大 インバウンドとアウトバンドの 相 互 交 流 3000 万 人 時 代 において 観 光 は 世 界 の 中 で 生 きるわが 国 の 基 本 姿 勢 を 示 すものである 2015 年 は 第 二 次 世 界 大 戦 終 戦 70 年 日 韓 国 交 正 常 化 50 周 年 にあたる 諸 外 国 との 国 際 相 互 理 解 をさらに 深 め 国 際 社 会 での 日 本 の プレゼンスを 向 上 させる 観 点 から 双 方 向 交 流 であるツーウェイツーリズムのより 一 層 の 拡 大 が 重 要 である 例 えば 経 済 団 体 の 国 際 ネットワーク 姉 妹 商 工 会 議 所 や 自 治 体 の 姉 妹 都 市 などを 活 用 し 視 察 研 修 旅 行 をはじめ 企 業 のインセンティブ 旅 行 や 教 育 旅 行 など 当 該 国 と 双 方 向 で 持 続 的 に 送 客 する 取 り 組 みを 促 進 されたい 2.ビザ 発 給 要 件 の 更 なる 戦 略 的 緩 和 (1)ビザ 発 給 要 件 の 緩 和 日 本 への 旅 行 者 増 加 が 見 込 まれる 国 々に 対 して 訪 日 動 機 を 醸 成 するために ビザ 発 給 要 件 の 緩 和 や 免 除 を 進 められたい 特 に 訪 日 プロモーション 重 点 市 場 に 追 加 された 市 場 のうち 人 口 規 模 の 大 きさやビザ 緩 和 の 状 況 等 から 高 い 伸 びが 期 待 できるベトナム インド フィリピンやブラジル 等 に 対 するさらなる 緩 和 を 期 待 する また ASEANは 本 年 12 月 に 経 済 共 同 体 の 構 築 が 予 定 されていることから ASEANメンバーのミャンマー カ ンボジア ラオスについても 工 程 表 を 作 成 し 戦 略 的 な 緩 和 を 進 められたい なお 中 国 については 平 成 27 年 1 月 に 高 所 得 者 の 個 人 観 光 客 に 限 り 沖 縄 東 北 3 県 のいずれかで1 泊 するという 条 件 が 撤 廃 されているが 今 後 も 戦 略 的 な 見 直 しを 検 討 され たい (2) 外 国 人 長 期 滞 在 の 促 進 に 向 けた 在 留 資 格 の 見 直 し 昨 年 改 訂 された 日 本 再 興 戦 略 を 受 け 外 国 人 富 裕 層 を 対 象 に 観 光 目 的 による 滞 在 期 間 を 最 長 1 年 とする 入 管 制 度 ( 在 留 資 格 )の 見 直 し 準 備 が 進 められている 本 制 度 につ いては 当 初 の 予 定 通 り 平 成 27 年 度 中 に 実 施 され 外 国 人 富 裕 層 のわが 国 長 期 滞 在 の 増 大 と それが 地 域 経 済 の 活 性 化 につながるよう 査 証 基 準 一 定 以 上 の 資 産 保 有 配 偶 者 の 同 伴 可 能 などの 旅 行 者 の 受 け 入 れ 要 件 設 定 等 有 効 な 制 度 設 計 を 図 られたい 3. 出 入 国 手 続 きの 迅 速 化 円 滑 化 訪 日 外 国 人 旅 行 者 の 増 加 に 対 応 し 外 国 人 旅 行 者 が 出 入 国 手 続 きを 円 滑 かつ 快 適 に 行 え るよう CIQに 係 る 予 算 定 員 の 充 実 を 図 り 必 要 な 物 的 人 的 体 制 の 整 備 を 進 めた 上 で 次 の 取 り 組 みを 強 化 されたい 空 港 における 取 り 組 み 国 際 会 議 等 の 参 加 者 やVIP 等 を 対 象 としたファーストレーンの 設 置 拡 大 出 入 国 管 理 上 のリスクが 低 い 外 国 人 を 信 頼 できる 渡 航 者 (トラスティド トラベラ ー)として 特 定 し 自 動 ゲート 化 国 際 線 通 過 (トランジット) 旅 客 について 寄 港 地 上 陸 許 可 制 度 (ショアパス)の 積 極 活 用 によって 入 国 旅 客 への 移 行 を 図 るとともに 効 果 的 なトランジットプログラムの 導 入 5
韓 国 で 認 められているような 乗 継 客 向 けの 無 査 証 入 国 制 度 の 導 入 トランジット ビ ザの 発 給 方 法 の 見 直 し クルーズ 船 における 取 り 組 み 前 寄 港 地 等 から 入 国 審 査 官 が 乗 船 し 本 邦 への 入 港 前 に 外 国 人 乗 客 に 対 する 審 査 を 行 う 海 外 臨 船 審 査 は 着 岸 後 の 審 査 時 間 を 短 縮 するために 効 果 的 な 方 策 であり その 導 入 拡 大 4.ショッピング ツーリズム 振 興 の 加 速 (1) 免 税 店 ( 輸 出 物 品 販 売 場 )の 拡 大 平 成 26 年 10 月 から 実 施 された 免 税 店 ( 輸 出 物 品 販 売 場 )における 全 品 目 免 税 対 象 化 は 訪 日 外 国 人 旅 行 者 の 消 費 を 促 し 消 費 増 税 後 の 個 人 消 費 を 下 支 えした さらに 2020 年 に 向 けて 全 国 の 免 税 店 を1 万 店 舗 へ 倍 増 させる 目 標 を 前 倒 しで 達 成 する 見 通 しである ことに 加 え 本 年 4 月 より 商 店 街 やショッピングセンターが 第 三 者 に 代 理 委 託 すること で 免 税 販 売 手 続 きを 免 税 手 続 きカウンターで 一 括 して 出 来 るようになる 手 続 委 託 型 輸 出 物 品 販 売 場 制 度 が 創 設 されたことを 歓 迎 したい 今 後 は 免 税 手 続 きに 関 する 書 類 作 成 包 装 や 消 費 税 の 還 付 については 小 売 店 の 決 済 事 務 の 範 囲 内 であることを 明 確 にした 上 で 免 税 店 許 可 要 件 の 明 確 化 と 制 度 周 知 を 図 り 小 規 模 事 業 者 や 地 方 の 免 税 店 を 拡 大 されたい また シンガポールや 韓 国 台 湾 は 国 を 挙 げてショッピング ツーリズムを 振 興 し グ ローブショッパーと 呼 ばれる 買 い 物 に 旅 行 の 重 点 を 置 く 海 外 富 裕 層 の 取 り 込 みを 図 って いる 政 府 はショッピングを 食 まちあるきに 並 ぶ 日 本 観 光 の 重 要 なコンテンツと 位 置 づ けた 上 で 予 算 を 確 保 し 海 外 でのプロモーションを 強 化 されたい (2) 土 産 品 等 の 海 外 持 ち 出 しルールの 周 知 強 化 平 成 26 年 10 月 の 免 税 制 度 改 正 によって 食 品 類 が 免 税 対 象 となっているが 諸 外 国 の 検 疫 条 件 によって 持 ち 込 みが 禁 止 されている 物 品 があり 小 売 店 の 現 場 ではその 対 応 に 苦 慮 している また 免 税 制 度 を 利 用 して 化 粧 品 や 飲 料 等 の 液 体 物 を 購 入 した 外 国 人 旅 行 者 が 航 空 機 内 へ 液 体 物 を 携 帯 しようとして 空 港 の 保 安 検 査 場 で 自 主 廃 棄 を 求 められる 事 例 が 増 えている ついては 外 国 人 旅 行 者 が 日 本 の 土 産 品 を 安 心 して 持 ち 帰 ることができるよ う 次 の 取 り 組 みを 強 化 されたい 生 産 地 卸 売 業 者 小 売 業 者 空 港 管 理 者 等 の 関 係 者 に 対 する 動 植 物 検 疫 制 度 の 理 解 醸 成 持 ち 帰 り 可 能 な 農 畜 産 物 に 関 する 具 体 的 な 検 疫 条 件 等 の 情 報 提 供 空 港 港 湾 にある 植 物 防 疫 所 及 び 動 物 検 疫 所 の 検 査 体 制 の 充 実 化 旅 行 者 及 び 小 売 業 者 の 双 方 に 対 する 液 体 物 等 の 国 際 線 機 内 持 ち 込 み 制 限 に 係 る 制 度 の 周 知 強 化 (3) 決 済 環 境 の 整 備 海 外 発 行 のクレジットカード 対 応 ATMの 設 置 については メガバンクが 平 成 27 年 度 より 順 次 設 置 することが 決 定 している これにより 現 金 の 引 き 出 しに 関 する 環 境 が 整 いつ つある 一 方 欧 米 系 の 旅 行 者 は クレジットカードでの 決 済 が 主 流 であるため 現 金 決 済 が 中 心 である 中 小 規 模 の 飲 食 店 小 売 店 や 外 国 人 旅 行 者 の 利 用 が 増 加 している 旅 館 に 6
対 しても 支 払 手 段 としてクレジットカードの 利 用 が 一 層 進 むよう 普 及 啓 発 や 導 入 支 援 な ど 決 済 環 境 の 整 備 を 促 進 されたい 5.ビジネス 需 要 の 拡 大 と 地 域 活 性 化 に 向 けたMICEの 促 進 (1)MICE 誘 致 競 争 力 の 強 化 アジア 太 平 洋 地 域 においてMICE 誘 致 競 争 が 激 化 する 中 で 東 京 のMICEデステ ィネーションとしての 地 位 が 相 対 的 に 低 下 している 現 状 がある 世 界 のMICE 誘 致 競 争 に 打 ち 勝 つために 海 外 MICE 専 門 見 本 市 への 出 展 やメディアの 招 請 MICEアンバ サダープログラム 等 のプロモーションを 強 化 拡 大 するとともに JNTOの 海 外 拠 点 の 充 実 やコンベンションビューローの 組 織 強 化 への 取 り 組 みに 対 する 支 援 を 強 化 されたい また 東 京 では 東 京 ビッグサイト( 東 京 国 際 展 示 場 )の 増 床 等 が 予 定 されているが 大 規 模 なMICE 施 設 の 需 要 があることを 踏 まえ フラッグシップ 型 の 施 設 設 置 を 検 討 された い (2)MICEに 関 する 一 元 的 な 情 報 収 集 提 供 体 制 の 構 築 MICE 誘 致 を 実 施 していくためには 行 政 やコンベンションビューローだけでなくミ ーティングプランナー PCO(Professional Congress Organizer) 施 設 ホテルなど の 多 くの 事 業 者 の 連 携 が 必 要 である また JNTOや 地 方 自 治 体 コンベンションビュ ーロー 等 が 連 携 して MICE 案 件 のデータベースを 一 元 的 に 管 理 し 情 報 提 供 相 談 対 応 できる 体 制 を 整 備 することが 望 まれる (3)MICEの 魅 力 向 上 に 向 けたユニークベニュー 公 共 空 間 の 活 用 促 進 レセプション 等 の 会 場 として 歴 史 的 建 造 物 文 化 施 設 をユニークベニューとして 活 用 できることは MICE 誘 致 の 競 争 力 強 化 に 効 果 的 であることから 次 の 取 り 組 みを 推 進 されたい 施 設 利 用 の 容 易 化 ユニークベニューとして 提 供 可 能 な 施 設 や 関 係 者 を 集 めた 協 議 会 ネットワークを 構 築 した 上 で ユニークベニュー 施 設 のデータベース 化 を 行 うとともに 利 用 手 続 きに 係 るワンストップの 窓 口 を 開 設 公 共 施 設 における 施 設 側 が 提 供 しやすい 環 境 づくり 施 設 の 貸 し 出 しによる 収 益 をインセンティブとして 設 定 観 光 振 興 地 域 活 性 化 等 のMICE 関 連 催 事 イベントを 公 益 事 業 として 認 定 指 定 管 理 者 制 度 における 施 設 側 が 提 供 しやすい 環 境 づくり 管 理 業 務 にユニークベニューとしての 施 設 貸 し 出 しを 含 める 施 設 周 辺 道 路 の 活 用 国 家 戦 略 特 区 などを 活 用 し 道 路 占 用 要 件 緩 和 や 道 路 使 用 の 柔 軟 化 を 図 ることによっ て パーティーやシティプロモーションのイベントへの 利 用 を 促 進 6.インバウンド 受 入 を 担 う 人 材 組 織 育 成 の 促 進 (1) 通 訳 案 内 士 の 育 成 強 化 と 全 国 への 特 例 ガイドの 認 定 拡 大 訪 日 外 国 人 旅 行 者 の 増 加 を 背 景 に 大 型 クルーズ 船 の 寄 港 時 国 際 イベント 開 催 時 期 や 7
桜 紅 葉 の 季 節 など 時 期 や 地 域 によってガイドが 不 足 する 事 態 が 発 生 している 通 訳 案 内 士 の 登 録 者 数 は 全 国 で 約 18,000 名 就 業 者 はその4 分 の1と 圧 倒 的 に 少 なく 大 都 市 部 への 偏 在 や 言 語 的 偏 在 といった 課 題 とともに 近 年 のガイドニーズの 多 様 化 に 応 えきれ ていない 等 市 場 とのミスマッチが 見 受 けられる 地 域 のおもてなしの 向 上 地 域 におけ る 観 光 産 業 人 材 の 育 成 を 図 るため ガイドの 数 と 質 を 確 保 することが 重 要 であることか ら 次 の 取 り 組 みを 推 進 されたい 通 訳 案 内 士 通 訳 案 内 士 の 試 験 を 年 複 数 回 実 施 に 拡 充 対 象 言 語 に 東 南 アジア 諸 国 (インドネシア マレーシア ベトナム 等 )の 言 語 を 追 加 質 の 向 上 ために 登 録 更 新 制 度 の 導 入 定 期 研 修 の 開 催 構 造 改 革 特 区 法 の 改 正 案 における 地 方 公 共 団 体 が 行 う 研 修 を 修 了 した 者 が 地 域 限 定 通 訳 案 内 士 として 報 酬 を 得 て 通 訳 案 内 を 行 うことを 可 能 とする 特 例 の 活 用 特 例 ガイド 総 合 特 別 区 域 法 や 改 正 中 心 市 街 地 活 性 化 法 等 で 認 められている 特 例 ガイドを 全 国 に 適 用 拡 大 した 上 で 商 工 会 議 所 が 実 施 する ご 当 地 検 定 などを 活 用 し それぞれの 制 度 の 役 割 や 特 徴 を 活 かせる 仕 組 みを 構 築 (2) 観 光 ボランティアの 育 成 2020 年 オリンピック パラリンピックの 開 催 や 訪 日 外 国 人 旅 行 者 2000 万 人 時 代 に 備 え るために 通 訳 案 内 士 や 特 例 ガイドの 増 加 に 加 え その 機 能 を 補 完 するボランティアガイ ドが 活 躍 できるよう 環 境 づくりを 進 めることが 求 められる 政 府 は 地 域 で 観 光 振 興 にチャレンジしたいと 願 う 若 者 や 女 性 外 国 人 等 を 対 象 に 外 国 語 も 使 いながらその 土 地 の 名 所 旧 跡 歴 史 文 化 生 活 等 を 案 内 できる 人 材 や 地 域 の 観 光 振 興 に 取 り 組 む 人 材 への 支 援 を 拡 充 するとともに 既 に 独 自 の 取 り 組 みを 進 めている 行 政 観 光 協 会 等 の 状 況 を 把 握 した 上 で 観 光 ボランティアの 育 成 や 組 織 づくりなどにつ いて 組 織 運 営 や 人 材 育 成 などの 支 援 を 行 う 必 要 がある (3) 外 国 人 留 学 生 の 活 用 訪 日 外 国 人 旅 行 者 対 応 を 担 う 人 材 として 高 度 な 知 識 を 持 つ 外 国 人 留 学 生 の 採 用 意 欲 が 高 まっている 海 外 留 学 生 をインターンシップで 受 け 入 れた 事 例 では 日 本 人 では 常 につ きまとう 言 語 やコミュニケーションの 障 壁 が 低 く 円 滑 な 外 国 人 対 応 が 可 能 なことから 非 常 に 好 評 であったと 聞 く 一 方 で 多 くの 留 学 生 は 日 本 国 内 の 企 業 に 就 職 を 希 望 するも のの 実 際 に 就 職 できるのは 半 数 程 度 である 観 光 産 業 において 外 国 人 留 学 生 の 採 用 定 着 を 促 進 するため 関 係 機 関 が 連 携 して 日 本 語 やビジネスマナーなどの 各 種 研 修 や 中 小 企 業 とのマッチング 事 業 など 総 合 的 な 支 援 策 を 推 進 されたい (4)MICE 分 野 の 人 材 育 成 昨 今 増 加 傾 向 にある 国 際 本 部 主 導 型 国 際 会 議 や 2020 年 オリンピック パラリンピック に 向 けて 想 定 されるスポンサーインセンティブへの 対 応 が 喫 急 の 課 題 となっている この ため 政 府 では 業 界 の 取 り 組 みでは 十 分 に 対 応 することのできない 分 野 における 人 材 育 成 への 支 援 を 行 うとともに 大 学 との 連 携 や 業 界 団 体 による 取 り 組 みに 対 する 支 援 などを 8
通 じて MICE 誘 致 における 重 要 なキーパーソンを 担 うことが 多 いミーティングプラン ナーやPCOと 呼 ばれるMICE 関 連 の 専 門 家 育 成 またMICEに 関 する 経 験 ネット ワークを 有 する 専 門 的 な 人 材 を 集 めた 組 織 づくりを 促 し 2020 年 とそれ 以 降 を 見 据 えた 人 材 の 育 成 を 図 られたい (5)ツアーオペレーター(ランドオペレーター)の 品 質 向 上 インバウンドの 旅 行 手 配 を 行 うツアーオペレーター(ランドオペレーター)については 旅 行 業 登 録 が 義 務 付 けられていないことから 近 年 外 資 系 のツアーオペレーターによる 価 格 重 視 の 低 品 質 ツアーが 増 えている 政 府 は 訪 日 旅 行 の 一 層 の 品 質 向 上 を 図 る 観 点 か ら 日 本 旅 行 業 協 会 が 実 施 しているツアーオペレーター 認 証 制 度 の 普 及 促 進 を 図 るととも に 旅 行 業 登 録 のないツアーオペレーターに 対 しては 品 質 を 担 保 する 制 度 面 の 整 備 を 検 討 されたい 7. 観 光 案 内 所 の 拡 充 及 び 観 光 案 内 機 能 の 充 実 強 化 訪 日 外 国 人 旅 行 者 が 慣 れない 土 地 で 不 自 由 なく 快 適 な 観 光 をするためには 観 光 案 内 所 の 拡 充 及 び 観 光 案 内 機 能 の 充 実 強 化 が 必 要 である 地 域 のビジターセンターとして 旅 行 者 のさらなる 利 便 性 向 上 を 図 り おもてなしを 体 現 する 場 として 整 備 するため 次 の 取 り 組 みを 推 進 されたい 観 光 案 内 所 の 拡 充 機 能 強 化 交 通 機 関 の 要 所 やまちなか 商 店 街 などへの 観 光 案 内 所 の 設 置 民 間 事 業 者 等 との 連 携 協 力 を 元 に 通 訳 案 内 士 特 例 ガイドの 常 駐 や 訪 日 外 国 人 旅 行 者 対 応 コールセンターの 活 用 による 多 言 語 対 応 の 充 実 各 種 観 光 ツアーや 交 通 機 関 の 手 配 美 術 館 博 物 館 コンサートのチケット 等 の 販 売 など 旅 行 者 向 けのサービスをワンストップで 提 供 コンビニエンスストアの 活 用 24 時 間 営 業 やATM トイレ 等 の 環 境 を 活 かし コンビニエンスストアを 旅 行 者 への 観 光 情 報 提 供 の 拠 点 として 活 用 8.ICT( 情 報 通 信 技 術 )の 利 活 用 外 国 人 向 けの 通 信 環 境 を 整 えた 上 で ICT( 情 報 通 信 技 術 )を 旅 行 者 の 受 入 環 境 整 備 に 有 効 に 活 用 すべきであることから 次 の 取 り 組 みを 推 進 されたい 通 信 環 境 の 整 備 無 料 Wi-Fiの 整 備 やSIM カードの 利 用 促 進 など 外 国 人 旅 行 者 が 持 参 した 海 外 端 末 で 利 用 しやすい 通 信 環 境 の 整 備 促 進 多 言 語 対 応 推 進 スマートフォン タブレットやデジタルサイネージ 等 を 活 用 した 観 光 案 内 の 推 進 総 務 省 グローバルコミュニケーション 計 画 に 基 づく 多 言 語 通 訳 翻 訳 アプリ 技 術 の 研 究 開 発 の 強 化 及 び 様 々な 地 域 場 面 での 多 言 語 対 応 への 活 用 促 進 調 査 への 活 用 訪 日 外 国 人 旅 行 者 の 旅 行 動 態 や 潜 在 的 なニーズを 把 握 するため ICTを 活 用 した 動 態 調 査 を 実 施 し 広 域 的 な 観 光 振 興 の 促 進 に 活 用 できる 仕 組 みの 構 築 9
9. 外 国 人 旅 行 者 の 満 足 度 をさらに 高 める 取 り 組 みの 着 実 な 推 進 2020 年 以 降 を 見 据 え 訪 日 外 国 人 旅 行 者 に また 来 たい と 思 わせるには 不 便 や 不 満 不 安 等 を 徹 底 的 に 解 消 し 満 足 度 をさらに 高 めることが 重 要 であり 特 に 次 の 取 り 組 みを 強 化 されたい ムスリム ベジタリアンなどの 習 慣 文 化 の 異 なる 旅 行 者 への 対 応 長 期 的 な 視 点 で 訪 日 客 層 を 形 成 するため 教 育 旅 行 や 学 生 の 海 外 個 人 旅 行 (FIT) など 若 年 層 への 対 応 単 独 では 取 り 組 むことが 難 しい 小 規 模 な 小 売 飲 食 業 における 多 言 語 対 応 への 支 援 外 国 人 が 安 心 して 医 療 を 受 けられるよう 医 療 機 関 における 外 国 語 対 応 力 の 強 化 夜 間 緊 急 時 に 外 国 語 対 応 が 可 能 な 医 療 施 設 往 診 診 療 が 可 能 な 医 師 のリスト 化 と 情 報 共 有 10. 施 策 の 基 礎 となる 観 光 関 連 データの 整 備 政 府 では 訪 日 外 国 人 旅 行 者 2000 万 人 の 受 入 環 境 の 整 備 についての 検 討 が 進 められて いるが 訪 日 外 国 人 旅 行 者 を 快 適 に 受 け 入 れ 繰 り 返 し 日 本 を 訪 れてもらうためにも ホ テルの 客 室 数 稼 働 率 や 地 方 空 港 を 含 めたわが 国 全 体 の 空 港 容 量 等 の 正 確 な 基 礎 データの 収 集 は 不 可 欠 であり これらを 調 査 把 握 した 上 で 施 策 に 反 映 されたい さらに 訪 日 旅 行 者 の 分 析 を 深 める 上 で 国 籍 別 性 年 代 別 港 別 出 入 国 月 日 別 の 詳 細 な 出 入 国 データ を 公 開 し 訪 日 旅 行 に 関 する 基 礎 データとして 活 用 できるようデータベースの 充 実 に 努 め られたい また MICEについては M( 企 業 系 会 議 ) I( 報 奨 旅 行 ) の 実 態 が 把 握 でき ていないため 基 準 の 明 確 化 とともに 統 計 整 備 を 進 められたい 10
Ⅲ. 人 の 移 動 と 交 流 を 活 発 化 させるインフラの 整 備 1. 首 都 圏 空 港 の 機 能 強 化 首 都 圏 空 港 における 国 際 線 需 要 は 概 ね 2020 年 代 前 半 には 約 75 万 回 の 空 港 容 量 の 限 界 に 達 する 見 込 みである 当 面 は 2020 年 オリンピック パラリンピック 開 催 に 間 に 合 うよ う 滑 走 路 処 理 能 力 の 再 検 証 特 定 時 間 帯 の 活 用 飛 行 経 路 の 見 直 し 等 様 々な 方 策 が 検 討 されているが 騒 音 に 係 る 環 境 配 慮 や 地 上 建 築 物 に 対 する 安 全 確 保 を 図 りながら 引 き 続 き 羽 田 空 港 の 機 能 強 化 を 進 められたい また 都 心 に 近 接 し 24 時 間 利 用 可 能 な 羽 田 空 港 の 強 みを 活 かし LCCを 含 む 内 外 航 空 会 社 の 多 様 な 航 空 需 要 を 取 り 込 むために 空 港 の 深 夜 における 魅 力 や 利 便 性 の 向 上 をさらに 推 進 されたい 加 えて 鉄 道 の 新 路 線 の 整 備 及 び 既 存 路 線 の 有 効 利 活 用 空 港 直 行 バスへの 公 共 車 両 優 先 システムの 整 備 等 都 心 と 首 都 圏 空 港 の 交 通 アクセス 向 上 策 の 推 進 とともに 外 国 語 対 応 が 可 能 なタクシーの 優 先 乗 り 場 の 整 備 を 急 がれたい 2. 二 次 交 通 網 の 改 善 強 化 ターミナル 駅 には 複 数 の 鉄 道 やバス 事 業 者 が 乗 り 入 れているが 交 通 事 業 者 間 の 案 内 サ イン ユニバーサル 対 応 の 違 いや 事 故 発 生 時 の 利 用 者 向 け 情 報 がボーダレス 化 されてい ないなどの 現 状 があり さらなる 事 業 者 間 の 連 携 とシステム 上 の 改 善 が 必 要 である とり わけ 鉄 道 からバスへの 乗 り 継 ぎにあたっては 雨 天 時 でも 濡 れず 移 動 するための 上 屋 の 整 備 や バス 乗 り 場 の 集 約 再 編 などによる 利 便 性 向 上 が 求 められる さらに 五 輪 を 契 機 として 鉄 道 駅 におけるバリアフリー 化 を 加 速 させることに 加 え 外 国 人 旅 行 者 の 鉄 道 バス 等 における 自 由 で 快 適 な 移 動 をサポートするため 多 言 語 によるわかりやすい 情 報 提 供 を 行 うとともに 交 通 系 ICカードの 利 用 促 進 に 対 する 支 援 や 公 共 交 通 機 関 共 通 の 複 数 日 乗 車 券 の 導 入 等 さらなる 利 便 性 の 向 上 を 図 られたい また 臨 海 部 は 都 心 に 近 接 した 業 務 集 積 地 として 経 済 活 動 の 一 翼 を 担 っているほか 築 地 市 場 の 移 転 やオリンピック パラリンピックの 開 催 マンション 建 設 に 伴 う 住 民 の 増 加 等 により 交 通 需 要 が 今 後 大 きく 増 えることが 見 込 まれる こうした 開 発 が 進 む 地 域 への アクセスの 拡 充 と 臨 海 副 都 心 の 更 なる 魅 力 向 上 に 向 けて 都 心 部 と 臨 海 副 都 心 を 直 結 する BRT 等 高 齢 者 にも 優 しい 中 規 模 な 公 共 交 通 の 整 備 を 推 進 されたい 3. 首 都 圏 三 環 状 道 路 の 着 実 な 整 備 首 都 圏 三 環 状 道 路 中 でも 外 環 道 ( 関 越 道 ~ 東 名 高 速 )が 完 成 すれば 都 心 に 流 入 して いる 通 過 交 通 が 迂 回 できるようになるため 渋 滞 解 消 による 高 い 経 済 効 果 に 加 え CO2 排 出 量 削 減 効 果 交 通 事 故 の 減 少 など 様 々な 整 備 効 果 が 期 待 されている とりわけ 首 都 直 下 地 震 等 の 発 災 時 には 一 部 区 間 の 不 通 が 生 じた 際 にも 速 やかに 移 動 することが 可 能 と なる 迂 回 機 能 (リダンダンシー)を 発 揮 し 日 本 の 東 西 交 通 の 分 断 を 防 ぐことから 外 環 道 ( 関 越 道 ~ 東 名 高 速 )をはじめ 東 京 の 国 際 競 争 力 強 化 に 重 要 な 役 割 を 担 う 道 路 につい て 早 期 整 備 を 推 進 するとともに 外 環 道 の 東 名 高 速 以 南 についても 早 期 事 業 化 を 図 るべき である 11
4. 水 素 エネルギーの 利 活 用 2020 年 の 東 京 オリンピック パラリンピックに 向 けて 水 素 エネルギーを 利 活 用 するこ とは 環 境 と 調 和 した 未 来 型 都 市 の 姿 を 世 界 に 示 すとともに 日 本 の 高 い 技 術 力 を 改 めて 世 界 にアピールすることにつながる また 水 素 貯 蔵 タンクや 燃 料 電 池 などの 水 素 関 連 製 品 には 日 本 の 高 い 技 術 力 が 集 約 されており 関 連 する 産 業 分 野 の 裾 野 も 広 く 2050 年 の 国 内 市 場 は8 兆 円 まで 拡 大 するとの 予 想 もあり 災 害 時 の 非 常 用 電 源 としても 期 待 されて いる 従 って 水 素 社 会 の 実 現 は わが 国 の 国 際 競 争 力 強 化 にも 寄 与 することから 国 東 京 都 民 間 が 一 体 となって 燃 料 電 池 自 動 車 バスの 普 及 促 進 のためにも 水 素 ステー ション 設 置 に 係 る 高 圧 ガス 保 安 法 建 築 基 準 法 等 の 厳 しい 保 安 設 置 規 制 に 関 する 課 題 検 討 とともに その 支 援 策 を 推 進 していくべきである 5. 自 転 車 走 行 空 間 の 整 備 とシェアサイクルの 利 用 促 進 自 転 車 を 生 活 に 密 着 した 交 通 手 段 であるだけではなく 観 光 における 移 動 手 段 や 公 共 交 通 の 補 完 的 な 役 割 として 位 置 づけた 上 で 自 転 車 専 用 レーンの 整 備 や 駐 輪 場 の 確 保 など 安 全 で 快 適 な 自 転 車 走 行 空 間 のネットワーク 形 成 を 推 進 されたい 同 時 に シェアサイクル の 認 知 度 向 上 に 向 けた 情 報 発 信 やステーション 充 実 の 支 援 等 を 通 じて 各 自 治 体 が 取 り 組 むシェアサイクル 事 業 を 支 援 するとともに 行 政 区 を 越 える 広 域 的 な 相 互 利 用 を 推 進 され たい 6.クルーズ 船 の 受 入 体 制 強 化 クルーズ 客 の 円 滑 な 周 遊 を 可 能 とするための 環 境 整 備 を 図 るとともに 既 存 施 設 を 有 効 に 活 用 しつつ クルーズ 船 の 寄 港 増 や 大 型 化 への 対 応 多 言 語 表 記 Wi-Fi 環 境 の 整 備 などの 旅 客 船 ターミナルの 強 化 を 図 られたい オリンピック パラリンピック 開 催 に 際 しては クルーズ 船 が セキュリティの 確 保 のしやすさや 宿 泊 施 設 の 不 足 を 補 えること 等 により 大 会 関 係 者 やスポンサー 等 の 宿 泊 施 設 としてチャーターされる 事 例 が 多 数 ある しかし 現 在 の 東 京 港 では 晴 海 客 船 ふ 頭 利 用 におけるレインボーブリッジ 桁 下 高 52m の 制 限 大 井 水 産 物 ふ 頭 の 土 日 祝 日 のみの 供 用 や 周 辺 交 通 機 関 が 不 十 分 なためシャトルバ スの 手 配 が 必 要 といった 大 型 客 船 受 入 施 設 の 機 能 が 諸 外 国 と 比 較 しても 不 足 している 2020 年 までに 利 用 者 の 利 便 性 向 上 に 寄 与 する 機 能 を 備 えた 東 京 港 を 着 実 に 整 備 されたい 7. 水 辺 空 間 の 整 備 と 舟 運 ネットワークの 構 築 水 辺 の 周 辺 には 歴 史 的 な 観 光 資 源 が 広 がっているとともに これらを 繋 ぐ 舟 運 ネット ワーク 自 体 にも 観 光 や 移 動 手 段 として 価 値 がある こうしたことから 新 たな 舟 運 ルー トの 開 発 取 り 組 みに 対 する 支 援 を 行 うとともに 船 舶 が 運 行 するための 川 幅 や 川 底 等 の 環 境 整 備 や 防 災 船 着 場 の 平 常 利 用 に 関 する 仕 組 みづくりを 推 進 されたい また 東 京 では 隅 田 川 ルネサンス として 河 川 空 間 へのテラスの 整 備 オープンカ フェの 誘 致 等 や 日 本 橋 では 川 床 の 社 会 実 験 等 いずれも 水 辺 空 間 の 賑 わい 創 出 に 努 めて いるが 今 後 もこれらの 取 り 組 みを 積 極 的 に 推 進 するために 河 川 敷 地 の 占 用 に 関 する 規 制 緩 和 をさらに 進 められたい 加 えて 五 輪 の 会 場 予 定 地 の 東 京 港 周 辺 は 浜 離 宮 恩 賜 庭 園 やレインボーブリッジ 東 京 ゲートブリッジに 加 え 集 積 するコンテナターミナルなど 水 上 からの 様 々な 眺 めが 楽 しめることから 水 上 から 見 た 陸 地 陸 地 から 見 た 水 上 な 12
ど 景 観 を 意 識 した 水 辺 エリアの 開 発 を 行 うことも 重 要 である 8. 多 様 な 宿 泊 ニーズへの 対 応 と 宿 泊 施 設 の 受 入 体 制 強 化 (1) 旅 行 者 の 多 様 な 宿 泊 ニーズへの 対 応 オリンピック パラリンピック 開 催 に 向 けて 今 後 都 内 宿 泊 施 設 の 容 量 が 不 足 すること が 懸 念 されている 宿 泊 施 設 の 容 量 が 訪 日 の 制 約 とならないよう 宿 泊 施 設 の 需 給 状 況 を 注 視 するとともに 旅 行 者 の 多 様 な 宿 泊 ニーズに 応 えるための 受 入 環 境 整 備 を 進 めること が 重 要 である 身 元 確 認 等 による 安 全 の 確 保 を 前 提 に リゾート 客 向 けの 別 荘 やコンドミ ニアムなどの 遊 休 施 設 をタイムシェアできるような 仕 組 み また 安 く 旅 をしたいというニ ーズに 応 えるため 民 宿 ペンションのあり 方 を 見 直 し イギリスのB&Bなどのように 宿 泊 に 特 化 した 施 設 として 再 整 備 できる 支 援 策 など 様 々な 方 策 を 検 討 されたい (2) 旅 館 の 利 活 用 の 促 進 旅 館 は 観 光 振 興 の 重 要 な 担 い 手 であるとともに 施 設 そのものが 観 光 資 源 である 増 加 するインバウンドの 宿 泊 需 要 の 受 け 皿 として 海 外 個 人 旅 行 (FIT) 層 に 向 けた 情 報 発 信 強 化 や 泊 食 分 離 などの 商 習 慣 の 改 善 人 材 育 成 等 の 受 入 環 境 整 備 のための 支 援 が 必 要 である また 安 全 性 の 確 保 から 改 正 耐 震 改 修 促 進 法 への 対 応 が 進 められているが 自 治 体 の 支 援 に 温 度 差 があることや 建 設 コスト 高 のために 取 り 組 みが 進 んでいない 旅 館 の 安 全 性 の 確 保 は 災 害 時 等 の 避 難 施 設 としての 利 用 も 有 効 であることから 地 域 内 の 安 心 安 全 なまちづくりという 観 点 からも 政 府 は 耐 震 診 断 改 修 に 対 する 補 助 制 度 を 拡 充 し 地 域 の 旅 館 の 活 性 化 活 用 促 進 を 図 られたい (3) 文 化 財 の 利 活 用 の 促 進 わが 国 には 観 光 資 源 となる 特 別 史 跡 や 古 民 家 武 家 屋 敷 をはじめとする 歴 史 的 建 造 物 が 数 多 く 残 されている こうした 文 化 財 を 有 効 活 用 し 地 域 の 魅 力 創 造 につなげていくこ とは 観 光 立 国 としての 国 際 競 争 力 を 高 めていく 上 でも 重 要 である 例 えば スペインには 古 城 や 地 方 特 有 の 建 築 など 文 化 財 としての 建 築 物 を 国 営 のホテ ルとして 提 供 するパラドールという 仕 組 みがある この 制 度 は 文 化 財 の 保 存 や 修 復 の 費 用 を 生 み 出 すとともに 旅 行 者 には 高 い 満 足 を 与 え 国 の 歴 史 と 文 化 に 興 味 を 促 すものと して 評 価 されている また イタリア アルベロベッロでは 世 界 遺 産 であるトゥルッリと 呼 ばれる 地 方 特 有 の 伝 統 的 家 屋 に 宿 泊 することができる 一 方 で わが 国 における 文 化 財 の 利 活 用 は 許 可 手 続 きが 高 いハードルとなっており 観 光 先 進 国 の 取 り 組 みに 比 して 遅 れていると 言 える 政 府 は 地 域 が 主 体 となり 歴 史 的 建 造 物 等 を 宿 泊 施 設 として 有 効 活 用 できるよう 鋭 意 推 進 すべきである 13
Ⅳ. 総 合 的 な 観 光 振 興 に 向 けた 国 の 推 進 体 制 強 化 1. 国 の 推 進 体 制 強 化 (1) 観 光 振 興 に 関 する 予 算 の 拡 充 2015 年 度 の 観 光 庁 関 係 予 算 額 は 103 億 円 (2014 年 度 補 正 を 含 め 146 億 円 )に 決 定 した また 2014 年 度 の 観 光 庁 を 除 く 政 府 全 体 の 観 光 関 連 予 算 については 2,956 億 円 に 達 する 加 えて 政 府 の 地 方 創 生 事 業 である まち ひと しごと 創 生 事 業 に 関 しては 2014 年 度 補 正 予 算 で 3,000 億 円 以 上 もの 予 算 が 配 分 されており 観 光 振 興 と 関 連 性 の 高 い 事 業 も 含 まれている 2012 年 の 旅 行 消 費 がもたらす 経 済 波 及 効 果 を 産 業 連 関 表 によって 推 計 すると 生 産 波 及 効 果 で 46.7 兆 円 付 加 価 値 効 果 で 23.8 兆 円 という 規 模 になる また 雇 用 効 果 におい ては 399 万 人 で わが 国 の 総 雇 用 の 6.2%を 占 めている これらわが 国 経 済 への 貢 献 度 を 踏 まえた 上 で 観 光 を 地 域 経 済 の 好 循 環 を 生 み 出 す 成 長 産 業 と 捉 え 経 済 全 体 に 対 する 波 及 効 果 をさらに 高 めるためにも 政 府 予 算 における 観 光 庁 関 係 予 算 及 び 観 光 関 連 予 算 のよ り 一 層 の 拡 充 を 求 める また 日 本 再 興 戦 略 において 観 光 立 国 実 現 に 向 けての 指 標 (KPI)として 訪 日 外 国 人 旅 行 者 数 が 設 定 されているが 海 外 需 要 の 取 込 みによって 経 済 効 果 を 生 み 出 すという 観 点 においては 旅 行 消 費 額 が 重 要 となる このため 新 たなKPIを 設 定 し 経 済 効 果 の 拡 大 に 力 点 をおいた 取 り 組 みに 対 して 予 算 の 重 点 分 配 を 行 うべきである (2) 国 地 方 自 治 体 民 間 事 業 者 間 のさらなる 連 携 強 化 政 府 は 観 光 立 国 実 現 に 向 けた 施 策 を 強 力 に 推 進 するため 観 光 立 国 実 現 に 向 けたア クション プログラム をまとめ 観 光 担 当 大 臣 観 光 庁 を 中 心 に 観 光 に 関 わる 施 策 を 総 合 的 に 調 整 実 施 できる 体 制 を 構 築 しているところである 今 後 も 関 係 府 省 庁 間 国 と 地 方 自 治 体 間 官 民 の 連 携 を 強 化 支 援 するとともに 観 光 に 関 係 する 幅 広 い 業 種 の 異 業 種 間 連 携 や 同 業 種 間 の 連 携 促 進 に 取 り 組 み 観 光 振 興 の 担 い 手 を 拡 げることが 重 要 であ る さらに これら 連 携 の 過 程 において 現 場 から 出 てきた 意 見 要 望 については 迅 速 に 共 有 できる 仕 組 みを 作 り 施 策 に 適 宜 反 映 していくべきである また 和 食 に 代 表 される 豊 かな 食 文 化 ものづくりの 技 術 をはじめ アニメ ファッシ ョン デザイン 伝 統 文 化 芸 術 など わが 国 の 魅 力 を クールジャパン として 世 界 に 発 信 しているところであるが ビジット ジャパン との 連 携 をさらに 深 めることで 海 外 への 観 光 プロモーションを 強 化 されたい 特 に 地 域 発 の 観 光 情 報 を 海 外 のTV 等 メディアを 使 って 他 のコンテンツと 一 体 的 継 続 的 に 発 信 し 日 本 への 送 客 プロモーションや 映 画 等 の 撮 影 場 所 誘 致 につなげることが 必 要 である 政 府 は 放 送 コンテンツ 海 外 展 開 促 進 機 構 (BEAJ) JNTO 等 との 連 携 の 強 化 やJ-LOP(ジャパン コンテンツ ローカライズ&プロモーション 支 援 助 成 ) の 一 層 の 活 用 を 通 じて 海 外 メディアの 放 送 枠 等 の 確 保 と 地 域 発 の 観 光 情 報 コンテンツ 供 給 を 推 進 し 日 本 東 京 へのインバウンドを 促 進 する 取 り 組 みを 増 強 されたい また 地 域 発 の 観 光 情 報 コンテンツの 制 作 海 外 展 開 を 担 う 人 材 の 育 成 も 強 化 されたい 14
(3)JNTO( 日 本 政 府 観 光 局 )の 機 能 強 化 外 国 人 旅 行 者 の 来 訪 促 進 の 中 核 を 担 う( 独 ) 国 際 観 光 振 興 機 構 ( 通 称 : 日 本 政 府 観 光 局 ) が 訪 日 プロモーションの 発 信 主 体 として 活 動 を 展 開 する 上 で 各 国 政 府 観 光 局 と 比 較 して 少 ないスタッフ 予 算 拠 点 について 一 層 の 拡 充 を 図 り 機 能 強 化 を 推 進 されたい と りわけ 発 地 情 報 によるニーズの 把 握 の 強 化 と 迅 速 なプロモーションを 展 開 させるため にも 海 外 拠 点 を 現 状 の 14 都 市 に 加 え 旅 行 者 の 増 加 著 しい 中 国 内 陸 部 ASEAN インドを 中 心 に 増 設 することを 期 待 する (4) 旅 行 者 に 対 する 危 機 管 理 体 制 の 構 築 東 京 での 事 業 活 動 は 地 震 等 の 自 然 災 害 を 前 提 に 展 開 を 考 えておく 必 要 がある 特 に 観 光 分 野 においては 来 訪 者 の 安 心 安 全 を 確 保 するため ハード 面 における 災 害 対 策 の 推 進 はもちろん 災 害 時 の 情 報 提 供 や 事 業 者 との 連 携 観 光 宿 泊 施 設 等 の 人 材 育 成 など 適 切 な 対 策 の 実 施 により 危 機 管 理 体 制 の 強 化 を 図 る 必 要 があり 具 体 的 に 以 下 の 対 応 が 求 められる 災 害 時 情 報 提 供 ポータルサイトを 国 内 外 の 旅 行 者 に 活 用 してもらうための 地 域 や 事 業 者 との 連 携 による 利 用 促 進 宿 泊 施 設 や 観 光 施 設 が 訪 日 外 国 人 旅 行 者 に 対 して 災 害 時 の 初 期 対 応 ができるような 危 機 管 理 マニュアルの 整 備 その 周 知 のためのセミナーや 研 修 防 災 訓 練 等 の 実 施 ICTを 活 用 した 緊 急 時 外 国 語 災 害 情 報 の 発 信 の 推 進 災 害 時 においても 通 信 手 段 を 確 保 できるよう 公 園 公 民 館 学 校 体 育 館 等 の 公 共 施 設 におけるWi-Fi 環 境 の 整 備 災 害 危 機 後 に 訪 日 外 国 人 旅 行 者 が 安 全 かつ 確 実 に 帰 国 するための 支 援 策 を 在 日 公 館 や 運 輸 機 関 と 連 携 して 計 画 するとともに 危 機 発 生 後 ただちに 復 旧 に 向 けた 計 画 策 定 活 動 が 取 れる 体 制 の 整 備 2. 観 光 振 興 地 域 活 性 化 に 向 けた 制 度 面 の 環 境 整 備 国 際 観 光 ホテル 整 備 法 の 見 直 し 昭 和 24 年 に 制 定 された 国 際 観 光 ホテル 整 備 法 は 戦 後 間 もなく 数 少 ない 訪 日 外 国 人 旅 行 者 をもてなすためにつくられた 施 設 及 び 接 遇 基 準 であり その 後 改 定 が 行 われている ものの 旅 行 者 増 ニーズの 多 様 化 の 現 状 にあっては 登 録 制 度 が 有 効 に 機 能 していると は 言 い 難 い ついては 利 用 者 が 目 的 予 算 に 応 じて 良 質 のサービスを 提 供 する 施 設 を 選 択 できる 新 たな 設 備 サービス 基 準 を 策 定 するとともに 登 録 施 設 に 対 する 新 たなインセンティブの 検 討 や 登 録 に 関 する 相 談 体 制 の 強 化 など 制 度 の 活 用 を 促 す 環 境 整 備 が 必 要 である 地 域 限 定 旅 行 業 への 参 入 促 進 着 地 型 観 光 の 需 要 拡 大 ならびに 旅 行 者 の 利 便 性 向 上 を 図 るため 旅 行 業 法 における 登 録 制 度 の 弾 力 化 を 図 られたい 具 体 的 には ホテル 旅 館 や 観 光 案 内 所 などが 旅 行 商 品 を 造 成 販 売 し 地 域 におけるコンシェルジュ 機 能 としての 役 割 を 果 たせるよう 地 域 限 定 旅 行 業 への 参 入 促 進 に 向 けた 方 策 を 検 討 されたい 15
水 辺 空 間 活 用 促 進 のための 規 制 緩 和 河 川 区 域 内 の 土 地 を 占 用 または 工 作 物 を 新 築 改 築 する 場 合 は 河 川 法 に 基 づき 河 川 管 理 者 許 可 を 受 けなければならない 河 川 空 間 の 魅 力 向 上 を 図 り 民 間 事 業 者 の 創 意 工 夫 を 活 かすためにも 河 川 法 の 河 川 占 用 許 可 期 間 を3 年 から 公 益 物 件 並 の 10 年 に 延 長 する ことが 望 ましい 河 川 観 光 船 の 弾 力 的 な 運 航 を 妨 げる 海 上 運 送 法 の 規 制 緩 和 河 川 運 河 川 辺 を 活 かした 観 光 を 推 進 するため 予 め 許 可 された 水 域 で 継 続 して 一 般 旅 客 定 期 航 路 事 業 を 営 んでいる 河 川 観 光 事 業 者 に 対 しては 同 水 域 内 であれば 柔 軟 な 航 行 プランを 企 画 航 行 できるよう 手 続 きの 簡 素 化 を 図 られたい 外 国 船 籍 への 内 航 クルーズの 開 放 現 在 わが 国 が 保 有 するクルーズ 船 は3 隻 にとどまっている また 日 本 発 着 の 外 国 籍 クルーズ 船 は 海 外 の 港 に 立 ち 寄 ることで 海 運 カボタージュ 規 制 を 回 避 している 状 況 で ある 国 内 のクルーズツーリズムを 振 興 し より 多 くのクルーズ 船 が 全 国 各 地 に 寄 港 する よう 外 国 籍 の 船 舶 を 対 象 とした 海 運 カボタージュ 規 制 を 観 光 クルーズ 船 に 限 って 緩 和 す ることを 検 討 されたい 貸 切 バスの 営 業 区 域 規 制 と 料 金 制 度 の 緩 和 に 関 する 道 路 運 送 法 の 改 定 平 成 26 年 の 貸 切 バス 運 賃 料 金 制 度 の 改 正 に 伴 う 貸 切 バス 運 賃 料 金 の 大 幅 な 上 昇 に より バスツアーの 需 要 縮 小 それに 伴 う 地 域 の 土 産 品 店 飲 食 店 の 売 り 上 げ 減 少 など 観 光 関 連 産 業 に 影 響 が 及 んでいる 他 方 で 訪 日 外 国 人 旅 行 者 の 急 増 に 伴 い 外 国 人 旅 行 者 向 け 貸 切 バス 対 しては 営 業 所 の 隣 接 県 を 臨 時 営 業 区 域 と 認 める 等 の 特 例 措 置 が 平 成 27 年 9 月 末 まで 延 長 された 貸 切 バスによる 観 光 は 観 光 振 興 の 重 要 な 要 となることから 労 務 管 理 や 車 両 の 保 守 等 において 安 心 安 全 を 適 切 に 確 保 することを 前 提 に 料 金 設 定 の 自 由 化 臨 時 営 業 区 域 の 恒 久 措 置 化 をはじめ 営 業 区 域 に 関 するさらなる 緩 和 など 制 度 の 見 直 しを 検 討 されたい 外 国 人 技 能 実 習 制 度 を 活 用 した 観 光 人 材 の 育 成 日 本 の 優 れたホスピタリティ 技 能 を 身 につけた 観 光 人 材 を 育 成 するため 外 国 人 技 能 実 習 制 度 において フロント 業 務 やレストランサービス 業 務 などのホテルスタッフ 業 務 を 技 能 実 習 対 象 職 種 に 追 加 されたい 外 国 人 学 生 に 対 する 就 労 活 動 の 制 限 緩 和 留 学 就 学 の 資 格 をもって 在 留 する 外 国 人 が 地 域 の 観 光 業 や 有 償 ガイドなどで 十 分 に 活 躍 できるよう 1 週 28 時 間 までとされている 就 労 活 動 の 制 限 を 緩 和 すべきである 空 き 建 築 物 を 観 光 資 源 として 有 効 活 用 するための 規 制 の 見 直 し 地 域 に 点 在 する 廃 校 や 商 店 街 の 空 き 店 舗 などの 空 き 建 築 物 は 地 域 の 観 光 資 源 やコ ミュニティスペースとして 活 用 することで 交 流 人 口 の 拡 大 に 寄 与 できる しかしながら 建 築 基 準 法 の 規 制 上 既 存 不 適 格 建 築 物 となる 場 合 が 多 く 用 途 変 更 を 行 う 場 合 は 現 行 16
基 準 に 合 わせるための 改 修 を 行 った 上 で 建 築 確 認 申 請 を 行 う 必 要 があるだけでなく 相 当 の 費 用 が 必 要 となることや 建 築 物 本 来 の 味 わいが 失 われてしまうといった 問 題 がある 地 域 に 眠 るこうした 空 き 建 築 物 の 再 利 用 が 促 進 されるよう 建 築 基 準 法 上 の 規 制 を 見 直 さ れたい 以 上 2015 年 度 第 3 号 2 0 1 5 年 5 月 1 3 日 第 672 回 常 議 員 会 決 議 17