大山ダム

6. 地 下 水 の 水 位 予 測 に 対 する 基 本 的 な 考 え 方 地 下 水 の 水 位 については 表 -6.1 に 示 す 項 目 により 事 業 による 影 響 を 受 ける 可 能 性 が 想 定 されたため 影 響 を 予 測 しました 表 -6.1 地 下 水 の 水 位 に 及 ぼす 環 境 影 響 の 要 因 建 設 中 の 影 響 ( 工 事 の 実 施 ) 建 設 後 の 影 響 ( 土 地 又 は 工 作 物 の 存 在 及 び 供 用 ) 地 下 水 の 水 位 導 水 路 の 工 事 導 水 路 の 存 在 予 測 に 必 要 な 調 査 結 果 の 概 要 地 下 水 の 水 位 への 影 響 を 予 測 するにあたり 地 下 水 の 水 位 表 流 水 の 流 量 地 形 地 質 地 下 水 表 流 水 の 利 用 状 況 等 について 調 査 を 実 施 しました 地 下 水 の 水 位 : 地 下 水 は 年 間 を 通 して 概 ね 安 定 した 水 位 を 維 持 し 比 較 的 まとまった 降 雨 に 対 し て 水 位 上 昇 がみられ その 後 緩 やかな 低 減 を 経 て 安 定 水 位 に 落 ち 着 きます 季 節 的 な 変 動 パターンは 梅 雨 期 から 台 風 期 にかけて 水 位 が 高 く 冬 季 に 低 い 傾 向 がみられま す 表 流 水 の 流 量 : 各 観 測 地 点 の 流 量 は 流 域 面 積 による 違 いがあるものの 降 水 量 の 変 動 に 連 動 して おり 変 動 傾 向 は 類 似 しています 季 節 的 な 変 動 パターンは 梅 雨 期 から 台 風 期 にかけ て 流 量 が 多 く 冬 季 に 少 ない 傾 向 がみられます 地 形 地 質 : 導 水 路 予 定 地 に 係 る 地 域 に 大 規 模 な 断 層 は 存 在 しません 導 水 路 予 定 地 における 透 水 性 状 について 浅 部 岩 盤 状 況 ではチャートの 透 水 性 が 比 較 的 高 く 頁 岩 及 び 泥 質 ホルンフェルスはこれよりも 透 水 性 が 低 い 岩 盤 と 考 えられま す ただし 土 被 りの 厚 い 場 所 のトンネルが 通 過 する 深 さでは いずれも 極 めて 難 透 水 性 な 岩 盤 状 況 となっています 地 下 水 表 流 水 の 利 用 状 況 : 公 共 の 上 水 道 の 施 設 はなく 飲 用 水 を 始 めとした 生 活 用 水 は 共 同 もしくは 各 家 庭 で 保 有 する 水 源 ( 井 戸 )より 取 水 されています また 農 業 用 や 生 活 用 に 表 流 水 ( 湧 水 沢 水 )が 利 用 されています 6-1

予 測 結 果 及 び 環 境 保 全 対 策 の 概 要 チャートやホルンフェルスの 分 布 域 花 崗 閃 緑 岩 の 周 縁 部 並 びに 断 層 破 砕 帯 が 導 水 路 と 交 差 する 周 辺 において 導 水 路 工 事 を 無 対 策 で 実 施 した 場 合 地 下 水 の 水 位 が 低 下 する 可 能 性 があると 考 えられます このため 環 境 保 全 対 策 として 以 下 の 工 法 を 採 用 します これらの 環 境 保 全 対 策 の 実 施 によって 地 下 水 の 水 位 への 影 響 は 低 減 されるものと 考 えら れます 高 透 水 ゾーンの 透 水 性 を 低 下 させる 工 法 ( 止 水 材 注 入 工 法 ) 地 質 脆 弱 部 を 乱 さない 掘 削 工 法 水 密 性 を 高 めた 導 水 路 覆 工 構 造 ただし 当 該 取 水 導 水 地 区 においては 地 下 水 及 び 沢 水 の 利 用 が 多 いことから 想 定 外 の 事 態 に 備 えるため 必 要 な 地 点 を 選 定 して 地 下 水 及 び 沢 水 の 状 況 を 工 事 中 及 び 供 用 後 に おいて 監 視 するものとします 6-2

6.1 調 査 結 果 6. 1.1 調 査 手 法 現 地 調 査 等 の 調 査 手 法 は 表 -6.2 実 施 状 況 調 査 地 域 地 点 及 び 調 査 期 間 は 表 -6.3 に 示 すとおりです また 調 査 位 置 は 図 -6.1 及 び 6.2 に 示 すとおりです 表 -6.2 調 査 手 法 と 調 査 項 目 との 関 係 調 査 すべき 情 報 調 査 手 法 既 往 資 料 調 査 地 下 水 位 観 測 降 水 量 観 測 表 流 水 流 量 観 測 地 形 調 査 地 表 地 質 踏 査 ボー リ ン グ 調 査 弾 性 波 探 査 湧 水 圧 試 験 聴 取 踏 査 地 下 水 の水 位 の 状 況 水 文 気 象 の 降 水 量 状 況 表 流 水 の 流 量 沢 地 形 尾 根 地 形 等 の 地 形 の 状 況 地 形 地 質 の 地 質 の 分 布 状 況 状 況 断 層 並 びに 線 状 模 様 水 理 地 質 特 性 類 似 地 質 を 対 象 とした 施 工 事 例 地 下 水 の利 用 の 状 況 表 流 水 の利 用 の 状 況 土 地 利 用 の 状 況 注 1) : 弾 性 波 調 査 は 荒 井 川 横 断 部 周 辺 において 実 施 表 -6.3 調 査 手 法 調 査 地 域 調 査 地 点 及 び 調 査 期 間 ( 平 成 20 年 3 月 時 点 ) 調 査 手 法 調 査 地 域 調 査 地 点 調 査 期 間 既 往 資 料 調 査 導 水 路 予 定 ルート 周 辺 区 域 足 尾 帯 相 当 の 堆 積 岩 又 は 深 成 岩 分 布 域 特 定 しない 地 下 水 位 観 測 導 水 路 予 定 ルート 周 辺 区 域 :48 箇 所 平 成 14 年 5 月 ~ 平 成 19 年 3 月 ( 原 則 ) 降 水 量 観 測 導 水 路 予 定 ルート 周 辺 区 域 :3 箇 所 南 摩 ダム: 平 成 3 年 9 月 ~ 平 成 18 年 12 月 草 久 : 昭 和 47 年 1 月 ~ 平 成 18 年 12 月 鹿 沼 : 昭 和 53 年 2 月 ~ 平 成 18 年 12 月 表 流 水 流 量 観 測 導 水 路 予 定 ルート 周 辺 区 域 :45 箇 所 平 成 14 年 5 月 ~ 平 成 19 年 3 月 ( 原 則 ) 地 形 調 査 地 表 地 質 踏 査 導 水 路 予 定 ルート 周 辺 区 域 平 成 11 年 度 ~ 平 成 17 年 度 ボーリング 調 査 導 水 路 予 定 ルート 周 辺 区 域 :16 孔 平 成 15 年 度 ~ 平 成 19 年 度 弾 性 波 探 査 導 水 路 予 定 ルート 沿 いの 加 蘇 地 区 :6 測 線 平 成 15 年 度 湧 水 圧 試 験 導 水 路 予 定 ルート 沿 いの 加 蘇 地 区 :3 孔 平 成 15 年 度 聴 取 導 水 路 予 定 ルート 周 辺 区 域 : 地 下 水 利 用 施 設 151 箇 所 表 流 水 利 用 施 設 20 箇 所 平 成 11 年 度 ~ 平 成 17 年 度 踏 査 導 水 路 予 定 ルート 周 辺 区 域 6-3

凡 例 トンネルルート 沢 の 流 域 境 界 調 査 地 域 地 下 水 利 用 施 設 表 流 水 利 用 施 設 図 -6.1 地 下 水 の 水 位 に 関 する 調 査 地 域 6-4

図 -6.2 地 下 水 位 流 量 観 測 及 びボーリング 調 査 等 実 施 位 置 6-5

6.1.2 調 査 結 果 (1) 地 下 水 の 水 位 地 下 水 の 水 位 の 調 査 は 板 荷 地 区 で 4 ヵ 所 西 大 芦 地 区 で 10 ヵ 所 東 大 芦 地 区 で 15 ヵ 所 加 蘇 地 区 で 19 ヵ 所 の 計 48 ヵ 所 で 実 施 しました 調 査 地 点 の 位 置 を 図 -6.4 に 示 します また 代 表 的 な 地 点 での 地 下 水 の 変 動 状 況 を 日 降 水 量 の 変 動 状 況 と 併 せて 図 -6.3 に 示 します 地 下 水 は 年 間 を 通 しておおよそ 安 定 した 水 位 を 維 持 し 比 較 的 まとまった 降 雨 に 対 して 水 位 上 昇 がみられ その 後 緩 やかな 低 減 を 経 て 安 定 水 位 に 落 ち 着 きます ただし 地 点 によって 降 雨 時 の 水 位 上 昇 幅 が 異 なり 板 荷 地 区 及 び 加 蘇 地 区 で 1m 程 度 の 上 昇 幅 の 時 に 西 大 芦 地 区 及 び 東 大 芦 地 区 では 2m 超 の 上 昇 幅 を 示 しています また 季 節 的 な 変 動 パターンは 水 位 変 動 の 大 きな 西 大 芦 地 区 及 び 東 大 芦 地 区 を 中 心 に 夏 季 の 梅 雨 期 ~ 台 風 期 に 水 位 が 高 く 冬 季 に 水 位 が 低 いという 傾 向 がみられます 地 下 水 位 (TP.m) 263 板 荷 地 区 の 地 下 水 位 ( 連 続 観 測 ) 日 降 水 量 ( 南 摩 ダム) 261 I-3 259 I-5 257 255 253 251 249 247 245 243 H15.4.1 H16.4.1 H17.4.1 H18.4.1 200 180 160 140 120 100 80 60 40 20 0 日 降 水 量 (mm) 地 下 水 位 (TP.m) 地 下 水 位 (TP.m) 地 下 水 位 (TP.m) 285 283 281 279 277 275 273 271 269 267 日 降 水 量 ( 南 摩 ダム) N-4 N-7 西 大 芦 地 区 の 地 下 水 位 ( 連 続 観 測 ) 265 H15.4.1 H16.4.1 H17.4.1 H18.4.1 263 261 259 257 255 253 251 249 247 245 東 大 芦 地 区 の 地 下 水 位 ( 連 続 観 測 ) 243 H15.4.1 H16.4.1 H17.4.1 H18.4.1 240 238 236 234 232 230 228 226 224 222 日 降 水 量 ( 南 摩 ダム) H-2 H-7 加 蘇 地 区 の 地 下 水 位 ( 連 続 観 測 ) 日 降 水 量 ( 南 摩 ダム) K-1 K-5 A15-1 A15-1' A15-5 220 H15.4.1 H16.4.1 H17.4.1 H18.4.1 図 -6.3 地 下 水 の 水 位 の 変 動 状 況 200 180 160 140 120 100 80 60 40 20 0 200 180 160 140 120 100 80 60 40 20 0 200 180 160 140 120 100 80 60 40 20 0 日 降 水 量 (mm) 日 降 水 量 (mm) 日 降 水 量 (mm) 6-6

図 -6.4 地 下 水 の 水 位 の 調 査 地 点 6-7

(2) 表 流 水 の 流 量 表 流 水 の 流 量 の 調 査 は 板 荷 地 区 で 沢 7 ヵ 所 西 大 芦 地 区 で 沢 10 ヵ 所 東 大 芦 地 区 で 沢 9 ヵ 所 加 蘇 地 区 で 河 川 4 ヵ 所 及 び 沢 15 ヵ 所 の 計 45 ヵ 所 で 実 施 しました 調 査 地 点 の 位 置 を 図 -6.6 に 示 します また 代 表 的 な 地 点 での 表 流 水 の 流 量 の 変 動 状 況 を 日 降 水 量 の 変 動 状 況 と 併 せて 図 -6.5 に 示 します 各 観 測 地 点 の 流 量 は 流 域 面 積 による 違 いがあるものの 降 水 量 の 変 動 に 連 動 してお り 変 動 傾 向 は 類 似 しています また 季 節 的 な 変 動 パターンは 夏 季 の 梅 雨 期 ~ 台 風 期 に 流 量 が 多 く 冬 季 に 流 量 が 少 ないという 傾 向 がみられます 流 量 (リットル/ 分 ) 流 量 (リットル/ 分 ) 流 量 (リットル/ 分 ) 流 量 (リットル/ 分 ) 板 荷 地 区 の 表 流 水 流 量 100000 IR-3 日 降 水 量 ( 南 摩 ダム) 10000 1000 100 10 1 H14.4.1 H15.4.1 H16.4.1 H17.4.1 H18.4.1 H18.4.2 西 大 芦 地 区 の 表 流 水 流 量 100000 NR-2 日 降 水 量 ( 南 摩 ダム) 10000 NR-10 1000 100 10 1 H14.4.1 H15.4.1 H16.4.1 H17.4.1 H18.4.2 H18.4.1 東 大 芦 地 区 の 表 流 水 流 量 100000 HR-5 日 降 水 量 ( 南 摩 ダム) 10000 HR-8 1000 100 10 1 H14.4.1 H15.4.1 H16.4.1 H17.4.1 H18.4.2 H18.4.1 加 蘇 地 区 の 表 流 水 流 量 100000 KR-1 KR-3 日 降 水 量 ( 南 摩 ダム) KR-11 KR-17 10000 1000 100 10 1 H14.4.1 H15.4.1 H16.4.1 H17.4.1 H18.4.2 H18.4.1 図 -6.5 表 流 水 の 流 量 の 変 動 状 況 200 180 160 140 120 100 80 60 40 20 0 200 180 160 140 120 100 80 60 40 20 0 200 180 160 140 120 100 80 60 40 20 0 200 180 160 140 120 100 80 60 40 20 0 日 降 水 量 (mm) 日 降 水 量 (mm) 日 降 水 量 (mm) 日 降 水 量 (mm) 6-8

図 -6.6 表 流 水 の 流 量 の 調 査 地 点 6-9

( 3) 地 形 地 質 ⅰ) 地 形 の 状 況 導 水 路 予 定 地 は 関 東 地 方 北 方 の 足 尾 山 地 北 東 部 に 位 置 しています 足 尾 山 地 は 栃 木 県 と 群 馬 県 の 県 境 付 近 の 前 日 光 連 山 を 中 心 とする 北 北 東 - 南 南 西 方 向 に 伸 びた 標 高 300~1,200m の 山 地 です 北 側 は 日 光 西 側 と 南 側 は 渡 良 瀬 川 東 側 は 鬼 怒 川 水 系 で 仕 切 られ その 南 東 側 は 関 東 平 野 に 続 く 緩 やかな 斜 面 です 同 地 域 の 第 四 紀 の 地 殻 変 動 を 概 観 すると 足 尾 山 地 は 相 対 的 に 北 西 側 が 隆 起 し 南 西 側 が 沈 降 する 傾 動 地 塊 上 に 位 置 しています 調 査 地 域 がある 足 尾 山 地 東 側 斜 面 は 黒 川 大 芦 川 荒 井 川 等 の 北 東 - 南 西 方 向 に 発 達 した 河 川 によって 浸 食 されており これらの 河 川 は 等 しく 3~4km 間 隔 を おいて なおかつ ほぼ 等 しい 奥 行 きを 有 しています 各 河 川 に 挟 まれた 山 地 部 分 は 傾 斜 20 程 度 の 比 較 的 急 な 山 地 を 形 成 しており 岩 相 の 違 いが 地 形 に 反 映 され ている 部 分 は 少 ないです ⅱ) 地 質 の 状 況 調 査 地 域 周 辺 の 足 尾 帯 は 主 として 中 生 代 の 頁 岩 砂 岩 チャート 玄 武 岩 類 か らなり 調 査 地 域 西 方 や 北 部 では 後 期 白 亜 紀 ~ 前 期 古 第 三 紀 に 活 動 した 花 崗 岩 類 ( 中 禅 寺 型 酸 性 火 成 岩 類 )が 迸 入 しています この 花 崗 岩 体 近 傍 の 足 尾 帯 の 岩 石 は 接 触 熱 変 成 作 用 を 被 り ホルンフェルス 化 しています 調 査 地 域 の 地 質 層 序 表 を 表 -6.4 地 質 平 面 図 を 図 -6.7 踏 査 結 果 より 推 定 される 導 水 路 予 定 地 沿 いの 地 質 縦 断 図 を 図 -6.8 に 示 します 地 下 水 が 流 れる 表 層 風 化 帯 は 開 口 割 れ 目 を 持 つものや 岩 芯 まで 褐 色 風 化 が 進 ん だもの 等 があり 地 質 毎 に 風 化 の 形 態 が 異 なります 風 化 帯 の 透 水 性 を 比 較 した 場 合 開 口 割 れ 目 をもつ 風 化 帯 は 高 透 水 で 褐 色 風 化 が 進 んだものは 割 れ 目 が 細 粒 物 質 で 充 填 され 比 較 的 難 透 水 です 土 被 りの 厚 い 場 所 のトンネルが 通 過 する 深 さでは 新 鮮 な 岩 盤 が 分 布 しており 透 水 性 は 極 めて 低 いことが 確 認 されています 6-10

表 -6.4 調 査 地 域 の 地 質 層 序 表 地 質 時 代 地 質 名 地 質 記 号 分 布 岩 相 沖 積 世 現 河 床 堆 積 物 a 土 石 流 や 洪 水 時 の 掃 流 などにより 運 搬 された 堆 積 物 より 構 成 され 現 河 床 沿 いに 平 坦 面 を 形 成 する. 足 尾 層 群 の 岩 石 や 花 崗 岩 類 起 源 の 礫 と 砂 および 粘 土 等 の 基 質 か らなり ルーズである 渓 流 からの 土 石 流 等 により 運 搬 され 渓 流 出 口 で 扇 状 に 広 がって 堆 積 した 円 錐 形 の 地 形 を 有 する 堆 積 物. 主 に 円 礫 を 含 む 砂 質 土 からなる 岩 屑 生 産 の 盛 んな 急 崖 崩 壊 地 等 の 下 部 に 堆 積 した 錐 形 の 地 形 を 形 成 する 堆 積 物. 主 に 角 礫 混 じり 土 砂 よりなる 旧 河 床 の 谷 底 低 地 として 形 成 された 平 坦 面 を 形 成 する 堆 積 物 で 河 川 の 下 刻 に 取 り 残 されもの. 概 ね 比 高 5m 程 度 以 上 のもので 以 下 のものは 現 河 床 堆 積 物 とした. 主 に 円 礫 を 含 む 砂 質 土 からなり 締 まりは 比 較 的 良 い 主 に 黒 川 右 岸 から 大 芦 川 右 岸 にかけて 小 規 模 貫 入 岩 として 分 布 しているが 大 芦 川 右 岸 には 灰 色 石 英 斑 岩 の 比 較 的 大 型 の 岩 体 が 貫 入 している カリ 長 石 の 大 型 斑 晶 を 含 む 白 色 の 石 英 斑 岩 と 石 英 斑 晶 のみが 目 立 ち 灰 色 硬 質 な 石 英 斑 岩 が 分 布 する. 新 生 代 第 四 紀 洪 積 世 被 覆 層 沖 積 錐 堆 積 物 崖 錐 堆 積 物 段 丘 堆 積 物 ac dt tr 前 期 古 第 三 紀 ~ 後 期 白 亜 紀 中 禅 寺 型 酸 性 火 成 岩 類 奥 日 光 流 紋 岩 類 石 英 斑 岩 ひん 岩 砕 屑 岩 脈 Qp Po Cd 暗 灰 色 粗 粒 硬 質 なひん 岩 で 多 くは 花 崗 閃 緑 岩 部 分 に 薄 脈 として 貫 入 する. 一 部 は 安 山 岩 様 を 呈 する. 主 に 黒 川 左 岸 の 砂 質 ホルンフェルス 中 に 貫 入 している 母 岩 の 岩 片 を 多 含 した 凝 灰 質 の 砕 屑 岩 脈. 後 期 白 亜 紀 沢 入 花 崗 岩 花 崗 閃 緑 岩 Gr 黒 川 左 岸 ~ 右 岸 に 分 布 する 粗 粒 カリ 長 石 を 多 含 する 花 崗 閃 緑 岩 で 一 般 に 塊 状 緻 密 亀 裂 間 隔 も1mを 超 える マサ 化 が 確 認 されるが 強 いマサ 化 を 被 る 範 囲 は 比 較 的 狭 い 割 れ 目 沿 いは 深 層 までマサ 化 している 可 能 性 が 高 い 泥 質 ホルンフェルス HSh 黒 川 右 岸 ~ 大 芦 川 右 岸 の 区 間 は 花 崗 閃 緑 岩 の 迸 入 に 伴 いホルンフェルス 化 してい る ホルンフェルスは 源 岩 である 頁 岩 と 比 べて 剥 離 性 の 低 い 硬 質 な 塊 状 岩 盤 と なる( 原 岩 の 岩 質 を 強 調 する 場 合 は 泥 質 ホルンフェルス と 記 載 した) 珪 質 ホルンフェルス HCh 大 芦 川 以 北 に 分 布 する 基 質 である 頁 岩 と 共 にホルンフェルス 化 している 乳 白 色 ~ 暗 灰 色 を 呈 する 堅 硬 緻 密 なホルンフェルス チャートを 源 岩 とし 層 状 の 組 織 が 認 められるが 層 理 面 は 密 着 し 塊 状 を 呈 する 後 期 ジュ 頁 岩 JSh 荒 井 川 左 岸 ~ 右 岸 に チャートや 砂 岩 ブロックの 基 質 部 として 広 く 分 布 する 一 般 に 劈 開 が 発 達 し 鱗 片 状 に 剥 がれやすい チャートとの 境 界 付 近 およびホルンフェ ルスの 周 辺 では やや 硬 質 となる 傾 向 が 認 められる 中 生 代 ラ 紀 ~ 中 期 ジュ ラ 紀 足 尾 層 群 ブ ロ ッ ク チャート 玄 武 岩 砂 質 ホルンフェルス 砂 岩 Ch Ba HSs Ss 黒 川 以 南 のジュラ 紀 頁 岩 類 にブロックとして 包 有 される 主 に 層 状 チャートからな り 岩 片 は 堅 硬 緻 密 だが 層 理 面 に 沿 って 割 れやすい ( 下 記 のチャート 層 がブ ロック 化 したものと 考 えられ 三 畳 紀 前 期 ~ 中 期 ジュラ 紀 の 堆 積 と 考 えられる ) 荒 井 川 左 岸 に 頁 岩 中 のブロックとして 分 布 チャートと 密 接 して 分 布 しており チャートと 共 にブロックとして 包 有 されたものと 推 定 される 主 に 黒 川 左 岸 の 花 崗 岩 体 北 部 に 分 布 する ホルンフェルス 化 した 砂 岩 だが 泥 質 分 の 混 入 がほとんどなく 変 成 鉱 物 の 確 認 は 肉 眼 ではできない 主 に 荒 井 川 右 岸 上 流 や 南 摩 川 上 流 などにジュラ 紀 頁 岩 のブロックとして 分 布 する 層 理 面 は 一 般 に 不 明 瞭 で 塊 状 呈 する 堅 硬 緻 密 な 細 粒 ~ 粗 粒 砂 岩 である 堆 積 年 代 は 不 明 荒 井 川 右 岸 ~ 南 摩 川 上 流 付 近 のチャート 整 然 層 とジュラ 紀 頁 岩 との 境 界 に 薄 層 とし て 分 布 する 頁 岩 と 比 較 すると 劈 開 の 発 達 に 乏 しいが 層 状 チャート 状 の 層 理 面 が 発 達 する 南 摩 ダムサイト 上 流 の 南 摩 川 左 岸 側 に 整 然 相 であるチャート 中 の 薄 層 として 分 布 す る 他 粟 沢 川 上 流 のチャート 中 にも 薄 層 として 分 布 する 緑 色 ~ 赤 色 を 呈 する 珪 質 粘 土 岩 の 一 種 で 放 散 虫 化 石 の 扁 平 が 認 められないことが 特 徴 としてあげられる 珪 質 頁 岩 SSh 緑 色 珪 質 頁 岩 JGh 中 期 ジュ チャート 層 Ch (Ch-r) 荒 井 川 右 岸 下 流 側 から 南 摩 川 に 挟 まれた 区 間 に 分 布 する 泥 質 薄 層 を 挟 在 する 層 状 チャートを 主 体 とする 整 然 相 であり 比 較 的 連 続 性 の 良 い 赤 色 チャート(Ch-r)の 薄 層 を 挟 在 する 三 畳 紀 前 期 ~ 中 期 ジュラ 紀 の 放 散 虫 が 確 認 されている ラ 紀 ~ 三 畳 紀 砥 石 型 頁 岩 玄 武 岩 類 TSh Ba 荒 井 川 右 岸 下 流 側 から 南 摩 川 に 挟 まれた 区 間 に 分 布 する 淡 灰 色 ~ 緑 灰 色 を 呈 す る 細 粒 な 珪 質 粘 土 的 岩 相 で 剥 離 性 に 富 む 三 畳 紀 前 期 の 放 散 虫 が 確 認 されており 美 濃 - 丹 波 帯 の 砥 石 に 岩 相 が 似 る. 荒 井 川 右 岸 下 流 側 から 南 摩 川 に 挟 まれた 区 間 に 砥 石 型 頁 岩 やチャートと 共 に 帯 状 に 分 布 している 岩 片 は 堅 硬 だが やや 変 質 を 受 けている 溶 岩,ハイアロクラス タイトなどを 主 体 とし 凝 灰 岩 を 含 む また 地 質 図 等 には 表 現 していないが 炭 酸 塩 岩 (ドロマイト)を 挟 在 する ( 玄 武 岩 および 炭 酸 塩 岩 はペルム 紀 の 岩 石 である 可 能 性 もある ) 6-11

図 -6.7 地 質 平 面 図 6-12

図 -6.8 地 質 縦 断 図 (1/3) 6-13

図 -6.8 地 質 縦 断 図 (2/3) 6-14

図 -6.8 地 質 縦 断 図 (3/3) 6-15

ⅲ) 水 理 地 質 特 性 ボーリング 調 査 及 び 透 水 試 験 結 果 地 表 地 質 踏 査 結 果 等 から 想 定 される 導 水 路 予 定 地 における 透 水 性 状 は 以 下 に 示 すとおりです 既 往 調 査 で 把 握 された 浅 部 岩 盤 状 況 では チャートの 透 水 性 が 比 較 的 高 く 頁 岩 及 び 泥 質 ホルンフェルスはこれよりも 透 水 性 が 低 い 岩 盤 と 考 えられます また 土 被 りの 厚 い 場 所 のトンネルが 通 過 する 深 さでは いずれも 極 めて 難 透 水 性 な 岩 盤 状 況 です 黒 川 から 大 芦 川 左 岸 側 にかけては ホルンフェルス 化 したチャート 含 有 頁 岩 層 で 小 規 模 な 花 崗 岩 類 が 迸 入 しています 花 崗 岩 の 縁 辺 部 に 高 透 水 ゾーン が 認 められ 一 部 局 所 的 に 保 水 性 の 高 い( 比 流 量 の 大 きい) 流 域 も 花 崗 岩 縁 辺 部 に 分 布 しており ボーリングにおいても 被 圧 した 湧 水 が 認 められました 大 芦 川 右 岸 側 ~ 荒 井 川 間 においては 断 層 破 砕 帯 周 辺 に 高 透 水 ゾーンが 認 め られ 保 水 性 の 高 い( 比 流 量 の 大 きい) 地 域 も 同 様 に 断 層 周 辺 に 分 布 してい ます 断 層 破 砕 帯 周 辺 の 湧 水 を 取 水 源 とする 水 利 用 施 設 が 多 く 存 在 します 特 に 断 層 の 性 状 規 模 連 続 性 及 び 水 理 地 質 上 の 特 徴 と 湧 水 比 流 量 分 布 ボーリング 孔 内 水 位 変 動 などから 大 芦 川 右 岸 より 下 流 側 に 利 水 施 設 が 分 布 する Fo-1,Fo-2,Fo-3,Fa-2 断 層 及 び 荒 井 川 左 岸 側 と 横 断 部 付 近 に 分 布 する Fa-4,Fa-5,Fa-6 断 層 については 利 水 施 設 が 多 いことから 地 下 水 の 水 位 が 低 下 した 場 合 の 影 響 度 が 高 いものと 推 定 されます 地 下 水 位 観 測 は 今 のところ 河 川 沿 いの 平 地 部 でしか 実 績 がなく 山 間 部 の 地 山 内 部 の 地 下 水 位 分 布 は 明 らかではありません 今 後 設 置 した 多 段 式 水 位 計 により 深 部 の 地 下 水 変 動 状 況 を 把 握 する 予 定 です 地 下 水 の 浸 み 出 し 頁 岩 断 層 図 -6.9 断 層 露 頭 における 湧 水 状 況 (Fa-2 断 層 ) 図 -6.10 粘 土 を 伴 う 断 層 破 砕 帯 露 頭 (Fa-6 断 層 ) 6-16

(4) 地 下 水 表 流 水 の 利 用 の 状 況 調 査 地 域 には 公 共 の 上 水 道 の 施 設 はなく 飲 用 水 を 始 めとした 生 活 用 水 は 共 同 もし くは 各 家 庭 で 保 有 する 水 源 ( 井 戸 )より 取 水 しています また 農 業 用 や 生 活 用 に 表 流 水 ( 湧 水 沢 水 )が 利 用 されています 調 査 地 域 における 地 下 水 及 び 表 流 水 の 利 用 施 設 位 置 は 図 -6.11 に 示 すとおりです なお 主 な 地 下 水 利 用 施 設 については 前 述 の (1) 地 下 水 の 水 位 のとおり 水 位 を 継 続 的 に 観 測 しています (5) 土 地 利 用 の 状 況 調 査 地 域 周 辺 の 土 地 利 用 状 況 図 を 図 -6.12 に 示 します 調 査 地 域 の 多 くの 部 分 は 山 地 で 山 林 が 広 がっています なお 大 芦 川 と 荒 井 川 の 間 の 下 流 側 にはゴルフ 場 が 存 在 して います 6-17

図 -6.11 地 下 水 表 流 水 利 用 施 設 位 置 6-18

黒 川 大 芦 川 荒 井 川 南 摩 川 図 -6.12 土 地 利 用 状 況 6-19

6.2 予 測 結 果 6.2.1 予 測 手 法 予 測 対 象 とする 影 響 要 因 は 工 事 の 実 施 及 び 土 地 又 は 工 作 物 の 存 在 及 び 供 用 と しました 予 測 手 法 は 表 -6.5 に 示 すとおりです なお 予 測 地 域 は 調 査 地 域 と 同 様 としました また 予 測 対 象 時 期 は 工 事 の 実 施 については 地 下 水 の 水 位 に 及 ぼす 環 境 影 響 が 最 大 となる 時 期 とし 土 地 又 は 工 作 物 の 存 在 及 び 供 用 については ダムの 供 用 が 定 常 状 態 となる 時 期 としました 表 -6.5 地 下 水 の 水 位 の 予 測 手 法 予 測 手 法 事 例 にもとづく 地 下 水 の 水 位 への 影 響 高 橋 の 方 法 による 地 下 水 の 水 位 への 推 定 影 響 範 囲 の 算 出 地 下 水 の 水 位 への 影 響 の 水 理 地 質 的 な 考 察 具 体 的 内 容 事 例 の 引 用 は 導 水 路 予 定 ルート 周 辺 と 類 似 した 地 質 条 件 の 地 域 において 同 様 の 施 工 方 針 で 工 事 が 行 われた 迫 間 導 水 路 の 事 例 を 用 いた 工 事 の 実 施 に 伴 う 地 下 水 の 水 位 への 推 定 影 響 範 囲 を 高 橋 の 方 法 により 算 出 した 高 橋 の 方 法 は トンネル 掘 削 に 伴 う 湧 水 や 渇 水 の 問 題 を 概 略 的 に 予 測 する 手 段 として 地 下 水 ハンドブック 等 にも 紹 介 されており 多 くの 適 用 実 績 がある 方 法 としても 知 られ ている 工 事 の 実 施 に 伴 う 地 下 水 の 水 位 への 影 響 の 程 度 ついて 高 橋 の 方 法 による 推 定 影 響 範 囲 の 算 出 結 果 及 び 水 理 地 質 特 性 に 基 づいて 考 察 した 6. 2.2 予 測 結 果 ( 1) 事 例 にもとづく 地 下 水 の 水 位 への 影 響 類 似 地 質 の 分 布 する 地 域 で 施 工 された 導 水 路 の 事 例 調 査 は 迫 間 導 水 路 の 事 例 を 取 り 上 げて 実 施 しました 迫 間 導 水 路 は 平 成 10 年 2 月 に 着 工 し 平 成 13 年 3 月 に 竣 工 した 竜 門 ダムと 菊 池 川 支 流 の 生 味 川 を 結 ぶ 延 長 約 2,970m の 導 水 路 です 迫 間 導 水 路 のルート 付 近 の 三 郡 変 成 岩 類 は 主 に 泥 質 片 岩 からなり 導 水 路 の 約 3 割 の 区 間 に 分 布 し 注 水 口 側 には 阿 蘇 の 火 砕 流 堆 積 物 や 先 阿 蘇 火 山 岩 類 が 分 布 してい ます 迫 間 導 水 路 工 事 の 環 境 保 全 対 策 として 先 阿 蘇 火 山 岩 類 と 三 郡 変 成 岩 類 との 地 質 境 界 破 砕 帯 部 土 被 りの 小 さい 位 置 にある 河 川 及 び 女 鞍 岳 断 層 の 破 砕 帯 郡 において 止 水 材 注 入 工 法 により 破 砕 帯 の 改 良 を 行 い 透 水 性 を 低 くした 結 果 大 規 模 な 湧 水 現 象 は 認 め られませんでした *1 また 迫 間 導 水 路 は 掘 削 工 法 としてTBM(トンネルボーリングマシン) 工 法 を 採 用 しており 本 工 法 が 導 水 路 周 辺 のゆるみを 抑 制 する 効 果 があった 可 能 性 が 高 いものと 考 えられます *1 : TBM(トンネルボーリングマシーン) 工 法 : 機 械 先 端 に 取 付 けたカッターを 回 転 させて 岩 盤 を 掘 削 する 工 法 6-20

(2) 高 橋 の 方 法 による 地 下 水 の 水 位 への 推 定 影 響 範 囲 の 考 察 導 水 路 の 工 事 の 実 施 に 伴 う 地 下 水 の 水 位 への 推 定 影 響 範 囲 を 高 橋 の 方 法 により 算 出 しました 高 橋 の 方 法 では 土 被 り(H)と 影 響 幅 (R)の 関 係 (H-R 曲 線 )を 求 め これを 地 形 断 面 に 投 影 し 影 響 範 囲 を 算 出 します なお 計 算 は 地 形 条 件 や 地 質 分 布 を 考 慮 したグループ 分 けを 行 ったうえで 各 々 行 いました 推 定 影 響 範 囲 の 計 算 の 流 れは 図 -6.13 推 定 影 響 範 囲 の 模 式 図 は 図 -6.14 に 示 すとお りです 導 水 路 予 定 地 周 辺 の グループ 分 け 各 グループの 代 表 流 域 の 地 形 から透 水 性 を 算 出 土 被 り(H) 求 めた 透 水 性 から 土 被 り( H)と 影 響 幅 (R) の 関 係 (H-R 曲 線 )を 算 出 H-R 曲 線 を地 形 断 面 に 投 影 し 影 響 範 囲 を 算 出 図 -6.13 影 響 計 算 フロー H-R 曲 線 影 響 幅 (R) 導 水 路 トンネル 地 点 図 -6.14 推 定 影 響 範 囲 の 模 式 図 地 形 条 件 や 地 質 分 布 を 考 慮 したグループ 分 けの 結 果 は 以 下 及 び 図 -6.17 に 示 すとお りです A. 黒 川 ~ 大 芦 川 左 岸 主 に 泥 質 ホルンフェルスが 分 布 脊 梁 尾 根 の 標 高 は700m 台 と 高 標 高 で 谷 が 細 長 く 深 い B. 大 芦 川 右 岸 泥 質 ホルンフェルス 及 び 頁 岩 の 分 布 域 ( 断 層 で 接 触 ) ホルンフェルス 域 には チャート 石 英 斑 岩 のブロッ クを 多 含 C. 荒 井 川 左 岸 頁 岩 分 布 域 でチャートブロックを 多 含 尾 根 の 標 高 はそれほど 高 くなく 樹 枝 状 の 谷 が 形 成 さ れる D. 荒 井 川 右 岸 ~ 南 摩 川 北 側 は 頁 岩 南 側 は 層 状 チャートが 主 に 分 布 標 高 はもっとも 低 く 樹 枝 状 の 谷 が 形 成 される 次 に 沢 の 流 域 を 地 形 図 上 で 読 み 取 り 各 グループから 1 流 域 ずつ 以 下 の 基 準 に 該 当 する 代 表 流 域 を 選 定 しました 沢 の 流 域 は 図 -6.15 の 黒 枠 各 グループの 代 表 流 域 は 太 枠 で 示 すとおりです 導 水 路 予 定 ルートと( 多 少 なりとも) 重 なる 流 域 = 施 工 域 に 近 接 した 流 域 周 辺 の 流 域 と 比 べて 明 らかに 違 う 特 異 な 形 状 にはなっていない 流 域 流 域 面 積 と 主 流 路 の 関 係 が 著 しく 不 規 則 ( 例 : 流 域 面 積 は 広 いのに 流 路 が 極 めて 短 いなど)にはなっていない 流 域 6-21

図 -6.15 沢 の 流 域 とグループ 分 類 図 6-22

各 代 表 流 域 の 透 水 性 を 地 形 図 上 で 算 出 した 流 域 面 積 (A) 主 流 路 の 延 長 (L) 及 び 平 均 比 高 (Hm)から 求 めました なお 平 均 比 高 (Hm)は 主 流 路 に 対 して 一 定 間 隔 の 横 断 線 を 引 き 各 位 置 で 読 み 取 った 比 高 ( 左 右 分 水 界 標 高 と 河 床 標 高 との 差 )を 平 均 する 方 法 で 求 めました 各 値 の 算 出 結 果 は 表 -6.6 に 示 すとおりです 表 -6.6 平 均 流 路 幅 平 均 比 高 平 均 透 水 性 の 算 出 結 果 グループ 分 類 流 域 面 積 主 流 路 延 長 平 均 流 路 幅 平 均 比 高 平 均 透 水 性 A (m 2 ) L (m) R(=A/2L) (m) Hm (m) kt(=r 2 /6Hm) (m) A 黒 川 ~ 大 芦 川 左 岸 9.66E+05 1674 289 77 181 B 大 芦 川 右 岸 3.12E+05 764 204 59 119 C 荒 井 川 左 岸 1.56E+06 2191 355 86 245 D 荒 井 川 右 岸 ~ 南 摩 川 6.12E+05 1282 239 49 194 求 めた 各 グループの 平 均 透 水 性 (Kt)を 以 下 の 計 算 式 に 代 入 し 土 被 り(H)と 影 響 幅 (R)の 関 係 (H-R 曲 線 )を 求 めました 求 めた H-R 曲 線 は 図 -6.16 に 示 すとおりで す R = 6 Kt Hm 1600 1400 1200 1000 H 土 被 り (m) 800 Kt=119 Kt=181 黒 川 ~ 大 芦 川 左 岸 大 芦 川 右 岸 荒 井 川 左 岸 荒 井 川 右 岸 ~ 南 摩 川 600 400 Kt=194 200 Kt=245 0 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000 R 影 響 幅 (m) 図 -6.16 各 グループの 土 被 りと 影 響 幅 の 算 出 結 果 また 求 めた H-R 曲 線 を 地 形 断 面 に 投 影 させて 求 めた 推 定 影 響 範 囲 は 図 -6.17 に 示 すとおりです 6-23

図 -6.17 高 橋 の 方 法 により 算 出 した 地 下 水 の 水 位 への 推 定 影 響 範 囲 6-24

(3) 地 下 水 の 水 位 への 影 響 の 水 理 地 質 的 な 考 察 導 水 路 予 定 地 周 辺 の 帯 水 層 は 地 山 表 層 部 の 岩 盤 風 化 帯 であり 厚 さ 数 10mオーダー 以 下 の 浅 層 不 圧 地 下 水 帯 が 形 成 されているものと 推 定 されます 土 被 り 100m を 超 える ような 深 度 のトンネル 掘 削 では 浅 層 地 下 水 帯 ( 表 層 風 化 帯 )とトンネル 断 面 を 直 接 的 に 連 結 するような 亀 裂 系 水 みちは 断 層 破 砕 帯 のような 一 定 規 模 以 上 の 亀 裂 系 のみです したがって 山 地 部 のうち 目 立 った 破 砕 帯 が 分 布 していない 難 透 水 性 岩 盤 区 間 では 導 水 路 の 工 事 に 起 因 した 地 下 水 への 影 響 は 軽 微 なものと 想 定 されます ただし ホルンフェルス 花 崗 閃 緑 岩 分 布 域 では 岩 盤 が 硬 質 で 連 続 性 の 良 い 亀 裂 系 が 発 達 しています また 頁 岩 中 に 点 在 するチャートブロックには 細 かい 亀 裂 系 が 全 体 として 連 結 している 可 能 性 が 高 く 岩 盤 は 難 透 水 性 でも 土 被 り 深 度 によっては 掘 削 時 に 切 羽 からの 出 水 が 生 じて 地 下 水 に 影 響 を 与 える 可 能 性 は 否 定 できません このことから 高 橋 の 方 法 による 地 下 水 推 定 影 響 範 囲 に 対 して 断 層 の 状 況 等 を 考 慮 して 補 正 を 行 いました 補 正 にあたっては 地 下 水 流 出 範 囲 の 制 限 要 素 になると 考 えら れている 沢 の 流 域 境 界 を 基 準 として 検 討 しました なお 黒 川 取 水 放 流 工 及 び 南 摩 注 水 工 の 周 辺 についても 各 構 造 物 を 中 心 に 概 ね 同 心 円 状 に 影 響 範 囲 が 広 がるものとしま した 補 正 の 結 果 は 以 下 に 示 すとおりです [ 大 芦 川 右 岸 部 ] チャートブロックや 断 層 水 利 用 施 設 が 多 く 認 められ 地 形 及 び 断 層 破 砕 帯 の 走 向 に 基 づき 東 側 に 向 かって 地 下 水 の 影 響 が 大 きく 広 がることが 懸 念 されます 集 落 が 分 布 している 大 芦 川 沿 いの 段 丘 面 は 導 水 路 が 通 る 山 塊 から 漸 移 する 地 形 であ り 山 塊 の 地 下 水 が 段 丘 の 地 下 水 と 一 体 化 している 可 能 性 が 高 いです よって 段 丘 全 体 すなわち 大 芦 川 までを 地 下 水 影 響 範 囲 と 見 なすことが 妥 当 と 判 断 しました 南 寄 りに 関 しては グループBの 代 表 流 域 までを 影 響 出 現 が 懸 念 される 谷 筋 と 捉 え その 東 側 分 水 界 に 当 たる 小 尾 根 を 影 響 範 囲 の 境 界 としました 大 芦 川 右 岸 部 の 影 響 範 囲 の 補 正 の 状 況 は 図 -6.18 に 示 すとおりです 図 -6.18 水 理 地 質 的 考 察 にもとづく 地 下 水 影 響 範 囲 の 補 正 ( 大 芦 川 右 岸 部 ) 6-25

[ 荒 井 川 横 断 部 ] 断 層 破 砕 帯 ( 例 えば Fa-5 や Fa-6)が 存 在 すること 地 質 分 布 が 複 雑 なこと 及 び 集 落 が 分 布 して 多 くの 水 利 用 施 設 があることから 荒 井 川 沿 いの 平 地 部 ( 河 床 堆 積 物 崖 錐 堆 積 物 の 分 布 域 )に 沿 って 地 下 水 の 影 響 が 広 がることが 懸 念 されます 東 側 ( 下 流 側 )に 関 しては 地 形 状 況 や 断 層 破 砕 帯 の 分 布 及 び 水 利 用 施 設 等 を 踏 まえ て 大 佐 部 沢 流 域 全 体 すなわちその 東 側 流 域 界 に 当 たる 尾 根 線 までを 地 下 水 影 響 範 囲 と 見 なすことが 妥 当 と 判 断 しました 荒 井 川 横 断 部 の 影 響 範 囲 の 補 正 の 状 況 は 図 -6.19 に 示 すとおりです 図 -6.19 水 理 地 質 的 考 察 にもとづく 地 下 水 影 響 範 囲 の 補 正 ( 荒 井 川 横 断 部 ) 以 上 の(1) (2) (3)の 検 討 により チャートやホルンフェルスの 分 布 域 花 崗 閃 緑 岩 の 周 縁 部 並 びに 断 層 破 砕 帯 が 導 水 路 と 交 差 する 周 辺 において 導 水 路 工 事 を 無 対 策 で 実 施 した 場 合 地 下 水 の 水 位 が 低 下 する 可 能 性 があると 考 えられます これに 伴 って 土 被 りが 浅 い 表 流 水 ( 沢 水 )の 減 水 近 傍 に 位 置 する 井 戸 の 水 位 の 低 下 等 の 影 響 が 生 じ る 可 能 性 があると 考 えられます 6-26

No.8 No.18 図 -6.20 高 橋 の 方 法 と 水 理 地 質 的 考 察 による 地 下 水 推 定 影 響 範 囲 6-27

6.3 環 境 保 全 対 策 工 事 の 実 施 に 伴 う 地 下 水 の 水 位 への 影 響 を 極 力 低 減 するための 工 法 として 以 下 の 工 法 を 検 討 しました 高 透 水 ゾーンの 透 水 性 を 低 下 させる 工 法 の 採 用 : 浅 層 部 の 断 層 破 砕 帯 地 質 脆 弱 部 にお いては 必 要 に 応 じて 透 水 性 を 低 下 させるために 止 水 材 注 入 工 法 を 採 用 する 地 質 脆 弱 部 を 乱 さない 掘 削 工 法 の 採 用 : 地 質 脆 弱 部 を 極 力 乱 さない 導 水 路 の 掘 削 工 法 を 採 用 する 水 密 性 を 高 めた 導 水 路 覆 工 構 造 の 採 用 : 水 理 地 質 解 析 結 果 と 周 辺 地 下 水 の 利 用 状 況 から 止 水 対 策 を 実 施 する 必 要 があると 判 断 される 区 間 では 周 辺 岩 盤 から 導 水 路 内 への 地 下 水 の 湧 水 を 遮 断 することを 目 的 として 地 質 状 況 に 応 じて 水 密 性 を 高 めた 覆 工 構 造 を 採 用 する これらの 環 境 保 全 対 策 の 実 施 によって 地 下 水 の 水 位 への 影 響 は 低 減 されるものと 考 え られます 6.4 評 価 結 果 導 水 路 の 工 事 及 び 存 在 が 地 下 水 の 水 位 に 及 ぼす 影 響 について 調 査 予 測 を 行 いました 影 響 予 測 の 結 果 チャートやホルンフェルスの 分 布 域 花 崗 閃 緑 岩 の 周 縁 部 並 びに 断 層 破 砕 帯 が 導 水 路 と 交 差 する 周 辺 において 導 水 路 工 事 を 無 対 策 で 実 施 した 場 合 地 下 水 の 水 位 が 低 下 する 可 能 性 があると 考 えられます このため 環 境 保 全 対 策 として 地 質 脆 弱 部 を 乱 さない 掘 削 工 法 等 を 採 用 します これらの 工 法 の 採 用 により 地 下 水 の 水 位 の 変 化 は 低 減 されるものと 考 えられます ただし 当 該 取 水 導 水 地 区 においては 地 下 水 及 び 沢 水 の 利 用 が 多 いことから 万 一 想 定 外 の 事 態 が 生 じた 場 合 には 周 辺 住 民 の 生 活 に 影 響 を 及 ぼすことになるため 必 要 な 地 点 を 選 定 し 地 下 水 及 び 沢 水 の 状 況 を 工 事 中 及 び 供 用 後 において 監 視 するものとしま す 6-28