平 成 24 年 度 環 境 研 究 総 合 推 進 費 補 助 金 研 究 事 業 総 合 研 究 報 告 書 バイオマスの 利 活 用 を 基 軸 とした 地 域 循 環 圏 のモデル 化 と 普 及 方 策 に 関 する 研 究 (K2410,)K2333,K22002 平 成 25 年 3 月 北 海 道 大 学 古 市 徹
補 助 事 業 名 環 境 研 究 総 合 推 進 費 補 助 金 研 究 事 業 ( 平 成 22 年 度 ~ 平 成 24 年 度 ) 所 管 環 境 省 国 庫 補 助 金 57,752,000 円 研 究 課 題 名 バイオマスの 利 活 用 を 基 軸 とした 地 域 循 環 圏 のモデル 化 と 普 及 方 策 に 関 する 研 究 研 究 期 間 平 成 22 年 4 月 1 日 ~ 平 成 25 年 3 月 31 日 研 究 代 表 者 名 古 市 徹 ( 北 海 道 大 学 ) 研 究 分 担 者 名 西 則 雄 ( 北 海 道 大 学 ) 石 井 一 英 ( 北 海 道 大 学 ) 金 相 烈 ( 北 海 道 大 学 ) 翁 御 棋 ( 北 海 道 大 学 ) 谷 川 昇 ( 財 団 法 人 日 本 産 業 廃 棄 物 処 理 振 興 センター) 齊 藤 修 ( 国 連 大 学 ) 山 本 佳 世 子 ( 電 気 通 信 大 学 ) 福 士 明 ( 北 海 学 園 大 学 ) 日 向 貴 久 ( 地 方 独 立 行 政 法 人 北 海 道 立 総 合 研 究 機 構 農 業 研 究 本 部 中 央 農 業 試 験 場 ) 三 津 橋 浩 行 ( 地 方 独 立 行 政 法 人 北 海 道 立 総 合 研 究 機 構 工 業 試 験 場 ) 阿 賀 裕 英 ( 地 方 独 立 行 政 法 人 北 海 道 立 総 合 研 究 機 構 環 境 地 質 研 究 本 部 環 境 科 学 研 究 センター)
バイオマスの 利 活 用 を 基 軸 とした 地 域 循 環 圏 のモデル 化 と 普 及 方 策 に 関 する 研 究 プロジェクトメンバー 主 任 研 究 者 研 究 分 担 者 北 海 道 大 学 大 学 院 工 学 研 究 院 循 環 計 画 システム 研 究 室 教 授 古 市 徹 北 海 道 大 学 大 学 院 工 学 研 究 院 バイオウェイストマネジメント 工 学 講 座 教 授 西 則 雄 北 海 道 大 学 大 学 院 工 学 研 究 院 循 環 計 画 システム 研 究 室 准 教 授 石 井 一 英 助 教 翁 御 棋 北 海 道 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 バイオウェイストマネジメント 工 学 講 座 助 教 金 相 烈 ( 財 ) 日 本 産 業 廃 棄 物 処 理 振 興 センター 事 業 推 進 部 部 長 代 理 谷 川 昇 国 連 大 学 サステイナビリティと 平 和 研 究 所 学 術 研 究 官 齋 藤 修 電 気 通 信 大 学 准 教 授 山 本 佳 世 子 北 海 学 園 大 学 法 学 部 教 授 福 士 明 地 方 独 立 行 政 法 人 北 海 道 立 総 合 研 究 機 構 農 業 研 究 本 部 中 央 農 業 試 験 場 生 産 研 究 部 長 竹 中 秀 行 (H22) 主 査 木 村 義 彰 (H23) 主 査 日 向 貴 久 (H24) 産 業 技 術 研 究 本 部 工 業 試 験 場 環 境 エネルギー 部 生 物 資 源 分 析 応 用 グループ 主 査 三 津 橋 浩 行 環 境 地 質 研 究 本 部 環 境 科 学 研 究 センター 環 境 保 全 部 情 報 水 環 境 グループ 研 究 主 任 阿 賀 裕 英 研 究 協 力 者 地 方 独 立 行 政 法 人 北 海 道 立 総 合 研 究 機 構 農 業 研 究 本 部 中 央 農 業 試 験 場 生 産 研 究 部 主 査 工 業 試 験 場 環 境 エネルギー 部 エネルギー 環 境 グループ 主 査 鈴 木 剛 上 出 光 志
目 次 最 初 のページ プロジェクトメンバー 総 合 研 究 報 告 書 概 要 1 Ⅰ 部 序 論 11 1. 研 究 目 的 11 Ⅱ 部 北 海 道 における 地 域 循 環 圏 のシステム 解 析 12 1. 広 域 的 ごみ 処 理 における 混 合 バイオガス 化 システム - 宗 谷 地 域 におけるバイオガス 化 とごみ 燃 料 化 による 地 域 循 環 圏 シナリオのシステム 解 析 - 12 2. 家 畜 ふん 尿 を 中 心 とした 混 合 バイオガス 化 システム 14 2.1 バイオガスプラントへの 有 機 物 性 廃 棄 物 の 安 定 的 投 入 に 向 けた 条 件 の 解 明 14 2.2 地 域 特 性 と 事 業 採 算 性 を 考 慮 した 集 中 型 家 畜 ふん 尿 バイオガス 化 施 設 のシステム 化 の 検 討 17 2.3 牛 ふん 尿 バイオガス 化 プラントへの 食 品 廃 棄 物 投 入 による 混 合 発 酵 の 安 定 条 件 の 実 験 的 検 討 18 3. 工 業 団 地 とエネルギー 連 携 した 混 合 バイオガス 化 システム 20 3.1 石 狩 湾 新 港 地 域 から 排 出 されるバイオマス 原 料 の 性 状 調 査 と 混 合 発 酵 特 性 の 評 価 20 3.2 食 品 廃 棄 物 の 混 合 発 酵 特 性 に 関 する 実 験 的 考 察 22 3.3 石 狩 湾 新 港 地 域 バイオガス 化 システムの 事 業 化 に 向 けた 検 討 2 項 ロジットモデル を 用 いた 食 品 廃 棄 物 収 集 量 推 定 手 法 の 提 案 24 3.4 石 狩 湾 新 港 地 域 における 採 算 性 を 考 慮 した 食 品 廃 棄 物 バイオガス 化 施 設 規 模 に 関 する 研 究 25 4. 下 水 処 理 施 設 と 連 携 した 混 合 BGS 26 - 生 ごみと 下 水 汚 泥 との 混 合 バイオガス 化 システムにおけるシステム 的 評 価 - 26 5. 未 利 用 廃 棄 物 の 利 活 用 システム 28 5.1 稲 わらペレットの 製 造 条 件 の 明 確 化 28 5.2 農 作 物 残 渣 燃 料 の 燃 焼 試 験 30 5.3 未 利 用 廃 棄 物 ( 木 質 系, 農 業 残 渣 )の 利 活 用 システムと 生 態 系 サービス 評 価 33 5.4 廃 CCA 処 理 木 材 の 分 別 処 理 とリサイクルシステムの 研 究 36 Ⅲ 部 全 国 ベースでの 地 域 循 環 圏 のモデルの 普 及 方 策 の 検 討 38 1. 国 内 外 のバイオマス 事 業 化 の 成 功 要 因 の 分 析 38 2. バイオマス 利 活 用 の 推 進 戦 略 のための GIS を 用 いた 土 地 利 用 解 析 39 3. バイオマスの 再 生 可 能 エネルギー 源 としての 利 活 用 のための 制 度 設 計 と 運 用 - 北 海 道 におけるバイオマスの 利 活 用 を 中 心 に 41 4. 地 域 循 環 圏 の 普 及 方 策 の 提 案 43 Ⅳ 部 結 論 45 論 文 発 表 学 会 発 表 46 ポンチ 絵 48 英 文 概 要 49
環 境 研 究 総 合 推 進 費 補 助 金 研 究 事 業 総 合 研 究 報 告 書 概 要 研 究 課 題 名 =バイオマスの 利 活 用 を 基 軸 とした 地 域 循 環 圏 のモデル 化 と 普 及 方 策 に 関 する 研 究 研 究 番 号 = K2410,K2333,K22002 国 庫 補 助 金 精 算 所 要 額 ( 円 )= 57,752,000( 平 成 22 年 度 ~24 年 度 の 総 計 ) 研 究 期 間 ( 西 暦 )=2010-2012 代 表 研 究 者 名 = 古 市 徹 ( 北 海 道 大 学 ) 共 同 研 究 者 名 = 西 則 雄 ( 北 海 道 大 学 ) 石 井 一 英 ( 北 海 道 大 学 ) 金 相 烈 ( 北 海 道 大 学 ) 翁 御 棋 ( 北 海 道 大 学 ) 谷 川 昇 ( 財 団 法 人 日 本 産 業 廃 棄 物 処 理 振 興 センター) 齊 藤 修 ( 国 連 大 学 ) 山 本 佳 世 子 ( 電 気 通 信 大 学 ) 福 士 明 ( 北 海 学 園 大 学 ) 日 向 貴 久 ( 地 方 独 立 行 政 法 人 北 海 道 立 総 合 研 究 機 構 農 業 研 究 本 部 中 央 農 業 試 験 場 ) 三 津 橋 浩 行 ( 地 方 独 立 行 政 法 人 北 海 道 立 総 合 研 究 機 構 工 業 試 験 場 ) 阿 賀 裕 英 ( 地 方 独 立 行 政 法 人 北 海 道 立 総 合 研 究 機 構 環 境 地 質 研 究 本 部 環 境 科 学 研 究 センター) 1. 研 究 目 的 ほとんど 実 施 事 例 がない 地 域 循 環 圏 のモデルを バイオマスの 利 活 用 を 基 軸 として 道 内 の 地 域 特 性 とバイオマスの 種 類 に 応 じてシステム 解 析 することにより 全 国 ベースで 普 及 するための 方 策 を 検 討 す る 1) 北 海 道 における 地 域 循 環 圏 の 5 つのモデル{1) 広 域 的 ごみ 処 理 における 混 合 バイオガス 化 システ ム(BGS) 2) 家 畜 ふん 尿 を 中 心 とした 混 合 BGS 3) 工 業 団 地 とエネルギー 連 携 した 混 合 BGS 4) 下 水 処 理 施 設 と 連 携 した 混 合 BGS 5) 未 利 用 廃 棄 物 の 利 活 用 システム}を 受 入 れバイオマスの 質 と 量 供 給 先 の 需 要 変 換 装 置 ( 施 設 ) 事 業 主 体 地 域 特 性 の 各 要 因 について 技 術 的 社 会 的 側 面 から 統 合 的 に 検 討 し 事 業 採 算 性 と 技 術 環 境 社 会 の 総 合 的 観 点 から 各 モデルが 成 立 するための 共 通 条 件 や 課 題 を 抽 出 する 2) 上 記 システム 解 析 から 得 られた 共 通 条 件 や 課 題 の 検 討 を 踏 まえて 全 国 ベースでの 地 域 循 環 圏 モ デルの 普 及 方 策 を 検 討 する 図 1-1 本 研 究 の 全 体 構 成 1
2. 研 究 方 法 2.1 北 海 道 における 地 域 循 環 圏 のシステム 解 析 次 の 5 つの 地 域 循 環 圏 モデルのシステム 解 析 により 各 モデルが 成 立 する 共 通 条 件 と 課 題 を 抽 出 する 1) 広 域 的 ごみ 処 理 における 混 合 バイオガス 化 システム(BGS) 離 島 を 含 む 北 海 道 宗 谷 地 域 を 対 象 に 生 ごみのバイオガス 化 と 新 たに 分 別 区 分 した 燃 料 ごみ( 紙 プ ラ 布 木 )のごみ 燃 料 (RDF) 化 による 地 域 循 環 圏 シナリオ( 図 2-1)について ごみ 組 成 調 査 等 の 現 地 調 査 および 自 治 体 提 供 資 料 に 基 づき コストおよび 最 終 処 分 量 リサイクル 率 を 評 価 し 経 済 的 に 成 立 する 実 行 可 能 な 地 域 循 環 圏 の 具 体 例 を 提 示 する 2) 家 畜 ふん 尿 を 中 心 とした 混 合 BGS 酪 農 地 域 での 牛 ふん 集 中 型 BG 施 設 の 事 例 調 査 に 基 づく 事 業 採 算 性 解 析 により 事 業 成 立 条 件 を 明 ら かにする そして 事 業 採 算 性 に 大 きな 影 響 を 及 ぼす 有 機 性 廃 棄 物 ( 産 業 廃 棄 物 ) 受 入 を 唯 一 行 っている 施 設 での 産 業 廃 棄 物 受 入 実 績 データと BG 発 生 量 を 解 析 した そして 特 に 一 時 大 量 投 入 されていたた め 発 酵 阻 害 の 懸 念 があった 液 状 ホエイ(チーズ 製 造 時 の 副 産 物 )による 発 酵 阻 害 機 構 をバッチ 試 験 によ り 明 らかにし さらに 連 続 試 験 ( 図 2-2)により 発 酵 阻 害 が 生 じない 安 定 発 酵 条 件 を 検 討 した 3) 工 業 団 地 とエネルギー 連 携 した 混 合 BGS 1 都 市 地 域 圏 である 石 狩 湾 新 港 で 排 出 される 食 品 廃 棄 物 ( 産 廃 ) 石 狩 市 札 幌 市 ( 一 部 の 区 )で 排 出 される 食 品 廃 棄 物 ( 事 業 系 一 廃 )と 生 ごみ( 家 庭 系 )の 収 集 量 を 住 民 の 分 別 協 力 度 に 基 づき 推 定 し 図 2-3 に 示 す 民 間 企 業 が 運 営 する BG 施 設 を 想 定 し 各 種 廃 棄 物 の 受 入 量 と 処 理 料 金 の 関 係 図 を 用 いた 施 設 規 模 決 定 手 法 の 検 討 を 行 った(FIT 制 度 適 用 ( 売 電 価 格 39 円 /kwh) 事 業 期 間 20 年 間 ) また 熱 精 製 ガス 利 用 の 場 合 の 工 業 団 地 内 でのエネルギー 連 携 方 法 を 検 討 した 2 炭 水 化 物 たんぱく 質 脂 質 の 割 合 がバイオガス 発 生 量 に 及 ぼす 影 響 をバッチ 試 験 にて 評 価 した そ の 上 で 飼 料 堆 肥 に 向 かない 高 脂 質 含 有 有 機 性 廃 棄 物 の BG 施 設 受 入 を 想 定 し 連 続 試 験 ( 図 2-2) により 脂 質 含 有 割 合 および 脂 質 投 入 負 荷 量 が BG 発 生 量 に 及 ぼす 影 響 を 明 らかした 4) 下 水 処 理 施 設 と 連 携 した 混 合 BGS 焼 却 施 設 を 持 たない 北 海 道 北 広 島 市 における 生 ごみを 既 設 消 化 槽 で 混 合 発 酵 する 地 域 循 環 圏 を 対 象 に 生 ごみ 紙 類 プラスチックの 分 別 協 力 率 を 表 2-1 のように 向 上 させた 場 合 の 最 終 処 分 場 延 命 化 と 温 室 効 果 ガス 削 減 効 果 を 評 価 した 5) 未 利 用 廃 棄 物 の 利 活 用 システム 1 図 2-4 に 示 す 稲 わらの 地 域 循 環 圏 を 日 本 で 初 めて 実 践 した 南 幌 町 の 実 機 にて 稲 わらペレットの 歩 留 まり 率 と 燃 料 特 性 ( 発 熱 量 機 械 的 耐 久 性 )に 及 ぼす 初 期 含 水 率 および 破 砕 粒 度 成 形 温 度 の 影 響 を 解 析 し 高 品 質 稲 わらペレット 製 造 条 件 を 明 らかにする そして これまで 実 例 が 無 い 稲 わらペレッ トの 燃 焼 実 験 および 発 熱 量 ベースの 価 格 解 析 により 稲 わらペレットの 化 石 燃 料 代 替 性 を 明 らかにす る 2 未 利 用 バイオマスの 利 活 用 向 上 に 伴 う 土 地 改 変 による 炭 素 蓄 積 損 失 など 生 態 系 サービスへの 影 響 を 明 示 的 かつ 定 量 的 に 評 価 するプロトタイプを 新 たに 提 示 し ケーススタディにより 生 態 系 サービスを 考 慮 した 事 業 評 価 を 試 みる 2.2 全 国 ベースでの 地 域 循 環 圏 の 普 及 方 策 の 検 討 2.2.1 全 国 ベースでの 地 域 循 環 圏 の 普 及 のための 必 要 条 件 1)GIS データベースを 利 用 した 土 地 利 用 解 析 により 土 地 利 用 とバイオマスとの 関 連 性 を 把 握 するため に GIS データベース 構 築 に 必 要 な 各 種 データ 収 集 可 視 化 システムの 構 築 土 地 利 用 環 境 情 報 の 2
解 析 を 行 った 2) 米 国 および 独 国 における 再 生 可 能 エネルギー 特 にバイオエネルギー 普 及 のための 制 度 設 計 や 運 用 に ついてレビューを 行 い 国 内 の 現 状 との 比 較 を 通 じて 北 海 道 におけるバイオエネルギー 進 展 のため の 制 度 設 計 とその 運 用 について 考 察 した 2.2.2 地 域 循 環 圏 の 普 及 方 策 の 提 案 1) 全 国 の 先 進 的 バイオマス 利 活 用 事 例 の 解 析 を 行 い 事 業 主 体 別 に 事 業 化 のための 条 件 設 定 と 課 題 の 抽 出 を 行 った 2) 海 外 の 先 端 事 例 も 踏 まえ 北 海 道 で 構 築 した 5 つの 地 域 循 環 圏 モデルを 全 国 ベースで 普 及 させるた めの 普 及 方 策 を 検 討 した 3. 結 果 と 考 察 3.1 北 海 道 における 地 域 循 環 圏 のシステム 解 析 1) 広 域 的 ごみ 処 理 における 混 合 バイオガス 化 システム(BGS) 離 島 からの 生 ごみフェリー 輸 送 による 生 ごみバイオガス 化 による 地 域 循 環 圏 の 可 能 性 を 示 した そし て 生 ごみバイオガス 化 に 加 えて 新 たに 分 別 区 分 する 燃 料 ごみ( 紙 プラ 布 木 )の RDF 化 の 両 方 を 考 慮 した 場 合 宗 谷 地 域 全 体 の 年 間 の 廃 棄 物 管 理 にかかるコストは 現 状 と 比 べて 削 減 できることを 示 した( 図 3-1) また 図 には 示 していないが 発 酵 汚 泥 の 堆 肥 化 と RDF 化 によりリサイクル 率 は 現 状 の 29.6%から 50.6%に 最 終 処 分 量 は 現 状 と 比 べて 83.3% 削 減 することを 示 した すなわち これまで 具 体 的 検 討 がされてこなかった 地 域 循 環 圏 について 北 海 道 宗 谷 地 域 の 生 ごみと 燃 料 ごみの 複 数 の 資 源 に 着 眼 し 各 資 源 の 物 質 特 性 と 地 域 特 性 に 基 づいた 経 済 的 に 実 現 可 能 な かつリサイクル 率 と 最 終 処 分 場 量 を 大 幅 に 改 善 する 地 域 循 環 圏 モデルを 提 示 することができた 2) 家 畜 ふん 尿 を 中 心 とした 混 合 BGS 牛 ふん 集 中 型 BG 施 設 の 事 例 および 事 業 採 算 性 解 析 により 売 エネルギーのみならず 液 肥 販 売 や 産 業 廃 棄 物 受 入 による 収 入 の 有 無 が 事 業 成 立 の 条 件 であることを 明 らかにした そこで 事 業 成 立 条 件 の 一 つである 産 業 廃 棄 物 ( 乳 製 品 工 場 からの 食 品 廃 棄 物 )を 受 け 入 れている 牛 ふん 混 合 BG 施 設 の 実 績 調 査 より 1 回 当 たりの 最 大 搬 入 量 と 年 間 総 投 入 量 に 占 める 割 合 ( 集 中 度 )を 算 出 したところ( 表 3-1) 1 回 の 投 入 が 年 間 総 投 入 量 の 50%を 超 える 場 合 が 多 く 見 られること さらに 貯 蔵 可 能 な 固 形 物 である 廃 バ ター 廃 チーズのバイオガス 発 生 量 増 大 割 合 に 比 べて 貯 留 槽 が 無 いため 保 管 が 困 難 である 液 状 ホエイ による BG 発 生 量 増 加 割 合 が 著 しく 低 く 発 酵 阻 害 が 生 じている 可 能 性 を 指 摘 した( 表 3-2) すなわち 発 酵 阻 害 を 防 ぐために 貯 留 槽 を 整 備 し 発 酵 槽 への 投 入 量 を 調 整 する 必 要 性 を 示 した そこで 貯 留 槽 設 置 によりホエイを 定 常 投 入 できると 想 定 した 場 合 バター2%の 定 常 投 入 を 前 提 とすると アンモニア 蓄 積 の 観 点 から ホエイの 毎 日 の 投 入 割 合 を 8% 程 度 に 制 御 することが 安 定 発 酵 のための 投 入 条 件 であ ること( 表 3-3)を 実 験 的 に 明 らかにした 以 上 より 国 内 ではまだ 実 施 事 例 は 少 ない 牛 ふんと 産 廃 の 混 合 バイオガス 化 による 実 行 可 能 な 地 域 循 環 圏 モデルを 提 示 した 3) 工 業 団 地 とエネルギー 連 携 した 混 合 BGS 1BG プラント 事 業 採 算 性 解 析 による 事 業 採 算 を 満 足 する 施 設 規 模 決 定 例 の 一 つとして 都 市 近 郊 の 食 品 廃 棄 物 ( 事 業 系 一 廃 ) 家 庭 系 生 ごみの 各 受 入 量 と 内 部 利 益 率 (IRR)の 解 析 結 果 を 表 3-4 に 示 し た( 受 入 料 金 は 固 定 ) これより 地 域 特 性 に 応 じて 事 業 採 算 性 を 満 足 する 施 設 規 模 を 決 定 できる 手 法 を 開 発 することができた また 図 には 示 していないが 工 業 団 地 内 でのエネルギー 連 携 の 一 つの 形 態 として LNG プラントへの BG 注 入 がエネルギー 効 率 面 で 有 効 であり 売 ガス 価 格 次 第 では 事 業 3
性 は 向 上 することを 示 した すなわち 工 業 団 地 内 でのエネルギー 連 携 による 都 市 域 生 ごみ 等 の BG による 実 行 可 能 な 地 域 循 環 圏 モデルを 提 示 した 2バッチ 試 験 により BG 発 酵 槽 の 滞 留 時 間 である 18 日 間 を 想 定 したメタンガス 発 生 量 は 炭 水 化 物 たんぱく 質 脂 質 の 割 合 によっておおよそ 推 測 できることが 明 らかとなった( 図 3-2) そして 今 後 受 入 量 確 保 のために 重 要 となる 飼 料 堆 肥 に 向 かない 高 脂 質 含 有 有 機 性 廃 棄 物 の 混 合 発 酵 特 性 を 把 握 するための 連 続 試 験 により 図 3-3 に 示 すように 投 入 割 合 が 増 加 する 程 BG 発 生 量 は 低 下 し 脂 質 割 合 が 40%になると 発 酵 が 停 止 してしまうことが 分 かった また 脂 質 割 合 40%の 条 件 で 0.05~0.15 kg-vs/m 3 /day のごく 低 い 投 入 負 荷 量 でも 発 酵 阻 害 が 生 じてしまうことを 明 らかにした 4) 下 水 処 理 施 設 と 連 携 した 混 合 BGS 生 ごみおよびプラ 紙 類 の 分 別 協 力 率 向 上 による 最 終 処 分 量 および 地 球 温 暖 化 ガスの 削 減 量 をそれぞ れ 図 3-4 と 図 3-5 に 示 した 既 設 消 化 槽 容 量 の 余 裕 分 に 生 ごみや 食 品 廃 棄 物 を 投 入 しバイオガス 化 する と 同 時 に 紙 類 やプラスチックの 資 源 化 を 総 合 的 に 推 進 すること(シナリオ C)で 家 庭 ごみ 埋 立 量 は 4737 t/ 年 ( 約 BAU の 55.9%) 地 球 温 暖 化 ガス 排 出 量 は 7143.8 t-co2/ 年 (2009 年 北 広 島 市 全 体 の 排 出 量 の 31.2%に 相 当 ) 削 減 可 能 であることを 示 した 5) 未 利 用 廃 棄 物 の 利 活 用 システム 1 図 3-6 に 稲 わらペレットの 含 水 率 と 発 熱 量 および 歩 留 まり 率 (= 稲 わらペレット 製 造 量 / 稲 わら 量 ) の 関 係 を 示 す 低 含 水 率 の 方 が 発 熱 量 は 高 いが 歩 留 まり 率 が 低 くなる( 成 形 がうまくいかない) すなわち 含 水 率 が 重 要 な 製 造 パラメータであり 製 造 後 の 稲 わらペレット 含 水 率 が 12~15% 程 度 になるように 調 整 する 必 要 がある そこで 含 水 率 を 事 前 に 15%に 調 整 し 製 造 ( 製 造 後 の 含 水 率 約 12%)した 時 の 破 砕 粒 径 と 成 形 温 度 が 歩 留 まり 率 に 及 ぼす 影 響 を 図 3-7 に 示 した 破 砕 粒 径 に よらず 含 水 率 15% 成 形 温 度 60~80 であれば 十 分 に 良 質 な 稲 わらペレットの 製 造 が 可 能 であり このとき 木 質 ペレット 品 質 規 格 である 機 械 的 耐 久 性 とほぼ 同 等 の 品 質 を 有 することが 分 かった ま た 稲 わらペレットの 発 熱 量 はおおよそ 13MJ/kg( 木 質 ペレットは 16.5MJ/kg)であり 発 熱 量 ベ ースの 価 格 解 析 により 重 油 および 灯 油 共 に 20 円 高 騰 した 将 来 には 十 分 に 代 替 燃 料 として 使 用 可 能 であることを 示 した さらに 稲 わらペレットの 実 ボイラ 燃 焼 試 験 の 結 果 木 質 ペレットと 混 合 燃 焼 することでクリンカ 生 成 による 燃 焼 障 害 を 改 善 できることから 木 質 ペレットボイラで 十 分 に 稲 わら ペレットの 燃 焼 が 可 能 であることを 示 した 2 未 利 用 バイオマスの 利 活 用 向 上 に 伴 う 生 態 系 サービスへの 影 響 を 評 価 する 枠 組 みを 新 たに 提 案 し そ の 解 析 の 一 例 として 北 海 道 南 幌 町 および 下 川 町 にて 炭 素 蓄 積 損 失 量 の 定 量 的 評 価 を 試 みた 結 果 単 にエネルギー 収 支 や 経 済 性 だけではなく 炭 素 蓄 積 損 失 などの 生 態 系 サービスを 考 慮 し 未 利 用 バイ オマス 利 活 用 の 事 業 評 価 をすることが 重 要 であること 示 した 以 上 5 つの 地 域 循 環 圏 のシステム 解 析 により 具 体 的 実 施 モデルを 図 3-8~3-12 に 提 案 し 各 モデ ルが 成 立 するための 共 通 条 件 を 抽 出 し 同 図 に 示 した 3.2 全 国 ベースでの 地 域 循 環 圏 の 普 及 方 策 の 検 討 3.2.1 全 国 ベースでの 地 域 循 環 圏 の 普 及 のための 必 要 条 件 1) GIS データベースを 利 用 した 土 地 利 用 解 析 により 土 地 利 用 とバイオマスとの 関 連 性 が 把 握 でき バ イオマスの 利 活 用 の 可 能 性 を 詳 細 な 地 区 単 位 で 示 唆 することができた 林 地 残 材 や 稲 わら 等 の 未 利 用 バイオマスの 利 活 用 は 土 地 利 用 政 策 と 密 接 な 関 連 を 有 することから GIS を 用 いた 土 地 解 析 と 土 地 利 用 管 理 が 重 要 であることを 示 した 2) 再 生 可 能 エネルギーおよびバイオエネルギー 普 及 が 進 んでいる 米 国 と 独 国 では 制 度 設 計 上 法 律 で 4
目 標 を 設 定 し さらに 詳 細 な 実 施 計 画 ( 行 程 表 )を 策 定 し 各 地 方 と 連 携 しながら 実 施 している 点 が 成 功 要 因 の 一 つであることを 示 した 日 本 においても 目 標 値 を 強 制 力 のある 実 質 的 なものと 位 置 づけ 国 と 地 方 が 連 携 し 詳 細 な 実 施 計 画 ( 行 程 表 )を 策 定 し 運 用 していくことが 必 要 であることを 示 した 3.2.2 地 域 循 環 圏 の 普 及 方 策 の 提 案 1) 全 国 のバイオマス 利 活 用 事 例 のシステム 解 析 により 事 業 化 成 功 のためのポイントを 表 3-5 のように 事 業 者 別 に 整 理 し その 違 いを 明 確 にした 2)バイオエネルギーの 普 及 が 進 んでいる 先 進 国 (ドイツ フィンランド スウェーデン オーストリア) での 技 術 的 社 会 的 側 面 からの 調 査 結 果 ( 表 3-6)を 踏 まえて 図 3-8 から 図 3-12 に 本 研 究 で 提 案 した 5 つの 地 域 循 環 圏 の 実 施 モデルを 全 国 ベースで 普 及 させるための 方 策 について 示 した 離 島 の 生 ごみ のみ 未 リサイクル 焼 却 利 尻 礼 文 現 状 稚 内 バイオガス 化 宗 谷 地 域 バイオガス 化 離 島 の 生 ごみの バイオガ ス 化 生 ごみと 燃 料 ごみの 地 域 循 環 圏 シナリオ フェリー 輸 送 バイオガス 化 3つの 生 ごみ の 地 域 循 環 圏 を 形 成 バイオガス 化 焼 却 西 天 北 埋 立 バイオガス 化 紙 プラ 布 木 は 焼 却 or 埋 立 のため リサイクル 未 実 施 焼 却 埋 立 南 宗 谷 燃 料 ごみ ( 紙 プラ 布 木 )の RDF 化 フェリー 輸 送 RDF 化 バイオガス 化 コンテナ 輸 送 図 2-1 地 域 循 環 圏 シナリオの 構 築 1つの 燃 料 ごみの 地 域 循 環 圏 を 形 成 図 2-2 メタン 発 酵 連 続 試 験 装 置 石 石 狩 湾 新 港 狩 湾 食 品 廃 棄 物 ( 産 廃 ) 新 港 石 狩 市 地 札 幌 市 ( 一 部 の 区 ) 域 事 業 系 一 般 廃 棄 物 家 庭 系 生 ごみ 発 酵 不 適 物 加 水 事 業 主 体 : 民 間 事 業 者 ( 受 入 単 価 : 産 廃 8,000 円 /t 事 業 系 一 廃 11,000 円 /t 家 庭 系 生 ごみ17,600 円 /t) 補 助 金 :0 金 利 2% 固 定 資 産 税 率 1.4% 減 価 償 却 期 間 20 年 間 プラント 主 要 設 備 前 処 理 バイオガス 発 酵 槽 排 水 施 設 下 水 道 放 流 脱 水 脱 水 汚 泥 処 分 表 2-1 分 別 回 収 率 の 設 定 シナリオ 分 別 回 収 率 生 ごみ 紙 類 プラスチック BAU ( 現 状 ) 0.04 0.18 0.38 A 0.42 0.18 0.38 B 0.62 0.26 0.64 C 0.82 0.33 0.83 ガスボイラー ガス 精 製 CHP (Combined heat & power) 熱 廃 熱 熱 1)60 円 /m 3 施 設 内 利 用 売 ガス 電 力 2)100 円 /m 3 施 設 内 利 用 LNG 受 入 基 地 売 電 39 円 /kwh シナリオ1: 熱 精 製 ガス 利 用 シナリオ2: 発 電 余 剰 熱 利 用 図 2-3 バイオガス 化 施 設 規 模 決 定 のための 計 算 条 件 金 額 ( 百 万 円 / 年 ) 支 出 収 入 900 800 700 600 500 400 300 200 100 0 100 RDF 売 却 益 維 持 管 理 費 用 施 設 整 備 費 用 運 搬 費 用 収 集 費 用 図 2-4 南 幌 町 の 稲 わらペレット 事 業 の 概 要 5 1 施 設 : 稚 内 市 にRDF 化 施 設 建 設 3 施 設 : 稚 内 市 利 尻 島 礼 文 島 にそれぞれRDF 化 施 設 建 設 旭 川 :RDFを 旭 川 市 内 既 存 製 紙 工 場 で 利 用 稚 内 :RDFを 稚 内 市 新 規 熱 利 用 施 設 で 利 用 図 3-1 宗 谷 地 域 全 体 での 年 間 費 用 の 比 較
業 者 農 家 表 3-1 有 機 系 廃 棄 物 の 受 入 状 況 形 態 資 材 名 最 大 日 搬 入 量 集 中 度 (t) 廃 用 牛 乳 24.5 12% 液 状 物 廃 チーズホエイ 260.0 89% 廃 シロップ バターミルク 45.2 12% 合 併 洗 浄 化 槽 汚 泥 340.6 77% 半 固 形 物 廃 生 クリーム 練 乳 48.1 12% 廃 脱 脂 粉 乳 12.4 10% 廃 バター 1.2 11% 固 形 物 廃 チーズ 45.0 50% 水 産 加 工 残 滓 6.7 5% 屎 尿 処 理 汚 泥 5.0 66% 残 飯 類 0.3 4% スラリー 89.4 1% 藁 混 合 ふん 尿 54.0 1% 小 計 143.4 - 形 態 資 材 名 平 均 ガス 発 生 量 貯 蔵 日 数 増 加 割 合 (day) (%/t-dm) 廃 用 牛 乳 0.1 7.1 液 状 物 廃 チーズホエイ 0.3 3.1 廃 シロップ バターミルク 0.0 6.8 半 固 形 物 廃 生 クリーム 練 乳 7.3 7.0 廃 脱 脂 粉 乳 35.8 6.3 固 形 物 廃 バター 22.6 10.4 廃 チーズ 15.0 11.3 表 3-3 ホエイ 定 常 投 入 条 件 下 における 安 定 BG 発 生 時 期 の BG 発 生 量 と 汚 泥 分 析 の 結 果 実 験 区 名 対 照 区 run2(ホエー8%) run3(ホエー13%) run4(ホエー18%) 安 定 期 から20 日 間 のメタンガス 合 計 発 生 量 (L) 99 104 107 111 メタンガス ホエーVSあたりメタンガス 発 生 量 (L/gVS) 0.33 0.36 0.39 VFA 濃 度 (mg/l) 2087 2153 2760 3105 NH + 4 -N 濃 度 (mg/l) 2378 3200 3711 4201 汚 泥 ph 7.7 7.8 8 8.2 全 窒 素 (mg/l) 5600 5600 6300 7000 表 3-4 各 廃 棄 物 の 受 入 量 と IRR の 関 係 業 者 表 3-2 有 機 系 廃 棄 物 の 平 均 貯 留 日 数 とガス 発 生 増 加 割 合 食 品 廃 棄 物 ( 事 業 系 一 廃 ) 受 入 量 (t/d) (11,000 円 /t) IRR (%) 0-12 - 24 36 0 12 24 36-7.55 (-11.69) -3.21 (-6.55) 家 庭 系 生 ごみ 受 入 量 (t/d) (17,600 円 /t) -6.40 (-10.04) -2.39 (-5.44) -0.26 (-2.92) 1.11 (-1.28) 0.83 (-1.47) 1.77 (-0.33) 2.56 (0.59) 3.26 (1.32) 3.37 (1.54) 3.88 (2.00) 4.40 (2.45) 4.90 (2.89) 上 部 : 施 設 利 用 分 を 差 し 引 いた 電 力 を 売 電 した 場 合 (39 円 /kwh) () 内 :LNGプラントに 精 製 ガスを 売 却 した 場 合 (100 円 /m 3 ) 図 3-2 VS1g 当 たりのメタン ガス 発 生 量 ガス 発 生 量 m 3 /kg-vs 1.2 1 0.8 0.6 0.4 脂 質 40% 脂 質 35% 0.2 脂 質 30% 脂 質 25% 0 0 10 20 30 40 50 経 過 日 数 d 最 終 処 分 量 (t/ 年 ) 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 生 ごみ 紙 類 プラスチック BAU A B C 図 3-4 最 終 処 分 量 の 変 化 図 3-3 脂 質 含 有 割 合 と BG 発 生 量 の 関 係 温 室 効 果 ガス 排 出 量 の 削 減 量 (t-co 2 / 年 ) 8,000 6,000 4,000 2,000 0 生 ごみ 紙 類 A B C 6 図 3-5 温 室 効 果 ガス 削 減 量
稲 わらペレットの 低 位 発 熱 量 (MJ/kg) 14 13 12 11 10 9 8 5 10 15 20 25 30 100 90 80 70 60 50 40 稲 わらペレットの 歩 留 まり 率 (%) 歩 留 まり 率 (%) 100 90 80 70 60 50 φ20 mm φ10 mm φ5 5 mm 60 80 100 成 形 温 度 ( ) 図 3-7 成 形 温 度 と 歩 留 まり 率 の 関 係 ( 破 砕 粒 径 をパラメータ) 稲 わらペレットの 含 水 率 (%) 図 3-6 含 水 率 と 発 熱 量 および 歩 留 まり 率 の 関 係 1) 広 域 的 ごみ 処 理 におけるバイオガス 化 システム(BGS)による 地 域 循 環 圏 モデル ( 生 ごみは 各 地 域 で 循 環 紙 プラ 布 木 は 全 体 で 循 環 ) 紙 プラ 布 木 は 燃 料 として 全 体 で 循 環 生 ごみ バイオガス 化 生 ごみは 各 地 域 で 循 環 生 ごみ バイオガス 化 生 ごみ バイオガス 化 本 研 究 の 成 果 高 リサイクル 率 を 達 成 する 経 済 的 に 実 施 可 能 なバイオガス 化 とRDF 化 による 地 域 循 環 圏 の 具 体 例 の 提 示 モデル 成 立 のための 共 通 条 件 中 小 自 治 体 の 組 み 合 わせ 生 ごみの 循 環 とそれ 以 外 の 可 燃 ごみ ( 紙 プラ 布 木 )の 循 環 を 同 時 に 考 慮 普 及 方 策 焼 却 施 設 のみに 頼 らないさらなる 広 域 連 携 の 推 進 と 施 設 補 助 の 多 様 化 RDFを 利 用 する 地 域 エネルギー 供 給 プラントなどのインフラ 整 備 と 既 存 民 間 施 設 との 積 極 的 連 携 事 務 組 合 などの 運 営 方 式 の 再 考 (ごみ 種 によって 管 轄 する 自 治 体 の 組 み 合 わせが 異 なる 場 合 がある) 図 3-8 広 域 的 ごみ 処 理 における BGS 地 域 循 環 圏 図 3-9 家 畜 ふん 尿 中 心 混 合 BGS 地 域 循 環 圏 7
図 3-10 工 業 団 地 エネルギー 連 携 混 合 BGS 地 域 循 環 圏 図 3-11 下 水 処 理 施 設 混 合 BGS 地 域 循 環 圏 図 3-12 稲 わらペレット 熱 利 用 による 地 域 循 環 圏 8
表 3-5 バイオマス 利 活 用 事 例 システム 分 析 による 事 業 化 成 功 のポイント 成 功 要 因 排 出 事 業 者 処 理 事 業 者 自 治 体 目 的 設 定 関 連 法 律 への 対 応 遵 守 コスト 削 減 ( 廃 棄 物 処 理 費 購 入 電 力 燃 料 費 ) 企 業 イメージ CSR ビジネスの 契 機 循 環 型 社 会 構 築 への 貢 献 廃 棄 物 管 理 の 広 域 化 対 応 地 域 特 有 の 問 題 対 応 インプット 事 業 主 体 = 排 出 事 業 者 なので インプット の 量 と 質 の 管 理 が 容 易 大 都 市 や 工 業 地 域 での 立 地 によりイン プットの 確 保 が 可 能 住 民 への 分 別 指 導 の 徹 底 複 数 の 種 類 のバイオマスの 受 入 アウトプット 変 換 技 術 比 較 的 閉 じた 系 での 流 通 (グループ 内 利 用 ) エネルギー 利 用 ( 自 家 利 用 ) 既 存 施 設 既 存 販 路 の 利 用 販 売 計 画 への 反 映 ブランド 化 インプットの 量 と 質 の 管 理 がなされている ので 前 処 理 の 手 間 が 軽 減 既 存 施 設 の 利 用 によるコスト 削 減 需 要 先 のニーズを 満 たす 製 品 の 製 造 技 術 アウトプットの 需 要 確 保 拡 大 の 努 力 を 継 続 的 に 行 っている 低 コスト 低 環 境 負 荷 型 の 施 設 副 産 物 の 二 次 利 用 による 維 持 管 理 費 低 減 化 を 実 現 自 施 設 のみならず 関 連 施 設 へのエネル ギー 供 給 が 可 能 堆 肥 の 非 農 業 利 用 も 考 慮 ( 公 園 などの 公 共 利 用 ) 住 民 への 協 力 徹 底 による 前 処 理 手 間 の 軽 減 副 産 物 の 二 次 利 用 も 含 めた 低 コスト 化 再 生 品 の 需 要 を 考 慮 した 運 転 管 理 地 域 特 性 インプットとアウトプット 対 象 が 比 較 的 近 大 都 市 や 工 業 地 域 での 立 地 隣 に 存 在 ( 需 要 と 供 給 のバランスがとれて いる) 地 域 特 有 の 問 題 対 応 表 3-6 海 外 先 進 事 例 の 技 術 的 社 会 的 調 査 結 果 国 参 考 事 例 成 功 要 因 ドイツ フィンランド スウェーデン オーストリア ユンデ 村 (Bioenergy village) 生 ごみバイオガスプラント 牛 ふんバイオガスプラント ( 資 源 作 物 有 機 廃 棄 物 混 合 ) バイオマスCHPプラント( 地 域 エネ ルギー 供 給 プラント) 牛 ふんバイオガスプラント ( 有 機 廃 棄 物 混 合 ) 木 質 ペレット 工 場 バイオガススタンド 生 ごみバイオガスプラント FIT 制 度 による 全 量 買 取 ( 発 電 量 全 量 ) 生 ごみの 分 別 (Biowasteとして 分 別 ) バイオガスの 非 精 製 利 用 ( 低 コスト)と ガス 管 導 入 の 促 進 (ガス 質 は 日 本 ほど 厳 しくない) 重 油 ボイラからバイオマスボイラへの 転 換 促 進 地 域 熱 供 給 インフラの 存 在 バイオガスの 自 動 車 燃 料 利 用 促 進 下 水 消 化 槽 のバイオガスの 自 動 車 燃 料 の 利 用 促 進 炭 素 税 導 入 によるインセンティブ 自 治 体 からの 民 間 処 理 委 託 FIT 制 度 4. 環 境 政 策 への 貢 献 全 国 ベースで 本 研 究 での 成 果 を 展 開 するにあたり 以 下 の 環 境 政 策 への 貢 献 が 期 待 できる 1) 高 リサイクル 率 高 エネルギー 利 用 効 率 を 実 現 するために 生 ごみを 含 む 可 燃 ごみの 焼 却 処 理 に 代 わる バイオガス 化 +RDF 化 システム によるさらなる 広 域 化 を 推 進 すべきである 本 研 究 で はこのようなシステムがコストを 考 慮 しても 優 位 であることをケーススタディとして 示 した 2) 酪 農 家 のふん 尿 処 理 に 対 する 金 銭 的 負 担 の 限 界 を 考 慮 すると 現 状 の 牛 ふん 尿 の 集 中 型 BG 施 設 の 運 営 は 難 しい よって エネルギー 面 だけではなく 牛 ふん 尿 の 悪 臭 等 の 環 境 面 を 考 慮 した 適 正 処 理 の 側 面 と 良 質 肥 料 の 生 産 の 資 源 の 側 面 の 両 側 面 を 考 慮 した 補 助 制 度 に 転 換 を 図 るべきである また 事 業 性 向 上 のための 有 機 性 廃 棄 物 受 入 を 促 進 するために 産 廃 処 理 業 の 許 可 等 の 規 制 の 緩 和 および 液 肥 の 耕 種 農 家 での 利 用 促 進 策 が 必 要 である 3) 都 市 域 での 民 間 事 業 を 想 定 した 場 合 のバイオガス 化 施 設 の 事 業 成 立 のための 施 設 規 模 決 定 手 法 を 構 築 し そのケーススタディにより 一 定 規 模 の 家 庭 系 生 ごみや 食 品 廃 棄 物 ( 事 業 系 一 廃 )の 受 け 入 れ が 可 能 であれば 十 分 にビジネスとして 成 立 することを 示 した そのためには リサイクル 率 目 標 値 の 引 き 上 げや 義 務 化 が 必 要 であり 結 果 として 都 市 域 での 生 ごみのリサイクル 率 および 食 品 廃 棄 物 の 再 生 利 用 率 の 向 上 に 大 きく 貢 献 する その 際 中 小 規 模 の 飲 食 店 から 排 出 される 堆 肥 や 飼 料 に 向 かない 食 品 廃 棄 物 のリサイクルの 受 け 皿 としてのバイオガス 化 プラント 導 入 促 進 を 図 るべきである また 民 間 による 処 理 事 業 を 推 進 するために 一 般 廃 棄 物 の 民 間 処 理 委 託 の 推 進 が 必 要 である 4) 既 存 インフラとしての 消 化 槽 を 有 効 利 用 することで 地 域 の 生 ごみ 等 の 有 機 性 廃 棄 物 からの 資 源 回 収 が 可 能 であり 地 球 温 暖 化 ガス 発 生 抑 制 や 最 終 処 分 量 削 減 に 貢 献 することを 示 した このような 既 存 消 化 槽 の 余 裕 分 を 生 ごみやし 尿 汚 泥 ( 浄 化 槽 汚 泥 も 含 む)との 混 合 発 酵 のために 有 効 利 用 するこ とを 積 極 的 に 推 進 すべきである 5) 野 焼 き 禁 止 以 降 鋤 込 み 処 理 されていた 稲 わらの 適 正 処 理 と 資 源 化 のために 本 研 究 では 稲 わらペレ 9
ットが 固 形 燃 料 として 製 造 可 能 であり また 木 質 ペレットボイラ 等 で 燃 焼 可 能 であることを 示 した しかし 現 状 では 化 石 燃 料 との 発 熱 量 ベースでの 価 格 差 から 普 及 が 困 難 である 稲 わらペレットの 利 用 拡 大 のために 灯 油 重 油 との 価 格 の 差 額 に 対 して 補 助 ( 熱 版 FIT) 政 策 を 検 討 すべきである 6) 本 研 究 で 行 った 混 合 バイオガス 化 実 験 において 従 来 の COD 等 の 総 合 指 標 よりも 炭 水 化 物 たん ぱく 質 脂 質 の 3 成 分 の 割 合 を 考 慮 することがバイオガス 発 生 予 測 にとっては 重 要 であり 特 に 発 酵 阻 害 等 の 未 然 防 止 のためには 重 要 であることを 示 した そして 異 種 の 食 品 廃 棄 物 の 混 合 発 酵 時 およ び 牛 ふん 尿 と 廃 乳 製 品 との 混 合 発 酵 時 において 発 酵 阻 害 の 生 じる 条 件 を 実 験 的 に 明 らかにした これ らの 知 見 は これまで 国 内 で 例 の 無 かった 混 合 発 酵 を 行 う 際 の 一 つの 指 針 となり 得 るものである 7) バイオマス 利 活 用 に 伴 う 生 態 系 サービス( 生 態 系 から 人 間 が 得 ている 恵 みの 総 称 )を 評 価 する 枠 組 みを 新 たに 提 案 し ケーススタディにより 生 態 系 サービスを 考 慮 したバイオマス 事 業 のあり 方 につい て 提 案 した すなわち 循 環 型 社 会 低 炭 素 社 会 自 然 共 生 社 会 の 3 つの 社 会 を 統 合 する 評 価 モデ ルのプロトタイプを 提 案 した 8) バイオマス 利 用 に 関 する 土 地 利 用 や 関 連 情 報 を 対 象 とした GIS を 利 用 した 可 視 化 システムの 構 築 土 地 利 用 環 境 情 報 の 解 析 により 特 に 森 林 保 全 の 観 点 から 木 質 バイオマスの 積 極 的 利 活 用 を 考 え ていく 必 要 があることを 示 した すなわち バイオマスと 土 地 利 用 という 観 点 から GIS データべー スを 整 備 していく 必 要 がある 9) バイオエネルギー 利 用 も 含 めた 再 生 可 能 エネルギー 利 用 について 強 制 力 を 持 った 目 標 値 を 設 定 す べきであり また 国 と 各 地 域 は その 目 標 値 を 達 成 するために 詳 細 な 実 施 計 画 を 策 定 し 連 携 し て 施 策 を 実 施 できる 仕 組 みを 検 討 すべきである 5. 研 究 成 果 の 実 現 可 能 性 生 ごみや 食 品 廃 棄 物 の 利 活 用 のためには 従 来 の 慣 習 的 な 収 集 運 搬 処 理 処 分 方 法 に 大 きな 変 更 が 伴 うため 自 治 体 をはじめ 関 連 業 者 住 民 のコンセンサスが 必 要 である よって そのような 大 きな 変 更 には 国 などからの 強 制 力 をもった 制 度 転 換 ( 例 えば 生 ごみ 分 別 義 務 化 など)も 必 要 である 韓 国 や 台 湾 では 生 ごみ 分 別 の 義 務 化 など 強 制 力 をもった 資 源 化 政 策 を 進 めており 国 内 においてもその ような 強 制 力 をもった 制 度 が 地 域 循 環 圏 構 築 のドライビングフォースとなり 得 る 6. 結 論 本 研 究 では バイオマス 利 活 用 を 基 軸 とした 以 下 の 5 つの 地 域 循 環 圏 の 具 体 的 実 施 モデルを 北 海 道 の 地 域 特 性 とバイオマスの 種 類 に 応 じたシステム 解 析 により 提 案 し 各 モデルの 事 業 成 立 ための 共 通 条 件 および 課 題 を 明 らかにした 1 広 域 的 ごみ 処 理 におけるバイオガス 化 システム(BGS)による 地 域 循 環 圏 モデル 2 家 畜 ふん 尿 を 中 心 とした 混 合 BGS による 地 域 循 環 圏 モデル 3 工 業 団 地 とエネルギー 連 携 した 混 合 BGS による 地 域 循 環 圏 モデル 4 下 水 処 理 施 設 と 連 携 した 混 合 BGS による 地 域 循 環 圏 モデル 5 未 利 用 バイオマスである 稲 わらペレットの 利 活 用 による 地 域 循 環 圏 モデル そして 明 確 化 された 共 通 条 件 や 課 題 および 海 外 の 先 進 事 例 を 踏 まえて これら 地 域 循 環 圏 実 施 モ デルを 全 国 ベースでの 普 及 方 策 を 提 示 した これらより 本 研 究 が 提 示 する 5 つのバイオマス 利 活 用 を 基 軸 とする 地 域 循 環 圏 モデルは 実 行 可 能 であり 日 本 が 目 指 す 3 つの 社 会 の 統 合 による 持 続 可 能 な 社 会 形 成 に 大 きく 貢 献 しうることを 示 した 10
Ⅰ 部 序 論 1. 研 究 目 的 ほとんど 実 施 事 例 がない 地 域 循 環 圏 のモデルを バイオマスの 利 活 用 を 基 軸 として 道 内 の 地 域 特 性 とバ イオマスの 種 類 に 応 じてモデル 解 析 することにより 全 国 ベースで 普 及 するための 方 策 を 検 討 する 1) 北 海 道 における 地 域 循 環 圏 の 5 つのモデル{1) 広 域 的 ごみ 処 理 における 混 合 バイオガス 化 システム (BGS) 2) 家 畜 ふん 尿 を 中 心 とした 混 合 BGS 3) 工 業 団 地 とエネルギー 連 携 した 混 合 BGS 4) 下 水 処 理 施 設 と 連 携 した 混 合 BGS 5) 未 利 用 廃 棄 物 の 利 活 用 システム}を 受 入 れバイオマスの 質 と 量 供 給 先 の 需 要 変 換 装 置 ( 施 設 ) 事 業 主 体 地 域 特 性 の 各 要 因 について 技 術 的 社 会 的 側 面 から 統 合 的 に 検 討 し 事 業 採 算 性 と 技 術 環 境 社 会 の 総 合 的 観 点 から 各 モデルが 成 立 するための 共 通 条 件 や 課 題 を 抽 出 する 2) 上 記 モデル 解 析 から 得 られた 共 通 条 件 や 課 題 の 検 討 を 踏 まえて 全 国 ベースでの 地 域 循 環 圏 モデルの 普 及 方 策 を 検 討 する 図 1-1 本 研 究 の 全 体 構 成 表 1-1 研 究 計 画 と 役 割 分 担 分 類 想 定 地 域 担 当 項 目 22 年 度 23 年 度 24 年 度 1) 広 域 的 ごみ 処 理 における 混 合 バイオガス 化 システム 稚 内 礼 文 利 尻 中 北 空 知 北 大 離 島 における 生 ごみ( 家 庭 系 事 業 系 )の 発 生 形 態 と 排 出 者 1)-1 の 意 向 調 査 1)-2 生 ごみ 海 上 輸 送 システムの 構 築 1)-3 生 ごみ 以 外 の 一 般 廃 棄 物 のリサイクルシステムの 検 討 1)-4 事 業 採 算 性 と 技 術 環 境 社 会 の 総 合 評 価 1. 2)-1 混 合 対 象 物 の 発 生 特 性 および 排 出 者 意 向 調 査 北 海 道 に 2) 家 畜 ふん 尿 を 中 心 とした 混 合 バイオス 化 システム 鹿 追 別 海 北 大 道 中 央 農 試 2)-2 混 合 発 酵 特 性 と 発 生 バイオガス 量 の 評 価 2)-3 農 村 地 域 におけるバイオガス 直 接 利 用 システムの 検 討 2)-4 発 酵 残 渣 の 液 肥 堆 肥 特 性 の 評 価 お け 2)-5 事 業 採 算 性 と 技 術 環 境 社 会 の 総 合 評 価 る 3)-1 バイオガス 化 可 能 バイオマスの 発 生 形 態 と 排 出 者 意 向 調 査 地 域 循 環 圏 3) 工 業 団 地 とエネルギー 連 携 した 混 合 バイオガス 化 システム 石 狩 湾 新 港 北 大 道 工 試 3)-2 混 合 発 酵 特 性 と 発 生 バイオガス 量 の 評 価 3)-3 バイオガス 精 製 条 件 の 検 討 の パ 3)-4 発 酵 残 渣 のリサイクルの 検 討 ター 3)-5 事 業 採 算 性 と 技 術 環 境 社 会 の 総 合 評 価 ン 4)-1 バイオガス 化 可 能 バイオマスの 発 生 形 態 と 排 出 者 意 向 調 査 化 と シ ス テ ム 4) 下 水 処 理 施 設 と 連 携 した 混 合 バイオガス 化 システム 北 広 島 北 大 道 工 試 4)-2 混 合 発 酵 特 性 と 発 生 バイオガス 量 の 評 価 4)-3 発 酵 残 渣 の 汚 泥 処 理 特 性 の 評 価 4)-4 発 酵 残 渣 のリサイクル( 堆 肥 固 形 燃 料 )の 検 討 4)-5 事 業 採 算 性 と 技 術 環 境 社 会 の 総 合 評 価 解 析 5)-1 稲 わら 木 材 チップの 収 集 保 管 システムの 構 築 5) 未 利 用 廃 棄 物 ( 木 質 系 農 業 残 渣 水 産 系 )の 利 活 用 システム 南 幌 道 央 地 域 北 大 早 大 道 工 試 5)-2 ペレット 燃 料 特 性 と 燃 焼 条 件 の 把 握 5)-3 ペレット 燃 焼 灰 のリサイクルの 検 討 道 環 セ 5)-4 事 業 採 算 性 と 技 術 環 境 社 会 の 総 合 評 価 5)-5 水 産 廃 棄 物 の 高 付 加 価 値 産 物 への 変 換 技 術 の 開 発 - 2. 全 国 ベースでの 地 域 循 環 圏 の 普 及 方 策 の 検 討 北 大 電 通 大 北 海 学 園 大 パシコン 北 海 道 の 地 域 循 環 圏 のモデル 解 析 に 基 づいた 全 国 ベースで 2-1 のモデル 化 のための 条 件 設 定 と 課 題 の 検 討 2-2 全 国 ベースでの 地 域 循 環 圏 モデルのパターン 化 2-3 地 域 に 適 合 した 地 域 循 環 圏 モデルの 普 及 方 策 の 検 討 11
Ⅱ 部 北 海 道 における 地 域 循 環 圏 のシステム 解 析 1. 広 域 的 ごみ 処 理 における 混 合 バイオガス 化 システム - 宗 谷 地 域 におけるバイオガス 化 とごみ 燃 料 化 による 地 域 循 環 圏 シナリオのシステム 解 析 - 主 任 研 究 者 北 海 道 大 学 大 学 院 工 学 研 究 院 教 授 古 市 徹 分 担 研 究 者 准 教 授 石 井 一 英 ( 財 ) 日 本 産 業 廃 棄 物 処 理 振 興 センター 部 長 代 理 谷 川 昇 1.1 研 究 背 景 と 目 的 本 研 究 で 対 象 とする 宗 谷 地 域 では 稚 内 市 西 天 北 南 宗 谷 利 尻 礼 文 の 5 つの 自 治 体 がそれぞれ 一 般 廃 棄 物 の 管 理 を 行 ってきた 特 に 離 島 である 利 尻 と 礼 文 では 観 光 客 によるごみ 発 生 量 が 多 い 上 焼 却 炉 の 老 朽 化 に 伴 い 新 たな 廃 棄 物 管 理 システムへの 転 換 が 求 め られている 一 方 他 の 稚 内 西 天 北 南 宗 谷 の 3 地 域 では 既 にバイオガス 化 により 生 ごみ 資 源 化 に 取 り 組 んでいるが 各 地 域 で 問 題 を 抱 えている 焼 却 炉 を 持 たない 稚 内 市 と 西 天 北 では 紙 プラスチック( 以 下 プラ) 布 木 を 含 むごみを 一 般 ごみとして 直 接 埋 立 を 行 っており 最 終 処 分 量 削 減 を 今 後 推 進 して 行 かなく てはならない また 稚 内 市 で 稼 働 中 のバイオガス 化 施 設 は 人 口 減 に 伴 う 廃 棄 物 量 の 減 少 により 処 理 容 量 に 余 裕 が 生 じるようになり バイオガス 発 生 量 の 観 点 から 他 の 地 域 の 生 ごみ 等 の 受 入 も 検 討 する 必 要 が ある また 南 宗 谷 では 可 燃 ごみの 焼 却 を 行 っており 最 終 処 分 量 も 削 減 されてきているが 今 後 の 焼 却 炉 の 更 新 といった 問 題 を 抱 えている そこで 本 研 究 では 宗 谷 地 域 を 対 象 に 離 島 の 生 ごみをフェリー 輸 送 しバイオガス 化 し そして 宗 谷 地 域 全 体 の 可 燃 ごみ 中 の 資 源 物 である 紙 プラ 布 木 を 燃 料 ごみとしてごみ 燃 料 (RDF) 化 する この 両 方 の 循 環 を 考 慮 した 地 域 循 環 圏 を 構 築 し コスト リサイクル 率 最 終 処 分 量 の 評 価 軸 で 解 析 することによ って 宗 谷 地 域 における 実 行 可 能 な 具 体 的 地 域 循 環 圏 を 提 示 する 1.2 バイオガス 化 とごみ 燃 料 化 による 地 域 循 環 圏 シナリオの 構 築 図 Ⅱ1.2-1 に 示 すように 生 ごみと 燃 料 ごみ( 紙 プラ 布 表 Ⅱ1.2-1 RDF 施 設 に 関 するシナリオ 木 )の 両 方 の 廃 棄 物 に 着 目 しシナリオを 構 築 する 生 ごみにつ いては 利 尻 礼 文 以 外 の 地 域 では 既 にバイオガス 化 により 資 源 化 が 実 施 されているので 利 尻 礼 文 の 生 ごみをフェリー 輸 送 にて 稚 内 市 のバイオガス 化 施 設 の 余 裕 容 量 分 で 資 源 化 を 行 う 一 方 燃 料 ごみについては 直 接 埋 め 立 てしている 稚 内 と 西 天 北 焼 却 している 利 尻 礼 文 南 宗 谷 の 全 ての 地 域 の 燃 料 ごみを RDF 化 するシナリオを 構 築 した また RDF 化 施 設 に 関 しては RDF 施 設 数 と 設 置 場 所 およ び 製 造 された RDF の 利 用 先 について 表 Ⅱ1.2-1 に 示 す 4 通 りのシナリオの 試 算 を 行 った 1.3 地 域 循 環 圏 シナリオのシステム 解 析 と 提 案 1.3.1 地 域 循 環 圏 シナリオの 評 価 軸 シナリオ 解 析 の 評 価 軸 としては,コストの 他, 循 環 型 社 会 形 成 に 関 わる 指 標 であるリサイクル 率 と 最 終 処 分 量 も 含 めた 計 3 つの 評 価 軸 で 解 析 を 行 うこととする. 1.3.2 コスト リサイクル 率 最 終 処 分 量 の 計 算 方 法 表 Ⅱ1.2-2 と 表 Ⅱ1.2-3 に 計 算 項 目 を 整 理 した( 表 -8 と 表 -9).さらに 維 持 管 理 費 用 の 項 目 を 収 集 運 搬 費 用,とそれ 以 外 の 維 持 管 理 費 用 に 分 類 し, 最 終 的 に 収 集 運 搬 費 用, 施 設 設 備 整 備 費 用, 維 持 管 理 費 用, 収 入 の 4 分 類 とした.それから 表 Ⅱ1.2-4 と 表 Ⅱ1.2-5 に 示 す 計 算 式 に 基 づ きコスト 計 算 した リサイクル 率 は 再 生 利 12 離 島 の 生 ごみ のみ 未 リサイクル 焼 却 利 尻 礼 文 焼 却 西 天 北 現 状 埋 立 稚 内 バイオガス 化 埋 立 バイオガス 化 紙 プラ 布 木 は 焼 却 or 埋 立 のため リサイクル 未 実 施 バイオガス 化 焼 却 宗 谷 地 域 南 宗 谷 離 島 の 生 ごみの バイオガ ス 化 燃 料 ごみ ( 紙 プラ 布 木 )の RDF 化 生 ごみと 燃 料 ごみの 地 域 循 環 圏 シナリオ フェリー 輸 送 フェリー 輸 送 バイオガス 化 RDF 化 バイオガス 化 コンテナ 輸 送 図 Ⅱ1.2-1 地 域 循 環 圏 シナリオの 構 築 表 Ⅱ1.2-2 地 域 循 環 圏 シナリオ 費 用 項 目 インプット リサイクル 施 設 アウトプット 初 期 費 用 車 両 購 入 費 RDF 製 造 施 設 建 設 費 積 み 替 え 施 設 建 設 費 収 集 費 RDF 輸 送 費 RDF 燃 焼 維 持 管 理 費 維 持 管 理 費 用 運 搬 費 フェリー 費 RDF 製 造 維 持 管 理 費 埋 立 施 設 維 持 管 理 費 バイオガス 化 処 理 費 収 入 RDF 売 却 益 3つの 生 ごみ の 地 域 循 環 圏 を 形 成 バイオガス 化 1つの 燃 料 ごみの 地 域 循 環 圏 を 形 成 表 Ⅱ1.2-3 現 状 シナリオ 費 用 項 目 インプット 中 間 処 理 施 設 アウトプット 初 期 費 用 焼 却 施 設 建 設 費 埋 立 施 設 建 設 費 維 持 管 理 費 用 収 集 費 焼 却 施 設 維 持 管 理 費 埋 立 施 設 維 持 管 理 費 収 入
用 量 を 一 般 廃 棄 物 排 出 量 で 除 した 値 で, 表 Ⅱ1.2-5 の 式 21 により 求 めた. 最 終 処 分 量 は 稚 内 市 と 西 天 北 につい ては 現 状 の 最 終 処 分 量 から 燃 料 ごみ 分 を 差 し 引 いた 値 利 尻 礼 文 南 宗 谷 について は 可 燃 ごみから 燃 料 ごみを 差 し 引 いた 量 が 新 たに 埋 立 式 No. 式 1 式 2 式 3 式 4 式 5 式 6 表 Ⅱ1.2-5 費 用 等 の 算 出 式 1) 表 Ⅱ1.2-4 運 搬 費 用 算 出 式 1) 計 算 式 人 件 費 ( 円 ) = 運 転 人 員 数 ( 人 ) 一 人 当 たり 人 件 費 ( 円 / 人 ) 運 搬 車 台 数 ( 台 ) = 運 搬 回 数 ( 回 / 年 ) 1 台 の 年 間 運 搬 可 能 回 数 ( 回 / 台 年 ) 運 搬 回 数 (1/ 年 ) = ( 月 間 変 動 を 考 慮 した 年 間 排 出 量 (t/ 年 ) 運 搬 物 のかさ 密 度 (t/m 3 ) ) ( 車 両 内 の 圧 縮 率 (-) 荷 箱 容 積 (m 3 ) ) 燃 料 費 ( 円 ) = 燃 料 単 価 ( 円 /L) 運 搬 車 の 燃 料 消 費 量 (L/km) 年 間 走 行 距 離 (km/ 年 ) 年 間 走 行 距 離 (km/ 年 ) = 2 処 理 施 設 までの 距 離 (km) 運 搬 回 数 ( 回 / 年 ) フェリー 代 ( 円 ) = フェリー 運 搬 の 回 数 ( 回 / 年 ) 1 往 復 のフェリー 代 ( 円 年 ) 式 No. 式 7 式 8 式 9 式 10 式 11 式 12 式 13 式 14 式 15 式 16 式 17 式 18 式 19 式 20 式 21 計 算 式 収 集 費 ( 円 ) = 現 在 の 収 集 費 ( 円 ) ( シナリオの 収 集 回 数 ( 回 / 年 ) 現 在 の 収 集 回 数 ( 回 / 年 ) ) 車 両 購 入 費 ( 円 ) = 車 両 価 格 ( 円 ) 購 入 台 数 (-) 耐 用 年 数 ( 年 ) 使 用 年 数 ( 年 ) 建 設 費 ( 円 ) = 基 準 建 設 費 ( 円 ) ( 施 設 規 模 (t/ 日 ) 基 準 施 設 規 模 (t/ 日 ) ) ^ 0.7 耐 用 年 数 ( 年 ) 使 用 年 数 ( 年 ) 建 設 費 ( 円 ) = { 1 + 設 備 形 式 の 付 加 係 数 (-) + ( 1 + ガス 処 理 形 式 の 付 加 係 数 (-) ) ( 湿 りガス 発 生 量 (m 3 N/kg) 基 準 湿 りガス 発 生 量 (m 3 N/kg-ごみ) ) 建 設 費 中 のガス 設 備 率 (-) } 基 準 建 設 費 ( 円 ) ( 施 設 規 模 (t/ 日 ) 基 準 施 設 規 模 (t/ 日 ) ) ^ 0.7 耐 用 年 数 ( 年 ) 使 用 年 数 ( 年 ) 建 設 費 ( 円 ) = 現 在 の 施 設 の 単 位 容 量 当 たり 建 設 費 ( 円 /m3) シナリオの 埋 立 量 (m3) 維 持 管 理 費 ( 円 ) = 人 件 費 ( 円 ) + 電 力 費 ( 円 ) + 燃 料 費 ( 円 ) + 薬 品 費 ( 円 ) + 整 備 補 修 費 ( 円 ) 人 件 費 ( 円 ) = 一 人 当 たり 人 件 費 ( 円 / 人 ) ( 基 準 人 員 ( 人 ) + 施 設 規 模 当 たり 追 加 人 員 ( 人 /(t/ 日 )) 施 設 規 模 (t/ 日 ) ) 電 力 費 ( 円 ) = 電 力 単 価 ( 円 /kwh) RDF 成 形 量 当 たり 電 気 消 費 量 (kwh/t) RDF 製 造 量 (t) 燃 料 費 ( 円 ) = 燃 料 単 価 ( 円 /L) [ { 0.33 ( 1 - ごみ 含 水 率 (-) ) + ごみ 含 水 率 (-) } ( 100-20 ) 選 別 後 ごみ 量 (t) + 539 { 選 別 後 のごみ 量 (t) ( ごみ 含 水 率 (-) - RDFの 含 水 率 (-) ) ( 1 - RDFの 含 水 率 (-) ) } ] 乾 燥 効 率 (-) 燃 料 エネルギー 消 費 (Mcal/L) 薬 品 費 ( 円 ) = 消 石 灰 単 価 ( 円 /t) 消 石 灰 添 加 率 (-) RDF 製 造 量 (t) 整 備 補 修 費 ( 円 ) = 建 設 費 に 対 する 整 備 補 修 費 の 割 合 (-) 建 設 費 ( 円 ) 電 力 費 ( 円 ) = 電 力 単 価 ( 円 /kwh) 処 理 量 当 たり 電 力 使 用 量 (kwh/t) ごみ 排 出 量 (t) 薬 品 費 ( 円 ) = 苛 性 ソーダ 単 価 ( 円 /t) 処 理 量 当 たり 苛 性 ソーダ 使 用 量 (t/t- 原 料 ) ごみ 排 出 量 (t) + 塩 化 鉄 単 価 ( 円 /t) 処 理 量 当 たり 塩 化 鉄 使 用 量 (t/t- 原 料 ) ごみ 排 出 量 (t) RDF 単 価 ( 円 /t) = -RDF 低 位 発 熱 量 (Mcal/t) 単 位 熱 量 あたり 重 油 価 格 ( 千 円 /Mcal) リサイクル 率 (%) = 現 在 のリサイクル 率 (%) + ( RDF 製 造 量 (t) + 液 肥 製 造 量 (t) ) ( 現 在 の 一 廃 排 出 量 (t) シナリオの 人 口 ( 人 ) 現 在 の 人 口 ( 人 ) ) 100 されると 考 え 最 終 処 分 量 を 算 出 し 現 状 シナリオと 比 較 した 場 合 の 最 終 処 分 量 の 削 減 率 で 評 価 することとし た.つまり, 利 尻 礼 文 島 と 南 宗 谷 地 域 の 不 燃 物 埋 立 量 については,シナリオ 間 で 差 が 無 いので 考 慮 してい ない( 全 廃 棄 物 を 対 象 とした 最 終 処 分 量 の 削 減 率 とは 異 なる). 1.3.3 解 析 結 果 と 考 察 図 Ⅱ1.3-1 に 示 すように 生 ごみのバイオガス 化 と 燃 料 ごみ( 紙 プラ 布 木 )の RDF 化 による 地 域 循 環 圏 シナリオにおける 宗 谷 地 域 全 体 の 年 間 平 均 費 用 は 稚 内 市 に RDF 化 施 設 を 1 つ 建 設 した 場 合 (1 施 設 )の 方 が 稚 内 市 および 利 尻 島 礼 文 島 にそれぞれ 1 つずつ 建 設 (3 施 設 )するよりも フェリー 輸 送 による 運 搬 費 を 考 慮 しても 低 くなり かつ 現 状 よりもコストが 削 減 することを 示 した また 図 には 示 していないが 発 酵 汚 泥 の 堆 肥 化 と RDF 化 によりリサイクル 率 は 現 状 の 29.6%から 50.6%に 最 終 処 分 量 は 現 状 と 比 べて 83.3% 削 減 す ることを 示 した 金 額 ( 百 万 円 / 年 ) 支 出 収 入 1.4 結 論 これまで 具 体 的 検 討 がされてこなかった 地 域 循 環 圏 について 北 海 道 宗 谷 地 域 の 生 ごみと 燃 料 ごみの 複 数 の 資 源 に 着 眼 し 各 資 源 の 物 質 特 性 と 地 域 特 性 に 基 づいた 経 済 的 に 実 現 可 能 な かつリサイクル 率 と 最 終 処 分 場 量 を 大 幅 に 改 善 する 地 域 循 環 圏 モデルを 提 示 することができた 参 考 文 献 1) 松 藤 敏 彦 : 都 市 ごみ 処 理 システムの 分 析 計 画 評 価 マテリアルフロー LCA 評 価 プログラム, 技 報 堂 出 版,2005. 900 800 700 600 500 400 300 200 100 0 100 RDF 売 却 益 維 持 管 理 費 用 施 設 整 備 費 用 運 搬 費 用 収 集 費 用 1 施 設 : 稚 内 市 にRDF 化 施 設 建 設 3 施 設 : 稚 内 市 利 尻 島 礼 文 島 にそれぞれRDF 化 施 設 建 設 旭 川 :RDFを 旭 川 市 内 既 存 製 紙 工 場 で 利 用 稚 内 :RDFを 稚 内 市 新 規 熱 利 用 施 設 で 利 用 図 Ⅱ1.3-1 宗 谷 地 域 全 体 での 年 間 費 用 の 比 較 13
2. 家 畜 ふん 尿 を 中 心 とした 混 合 バイオガス 化 システム 2.1 バイオガスプラントへの 有 機 物 性 廃 棄 物 の 安 定 的 投 入 に 向 けた 条 件 の 解 明 分 担 研 究 者 地 方 独 立 行 政 法 人 北 海 道 立 総 合 研 究 機 構 農 業 研 究 本 部 中 央 農 業 試 験 場 主 査 日 向 貴 久 2.1.1 研 究 背 景 と 目 的 農 業 系 バイオガスプラント( 以 下 バイオガスプラント)の 内 有 機 性 廃 棄 物 ( 地 域 の 食 品 加 工 場 や 一 次 産 業 から 排 出 される 廃 棄 物 等 )と 家 畜 ふん 尿 を 混 合 処 理 することが 可 能 な 大 型 バイオガスプラントを 有 する 町 村 を 対 象 に 発 酵 原 料 としての 性 状 等 を 調 査 し バイオガス 生 成 量 増 加 程 度 を 予 測 し プラントの 安 定 的 な 利 用 のための 条 件 を 提 示 する さらに 副 資 材 である 有 機 性 廃 棄 物 の 収 集 システム 構 築 にあたり ステーク ホルダーとなる 排 出 者 プラント 運 営 者 の 位 置 付 け 排 出 者 の 意 向 および 相 互 関 係 を 整 理 解 析 し 受 け 入 れ における 条 件 を 明 らかにする その 上 で プラントによる 有 機 性 廃 棄 物 の 有 効 活 用 による CO2 削 減 効 果 を 明 らかにする 2.1.2 研 究 方 法 (1) 調 査 対 象 のバイオガスプラントの 運 営 体 制 概 要 と 現 状 処 理 の 実 態 有 機 性 廃 棄 物 の 種 類 投 入 状 況 (2) 各 副 資 材 の 投 入 がバイオガス 発 生 量 に 与 える 影 響 対 象 :A 町 共 同 利 用 型 バイオガスプラント( 成 牛 換 算 処 理 頭 数 1,000 頭 ) 方 法 : 以 下 の 2 点 を 検 討 した 1)バイオガスプラントに 搬 入 される 資 材 の 種 類 と 年 間 変 動 月 間 変 動 の 把 握 2006~2009 年 度 の4 年 間 にプラントへ 搬 入 された 乳 牛 ふん 尿 (スラリー 藁 混 合 ふん 尿 )および 副 資 材 の 量 をプラント 搬 入 日 報 より 収 集 し 年 間 変 動 月 間 変 動 を 見 ることで 安 定 性 を 検 証 した 2)プラントでの 副 資 材 投 入 量 とガス 発 生 量 との 関 係 把 握 同 プラントへの 日 別 副 資 材 別 投 入 量 とバイオガス 発 生 量 データから ガス 発 生 量 の 重 回 帰 分 析 を 行 ない 副 資 材 投 入 の 投 入 安 定 性 や 投 入 の 特 徴 がバイオガス 発 生 に 与 える 影 響 を 検 証 した (3) 有 機 性 廃 棄 物 排 出 者 における 処 理 方 法 選 択 要 因 対 象 : 有 機 性 廃 棄 物 排 出 者 のうち 排 出 規 模 の 大 きい 乳 業 メーカー2 社 受 入 側 であるプラント 運 営 者 方 法 : 排 出 側 には AHP によって 処 理 方 法 選 択 要 因 を 定 量 化 する 受 入 側 には 排 出 側 の 処 理 方 法 の 選 択 要 因 を 予 想 してもらい 同 様 に 定 量 化 する 評 価 基 準 -4 属 性 ( 処 理 費 用 委 託 処 理 量 の 柔 軟 性 環 境 負 荷 取 扱 廃 棄 物 ) 代 替 案 -2 案 ( 産 業 廃 棄 物 処 理 場 への 処 理 委 託 BGP への 処 理 委 託 ) (4)バイオガスプラントによる 副 資 材 受 け 入 れに 係 る SWOT 分 析 対 象 :プラントを 所 有 する A 町 担 当 者 およびプラント 職 員 方 法 : 廃 棄 物 処 理 として 副 資 材 を 受 け 入 れることに 対 する プラントが 持 つ 強 み(Strength) 弱 み (Weakness) プラスに 働 く 外 部 環 境 ( 機 会 Opportunity) マイナスに 働 く 外 部 環 境 ( 脅 威 Threat) について 調 査 対 象 の 両 者 より 聞 き 取 り 項 目 を 発 話 にて 聴 取 し 共 通 する 項 目 を SWOT 図 にて 整 理 した (5)バイオガスプラントへの 副 資 材 投 入 による 環 境 負 荷 削 減 効 果 対 象 :A 町 共 同 利 用 型 バイオガスプラントおよび 排 出 者 である 乳 業 メーカー 方 法 :LCA によって 既 存 のふん 尿 処 理 バイオガスプラントによる 処 理 普 及 のための 更 なる 手 段 として 余 剰 バイオガスを 利 用 した 際 の 温 室 効 果 ガス 排 出 量 を 定 量 化 する 2.1.3 結 果 と 考 察 (1) 調 査 対 象 のバイオガスプラントの 運 営 体 制 A 町 を 対 象 に 排 出 者 および 消 化 液 利 用 者 の 意 向 および 発 酵 原 料 としての 性 状 調 査 有 機 性 廃 棄 物 の 収 集 システムに 係 る 調 査 の 結 果 以 下 の 点 が 明 らかとなった 1 有 機 性 廃 棄 物 を 副 資 材 とした 農 業 系 バイオガスプラントに 係 わるプレーヤーの 内 核 となるステークホ ルダーは 廃 棄 物 処 理 業 者 であった 2 恒 常 的 に 搬 入 され さらに 高 カロリー すなわち メタン 菌 の 基 質 となる 有 機 酸 を 多 く 含 有 する 副 資 材 は 残 飯 類 シロップであった 3 調 査 対 象 のプラントへの 副 資 材 の 投 入 量 は 投 入 原 料 量 の 10%であった しかし 副 資 材 投 入 時 における 投 入 量 や 資 材 選 択 のガイドラインの 再 構 築 と 精 査 が 必 要 である 14
(2) 各 副 資 材 の 投 入 がバイオガス 発 生 量 に 与 える 影 響 発 酵 槽 への 各 投 入 資 材 の1 回 あたり 最 大 搬 入 量 と 年 間 総 投 入 量 に 占 める 割 合 より 廃 チーズホエイのよ うに 水 分 率 の 高 い 資 材 や 合 併 洗 浄 化 漕 汚 泥 廃 チーズ し 尿 処 理 汚 泥 で1 回 の 搬 入 量 が 年 間 の 50%を 超 え ていた このことより 副 資 材 の 搬 入 は 廃 棄 物 処 理 としての 性 格 上 搬 入 の 計 画 が 立 てづらいと 考 えられる ( 表 Ⅱ2.1-1) また 副 資 材 の 搬 入 から 発 酵 槽 投 入 までの 平 均 貯 蔵 日 数 では 液 状 資 材 は 搬 入 から 発 酵 槽 への 投 入 が 即 座 に 行 われていた( 表 Ⅱ2.1-2) プラントでは 副 資 材 の 投 入 に 際 して 全 投 入 量 の 10% 以 下 にすることが 指 示 される 一 方 実 際 の 投 入 量 や 副 資 材 の 選 択 についてはスタッフに 任 されている これにより 発 酵 槽 内 の 成 分 組 成 が 日 によって 大 きく 異 なっている 可 能 性 があり 良 好 な 発 酵 条 件 を 維 持 していく 上 でネックとなっていると 考 えられる また 液 状 物 や 半 固 形 物 の 発 酵 槽 内 への 投 入 によるガス 発 生 量 の 増 加 割 合 を 見 ると 廃 用 牛 乳 や 廃 シロップ バター ミルクでは 廃 バター 廃 チーズのようにガス 発 生 量 が 増 加 しなかった このことより 高 カロリー 資 材 の 大 量 投 入 による 発 酵 阻 害 が 示 唆 された 即 ち 高 カロリー 資 材 のうち 液 状 物 は 現 状 で 投 入 量 をコントロール できておらず 発 酵 阻 害 の 一 因 となっていると 判 断 される これを 回 避 するためには ストックヤード 等 の 一 時 保 管 施 設 の 設 置 等 による 投 入 量 のコントロールが 必 要 であると 考 えられる 同 時 に 副 資 材 搬 出 業 者 との 連 携 によって プラントへの 搬 入 をできるだけ 分 散 させ るといった 計 画 的 な 搬 入 のための 検 討 が 必 要 であると 考 えられる 表 Ⅱ2.1-1 最 大 日 搬 入 量 と 年 間 総 量 における 集 中 度 表 Ⅱ2.1-2 副 資 材 の 貯 蔵 日 数 とガス 発 生 量 増 加 業 者 農 家 最 大 日 搬 入 量 集 中 度 (t) 廃 用 牛 乳 24.5 12% 廃 チーズホエイ 260.0 89% 廃 シロップ バターミルク 45.2 12% 合 併 洗 浄 化 槽 汚 泥 340.6 77% 形 態 資 材 名 液 状 物 半 固 形 物 廃 生 クリーム 練 乳 48.1 12% 廃 脱 脂 粉 乳 12.4 10% 固 形 物 廃 バター 1.2 11% 廃 チーズ 45.0 50% 水 産 加 工 残 滓 6.7 5% 屎 尿 処 理 汚 泥 5.0 66% 残 飯 類 0.3 4% スラリー 89.4 1% 藁 混 合 ふん 尿 54.0 1% 小 計 143.4 - 資 料 )プラント 日 報 から 作 成 業 者 形 態 資 材 名 平 均 ガス 発 生 量 貯 蔵 日 数 増 加 割 合 (day) (%/t-dm) 廃 用 牛 乳 0.1 7.1 液 状 物 廃 チーズホエイ 0.3 3.1 廃 シロップ バターミルク 0.0 6.8 半 固 形 物 廃 生 クリーム 練 乳 7.3 7.0 廃 脱 脂 粉 乳 35.8 6.3 固 形 物 廃 バター 22.6 10.4 廃 チーズ 15.0 11.3 (3) 有 機 性 廃 棄 物 排 出 者 における 処 理 方 法 選 択 要 因 産 業 廃 棄 物 の 処 理 を 委 託 する 際 に 重 要 視 する 属 性 において AHP を 行 なうと( 表 Ⅱ2.1-3) 排 出 側 の 考 えと 受 入 側 の 想 定 との 間 に 齟 齬 が 生 じていた 排 出 側 は 処 理 が 適 切 に 行 われ 環 境 への 配 慮 がされていることを 重 要 視 していることから 受 入 側 はこれらへの 対 応 をとることで 乳 業 廃 棄 物 の 受 入 可 能 性 が 増 加 すると 判 断 される 表 Ⅱ2.1-3 廃 棄 物 処 理 に 求 める 属 性 の 重 要 度 と 受 入 側 の 想 定 排 出 側 受 入 側 乳 業 メーカー バイオガスプラント 処 理 費 用 0.14 0.63 受 入 量 の 日 間 変 動 への 対 応 0.22 0.20 受 入 可 能 な 廃 棄 物 の 種 類 0.07 0.06 処 理 による 環 境 負 荷 0.56 0.11 註 ) 一 対 比 較 法 による 聞 き 取 り 結 果 を AHP により 重 みづけした 整 合 度 指 数 : 排 出 側 0.11 受 入 側 0.08 (4)バイオガスプラントによる 副 資 材 受 け 入 れに 係 る SWOT 分 析 プラントを 所 有 する A 町 担 当 者 およびプラント 職 員 から 廃 棄 物 処 理 として 副 資 材 を 受 け 入 れることに 対 する プラントの 持 つ 強 み(Strength) 弱 み(Weakness) プラスに 働 く 外 部 環 境 ( 機 会 Opportunity) マイナスに 働 く 外 部 環 境 ( 脅 威 Threat)を 聴 取 し 共 通 する 項 目 を SWOT 図 にて 整 理 した( 図 Ⅱ2.1-1) 図 Ⅱ2.1-1 より 第 1に 他 の 産 廃 業 者 より 処 理 価 格 が 低 廉 であることは プラントが 大 いにアピールすべ 15
き 強 みである 今 後 はこの 強 みを 活 かし 更 に CO2 排 出 に 対 する 国 際 世 論 も 背 景 に GHG など 環 境 に 与 え る 影 響 も 定 量 化 しつつ 顧 客 を 取 り 込 むことが 重 要 である 第 2に 発 酵 槽 への1 日 当 たりの 投 入 量 が 制 限 されることはプラントの 弱 みであるが 本 質 的 には 発 酵 阻 害 よりも 処 理 が 的 確 に 行 われなかった 場 合 に 今 後 の 取 引 を 停 止 されることにある 廃 棄 物 供 給 者 へ 計 画 的 な 搬 入 を 求 めるのと 同 時 に ストックヤード 等 の 一 次 貯 留 施 設 を 構 築 することにより 不 測 の 事 態 の 対 応 を し 廃 棄 物 供 給 者 との 信 頼 関 係 醸 成 に 努 めることが 重 要 である 第 3に 乳 業 メーカーは リスクヘッジの 観 点 から 廃 棄 物 処 理 を1 社 のみに 絞 ることは 避 ける 傾 向 にある 既 存 の 産 廃 業 者 はプラントよりも 搬 入 の 実 績 があり 競 合 する 事 態 は 今 後 も 継 続 する また 現 在 廃 棄 され ている 乳 業 系 廃 棄 物 が 家 畜 飼 料 等 として 再 利 用 されることも 十 分 に 考 えられる これらは プラントへの 搬 入 量 が 減 少 する 脅 威 であるため 関 係 機 関 の 動 向 を 常 に 注 目 することが 重 要 である S 内 的 要 因 図 Ⅱ2.1-1 バイオガスプラント SWOT 分 析 結 果 (5)バイオガスプラントへの 副 資 材 投 入 による 環 境 負 荷 削 減 効 果 バイオガスプラントによるふん 尿 処 理 によって GHG の 発 生 は 従 来 のスラリー 処 理 より 抑 制 される 乳 業 廃 棄 物 処 理 をバイオガスプラントで 行 なうことで 従 来 の 処 理 による GHG 発 生 がなくなることと プラン トでのバイオガスが 増 産 されることにより 温 暖 化 負 荷 はさらに 60t-CO2eq 程 度 抑 制 されると 考 えられた( 表 Ⅱ2.1-4) 表 Ⅱ2.1-4 モデルケースによる GHG 発 生 量 の 変 化 O 外 的 要 因 Strength( 強 み) Opportunity( 機 会 ) 目 標 達 成 廃 棄 物 価 値 の 内 部 化 産 廃 処 理 料 金 の 高 価 格 化 へ 貢 献 低 廉 な 処 理 価 格 長 距 離 輸 送 の 必 要 性 CO2 排 出 に 関 する 国 際 世 論 W Weakness( 弱 み) Threat( 脅 威 ) 目 標 達 成 発 酵 阻 害 による 発 酵 槽 の 停 止 既 存 の 産 廃 業 者 による 処 理 の 実 績 の 障 害 発 酵 槽 への 投 入 量 の 調 整 乳 業 廃 棄 物 の 転 用 廃 棄 物 供 給 者 との 信 頼 関 係 の 未 成 熟 条 件 G H G 排 出 量 ケース1 ケース2 ケース3 バイオガス プラント 設 置 プラントへの 副 資 材 投 入 ふん 尿 処 理 (t-co2eq) 99 18 18 乳 業 廃 棄 物 (t-co2eq) 52 52-10 合 計 (t-co2eq) 151 70 8 T 2.1.4 結 論 プラントで 処 理 できる 産 業 廃 棄 物 のうち 最 大 の 排 出 者 となりうるのは 乳 業 メーカーである プラントで 地 域 の 産 業 廃 棄 物 を 処 理 する 場 合 は 液 状 の 投 入 物 の 発 酵 槽 への 投 入 量 のコントロールが 必 要 となる 廃 棄 物 の 排 出 側 と 受 入 側 では 取 引 の 際 に 重 要 になると 考 える 属 性 の 認 識 に 齟 齬 がある 排 出 側 は 処 理 委 託 した 廃 棄 物 が 適 切 に 処 理 されると 同 時 に 処 理 による 環 境 への 影 響 を 重 要 視 していることから 受 入 側 もそのニ ーズに 応 じることや 環 境 情 報 を 外 部 公 開 する 環 境 会 計 の 実 施 などで 対 外 的 にも 自 らの 技 術 をアピールする ことが 重 要 である 乳 業 廃 棄 物 処 理 をプラントで 行 なうことで 温 暖 化 負 荷 は 60t-CO2eq 程 度 抑 制 される 16
2.2 地 域 特 性 と 事 業 採 算 性 を 考 慮 した 集 中 型 家 畜 ふん 尿 バイオガス 化 施 設 のシステム 化 の 検 討 主 任 研 究 者 北 海 道 大 学 大 学 院 工 学 研 究 院 教 授 古 市 徹 分 担 研 究 者 准 教 授 石 井 一 英 2.2.1 研 究 目 的 現 在 継 続 して 事 業 を 運 営 している 家 畜 糞 尿 バイオガス 化 事 業 者 へのヒアリング 調 査 を 基 に 事 業 採 算 性 に 大 きく 影 響 を 及 ぼす 因 子 について 感 度 解 析 を 行 うことで 地 域 特 性 と 事 業 採 算 性 を 考 慮 したシステム 化 の 考 え 方 を 示 す 2.2.2 事 業 採 算 性 に 及 ぼす 各 システム 要 素 の 感 度 解 析 方 法 図 Ⅱ2.2-1 に 示 すようなシステムを 構 築 し 家 畜 糞 尿 受 入 規 模 および 単 位 面 積 当 たりの 飼 養 頭 数 を 与 条 件 として 与 え,ふん 尿 および 有 機 廃 棄 物 をバイオガス 化 する. 液 肥 は 契 約 酪 農 家 が 有 する 草 地 に 必 要 量 散 布 し, 残 りは 非 契 約 農 家 の 畑 地 草 地 に 散 布 する. 散 布 できなかった 液 肥 は, 水 処 理 設 備 を 設 置 し 処 理 してから 放 流 することにした. 一 方, 図 Ⅱ2.2-2 に 示 すように, 発 生 したバイオガスはコージェネレーションにより 電 気 と 熱 に 変 換 される. 電 気 の 半 分 は 施 設 利 用 し, 残 りの 半 分 を 売 電 す ることにした. 一 方, 熱 については 施 設 利 用 した 残 りは 廃 熱 す ることにした( 今 回 は,コストの 計 算 を 目 的 にしているので, 廃 熱 量 は 計 算 していない).また, 売 電 以 外 のシナリオとして 前 述 したように,バイオメタンにまで 精 製 後,ボンベ 輸 送, 低 圧 容 器 輸 送 により 需 要 施 設 にまで 配 送 するシナリオ,およびプ ロパンガスを 混 入 し,12A 相 当 の 熱 量 まで 調 整 した 後,CNG 車 の 燃 料 とするシナリオも 考 慮 した. 本 研 究 では, 自 治 体 による サポートを 考 慮 した 組 合 運 営 方 式 を 想 定 した. 施 設 のイニシャル コストを 半 額 補 助 となる 国 や 自 治 体 を 含 めた 事 業 主 体 として 固 定 して 考 える. 事 業 の 成 立 条 件 を 事 業 開 始 から 15 年 後 の 初 期 投 資 回 収 率 ( 以 下,B/C とする)として B/C 1 の 時, 事 業 の 成 立 条 件 を 満 たすものと 考 える. 2.2.3 感 度 解 析 に 基 づく 集 中 型 バイオガス 化 システム 構 築 の 考 え 方 システムの 構 築 手 順 は, 事 業 採 算 性 に 対 して 影 響 の 大 きいもの から 考 慮 していく 必 要 がある. 図 Ⅱ2.2-3~ 図 Ⅱ2.2-5 の 結 果 を 踏 まえて,システムを 構 成 する 事 業 採 算 性 に 対 する 影 響 因 子 の 影 響 の 大 きさは 次 のように 分 かった. 1 家 畜 糞 尿 受 入 規 模 (100 頭 から 2000 頭 へ 規 模 拡 大 すること により 1.11 の 改 善 ) 2 液 肥 処 理 の 有 無 (0.91 の 差 ) 3 液 肥 販 売 価 格 ( 窒 素 ベースで 決 定 される 最 大 価 格 での 販 売 によ り 1.11 の 改 善 ) 4 有 機 性 廃 棄 物 受 入 ( 最 大 15%の 受 入 により 1.23 の 改 善 ) 5バイオガス 利 用 方 法 (パイプラインにより 近 隣 移 設 でそのまま バイオガスが 利 用 になった 時 0.48 の 改 善 ) すなわち 今 回 の 感 度 解 析 の 範 囲 内 では,バイオガスの 利 用 法 に ついては, 相 対 的 に 感 度 は 小 さく,システム 構 築 する 際 の 優 先 順 位 は 低 いことが 分 かった. 2.2.4 結 論 事 業 採 算 性 を 考 慮 した 牛 ふん 尿 の 集 中 型 バイオガス 化 システ ムを 構 築 するためには まず 糞 尿 の 受 入 規 模 を 決 定 した 上 で, 液 肥 全 量 散 布 を 検 討 し,その 際 有 料 で 販 売 をすることが 重 要 である. さらに, 液 肥 の 散 布 や 販 売 が 無 理 な 場 合 は 水 処 理 費 用 が 必 要 で あるが その 代 わりに 産 廃 受 入 により, 事 業 採 算 性 を 改 善 できる ことが 明 らかになった すなわち 酪 農 家 の 負 担 のみでは 集 中 型 バイオガス 化 プラントの 運 営 は 困 難 であり 売 エネルギー 収 入 以 外 の 液 肥 販 売 や 産 廃 受 入 による 収 入 が 不 可 欠 であることを 明 らかにした 17 入 力 条 件 家 畜 糞 尿 受 入 規 模 ( 頭 数 ) 有 機 性 廃 棄 物 ふん 尿 バイオガス プラント バイオガス 単 位 草 地 面 積 液 肥 当 たりの 飼 養 頭 数 ( 契 約 酪 農 家 ) ( 非 契 約 農 家 ) 草 地 散 布 畑 地 草 地 散 布 バイオガス 0.00-0.50-1.00-1.50-2.00-2.50-3.00 コージェネレーション 処 理 図 Ⅱ2.2-1 バイオガスシステム 電 気 熱 売 電 施 設 利 用 施 設 利 用 ( 廃 熱 ) ボンベ 輸 送 精 製 バイオメタン 需 要 施 設 熱 量 調 整 低 圧 容 器 輸 送 天 然 ガスステーション 需 要 施 設 CNG 車 利 用 図 Ⅱ2.2-2 バイオガスの 利 用 方 法 -1.09-2.71-1.13-1.69-0.52-1.29-0.22-0.02-1.01-0.93 液 肥 全 量 散 布 液 肥 処 理 有 100 頭 / 年 500 頭 / 年 1000 頭 / 年 1500 年 / 頭 2000 頭 / 年 図 Ⅱ2.2-3 家 畜 糞 尿 受 入 規 模 と 液 肥 処 理 の 有 無 の 感 度 解 析 支 出 収 入 ( 千 円 / 年 ) 図 Ⅱ2.2-4 液 肥 販 売 価 格 と 有 機 性 廃 棄 物 受 入 の 感 度 解 析 80000 60000 40000 20000 0-20000 -40000-60000 -80000-100000 -120000 B/C 8 円 /kwh 20 円 /kwh 45 円 /m3 60 円 /m3 60 円 /m3 70 円 /m3 売 電 ランニングコスト イニシャルコスト 売 ガス -0.52-0.09-0.04-0.63-0.62-0.52 図 Ⅱ2.2-5 バイオガス 利 用 方 法 の 感 度 解 析 それ 以 外 の 収 入 (ふん 尿 受 入 液 肥 販 売 など)
2.3 牛 ふん 尿 バイオガス 化 プラントへの 食 品 廃 棄 物 投 入 による 混 合 発 酵 の 安 定 条 件 の 実 験 的 検 討 主 任 研 究 者 北 海 道 大 学 大 学 院 工 学 研 究 院 教 授 古 市 徹 分 担 研 究 者 准 教 授 石 井 一 英 2.3.1 研 究 背 景 と 目 的 集 中 型 バイオガス 化 の 事 業 採 算 性 向 上 のために 牛 ふん 尿 以 外 の 食 品 廃 棄 物 を 有 料 受 入 し 混 合 発 酵 する 方 策 が 考 えられる しかし 食 品 廃 棄 物 の 過 剰 投 入 により 発 酵 が 阻 害 され メタンガス 回 収 量 の 減 少 更 には 発 酵 停 止 の 危 険 性 がある また 食 品 廃 棄 物 が 投 入 されることで 液 肥 である 消 化 液 中 の 窒 素 量 が 増 加 し 過 剰 な 窒 素 散 布 による 環 境 汚 染 の 可 能 性 が 考 えられる 2.1 節 で 示 したように A 町 プラントでは 不 定 期 に 食 品 廃 棄 物 が 搬 入 され 固 形 物 (バターなど)は 一 時 保 管 して 投 入 量 を 調 節 できるものの 液 状 物 (ホエイなど) は 保 管 タンクがないため 一 度 に 大 量 投 入 している こうした 現 場 での 投 入 条 件 を 踏 まえて 混 合 発 酵 の 安 定 条 件 を 明 らかにする 必 要 がある そこで 本 研 究 では 以 下 3 点 を 明 らかにする 1 一 時 的 に 食 品 廃 棄 物 を 大 量 投 入 した 場 合 の 発 酵 特 性 2 定 常 的 に 食 品 廃 棄 物 を 投 入 した 場 合 の 発 酵 特 性 3 投 入 条 件 の 異 なる 混 合 発 酵 における 消 化 液 中 の 窒 素 量 への 影 響 2.3.2 回 分 実 験 による 発 酵 阻 害 機 構 解 明 (1) 実 験 方 法 と 条 件 表 Ⅱ2.3-1 にホエイの 性 状 を 示 す 種 汚 泥 は 札 幌 近 郊 で 乳 牛 のみ 飼 育 しているごく 一 般 的 な B 牧 場 のバイオ ガスプラントから 採 取 した また ホエイも 一 般 的 な 製 造 工 程 から 排 出 されるものとして B 牧 場 のものを 使 用 した 量 約 200 ml のバイアル 瓶 に 種 汚 泥 100 ml とホ エイ( 種 汚 泥 に 対 して 3,20,40%)を 入 れた 後,ヘッ ドスペースを 窒 素 で 置 換 後, 密 栓 して 37 の 恒 温 槽 で 静 置 した.また, 対 照 区 として 種 汚 泥 のみの 試 料 も 作 成 した.なお, 同 じ 試 料 を 3 つずつ 作 成 した. (2) 実 験 結 果 と 考 察 図 Ⅱ2.3-1 にホエイ 投 入 区 と 対 照 区 のメタンガス 発 生 量 の 経 日 変 化 を 示 す. 表 Ⅱ2.3-2 に 各 条 件 の 実 験 開 始 後 24 日 目 における 汚 泥 中 の ph,vfa(volatile Fatty Acid) 濃 度 およびアンモニア 性 窒 素 濃 度 の 分 析 結 果 を 示 す. 既 存 研 究 1, 2) より,バイオガスプロセスに 発 酵 阻 害 が 発 生 すると,まず 投 入 VS あたりメタンガス 発 生 量 やメ タンガス 濃 度 などの 発 酵 性 能 の 低 下 がみられ, 最 終 的 に は 発 酵 プロセスが 完 全 に 停 止 することもあることが 報 告 されている. 図 Ⅱ2.3-1 よりホエイ 20%は 経 過 日 数 10 表 Ⅱ2.3-1 ホエイの 成 分 TS(%) VS(%) 脂 質 (%) たんぱく 質 (%) 炭 水 化 物 (%) ホエー 7.2 7.0 16.4 11.7 64.4 TS: total solid. VS: volitile solid 図 Ⅱ2.3-1 メタンガス 発 生 量 経 日 変 化 表 Ⅱ2.3-2 汚 泥 の 分 析 結 果 (24 日 目 ) 種 汚 泥 のみ ホエー3% ホエー20% ホエー40% ph 7.7 7.6 7.6 6.6 VFA 濃 度 (mg/l) - 1 1 7540 NH 4 + -N 濃 度 (mg/l) 20 1167 1762 2103 日 までホエイ 3%と 同 程 度 のメタンガス 発 生 量 に 留 まっており,VS あたりのメタンガス 発 生 量 は 低 下 してい ることが 分 かる.さらに,ホエイ 40%は 実 験 開 始 直 後 から 経 過 日 数 20 日 までほぼメタンガスが 発 生 しなか った.その 後, 急 激 にメタンガス 発 生 量 が 向 上 した. 表 Ⅱ2.3-2 より,ホエイ 40%の 場 合, 他 実 験 区 と 比 較 して VFA 濃 度 が 7540mg/L と 高 濃 度 であり( 主 たる VFA はプロピオン 酸, 以 降 同 じ),pH が 6.6 と 低 い 値 であった. 一 般 に,pH6.5 以 下 になるとメタン 発 酵 プロセスにおいて 阻 害 が 著 しく 発 生 すると 言 われている 2).メタンガス 発 生 が 見 られる 直 前 の 24 日 時 点 で ph は 6.6 であったため, 実 験 開 始 後 の 初 期 段 階 では,さ らに ph 低 下 していたものと 考 えられ,メタン 発 酵 が 阻 害 されていたと 推 測 される. 一 方,アンモニア 態 窒 素 濃 度 は 2103mg/L であり, 既 存 研 究 2) で 発 酵 阻 害 が 生 じると 報 告 されている 4500 ~5000mg/L 以 下 で, 問 題 が 生 じる 濃 度 ではないことがわかった.このことから, ホエイ 40% 区 ではホエイが 過 剰 に 投 入 されたために, 酸 発 酵 菌 群 のよる VFA 生 成 量 が, 増 殖 速 度 が 比 較 的 遅 いメタン 生 成 菌 群 の 分 解 能 力 を 超 えて 増 加 したため に,VFA が 蓄 積 し, 結 果 として ph が 低 下 したために 発 酵 阻 害 が 生 じたと 考 え られる. 2.3.3 連 続 実 験 による 安 定 発 行 条 件 の 検 討 (1) 連 続 試 験 装 置 図 Ⅱ2.3-2 に 実 験 装 置 の 概 略 図 を 示 す. 発 酵 槽 は 容 積 10L のガラス 円 筒 製 の 広 口 瓶 を 用 いた. 広 口 瓶 の 上 部 を 塞 ぐゴム 栓 に, 発 酵 原 料 投 入 汚 泥 引 抜 口 とバイ オガス 捕 集 口 を 設 け,プロペラ 式 攪 拌 機 シャフトが 通 る 様 に 加 工 した. 発 酵 槽 内 スラリーはプロペラ 式 攪 拌 機 により, 攪 拌 回 転 数 120 rpm として 連 続 攪 拌 を 行 18 図 Ⅱ2.3-2 メタン 発 酵 連 続 試 験 装 置
なった. 温 度 調 節 器 により 調 節 された 温 水 で 発 酵 液 温 度 を ホエー 50% ホエー 50% ホエー 75% 中 温 発 酵 に 適 した 37 に 保 った. 発 酵 資 材 の 投 入 汚 泥 4 日 目 27 日 目 35 日 目 7 の 引 抜 量 は 200 g/ 日 として,A 町 プラントの 滞 留 時 間 30 対 照 区 メタンガス 9 日 と 同 様 の 条 件 とした. (2) ホエイの 一 時 大 量 投 入 実 験 表 Ⅱ2.3-3 のように 牛 ふん 尿 とバターが 定 常 的 に 投 入 されている 状 態 の 発 酵 槽 に, 一 時 的 にホエイの 割 合 が 高 い 6 5 4 3 8.5 8 7.5 7 対 照 区 ph 条 件 で 発 酵 槽 に 投 入 した 図 Ⅱ2.3-3 に 対 照 区 と run1 のメ 2 6.5 run1 ph タンガス 発 生 量 と ph の 経 日 変 化 を 示 す.ホエイの 大 量 投 1 6 入 により, 一 時 的 にプロピオン 産 の 蓄 積 による ph 低 下 に run1 メタンガス 0 5.5 より 発 酵 阻 害 は 生 じるものの, 阻 害 の 程 度 は 軽 度 になる 0 10 20 30 40 傾 向 にあることが 観 察 された.これは,ホエイ 発 酵 特 性 の 把 握 で 行 った 回 分 実 験 においても,メタン 生 成 細 菌 の 馴 養 により,メタン 発 酵 プロセスの 回 復 が 観 察 されていること 経 過 時 間 (day) 図 Ⅱ2.3-3 メタンガス 発 生 量 と ph の 経 日 変 化 から,ホエイを 大 量 投 入 することで, 一 時 的 にメタン 生 成 細 菌 の 活 動 が 弱 まるものの, 環 境 の 変 化 に 対 応 す るメタン 生 成 細 菌 が 馴 養 され, 阻 害 の 程 度 が 軽 度 になったと 考 えられる. しかし, 実 プラントでは, 極 めて 不 定 期 に,しかも 大 量 のホエイが 受 け 入 れされることから,いつもメタ ン 生 成 菌 の 馴 養 が 期 待 される 訳 ではない.よって,ホエイの 大 量 投 入 はできるだけ 避 ける 方 が 望 ましく, 貯 留 タンクで 一 時 貯 留 し, 定 常 条 件 で 投 入 すべきであることが 示 唆 された. 表 Ⅱ2.3-3 ホエイの 一 時 大 量 投 入 実 験 の 投 入 条 件 対 照 区 run1 混 合 実 験 定 常 投 入 条 件 定 常 投 入 条 件 ホエー50% 投 入 ホエー75% 投 入 牛 ふん 尿 バター 牛 ふん 尿 バター 牛 ふん 尿 バター ホエー 牛 ふん 尿 バター ホエー 質 重 量 混 合 割 合 (%) 98 2 98 2 48 2 50 23 2 75 投 入 VS 負 荷 (gvs/day) 10 3.3 10 3.3 4.9 3.3 7 2.3 3.3 10.5 総 VS 負 荷 (gvs/day) 13.3 13.3 15.2 16.1 表 Ⅱ2.3-4 ホエイの 定 常 投 入 条 件 下 における 安 定 BG 発 生 時 期 の BG 発 生 量 と 汚 泥 分 析 の 結 果 実 験 区 名 対 照 区 run2(ホエー8%) run3(ホエー13%) run4(ホエー18%) 安 定 期 から20 日 間 のメタンガス 合 計 発 生 量 (L) 99 104 107 111 メタンガス ホエーVSあたりメタンガス 発 生 量 (L/gVS) 0.33 0.36 0.39 VFA 濃 度 (mg/l) 2087 2153 2760 3105 NH + 4 -N 濃 度 (mg/l) 2378 3200 3711 4201 汚 泥 ph 7.7 7.8 8 8.2 全 窒 素 (mg/l) 5600 5600 6300 7000 (3) ホエイの 定 常 投 入 実 験 次 に 液 状 物 の 貯 留 タンクが 設 置 されたと 想 定 し,ホエイを 定 常 的 に 発 酵 槽 に 投 入 するホエイ 定 常 投 入 実 験 にて, 発 酵 特 性 を 把 握 する. 表 Ⅱ2.3-4 のように バターが 定 常 的 に 2% 投 入 されたと 想 定 し ホエイの 投 入 量 に 変 化 を 与 えて 実 験 を 行 った メタン 発 酵 が 比 較 的 安 定 している 20 日 目 以 降 を 発 酵 安 定 期 とみなして, 20 日 ~39 日 の 間 の 各 実 験 区 のメタンガス 合 計 発 生 量 と 39 日 目 の VFA 濃 度 と NH4+-N 濃 度,pH,および T-N の 分 析 結 果 を 表 Ⅱ2.3-4 に 示 す.これより 安 定 期 のメタンガス 合 計 発 生 量 が 対 照 区 <run2<run3<run4 であり,ホエイの 投 入 割 合 増 加 に 伴 ってメタンガス 発 生 量 は 増 加 する 傾 向 が 分 かった.ホエイは 11%のたん ぱく 質 を 含 むため,ホエイの 投 入 割 合 増 加 に 伴 い,NH4 + -N も 増 加 した.よって, 長 期 の 連 続 投 入 の 場 合 は, VFA よりもアンモニア 蓄 積 に 注 意 を 払 う 必 要 があると 考 えられる. そのような 観 点 から run2 のホエイ 8% (バター2% 投 入 条 件 下 )が, 安 定 発 酵 を 維 持 するための 投 入 量 と 言 える.また ホエイの 投 入 量 増 加 にとも ない 肥 効 成 分 である 窒 素 量 が 増 加 することが 分 かった 2.3.4 結 論 1ホエイの 一 時 大 量 投 入 は VFA が 一 時 大 量 に 蓄 積 され ph が 低 下 するためメタンガス 発 生 量 が 低 減 し, 発 酵 が 不 安 定 になることから,ホエイの 大 量 投 入 は 避 け, 貯 留 タンクを 設 置 し, 定 常 投 入 すべきである. 2 本 研 究 の 範 囲 では,ホエイの 定 常 投 入 の 際 は 総 投 入 量 に 対 してバター2%,ホエイ 8%であれば, 長 期 的 に 安 定 的 なメタン 発 酵 を 運 転 できることが 分 かった. 3 汚 泥 中 の 肥 効 成 分 である 窒 素 量 は,ホエイの 投 入 量 に 比 例 して 増 加 することが 分 かった. 参 考 文 献 1) 中 久 保 亮 石 田 哲 也 松 田 從 三 近 江 谷 和 彦 : 牛 ふん 尿 のメタン 発 酵 における 食 品 廃 棄 物 投 入 の 効 果, 廃 棄 物 資 源 循 環 学 会 論 文 誌,Vol. 19, No. 6, pp. 392-299, 2008 2) 野 池 達 也 :メタン 発 酵, 技 報 堂 出 版, 2009 メタンガス 発 生 量 (L/day) ph 19
3. 工 業 団 地 とエネルギー 連 携 した 混 合 バイオガス 化 システム 3.1 石 狩 湾 新 港 地 域 から 排 出 されるバイオマス 原 料 の 性 状 調 査 と 混 合 発 酵 特 性 の 評 価 分 担 研 究 者 北 海 道 立 総 合 研 究 機 構 工 業 試 験 場 三 津 橋 浩 行 3.1.1 研 究 背 景 と 目 的 食 品 工 業 や 食 品 卸 売 業 が 立 地 する 工 業 団 地 で 発 生 する 多 種 多 様 な 廃 棄 物 系 バイオマス( 加 工 残 渣 や 流 通 不 適 物 食 品 汚 泥 等 )のバイオガス 化 では 定 常 的 に 発 生 する 混 合 原 料 の 組 成 に 対 する 発 酵 特 性 を 把 握 し さら に 組 成 比 等 の 調 整 により 適 正 化 を 図 ることで 効 率 的 なシステムとなる また 計 画 外 のバイオマスを 受 け 入 れた 場 合 組 成 比 の 変 動 による 発 酵 特 性 への 影 響 が 懸 念 される 1) 工 業 団 地 における 混 合 バイオガス 化 システムのモデルとして 石 狩 湾 新 港 地 域 で 排 出 される 廃 棄 物 系 バイオマ スを 用 いて 混 合 メタン 発 酵 試 験 を 行 い 組 成 比 に 対 する 発 酵 特 性 を 評 価 した 3.1.2 研 究 方 法 (1) 廃 棄 物 系 バイオマスの 性 状 調 査 バイオマスは 石 狩 湾 新 港 地 域 内 の 事 業 所 より 入 手 した 畜 肉 魚 類 加 工 残 渣 2 種 果 物 たけのこ 加 工 食 品 を 用 い 一 般 性 状 ( 水 分, 灰 分, 有 機 分 (VS)) 成 分 組 成 ( 炭 水 化 物 脂 質 タンパク 質 )を 分 析 2) した また 発 酵 処 理 液 の 利 用 に 肥 料 化 が 予 想 されることから 肥 料 分 析 法 に 準 拠 して 有 害 元 素 含 有 量 を 分 析 した (2) 混 合 バイオガス 化 発 酵 特 性 混 合 比 により 組 成 比 の 異 なる 混 合 バイオガス 化 原 料 を 調 整 し 10L スケールで 半 回 分 法 による 中 温 (36 ) メタン 発 酵 処 理 試 験 を 行 った 発 生 ガス 量 ガス 組 成 発 酵 液 分 析 を 行 い 発 酵 特 性 を 評 価 した 3.1.3 結 果 と 考 察 (1) 廃 棄 物 系 バイオマスの 性 状 調 査 石 狩 湾 新 港 地 域 で 排 出 された 廃 棄 物 系 バイオマスの 一 般 性 状 および 成 分 組 成 を 表 II-3.1-1 に 示 す 廃 棄 物 系 バイオマスは 畜 肉 魚 介 類 残 渣 の 排 出 比 が 高 く 混 合 バイオマス 有 機 分 (VS) 中 のタンパク 質 含 有 率 は 約 60%となる タンパク 質 含 有 率 が 高 い 原 料 をメタン 発 酵 処 理 した 場 合 メタン 発 酵 阻 害 物 質 であるアンモニ アの 濃 度 を 増 加 させる 可 能 性 がある これを 回 避 する 一 方 法 としてタンパク 質 含 有 率 が 低 く 排 出 量 が 高 い 厨 芥 生 ゴミの 混 合 が 挙 げられ これによりタンパク 質 含 有 率 を 低 下 させるとともに バイオガス 化 原 料 の 増 加 によるバイオガス 生 成 量 の 増 加 も 期 待 できる また 廃 棄 物 系 バイオマス 中 の 重 金 属 含 有 量 を 表 II-3.1-2 に 示 す 規 制 値 は 肥 料 取 締 法 に 基 づく 汚 泥 肥 料 の 有 害 成 分 最 大 量 および 銅 亜 鉛 にあっては 特 殊 肥 料 における 銅 亜 鉛 の 品 質 表 示 含 有 量 である いずれの 廃 棄 物 系 バイオマスの 重 金 属 含 有 量 は 有 害 成 分 最 大 量 以 下 であり 混 合 バイオマスのメタン 発 酵 処 理 液 を 肥 料 として 用 いても 重 金 属 含 有 量 は 規 制 値 以 下 となる 表 II-3.1-1 石 狩 湾 新 港 地 域 廃 棄 物 系 バイオマス 性 状 ( 湿 重 量 ベース) 廃 棄 物 系 バイオマス 種 類 畜 肉 魚 介 類 残 渣 1 魚 介 類 残 渣 2 廃 棄 果 実 類 排 出 量 kg/ 日 水 分 g/100g 固 形 分 g/100g 有 機 分 炭 水 化 物 脂 質 タンハ ク 質 有 機 分 計 灰 分 固 形 分 計 30 67.9 0.8 12.5 17.7 31.0 1.1 32.1 100 60.0 1.4 19.3 15.8 36.6 3.4 40.0 15 78.6 0.4 1.5 17.8 19.8 1.6 21.4 55 78.9 18.7 0.2 1.1 20.1 1.0 21.1 10 90.0 7.3 0.3 2.2 9.8 0.2 10.0 16 87.0 8.3 0.8 2.5 11.6 1.5 13.0 廃 棄 野 菜 類 廃 棄 加 工 野 菜 廃 棄 物 系 混 合 226 70.1 2.3 7.4 14.2 23.9 6.0 29.9 ( 参 考 ) 厨 芥 生 ゴミ - 68.6 15.5 6.8 7.7 30.0 1.4 31.4 水 分 : 105 2hr 乾 燥 (JIS-K-0102 工 業 排 水 試 験 法 ) 脂 質 : ソックスレー 抽 出 (ジエチルエーテル) タンパク 質 : ケルダール 窒 素 より 換 算 (6.25) 灰 分 : 600 0.5h 強 熱 灰 化 (JIS-K-0102 工 業 排 水 試 験 法 ) 炭 水 化 物 : 残 分 表 II-3.1-2 石 狩 湾 新 港 地 域 廃 棄 物 系 バイオマスの 有 害 元 素 含 有 量 (mg/kg 乾 重 量 ベース) 畜 肉 魚 介 類 残 渣 1 魚 介 類 残 渣 2 廃 棄 果 実 類 廃 棄 野 菜 類 廃 棄 加 工 野 菜 規 制 値 QL QL: 固 体 中 定 量 下 限 値 Cr Ni Cu Zn As Cd Pb Hg 1 1 2 84 5 3 5 0.01 1 1 3 25 5 0.5 5 0.02 1 1 300 104 5 3 5 0.07 1 1 6 10 5 0.5 5 0.01 4 1 9 9 5 0.5 5 0.06 1 1 3 4 5 0.5 5 0.01 500 300 300 900 50 5 100 2 1 1 1 0.5 5 0.5 5 0.01 20
(2) 混 合 バイオガス 化 発 酵 特 性 石 狩 湾 新 港 地 域 の 混 合 バイオマスに 対 し 札 幌 市 で 収 集 された 事 業 系 厨 芥 生 ゴミを 100:0 50:50 30:70 で 混 合 し 図 II-3.1-1 に 示 す 成 分 組 成 の 発 酵 原 料 を 調 整 した メタン 発 酵 試 験 は 発 酵 原 料 を 有 機 物 負 荷 0.27~ 1.42kg-VS/ 日 /m 3 まで 段 階 的 に 上 げて 行 った 結 果 バイオガス 発 生 量 は 図 II-3.1-2 に 示 すように 成 分 組 成 に 関 わらず 有 機 物 負 荷 が 0.85kg-VS/ 日 /m 3 で 最 も 高 く 1.42kg-VS/ 日 /m 3 では 全 ての 混 合 バイオマスで 発 生 量 が 急 激 に 減 少 した この 時 消 化 液 の CODcr も 著 しく 増 加 しており バイオガス 発 生 量 の 低 下 と 同 時 に 発 酵 有 機 物 分 解 が 停 止 したことを 示 した 消 化 液 の VFA は 5000-8000ppm( 酢 酸 換 算 )に 増 加 しており ph が 7 以 下 に 低 下 するなど VFA 蓄 積 による 阻 害 が 発 生 し 発 酵 停 止 したことを 示 唆 した 3) 成 分 組 成 に 対 する 発 酵 特 性 は 厨 芥 生 ゴミの 混 合 比 を 上 げ 炭 水 化 物 含 量 が 増 加 およびタンパク 質 含 量 が 低 下 するに 従 い バイオガス 発 生 量 が 高 くなる 傾 向 を 示 した 特 に 有 機 物 負 荷 0.85kg-VS/ 日 /m 3 以 下 では 最 も タンパク 質 含 量 が 低 い 混 合 バイオマス(30:70)で 1 m 3 -BG/kg-VS の 高 い 発 生 量 を 得 ている また 図 II-3.1-3 に 示 す 脂 質 含 量 を 増 加 させた 発 酵 原 料 を 調 整 して 発 酵 試 験 を 行 った 結 果 図 II-3.2-4 に 示 すように 脂 質 含 量 増 加 によりバイオガス 発 生 量 が 低 下 し 40% 以 上 では 試 験 開 始 より 発 酵 停 止 した 脂 質 含 量 の 増 加 が 発 酵 特 性 に 大 きく 影 響 することがあきらかになった タンハ ク 質 60% 100:0 炭 水 化 物 10% 脂 質 31% タンハ ク 質 41% 50:50 炭 水 化 物 33% 脂 質 26% タンハ ク 質 34% 30:70 脂 質 25% 炭 水 化 物 41% 0 0 20 40 60 80 100 経 過 日 数 d 図 II-3.1-1 厨 芥 生 ゴミ 混 合 バイオマス 成 分 組 成 図 II-3.1-2 バイオガス 発 生 量 ( 有 機 物 重 量 基 準 ) ガス 発 生 量 m 3 /kg-vs 1.2 1 0.8 0.6 0.4 0.2 0.60kgVS/ 日 /m 3 0.85kgVS/ 日 /m 3 100:0 50:50 30:70 1.13kgVS/ 日 /m 3 1.42kgVS/ 日 /m 3 脂 質 30% タンハ ク 質 34% 脂 質 30% 炭 水 化 物 36% 脂 質 35% タンハ ク 質 35% 炭 水 化 物 29% 脂 質 35% 脂 質 40% タンハ ク 質 34% 炭 水 化 物 26% 脂 質 40% 0 0 10 20 30 40 50 経 過 日 数 d 図 II-3.1-3 脂 質 加 重 混 合 バイオマス 成 分 組 成 図 II-3.1-4 脂 質 含 量 による 影 響 3.1.4 まとめ 工 業 団 地 とエネルギー 連 携 した 混 合 バイオガス 化 システムの 構 築 と 実 現 可 能 性 について 石 狩 湾 新 港 地 域 をモデルとして 調 査 を 行 った 同 地 域 より 入 手 した 廃 棄 物 系 バイオマスのバイオガス 化 (メタン 発 酵 処 理 ) 原 料 はタンパク 質 含 有 量 が 高 く また 排 出 量 も 少 ないことから 厨 芥 生 ゴミ 等 を 混 合 することが 必 要 である ことが 示 唆 された 混 合 バイオマスのメタン 発 酵 試 験 からタンパク 質 脂 質 成 分 組 成 比 が 高 い 混 合 バイオマス 原 料 では 発 酵 阻 害 物 質 が 蓄 積 し バイオガス 生 成 量 および 有 機 物 分 解 率 が 低 くなることが 認 められた これに 対 し 定 常 的 に 発 生 する 混 合 原 料 に 対 する 効 率 的 なバイオガス 化 に 向 けた 適 正 な 成 分 組 成 や 適 正 有 機 物 負 荷 量 を 明 らかに した また 計 画 外 の 原 料 を 受 け 入 れる 場 合 特 に 脂 質 含 量 が 高 い 成 分 は 投 入 と 同 時 に 発 酵 停 止 となる 危 険 性 が 明 らかになった また 同 地 域 から 発 生 する 廃 棄 物 系 バイオマスを 用 いた 混 合 バイオガス 化 原 料 は 重 金 属 含 有 量 が 規 制 値 よ りも 低 く メタン 発 酵 処 理 液 の 肥 料 利 用 における 規 制 値 をクリアできることが 認 められた 参 考 文 献 1) 生 物 系 廃 棄 物 資 源 化 リサイクル 技 術,エヌ ティー エス,337pp,2000 2) 香 川 芳 子 監 修 : 五 訂 食 品 成 分 表 2003, 女 子 栄 養 大 学 出 版 部,464pp,2003 3) 大 野 真 穂 東 城 清 秀 前 田 悠 貴 渡 辺 兼 五 : 乾 式 メタン 発 酵 における 発 酵 阻 害 とモニタリング 手 法 の 検 討, 第 16 回 廃 棄 物 学 会 研 究 発 表 会 講 演 論 文 集,pp.509-511,2005 ほか ガス 発 生 量 m 3 /kg-vs 1.2 1 0.8 0.6 0.4 0.2 脂 質 40% 脂 質 35% 脂 質 30% 脂 質 25% 21