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日腎会誌 2019;61(5): 563 573. 特集 : 腎疾患と栄養 たんぱく質の質と腎臓との関係 食事パターンも含めて Dietary protein sources and the kidneys, including dietary patterns *1 佐藤弘恵 *2 細島康宏 *1 鈴木芳樹 Hiroe SATO, Michihiro HOSOJIMA, and Yoshiki SUZUKI はじめに 慢性腎臓病 (chronic kidney disease:ckd) 患者では標準的 な食事療法として, たんぱく質制限が実施されている その制限は, 一般的にはたんぱく質の量であって質ではない 実際に, たんぱく質摂取量は g/ 日あるいは g/kg 体重 / 日で議論されることが多く, 推奨量もそのように示されている たんぱく質の評価法には, 食材 食品としての化学的評価法と生体内における生物学的評価法があるが, これらの評価法は次々に変遷している また, たんぱく質は動物性と植物性に大別されるが, 質別の腎臓への影響が議論されることは少ない 従来から, 動物性たんぱく質は highbiological value であるとされ,CKD 患者で使用されることが推奨されている しかし, 植物性たんぱく質よりも血圧, 代謝性アシドーシス, 高リン血症が悪化する可能性が高いことも知られており, 反対に, 植物性たんぱく質の CKD 患者における利点も報告されるようになってきた さらに, 食事は特定のたんぱく質だけではなく, 他の栄養素と組み合わせるのが一般的で, 食事パターン (dietary pattern) と腎臓との関係が注目されている 本稿では最近の, たんぱく質の評価法, 量ではなく質別の腎臓への影響, 食事パターンと腎臓との関係について概説する なお, 体重の取り扱いが改めて問題になっているが, 本稿では特に記述がない場合は標準体重である CKD 患者に *1 新潟大学保健管理センター *2 新潟大学医歯学総合研究科腎センター病態栄養学講座 おける体重に関する課題については, CKD における適正な体重に関する検討報告 1) を参照していただきたい たんぱく質の摂取量と評価法の推移 1. 動物性たんぱく質 / 総たんぱく質 ( 動蛋比 ) CKD 患者におけるたんぱく質制限の栄養指導では, 必須アミノ酸を確保する目的から動蛋比を上げることが強調されてきた 確かに, 国民健康 栄養調査によると第二次大戦直後の 1946 年で 18%,1950 年でも 26% と低く,30% 以下であると必須アミノ酸が不足する懸念があることから, 動蛋比を 40% 以上とするような指導がなされてきた しかし,1980 年以降は 50% を常に超えており,2018 年は 55% である 2) このことから, 現在の食品環境では, 日常的な献立でたんぱく質摂取量を制限する場合においては, 特に厳しい制限でない限り, 動蛋比を強調する必要はないと思われる 2. たんぱく質の評価法食品のたんぱく質の栄養価は化学的評価法と生物学的評価法に大別される 前者の代表はアミノ酸スコアであるが, 経年的に改訂され,1985 年の FAO/WHO/UNU が提案した 2~5 歳児童のアミノ酸評点パターンは, 乳児を除くすべての年齢グループに対する食事たんぱく質の品質を評価するために, 最も妥当なパターンであることが確認されている 3) なお, アミノ酸スコアは, 食品中の各必須アミノ酸含有量を一定の基準値 ( アミノ酸評点パターン ) と比較した割合の最小値で, 最小値を示すアミノ酸が第一制限アミノ酸である 後者は, 生物価 や 正味たんぱく利用率 であるが, 摂

564 たんぱく質の質と腎臓との関係 食事パターンも含めて 取したたんぱく質の実際の利用率, すなわち消化吸収率が重要である 従来は, ラットの糞便中の粗たんぱく質量で評価する PDCAAS(protein digestibility-corrected amino acid score) が使用されていたが, 大腸の腸内細菌叢による代謝の影響を受けるため正確ではない そこで, たんぱく質の消化とアミノ酸の吸収は回腸末端でほぼ完了するため, そこでの消化率を測定する DIAAS(digestible indispensable 表 1 主な食品の DIAAS と第一制限アミノ酸 食品 DIAAS 第一制限アミノ酸 ミルク PC 1.18 Met+Cys 全乳 1.14 Met+Cys 固ゆで卵 1.13 His 乳清 ( whey)pi 1.09 Val 鶏胸肉 1.08 Trp 大豆 PC 0.90 Met+Cys エンドウ豆 PC 0.82 Met+Cys 調理された米 0.59 Lys 調理されたエンドウ豆 0.58 Met+Cys 豆腐 0.52 Met+Cys アーモンド 0.40 Lys 米 PC 0.37 Lys トウモロコシの朝食シリアル 0.01 Lys PC: protein concentrate,pi: protein isolate,met: methionine, Cys: cysteine,his: histidine,val: valine,trp: tryptophan, Lys: lysine amino acid score) のほうが, より正確な生物価といえる なお,DIAAS はヒトの消化を表わすモデルであるブタで測定されることが多い また, アミノ酸は個々で消化率が異なり, アミノ酸消化率は粗たんぱく質の消化率では推定できない このため, 将来的には, 粗たんぱく質の消化率ではなく, アミノ酸の消化率を測定することが必要と思われる 主な食品ごとの DIAAS は, 動物性たんぱく質のほうが植物性たんぱく質よりも高く,1.0(100%) を超えている ( 表 1) 4, 5) このことからも, 一般的には植物性たんぱく質の質は動物性たんぱく質のそれより低い傾向にある その理由として植物性たんぱく質は, 動物性たんぱく質と異なり, 食物繊維のほかにトリプシンインヒビター, フィチン酸塩などの栄養阻害因子を含有していることが考えられる しかし, 後述のように,CKD 患者におけるたんぱく質の臨床的な効果は, さまざまな観点から検討する必要がある 動物性たんぱく質と植物性たんぱく質の食材と一般的な特徴動物性たんぱく質には肉類, 卵, 乳製品, 魚介類などがあり, 肉類のなかには牛肉や豚肉などの赤肉と, 鶏肉などの白肉がある 一方, 植物性たんぱく質には米や小麦などの穀類, 大豆などの豆類などがある ( 表 2) 一般的に動物性たんぱく質は, ロイシンなどの必須アミノ酸構成が良好で DIAAS も高く, なかでも赤肉は biological 食品 表 2 動物性たんぱく質と植物性たんぱく質の比較動物性たんぱく質 赤肉 : 牛肉, 豚肉白肉 : 鶏肉魚介類卵 : 卵白 卵黄 植物性たんぱく質 穀類 : 米, 小麦粉豆類 : 大豆, えんどう豆, ナッツ 必須アミノ酸豊富不足しているアミノ酸がある 吸収良好 ( >90%) 劣る 特徴的な栄養素や物質ヘム鉄, 亜鉛, ビタミン B 食物繊維コレステロール, 飽和脂肪酸植物性化学物質 ( フィチン酸, サポニン, タビタミンD,ω-3 不飽和脂肪酸 (DHA EPA など ) ンニンなど ) ( 魚 ) リン その他 摂取増加に伴い懸念される疾患 生物学的利用率は中等度加工肉などの保存料に使用される無機リンは生物学的利用率が高い 加工肉やチーズ : 塩分多い 糖尿病, 脂質異常症, 心血管障害, 癌 フィチン酸結合により生物学的利用率は低い

佐藤弘恵他 2 名 565 value が高く, 例えば牛肉 100 g の摂取で体重 70 kg の成人 の 1 日に必要なたんぱく質の RDA(recommended dietary allowance) を超える 6) 筋合成に重要なロイシン含有量を 比較すると, 多くの植物性たんぱく質で < 8%, 動物性たん ぱく質で最大 8 ~ 14% であり, 同程度のロイシンを摂取す るためには動物性たんぱく質は植物性たんぱく質より少量でよい 7) さらに, 動物性たんぱく質に多く含まれるが植物性たんぱく質にはほとんど含まれない栄養素として, ヘム鉄, 亜鉛, ビタミン B 12 などがある また, 肉類にはほとんど含まれず, 脂身の多い魚に多く存在する栄養素として, ビタミン D や DHA(docosahexaenoic acid) などがある 以上のように, 動物性たんぱく質は植物性たんぱく質に比べ, 効率的に利用されやすく, 重要な栄養素を含むことから, 筋力 筋量低下の予防 改善に効果があることが期待され, 近年その有効性を示す報告も散見される 8) 一方で, 動物性たんぱく質の食品には飽和脂肪酸やコレステロールが多いことから, 動脈硬化や心血管系疾患 (CVD) への影響が指摘されている 9) 動物性たんぱく質摂取量増加が総死亡,CVD による死亡, 癌による死亡や 10), 11, 糖尿病の発症 12) と関連することも報告されている また, 動物性たんぱく質は酸負荷が増加すること, 植物性たんぱく質よりリンの吸収率が高いことから, 腎機能が低下した CKD 患者において問題となる さらに, ソーセージなどの加工肉やチーズなどの乳製品には塩分が多く添加されていることも問題である 反対に, 植物性たんぱく質には植物性化学物質が含まれ抗酸化作用が高い利点も示されている 13) 動物性たんぱく質と植物性たんぱく質の腎への影響 1. 糸球体過剰濾過に対する比較たんぱく質を摂取すると, 胃や膵酵素で消化されてアミノ酸として小腸から吸収される 吸収されたアミノ酸は肝臓で代謝あるいは体循環に入り利用される 脂肪や糖質とは異なり, アミノ酸は貯蔵されないため過剰なアミノ酸は迅速に分解され,α- アミノ基の除去によりアンモニアが生じ, その多くが尿素回路を経て尿素となり, 腎臓に輸送される 尿素は糸球体を自由に通過し浸透圧作用により水分も引き込むが, 尿素を効率良く排泄し水分の排泄は節約するために, グルカゴンによる腎臓からの尿素排泄亢進や, バゾプレシンによる尿中尿素濃縮作用が主に働く そして, 尿細管管腔内の尿素濃度の増加に伴い NaCl 濃度低下が生じ, 緻密斑での尿細管糸球体フィードバックを介して 一過性の糸球体過剰濾過 (hyperfiltration: HF) が生じると考えられる 14) この HF は腎予備能を表わし, 健常若年者では短期的なたんぱく質負荷 ( 平均 2.0 g/kg 体重 / 日を 10 日間 ) により糸球体濾過量 (GFR) は増加するが, 高齢者 ( 平均 1.8 g/kg 体重 / 日 ) では低下すると報告されている 15) 高齢者のように腎予備能が低下している場合は, 過度な高たんぱく質摂取により腎機能が低下するリスクがある また, アミノ酸の静注でも GFR は増加するが, 分枝鎖アミノ酸のみの静注では GFR は増加しない 16) 分枝鎖アミノ酸は肝臓で代謝されずに, 血液を介して筋肉に運ばれて利用されるためと考えられる 健常若年者が特定の食品を摂取した後にみられる一過性の HF についての報告がある 若年者が赤肉 17) や調理したマグロ 18) を摂取すると, 食後 1~2 時間で GFR が上昇するが, ゆでた卵白やチーズ, 豆腐では GFR は上昇しないと報告されている 18) マグロに比べてゆでた卵白やチーズ, 豆腐では, 含有アミノ酸量は同等であるが血中アミノ酸濃度の上昇が低かったことから 18), 消化管でのアミノ酸吸収効率の差が HF に影響していると想定される 豆腐と同じ大豆製品でも,skim soy powder( 調整豆乳粉末 ) で作ったパンケーキや soy powder では, 同じアミノ酸量の牛肉の摂取と比べて,GFR 増加に差がないと報告されており 19, 20), 豆腐の DIAAS 0.52 に対して大豆 protein concentrate は 0.9 であることから ( 表 1), 消化管吸収率の違いが HF に影響していると推測される 食後の急性変化ではなく比較的短期間での GFR の変化について, 健常人のランダム化比較試験 (RCT) で, 植物性たんぱく質摂取群のほうが動物性たんぱく質摂取群より GFR が低いことが示されている 20) 糖尿病患者においては, 微量アルブミン尿のある 2 型糖尿病患者では動物性たんぱく質と植物性たんぱく質の摂取量により GFR に差はなかったが 21),HF のある 1 型糖尿病患者では大豆製品を多く摂取すると GFR が低下することが報告されている 22) また, 保存期 CKD 患者のメタ解析で, 大豆たんぱく質は血清クレアチニン濃度を低下させるが, クレアチニンクリアランスや GFR は変化させないと報告されている 23) 解析可能な研究数は少なくいずれも小規模な研究のため, 今後の更なる検討が必要である 日常的に摂取している食事のたんぱく質の種類と HF との関連を横断的に解析した研究も報告されている 糖尿病も高血圧もない egfr > 60 ml/ 分 /1.73 m 2 の 40~70 歳の健常人において, 中央値年齢より低い群では動物性たんぱく質の最大 4 分位群は最小 4 分位群と比べて HF のリスクが

566 たんぱく質の質と腎臓との関係 食事パターンも含めて 高く, 逆に植物性たんぱく質最大 4 分位群は最小 4 分位群と比べて低かったことが示されている 24) 一方で, 中央値年齢より高い群では同様の傾向はみられなかった 以上より, たんぱく質摂取に伴う一過性の HF は赤肉やマグロ, 大豆 protein concentrate などでは生じやすく, 食品による消化吸収率の違いなどが関与すると考えられる 比較的短期間の RCT や横断研究からは, 腎予備能の低下している高齢者, 糖尿病性腎症, 保存期 CKD など病態によりその影響が異なる可能性が考えられる 2. 尿蛋白量に対する比較アルブミン尿について, 健常人では植物性たんぱく質のほうが動物性たんぱく質より尿中アルブミン排泄率を低下させるという報告はあるが, 尿中アルブミン排泄量はきわめて少ない ( 植物性 6.5 mg/ 日 vs. 動物性 14.1 mg/ 日, p = 0.003) 20) 微量アルブミン尿を伴う 2 型糖尿病患者では動物性たんぱく質と植物性たんぱく質摂取量により尿中アルブミン排泄量に差はないという報告があるが 21), 糖尿病性腎症患者 41 例を対象に, 総たんぱく質量 0.8 g/kg 体重 / 日で, その内訳を動物性 70% 植物性 30% と, 動物性 35% 大豆 35% その他の植物 30% とした 4 年間のコホート研究では, 後者に蛋白尿改善効果があったと報告されている 25) HF のある 1 型糖尿病患者では, 大豆製品を多く摂取しても尿中アルブミン排泄量には影響がないという報告がある 22) 保存期 CKD 患者における大豆たんぱく質の効果についてのメタ解析では, 解析可能だった研究が 4 つで異質性が高かったが, 大豆たんぱく質を多く摂取することは蛋白尿の減少と関連があった 23) 以上のように尿蛋白量については, たんぱく質の質による効果の差に一定の見解はない また微量アルブミン尿のある 2 型糖尿病患者において, 赤肉を鶏肉に置き換えた食事で尿中アルブミン排泄率が低下したという報告もあり, 動物性たんぱく質のなかでも食品により効果が異なる可能性も示唆されている 26) 3.ESRD および GFR の低下率に対する影響の比較長期的なたんぱく質の質的負荷の違いについてはいくつかのコホート研究で検討されている ( 表 3) Nurses' Health Study では軽度腎機能が低下していた女性 (egfr 55~80 ml / 分 /1.73 m 2 ) を 11 年間観察し, たんぱく質摂取総量とともに, 乳製品以外の動物性たんぱく質摂取が多いことは GFR の低下と関連した 27) また,Singapore Chinese Health Study では 63,257 例の中国人を平均 15.5 年観察し, 赤肉摂取量が多いと末期腎不全 (ESRD) リスクが高かった 28) ARIC study では糖尿病や CVD がなく egfr 60 ml/ 分 /1.73 m 2 以上の 11,952 例 ( 44~66 歳 ) を中央値 23 年間観察し, 腎 機能低下や CKD に伴う入院,ESRD のリスクは, 赤肉や加工肉の摂取量が多いと増加した 29) 反対に, 同研究でナッツや低脂肪乳製品, 豆類の摂取量が多いと,ESRD のリスクは低下した 29) また, 低脂肪乳製品が CKD のリスクを減少させるという横断研究およびコホート研究が報告され 30),7 つの研究に基づくシステマティックレビューでも乳製品, 特に低脂肪乳製品が CKD の発症や腎機能低下に保護的に働く可能性があると報告されている 31) 乳製品に含まれる成分が血管拡張やインスリン抵抗性の改善, 抗酸化作用を持つことなどが機序として推測されている 31) さらに, 魚の摂取量が多いと CKD のリスクが下がるという報告もあり 32, 33), 長鎖 ω-3 不飽和脂肪酸による抗炎症作用などが考慮されている 32) 一方で,65 歳以上の高齢者のみを対象とした Cardiovascular Health Study では, たんぱく質摂取総量および, 動物性 植物性たんぱく質の量と腎機能の rapid decline は関連しなかったという報告もある 34) 以上から, 赤肉などの乳製品以外の動物性たんぱく質の摂取量が多いことは, 腎機能低下のリスクになる可能性や, 乳製品 ( 特に低脂肪乳製品 ) や魚が腎機能低下のリスクを低下させる可能性は示されてはいるが, 今後の更なる研究が必要である 4. リンの比較たんぱく質にはリンが多く含まれるが, 望ましいたんぱく質は, たんぱく質に対するリンの含有量, すなわちリン / たんぱく質比が低い食品である また, 摂取した際に吸収され利用される生物学的利用率は, 食品に含まれるリンの種類により異なる 植物性たんぱく質の有機リン含有量は多いが, フィチン酸と結合しているために消化管からの吸収率が低く血清リン濃度は上昇しにくい egfr 20 ~45 ml/ 分 /1.73 m 2 の 9 例の CKD 患者に対して, 同量のリン含有量の植物性と動物性たんぱく質が主に含まれる食事を 7 日間ずつ行ったクロスオーバー試験では, 植物性たんぱく質の食事は動物性のそれと比べて, 血清リン濃度および血清 fibroblast growth factor 23(FGF23) 濃度が低いこと 35), ステージ G3~G4 の 13 例の CKD 患者に植物性たんぱく質 70% の食事を 4 週間続けたところ, 血清リン濃度は変わらなかったが尿中リン排泄量は減少したこと 36) が報告されている メタ解析でも保存期 CKD 患者で大豆たんぱく質が血清リン濃度を下げることが示されており 23),CKD 患者においてリン含有量のみならずたんぱく質の種類による違いも重要である なお, 保存料などに含まれる無機リンは生物学的利用率が高く, 加工食品において多く用いられているため注意が必要である

佐藤弘恵他 2 名 567 表 3 ESRD リスクおよび GFR の低下率に対するたんぱく質の質の影響 文献 研究デザイン 対象 観察期間 結果 前向きコホート研究 女性 1,624 人 (Nurses' Health Study) (42 ~ 68 歳 ) Knight EL, et al. (2003) Lew QJ, et al. (2017) Haring B, et al. (2017) Gopinath B, et al. (2016) Eslami O, et al. (2018) Gopinath B, et al. (2011) Akkilagunta S, et al. (2018) Beasley JM, et al.(2014) 前向きコホート研究中国人 63,257 人 (Singapore Chinese (45 ~ 74 歳 ) Health Study) 前向きコホート研究 (Atherosclerosis Risk in Communities Study, ARIC study) CVD および糖尿病のない egfr 60 ml/ 分 / 1.73 m 2 以上の 11,952 人 ( 44 ~ 66 歳 ) 横断研究と前向きコ 49 歳以上の 2,689 人ホート研究 (Blue Mountains Eye Study, BMES) 1,185 人 ( 前向きコ ( 横断研究 ), そのうちホート研究 ) システマティックレビュー 11 年軽度腎機能低下 (egfr 55~80 ml/ 分 /1.73 m 2 ) 群では, たんぱく質摂取総量および 乳製品以外の動物性たんぱく質の摂取量は egfr 低下と関連した 腎機能正常 (egfr 80 ml/ 分 /1.73 m 2 ) 群では関連していなかった 平均 15.5 年 中央値 23 年 たんぱく質摂取総量と ESRD リスクは関連しなかった 赤肉摂取量と ESRD リスクは関連した 赤肉と加工肉の消費は CKD リスクを増加させ, ナッツや豆類, 低脂肪乳製品の摂取は CKD リスクを低下させた たんぱく質総摂取量は関連しなかった 10 年横断研究では低脂肪乳製品の摂取が多い最大 5 分位群は最小 5 分位群に比べ egfr < 60mL/ 分 /1.73 m 2 であるリスクが低かった 前向きコホート研究では低脂肪乳製品摂取量の最小 5 分位群に比べ 1 分位多い群では egfr<60 ml/ 分 /1.73 m 2 になるリスクが低かった 7 つのコホート研究 7 ~ 23 年 5 つの研究では乳製品特に低脂肪乳製品は CKD や腎機能低下を予防したが 2 つでは関連を認めなかった 横断研究 (Blue Mountains Eye Study, BMES) 49 歳以上の 2,600 人 N/A 魚の摂取量の最大 5 分位群は最小 5 分位群に比べ CKD のリスクが低かった またω3- 多価不飽和脂肪酸摂取量の最大 5 分位群は最小 5 分位群に比べ CKD のリスクが低かった 症例対象研究 前向きコホート研究 (Cardiovascular Health Study) 20 ~ 76 歳の CKD 患者 80 人と, 年齢 性別をマッチさせたコントロール 80 人 65 歳以上の高齢者 (n=3,623,23% が egfrcys < 60 ml/ 分 /1.73 m 2 ) N/A 平均 6.4 年 魚の摂取頻度が週 2 ~ 3 回以上では週 1 回以下に比べ CKD のリスクが低かった たんぱく質摂取総量および動物性 植物性たんぱく質量は急速な腎機能低下と関連しなかった 5. 食事性酸負荷の比較一般的に, 赤肉, 魚, チーズ, 穀類は酸性食品でリン含有量が多く, 果物や野菜, 豆類, じゃがいもはアルカリ食品でカリウムなどの含有量が多い CKD 患者を対象とした米国のコホート研究では, 食事性酸負荷が多いと ESRD リスクが上がり, 特にアルブミン尿がある CKD 患者で顕著であることが報告されている 37) また,CKD 患者を対象とした横断研究では, 植物性たんぱく質の摂取量が多いと血 - 中 HCO 3 濃度が高いことが報告されている 38) 以上から, CKD 患者ではカリウム負荷が許容される場合に 植物性たんぱく質や植物性の食品を用いることで, 食事性酸負荷の軽減による代謝性アシドーシスの改善, および腎保護作用が期待されている 39) 6. 尿毒性物質の比較動物性たんぱく質, 特に赤肉は, 腸内細菌叢によるアミノ酸分解で生じる trimethylamine n-oxide (TMAO), インドキシル硫酸 (IS),indole-3-acetic acid (IAA) や p-cresyl sulfate (p-cs) などの尿毒性物質の産生を増加させる CKD 患者では腸内細菌叢の共生バランス失調が生じており, 尿毒素が増えることによる CVD との関連も指摘されている 6) 動物性および植物性たんぱく質による尿毒性物質産生の違いやその直接的な影響などについては今後の検討が待たれる 7. 総死亡に対する比較 CKD 患者における植物性および動物性たんぱく質摂取量と総死亡については, 米国の一般住人 14,866 例 ( 平均年齢 44.8±15.8 歳, 女性 48%) を平均 8.4 年観察したところ,

568 たんぱく質の質と腎臓との関係 食事パターンも含めて egfr < 60 ml/ 分 /1.73 m(4.9%, 2 1,065 例 ) では植物性たんぱく質の割合が高いと総死亡リスクが低かった 40) 同様の関連は egfr 60 ml/ 分 /1.73 m 2 の群では認められなかった 40) この研究の対象における植物性たんぱく質の割合は平均 33 ± 14% で,eGFR < 60 ml/ 分 /1.73 m 2 で 24.4% 未満の最小 4 分位群に比べて 43.5% より多い最大 4 分位群のリスクが低いことが示されているが, 日本人での植物性たんぱく質の割合は 45% 程度で, 上記の報告における最大 4 分位群に相当する 日本人 CKD 患者におけるたんぱく質の種類と総死亡の関連については本邦からのエビデンスが必要である 調理法による違い同じ食品でも調理方法により摂取される成分は変化する 終末糖化産物 (advanced glycation end products:ages) は特に動物性たんぱく質と糖質の自然発生的な反応で生じる化合物で, 酸化ストレスや炎症, 腎障害を惹起する AGEs は腎臓で排泄 代謝され, 腎機能低下により血中濃度が上昇するが, 高血糖に伴う内因性の AGEs 増加だけでなく, 食事から摂取する外因性の AGEs も一部が蓄積する この食事に伴う外因性の AGEs は, 焼く, 揚げるなど高温で乾燥した加熱調理法で生じやすく, とろ火で煮る (stewing), 蒸す, ゆでるなど低温で高湿度の調理法では生じにくい 41) また, レモンやビネガーなどで下処理を行うことで AGEs の産生が抑制される 41, 42) CKD 患者で食事中の AGEs を減少させると, 炎症や酸化ストレスマーカーが改善すると報告されていることから 42, 43),AGEs を生じにくい調理方法を選択することも CKD 患者の食事療法の一つの重要なポイントと考えられる 豆類はリンやカリウムが多く含まれるが, ゆで汁を捨てることで, リンやカリウムの摂取量を減らすことが可能である 加工食品やチーズにはリンや塩分が多く含まれる また, 食品を組み合わせて摂取することで不足している必須アミノ酸を補完できる 例えば, 豆類はメチオニンの含有量が少ないため, 穀類と一緒に調理するとよい さらに, 高齢者では調理法によりたんぱく質の消化吸収に違いが生じることも指摘されている 高齢者に牛ステーキ肉とミンチ肉を摂取させたところ, ミンチ肉のほうがステーキ肉より血中のアミノ酸濃度が早期に上昇しピークも高く, たんぱく質合成と分解の差である net protein balance をより増加させた 44) また, 高齢者に十分に焼いたステーキ肉とレアのステーキ肉を摂取させる比較試験では, 血中 のアミノ酸やロイシン濃度の上昇はレアより十分に焼いたステーキ肉のほうが高いことが報告されている 45) これらは, 高齢になると咀嚼能力が低下することが要因の一つと考えられる 食事パターンの腎への影響一般住民のコホートにおいて, 高脂肪で糖質の多い食事パターンでは CKD の発症が多いこと 46), 高齢女性のコホートでは, 赤肉, 加工肉, 飽和脂肪酸, 菓子類が多い Western diet は, 微量アルブミン尿と腎機能低下リスクを増加させることが報告されている 47) 一方,CKD 患者を対象としたコホートにおいて, 肉の加工食品や揚げ物が多い Southern diet は総死亡の増加と関連するが,ESRD とは関連しないこと 48), 果物および野菜が多くアルコールを制限するような食事パターンでは総死亡, 透析導入, 血清クレアチニン濃度倍加の複合エンドポイントのリスクが少ないことが報告されている 49) さらに,CKD 患者における食事パターンのメタ解析では, 果物, 野菜, 魚介類, 豆類, 穀類および食物繊維が多く, 肉類や食塩, 精製糖が少ない食事パターンは, 総死亡の低下と関連するが,ESRD と関連しないことが報告されている 50) これまでの, 少数ではあるが食事パターンの報告からは, 肉類やその加工食品, 脂肪などを多く摂取する食事パターンは,CKD 発症や CKD 患者における死亡リスクとなり, 反対に植物性食品を中心とした食事パターンはそのリスクを低下させることが示唆されるが, 今後の更なる検討が必要である 1.Vegetarian diet 菜食主義 (Vegetarianism) とは, 健康, 倫理, 宗教などの理由から, 動物性食品の一部, もしくは, そのすべてを避ける食生活を行うことであり, 動物性食品を全く摂らず, 植物性食品のみを食する人たちはヴィーガン (Vegan) と呼ばれている これまでに, 植物性食品を中心とする食事 (Vegetarian diet) が高血圧,2 型糖尿病, メタボリックシンドロームなど CKD の原因となりうる病態を改善することや,CKD の進展因子と考えられる尿毒性物質, 炎症, 酸化ストレスなどを減少させる可能性を示唆する報告がある 51) さらに,40 歳以上の台湾人約 5 万 5 千人の研究において, ヴィーガンおよび, 卵もしくは乳製品のみを食する集団 ( Ovo-lacto vegan) では, 動物性および植物性食品のいずれをも食する集団と比較して,CKD の罹患率の低いことが報告されている 52) Vegetarian diet が CKD の発症および進展を抑制する機序としては, その食事内容が低脂肪, 低

佐藤弘恵他 2 名 569 炭水化物, 低リン, 酸負荷軽減, 低食塩であることから, 高血圧やインスリン抵抗性の改善による心血管系への影響を介した腎保護効果や, 植物性たんぱく質や豊富な食物繊維が腸内細菌叢を介した尿毒性物質や炎症を減少させることなどが想定されている 51, 53) 実際に, 全米腎臓財団 (The National Kidney Foundation) は Vegetarianism もしくは部分的な菜食 (Part-time vegetarian diet) は CKD 患者に有益であると推奨している 一方で,Vegetarian diet を行ううえでの安全性や, もともと植物性食品を多く摂ってきた日本人にとってどの程度の有効性があるのかなど, その詳細は不明のところもあり, 今後の更なる検討が期待される 2.DASH 食果物, 野菜, 低脂肪乳製品などが豊富で, 植物性食品の比較的多い食事パターンである the Dietary Approaches to Stop Hypertension diet(dash 食 ) は, 飽和脂肪酸とコレステロールが少なく, カリウム, カルシウム, マグネシウム, 食物繊維が多い これまでに多くの降圧効果の報告があり, 正常高値高血圧 ~Ⅰ 度高血圧で腎機能障害のない日本人を対象とした, 日本食パターンに基づく DASH 食 ( 塩分 8 g) でも,2 カ月間で血圧,BMI, 空腹時血糖などが改善したことが報告されている 54) CKD 発症との関連については, 脂質異常症, 耐糖能異常もしくは高血圧を有する集団で, 低食塩かつ DASH 食の食事パターンのアドヒアランスが良い群は CKD の発症が抑制される 55), 高齢一般韓国人で食物繊維が多く DASH 食の食事パターンのアドヒアランスが良い群は CKD の発症が抑制される 56),Atherosclerosis Risk in Communities Study(ARIC 研究 ) で DASH 食の食事パターンは CKD 発症や透析導入なども含めた腎臓関連のイベントを減らす 57), という報告がある 一方で,CKD 患者における DASH 食は電解質への影響や, たんぱく質摂取量が多くなる点が懸念される egfr 30~59 ml/ 分 /1.73 m 2 で高血圧合併 CKD 患者を対象とした研究では,DASH 食に従うほうが ESRD リスクが低いという観察研究 58) や,2 - 週間の減塩 DASH 食で, 血中 HCO 3 濃度の低下や血清カリウム濃度の上昇は認められるが, 高カリウム血症や代謝性アシドーシスには至らないという介入研究の報告がある 59) CKD 患者での DASH 食の有効性と安全性については今後の更なる検討が必要である 3. 地中海食地中海食 (Mediterranean diet) は野菜, 豆類, 果物, ナッツ, 穀類, オリーブオイルが多く, 魚も比較的多く, 乳製品は少量から中等量摂取するが, 肉類は少なく, 食事の際にワインを飲むというのが典型的で, 地中海沿岸諸国の伝 統的な食事パターンのことである ギリシャの一般住民において, 典型的な地中海食を摂取しているほど総死亡および, 癌や CVD による死亡が低下することが報告されている 60) また, 一般住民を対象としたコホート研究で, 地中海食のアドヒアランスが良いと CKD の発症が抑制されることが報告されている 61, 62) 70 歳以上の男性 CKD 患者では, そのアドヒアランスが良いと生命予後が良く, リンの摂取量と推定内因性酸産生量が低いことも示されているが 62), 介入研究では腎機能やアルブミン尿に対する効果は示されておらず 63, 64), 日本人におけるその有効性も含め, 今後のより詳細な検討に期待したい 4. 和食 - 米たんぱく質を中心に日本料理はバランスの良い食事パターンで,2013 年に無形文化遺産にも登録されたが, これまでに CKD 患者での影響を検討した報告はない 日本料理に関連する特徴的な食品は米であるが, その 米 由来のたんぱく質は, 現在でも日本人に最も多く摂取されている植物性たんぱく質である 2) ( 図 ) 精白米 はその大部分が炭水化物であるが,6% 程度のたんぱく質を含んでいる 一般的に米たんぱく質は体内で利用されにくく,DIAAS は 0.37 と低い しかし, アルカリ抽出法で精製した胚乳部分の米たんぱく質は消化性が改善され, 動物実験でカゼインたんぱく質と同等の体重増加効果が示されている 65) そして, この米 ( 胚乳 ) たんぱく質は, 非肥満 2 型糖尿病モデルである Goto-Kakizaki ラット 66) および肥満 2 型糖尿病モデルである Zuker Diabetic Fatty ラット 67) において, カゼインたんぱく質と比較して, アルブミン尿などの腎障害を改善すると報告されている いずれの検討も血糖コントロールに与える影響は少なく, 抗炎症作用や脂肪肝抑制作用が認められていたことから, 今後も更なる検討が期待される 透析患者では, たんぱく質摂取不足に関連した栄養障害, たんぱく質摂取に伴う過剰なリン摂取による骨病変や動脈硬化の進展, カリウムの蓄積などが問題になる 維持血液透析患者 50 例を対象として, 米 ( 胚乳 ) たんぱく質 (5 g/ 日,4 週間 ) 摂取群とプラセボ摂取群で行った RCT では, 前者で血清リンおよびカリウム濃度の上昇や消化器症状などの副作用を伴わずに, 血液透析患者における摂取たんぱく質の有効利用指標とされている normalized protein equivalent of nitrogen appearance(npna) が有意に増加していた 68) 米 ( 胚乳 ) たんぱく質は血液透析患者において安全かつ有効なたんぱく質補充源となる可能性が示されたが, この研究は 4 週間という短期間であり, その他の栄養学的なパラメータの改善効果も認められなかったことから, 更なる検

570 たんぱく質の質と腎臓との関係 食事パターンも含めて 食品別摂取量 たんぱく質摂取量 嗜好飲料類 30.6% 菓子類 1.3% 調味料 香辛料類 4.2% 穀類 ( 米 加工品 ) 15.1% 穀類 ( 小麦 加工品 ) 5.1% 野菜類 13.5% いも類 2.6% 豆類 3.1% 卵類 6.9% 乳類 6.4% 肉類 21.7% 菓子類 2.1% 嗜好飲料類 1.6% 調味料 香辛料類 5.4% 穀類 ( 米 加工品 ) 10.9% 穀類 ( 小麦 加工品 ) 9.9% いも類 0.8% 豆類 8.2% 野菜類 4.2% 乳類 6.7% 卵類 1.8% 肉類 4.8% 魚介類 3.2% 果実類 5.2% 魚介類 18.6% 果実類 0.8% 図日本人の摂取しているたんぱく質 ( 厚生労働省, 平成 29 年度国民健康 栄養調査報告書より作図 ) 討が必要である おわりにたんぱく質の評価法の最近の考え方,CKD 患者の食事療法としてのたんぱく質の質と腎臓との関係, 食事パターンと腎臓との関係について概説した たんぱく質摂取の量についてはよく議論されるが, 質に関する研究は十分とはいえない たんぱく質制限は CKD 患者に有益である一方, 低栄養リスクの諸刃の剣でもある 食事療法はその国 地域の文化そのものであるから, さまざまなパターンがある わが国独自の, 更なる臨床研究の発展が期待されている 利益相反自己申告 : 細島康宏 ; 亀田製菓 ( 寄附講座 ) 文献 1. 日本腎臓学会. 慢性腎臓病に対する食事療法基準 2014 年版. CKD の適正な体重に関する検討報告. 日腎会誌 2014;56 : 586 599. 2. 厚生労働省. 国民健康 栄養調査. https://www.mhlw.go.jp/ bunya/kenkou/kenkou_eiyou_chousa.html 3. FAO/WHO/UNU Expert Consultation. Energy and Protein Requirements. Technical Report Series. World Health Organ Tech Rep Ser 1985;724:1 206. 4. Rutherfurd SM, Fanning AC, Miller BJ, Moughan PJ. Protein digestibility-corrected amino acid scores and digestible indispensable amino acid scores differentially describe protein quality in growing male rats. J Nutr 2015;145:372 379. 5. Dietary protein quality evaluation in human nutrition. Report of an FAQ Expert Consultation. FAO Food Nutr Pap 2013;92:1 66. 6. Mafra D, Borges NA, Cardozo L, Anjos JS, Black AP, Moraes C, Bergman P, Lindholm B, Stenvinkel P. Red meat intake in chronic kidney disease patients:two sides of the coin. Nutrition 2018;46:26 32. 7. Lonnie M, Hooker E, Brunstrom JM, Corfe BM, Green MA, Watson AW, Williams EA, Stevenson EJ, Penson S, Johnstone AM. Protein for life:review of optimal protein intake, sustainable dietary sources and the effect on appetite in ageing adults. Nutrients 2018;10.

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