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33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or

10,000 L 30,000 50,000 L 30,000 50,000 L 図 1 白血球増加の主な初期対応 表 1 好中球増加 ( 好中球 >8,000/μL) の疾患 1 CML 2 / G CSF 太字は頻度の高い疾患 32

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2017 年 2 月 1 日放送 ウイルス性肺炎の現状と治療戦略 国立病院機構沖縄病院統括診療部長比嘉太はじめに肺炎は実地臨床でよく遭遇するコモンディジーズの一つであると同時に 死亡率も高い重要な疾患です 肺炎の原因となる病原体は数多くあり 極めて多様な病態を呈します ウイルス感染症の診断法の進歩に

2009年8月17日

スライド 1

「             」  説明および同意書

2017 年 8 月 9 日放送 結核診療における QFT-3G と T-SPOT 日本赤十字社長崎原爆諫早病院副院長福島喜代康はじめに 2015 年の本邦の新登録結核患者は 18,820 人で 前年より 1,335 人減少しました 新登録結核患者数も人口 10 万対 14.4 と減少傾向にあります

院内がん登録における発見経緯 来院経路 発見経緯がん発見のきっかけとなったもの 例 ) ; を受けた ; 職場の健康診断または人間ドックを受けた 他疾患で経過観察中 ; 別の病気で受診中に偶然 がん を発見した ; 解剖により がん が見つかった 来院経路 がん と診断された時に その受診をするきっ

1 8 ぜ 表2 入院時検査成績 2 諺齢 APTT ALP 1471U I Fib 274 LDH 2971U 1 AT3 FDP alb 4 2 BUN 16 Cr K4 O Cl g dl O DLST 許 皇磯 二 図1 入院時胸骨骨髄像 低形成で 異常細胞は認め

第51回日本小児感染症学会総会・学術集会 採択結果演題一覧

は減少しています 膠原病による肺病変のなかで 関節リウマチに合併する気道病変としての細気管支炎も DPB と類似した病像を呈するため 鑑別疾患として加えておく必要があります また稀ではありますが 造血幹細胞移植後などに併発する移植後閉塞性細気管支炎も重要な疾患として知っておくといいかと思います 慢性

耐性菌届出基準

入した場合には 経気道的な散布巣として臓側胸膜から 2-3mm 離れた内側に小葉中心性粒状影や tree-in-bud といわれる小葉中心性病変を呈しますが この所見をみた場合には呼吸器感染症を強く疑います 汎小葉性病変は 小葉間隔壁に囲まれた ほぼ 1, 2cm 四方の小葉内が細胞浸潤や滲出物ある

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

イルスが存在しており このウイルスの存在を確認することが診断につながります ウ イルス性発疹症 についての詳細は他稿を参照していただき 今回は 局所感染疾患 と 腫瘍性疾患 のウイルス感染検査と読み方について解説します 皮膚病変におけるウイルス感染検査 ( 図 2, 表 ) 表 皮膚病変におけるウイ

情報提供の例

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診断ワークショップ5

5. 死亡 (1) 死因順位の推移 ( 人口 10 万対 ) 順位年次 佐世保市長崎県全国 死因率死因率死因率 24 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 位 26 悪性新生物 350

名称未設定

に 真菌の菌体成分を検出する血清診断法が利用されます 血清 βグルカン検査は 真菌の細胞壁の構成成分である 1,3-β-D-グルカンを検出する検査です ( 図 1) カンジダ属やアスペルギルス属 ニューモシスチスの細胞壁にはβグルカンが豊富に含まれており 血液検査でそれらの真菌症をスクリーニングする

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CROCO について

1. 医薬品リスク管理計画を策定の上 適切に実施すること 2. 国内での治験症例が極めて限られていることから 製造販売後 一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は 全 症例を対象に使用成績調査を実施することにより 本剤使用患者の背景情報を把握するとともに 本剤の安全性及び有効性に関するデータを

60 秒でわかるプレスリリース 2006 年 4 月 21 日 独立行政法人理化学研究所 敗血症の本質にせまる 新規治療法開発 大きく前進 - 制御性樹状細胞を用い 敗血症の治療に世界で初めて成功 - 敗血症 は 細菌などの微生物による感染が全身に広がって 発熱や機能障害などの急激な炎症反応が引き起

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割合が10% 前後となっています 新生児期以降は 4-5ヶ月頃から頻度が増加します ( 図 1) 原因菌に関しては 本邦ではインフルエンザ菌が原因となる頻度がもっとも高く 50% 以上を占めています 次いで肺炎球菌が20~30% と多く インフルエンザ菌と肺炎球菌で 原因菌の80% 近くを占めていま

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症例報告書の記入における注意点 1 必須ではない項目 データ 斜線を引くこと 未取得 / 未測定の項目 2 血圧平均値 小数点以下は切り捨てとする 3 治験薬服薬状況 前回来院 今回来院までの服薬状況を記載する服薬無しの場合は 1 日投与量を 0 錠 とし 0 錠となった日付を特定すること < 演習

1. はじめに ステージティーエスワンこの文書は Stage Ⅲ 治癒切除胃癌症例における TS-1 術後補助化学療法の予後 予測因子および副作用発現の危険因子についての探索的研究 (JACCRO GC-07AR) という臨床研究について説明したものです この文書と私の説明のな かで わかりにくいと

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通常の市中肺炎の原因菌である肺炎球菌やインフルエンザ菌に加えて 誤嚥を考慮して口腔内連鎖球菌 嫌気性菌や腸管内のグラム陰性桿菌を考慮する必要があります また 緑膿菌や MRSA などの耐性菌も高齢者肺炎の患者ではしばしば検出されるため これらの菌をカバーするために広域の抗菌薬による治療が選択されるこ

されており これらの保菌者がリザーバーとして感染サイクルに関与している可能性も 考えられています 臨床像ニューモシスチス肺炎の 3 主徴は 発熱 乾性咳嗽 呼吸困難です その他のまれな症状として 胸痛や血痰なども知られています 身体理学所見には乏しく 呼吸音は通常正常です HIV 感染者に合併したニ

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2014 年 10 月 30 日放送 第 30 回日本臨床皮膚科医会② My favorite signs 9 ざらざらの皮膚 全身性溶血連鎖球菌感染症の皮膚症状 たじり皮膚科医院 院長 田尻 明彦 はじめに 全身性溶血連鎖球菌感染症は A 群β溶連菌が口蓋扁桃や皮膚に感染することにより 全 身にい

九州大学病院の遺伝子治療臨床研究実施計画(慢性重症虚血肢(閉塞

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適応病名とレセプト病名とのリンクDB

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01事務局頭紙(千葉大) 千葉大確認後 修正

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血 清 気 管 ク ロ ア カ ス ワ ブ : 各 10 検 体 細 菌 検 査 心 肺 肝 脾 全 血 顔 面 腫 脹 部 皮 下 ス ワ ブ を 血 液 寒 天 DHL 寒 天 チ ョ コ レ ー ト 寒 天 に ス タ ン プ ~ 48 時 間 好 気 微 好 気 培 養 ウ イ

白血病治療の最前線

別紙様式第1


糖尿病経口薬 QOL 研究会研究 1 症例報告書 新規 2 型糖尿病患者に対する経口糖尿病薬クラス別の治療効果と QOL の相関についての臨床試験 施設名医師氏名割付群記入年月日 症例登録番号 / 被験者識別コード / 1/12

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1

の主要な治療薬として日本ならびに世界で広く使用されている MTX の使用により 関節リウマチの臨床症状の改善 関節破壊進行抑制 QOL 改善のみならず 生命予後の改善や心血管合併症リスクが軽減されることが示されており 現在の関節リウマチ治療においては必要不可欠な薬剤である 1990 年前後から MT

主な検査所見 ( 月 日 )Hb 10.9 g/dl, 血小板 13.2 万 /μl, アルブミン 3.1 g/dl,ast 27 IU/l, ALT 27 IU/l,LDH 475 IU/l,BUN 16 mg/dl, クレアチニン 0.56 mg/dl, 血糖 173 mg/dl,hba1c 7

1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( はい / ) 上記外来の名称 対象となるストーマの種類 7 ストーマ外来の説明が掲載されているページのと は 手入力せずにホームページからコピーしてください 他施設でがんの診療を受けている または 診療を受けていた患者さんを

診療科 血液内科 ( 専門医取得コース ) 到達目標 血液悪性腫瘍 出血性疾患 凝固異常症の診断から治療管理を含めた血液疾患一般臨床を豊富に経験し 血液専門医取得を目指す 研修日数 週 4 日 6 ヶ月 ~12 ヶ月 期間定員対象評価実技診療知識 1 年若干名専門医取得前の医師業務内容やサマリの確認

がん化学(放射線)療法レジメン申請書

監 修 北 辰 会 有 澤 総 合 病 院 内 科 大 八 木 秀 和 1 時 間 目 子 宮 内 膜 症 名 古 屋 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 産 婦 人 科 中 原 辰 夫 NAKAHARA Tatsuo 月 経 困 腎 難 不 を 全 訴 とはどのような えて 来 院 される


医療機関用 FAX 患者さん用 待ち時間を短く患者さんが円滑に診療 検査を受けられるように 病院及び診療所の先生から 事前予約 をお受けしております 予約方法 1 紹介患者さん事前予約申込 FAX 用紙 に必要事項を記 入し 地域医療連携室まで FAX で送信してください 2 直ちに 予約をお取りし

Microsoft Word - ③中牟田誠先生.docx

葉酸とビタミンQ&A_201607改訂_ indd

研究課題名 臨床研究実施計画書 研究責任者 : 独立行政法人地域医療推進機構群馬中央病院 群馬県前橋市紅雲町 1 丁目 7 番 13 号 Tel: ( 内線 )Fax: 臨床研究期間 : 年月 ~ 年月 作成日 : 年月日 ( 第 版

疫学研究の病院HPによる情報公開 様式の作成について

48小児感染_一般演題リスト160909

Microsoft Word - 【要旨】_かぜ症候群の原因ウイルス


( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 花房俊昭 宮村昌利 副査副査 教授教授 朝 日 通 雄 勝 間 田 敬 弘 副査 教授 森田大 主論文題名 Effects of Acarbose on the Acceleration of Postprandial

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核医学分科会誌

臨床研究に関する研修会1

第1 総 括 的 事 項

する 研究実施施設の環境 ( プライバシーの保護状態 ) について記載する < 実施方法 > どのような手順で研究を実施するのかを具体的に記載する アンケート等を用いる場合は 事前にそれらに要する時間を測定し 調査による患者への負担の度合いがわかるように記載する 調査手順で担当が複数名いる場合には


ける発展が必要です 子宮癌肉腫の診断は主に手術進行期を決定するための子宮摘出によって得られた組織切片の病理評価に基づいて行い 組織学的にはいわゆる癌腫と肉腫の2 成分で構成されています (2 近年 子宮癌肉腫は癌腫成分が肉腫成分へ分化した結果 組織学的に2 面性をみる とみなす報告があります (1,

結核発生時の初期対応等の流れ

人 間 ドックコース( 脳 検 査 がん 検 査 含 む) 298,000 円 / 税 込 その 他 肥 満 症 やせ 症 高 / 低 血 圧 近 視 乱 視 白 内 障 緑 内 障 網 膜 疾 患 外 部 の 音 を 遮 断 したブースで 音 を 聞 き 取 って 調 難 聴 腹 部 超 音 波

(別添様式1)

ヒト慢性根尖性歯周炎のbasic fibroblast growth factor とそのreceptor

改訂後改訂前 << 効能 効果に関連する使用上の注意 >> 関節リウマチ 1. 過去の治療において 少なくとも1 剤の抗リウマチ薬 ( 生物製剤を除く ) 等による適切な治療を行っても 疾患に起因する明らかな症状が残る場合に投与すること 2. 本剤とアバタセプト ( 遺伝子組換え ) の併用は行わな

2012 年 11 月 21 日放送 変貌する侵襲性溶血性レンサ球菌感染症 北里大学北里生命科学研究所特任教授生方公子はじめに b 溶血性レンサ球菌は 咽頭 / 扁桃炎や膿痂疹などの局所感染症から 髄膜炎や劇症型感染症などの全身性感染症まで 幅広い感染症を引き起こす細菌です わが国では 急速な少子

 85歳(141

第71巻5・6号(12月号)/投稿規定・目次・表2・奥付・背

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というもので これまで十数年にわたって使用されてきたものになります さらに 敗血症 sepsis に中でも臓器障害を伴うものを重症敗血症 severe sepsis 適切な輸液を行っても血圧低下が持続する重症敗血症 severe sepsis を敗血症性ショック septic shock と定義して

8 整形外科 骨肉腫 9 脳神経外科 8 0 皮膚科 皮膚腫瘍 初発中枢神経系原発悪性リンパ腫 神経膠腫 脳腫瘍 膠芽腫 頭蓋内原発胚細胞腫 膠芽腫 小児神経膠腫 /4 別紙 5( 臨床試験 治験 )

2015 年 3 月 26 日放送 第 29 回日本乾癬学会 2 乾癬本音トーク乾癬治療とメトトレキサート 名古屋市立大学大学院加齢 環境皮膚科教授森田明理 はじめに乾癬は 鱗屑を伴う紅色局面を特徴とする炎症性角化症です 全身のどこにでも皮疹は生じますが 肘や膝などの力がかかりやすい場所や体幹 腰部

1. この臨床研究は患者さんの治療のためではなく 新たな診断の確立のために行われます 尿路感染症の重症度を診断する際には CRP やプロカルシトニンなどの炎症マーカーが使用されておりますが これらのマーカーは 炎症が起きてから血中に出てくるまで時間がかかったり 炎症が良くなっても血液中からなかなか消

なくて 脳以外の場所で起きている感染が 例えばサイトカインやケモカイン 酸化ストレスなどによって間接的に脳の障害を起こすもの これにはインフルエンザ脳症やH HV-6による脳症などが含まれます 三つ目には 例えば感染の後 自己免疫によって起きてくる 感染後の自己免疫性の脳症 脳炎がありますが これは

福島県のがん死亡の年次推移 福島県におけるがん死亡数は 女とも増加傾向にある ( 表 12) 一方 は 女とも減少傾向にあり 全国とほとんど同じ傾向にある 2012 年の全のを全国と比較すると 性では高く 女性では低くなっている 別にみると 性では膵臓 女性では大腸 膵臓 子宮でわずかな増加がみられ

緑膿菌 Pseudomonas aeruginosa グラム陰性桿菌 ブドウ糖非発酵 緑色色素産生 水まわりなど生活環境中に広く常在 腸内に常在する人も30%くらい ペニシリンやセファゾリンなどの第一世代セフェム 薬に自然耐性 テトラサイクリン系やマクロライド系抗生物質など の抗菌薬にも耐性を示す傾

第58回日本臨床細胞学会 Self Assessment Slide

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Kyushu Medical Center

391U/l γgtp 103U/l ALP 174U/l Na 135mEq/l K 4.2mEq/l Cl 96mEq/l BUN 15mg/dl Cre 0.52mg/dl CRP 0.34mg/dl CMV C7HRP 44/50,000 入院後経過 入院時 CMV抗原強陽性であった 化学療法での免疫 低下に伴う状態悪化を危惧し 抗ウイルス薬投与により 加療を行った 速やかにデータは改善し 陰性化を確認し たのち化学療法を開始した 前回レジメンのGDP療法 ゲムシタビン デカドロン シスプラチン により肺門部 リンパ節病変は著明に縮小し 治療効果認めていた しか し 化学療法後より酸素化の低下を認め ゲムシタビン投 与に伴う薬剤性の間質性肺炎も鑑別の一つとなっていた この経過より 今回GEMの投与は見合わせESHAP療法 エトポシド シスプラチン シタラビン メチルプレドニ ゾロン を選択した 化学療法7日目より38 台の発熱お よび血圧低下 意識レベル低下(JCSⅠ-2)が出現した 長 期のステロイド投与に引き続きレジメンでの大量ステロ イド投与が終了した時期であったため 離脱症状を疑い ステロイド投与を行った また 敗血症の可能性も考慮し て抗菌薬の投与を開始した 結果的に血液培養で原因菌 の検出はなかった 治療は奏功し発熱 循環動態は速やか に改善したが意識レベルの低下は遷延した 11日目に再 度38 台の発熱が出現し 意識レベルも低下(Ⅱ-10)し た 胸部レントゲン 胸部CTでは間質影の増強および左 下葉背側の区域性の浸潤影を認め ウイルス性肺炎や意 識障害による誤嚥性肺炎も疑われる所見であった 頭部 造影MRIでは FLAIR像で小脳半球 後頭葉から頭頂葉脳 表主体に造影効果を伴う高信号を認め 髄膜炎や腫瘍浸 潤を疑う所見であった 臨床的に免疫低下による感染症 を疑い 抗菌薬や抗ウイルス薬 抗真菌薬で加療行ったが 状態改善は認めなかった その後も酸素化および意識レ ベルの低下は進行し 非侵襲的陽圧換気を導入したが こ の時点でご家族は より侵襲的な治療介入は希望されず 15日目に無尿となり18日目に永眠された 病理診断 1 ホジキンリンパ腫 化学療法 同種末梢血肝細胞 移植後 剖検時寛解の状態 2 肺出血 肺水腫 びまん性肺胞障害疑い (肺重量 左 980g, 右1110g) 3 肝線維化 (うっ血性肝障害 類洞閉塞症候群疑い) 4 右副腎線維化 5 急性尿細管壊死疑い 6 心肥大 (心重量 390g) 7 大動脈粥状硬化 軽度 8 腔 水 症 ( 胸 水 左 右 と も に 2 0 0 m l 淡 血 性, 腹 水 800ml漿液性) 縦隔リンパ節 臨床経過 MEPM 細胞の残存は認められなかった 骨髄にも異型細胞は認 められなかった 原疾患に対する治療は奏功していたと 考えられる 意識障害の原因として臨床的にはウイルス 性髄膜炎の可能性が考えられていたが 剖検時activeな 炎症所見は認められなかった しかしながらくも膜下に はやや組織球が目立ち 髄膜炎の既往はあったものと推 察される PAS, グロコット染色にて真菌(-) 免疫染色で はCMV(-), HSV1(-), HSV2(-)であった 肺は両側とも著 明な重量の増加が認められ 含気は乏しい状態であった 組織学的には両側いずれの部位においても高度の肺出 血 肺水腫が認められた 肺胞隔壁は浮腫状で 不明瞭 非 典型的ながら硝子膜の形成もうかがわれることから び まん性肺胞障害の可能性も考えられる 直接死因として はARDSからの呼吸不全が第一に考えられる ARDSに 至った原因は不明であるが 少なくとも剖検時において 特異的な感染所見や腫瘍細胞の浸潤は認められなかっ た 右副腎の陳旧性の線維化巣は腫瘍細胞が消退したも のと考えられ 本症例における意識障害の原因とは考え がたい 肝臓で見られた肝細胞の変性や類洞におよぶ線 維化はうっ血肝 化学療法に伴う類洞閉塞症候群の可能 性が考えられる 右肺下葉 TAZ/PIPC VCM G-CSF steroid ACV PFA L-AMB O2投与 髄液採取 40 39 38 考 察 37 36 day7 day8 day9 Ⅰ day10 day11 Ⅱ day12 day13 day14 day15 day16 day17 day18 解剖所見 剖検時リンパ節の腫大は乏しく 特に目立った縦隔リ ンパ節においても線維性瘢痕が見られるのみであり腫瘍 当症例は 化学療法抵抗性のホジキンリンパ腫に対す る同種末梢血幹細胞移植施行後に再発し 化学療法によ る加療継続中であった 剖検では リンパ節の腫大は乏し く 肉眼的に腫大が目立った縦隔リンパ節においても腫 瘍細胞の残存は認めず リンパ腫の消退後変化と推察さ れる繊維性瘢痕のみであった 骨髄にも異型細胞は認め られず 剖検所見上は寛解の状態であると考えられた 意

391U/l γgtp 103U/l ALP 174U/l Na 135mEq/l K 4.2mEq/l Cl 96mEq/l BUN 15mg/dl Cre 0.52mg/dl CRP 0.34mg/dl CMV C7HRP 44/50,000 入院後経過 入院時 CMV抗原強陽性であった 化学療法での免疫 低下に伴う状態悪化を危惧し 抗ウイルス薬投与により 加療を行った 速やかにデータは改善し 陰性化を確認し たのち化学療法を開始した 前回レジメンのGDP療法 ゲムシタビン デカドロン シスプラチン により肺門部 リンパ節病変は著明に縮小し 治療効果認めていた しか し 化学療法後より酸素化の低下を認め ゲムシタビン投 与に伴う薬剤性の間質性肺炎も鑑別の一つとなっていた この経過より 今回GEMの投与は見合わせESHAP療法 エトポシド シスプラチン シタラビン メチルプレドニ ゾロン を選択した 化学療法7日目より38 台の発熱お よび血圧低下 意識レベル低下(JCSⅠ-2)が出現した 長 期のステロイド投与に引き続きレジメンでの大量ステロ イド投与が終了した時期であったため 離脱症状を疑い ステロイド投与を行った また 敗血症の可能性も考慮し て抗菌薬の投与を開始した 結果的に血液培養で原因菌 の検出はなかった 治療は奏功し発熱 循環動態は速やか に改善したが意識レベルの低下は遷延した 11日目に再 度38 台の発熱が出現し 意識レベルも低下(Ⅱ-10)し た 胸部レントゲン 胸部CTでは間質影の増強および左 下葉背側の区域性の浸潤影を認め ウイルス性肺炎や意 識障害による誤嚥性肺炎も疑われる所見であった 頭部 造影MRIでは FLAIR像で小脳半球 後頭葉から頭頂葉脳 表主体に造影効果を伴う高信号を認め 髄膜炎や腫瘍浸 潤を疑う所見であった 臨床的に免疫低下による感染症 を疑い 抗菌薬や抗ウイルス薬 抗真菌薬で加療行ったが 状態改善は認めなかった その後も酸素化および意識レ ベルの低下は進行し 非侵襲的陽圧換気を導入したが こ の時点でご家族は より侵襲的な治療介入は希望されず 15日目に無尿となり18日目に永眠された 病理診断 1 ホジキンリンパ腫 化学療法 同種末梢血肝細胞 移植後 剖検時寛解の状態 2 肺出血 肺水腫 びまん性肺胞障害疑い (肺重量 左 980g, 右1110g) 3 肝線維化 (うっ血性肝障害 類洞閉塞症候群疑い) 4 右副腎線維化 5 急性尿細管壊死疑い 6 心肥大 (心重量 390g) 7 大動脈粥状硬化 軽度 8 腔 水 症 ( 胸 水 左 右 と も に 2 0 0 m l 淡 血 性, 腹 水 800ml漿液性) 縦隔リンパ節 臨床経過 MEPM 細胞の残存は認められなかった 骨髄にも異型細胞は認 められなかった 原疾患に対する治療は奏功していたと 考えられる 意識障害の原因として臨床的にはウイルス 性髄膜炎の可能性が考えられていたが 剖検時activeな 炎症所見は認められなかった しかしながらくも膜下に はやや組織球が目立ち 髄膜炎の既往はあったものと推 察される PAS, グロコット染色にて真菌(-) 免疫染色で はCMV(-), HSV1(-), HSV2(-)であった 肺は両側とも著 明な重量の増加が認められ 含気は乏しい状態であった 組織学的には両側いずれの部位においても高度の肺出 血 肺水腫が認められた 肺胞隔壁は浮腫状で 不明瞭 非 典型的ながら硝子膜の形成もうかがわれることから び まん性肺胞障害の可能性も考えられる 直接死因として はARDSからの呼吸不全が第一に考えられる ARDSに 至った原因は不明であるが 少なくとも剖検時において 特異的な感染所見や腫瘍細胞の浸潤は認められなかっ た 右副腎の陳旧性の線維化巣は腫瘍細胞が消退したも のと考えられ 本症例における意識障害の原因とは考え がたい 肝臓で見られた肝細胞の変性や類洞におよぶ線 維化はうっ血肝 化学療法に伴う類洞閉塞症候群の可能 性が考えられる 右肺下葉 TAZ/PIPC 識障害については MRI所見ではFLAIR像において脳表 にGd造影による増強効果を伴う高信号を認め 髄膜炎や 腫瘍浸潤を疑う所見であった 一方で 髄液所見では蛋 白 細胞数の上昇や糖の低下は認めず 細菌 真菌による 中枢神経感染症は否定的であり 原疾患の中枢浸潤やウ イルス性の髄膜炎等が疑われた また 髄液中に腫瘍細胞 は検出されなかったが 髄液中IL-10値は18pg/mlと著明 な上昇を認めていた 髄液中IL-10の上昇は非ホジキンリ ンパ腫の中枢神経病変で比較的特徴的な所見とされてい るが 中枢神経浸潤自体が非常にまれであるとされるホ ジキンリンパ腫においては その有用性は不明である 剖 委員会報告 検では 肉眼的に髄膜炎を示唆する所見は乏しく 組織学 的にくも膜下への組織球の浸潤も軽度にとどまってお り 異型細胞の浸潤も認めなかった 呼吸障害について 胸部CTではびまん性の透過性低下および間質影の増強 を認め 臨床経過から薬剤やウイルス性の肺炎を考慮し 対応したが治療抵抗性であった 剖検では 極めて高度の 肺水腫 肺出血が認められ びまん性肺胞障害を疑う所見 であった 以上の所見より 直接死因としては何らかの炎 症等から惹起されたARDSによる呼吸不全が想定される が 剖検所見においてもARDSの原因となるactiveな炎症 や腫瘍浸潤の所見は認められなかった Kyushu Medical Center 倫理審査の効率化への取り組み 臨床試験支援センター 麻生嶋 和子 近 年の臨床研究の多様化と臨床研究をめぐる不正事 案が発生したことなどから 疫学研究に関する倫 理指針 及び 臨床研究に関する倫理指針 が統合され 人を対象とする医学系研究に関する倫理指針 が本年4 月より施行されたことは ご承知のことと思います 当院 の倫理審査委員会への申請は 年々増加しており 2014 年度の臨床研究の新規申請は150課題を超えました こ のように課題数の増加や研究の多様化している状況で データの信頼性を確保 被験者の人権保護など 指針上の 重要な項目について 倫理審査委員会で十分な審議が行 うことができるように 審査の効率化が必要と考え 委員 長の指導のもと 今年度より事前審査を行うことにいた しました 昨年度までは 申請月の事務局の担当者が申請 課題ごとに倫理指針と照らし合わせて申請資料の確認作 業を行い 申請資料を整えたあと 委員長と事務局で審議 が円滑に進むように重点的に審議する点について打ち合 わせしていました 今年度からは申請資料の一次チェッ クが終わったあとに 倫理審査委員会事務局メンバー 副 事務局長 CRC 申請担当事務 で事前審査を行っていま す 事務局では 課題ごとに 被験者保護 研究の透明性 などの研究の倫理面について 指針と照らし合わせなが ら 入念に申請資料を確認しています 最近は 当院の研 究者が作成した介入研究の申請も増加傾向にあり 科学 的な妥当性と正当性 についても さらに十分な審査が必 要であるため 複数の診療科の先生方にもアドバイザー の立場で 事前審査にご協力いただくようになりました 事前審査でのアドバイスや疑義事項などは申請者にフィ ードバックして申請資料を最終版に確定し 倫理審査委 員会に臨んでいます 事前審査以外にも 論文投稿や学会発表を行う院内研 究に関しては 月一回審査から 指名された委員による 迅速審査に審査方法を変更し 審査の効率化を図ってい ます このように今年度からさらに多くの方々に倫理審査委 員会の業務に関わっていただくことで 審査の効率化だ けでなく より細やかな審査ができるようになりました 倫理審査委員会事務局では 微力ではありますが 研究 者の皆さんの支援をさせていただきたいと考えておりま すので 今後ともご協力お願いいたします VCM G-CSF steroid ACV 臨床試験支援センター PFA L-AMB O2投与 40 当院における研究者への 教育 研修システムについて 髄液採取 39 臨床研究支援センター 38 考 察 37 36 day7 day8 day9 Ⅰ day10 day11 Ⅱ day12 day13 day14 day15 day16 day17 day18 解剖所見 剖検時リンパ節の腫大は乏しく 特に目立った縦隔リ ンパ節においても線維性瘢痕が見られるのみであり腫瘍 当症例は 化学療法抵抗性のホジキンリンパ腫に対す る同種末梢血幹細胞移植施行後に再発し 化学療法によ る加療継続中であった 剖検では リンパ節の腫大は乏し く 肉眼的に腫大が目立った縦隔リンパ節においても腫 瘍細胞の残存は認めず リンパ腫の消退後変化と推察さ れる繊維性瘢痕のみであった 骨髄にも異型細胞は認め られず 剖検所見上は寛解の状態であると考えられた 意 荒木 志乃 臨 床研究については 臨床研究に関する倫理指針 及び 疫学研究に関する倫理指針 によりその適正 な実施が図られてきましたが 近年の研究の多様化に伴 い両指針の適用関係が不明確になってきたことや 近年 の研究をめぐる不適正事案が発生したことなどを踏まえ て 両指針を統合する形で 人を対象とする医学系研究に Kyushu Medical Center 関する倫理指針 新指針 が平成27年4月から施行され ました 新指針は 研究の信頼性確保 に重点をおいた内 容となっており 研究者への教育 研修に関する規定が新 たに追加されました 教育 研修の内容には 研究活動に おける不正行為や 研究活動に係る利益相反等も含まれ 当院においても教育 研修システムの構築が求められま した 当院では 国立病院機構本部が導入したCITI Japan教 育研修プログラムを活用して研究者への教育 研修を行 っていくこととしました 研究者の教育 研修受講の有無 については 倫理審査申請書の様式を変更することで確

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