薬剤性間質性肺炎 要旨 あらゆる薬剤, 健康食品, サプリメントが薬剤性肺障害の原因となり得る. 特に近年では, 幅広い疾患領域で分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬等の新規薬剤の適応が広がり, さまざまな専門領域の医師が薬剤性間質性肺炎の診療に関わる機会が増加している. これら薬剤の投与時には慎重な事前評価及び投与中のモニタリングを実施し, 異常を認めた場合には速やかに呼吸器内科医と連携しつつ, 適切な対応を取っていく必要がある. 堀益靖 服部登 日内会誌 110:1099~1105,2021 Key words 分子標的治療薬, 免疫チェックポイント阻害薬, びまん性肺胞傷害 (DAD) はじめに薬剤性肺障害は, 薬剤を投与中に起きた呼吸器系の障害のなかで, 薬剤と関連があるもの と定義されている. ほとんどの薬剤で肺障害の詳細な発症機序は不明であるが, 活性酸素種やプロテアーゼ等を介して薬剤そのものが直接的に呼吸器系の障害を引き起こす機序や, 薬剤が血中の蛋白と結合することで免疫原性を獲得し, 免疫応答を惹起して呼吸器系の障害を来たす機序等が想定されている 1). ここでいう 呼吸器系の障害 には, 肺胞出血, 好酸球性肺炎, 肺水腫, 間質性肺炎等の肺実質及び間質を首座とする病態, 胸膜炎等の胸膜疾患, 気管支喘息等の気道疾患等, ありとあらゆる呼吸器系の障害が含まれている. 一方で, 本邦における医薬品副作用データベースによると, 薬剤性肺障害のうち, 実に80% 以上を占める臨床病型は間質性肺炎であり, 特に最近は分子標的治療薬や免 疫チェックポイント阻害薬の適応拡大に伴って薬剤性間質性肺炎に対する注目度が増している. そこで, 本稿では, 薬剤性肺障害のうち, 特に間質性肺炎に焦点を絞り,2018 年に日本呼吸器学会から発行された 薬剤性肺障害の診断 治療の手引き第 2 版 に基づきながら 2), その疫学から診断, 治療, 予後に至るまでを概説していくことにする. 1. 薬剤性間質性肺炎の疫学 1) 間質性肺炎の観点から図 1に,2001~2017 年に広島大学病院呼吸器内科を受診した間質性肺炎患者 718 名の最終的な臨床診断をまとめた. 最も多い特発性間質性肺炎が約 3 割を占め, 以下, 膠原病肺 (23.1%), 過敏性肺炎 (13.0%), そして, 薬剤性間質性肺炎 (11.6%) の上位 4 疾患群で全体 広島大学病院呼吸器内科 Key Points of Respiratory Care Required for General Physician. Topics:VI. Drug induced interstitial pneumonia. Yasushi Horimasu and Noboru Hattori:Department of Respiratory Medicine, Hiroshima University Hospital, Japan. 1099
放射線肺炎 28(3.9%) 薬剤性間質性肺炎 83(11.6%) その他 44(6.1%) 特発性間質性肺炎 250(34.8%) 膠原病肺 166(23.1%) 過敏性肺炎 93(13.0%) 感染症 28(3.9%) サルコイドーシス 26(3.6%) 0% 20% 40% 60% 80% 100% 図 1 当院の間質性肺炎患者の臨床診断内訳 2001~2017 年に広島大学病院呼吸器内科を受診した間質性肺炎患者 718 名の最終的な臨床診断. の80% 以上を占めていた. 従って, 間質性肺炎の患者を診た際には, まずこれら4 疾患群を必ず念頭に置いて鑑別診断を進めていく必要があり, 詳細な薬剤使用歴の聴取をはじめとした薬剤性間質性肺炎の精査は極めて重要と言える. 2) 使用薬剤の観点から薬剤性間質性肺炎の頻度は使用薬剤によって異なる. 薬剤性肺障害の診断 治療の手引き第 2 版 に記載されている薬剤性間質性肺炎を引き起こす主要な薬剤を表 1に挙げたが 2), これら薬剤における薬剤性間質性肺炎の添付文書上の頻度は, 古くから間質性肺炎のハイリスク薬として知られていたブレオマイシンで10%, アミオダロンで1.9%, メトトレキサートで0.1~ 5% 未満とされている. また,2002 年に非小細胞肺癌治療薬として承認され, その後に間質性肺炎に関する 緊急安全性情報 が発出されたゲフィチニブで1~10% 未満, 腎細胞癌, 乳癌等で広く使われているエベロリムスで11.6% 等,2000 年代以降は分子標的治療薬による薬剤性肺障害の報告が急増した. さらに, 近年急速に適応拡大が進んでいる免疫チェックポイント阻害薬では, ニボルマブで3.2~6.8%, ペムブ ロリズマブで4.1%, アテゾリズマブで2.7% 等となっている. このように, 近年は分子標的薬, 免疫チェックポイント阻害薬を中心とした抗悪性腫瘍薬による薬剤性間質性肺炎の報告が多くなっているが, その他の薬剤でも肺障害を来たすリスクは少なからず存在し, 時にはサプリメントや健康食品によって発症した例もあることから, あらゆる薬剤が薬剤性肺障害 間質性肺炎を来たし得るという意識を持っておくことが重要である. 2. 薬剤性間質性肺炎の臨床病型一般に 間質性肺炎 とは多数の疾患の集合を指す名称であり, 原因不明の間質性肺炎である特発性間質性肺炎についても, 高分解能 CT (high-resolution computed tomography:hrct) 所見と病理所見に基づいて, 特発性肺線維症 (idiopathic pulmonary fibrosis:ipf), 非特異性間質性肺炎 (nonspecific interstitial pneumonia: NSIP) ならびに特発性器質化肺炎 (cryptogenic organizing pneumonia:cop) 等の分類が存在する. 薬剤性間質性肺炎についても, 表 2に示すとおり, 主としてHRCT 所見に基づいて臨床病型 1100
表 1 薬剤性間質性肺炎を引き起こす主要な薬剤 ( 文献 2 より改変して引用 ) 分子標的薬 分類 免疫チェックポイント阻害薬 抗リウマチ薬 殺細胞性抗悪性腫瘍薬 抗不整脈薬 免疫抑制薬 その他 薬剤名 ゲフィチニブ, エルロチニブ等の EGFR-TKI エベロリムス, テムシロリムス等の mtor 阻害薬ボルテゾミブ等のプロテアソーム阻害剤 ニボルマブ, ペムブロリズマブ等の PD-1 抗体アテゾリズマブ, デュルバルマブ等の PD-L1 抗体イピリムマブ等の CTLA-4 抗体 メトトレキサート, レフルノミド, ペニシラミン, 金製剤 ブレオマイシン, ぺプロマイシン アミオダロン シクロホスファミド インターフェロン EGFR:epidermal growth factor receptor,tki:tyrosine kinase inhibitor,mtor: mechanistic target of rapamycin,pd-1:programmed cell death 1,PD-L1:programmed cell death 1 ligand 1,CTLA-4:cytotoxic T-lymphocyte-associated protein 4 表 2 薬剤性間質性肺炎の臨床病型 代表的な臨床病型画像所見の特徴臨床上の特徴 びまん性肺胞傷害 (DAD) びまん性すりガラス影 浸潤影最重症の病型であり, 生命予後も不良 器質化肺炎 (OP) 斑状分布の浸潤影 すりガラス影ステロイドへの反応性が良好の場合が多い 非特異性間質性肺炎 (NSIP) 好酸球性肺炎 (EP) 均一に広がる網状影 すりガラス影 汎小葉性すりガラス影 浸潤影と小葉間隔壁の肥厚 線維化が進展することもあり, 一般に OP より予後不良 ステロイドへの反応性が良好の場合が多い 過敏性肺炎 (HP) びまん性の淡いすりガラス影ステロイドへの反応性が良好で予後良好 EP:eosinophilic pneumonia,hp:hypersensitivity pneumonitis の細分化がなされている 2). この分類に関する詳しい説明は割愛するが, 重要なことは, これらの臨床病型ごとに薬剤性間質性肺炎の予後が異なるという点である. 特に両側肺野に広範に広がるすりガラス影を特徴とするびまん性肺胞傷害 (diffuse alveolar damage:dad) パターンでは, 急速に呼吸不全が進行して極めて不良な転帰をとり得ることに注意が必要である. 図 2 に当院で診断した薬剤性間質性肺炎症例の HRCT 画像を示すが, このうちDADパターンを呈した2 例はいずれも1カ月以内に死亡に至った一方で, その他の2 例はステロイド治療が奏効して回復した. 3. ハイリスク薬の使用に際しての注意点 1) 薬剤投与前の評価前述のとおり, あらゆる薬剤が薬剤性肺障害 間質性肺炎を来たし得るという認識は極めて重要であるが, 一方で, 特に薬剤性間質性肺炎を来たしやすいハイリスク薬が存在するのも事実であり, これら薬剤の使用時には特に慎重な事前評価ならびに投与中のモニタリングが重要である. 投与前の評価としては, 呼吸数や SpO2 の異常がないことを確認し, 胸部単純 X 線写真,HRCTで既存の肺疾患の有無を確認する. 1101
a b c d 図 2 薬剤性間質性肺炎患者の代表的な HRCT 画像 a: 56 歳男性, 食道癌に対しニボルマブ投与中. びまん性肺胞傷害 (DAD) パターンの薬剤性間質性肺炎を呈し,3 週後に死亡した. b: 64 歳男性, 肺癌に対しゲムシタビン投与後.DAD パターンの薬剤性間質性肺炎を呈し,2 週後に死亡した. c: 75 歳男性, 悪性胸膜中皮腫に対しニボルマブ投与中. 器質化肺炎パターンの薬剤性間質性肺炎を呈し, ステロイドに反応して回復した. d: 68 歳男性, 尿路感染に対しレボフロキサシン投与中. 過敏性肺炎パターンの薬剤性間質性肺炎を呈し, ステロイドに反応して回復した. あわせてKL-6(Krebs von den Lungen-6),SP (surfactant protein)-a,sp-d 等の血清マーカーを測定し, 問題がないことを確認する. この時点で明らかな間質性肺炎の画像所見や血清マー カー上昇を認める場合は, 投与の可否を再検討のうえで呼吸器専門医への相談が必要である. 過去に行われたゲフィチニブによる肺障害に関するコホート内症例対照研究では,performance 1102
表 3 薬剤性肺障害の診断基準 診断基準 1 原因となる薬剤の摂取歴がある 2 当該薬剤による類似病型の肺障害が過去に報告されている 3 他の原因疾患が否定できる 4 被疑薬の中止により症状が改善する 5 被疑薬の再投与により増悪する 注釈 投与中のみならず, 投与終了後に発症する場合があることに注意が必要 PNEUMOTOXonline(http://www.pneumotox. com/) や医薬品医療機器総合機構 (http://www. pmda.go.jp/) 等, 過去の薬剤性肺障害に関する報告をまとめたインターネットサイト等を活用 問診や諸検査による鑑別診断が重要 必ずしも中止のみでは改善しない場合もある 致死的肺障害を誘発するリスクがあるため, 意図的な再投与は一般的には推奨されない statusの低下, 高齢者, 喫煙歴, 画像所見で既存の間質性肺炎を認めるか, または正常肺の面積が少ないこと等が挙げられており, たとえ間質性肺炎を認めなくとも高度な気腫化により正常肺が少ない場合等は注意が必要である 3). さらに, 当施設で非小細胞肺癌に対し免疫チェックポイント阻害薬を投与された患者に関する最近の検討では, 間質性肺炎との診断に至らない程度の,HRCT でしか指摘し得ないごく軽度な間質異常影 (interstitial lung abnormalities:ila) であっても薬剤性間質性肺炎のリスク因子となることが明らかとなった 4). これらの点からも, 投与前評価の際には胸部単純 X 線写真や通常の CT 検査のみならず, 肺野のHRCTを用いて評価することが重要と考える. 2) 薬剤投与中のモニタリング薬剤投与中のモニタリング項目としては, 乾性咳や息切れ, 呼吸困難, 発熱等の自覚症状, 呼吸数やSpO2 に加えて背部の聴診を必ず行い, 吸気終末での捻髪音の有無を注意深く観察する. 加えて, 胸部単純 X 線写真やHRCT 等の画像検査,KL-6,SP-A,SP-D 等も可能な限り定期的に実施する. 間質性肺炎の早期診断にはHRCTが最も有用であるが, 毎回の受診ごとにCTを撮影するのは現実的ではないことから, 特に自覚症状やSpO2 及び聴診所見の変化を常に意識して確認することが重要である. 4. 薬剤性間質性肺炎の診断 1) 薬剤性間質性肺炎を疑うとき薬剤性間質性肺炎を疑った場合, 表 3に示す薬剤性肺障害の診断基準をもとに診断を進める 5). このうち,1については, 現在投与中の薬剤のみならず, 中止後間もない薬剤についても注意が必要である. また, 分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬等のハイリスク薬が投与されていると, つい他の併用薬の確認を怠りがちになるが, 全ての併用薬, 健康食品, サプリメントに至るまで慎重に調べることが重要である. また,2については, 例えば, アミオダロンやゲフィチニブ等長年に亘る使用経験がある薬剤ならば過去の類似病型の報告が十分参考になるが, 使用経験の浅い新規薬剤等では過去の類似病型の報告がないからといって薬剤性間質性肺炎を否定する根拠にはならない. さらに,4,5についても, 表 3 中に記したとおり, 必ずしも当てはまるとは限らない. 従って, 現実的には,1と3を共に満たした場合には薬剤性間質性肺炎の可能性が高いと考えるのが妥当である. 以下, 他疾患の除外について項を分けて述べることにする. 1103
2) 薬剤性間質性肺炎と鑑別を要する疾患 鑑別診断の進め方前述のとおり, 一般的に間質性肺炎の鑑別診断として特に重要なのは, 特発性間質性肺炎, 膠原病肺, 過敏性肺炎ならびに薬剤性間質性肺炎の4つである. 従って, 薬剤性間質性肺炎を疑った際の鑑別診断としては, まず膠原病肺と過敏性肺炎の2つが重要となる. これに加えて, 担癌状態の患者や抗癌薬使用中の患者では免疫能が低下するため, ニューモシスチス肺炎, サイトメガロウイルス肺炎等の日和見感染症にも注意が必要である. また, 当該地域における新型コロナウイルスの感染状況に応じた対応も必要となる. そこで, まず住環境や職場環境を中心に詳細な問診を行うと同時に, 関節腫脹や特徴的な皮疹の有無等膠原病を示唆する身体所見について詳細な視診 触診を行う. そのうえで, 抗核抗体,MPO(myeloperoxidase)-ANCA(anti-neutrophil cytoplasmic antibody),pr3(proteinase 3)-ANCA, リウマトイド因子等の測定を行い, 必要に応じてBNP(brain natriuretic peptide) や抗トリコスポロン アサヒ抗体等も確認する. さらに, 感染症の鑑別のため,β-D グルカン, サイトメガロウイルス抗原検査等を行う. 場合によっては, これらの問診 血液検査を実施する前にまずSARS-CoV-2(severe acute respiratory syndrome coronavirus 2) のPCR(polymerase chain reaction) 検査または抗原検査を行うことも考慮すべきである. 3) 薬剤リンパ球刺激試験 (DLST) の位置付け薬剤リンパ球刺激試験 (drug-induced lymphocyte stimulation test:dlst) とは, 患者リンパ球を被疑薬と反応させて 3 H-チミジンの取り込みを測定することで, 患者リンパ球の分裂, 分化の程度を測る検査である. 薬剤性肺障害に対しては保険適用外であるが, 被疑薬の推定のために実施されることがある. しかし, 抗悪性腫 瘍薬等では偽陰性が多く, 逆に小柴胡湯やメトトレキサートでは偽陽性が多いこと, さらに免疫チェックポイント阻害薬での有用性も不明であること等から, 検査結果の解釈には注意を要する. 5. 薬剤性間質性肺炎の治療治療の大原則は原因薬剤の中止であり, 可能な限り被疑薬の中止を試みるが, 中止困難な場合には類縁薬に変更する等の対応をとる. また, 免疫チェックポイント阻害薬や一部の分子標的治療薬等では,Common Terminology Criteria for Adverse Events (CTCAE) のグレード分類に応じた対応が適正使用ガイドラインに記載されているため, 参考にしながら対応を決める. 薬剤中止後にも症状が不変であったり増悪したりする場合, 及び低酸素血症を伴う場合等は副腎皮質ステロイドの使用を考慮する. ステロイドの用量及び治療期間に関する前向きな検討はないが, プレドニゾロン0.5~1.0 mg/kg/ 日程度で開始し, 漸減しながら概ね2~3カ月程度で終了する. ただし, 改善が顕著であればより短い期間, 改善が乏しければより長い期間をかけるようにする.PaO2<60 Torrの呼吸不全を呈する場合やDADパターンを認める場合は, メチルプレドニゾロン500~1,000 mg/ 日を3 日間投与するパルス療法をまず行った後, 上記のプレドニゾロン治療に移行する. 患者の呼吸状態に応じて酸素療法や侵襲的 / 非侵襲的人工呼吸療法等も適宜併用する. なお,IPF 急性増悪の治療で用いられることがあるシクロスポリンやタクロリムス等の免疫抑制薬, 及び好中球エラスターゼ阻害薬については, 薬剤性間質性肺炎における確立されたエビデンスは存在しない. 6. 薬剤性間質性肺炎の予後治療への反応性は病型によって異なり, 器質 1104
化肺炎パターン, 好酸球性肺炎パターン及び過敏性肺炎パターンを呈するものは, 原因薬剤の中止のみで軽快することがあるうえにステロイドに対する反応性も期待できる. 一方で, 既に述べたとおり,DADパターンを呈するものは一般にステロイドへの反応性が乏しい. 従って, これらの病型のなかではDADパターンが最も予後不良と考えられる. 一方で, 当然ながら薬剤性間質性肺炎の予後には原疾患が大きく関与しており, 原因薬剤が抗悪性腫瘍薬であることが, 肺障害発症後 3カ月以内の死亡と有意に相関していたとする報告もある 2). まとめ薬剤性肺障害のうち大半を占める薬剤性間質 性肺炎について, その疫学から診断, 治療, 予 後等を概説した. 特に近年では, 多種多様な分 子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬が 次々と使用されるようになり, さまざまな専門 領域の医師が薬剤性間質性肺炎の診療に関わる 機会が増加している. 改めて, ありとあらゆる 薬剤が薬剤性肺障害 間質性肺炎を来たし得る ことを認識し, 特にハイリスク薬の使用に際し ては慎重な事前評価及び投与中のモニタリング を実施することが重要である. そして, 異常を 認めた場合には速やかに呼吸器専門医と連携し つつ, 被疑薬の中止やステロイド治療等を含め た適切な対応を取っていくことのできる体制づ くりが望まれる. 著者の COI(conflicts of interest) 開示 : 本論文発表内容に関連して特に申告なし 文献 1 ) Matsuno O : Drug-induced interstitial lung disease : mechanisms and best diagnostic approaches. Respir Res 13 : 39, 2012. 2 ) 日本呼吸器学会薬剤性肺障害の診断 治療の手引き第 2 版作成委員会編 : 薬剤性肺障害の診断 治療の手引き. 第 2 版, メディカルレビュー, 大阪,2018. 3 ) Kudoh S, et al : Interstitial lung disease in Japanese patients with lung cancer : a cohort and nested case-control study. Am J Respir Crit Care Med 177 : 1348 1357, 2008. 4 ) Nakanishi Y, et al : Pre-existing interstitial lung abnormalities are risk factors for immune checkpoint inhibitor-induced interstitial lung disease in non-small cell lung cancer. Respir Investig 57 : 451 459, 2019. 5 ) Camus P, et al : Interstitial lung disease induced by drugs and radiation. Respiration 71 : 301 326, 2004. 1105