Japanese Journal of Endourology 2019 32 106 110 Japanese Society of Endourology 2019 原著論文 加藤祐司 小関達郎 松谷 亮 清水 崇 笹尾拓己 和田英樹 坂 丈敏 山崎清仁 経尿道的砕石術におけるdifficult ureter 発症 率とリスク因子の検討 要旨 目的 経尿道的砕石術 TUL の施行時に経験す men. In cases of DU, ureteral stent was usually left in る到達困難例 difficult ureter DU の発生率および発 place during 2 weeks without active dilation. 生における因子について検討した Results The incidence rate of DU was 3.7%. In com- 対象 方法 当院で同一術者が施行したTUL症例322 parison with the patients without DU, the patient with 例を対象とした DUの定義は 尿管が狭く硬性 軟性尿 DU was significantly younger and had smaller stone bur- 管鏡 尿管アクセスシースの挿入が困難で結石に到達でき den. Young age and small stone length were significant ない場合とした preoperative risk factors for DU by logistic regression 結果 DUは3.7%の発生率であった DUの有意なリス analysis. Each cut-off point for the age and stone length ク因子は年齢と結石長径で DUの患者では有意に年齢が were indicated to be 49.0 years and 8.5 mm, respectively. 若く 結石サイズは小さかった ROC解析によるカット After a mean interval of 14.4 days, all DU were then オフ値は 年齢49歳 長径8.5mmだった DU症例では尿 sufficiently dilated to allow passage and the second URS 管ステントを留置し 平均14.4日間 TULの再施行時に was successfully completed in all DU patients. は全例結石までアプローチ可能であった 術後に尿管狭窄 の発症を認めなかった 結論 TULにおけるDUの発生は稀であった 50歳以 下で9mm以下の小さな結石に対しTULを施行する場合に Conclusions DU is rare situation in adult patients. The preoperative risk factors for DU were younger age and small stone burden. We suggest that ureteral stenting is the principal choice for this rare situation. は DUとなる可能性を念頭におくべきである Key words 経尿道的砕石術 TUL difficult ureter 尿 Abstract Objectives We investigated the incidence and 管ステント プレステント risk factors for inaccessible difficult ureter DU during ureteroscopic lithotripsy URS. Methods We analyzed 322 adult patients underwent URS by a single surgeon. We defined DU if the stone 緒 言 上部尿路結石に対する経尿道的砕石術 以下TUL は was inaccessible by insertion of ureteroscope or ureteral 単回治療で良好なstone free rate 以下SFR を達成可能 access sheath due to narrowing of the lower ureteral lu- なため AUAやEAUのガイドラインでは全ての部位の尿 管結石と20mm以下の腎結石に対する治療方法として推奨 されている1, 2 TULが有効な治療方法となった理由の一 加藤祐司 小関達郎 松谷 亮 清水 崇 笹尾拓己 和田英樹 坂 丈敏 坂泌尿器科病院泌尿器科 山崎清仁 坂泌尿器科千歳クリニック 連絡先 坂泌尿器科病院 001-0030 北海道札幌市北区北30条西14丁目3番1号 TEL 011-709-1212, FAX 011-758-5570 E-mail y-kato@saka-uro.or.jp 代表者氏名 加藤祐司 論文受領日 2018年6月28日 論文採用日 2018年9月3日 106 つに 使用デバイスの進歩が挙げられる 特に硬性 軟性 尿管鏡の細径化と尿管アクセスシース 以下UAS の挿 入性能の向上は目覚ましく これらの改良により大部分の 症例で尿管のactive dilation 以下AD を施行せず 目的 とする結石までアプローチが可能となった 一方 尿管に は壁内尿管 交叉部尿管といった生理的狭窄部があり尿管 鏡やUASの挿入時の障害となり得る また尿の通過障害
経尿道的砕石術における difficult ureter: 発症率とリスク因子の検討 を呈する完成された 不可逆的 尿管狭窄ではなく, 通過障害がないにもかかわらず, 逆行性アプローチでは尿管内腔が狭くデバイスが挿入できないことを経験する. このような状態を表現する語句として, 英語論文では difficult ureter ( 以下 DU) が頻用されている 3-5).DU 症例に対し無理に尿管鏡やUASを挿入しようとすると, 種々の程度の尿管損傷を惹起する可能性がある. 従って適切にDUに対処することがTULの治療成績向上と合併症回避には重要と考えるが,DUに関する検討は現時点では十分ではない. またアプローチが困難な場合,ADを施行して一期的にTULを行うのか, 尿管ステントを留置し二期的にTUL を施行するべきか明確な答えはない. 本研究の目的は,1)TULにおけるDUの発生率,2) DU 発症の術前リスク因子の同定,3)DUに対する尿管ステント留置によるpassive dilation( 以下 PD) の効果について明らかにすることである. 対象と方法 対象患者 2014 年 4 月から2017 年 6 月までの期間に, 単一術者 (Y.K.) が施行したTULの症例 462 例のうち, 両側同時施行例, 尿管ステントおよび経皮的腎瘻カテーテルの事前留置例を除外した成人患者 322 例 ( 男性 219 例, 女性 103 例 ) をretrospectiveに検討した. 検討に際しては当院の倫理委員会で承認を得た. TULの方法当院におけるTULの手技の概略は以下の通りである. 全身麻酔または腰椎麻酔下に施行する. ワーキングガイドワイヤー (0.035 inch,sensor:boston Scientific) を膀胱鏡下に尿管へ挿入し, 硬性尿管鏡 (OES pro WA29040A, 先端径 6.4Fr,Olympus) で尿管内腔を観察する. 硬性尿管鏡で結石に到達可能な場合には, ホルミウムレーザー (Versa Pulse Suite,Slimline 200μm:Lumenis) で砕石しバスケット鉗子 (N-Circle, 径 1.5Fr:COOKまたはZe- ro-tip, 径 1.9Fr:Boston Scientific) で抽石する. 腎および上部尿管結石 (U1) では, 尿管内腔の状態と硬性尿管鏡挿入時の抵抗感を元に, 至適な外径 (11.5~ 16Fr) の尿管アクセスシース ( 以下 UAS:Flexor:Cookまたは Navigator HD:Boston Scientific) を挿入し, 軟性尿管鏡 (Flex-X2, 先端径 7.5Fr:STORZ) でTULを施行する. 砕石 抽石が終了したら腎盂から尿管口まで内腔を観察し, 尿管損傷および残石の有無を評価し, 尿管ステント留置の 要否, 留置期間を判断する. セーフティガイドワイヤー ( 以下 SGW) は原則使用せず, バスケットによる抽石操作は術者自身が行う. DUの定義 DUの定義は, 尿管が狭いため,1) 硬性尿管鏡および軟性尿管鏡の挿入が困難,2) 外径 11.5FrのUAS(Flexor) の挿入が困難で結石に到達できなかった場合とした.DU の場合,ADを施行せずにPDとして6Frの尿管ステントを留置し, 約 2 週間後に再度 TULを行った. 治療評価 6) 2015 年に発表された結石治療評価基準に従って, 術前の結石サイズは全例単純 CTを撮影し, 治療対象となった全ての結石の体積と長径の総和で評価した. 治療成績の評価は, 尿管ステントを抜去して1ヶ月を目処に全例 CTを撮影し, 残石が全くない状態か残石の大きさが2mm 未満かつ残石率 5% 未満をstone freeと定義した. また, 術後の水腎症, 尿管狭窄の有無の確認のため, 尿管ステントを抜去後 1ヶ月以内に単純 CTを撮影し, 術前のCTと比較した. その時点で水腎症を認める場合には術後 3ヶ月でCTによる再評価を行った. 統計学的検討数値は平均値および標準偏差で表記した. 統計学的解析はBellCurve for Excel(Social Survey Research Information Co., Ltd) を用い, カイ二乗検定 ( イェーツの連続修正 ), マン ホイットニー U 検定およびロジスティック回帰分析を施行した. またROC 解析による有意因子のカットオフ値の検討を行った.p<0.05を有意差ありと判定した. 結 果 DUの発生は12 例に認められ, 発生率は3.7% であった. 男性の発生率は4.6%(10 例 ), 女性では1.9%(2 例 ) で男性の方が高い傾向を認めた ( 有意差なし ).DU 群と非 DU 群の2 群に分けて各パラメーターを比較した (Table 1).DU 群の患者では有意に年齢が若かった (40.1 vs. 57.8 歳 ). また,DU 群では結石長径 (7.9 vs. 14.4mm) および結石体積 (0.25 vs 0.84cm 3 ) は有意に小さかった.DU 群の中で結石長径が7mm 以下の症例は5 例だった. 身長, 体重,body mass index, 糖尿病と心血管疾患の既往および同側の ESWL TULの治療歴については両群で有意差を認めなかった.DU 症例の結石部位は, 尿管 8 例, 腎 4 例であった. 107
Table 1 DU 群と非 DU 群におけるパラメーターの比較 DU 群 非 DU 群 計 症例数 (%) 12(3.7) 310(96.3) 322 年齢 ( 歳 ) 40.1 ± 10.0 57.8 ± 13.6 57.3 ± 13.8 p<0.05 性別 ( 男 / 女 ) 10 / 2 209 / 101 219 / 103 NS 身長 (cm) 165.2 ± 10.2 161.2 ± 9.3 161.4 ± 9.4 NS 体重 (kg) 70.1 ± 16.6 64.9 ± 13.3 65.0 ± 13.5 NS BMI(kg/m 2 ) 25.5 ± 4.7 24.8 ± 4.1 24.9 ± 4.1 NS 糖尿病既往 ( 例 ) 1 56 57 NS 心血管疾患既往 ( 例 ) 0 21 21 NS 結石左右 ( 左 / 右 ) 6 / 6 179 / 131 185 / 137 NS 結石長径 (mm) 7.9 ± 3.5 14.4 ± 10.7 14.2 ± 10.6 p<0.05 結石体積 (cm 3 ) 0.25 ± 0.27 0.84 ± 1.4 0.82 ± 1.4 p<0.05 結石個数 ( 個 ) 1.3 ± 0.62 1.6 ± 1.2 1.6 ± 1.2 NS 結石部位 ( 例 ) 4 / 8 / 0 107 / 161 / 42 111 / 169 / 42 NS 腎 / 尿管 / 腎尿管結石治療の既往 ( 例 ) 12 / 0 / 0 256 / 9 / 45 268 / 9 / 45 NS なし / ESWL / TUL 手術時間 ( 分 ) 22.5 ± 10.8 37.7 ± 23.3 37.2 ± 23.1 p<0.05 Stone free rate(%) 91.7 92.9 93.2 NS 術後尿管狭窄 ( 例 ) 0 1(0.32%) 1(0.31%) NS Table 2 DU 発症に関連するリスク因子の分析 ( ロジスティック回帰分析 ) 単変量解析 多変量解析 OR(95%CI) p 値 OR(95%CI) p 値 年齢 1.05(1.01-1.09) 0.021 1.04(1.001-1.081) 0.044 性別 ( 女性 ) 0.41(0.09-1.92) 0.261 身長 0.95(0.89-1.02) 0.152 体重 0.97(0.93-1.01) 0.186 BMI 0.96(0.84-1.10) 0.585 結石長径 1.17(1.01-1.34) 0.039 1.15(1.03-1.34) 0.045 結石体積 5.64(0.69-45.9) 0.106 結石個数 1.56(0.65-3.83) 0.314 DUの発症と結石部位および左右には有意な関連を認めなかった. ロジスティック回帰分析では (Table 2), 単変量および多変量解析の両方で, 年齢と結石長径がDU 発症の有意な因子だった (odds ratio:1.04,1.15).roc 解析では, 年齢および結石長径のカットオフ値は, 年齢 49.0 歳 (Area under the Curve:AUC0.696, 感度 0.67, 特異度 0.25), 長径 8.5mm(AUC0.708, 感度 0.83, 特異度 0.37) であった (Fig. 1). DUの12 例は, 尿管ステントを平均 14.4 日間留置した後に再度 TULを施行した.2 回目では全例 DUは改善し, 結石へ到達が可能となった.DU 群のSFRは91.7% で非 DU 群 (92.9%) と有意差を認めなかった.2 回目の治療後のステント留置期間は平均 4.6 日 (0~ 13 日 ) で1 例は術後ステン トを留置しなかった.DU 群ではTUL 後の経過観察中に尿管狭窄の発症を認めなかった. Fig. 1 結石長径と年齢の ROC 解析 108
経尿道的砕石術における difficult ureter: 発症率とリスク因子の検討 考察 TULにおけるDUの発生率は, 報告例を渉猟すると4.4-16% 3-5, 7-9) であり, 各報告で発生率に若干の幅があることがわかる. この発生率の差違は,DUの発症には多くの要因が関連していることが原因と考えられる. 具体的には,1) 尿管鏡 UASの種類 太さ,2) 尿管鏡 UASの挿入手技の熟練度,3)AD 施行の有無,4) 患者側要因である. 尿管内腔に比しデバイス径が太い場合には, 尿管内を抵抗なく通過させることは困難なことが多く, 尿管内腔の太さに適した径のデバイスを使用することが必要である. 本検討におけるDU 発生率が過去の報告と比較して低率であった理由の一つとして, 可能な限り細径のデバイスを使用していることが考えられる. 例えば, 外径 11.5Frの Flexorは本邦で入手可能なUASの中で最も細径であり, 硬性 軟性尿管鏡の先端も最も細い部類に入る. デバイスの挿入技術もDUの発生に大きく関与する要因である. 尿管鏡は尿管内腔をモニターで確認しながら挿入するが, 同時に挿入時の抵抗を感じながら挿入の可否を判断することが必要である. またUASは透視下に挿入することが推奨されているが, 透視画像から得られる情報はUAS 挿入の可否を判断する材料にはほとんどならず, 挿入時の抵抗によってのみ判断しなければならない. デバイス挿入時の抵抗が強い場合に, 尿管損傷を回避しながら挿入の可否を判断できるようになるためには, 多数例を経験し挿入の抵抗感の体得が必要となる. 従って熟練者ほどDUの発生は少ない. 過去にDUとSGWの関連について検討した報告はないが,UlvikらはSGWが存在する場合, 存在しない場合と比較して尿管鏡の挿入や抜去時に51.8~ 112.5% 増の力が加わることを明らかにしており 10),SGWはデバイス挿入時の抵抗となり挿入困難の一因に成り得ると推測される. 本検討ではSGWを使用しておらず尿管鏡,UASの挿入困難の原因としてSGWの影響は除外されるが, 一般的にSGWを留置している時にデバイスの挿入困難に遭遇した場合には, その原因がSGWにあるのかDUによるものか鑑別を要する. この場合,SGWを抜去しデバイスの再挿入を試みるが, 尿管損傷には細心の注意を払う必要がある. DUへの対応はdilatorによるADか, 尿管ステント留置によるPDの二択となる.2つの方法を比較した検討はなく, いずれが有用か明確な答えはない.Balloonまたはserial dilatorによるadを施行した報告では,84~ 94.7% の症例で結石まで到達可能となり一期的に治療が可能であったとされる 4, 5, 8, 9). またADに起因した尿管狭窄は認められ ず 4, 5, 8, 9),DU 症例に限らずADの施行によって尿管狭窄発生のリスクが高まるとする報告はない. しかしKuntらの報告によれば,DUに対するballoon dilationの施行時に,3 例の尿管穿孔と高度の尿管損傷のため尿管からの操作が不能となり腎瘻留置が必要になった重度の合併症が1 例発生している 8). 一方,PDは有効性だけでなく高い安全性が指摘されており 3), 本検討でもPDによって全例尿管を損傷せずにDUは解除され術後尿管狭窄の発生も認めなかった. 二期的治療となってしまう欠点はあるが,PDは有効性と安全性の両者が担保されており第一選択の方法と考える. 11) DU 症例に限らずpre-stentによって, 手術時間の短縮, 12) 13) SFRの向上, 手術コストの低下といったポジティブな効果が報告されている. しかし, ステント留置による QOLの低下は無視できるものではなく, 留置患者の80% 以上がステント関連症状を訴えるとの報告がある 14). ガイドラインでも安易なpre-stentはするべきではないと警鐘を鳴らしている 1, 2).DU 症例に対するステント留置期間については明確なエビデンスはないが, 慣例的に2 週間前後としている場合が多い. ステントの留置が長期間になるほど, 細菌尿やステントへの細菌のcolonizationが発生することが知られている 15, 16). 以前我々は, 留置理由に関わらずpre-stentの期間が29 日以上の症例は29 日未満と比較して,TUL 後の有熱性尿路感染症の発症が有意に高率であることを報告した (8.3% vs. 28.0%) 17). このためDUに対するステントの留置期間も1ヶ月を越えないように設定したほうが良いと考える. 本検討でDUの発症に関連する患者側要因として考えられたのは, 結石の大きさと年齢でありDU 群の患者では有意に年齢が若く, 結石長径は有意に小さかった.DUの際に高頻度に認められる尿管鏡所見として, 尿管粘膜の白色変化, 節状の狭窄, 尿管壁の伸展性の低下が挙げられる. 本検討で年齢が有意な因子であった理由は, 推測の域を出ないが高齢者よりも若年者で尿管が生理的に細い人が多い, あるいは結石の嵌頓等の何らかの刺激で上述のような 尿管のDU 変化 が生じやすい人の割合が多いなど考えられる. 一方, 結石サイズが有意な因子となった理由は, DU 群の12 例中 5 例は長径 7mm 以下の自然排石可能な小さな結石症例であったことを考えると, 小結石を排出できない程に尿管が生理的に細い, あるいは大きい結石よりも小さい結石のほうが 尿管のDU 変化 を惹起しやすいなどが推測される. 一方でDU 群 12 例のうち腎結石の症例が4 例いたことから, 結石の尿管への嵌頓は 尿管のDU 変化 における必須条件ではないと考えられる. DUの発症に関連する因子について過去の報告では, 109
FullerらはDU 症例では年齢が若く (51 vs. 56 歳 ), この傾向は女性で顕著であった (34 vs. 52 歳 ) としている 7). また, 結石が10mm 以下の症例でDUの発症は有意に高かった (5.1% vs. 10.3%). 年齢が若く, 結石が小さいという点は自験例の結果と一致する. その他の因子として, 腎結石よりも尿管結石でDUの発症は有意に高率であったとしている ( 尿管結石 10.89%, 腎結石 4.68%). 一方, 別の報告では年齢, 結石サイズは有意な因子ではなかった 5).ViersらとMithcelらは, 同側の結石治療 (TUL,ESWL) およびステント留置の既往がある場合,DUは有意に少なかったとしている 5, 9). これも別の検討では有意な因子ではなかった 7). 繰り返しになるがDUの成因は多因子であるが故に, その発生率は各施設 各術者で幅があり, リスク因子も一致せず相反する結果になることも十分に起こり得る. 現時点ではDUの発生を皆無にすることはできないため, 患者に対しDUのリスクについて術前に説明しなければならない. その際に各施設 各術者におけるDUの発生率を把握しておき, 患者へ提示することが肝要と考える. またDUの発生が高率の場合には, デバイスや手技の見直しを考慮したほうが良いと考える. 結語 本検討におけるTULの際のDU 発生率は3.7% と非常に稀であった. 年齢が若く結石が小さいことがDU 発症の有意なリスク因子であった.DUへの対応は尿管ステント留置によるPDが有効かつ安全な方法であった. 利益相反自己申告 : 申告すべきものなし 文献 1) Assimos D, Krambeck A, Miller N, et al.(2016)surgical management of stones:american Urological Association/Endourological Society Guideline 2) Türk C, Knoll T, Petrik A, et al.(2016)eau Guidelines on Urolithiasis. European Association of Urology 3) Cetti RJ, Biers S, Keoghane SR(2011)The difficult ureter:what is the incidence of pre-stenting? Ann R Coll Surg Engl 93:31-33 4) Bourdoumis A, Tanabalan C, Goyal A, et al.(2014) The difficult ureter:stent and come back or balloon dilate and proceed with ureteroscopy? What does the evidence say? Urology 83:1-3 5) Viers BR, Viers LD, Hull NC, et al.(2015)the difficult ureter:clinical and radiographic characteristics associated with upper urinary tract access at the time of ureteroscopic stone treatment. Urology 86: 878-884 6) 山口秋人, 東義人, 麦谷荘一, 他 (2015) 我々が提案する新たな尿路結石治療の評価基準. Jpn J Endourol 28:17-20 7) Fuller TW, Rycyna KJ, Ayyash OM, et al.(2016) Defining the rate of primary ureteroscopic failure in unstented patients:a multi-institutional study. J Endourol 30:970-974 8) Kuntz NJ, Neisius A, Tsivian M, et al.(2015)balloon dilation of the ureter:a contemporary review of outcomes and complications. J Urol 194:413-417 9) Mitchell C, Kuebker J, McCormick B, et al.(2017) Lubriglide sequential ureteral dilators:a safe and effective method of ureteral dilation. J Endourol 31: 573-576 10)Ulvik Ø, Wentzel-Larson T, Ulvik NM(2013)A safety guidewire influences the pushing and pulling forces needed to move the ureteroscope in the ureter:a clinical randomized, crossover study. J Endourol 27:850-855 11)Chu L, Sternberg KM, Averch TD(2011)Preoperative stenting decrease operative time and reoperative rates of ureteroscopy. J Endourol 25:751-754 12)Rubenstein RA, Zhao LC, Loeb S, et al.(2007)prestenting improves ureteroscopic stone-free rates. J Endourol 21:1277-1280 13)Chu L, Farris CA, Corcoran AT, et al.(2011)preoperative stent placement decreases cost of ureteroscopy. Urology 78:309-313 14)Joshi HB, Okeke A, Newns N, et al.(2002)characterization of urinary symptoms in patients with ureteral stents. Urology 59:511-519 15)Kehinde EO, Rotimi VO, Al-Hunayan A, et al.(2002) Factors predisposing to urinary tract infection after J ureteral stent insertion. J Urol 167:1334-1337 16)Lojanapiwat B(2006)Colonization of internal ureteral stent and bacteriuria. World J Urol 24:681-683 17) 加藤祐司, 小関達郎, 松谷亮, 他.(2018) 尿管ステントの留置期間短縮によるTUL 後の有熱性尿路感染症の抑制効果について.Jpn J Endourol 31:212-217 110