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基 礎 からの M&A 講 座 第 5 回 M&A プロセス(2) 買 収 候 補 のスクリーニング デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー 株 式 会 社 コーポレートファイナンシャルアドバイザリー 高 橋 優 斗 はじめに 基 礎 からの M&A 講 座 第 3 回 では 実 際 の M&A 案 件 のプロセスの 流 れ について 解 説 し 第 4 回 では 案 件 プロセスのス タート 時 点 で 行 うべき M&A の 戦 略 策 定 について 解 説 した M&A の 戦 略 策 定 のステップを 終 えると 次 は 当 該 M&A 戦 略 に 基 づいてターゲットを 選 定 するプロセスを 進 めることとなる 案 件 に 携 わる 当 事 者 が 限 られた 時 間 の 中 で 数 多 ある 企 業 の 中 から 魅 力 的 なターゲットを 選 定 するためには 自 社 の M&A 戦 略 を 軸 に 置 いたスクリーニング 基 準 の 設 定 と ポイントをおさえた 効 果 的 かつ 効 率 的 な 候 補 企 業 へのアプローチが 肝 要 となる 本 稿 では 買 手 の 立 場 からターゲット 選 定 および 候 補 企 業 へのアプローチにかかわる 基 本 的 な 考 え 方 や 一 般 的 なポイント ついて 簡 潔 に 解 説 したい ターゲット 選 定 プロセスの 全 体 像 ターゲット 選 定 プロセスは 以 下 のように 主 に 3 つのステップを 踏 まえ 実 施 される まずは 買 収 候 補 を 比 較 的 多 めに 抽 出 したロングリストを 作 成 する 次 にロングリスト 企 業 に 対 して 自 社 事 業 戦 略 との 適 合 性 を 含 む 複 数 の 視 点 から 評 価 と 絞 込 みを 行 い ショートリストを 作 成 する 最 後 に ショートリストの 中 からアプローチを 実 施 する 候 補 企 業 を 決 定 すると 当 該 買 収 候 補 に 対 するコンタクトルートの 確 認 買 収 提 案 等 の 準 備 を 行 い 実 際 に 面 談 を 実 施 することとなる

M&A 戦 略 買 収 候 補 の 選 定 と アプローチ ディール 実 行 デュー デリジェンス 統 合 (PMI) Step 1 ロングリスト 作 成 Step 2 ショートリスト 作 成 Step 3 買 収 候 補 へのアプローチ 概 要 会 社 が 将 来 目 標 ( 定 性 定 量 )を 達 成 する 上 で 必 要 な 要 素 (ターゲットスク リーニング 基 準 )を 整 理 し 買 収 候 補 企 業 を 選 定 する Step1のロングリストで 抽 出 された 買 収 候 補 企 業 について さらに 詳 細 な 情 報 を 調 査 し 絞 込 みを 行 う(10 社 程 度 を 想 定 ) Step2の 買 収 候 補 企 業 に 対 する 買 収 提 案 作 成 およびアプローチを 支 援 する 作 業 内 容 スクリーニング 基 準 の 整 理 と ロングリスト 作 成 20~30 社 以 内 を 想 定 ロングリストの 個 社 情 報 分 析 事 業 内 容 財 務 数 値 等 からの 検 討 優 先 順 位 付 け 個 社 分 析 カンパニー プロファイルの 作 成 アプローチ 候 補 企 業 を 絞 込 み(2-3 社 以 内 を 想 定 ) 買 収 候 補 へのコンタクトルートの 確 保 買 収 提 案 会 社 紹 介 資 料 の 作 成 ソフトヒアリング 実 施 と 結 果 報 告 アプローチ 実 施 (2-3 社 を 想 定 ) 想 定 成 果 物 スクリーニング 基 準 ロングリスト ショートリスト - 事 業 概 要 - 財 務 数 値 等 ソフトヒアリング 結 果 報 告 買 収 候 補 との 面 談 設 定 出 典 :デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー 株 式 会 社 作 成 Step1.ロングリスト 作 成 スクリーニング 基 準 方 針 の 検 討 ターゲット 選 定 プロセスの 第 一 段 階 として データベース 等 の 対 象 母 集 団 から 買 収 候 補 企 業 を 抽 出 するスクリーニング 基 準 を 明 確 にする 必 要 がある 当 該 基 準 を 設 定 した 上 で 投 資 銀 行 証 券 会 社 会 計 事 務 所 やコンサルティングファー ムにスクリーニング 作 業 を 依 頼 し 彼 らのネットワークやデータベースを 利 用 して 基 準 を 満 たす 会 社 をリストアップしロ ングリストを 作 成 することもある ロングリスト 作 成 における 重 要 なポイントは 自 社 の 戦 略 に 整 合 した 項 目 によるリストアップにあると 言 える ターゲット 領 域 を 明 確 に 特 定 すると 後 に 実 施 する 買 収 候 補 先 への 買 収 提 案 時 においても 買 収 実 施 にかかる 社 内 説 明 時 にお いても 利 害 関 係 者 間 で 合 意 を 形 成 できる 可 能 性 が 高 まる 逆 に 網 羅 的 を 重 視 するあまり 抽 出 要 件 を 曖 昧 にして 買 収 候 補 のスクリーニングを 実 施 した 場 合 自 社 戦 略 と 適 合 しない 企 業 が 多 くリストに 含 まれて 効 率 的 な 買 収 候 補 選 定 ができないばかりか 魅 力 ある 買 収 候 補 が 情 報 の 海 に 溺 れてしまうリスクも 高 まり 効 果 的 な 検 討 が 実 施 できない

なお スクリーニングの 基 準 は 会 社 の 置 かれている 状 況 により 様 々ではあるものの 一 般 的 には 以 下 の 基 準 が 用 いら れることが 多 い 事 業 内 容 : 自 社 の 戦 略 および 事 業 内 容 との 整 合 性 が 高 いほどシナジー 効 果 創 出 の 期 待 も 高 くビジネスプランも 描 きやすい 買 収 候 補 企 業 のみならず 自 社 内 の 利 害 関 係 者 との 合 意 形 成 を 行 うためにも 極 めて 重 要 な 項 目 で ある 事 業 規 模 : 如 何 に 事 業 内 容 が 魅 力 でビジネスプランがクリアに 描 けたとしても 与 えられた 買 収 の 予 算 内 に 収 ま る 規 模 の 会 社 であることが 買 収 実 現 の 前 提 条 件 となるため スクリーンニングの 基 準 として 用 いるべき 重 要 な 項 目 である その 他 : 買 収 の 目 的 が 特 定 事 業 の 地 理 的 拡 大 である 場 合 買 収 候 補 企 業 がどのエリアで 事 業 展 開 をしている か 等 の 情 報 も 重 要 な 検 討 材 料 となる ロングリストの 個 社 別 情 報 分 析 ロングリスト 作 成 時 に 買 収 候 補 に 求 める 要 件 を 厳 格 に 定 義 したとしても 必 ずしもロングリスト 企 業 の 全 てが 当 該 要 件 を 充 足 するわけではなく 実 際 に 作 成 されるリストは 玉 石 混 交 なのが 一 般 的 である 一 般 的 にロングリスト 作 成 作 業 は データベースを 用 いて 行 われることが 多 いため データベース 独 自 のバイアスがかかってしまうこともあり 機 械 的 に は 要 件 を 満 たすものの 実 質 的 には 要 件 を 満 たさない 企 業 が 含 まれてしまうこともよく 見 られる そこで 次 に 求 められる 作 業 がロングリストの 個 社 別 情 報 分 析 による 絞 込 みである ロングリストの 絞 込 みに 当 たっては リストに 含 まれてしまっている 本 来 であれば 検 討 対 象 外 となるべき 企 業 を 除 外 す るネガティブな 絞 込 みが 求 められる 後 に 説 明 するショートリストからの 絞 込 み 段 階 においては 買 収 候 補 に 求 める 要 件 の 充 足 度 やシナジー 効 果 の 期 待 といったポジティブな 絞 込 みが 重 要 となるのとは 対 照 的 である そもそもロングリスト 作 成 前 段 階 での 要 件 定 義 が 明 確 に 行 われていれば このようなデータベースの 性 質 に 内 在 する エラーも 一 定 程 度 抑 えることができ スクリーニング 作 業 を 効 率 的 に 実 施 することができる Step2.ショートリストの 作 成 と 絞 込 み 個 社 分 析 カンパニープロファイルの 作 成 ロングリスト 作 成 絞 込 みのプロセスを 経 てショートリストに 残 った 候 補 先 については さらに 詳 細 な 情 報 を 入 手 し いわ ゆるカンパニープロファイルを 作 成 して 情 報 を 一 覧 化 することが 一 般 的 である 各 買 収 候 補 の 基 本 情 報 および 買 手 が 求 める 要 件 をどの 程 度 満 たしているかを 整 理 することがカンパニープロファイル の 主 な 役 割 であることから 記 載 される 項 目 も 当 該 目 的 に 沿 う 必 要 がある 一 般 的 には 事 業 内 容 について 特 に 詳 細 に 分 析 を 行 うこととなるが そこでは 買 収 により 実 現 されるビジョンをどれだけクリアに 描 くことができるがひとつのポイン トとなる 例 えば 買 収 の 目 的 が ある 特 定 の 製 品 分 野 拡 大 にある 場 合 には カンパニープロファイルを 利 用 して 買 収 候 補 の 商 品 分 析 や 自 社 製 品 との 補 完 関 係 を 利 用 したビジネスプランを 描 くこととなる

カンパニープロファイルの 構 成 項 目 は 比 較 的 定 型 化 されており 多 くのカンパニープロファイルにおいて 下 記 の 項 目 が 記 載 されることが 多 い 会 社 概 要 : 会 社 沿 革 直 近 売 上 や 従 業 員 数 等 会 社 の 基 本 的 な 情 報 を 整 理 したものであり カンパニープロファ イルに 所 定 の 項 目 である 株 主 構 成 : 大 株 主 の 存 在 や 株 式 の 分 散 状 況 から 買 収 の 実 現 可 能 性 検 討 や 総 会 決 議 の 票 読 み 等 を 行 う また 親 会 社 と 買 収 候 補 の 事 業 関 連 性 からノンコアビジネスとして 売 却 対 象 となり 得 るかどうか 等 の 初 期 的 分 析 を 行 う 事 業 概 要 :スクリーニング 前 段 階 の 要 件 定 義 と 同 様 自 社 の 戦 略 適 合 性 および 事 業 内 容 との 整 合 性 を 判 断 す るための 最 も 重 要 な 項 目 のひとつと 言 える ロングリスト 作 成 時 よりも 詳 細 に 買 収 候 補 の 事 業 を 分 析 する 直 近 M&A 動 向 : 直 近 事 例 を 通 じて 買 収 の 実 現 可 能 性 を 評 価 することができる 例 えば 買 収 候 補 が 属 する 企 業 グループが 事 業 整 理 やノンコア 事 業 の 売 却 等 を 行 っている 場 合 売 却 に 応 じる 可 能 性 があると 評 価 することが 可 能 となる 株 価 動 向 バリュエーション: 買 収 価 格 の 予 備 的 評 価 過 去 の 価 格 トレンドを 勘 案 した 割 高 感 割 安 感 の 評 価 イ ンデックスとの 比 較 を 通 じた 市 場 での 評 価 等 を 検 討 するための 項 目 である アプローチ 候 補 企 業 の 絞 り 込 み 絞 込 みに 当 たっては 例 えば 候 補 企 業 を 縦 軸 評 価 項 目 を 優 先 度 順 に 横 軸 に 並 べたマトリックスを 作 成 し 各 買 収 候 補 を 評 価 することとなる 優 先 度 の 高 い 項 目 を 最 も 多 く 満 たす 企 業 から 順 に 2-3 社 程 度 に 絞 込 みを 行 い それらの 会 社 に 対 してコンタクトを 実 施 することを 決 定 する 一 般 的 には スクリーニング 基 準 を 全 て 満 たし 業 績 も 将 来 性 もよいといった 完 璧 な 会 社 はほぼ 存 在 しないため 限 ら れた 選 択 肢 の 中 から 最 善 のものを 決 定 する 考 え 方 を 採 ることが 望 ましい むしろ M&A のプロセスが 進 行 するにつれ 対 象 会 社 に 対 する 理 解 が 進 み 当 初 想 定 していたものとは 異 なる 判 断 がされることもあるため この 段 階 ではオープ ンな 発 想 を 心 がけるのがポイントと 言 えるだろう Step3. 買 収 候 補 へのアプローチ コンタクトルートの 確 保 次 のステップとして 実 際 に 買 収 候 補 へのアプローチを 実 施 することとなる 買 収 候 補 へのアプローチは 双 方 が 初 めて 顔 を 合 わせ 互 いのビジョンの 実 現 のために M&A を 実 施 する 契 機 となる 重 要 なイベントであり この 成 否 が 今 後 の M&A プロセスを 左 右 する そうした 意 味 で 買 収 候 補 企 業 の 事 業 戦 略 や M&A 関 するキーパーソンが 誰 かを 慎 重 に 検 討 し M&A についての 最 終 的 な 意 思 決 定 権 者 にコンタクトすることがポイントとなる コンタクトパーソンを 誤 ると 買 収 候 補 の 戦 略 や 認 識 している 課 題 等 に 関 する 正 確 な 情 報 が 得 られず 両 者 の 交 渉 が 硬 直 化 することに 成 りかねない また 実 際 は 初 回 のアプローチで 両 者 が M&A の 検 討 に 合 意 することは 稀 で 通 常 は 複 数 回 のセッションを 実 施 することが 必 要 となるため 相 応 のコストも 発 生 する これらも 踏 まえると 効 率 的 にアプローチを 行 うためにも ライトパーソンへのコンタクトは 極 めて 重 要 である

なお アプローチする 企 業 と 既 存 のビジネスリレーションを 有 する 例 も 多 く 見 られるが そのような 場 合 には 既 存 の 取 引 関 係 に 悪 影 響 を 与 えないよう 外 部 の FA を 起 用 してノンネームベースでアプローチを 行 うことが 望 ましい 買 収 提 案 の 作 成 買 収 候 補 のキーパーソンを 特 定 できれば あとはどれだけ 候 補 企 業 に 対 して 魅 力 的 な 提 案 を 行 うことができるかがカ ギとなる そのため 買 収 提 案 の 作 り 込 みには 細 心 の 注 意 を 払 い 外 部 FA を 起 用 しつつ 慎 重 に 進 めることが 望 まし い 最 も 重 要 なポイントとしては 具 体 的 な 買 収 候 補 側 に 生 じるメリットを 記 載 することにあると 言 える 買 収 提 案 に 応 じる ことで 生 じるメリットを 明 確 なメッセージで 伝 え 買 収 提 案 に 応 じる 動 機 付 けを 行 うのである これは 買 収 候 補 へのアプローチの 場 面 のみならず M&A にかかわる 一 連 のプロセスに 共 通 することを 強 調 したい M&A は 多 くの 利 害 関 係 が 複 数 に 絡 み 合 い 特 に 価 格 交 渉 の 場 面 では 買 手 と 売 手 の 立 場 は 真 っ 向 から 衝 突 する こう した 利 害 対 立 を 乗 り 越 える 上 で 買 手 売 手 双 方 が 共 通 のビジョン 共 通 のメリットを 有 していることが M&A の 成 功 には 不 可 欠 である また 将 来 に 創 出 されるシナジー 効 果 が 大 きければ 大 きいほど (シナジー 効 果 の 分 配 の 問 題 はある ものの) 買 収 価 格 のレンジを 広 く 取 ることも 可 能 となるため それだけ 両 者 が 合 意 に 至 る 可 能 性 は 高 くなる なおクロスボーダーでのアプローチを 行 う 場 合 日 本 において 認 知 度 が 極 めて 高 い 企 業 であっても 買 収 候 補 の 属 す る 地 域 において 提 案 側 の 認 知 度 がさほど 高 くない 場 合 も 想 定 し 会 社 紹 介 資 料 を 作 成 し 積 極 的 な 自 己 アピールを 心 がけることも 忘 れてはならない 具 体 的 には 会 社 の 全 体 戦 略 と 現 在 の 市 場 でのポジションといった 基 本 情 報 のほか 魅 力 的 な 買 収 者 であるというメッセージを 伝 えるために 過 去 の 買 収 実 績 や 買 収 事 業 の 業 績 推 移 買 収 資 金 の 調 達 方 針 などを 明 示 することも 効 果 的 である おわりに 以 上 ターゲット 選 定 および 候 補 企 業 へのアプローチの 流 れや 考 え 方 を 説 明 した ターゲットとのコンタクトを 実 施 し M&A 実 施 の 合 意 を 得 られた 場 合 には 両 者 で 基 本 合 意 書 を 締 結 することになる 基 本 合 意 書 締 結 のためには 買 収 候 補 のバリュエーション 等 を 実 施 することが 必 要 となるが そのためには 必 要 な 初 期 的 情 報 を 入 手 しなければならない その 点 で 両 者 は 秘 密 情 報 を 共 有 することになるため まず 両 者 間 で 秘 密 保 持 契 約 の 締 結 を 行 うことが 必 要 となる 次 回 はその 秘 密 保 持 契 約 について 具 体 的 に 解 説 していく 予 定 である 本 文 中 の 意 見 や 見 解 にかかわる 部 分 は 私 見 であることをお 断 りする

トーマツグループは 日 本 におけるデロイト トウシュ トーマツ リミテッド( 英 国 の 法 令 に 基 づく 保 証 有 限 責 任 会 社 )のメンバーファームおよびそれらの 関 係 会 社 ( 有 限 責 任 監 査 法 人 トーマツ デロイト トーマツ コンサルティング 株 式 会 社 デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー 株 式 会 社 お よび 税 理 士 法 人 トーマツを 含 む)の 総 称 です トーマツグループは 日 本 で 最 大 級 のビジネスプロフェッショナルグループのひとつであり 各 社 がそれぞ れの 適 用 法 令 に 従 い 監 査 税 務 コンサルティング ファイナンシャルアドバイザリー 等 を 提 供 しています また 国 内 約 40 都 市 に 約 7,300 名 の 専 門 家 ( 公 認 会 計 士 税 理 士 コンサルタントなど)を 擁 し 多 国 籍 企 業 や 主 要 な 日 本 企 業 をクライアントとしています 詳 細 はトーマツグループ Web サイト (www.tohmatsu.com)をご 覧 ください Deloitte(デロイト)は 監 査 税 務 コンサルティングおよびファイナンシャル アドバイザリーサービスを さまざまな 業 種 にわたる 上 場 非 上 場 のクラ イアントに 提 供 しています 全 世 界 150 を 超 える 国 地 域 のメンバーファームのネットワークを 通 じ デロイトは 高 度 に 複 合 化 されたビジネスに 取 り 組 むクライアントに 向 けて 深 い 洞 察 に 基 づき 世 界 最 高 水 準 の 陣 容 をもって 高 品 質 なサービスを 提 供 しています デロイトの 約 200,000 名 を 超 える 人 材 は standard of excellence となることを 目 指 しています Deloitte(デロイト)とは 英 国 の 法 令 に 基 づく 保 証 有 限 責 任 会 社 であるデロイト トウシュ トーマツ リミテッド( DTTL )ならびにそのネットワーク 組 織 を 構 成 するメンバーファームおよびその 関 係 会 社 のひとつまたは 複 数 を 指 します DTTL および 各 メンバーファームはそれぞれ 法 的 に 独 立 した 別 個 の 組 織 体 です DTTL(または Deloitte Global )はクライアントへのサービス 提 供 を 行 いません DTTL およびそのメンバーファームについての 詳 細 は www.tohmatsu.com/deloitte/ をご 覧 ください 本 資 料 は 皆 様 への 情 報 提 供 として 一 般 的 な 情 報 を 掲 載 するのみであり その 性 質 上 特 定 の 個 人 や 事 業 体 に 具 体 的 に 適 用 される 個 別 の 事 情 に 対 応 するものではありません また 本 資 料 の 作 成 または 発 行 後 に 関 連 する 制 度 その 他 の 適 用 の 前 提 となる 状 況 について 変 動 を 生 じる 可 能 性 もあ ります 個 別 の 事 案 に 適 用 するためには 当 該 時 点 で 有 効 とされる 内 容 により 結 論 等 を 異 にする 可 能 性 があることをご 留 意 いただき 本 資 料 の 記 載 のみに 依 拠 して 意 思 決 定 行 動 をされることなく 適 用 に 関 する 具 体 的 事 案 をもとに 適 切 な 専 門 家 にご 相 談 ください 2014. For information, contact Deloitte Tohmatsu Financial Advisory Co., Ltd. Member of Deloitte Touche Tohmatsu Limited