カナグル 錠適正使用ガイド CONTENTS (1) カナグルの作用 1 (2) 投与対象患者の確認 2 (3) 特に注意が必要な副作用 臨床検査値異常 3 1 低血糖 4 2 多尿 頻尿 体液量減少 脱水 5 3 尿路感染症 性器感染症 6 4 腎機能への影響 7 5 ケトアシドーシス 尿中ケトン

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はじめに カナグル ( 一般名 : カナグリフロジン水和物 ) は, 田辺三菱製薬株式会社で創製されたSGLT2 (sodium glucose co transporter 2) 阻害剤です. 2 型糖尿病においては, 高血糖状態が持続するとインスリン抵抗性やインスリン分泌不全が増悪し, さらに血

食欲不振 全身倦怠感 皮膚や白目が黄色くなる [ 肝機能障害 黄疸 ] 尿量減少 全身のむくみ 倦怠感 [ 急性腎不全 ] 激しい上腹部の痛み 腰背部の痛み 吐き気 [ 急性膵炎 ] 発熱 から咳 呼吸困難 [ 間質性肺炎 ] 排便の停止 腹痛 腹部膨満感 [ 腸閉塞 ] 手足の筋肉の痛み こわばり

市販直後調査の実施状況 デベルザ 錠 アプルウェイ 錠 一般的名称 イプラグリフロジン L- プロリン ダパグリフロジンプロピレン グリコール水和物 ルセオグリフロジン水和物 トホグリフロジン水和物 調査実施期間 製造承認 2014/04/30 製造承認 2014/08/22 製造承認 2014/0

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日本医薬品安全性学会 COI 開示 筆頭発表者 : 加藤祐太 演題発表に関連し 開示すべき COI 関連の企業などはありません

医薬品の適正使用に欠かせない情報です 必ずお読みください 効能 効果 用法 用量及び使用上の注意改訂のお知らせ 2018 年 12 月 アステラス製薬株式会社 ( 製造販売 ) 寿製薬株式会社 ( 販売提携 ) このたび 上記の弊社製品につきまして 添付文書の 効能 効果 用法 用量 及び 使用上の

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リキスミア 添付文書改訂のお知らせ

より詳細な情報を望まれる場合は 担当の医師または薬剤師におたずねください また 患者向医薬品ガイド 医療専門家向けの 添付文書情報 が医薬品医療機器総合機構のホームページに掲載されています

(2) 健康成人の血漿中濃度 ( 反復経口投与 ) 9) 健康成人男子にスイニー 200mgを1 日 2 回 ( 朝夕食直前 ) 7 日間反復経口投与したとき 血漿中アナグリプチン濃度は投与 2 日目には定常状態に達した 投与 7 日目における C max 及びAUC 0-72hの累積係数はそれぞれ

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1)~ 2) 3) 近位筋脱力 CK(CPK) 高値 炎症を伴わない筋線維の壊死 抗 HMG-CoA 還元酵素 (HMGCR) 抗体陽性等を特徴とする免疫性壊死性ミオパチーがあらわれ 投与中止後も持続する例が報告されているので 患者の状態を十分に観察すること なお 免疫抑制剤投与により改善がみられた

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AC 療法について ( アドリアシン + エンドキサン ) おと治療のスケジュール ( 副作用の状況を考慮して 抗がん剤の影響が強く残っていると考えられる場合は 次回の治療開始を延期することがあります ) 作用めやすの時間 イメンドカプセル アロキシ注 1 日目は 抗がん剤の投与開始 60~90 分

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Ⅰ. 改訂内容 ( 部変更 ) ペルサンチン 錠 12.5 改 訂 後 改 訂 前 (1) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本剤の作用が増強され, 副作用が発現するおそれがあるので, 併用しないこと ( 過量投与 の項参照) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本

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改訂前 用法 用量 多発性骨髄腫デキサメタゾンとの併用において 通常 成人にはレナリドミドとして 1 日 1 回 25 mg を 21 日間連日経口投与した後 7 日間休薬する これを 1 サイクルとして投与を繰り返す なお 患者の状態により適宜減量する 5 番染色体長腕部欠失を伴う骨髄異形成症候群

使用上の注意 1. 慎重投与 ( 次の患者には慎重に投与すること ) 1 2X X 重要な基本的注意 1TNF 2TNF TNF 3 X - CT X 4TNFB HBsHBcHBs B B B B 5 6TNF 7 8dsDNA d

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**2019 年 6 月改訂 ( 第 4 版 ) *2018 年 2 月改訂 日本標準商品分類番号 ビグアナイド系経口血糖降下剤日本薬局方メトホルミン塩酸塩錠 METFORMIN HYDROCHLORIDE 劇薬処方箋医薬品 : 注意 - 医師等の処方箋により使用する

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**2019 年 6 月改訂 ( 第 5 版 ) *2018 年 2 月改訂 貯法 : 室温保存使用期限 : 外箱等に表示注意 : 取扱い上の注意 の項参照 規制区分 : 劇薬 処方箋医薬品 注意 - 医師等の処方箋により使用すること 日本薬局方 ビグアナイド系経口血糖降下剤 承認番号 薬価収載販売

られる 糖尿病を合併した高血圧の治療の薬物治療の第一選択薬はアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬とアンジオテンシン II 受容体拮抗薬 (ARB) である このクラスの薬剤は単なる降圧効果のみならず 様々な臓器保護作用を有しているが ACE 阻害薬や ARB のプラセボ比較試験で糖尿病の新規

第三問 : 次の認知症に関する基礎知識について正しいものには を 間違っているものには を ( ) 内に記入してください 1( ) インスリン以外にも血糖値を下げるホルモンはいくつもある 2( ) ホルモンは ppm( 百万分の一 ) など微量で作用する 3( ) ホルモンによる作用を内分泌と呼ぶ

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糖尿病は 初めは無症状で経過しますが 血糖値の高い状態が長く続くと口渇 多飲 多尿 体重減少 倦怠感などの症状がみられます 糖尿病は自覚症状が乏しいので 血糖値がある程度改善すると 通院しなくなる人がいます 血液検査を行わなければ糖尿病の状態を知ることはできないので 自覚症状だけに頼ってはいけません

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目次 C O N T E N T S 1 下痢等の胃腸障害 下痢について 3 下痢の副作用発現状況 3 最高用量別の下痢の副作用発現状況 3 下痢の程度 4 下痢の発現時期 4 下痢の回復時期 5 下痢による投与中止時期 下痢以外の胃腸障害について 6 下痢以外の胃腸障害の副

改訂後 ( 下線 : 追加記載 ) 改訂前 ( 下線 : 削除 ) 使用上の注意 1) 腎障害のある患者 [ 高い血中濃度が持続するおそれがある ]( 用法 用量に関連する使用上の注意 の項参照 ) 2)~ 4) 現行のとおり テオフィリン リトナビル 中枢神経抑制剤アルコール ( 飲酒 ) ピルシ

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この薬は 体調がよくなったと自己判断して使用を中止したり 量を加減したりすると病気が悪化することがあります 指示どおりに飲み続けることが重要です この薬を使う前に 確認すべきことは? 次の人は この薬を使用することはできません 過去にインチュニブ錠に含まれる成分で過敏な反応を経験したことがある人 妊

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5. 死亡 (1) 死因順位の推移 ( 人口 10 万対 ) 順位年次 佐世保市長崎県全国 死因率死因率死因率 24 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 位 26 悪性新生物 350

第1 総 括 的 事 項

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日本の糖尿病患者数は増え続けています (%) 糖 尿 25 病 倍 890 万人 患者数増加率 万人 690 万人 1620 万人 880 万人 2050 万人 1100 万人 糖尿病の 可能性が 否定できない人 680 万人 740 万人

3 スライディングスケール法とアルゴリズム法 ( 皮下注射 ) 3-1. はじめに 入院患者の血糖コントロール手順 ( 図 3 1) 入院患者の血糖コントロール手順 DST ラウンドへの依頼 : 各病棟にある AsamaDST ラウンドマニュアルを参照 入院時に高血糖を示す患者に対して 従来はスライ

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はじめに この 成人 T 細胞白血病リンパ腫 (ATLL) の治療日記 は を服用される患者さんが 服用状況 体調の変化 検査結果の経過などを記録するための冊子です は 催奇形性があり サリドマイドの同類薬です は 胎児 ( お腹の赤ちゃん ) に障害を起こす可能性があります 生まれてくる赤ちゃんに

Transcription:

カナグル錠適正使用ガイド 第 3 版 総監修 稲垣暢也先生 京都大学大学院医学研究科糖尿病 内分泌 栄養内科学教授 監修 棚橋紀夫先生埼玉医科大学国際医療センター神経内科教授 三鴨廣繁先生愛知医科大学大学院医学研究科臨床感染症学主任教授 禁忌 ( 次の患者には投与しないこと ) (1) 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者 (2) 重症ケトーシス 糖尿病性昏睡又は前昏睡の患者 輸液及びインスリンによる速やかな高血糖の是正が必須となるので本剤の投与は適さない (3) 重症感染症 手術前後 重篤な外傷のある患者 インスリン注射による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない

カナグル 錠適正使用ガイド CONTENTS (1) カナグルの作用 1 (2) 投与対象患者の確認 2 (3) 特に注意が必要な副作用 臨床検査値異常 3 1 低血糖 4 2 多尿 頻尿 体液量減少 脱水 5 3 尿路感染症 性器感染症 6 4 腎機能への影響 7 5 ケトアシドーシス 尿中ケトン体陽性 血中ケトン体増加 8 (4) その他の注意事項 10 (5) 安全性情報のまとめ 11 (6) カナグルの副作用 12

(1) カナグルの作用 カナグルは SGLT2 を阻害することによりグルコース再吸収を抑制し 尿糖排泄を促進することにより 優れた血糖低下作用を示します 血管 腎糸球体 SGLT1 グルコース 血管側 K + GLUT2 Na + /K + ポンプ Na + 管腔側 グルコース Na + 小腸 近位尿細管起始部 (S1 分節 ) 血管 カナグル カナグル グルコース再吸収抑制 SGLT2 SGLT2 グルコース 血液 原尿 SGLT1 近位尿細管遠位部 (S3 分節 ) 血糖低下 尿糖排泄促進 監修 : 大阪大学大学院医学系研究科薬理学講座生体システム薬理学教授金井好克先生 効能 効果 2 型糖尿病 < 効能 効果に関連する使用上の注意 > (1) 本剤は2 型糖尿病と診断された患者に対してのみ使用し 1 型糖尿病の患者には投与をしないこと (2) 高度腎機能障害患者又は透析中の末期腎不全患者では本剤の効果が期待できないため 投与しないこと ( 重要な基本的注意(10 ) 薬物動態 の項参照) (3) 中等度腎機能障害患者では本剤の効果が十分に得られない可能性があるので投与の必要性を慎重に判断すること ( 重要な基本的注意(10) 薬物動態 臨床成績 の項参照) 用法 用量 通常 成人にはカナグリフロジンとして 100mg を 1 日 1 回朝食前又は朝食後に経口投与する 1

(2) 投与対象患者の確認 カナグルの投与前に 以下についてご確認をお願いいたします 次の患者さんには投与しないでください 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者 重症ケトーシス 糖尿病性昏睡または前昏睡の患者 重症感染症 手術前後 重篤な外傷のある患者 1 型糖尿病患者 1 高度腎機能障害患者 透析中の末期腎不全患者 妊婦または妊娠している可能性のある婦人 次の患者さんには慎重に投与してください 2 心不全 (NYHA 心機能分類 Ⅳ) のある患者 他の糖尿病用薬 ( 特に インスリン製剤 スルホニルウレア剤または 3 速効型インスリン分泌促進薬 ) を投与中の患者 低血糖を起こしやすい以下の患者または状態 脳下垂体機能不全または副腎機能不全栄養不良状態 飢餓状態 不規則な食事摂取 食事摂取量の不足または衰弱状態激しい筋肉運動過度のアルコール摂取者 脱水を起こしやすい患者血糖コントロールが極めて不良の患者 4 高齢者 利尿薬併用患者等 5 中等度腎機能障害患者 6 尿路感染 性器感染のある患者 1 : カナグルの効果が期待できない 2 : 使用経験がなく安全性が確立していない 3 : 併用により低血糖を起こすおそれがある 4 : カナグルの利尿作用により脱水を起こすおそれがある 5 : カナグルの効果が十分に得られない可能性がある また 体液量減少を起こしやすい 6 : カナグルにより症状を悪化させるおそれがある 2

(3) 特に注意が必要な副作用 臨床検査値異常 SGLT2 阻害作用 SGLT2 阻害薬の作用 特に注意が必要な副作用 特に注意が必要な臨床検査値異常 腎におけるグルコース再吸収抑制 発現機序 ( 脚注 ) 詳細 尿糖排泄促進 尿路感染症 性器感染症 a p.6 浸透圧利尿 体液量減少 脱水 多尿 頻尿 b p.5 腎機能への影響 p.7 ケトアシドーシス 脂肪酸代謝亢進 尿中ケトン体陽性血中ケトン体増加 c p.8 血糖低下 低血糖 d p.4 < 発現機序 > a: 尿糖排泄の増加による会陰部の環境変化などにより 尿路感染症 性器感染症のリスクが高まる可能性があります b: 浸透圧利尿 ( 尿量増加 ) により 多尿 頻尿 脱水などが起こる可能性があります 体液量減少と 浸透圧利尿による尿細管糸球体フィードバックによって一過性のeGFR 低下を生じることがあります c: 尿糖排泄促進作用によるエネルギーロスに伴い代償的に脂肪酸代謝が亢進し ケトン体生成が亢進する可能性があります d: 腎糖排泄閾値は カナグル 100 mg 投与で80 ~100mg/dLです 万一 腎糖排泄閾値が下がっても 食事からの糖吸収や糖新生があるので 腎糖排泄閾値まで血糖値が下がることはありません ただし 併用薬や食事の有無などによっては低血糖を起こすことがあるので 注意をお願いいたします 3

(3) 特に注意が必要な副作用と方法 1 低血糖 国内臨床試験 1 において 低血糖症が 79 例 (4.8%) 無症候性低血糖が 111 例 (6.8%) に認められました 他剤併用時の低血糖の発現率 2 はスルホニルウレア剤併用時 16.1%( 20 例 /124 例 ) 速効型インスリン分泌促進薬併用時 4.6%( 3 例 /65 例 ) α-グルコシダーゼ阻害薬併用時 0.0%( 0 例 /62 例 ) ビグアナイド系薬剤併用時 5.6%( 4 例 /72 例 ) チアゾリジン系薬剤併用時 4.8%( 3 例 /63 例 ) DPP-4 阻害薬併用時 2.8%( 2 例 /71 例 ) でした 重度の副作用は認められませんでした 全例が食事やグルコースの摂取または無処置で回復し 投与中止例はありませんでした 3 臨床試験における低血糖の判定基準 国内臨床試験においては 典型的な低血糖症状がなくても少なくとも週 3 日の自己血糖測定 (SMBG) で血糖値が 70mg/dL 以下であり 主治医が低血糖と診断したものを 無症候性低血糖 血糖値測定の有無にかかわらず典型的な低血糖症状がみられた場合を 低血糖症 としました しかし 実際には SMBG だけでなく治験施設で測定した空腹時血糖値も低血糖の判断に使用されており また 7 0 m g /d L 以上でも低血糖として報告されているものが含まれています 1: 国内第 Ⅱ 相用量設定試験および第 Ⅲ 相試験の統合解析 ( カナグル 100mg 投与と 200mg 投与の合計 ) 2: 国内長期投与試験 ( カナグル 100mg 投与 ) における発現率 3: 国内臨床試験のカナグル 100mg 投与群での状況 1 2 3 患者さんに低血糖症状についてご説明いただき 発症した場合は糖分を摂取することなどをご指導ください インスリン製剤 スルホニルウレア剤 速効型インスリン分泌促進薬との併用により 低血糖のリスクが増大する可能性があるので 併用時にはこれらの薬剤の減量をご検討ください 高所作業 自動車の運転などに従事している患者さんに投与するときはご注意ください 患者さんへの説明 患者さんに 以下のことをご説明ください *1 低血糖の症状 低血糖症状があらわれたときには がまんしないですぐに糖分 *2 をとって安静にする α グルコシダーゼ阻害薬 ( グルコバイ ベイスン セイブルなど ) を一緒に服用しているときに低血糖症状があらわれた場合は 砂糖 ( ショ糖 ) ではなく 必ずブドウ糖 ( グルコース ) をとる 食事療法 運動療法は指示された方法を守る 患者向け資材 カナグル錠を服用される方へ もご活用ください *1: 低血糖の症状 血糖値 ( 目安 ) 70 mg/dl 発汗 不安 動悸 ( どうき ) 脈が速くなる 手足がふるえる 顔が青白い *2: 糖分のとれるもの 糖分のとれるもの 低血糖症状の進行 50mg/dL 頭痛 目のかすみ 空腹感 眠気 ぼんやりする ブドウ糖 ( グルコース ) あめ ジュース や清涼飲料 角砂糖 : シュガーレスの製品は用いないこと 意識を失う けいれん 昏睡状態になる 患者さんによって発現する血糖値は異なります 2. 重要な基本的注意 ( 抜粋 ) ( 1 ) 本剤の使用にあたっては 患者に対し低血糖症状及びその方法について十分説明すること 特に インスリン製剤 スルホニルウレア剤又は速効型インスリン分泌促進薬と併用する場合 低血糖のリスクが増加するおそれがある インスリン製剤 スルホニルウレア剤又は速効型インスリン分泌促進薬による低血糖のリスクを軽減するため これらの薬剤と併用する場合には これらの薬剤の減量を検討すること (14) 低血糖症状を起こすことがあるので 高所作業 自動車の運転等に従事している患者に投与するときは注意すること 4

(3) 特に注意が必要な副作用と方法 2 多尿 頻尿 体液量減少 脱水 国内臨床試験 1 において 利尿 体液量減少に関連した副作用として 頻尿 56 例 (3.4%) 口渇 26 例 (1.6%) 多尿 8 例 (0.5%) 体位性めまい 5 例 ( 0.3%) 脱水 2 例 (0.1%) などが認められました 重度の副作用は認められませんでした 投与中止例は0.1%( 脱水 頻尿各 1 例 ) でした 多尿 頻尿などの多くはカナグル投与開始 28 日目までに発現しました 脱水などの体液量減少に関連した有害事象は 収縮期血圧低値例 (<110 mmhg) でやや多い傾向がありました 1: 国内第 Ⅱ 相用量設定試験および第 Ⅲ 相試験の統合解析 ( カナグル100mg 投与と200mg 投与の合計 ) 1 以下のような症状があった場合は 水分を補給し 主治医に相談するよう 患者さんにご指導ください 脱水 体位性めまい 失神 起立性低血圧 口内乾燥 夜間頻尿 頻尿 多尿 口渇 舌乾燥など 2 3 4 カナグル服用前よりも多めに水分を摂取するよう患者さんにご指導ください 多尿 頻尿がみられると水分を控える患者さんがいますが その場合にも 水分摂取を続けるよう患者さんにご指導ください 特に高齢の患者さん 血糖コントロールが極めて不良な患者さん 利尿薬併用中 減塩食療法施行中 腎機能低下などの患者さんはカナグルの利尿作用により脱水を含む体液量減少を起こすおそれがあります これらの患者さんや夏場の発汗が多いときには 普段より多く水分を摂取するようご指導ください 降圧薬 ( 特に利尿薬 ) の服用中は 過度の降圧が生じることがあるため ふらつきなどの症状があった場合には 主治医に相談するよう 患者さんにご指導ください シックデイは脱水になりやすいため その日はカナグルの服用をやめるよう患者さんにご指導ください 患者さんへの説明 患者さんに 以下のことをご説明ください 脱水に関係した症状 * があったときは 水分を補給し 主治医に相談する 多尿 頻尿があっても水分摂取を続ける 普段より多めの水分摂取を心がける 降圧薬服用中は 血圧が下がりすぎることがある シックデイ 2 は脱水になりやすいので その日はカナグルの服用をやめ 主治医に相談する *: 脱水の症状 のどが渇く めまい ふらつき たちくらみ 眠気 疲れを感じる ぼんやりする 脈拍がいつもより速く感じる トイレに行く回数が増えたり ( 頻尿 ) 1 回に出る尿の量が増えたり ( 多尿 ) しているときは脱水を起こしやすいので注意が必要です 2: 治療中に発熱 下痢 嘔吐をきたし または食欲不振のため食事ができない状態 患者向け資材 カナグル錠を服用される方へ もご活用ください 2. 重要な基本的注意 ( 抜粋 ) ( 2 ) 本剤の利尿作用により多尿 頻尿がみられることがある また 体液量が減少することがあるので 適度な水分補給を行うよう指導し 観察を十分行うこと 脱水 血圧低下等の異常が認められた場合は 休薬や補液等の適切な処置を行うこと 特に体液量減少を起こしやすい患者 ( 高齢者 腎機能障害患者 利尿薬併用患者等 ) においては 脱水や糖尿病性ケトアシドーシス 高浸透圧高血糖症候群 脳梗塞を含む血栓 塞栓症等の発現に注意すること 5

(3) 特に注意が必要な副作用と方法 3 尿路感染症 性器感染症 国内臨床試験 1 において 尿路感染症として膀胱炎 20 例 (1.2%) 腎盂腎炎 2 例 (0.1%) 性器感染症として外陰部腟カンジダ症 25 例 (5.3%) 2 腟感染 3 例 (0.6%) 2 亀頭炎 亀頭包皮炎各 2 例 ( 各 0.2%) 3 などが認められました 重度の副作用は認められず 抗菌薬または抗真菌薬などで治療されました 投与中止例は腟感染 1 例 (0.2%) 2 亀頭炎 1 例 (0.1%) 3 でした 女性における性器感染症の原因微生物の多くはカンジダ属でした 1: 国内第 Ⅱ 相用量設定試験および第 Ⅲ 相試験の統合解析 ( カナグル 100mg 投与と 200mg 投与の合計 ) 2: 女性患者 471 例を母数に算出 3: 男性患者 1158 例を母数に算出 ( 注 ) 性器感染症の発現率は男女別に算出しているため 巻末の副作用一覧表の数値と異なります 1 以下のような症状があった場合は 恥ずかしがらずに速やかに主治医に相談するよう 患者さんにご指導ください 排尿時痛 頻尿 残尿感 血尿 腰背部痛 腰部圧痛 発熱 ( 女性 ) 粥状 ヨーグルト状 酒粕状の白色帯下 外陰部そう痒感 灼熱感 ( 男性 ) 亀頭 亀頭包皮の発赤 浮腫 排膿 排尿時痛 排尿困難 尿路感染症の疑い 性器感染症の疑い 2 3 尿路感染症から腎盂腎炎 敗血症などの重篤な感染症に至ることがあります 尿路感染症の兆候がみられた場合は適切な抗菌薬の投与などをご考慮ください 性器感染症の徴候がみられた場合は原則として産婦人科 泌尿器科 皮膚科などの専門医を受診するようご指導ください 毎日の入浴 通気性のよい下着の着用などにより陰部を清潔にするようご指導ください 女性ではビデを必要以上に使用しないようご指導ください 患者さんへの説明 患者さんに 以下のことをご説明ください 尿路感染症 性器感染症を疑わせる症状 * があったら 恥ずかしがらずに速やかに主治医に相談する 尿意を感じたら 排尿をがまんしないようにする 毎日入浴するなど 陰部を清潔にすることを心がける 女性はビデを必要以上に使用しない 感染症を放置すると より重篤な感染症を引き起こす可能性がある *: 感染症を疑わせる症状 尿路感染症 ( 男女とも ) 性器感染症 ( 女性 ) 性器感染症 ( 男性 ) 排尿時の痛み 残尿感 発熱 寒気 背中やわき腹の痛みなど 性器及びその周辺のかゆみ 粥状 ヨーグルト状 酒粕状の白いおりものなど 性器の赤み かゆみ 腫れ 湿疹 性器からの悪臭のある排泄物 性器周囲の皮膚の痛みなど 患者向け資材 カナグル錠を服用される方へ もご活用ください 2. 重要な基本的注意 ( 抜粋 ) ( 3 ) 尿路感染を起こし 腎盂腎炎 敗血症等の重篤な感染症に至ることがある また 腟カンジダ症等の性器感染を起こすことがある 十分な観察を行うなど尿路感染及び性器感染の発症に注意し 発症した場合には適切な処置を行うとともに 状態に応じて休薬等を考慮すること 尿路感染及び性器感染の症状及びその方法について患者に説明すること 6

(3) 特に注意が必要な臨床検査値異常と方法 4 腎機能への影響 国内臨床試験 において 血中クレアチニン増加が 2 例 ( 0.1%) に認められました 推算糸球体濾過量 (egfr) はカナグル投与開始 4 週後では約 3mL/min/1.73m 2 の低下がみられましたが その後 回復しました : 国内第 Ⅱ 相用量設定試験および第 Ⅲ 相試験の統合解析 ( カナグル 100mg 投与と 200mg 投与の合計 ) egfr の推移 ( 第 Ⅲ 相長期投与試験 100mg/ 日 ) (ml /min/1.73m 2 ) 90 85 egfr 80 75 70 0 4 8 12 16 20 24 n=584 平均値 28 32 36 40 44 48 52 投与開始後期間 ( 週 ) 田辺三菱製薬社内資料 ( 承認時評価資料 ) 推定される機序 egfr 低下 血清クレアチニン上昇は投与初期に一過性にみられ その後回復することから 浸透圧利尿による体液量減少 尿細管糸球体フィードバックに伴う可逆的変動であると考えられます カナグル投与により尿中アルブミン / クレアチニン比は改善しており 腎に器質的障害が惹起される 可能性は低いと考えられます 腎機能の定期的な検査をお願いいたします 2. 重要な基本的注意 ( 抜粋 ) (10) 本剤投与により 血清クレアチニンの上昇又は egfr の低下がみられることがあるので 腎機能を定期的に検査すること 腎機能障害患者においては経過を十分に観察し 継続的に egfr が 45mL/min/1.73m 2 未満に低下した場合は投与の中止を検討すること 7

血中総ケトン(3) 特に注意が必要な副作用 臨床検査値異常と方法 5 ケトアシドーシス 尿中ケトン体陽性 血中ケトン体増加 国内臨床試験 において 尿中ケトン体陽性が 4 例 (0.2%) 血中ケトン体増加が 47 例 (2.9%) に認め られました 血中総ケトン体の中央値は カナグル投与開始後 約 180μmol/L に上昇し その後 やや低下しましたが 投与期間を通じて 140μmol/L 前後で推移しました なお 血中総ケトン体は個々の患者さんでばらつきが大きかったため 中央値で示しています : 国内第 Ⅱ 相用量設定試験および第 Ⅲ 相試験の統合解析 ( カナグル 100mg 投与と 200mg 投与の合計 ) 血中総ケトン体の推移 ( 第 Ⅲ 相長期投与試験 100mg/ 日 ) (μmol/l) 400 300 200 体100 n=584 中央値 0 0 4 8 12 16 20 24 28 32 36 40 44 48 52 投与開始後期間 ( 週 ) 田辺三菱製薬社内資料 ( 承認時評価資料 ) 推定される機序 カナグルの尿糖排泄促進作用により約 100g/ 日 (400 kcal/ 日 ) のグルコースが体外に排泄され 代償的に脂肪酸代謝が亢進し ケトン体が生成され 血中ケトン体増加 尿中ケトン体陽性を来すと考えられます ( 図 ) 空腹 欠食 運動などによりケトン体増加が増強する可能性があります 典型的な糖尿病性ケトアシドーシスとは異なり ( 参考 を参照 ) 血糖コントロールが良好であってもケトーシスがあらわれ ケトアシドーシスに至ることがあります 図 : カナグルによるケトアシドーシスの推定発症機序 カナグルによる尿中グルコース排泄促進 ( 薬理作用 ) カロリーロス 脂肪分解 血中遊離脂肪酸 参考 糖尿病性ケトアシドーシスにみられる検査所見 血糖 :300 ~1,000 mg/dl ケトン体 : 尿中 (+)~(+++) 血清総ケトン体 :3 m M 以上 p H:7.3 未満 HCO3 :10 m E q / L 以下 日本糖尿病学会 ( 編 著 ). 糖尿病治療ガイド 2014-2015, 文光堂, 2014, p.75 より作成 血中ケトン体 ケトアシドーシス発現 ( 著しい血糖の上昇を伴わない場合がある ) 口渇 多飲 多尿 体重減少 全身倦怠感 8

1 2 ケトアシドーシスが認められた場合には 血糖値だけでなく 血中または尿中ケトン体測定を含む検査を実施してください ( 血糖コントロールが良好であっても発現することがあるため ) 特に インスリン分泌能の低下 インスリン製剤の減量や中止 過度な糖質摂取制限 食事摂取不良 感染症 脱水を伴う場合は グルコースの利用が低下し 脂肪酸代謝が亢進することによりケトン体産生が増加しやすく また 血液が酸性に傾きやすい状態となります このような場合にはケトアシドーシスを発現しやすいので 十分な観察をお願いします 患者さんへの説明 患者さんに 以下のことをご説明ください * ケトアシドーシスの症状 ケトアシドーシスの症状が認められた場合には 速やかに主治医に相談する *: ケトアシドーシスの症状 悪心 嘔吐 食欲減退 腹痛 過度な口渇 倦怠感 呼吸困難 意識障害など 患者向け資材 カナグル錠を服用される方へ もご活用ください 2. 重要な基本的注意 ( 抜粋 ) (11) 本剤の作用機序である尿中グルコース排泄促進作用により 血糖コントロールが良好であっても脂肪酸代謝が亢進し ケトーシスがあらわれ ケトアシドーシスに至ることがある 著しい血糖の上昇を伴わない場合があるため 以下の点に留意すること 1) 悪心 嘔吐 食欲減退 腹痛 過度な口渇 倦怠感 呼吸困難 意識障害等の症状が認められた場合には 血中又は尿中ケトン体測定を含む検査を実施すること 異常が認められた場合には投与を中止し 適切な処置を行うこと 2) 特に インスリン分泌能の低下 インスリン製剤の減量や中止 過度な糖質摂取制限 食事摂取不良 感染症 脱水を伴う場合にはケトアシドーシスを発現しやすいので 観察を十分に行うこと 3) 患者に対し ケトアシドーシスの症状 ( 悪心 嘔吐 食欲減退 腹痛 過度な口渇 倦怠感 呼吸困難 意識障害等 ) について説明するとともに これらの症状が認められた場合には直ちに医療機関を受診するよう指導すること 9

(4) その他の注意事項 皮膚症状 SGLT2 阻害薬では 薬疹 発疹 皮疹 紅斑などの皮膚症状が報告されています 皮疹を認めた場合には 速やかに皮膚科医にコンサルトしてください 特に粘膜 ( 眼結膜 口唇 外陰部 ) に皮疹 ( 発赤 びらん ) を認めた場合には スティーブンス ジョンソン症候群などの重症薬疹の可能性があるので 可及的速やかに皮膚科医にコンサルトしてください 患者さんへの説明 カナグル錠を飲み始めてから 皮膚がかゆくなったり 発疹ができたときは 糖尿病の治療を受けている医療機関に相談する 10

(5) 安全性情報のまとめ [ 特に注意が必要な副作用 臨床検査値異常 ] 患者さんに症状やその方法を説明してください 低血糖 他の糖尿病用薬 ( 特にインスリン製剤 スルホニルウレア剤 速効型インスリン分泌促進薬 ) との 併用も含め 本剤投与中に 低血糖 が発現するおそれがあります 多尿 頻尿 体液量減少 脱水 本剤の利尿作用 ( 薬理作用 ) により 多尿 頻尿 がみられることがあり 脱水 や 体液量の減少 を引き起こすことがあります 適度な水分補給を行うよう指導してください 特に体液量減少を起こしやすい患者さん ( 高齢者 腎機能障害患者 利尿薬併用患者等 ) では 脱水や糖尿病性ケトアシドーシス 高浸透圧高血糖症候群 脳梗塞を含む血栓 塞栓症の発現に注意してください 尿路感染症 性器感染症 本剤の尿中グルコース排泄促進作用 ( 薬理作用 ) により 尿路感染症 あるいは 性器感染症 を起こし 腎盂腎炎 敗血症等の重篤な感染症に至ることがあります ケトアシドーシス 尿中ケトン体陽性 血中ケトン体増加 本剤の尿中グルコース排泄促進作用 ( 薬理作用 ) により代償的に脂肪酸代謝が亢進し 血糖コントロールが良好であっても ケトアシドーシス 尿中ケトン体陽性 血中ケトン体増加 がみられることがあります 腎機能への影響 本剤投与により 血清クレアチニンの上昇 または egfr の低下 がみられることがありますので 定期的な検査をお願いします 11

(6) カナグルの副作用 国内第 Ⅱ 相用量設定試験および第 Ⅲ 相試験において 1629 例中 474 例 (29.1%)953 件の副作用 ( 臨床検査値の異常も含む ) が認められました 主な副作用は 無症候性低血糖 111 例 (6.8%) 低血糖症 79 例 (4.8%) 頻尿 56 例 (3.4%) 血中ケトン体増加 47 例 (2.9%) 便秘 36 例 (2.2%) などでした ( 承認時 ) 国内第 Ⅱ 相用量設定試験および第 Ⅲ 相試験における副作用発現率 ( 臨床検査値の異常も含む ) 安全性評価対象例副作用発現例副作用発現率 1629 例 474 例 29.1% 副作用の種類 発現例数 (%) 副作用の種類 発現例数 (%) 副作用の種類 発現例数 (%) 感染症および寄生虫症 神経系障害 胃腸障害 細菌尿 浮動性めまい 4 (0.2) 腹部不快感 膀胱炎 20 (1.2) 体位性めまい 5 (0.3) 腹部膨満 4 (0.2) せつ 頭痛 上腹部痛 胃腸炎 感覚鈍麻 便秘 36 (2.2) 性器カンジダ症 意識消失 下痢 6 (0.4) 陰部ヘルペス 片頭痛 口内乾燥 歯周炎 神経痛 十二指腸炎 咽頭炎 末梢性ニューロパチー 硬便 腎盂腎炎 坐骨神経痛 鼓腸 股部白癬 第 7 脳神経麻痺 胃ポリープ 尿路感染 6 (0.4) ラクナ梗塞 胃潰瘍 腟感染 眼障害 胃炎 6 (0.4) 外陰部炎 糖尿病性白内障 萎縮性胃炎 外陰部腟カンジダ症 25 (1.5) 結膜炎 胃食道逆流性疾患 外陰部腟炎 角膜びらん 痔核 真菌性性器感染 眼瞼湿疹 裂孔ヘルニア 外陰腟真菌感染 耳および迷路障害 悪心 良性 悪性および詳細不明の新生物 ( 嚢胞およびポリープを含む ) 耳鳴回転性めまい 食道炎口腔内不快感 食道乳頭腫 頭位性回転性めまい 嘔吐 血液およびリンパ系障害 突発難聴 肝胆道系障害 貧血 心臓障害 肝機能異常 鉄欠乏性貧血 動悸 脂肪肝 白血球増加症 上室性期外収縮 皮膚および皮下組織障害 リンパ節炎 上室性頻脈 ざ瘡 赤血球増加症 4 (0.2) 頻脈 アトピー性皮膚炎 内分泌障害 心室性期外収縮 接触性皮膚炎 バセドウ病 血管障害 薬疹 甲状腺腫 高血圧 湿疹 5 (0.3) 代謝および栄養障害 低血圧 貨幣状湿疹 脱水 起立性低血圧 そう痒症 痛風 末梢冷感 発疹 4 (0.2) 高コレステロール血症 呼吸器 胸郭および縦隔障害 全身性皮疹 低血糖症 79 (4.8) 鼻出血 蕁麻疹 注 ) 無症候性低血糖 111 (6.8) 口腔咽頭不快感 中毒性皮疹 4 (0.2) ケトーシス 19 (1.2) 脂質異常症 12

副作用の種類 発現例数 (%) 副作用の種類 発現例数 (%) 筋骨格系および結合組織障害背部痛 筋痙縮 筋骨格痛 頸部痛 腱鞘炎 腎および尿路障害膀胱刺激症状 排尿困難 血尿 緊張性膀胱 腎結石症 夜間頻尿 4 (0.2) 頻尿 56 (3.4) 多尿 8 (0.5) 尿道痛 糖尿病性腎症 生殖系および乳房障害亀頭炎 亀頭包皮炎 良性前立腺肥大症 包皮炎 陰部そう痒症 7 (0.4) 外陰腟そう痒症 6 (0.4) 勃起不全 一般 全身障害および投与部位の状態無力症 胸部不快感 異常感 全身性浮腫 空腹 5 (0.3) 倦怠感 9 (0.6) 口渇 26 (1.6) 臨床検査血中アルブミン増加血中クレアチンホスホキナーゼ増加血中クレアチニン増加血中乳酸脱水素酵素増加血中副甲状腺ホルモン増加血中カリウム増加血中尿素増加心電図 QT 延長好酸球数増加 γ- グルタミルトランスフェラーゼ増加ヘマトクリット増加尿中血陽性ヘモグロビン増加総蛋白増加赤血球数増加体重減少心電図異常 P 波尿中蛋白陽性尿中アルブミン / クレアチニン比増加血中ケトン体増加尿中ケトン体陽性尿中アルカリホスファターゼ増加尿量増加傷害 中毒および処置合併症歯牙損傷 副作用の分類名 副作用名は MedDRA/J ver.15.1 の器官別大分類 基本語を用いて表示注 ) 低血糖の分類名で表示 6 (0.4) 14 (0.9) 47 (2.9) 4 (0.2) 13

( カナグリフロジン水和物錠 ) **2015 年 9 月改訂 ( 第 5 版 )D6 *2015 年 4 月改訂 貯法 : 室温保存使用期限 : 外箱及びラベルに表示の使用期限内に使用すること ) 規制区分 : 処方箋医薬品注注 ) 注意 - 医師等の処方箋により使用すること 承認番号薬価収載販売開始国際誕生 日本標準商品分類番号 873969 22600AMX00744 2014 年 9 月 2014 年 9 月 2013 年 3 月 禁忌 ( 次の患者には投与しないこと ) ( 1 ) 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者 ( 2 ) 重症ケトーシス, 糖尿病性昏睡又は前昏睡の患者 輸液及びインスリンによる速やかな高血糖の是正が必須となるので本剤の投与は適さない. ( 3 ) 重症感染症, 手術前後, 重篤な外傷のある患者 インスリン注射による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない. 組成 性状 販売名カナグル錠 100mg 有効成分 含量 (1 錠中 ) カナグリフロジン水和物 102mg( カナグリフロジンとして 100mg) D-マンニトール, ヒドロキシプロピルセルロース, クロスカルメロースナト添加物リウム, フマル酸ステアリルナトリウム, タルク, ポリビニルアルコール ( 部分けん化物 ), マクロゴール 4000, 酸化チタン, 黄色三二酸化鉄, 三二酸化鉄性状 剤形うすい黄色 フィルムコーティング錠 外形 規格 直径 (mm)7.6 厚さ (mm)3.4 重量 (mg)144.3 効能 効果 2 型糖尿病 < 効能 効果に関連する使用上の注意 > ( 1 ) 本剤は 2 型糖尿病と診断された患者に対してのみ使用し,1 型糖尿病の患者には投与をしないこと. ( 2 ) 高度腎機能障害患者又は透析中の末期腎不全患者では本剤の効果が期待できないため, 投与しないこと.( 重要な基本的注意(10), 薬物動態 の項参照) ( 3 ) 中等度腎機能障害患者では本剤の効果が十分に得られない可能性があるので投与の必要性を慎重に判断すること.( 重要な基本的注意(10), 薬物動態, 臨床成績 の項参照) 用法 用量 通常, 成人にはカナグリフロジンとして 100mg を 1 日 1 回朝食前又は朝食後に経口投与する. 使用上の注意 1. 慎重投与 ( 次の患者には慎重に投与すること ) ( 1 ) 心不全 (NYHA 心機能分類 Ⅳ) のある患者 使用経験がなく安全性が確立していない. ( 2 ) 他の糖尿病用薬 ( 特に, インスリン製剤, スルホニルウレア剤又は速効型インスリン分泌促進薬 ) を投与中の患者 併用により低血糖を起こすおそれがある.( 重要な基本的注意, 相互作用, 重大な副作用 の項参照) ( 3 ) 次に掲げる患者又は状態 低血糖を起こすおそれがある. 1 ) 脳下垂体機能不全又は副腎機能不全 2 ) 栄養不良状態, 飢餓状態, 不規則な食事摂取, 食事摂取量の不足又は衰弱状態 3 ) 激しい筋肉運動 4 ) 過度のアルコール摂取者 ( 4 ) 脱水を起こしやすい患者 ( 血糖コントロールが極めて不良の患者, 高齢者, 利尿剤併用患者等 ) 本剤の利尿作用により脱水を起こすおそれがある.( 重要な基本的注意, 相互作用, 重大な副作用, 高齢者への投与 の項参照) ( 5 ) 中等度腎機能障害患者 ( 重要な基本的注意( 2 ) 及び (10), 薬物動態 の項参照) ** ( 6 ) 尿路感染, 性器感染のある患者 症状を悪化させるおそれがある.( 重要な基本的注意 の項参照) 2. 重要な基本的注意 ( 1 ) 本剤の使用にあたっては, 患者に対し低血糖症状及びその方法について十分説明すること. 特に, インスリン製剤, スルホニルウレア剤又は速効型インスリン分泌促進薬と併用する場合, 低血糖のリスクが増加するおそれがある. インスリン製剤, スルホニルウレア剤又は速効型インスリン分泌促進薬による低血糖のリスクを軽減するため, これらの薬剤と併用する場合には, これらの薬剤の減量を検討すること.( 慎重投与, 相互作用, 重大な副作用 の項参照) ( 2 ) 本剤の利尿作用により多尿 頻尿がみられることがある. また, 体液量が減少することがあるので, 適度な水分補給を行うよう指導し, 観察を十分行うこと. 脱水, 血圧低下等の異常が認められた場合は, 休薬や補液等の適切な処置を行うこと. 特に体液量減少を起こしやすい患者 ( 高齢者, 腎機能障害患者, 利尿薬併用患者等 ) においては, 脱水や糖尿病性ケトアシドーシス, 高浸透圧高血糖症候群, 脳梗塞を含む血栓 塞栓症等の発現に注意すること.( 慎重投与, 相互作用, 重大な副作用, その他の副作用, 高齢者への投与 の項参照) ** ( 3 ) 尿路感染を起こし, 腎盂腎炎, 敗血症等の重篤な感染症に至ることがある. また, 腟カンジダ症等の性器感染を起こすことがある. 十分な観察を行うなど尿路感染及び性器感染の発症に注意し, 発症した場合には適切な処置を行うとともに, 状態に応じて休薬等を考慮すること. 尿路感染及び性器感染の症状及びその方法について患者に説明すること.( 慎重投与, 重大な副作用, その他の副作用 の項参照) ( 4 ) 糖尿病の診断が確立した患者に対してのみ適用を考慮すること. 糖尿病以外にも耐糖能異常 尿糖陽性等, 糖尿病類似の症状 ( 腎性糖尿, 甲状腺機能異常等 ) を有する疾患があることに留意すること. ( 5 ) 本剤の適用はあらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法, 運動療法を十分に行ったうえで効果が不十分な場合に限り考慮すること. ( 6 ) 本剤投与中は, 血糖を定期的に検査し, 薬剤の効果を確かめ, 本剤を 3 ヵ月投与しても効果が不十分な場合には他の治療法への変更を考慮すること. ( 7 ) 投与の継続中に, 投与の必要がなくなる場合があり, また, 患者の不養生, 感染症の合併等により効果がなくなったり, 不十分となる場合があるので, 食事摂取量, 血糖値, 感染症の有無等に留意の上, 常に投与継続の可否, 薬剤の選択等に注意すること. ( 8 ) 高度肝機能障害を有する患者について, 使用経験がなく安全性は確立していない. ( 9 ) 本剤とインスリン製剤又は GLP-1 受容体作動薬との併用における有効性及び安全性は検討されていない. (10) 本剤投与により, 血清クレアチニンの上昇又は egfrの低下がみられることがあるので, 腎機能を定期的に検査すること. 腎機能障害患者においては経過を十分に観察し, 継続的に egfrが45ml/min/ 1.73m 2 未満に低下した場合は投与の中止を検討すること.( 慎重投与, その他の副作用 の項参照) ** (11) 本剤の作用機序である尿中グルコース排泄促進作用により, 血糖コントロールが良好であっても脂肪酸代謝が亢進し, ケトーシスがあらわれ, ケトアシドーシスに至ることがある. 著しい血糖の上昇を伴わない場合があるため, 以下の点に留意すること.( 重大な副作用, その他の副作用 の項参照) 1) 悪心 嘔吐, 食欲減退, 腹痛, 過度な口渇, 倦怠感, 呼吸困難, 意識障害等の症状が認められた場合には, 血中又は尿中ケトン体測定を含む検査を実施すること. 異常が認められた場合には投与を中止し, 適切な処置を行うこと. 2) 特に, インスリン分泌能の低下, インスリン製剤の減量や中止, 過度な糖質摂取制限, 食事摂取不良, 感染症, 脱水を伴う場合にはケトアシドーシスを発現しやすいので, 観察を十分に行うこと. 3) 患者に対し, ケトアシドーシスの症状 ( 悪心 嘔吐, 食欲減退, 腹痛, 過度な口渇, 倦怠感, 呼吸困難, 意識障害等 ) について説明するとともに, これらの症状が認められた場合には直ちに医療機関を受診するよう指導すること. (12) 排尿困難, 無尿, 乏尿あるいは尿閉の症状を呈する患者においては, その治療を優先するとともに他剤での治療を考慮すること. (13) 本剤投与による体重減少が報告されているため, 過度の体重減少に注意すること. (14) 低血糖症状を起こすことがあるので, 高所作業, 自動車の運転等に従事している患者に投与するときは注意すること.( 重大な副作用 の項参照) 3. 相互作用本剤は, 主として UGT1A9 及びUGT2B4により代謝され, 未変化体の尿中排泄率は 1 % 未満であった. 本剤はP- 糖蛋白質, 多剤耐性関連蛋白質 2 及び乳がん耐性蛋白質の基質であり,P- 糖蛋白質及び多剤耐性関連蛋白質 2 に対して弱い阻害作用を有する.( 薬物動態 の項参照) 併用注意 ( 併用に注意すること ) 薬剤名等臨床症状 措置方法機序 危険因子 糖尿病用薬スルホニルウレア剤速効型インスリン分泌促進薬 α- グルコシダーゼ阻害薬ビグアナイド系薬剤 チアゾリジン系薬剤 DPP-4 阻害薬 GLP-1 受容体作動薬インスリン製剤等 低血糖症状が起こるおそれがあるので, 患者の血糖降下作用が増強状態を十分観察しながら投与すること. 特に, イされる. ンスリン製剤, スルホニルウレア剤又は速効型インスリン分泌促進薬と併用する場合, 低血糖のリスクが増加するおそれがある. これらの薬剤による低血糖のリスクを軽減するため, これらの薬剤の減量を検討すること.( 慎重投与, 重要な基本的注意, 重大な副作用 の項参照) 低血糖症状が認められた場合には, 通常はショ糖を投与し,α- グルコシダーゼ阻害薬との併用時にはブドウ糖を投与すること. 薬剤名等 臨床症状 措置方法 機序 危険因子 血糖降下作用を増強する薬剤更に血糖が低下する可能性があるため, 血糖値血糖降下作用が増強 β- 遮断剤サリチル酸剤 その他患者の状態を十分観察しながら投与するされる. こと. モノアミン酸化酵素阻害剤 等 血糖降下作用を減弱する薬剤血糖が上昇する可能性があるため, 血糖値その血糖降下作用が減弱 アドレナリン 他患者の状態を十分観察しながら投与すること. される. 副腎皮質ホルモン 甲状腺ホルモン等 ジゴキシン 本剤 300mgとの併用によりジゴキシンのCmax 本剤のP- 糖蛋白質阻 及びAUCがそれぞれ36% 及び20% 上昇したとの害作用による. 報告があるため, 適切な観察を行うこと. リファンピシン, フェニトイン, フェノバルビタール, リトナビル等 利尿作用を有する薬剤ループ利尿薬サイアザイド系利尿薬等 リファンピシンとの併用により本剤の Cmax 及び AUC がそれぞれ 28% 及び 51% 低下したとの報告があるため, 適切な観察を行うこと. 本剤の代謝酵素である UGT1A9 及び UGT2B4 をこれらの薬剤が誘導することにより, 本剤の代謝が促進される. 左記薬剤と本剤の併用により, 利尿作用が過剰左記薬剤との併用ににみられるおそれがあるため, 必要に応じ利尿より利尿作用が増強薬の用量を調整するなど注意すること. されるおそれがある. 4. 副作用国内第 Ⅱ 相用量設定試験及び第 Ⅲ 相試験において,1629 例中 474 例 (29.1%)953 件の副作用 ( 臨床検査値の異常も含む ) が認められた. 主な副作用は, 無症候性低血糖, 低血糖症, 頻尿, 血中ケトン体増加, 便秘等であった.( 承認時 ) ( 1 ) 重大な副作用 1 ) 低血糖 : 他の糖尿病用薬との併用で低血糖があらわれることがある. また, 海外の臨床試験において, インスリン製剤との併用で低血糖が報告されている. 特に, インスリン製剤, スルホニルウレア剤又は速効型インスリン分泌促進薬と併用する場合, 低血糖のリスクが増加するおそれがあることから, これらの薬剤の減量を検討すること. また, 他の糖尿病用薬を併用しない場合でも低血糖が報告されている. 低血糖症状が認められた場合には, 糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと.( 慎重投与, 重要な基本的注意( 1 ), 相互作用, 臨床成績 の項参照) 2 ) 脱水 (0.1%): 脱水があらわれることがあるので, 適度な水分補給を行うよう指導し, 観察を十分に行うこと. 口渇, 多尿, 頻尿, 血圧低下等の症状があらわれ脱水が疑われる場合には, 休薬や補液等の適切な処置を行うこと. 脱水に引き続き脳梗塞を含む血栓 塞栓症等を発現した例が報告されているので, 十分注意すること.( 慎重投与, 重要な基本的注意, 相互作用, 高齢者への投与 の項参照 ) ** 3 ) ケトアシドーシス ( 頻度不明 ): ケトアシドーシス ( 糖尿病性ケトアシドーシスを含む ) があらわれることがあるので, 観察を十分に行い, 異常が認められた場合には投与を中止し, 適切な処置を行うこと.( 重要な基本的注意の項参照 ) ** 4 ) 腎盂腎炎 (0.1%), 敗血症 : 腎盂腎炎があらわれ, 敗血症 ( 敗血症性ショックを含む ) に至ることがあるので, 観察を十分に行い, 異常が認められた場合には投与を中止し, 適切な処置を行うこと. ( 重要な基本的注意 ( 3 ) の項参照 ) ( 2 ) その他の副作用以下の副作用があらわれた場合には, 症状に応じて適切な処置を行うこと. 頻度 ) 1 % 以上 0.1~ 1 % 未満頻度不明注種類精神 神経浮動性めまい, 体位性めまい, 頭痛失神系消化器便秘, 口渇歯周炎, 腹部膨満, 上腹部痛, 下痢, 胃炎, 胃食道逆流性疾患, 悪心循環器頻脈, 心室性期外収縮, 起立性低血圧低血圧血液白血球増加症, 赤血球増加症泌尿器膀胱炎, 頻尿尿路感染, 緊張性膀胱, 夜間頻尿, 多尿皮膚接触性皮膚炎, 湿疹, そう痒症, 発疹, 蕁麻疹, 中毒性皮疹眼結膜炎耳回転性めまい, 突発難聴 生殖器 代謝異常 臨床検査 外陰部腟カンジダ症 ケトーシス, 無症候性低血糖 血中ケトン体増加 性器カンジダ症, 腟感染, 外陰部炎, 亀頭炎, 亀頭包皮炎, 良性前立腺肥大症, 陰部そう痒症, 外陰腟そう痒症 血中クレアチニン増加, 血中カリウム増加, ヘマトクリット増加, 尿中血陽性, 赤血球数増加, 尿中アルブミン / クレアチニン比増加, 尿中ケトン体陽性, 尿量増加 全身症状無力症, 胸部不快感, 空腹, 倦怠感筋骨格系背部痛その他体重減少注 ) 海外のみで報告された副作用は頻度不明とした 5. 高齢者への投与 ( 1 ) 一般に高齢者では生理機能が低下しているので, 患者の状態を観察しながら慎重に投与すること. ( 重要な基本的注意( 2 ) の項参照) ( 2 ) 高齢者では脱水症状 ( 口渇等 ) の認知が遅れるおそれがあるので注意すること. 6. 妊婦, 産婦, 授乳婦等への投与 ( 1 ) 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には, 本剤を投与せず, インスリン製剤等を使用すること. 妊娠中の投与に関する安全性は確立していない. 本剤の動物実験 ( ラット ) で, ヒトの妊娠中期及び後期にあたる期間の曝露により, 幼若動物に腎盂及び尿細管の拡張が報告されている. また, 動物実験 ( ラット ) で胎児への移行が報告されている. ( 2 ) 授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること. 動物実験( ラット ) で乳汁中への移行が報告されている. 7. 小児等への投与低出生体重児, 新生児, 乳児, 幼児又は小児に対する安全性は確立していない ( 使用経験がない ). 8. 臨床検査結果に及ぼす影響本剤の作用機序により, 本剤服用中は尿糖陽性, 血清 1,5-AG(1,5- アンヒドログルシトール ) 低値を示す. 尿糖及び血清 1,5-AGの検査結果は, 血糖コントロールの参考とはならないので注意すること. 9. 適用上の注意薬剤交付時 :PTP 包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること. PTPシートの誤飲により, 硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し, 更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている. 10. その他の注意雌雄ラットを用いた 2 年間反復投与がん原性試験 (10, 30 及び100mg/kg/ 日 ) において,10mg/kg/ 日以上の雄で精巣に間細胞腫,100mg/kg/ 日の雌雄で副腎に褐色細胞腫及び腎臓に尿細管腫瘍の発生頻度の増加が認められた. ラットに本剤 10mg/kg/ 日 ( 雄 ) 又は100mg/kg/ 日 ( 雌 ) を反復経口投与したときの曝露量 (AUC 0-24h) は, 最大臨床推奨用量 ( 1 日 1 回 100mg) の約 6 倍又は約 84 倍であった. 包装 カナグル錠 100mg: 100 錠 (10 錠 10), 500 錠 (10 錠 50), 140 錠 (14 錠 10), 500 錠 ( バラ ) 詳細は添付文書等をご参照ください. 禁忌を含む使用上の注意の改訂に十分ご留意ください. * 150916 CAN-312FE CAN7RM0101 2016 年 2 月作成