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Figure 1. Center and Edge comparison of a HEMT epi measured by PCOR-SIMS SM 図 1 は直径 150mm の Si ウェハ上に成長させた GaN HEMT 構造全体の PCOR-SIMS による深さプ ロファイルを示しています ( この図の中の 2DEG 領域は 表面近傍に存在するために検出で きていませんが 後述致します ) この例では バッファ層は AlN 層から始まります この材 料は 下地 Si と良い格子整合性ではありませんが 基板から上の層を分離するための絶縁層に なっています また この AlN 層は 引き続き低い Al レベルの AlGaN 層の連続層を成長させ るためのシード層としても機能します Al 含有量の減少は 図 2 の左下の TEM 写真にこの試料 の写真が示されているように GaN バリア層を成長するまでに 欠陥密度を許容できるレベル に低下させます PCOR-SIMS による解析では 様々な Al と Ga の組成比率と膜厚を正確に求め ることができます PCOR-SIMS SM に関する詳細は以下のサイトをご覧ください http://www.eag.com/documents/bro16.pdf 図 1 は GaN バリア層の下半分に炭素がドープされていることを示しています この炭素ドー ピングは AlGaN バッファにおける意図しない n 型不純物 ( 図に示すように主に Si と O) を補 償し 破壊電界強度の増大に影響します また この図はウェハ端部における GaN 部分の炭素 ドーピング量が 中心部に比べ 10 倍高い濃度であることを示しています このことから 150mm のウェハ上の異なる位置では バリア層の電界緩和特性が異なり影響が生じることが予 想されます 一方 バッファ層の C 含有量と厚さについては ウエハの中心部と端部で類似し ていることがわかります バリア層中の炭素レベル ( 並びに Si と酸素レベル ) は 過度に高い レベルになるとデバイスのリークにつながるので重要になります

2DEGの近傍では 炭素ドーピングが垂直リーク電流を促進し 2DEGチャネル電子のキャリア密度およびキャリア移動度の低下を引き起こすことがあり オン抵抗と電流コラプスの原因になることが報告されています これらのすべての事柄は デバイスの性能と信頼性にとって有害なものです しかしながら 2DEGとデバイス特性に炭素ドーピングは有害な特性があるにもかかわらず 活性層 (AlNのスパイクとAlGaNバリア層) 中の残留炭素レベルを扱っているレポートもあります これは おそらくこの表面近傍領域の炭素濃度の測定が バッファ層の奥深くに由来する貫通転位に起因する表面ピットによって大きく阻害されるためと思われます ( 図 2 参照 ) Figure 2 Cross sectional TEM images of generation of surface pits (left) and the higher magnification of the details (right)

C CONCENTRATION (atoms/cc) 炭素は 空気中に露出された試料表面に吸着し ピット全体がスパッタされるまで SIMS のスパッタリングプロセスによって完全に除去されることはありません この見かけ上検出される深い炭素プロファイルは 2DEG 領域内の本来の重要な分布を完全に不明瞭にしています この問題を回避するために EAG では このように炭素プロファイル ( 図 3) の深いテールを排除し 表面汚染 C の大部分を除去する独自の表面洗浄手順を開発しました この手法によって 2DEG 直上の AlGaN バリア層内だけでなく 2DEG 直下の AlN スパイクにおいても真の C 濃度を測定することができます 10 21 PCOR-SIMS SM 10 20 10 19 10 18 C (As received) Same thickness as pit depth! 10 17 C (After cleaning) 10 16 0 20 40 60 80 100 120 DEPTH (nm) Figure 3 SIMS profiles for C in the 2DEG region as-received (red) and after cleaning (blue)

バッファ層には Fe Mg をドープすることができます これらは SIMS で非常に低い検出下限で測定することができます ( 図 4) GaN バリア層の内部の Fe プロファイルのピークに注意して下さい このピークはウェハのエッジ部には存在していないので 基板全体に均一な層を成長させる際の別の問題を指摘しています Figure 4. Fe and Mg impurity SIMS measurements in HEMT epi. また GaN バリア層における非金属不純物レベルを制御することが重要です このデバイスはドーパントが存在しない状態で機能するため 2DEG 直下 GaN 中では できるだけ低い Si のレベルにすることが重要です 図 5 に示されるように EAG では約 5 e 14 atom/ cm3 の Si の検出限界を得ることができます この値は 図にみられる 2DEG 下の 2 e 15 atom/ cm 3 の Si レベルを把握するのに十分低い値です

図 5 は GaN バリア層における H 不純物のレベルを示しています H はデバイスの信頼性に悪影響を与えるため できる限り低い H レベルに維持されます しかし この例ではバリア層の炭素ドープ部分における H レベルが少し上昇していることがわかります これは炭素ドーピングに使用される原料ガスから生じていると思われます Figure 5 Low detection limit measurement of H and Si in GaN Barrier layer of a HEMT epi. この構造では 表面に近い領域がデバイス内の電流の流れを作る二次元電子ガスが形成される場所です 薄い上部ドープ AlGaN 層とアンドープ GaN 層間の伝導帯の不連続性により 2DEG が形成され 電子が蓄積された量子井戸が形成されます このアクティブ領域は極めて薄いため (20-30nm) 細心の注意を払った SIMS により正確に測定することができます 図 6 は HEMT の 2DEG 形成領域における PCOR-SIMS プロファイルを示したものです C, H, O 及び Si 不純物と同時に 最上層の AlGaN の位置と濃度を示す Al が表示されています

Figure 6 Channel region higher depth resolution PCOR-SIMS profiling of a HEMT device. AlGaN 層はこの構造の最表面にあるので 常に空気中に露出されています そのため表面汚染 の影響を最小化するための措置をとることが重要です 図 6 では 試料表面に存在する炭素を EAG で開発した独自の洗浄方法で除去することで 試料表面から 15nm の領域の AlGaN 層中の C 濃度が 1-2e17atoms/cm3 レベルで存在することを示しています また 図 6 は別の重要な情報も示しています それは AlGaN バリア層の厚さのことで この層に生じるゲート電位は 2DEG の電子密度をコントロールする役割を持ち それによってデバイスのコンダクタンスが制御されます 図 6 の中のリニアプロットにこの層の厚さが示されています

図 7 は 図 6 と類似のプロファイルの一部についてリニアスケールで表示し 同じ領域の断面 TEM 写真の上に重ねたものです Al のプロファイルは AlN デルタ層の位置を示しています この構造は AlGaN 層のドナーによるクーロン散乱を緩和することにより 2DEG のキャリア移動度を向上させるための構造です TEM と SIMS を重ねた図から AlN デルタ層の幅が AlGaN 層の一定濃度の上側にみられる Al プロファイルの半値幅にほぼ一致していることがわかります しかしながら 図 3にみられる表面ピットによって生じた GaN 側に伸びる裾の影響によって それがわかりにくくなっています Figure7. Overlay of SIMS and cross-section TEM showing detailed analysis of HEMT channel region with an arbitrary conductivity change curve. C プロファイルについても 正確な界面 (Al プロファイルによって示された位置 ) に対するドーピング領域を示すためにプロットされています TEM ではこの C を検出することができません EDX や EELS でもこの C は検出することはできません また 各深さ位置における表面電位の影響を反映した 表面導電性を推測することが可能なプロファイル ( 赤色 ) を示します

バリア層内部のホールの蓄積によって導電性が減少し その領域を通過した後に再び導電性が回復する深さについてこのデータから知ることができます 以上 本アプリケーションノートでは データの各深さについて補正が行われる SIMS (PCOR-SIMS) が GaN HEMTs 構造における正確な主成分濃度とドーパント濃度を決めるための有効な方法であり エピタキシャル層の成長条件の最適化や故障解析の方法として利用できることを示しました ご質問などがございましたら お気軽にエバンス アナリティカル グループ ( ナノサイエンス株 ) にお問い合わせ下さい