【教育訓練用参考資料】清酒のにおいとその由来について (平成23年7月)

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清酒のにおいとその由来について 清酒のフレーバホイール 1450 あと味 1440 糊味 1430 きめ 820 脂肪酸 1460 炭酸ガス 810 ジアセチル 1470 金属味 14. 口あたり 740 樹脂臭 7. 移り香 8. 脂質様 酸臭 720 カビ臭 730 紙 ほこり 土臭 1510 甘辛 味 15. 甘辛 1610 濃淡 16. 濃淡 710 ゴム臭 110 吟醸香 6. 硫黄様 620 硫化物様 120 果実様 におい 1. 吟醸香 果実様 芳香 花様 5. 酸化 劣化 610 酵母様 530 日光臭 130 エステル 140 アルコール 520 生老香 150 花様 2. 木草様 木の実様 香辛料様 510 老香 210 木香 220 草様 青臭 420 カラメル様 430 焦げ臭 コード品質評価用語 131 酢酸エチル 物質名 ( 英語 ) CA 番号, MW 分子量, bp 沸点 構造式 弁別閾値 ( 検知 ): イメージ図 Ethyl acetate CA 141-78-6, MW 88.1, bp 77 弁別閾値 ( 検知 ): 24mg/L 20-120mg/L 補足事項由来 : 分析法 : 酢エチ臭 ( セメダイン臭 ) ( 過剰だと ) 除光液や接着剤様のにおい 由来 : 基本的なエステル成分であり 酵母が発酵中に生成する また 生もと系酒母の工程中では産膜酵母により生成される 132 酢酸イソアミル Isoamyl acetate, 3-methyl-1-butyl acetate CA 123-92-2, MW 130.1, bp 142 弁別閾値 ( 検知 ): 270μg/L 痕跡 - 15mg/L 121 果実様 - バナナ 110 吟醸香 吟醸香を構成するエステル 由来 : 酵母が発酵中に生成する 不飽和脂肪酸が多い条件では生成が抑制される ( 蒸し時間の長さや吟醸酒の精米歩合を低くする理由の一つ ) 133 カプロン酸エチル Ethyl caproate, Ethyl hexanoate CA 123-66-0, MW 144.1, bp 168 at 760mm 122 果実様 - リンゴ 110 吟醸香 弁別閾値 ( 検知 ):120μg/L 痕跡 - 15mg/L 吟醸香を構成するエステル 由来 : 酵母が発酵中に生成する また これを多く生産するよう改良された酵母がある 1

生酒常温貯蔵清酒のにおいとその由来について 141 エタノール Ethyl alcohol, Ethanol CA 64-17-5, MW 46.1, bp 78 142 高級アルコール Isoamyl alcohol, 3-methyl-1-butanol CA 123-51-3, MW 88.1, bp 132 H 弁別閾値 ( 検知 ):10 g/l 120 170 g/l H 弁別閾値 ( 検知 ): 68 mg/l 70-270mg/L アルコール臭 フーゼル油臭 酒類の主成分 清酒に大量の活性炭使用するなど 他の成分による特徴が少なくなった際に特性として現れる また 味の刺激 濃淡に関係する 由来 : 酵母が発酵中に生成する 清酒の基調香 ホワイトボードマーカー様のにおい 由来 : 酵母が発酵中に生成する 酵母のアミノ酸代謝 ( ロイシン ) と関係し 精米歩合が高く発酵温度が高い場合に多く生産される また これを多く生産するよう改良された酵母がある 151 バラ 2(β)-phenylethyl alcohol, 2-Phenyl ethanol CA 60-12-8, MW 122.16, bp 220 at 750mm H 弁別閾値 ( 検知 ):130 mg/l 75-200mg/L 210 木香 杉樽香 標準見本 : 杉樽に貯蔵した清酒 清酒の基調香 甘い花様のにおい 由来 : 酵母が発酵中に生成する 酵母のアミノ酸代謝 ( フェニルアラニン ) と関係し 精米歩合が高く発酵温度が高い場合に多く生産される また これを多く生産するよう改良された酵母がある 樽酒のにおい由来 : 杉樽に由来する 主成分はセスキテルペン及びセスキテルペンアルコール 231 アセトアルデヒド 232 イソバレルアルデヒド Acetaldehyde, Ethanal CA 75-07-0, MW 44.0, bp 20 Isovaleraldehyde, 3-methyl-1-butanal 3-methylbutyraldehyde CA 590-86-3, MW 86.13, bp 93 弁別閾値 ( 検知 ):11 mg/l 痕跡 - 110mg/L 弁別閾値 ( 検知 ):120 μg/l 100 4100μg/L 木香様臭 木や草 青リンゴを連想する軽いにおい 由来 : アルコール発酵の中間代謝物であるピルビン酸が多い時期にアルコールを添加すると アセトアルデヒドが増加する 分析法 : 酵素法 ガスクロマトグラフィー 521 ムレ香 520 生老香 生酒を常温で貯蔵した場合に生じる刺激的なにおい また老香の構成成分 由来 : 生酒においては イソアミルアルコールの酵素的酸化により生じる 長期貯蔵酒においてはロイシンのストレッカー分解により生じる 2

240 木の実様 ナッツ様 標準見本 : 粉砕したヘーゼルナッツ 木の実を連想するにおい 由来 : 熟成中のメイラード反応による ローストしたヘーゼルナッツではアルデヒド ケトン ピラジン フランが増加すると報告されており これらは清酒の熟成過程においても増加する成分である 251 4- ビニルグアイアコール 4(p)-vinylguaiacol, 2-methoxy-4-vinylphenol CA 7786-61-0, MW 150.18, bp 224 H 弁別閾値 ( 検知 ) : 52μg/L 0 350μg/L 純米酒等でみられる燻製や香辛料を連想するにおい 由来 : 米の細胞壁構造に含まれるフェルラ酸を 麹菌の酵素が変換して生じる または野生酵母や乳酸菌などが変換して生じる 分析法 : 液体クロマトグラフィー 310 穀類様 320 糠 白米臭 餅臭 標準見本 : 白米粉 ( そのままにおいをかぐ ) 穀類を連想するにおい 由来 : 不明 なお 米のにおいとしては 2- アセチル -1- ピロリン ヘキサナール 4- ビニルグアイアコール (251) などの存在が報告されている 糠を連想するにおい 標準見本 : 赤糠 ( そのままにおいをかぐ ) 由来 : 原料米の酸化により生じるチアミンの分解物や脂肪酸の分解物 ( ヘキサナール ) によると考えられる 330 麹 410 甘臭 水飴 甘酒 標準見本 : 米麹 ( そのままにおいをかぐ ) 標準見本 : 米麹のみで作られた甘酒 麹ばな 麹を連想するにおい 由来 : 製麹後半に リノール酸が麹菌の酵素により酸化的分解を受けてキノコ様の 1- オクテン -3- オール さらに 1- オクテン -3- オンが生じる また アミノ酸代謝に関係すると考えられるメチオナール フェニルアセトアルデヒドも麹のにおいに寄与している 四段臭 水飴を連想する甘いにおい 四段仕込みの酒 老ねた麹を使用した清酒に現れやすい 由来 : 不明 3

420 カラメル様 otolon, 4,5-dimethyl-3-hydroxy-2(5H)-furanone CA 28664-35-9, MW 128.13, bp 184 at 760mm H 弁別閾値 ( 検知 ): 2.3μg/L 0 140μg/L 421 蜂蜜 422 ト ライフルーツ 423 糖蜜 424 醤油 清酒を貯蔵すると生じる甘いにおい 老香の構成成分 由来 : スレオニンの分解で生じる α- ケト酪酸とアセトアルデヒドの縮合 またはメイラード反応による 421 蜂蜜 蜂蜜を連想するにおい 標準見本 : レンゲ蜂蜜を 5g/100mL 添加 由来 : 蜂蜜の香りにはソトロン (420) やイソバレルアルデヒド (232) メチオナールなどが寄与している報告があり 清酒中のこれら成分のバランスによるものと考えられる 422 ドライフルーツ 423 糖蜜 乾燥果実 標準見本 : プルーンジュースを 2mL/100mL 添加する プルーンや干しぶどうなどドライフルーツを連想するにおい 由来 : 主にソトロン (420) に由来するが 酢酸 (831) などを含めた成分のバランスによるものと考えられる 標準見本 : 黒糖を1g/100mL 添加する 糖蜜 黒糖を連想するにおい 由来 : 主としてソトロン (420) による 424 醤油 510 老香 高温 標準見本 : 醤油を 1mL/100mL 添加する 標準見本 : 清酒を 45 で 4 週間貯蔵する 醤油を連想するにおい なお 醤油の主要な香気成分は ソトロンと類似した構造で甘い香りを有する HEMF である 由来 : アミノ酸と糖によるメイラード反応物など共通の成分を含むためと考えられる 清酒の貯蔵 流通過程で生じる酸化 劣化したにおい 由来 : 清酒中のアミノ酸及び関連代謝産物の分解による 主要成分は イソバレルアルデヒド (232) ポリスルフィド (624) である 老香はアミノ酸が多くなる製造方法や貯蔵 管理温度に影響を受ける 4

温貯蔵清酒のにおいとその由来について 520 生老香 酒常温標準見本 : 生酒を30 で4 週間貯蔵する常生530 日光臭 光 標準見本 : 清酒を透明瓶に入れ 3 日間日光にあてる 生酒の貯蔵 流通過程で生じる酸化 劣化したにおい 由来 : 主要成分は イソバレルアルデヒド (232) であるが 麹 (330) ポリスルフィド (624) などの特性も混合している けもの臭 青瓶や透明瓶に詰めた清酒を直射日光にあてると着色度が増加するとともに発生するにおい 由来 : トリプトファンの分解による 3- メチル - インドール メチオニンの分解によるメルカプタン (622) などによると考えられる 610 酵母様 621 硫化水素 Hydrogen ulfide CA 7783-06-4, MW 34.1, bp -61 オリ臭 標準見本 : 生酵母 酵母や清酒のオリのにおい 酵母が新鮮な場合 硫化水素 (621) のにおいを感じるが 酵母が自己消化するとチアミンの分解による肉汁様やポリスルフィド (624) のにおいを感じる 由来 : 酵母 硫香 弁別閾値 ( 検知 ):31μg/L 不明 ゆで卵 温泉のにおい もろみや火入れしたばかりの清酒では感じられるが市販製品ではほとんど感じない 由来 : 酵母の含硫アミノ酸の代謝により発酵中に生成される ( 醪前中期 ) または 熱によるシステイン シスチンの分解 622 メルカプタン 623 DM Ethyl mercaptan, Ethanethiol CA 74-08-1, MW 62.1, bp 35 Methyl mercaptan, Methanethiol CA 74-93-1, MW 48.1, bp 6 H 弁別閾値 ( 検知 ): 0.41μg/L 0 2μg/L ( メチルメルカプタン ) Methyl sulfide, Dimethyl sulfide CA 75-18-3, MW 62.14, bp 38 弁別閾値 ( 検知 ):6.7μg/L 0-44μg/L びん香 ひなた香 古米酒臭 玉ねぎやガスのにおい 由来 : 熱 光等によるメチオニンの分解 標準見本はエチルメルカプタンだが清酒中ではメチルメルカプタンが主である 古米を使用した酒でみられる青海苔やコーンスープを連想するにおい 由来 : 古米をエチルブロマイドで燻蒸することで生じる - メチルメチオニンスルフォニウムを含むタンパク質の分解による 5

624 ポリスルフィド Dimethyl trisulfide (DMT), Methyl trisulfide CA 3658-80-8, MW 126.27, bp 165-170 漬物臭 弁別閾値 ( 検知 ): 0.18μg/L 0 1.1μg/L 710 ゴム臭 標準見本 : 赤ゴム栓を一晩つけた清酒 たくあん漬け様のにおい 老香の構成成分 由来 : 含硫アミノ酸メチオニンの代謝に関連して派生する物質などから生じると考えられる ゴムを連想するにおい 由来 : ゴム製品によることは稀で 含硫アミノ酸の分解によって生じる硫化物様 (620) のにおいが主と考えられる 720 カビ臭 2,4,6-trichloroanisole (TCA) CA 87-40-1, MW 211.47, bp 132 at 28mm Cl 731 紙臭 Cl Cl 弁別閾値 ( 検知 ): 0.75ng/L 0 280ng/L 標準見本 : 濾紙を一晩つけた清酒 ワインのコルク臭と同一のカビくさいにおい 特に吟醸酒など活性炭の使用量が少ない酒で問題となる 由来 :TCA に汚染された製造工程や貯蔵時の木製設備 器具から TCA は TCP( 前駆体 ) をカビ ( 麹菌を含む ) が分解して生じる ろ過臭 カビ臭 (720) と類似しているが 口中香として把握される紙様のにおい 由来 : ろ過の際に用いる濾紙による 740 樹脂臭 紙パック臭 標準見本 : ポリプロピレン製遠心管 810 ジアセチル Diacetyl, 2,3-Butanedione CA 431-03-8, MW 86.09, bp 87-88 弁別閾値 ( 検知 ):: 83μg/L 痕跡 500μg/L バター様 ヨーグルト様 ( つわり香 ) プラスチックを連想するにおい 紙パック臭と呼ばれることもあるが 現在では 正常な紙パック製品 ( 素材はポリエチレン ) ではにおいがつくことはない 由来 : 合成樹脂によると考えられる 発酵バターやヨーグルト様のやや甘いにおい 由来 :α ーアセト乳酸が大量にある時期での上槽 ( 酵母との分離 ) または乳酸菌による汚染 6

820 脂肪酸 n-caproic acid, Hexanoic acid CA 142-62-1, MW 116.16, bp 205 H 弁別閾値 ( 検知 ): 2.3mg/L 4-40mg/L 831 酢酸 Acetic acid CA 64-19-7, MW 60.05, bp 113 H 酢 弁別閾値 ( 検知 ): 37mg/L 38-280mg/L 吟醸酒の一部でみられる油 樹脂様のにおい 由来 : 酵母が発酵中に生成する 脂肪酸合成系を変異させた酵母を使用するとカプロン酸エチルが増加する一方で その前駆物質であるカプロン酸が増加する 酢のにおい 由来 : 酵母が発酵中に生成する ( 過剰な通気や醪が空気と接触する面積が大きい場合に多くなりやすい ) または乳酸菌等による汚染 分析法 : 酵素法 液体クロマトグラフィー 832 酪酸 833 イソ吉草酸 n-butyric acid, Butanoic acid CA 107-92-6, MW 88.10, bp 164 Isovaleric acid, 3-methylbutanoic acid CA 503-74-2, MW 102.1, bp 177 H 弁別閾値 ( 検知 ): 4.3mg/L 不明 H 弁別閾値 ( 検知 ):: 0.41mg/L 不明 柿渋香 銀杏 チーズ様のにおい 由来 : 火落菌による汚染 または柿渋からの移行 分析法 : 液体クロマトグラフィー 納豆様の汗くさいにおい 由来 : 麹の枯草菌汚染 7