このプログラムでは高血糖管理の個別化のアプローチについて 禁忌など様々な高血糖治療薬の限界や用量調整の必要性および低血糖リスクについて そして高齢患者や腎機能障害の患者を含む固有の特徴を有した糖尿病 (T2DM) 患者の高血糖管理に最適な治療戦略についての理論的解釈および内容についてディスカッション

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News Release 報道関係各位 2015 年 6 月 22 日 アストラゼネカ株式会社 40 代 ~70 代の経口薬のみで治療中の 2 型糖尿病患者さんと 2 型糖尿病治療に従事する医師の意識調査結果 経口薬のみで治療中の 2 型糖尿病患者さんは目標血糖値が達成できていなくても 6 割が治療

られる 糖尿病を合併した高血圧の治療の薬物治療の第一選択薬はアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬とアンジオテンシン II 受容体拮抗薬 (ARB) である このクラスの薬剤は単なる降圧効果のみならず 様々な臓器保護作用を有しているが ACE 阻害薬や ARB のプラセボ比較試験で糖尿病の新規

CQ1: 急性痛風性関節炎の発作 ( 痛風発作 ) に対して第一番目に使用されるお薬 ( 第一選択薬と言います ) としてコルヒチン ステロイド NSAIDs( 消炎鎮痛剤 ) があります しかし どれが最適かについては明らかではないので 検討することが必要と考えられます そこで 急性痛風性関節炎の

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糖尿病経口薬 QOL 研究会研究 1 症例報告書 新規 2 型糖尿病患者に対する経口糖尿病薬クラス別の治療効果と QOL の相関についての臨床試験 施設名医師氏名割付群記入年月日 症例登録番号 / 被験者識別コード / 1/12

第三問 : 次の認知症に関する基礎知識について正しいものには を 間違っているものには を ( ) 内に記入してください 1( ) インスリン以外にも血糖値を下げるホルモンはいくつもある 2( ) ホルモンは ppm( 百万分の一 ) など微量で作用する 3( ) ホルモンによる作用を内分泌と呼ぶ

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複製 転載禁止 The Japan Diabetes Society, 2016 糖尿病診療ガイドライン 2016 CQ ステートメント 推奨グレード一覧 1. 糖尿病診断の指針 CQ なし 2. 糖尿病治療の目標と指針 CQ なし 3. 食事療法 CQ3-2 食事療法の実践にあたっての管理栄養士に

病気のはなし48_3版2刷.indd

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ただ太っているだけではメタボリックシンドロームとは呼びません 脂肪細胞はアディポネクチンなどの善玉因子と TNF-αや IL-6 などという悪玉因子を分泌します 内臓肥満になる と 内臓の脂肪細胞から悪玉因子がたくさんでてきてしまい インスリン抵抗性につながり高血糖をもたらします さらに脂質異常症

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婦人科63巻6号/FUJ07‐01(報告)       M

資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 <その他分野 ( 消化器官用薬 解毒剤 その他 )> 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号

日本の糖尿病患者数は増え続けています (%) 糖 尿 25 病 倍 890 万人 患者数増加率 万人 690 万人 1620 万人 880 万人 2050 万人 1100 万人 糖尿病の 可能性が 否定できない人 680 万人 740 万人

グルコースは膵 β 細胞内に糖輸送担体を介して取り込まれて代謝され A T P が産生される その結果 A T P 感受性 K チャンネルの閉鎖 細胞膜の脱分極 電位依存性 Caチャンネルの開口 細胞内 Ca 2+ 濃度の上昇が起こり インスリンが分泌される これをインスリン分泌の惹起経路と呼ぶ イ

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脂質異常症を診断できる 高尿酸血症を診断できる C. 症状 病態の経験 1. 頻度の高い症状 a 全身倦怠感 b 体重減少 体重増加 c 尿量異常 2. 緊急を要する病態 a 低血糖 b 糖尿性ケトアシドーシス 高浸透圧高血糖症候群 c 甲状腺クリーゼ d 副腎クリーゼ 副腎不全 e 粘液水腫性昏睡

恩賜第 42 回社会福祉法人財団済生会中央治験審査委員会 会議の記録の概要 開催日時 平成 28 年 1 月 13 日 ( 水 )15:30~17:17 開催場所 出席委員名 東京都港区三田 三田国際ビル 21 階 社会福祉法人 恩賜財団済生会本部事務局中会議室 豊島

第4章:施策と目標 2:生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底(3)糖尿病(4)COPD

第1 総 括 的 事 項

3 スライディングスケール法とアルゴリズム法 ( 皮下注射 ) 3-1. はじめに 入院患者の血糖コントロール手順 ( 図 3 1) 入院患者の血糖コントロール手順 DST ラウンドへの依頼 : 各病棟にある AsamaDST ラウンドマニュアルを参照 入院時に高血糖を示す患者に対して 従来はスライ

スライド 1

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糖尿病がどんな病気なのか 病気を予防するためにどんな生活が望ましいかについて解説します また 検診が受けられるお近くの医療機関を検索できます 健康診断の結果などをご用意ください 検査結果をご入力いただくことで 指摘された異常をチェックしたり 理解を深めたりすることができます 病気と診断され これから

第三問 : 次の認知症に関する基礎知識について正しいものには を 間違っているものには を ( ) 内に記入してください 1( ) インスリン以外にも血糖値を下げるホルモンはいくつもある インスリンが血糖値を下げる唯一のホルモンです 2( ) ホルモンは ppm( 百万分の一 ) など微量で作用する

< 糖尿病療養指導体制の整備状況 > 療養指導士のいる医療機関の割合は増加しつつある 図 1 療養指導士のいる医療機関の割合の変化 平成 20 年度 8.9% 平成 28 年度 11.1% 本糖尿病療養指導士を配置しているところは 33 医療機関 (11.1%) で 平成 20 年に実施した同調査

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(2) 健康成人の血漿中濃度 ( 反復経口投与 ) 9) 健康成人男子にスイニー 200mgを1 日 2 回 ( 朝夕食直前 ) 7 日間反復経口投与したとき 血漿中アナグリプチン濃度は投与 2 日目には定常状態に達した 投与 7 日目における C max 及びAUC 0-72hの累積係数はそれぞれ

Ⅰ. 改訂内容 ( 部変更 ) ペルサンチン 錠 12.5 改 訂 後 改 訂 前 (1) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本剤の作用が増強され, 副作用が発現するおそれがあるので, 併用しないこと ( 過量投与 の項参照) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本

満 ) 測定系はすでに自動化されている これまで GA を用いた研究は 日本 中華人民共和国 (PRC) および米国で実施され GA 値が糖尿病の診断に有用という結果が日本とアメリカで報告された 本研究ではその普遍性を追求するため 台湾人での検討を行った 同時に台湾における GA の基準範囲を新規に

糖尿病の薬物療法としては, インスリン療法と経口糖尿病薬 ( 他の箇所との語句の統一が適当と考えられます 経口糖尿病薬 経口血糖降下薬 回答 : 上記のご指摘の点に関しまして修正と語句の統一をさせて頂きました P.12 解説 10 行目 : グリクラジド MR 薬を基本として グリクラジド MR 薬

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インスリンが十分に働かない ってどういうこと 糖尿病になると インスリンが十分に働かなくなり 血糖をうまく細胞に取り込めなくなります それには 2つの仕組みがあります ( 図2 インスリンが十分に働かない ) ①インスリン分泌不足 ②インスリン抵抗性 インスリン 鍵 が不足していて 糖が細胞の イン

別紙様式 (Ⅱ)-1 添付ファイル用 商品名 : イチョウ葉脳内 α( アルファ ) 安全性評価シート 食経験の評価 1 喫食実績による食経験の評価 ( 喫食実績が あり の場合 : 実績に基づく安全性の評価を記載 ) 弊社では当該製品 イチョウ葉脳内 α( アルファ ) と同一処方の製品を 200

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(2) レパーサ皮下注 140mgシリンジ及び同 140mgペン 1 本製剤については 最適使用推進ガイドラインに従い 有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積するまでの間 本製剤の恩恵を強く受けることが期待される患者に対して使用するとともに 副作用が発現した際に必要な対応をとることが可能な一定の要件

HbA1c GLP-1 11 HbA1c 2 GLP-1 1 DPP-4 GLP-1 SGLT2 1 2 HbA1c 7% 130mg/dL 2 180mg/dL , 2014

症例報告書の記入における注意点 1 必須ではない項目 データ 斜線を引くこと 未取得 / 未測定の項目 2 血圧平均値 小数点以下は切り捨てとする 3 治験薬服薬状況 前回来院 今回来院までの服薬状況を記載する服薬無しの場合は 1 日投与量を 0 錠 とし 0 錠となった日付を特定すること < 演習

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(3) 摂取する上での注意事項 ( 該当するものがあれば記載 ) 機能性関与成分と医薬品との相互作用に関する情報を国立健康 栄養研究所 健康食品 有効性 安全性データベース 城西大学食品 医薬品相互作用データベース CiNii Articles で検索しました その結果 検索した範囲内では 相互作用

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研究背景 糖尿病は 現在世界で4 億 2 千万人以上にものぼる患者がいますが その約 90% は 代表的な生活習慣病のひとつでもある 2 型糖尿病です 2 型糖尿病の治療薬の中でも 世界で最もよく処方されている経口投与薬メトホルミン ( 図 1) は 筋肉や脂肪組織への糖 ( グルコース ) の取り

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抗精神病薬の併用数 単剤化率 主として統合失調症の治療薬である抗精神病薬について 1 処方中の併用数を見たものです 当院の定義 計算方法調査期間内の全ての入院患者さんが服用した抗精神病薬処方について 各処方中における抗精神病薬の併用数を調査しました 調査期間内にある患者さんの処方が複数あった場合 そ

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ータについては Table 3 に示した 両製剤とも投与後血漿中ロスバスタチン濃度が上昇し 試験製剤で 4.7±.7 時間 標準製剤で 4.6±1. 時間に Tmaxに達した また Cmaxは試験製剤で 6.3±3.13 標準製剤で 6.8±2.49 であった AUCt は試験製剤で 62.24±2

激増する日本人糖尿病 ( 万人 ) 2,500 糖尿病の可能性が否定できない人 (HbA1c 6.0~6.4) 糖尿病が強く疑われる人 (HbA1c 6.5% 以上 ) 2,210 万人 2,000 1,500 1,000 1,620 万人 1,370 万人 万人 880 万人 +

( 様式甲 5) 氏 名 忌部 尚 ( ふりがな ) ( いんべひさし ) 学 位 の 種 類 博士 ( 医学 ) 学位授与番号 甲第 号 学位審査年月日 平成 29 年 1 月 11 日 学位授与の要件 学位規則第 4 条第 1 項該当 Benifuuki green tea, containin

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告示番号 1 糖尿病 ( ) 年度小児慢性特定疾病医療意 書 新規申請用 病名 1 1 型糖尿病 受給者番号受診日年月日 受付種別 新規 1/2 ふりがな 氏名 (Alphabet) ( 変更があった場合 ) ふりがな以前の登録氏名 (Alphabet) 生年月日年月日意見書記載時の年齢歳か月日性別


④資料2ー2

こうすればうまくいく! 薬剤師による処方提案

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糖尿病予備群は症状がないから からだはなんともないの 糖尿病予備群と言われた事のある方のなかには まだ糖尿病になったわけじゃないから 今は食生活を改善したり 運動をしたりする必要はない と思っている人がいるかもしれません 糖尿病予備群の段階ではなんの症状もないので そう考えるのも無理はないです しか

助成研究演題 - 平成 27 年度国内共同研究 (39 歳以下 ) 改良型 STOPP を用いた戦略的ポリファーマシー解消法 木村丈司神戸大学医学部附属病院薬剤部主任 スライド 1 スライド 2 スライド1, 2 ポリファーマシーは 言葉の意味だけを捉えると 薬の数が多いというところで注目されがちで


ロペラミド塩酸塩カプセル 1mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにロペラミド塩酸塩は 腸管に選択的に作用して 腸管蠕動運動を抑制し また腸管内の水分 電解質の分泌を抑制して吸収を促進することにより下痢症に効果を示す止瀉剤である ロペミン カプセル

2015 年 11 月 5 日 乳酸菌発酵果汁飲料の継続摂取がアトピー性皮膚炎症状を改善 株式会社ヤクルト本社 ( 社長根岸孝成 ) では アトピー性皮膚炎患者を対象に 乳酸菌 ラクトバチルスプランタルム YIT 0132 ( 以下 乳酸菌 LP0132) を含む発酵果汁飲料 ( 以下 乳酸菌発酵果

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糖尿病は 初めは無症状で経過しますが 血糖値の高い状態が長く続くと口渇 多飲 多尿 体重減少 倦怠感などの症状がみられます 糖尿病は自覚症状が乏しいので 血糖値がある程度改善すると 通院しなくなる人がいます 血液検査を行わなければ糖尿病の状態を知ることはできないので 自覚症状だけに頼ってはいけません


第 3 節心筋梗塞等の心血管疾患 , % % % %

■● 糖尿病

山梨県生活習慣病実態調査の状況 1 調査目的平成 20 年 4 月に施行される医療制度改革において生活習慣病対策が一つの大きな柱となっている このため 糖尿病等生活習慣病の有病者 予備群の減少を図るために健康増進計画を見直し メタボリックシンドロームの概念を導入した 糖尿病等生活習慣病の有病者や予備

第1回肝炎診療ガイドライン作成委員会議事要旨(案)

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Q2 なぜ上記の疾患について服薬指導が大変だと思いますか インフル エンザ その場で吸入をしてもらったほうがいいけれど 時間がかかるのと 熱でぼーっ 一般内科門前薬局 としていると 理解が薄い 患者さんの状態が良くないことが多い上に 吸入薬を中心に 指導が煩雑である から 小児科門前薬局 吸入薬の手

ン (LVFX) 耐性で シタフロキサシン (STFX) 耐性は1% 以下です また セフカペン (CFPN) およびセフジニル (CFDN) 耐性は 約 6% と耐性率は低い結果でした K. pneumoniae については 全ての薬剤に耐性はほとんどありませんが 腸球菌に対して 第 3 世代セフ

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2. 平成 9 年遠隔診療通知の 別表 に掲げられている遠隔診療の対象及び内 容は 平成 9 年遠隔診療通知の 2 留意事項 (3) イ に示しているとお り 例示であること 3. 平成 9 年遠隔診療通知の 1 基本的考え方 において 診療は 医師又は歯科医師と患者が直接対面して行われることが基本

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より詳細な情報を望まれる場合は 担当の医師または薬剤師におたずねください また 患者向医薬品ガイド 医療専門家向けの 添付文書情報 が医薬品医療機器総合機構のホームページに掲載されています

やまぐち糖尿病療養指導士講習会  第1回 確認試験

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1)~ 2) 3) 近位筋脱力 CK(CPK) 高値 炎症を伴わない筋線維の壊死 抗 HMG-CoA 還元酵素 (HMGCR) 抗体陽性等を特徴とする免疫性壊死性ミオパチーがあらわれ 投与中止後も持続する例が報告されているので 患者の状態を十分に観察すること なお 免疫抑制剤投与により改善がみられた

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Transcription:

Vivian A. Fonseca, MD, FRCP( ビビアン A フォンセカ医学博士 王立内科医協会特別会員 ): こんにちは 個別化療法 患者の特徴が糖尿病治療薬の選択に与える影響 へようこそ 私はビビアン フォンセカ 内科 薬理学教授 タ リス テュレーン同窓会の糖尿病会長およびルイジアナ州ニューオーリンズのテュレーン大学内分泌学セクショ ンチーフです このプログラムでは内科医教授 イェール大学医学科内分泌学のクリニカルチーフおよびコネチ カット州ニューヘイブンのイェール ニューヘイブン病院のイェール糖尿病センターディレクターであるシルビオ E インズッチ医学博士 ピサ大学医学科内分泌 代謝科教授およびイタリア ピサのピサ大学病院代謝性疾 患 糖尿病セクションディレクターであるステファノ デル プラト医学博士 そしてブラジル サンパウロの カンピーナス大学内分泌 糖尿病施設の教授および長官であるマルコス A タンバスシア医学博士に参加して いただいています 皆様ようこそお越しくださいました

このプログラムでは高血糖管理の個別化のアプローチについて 禁忌など様々な高血糖治療薬の限界や用量調整の必要性および低血糖リスクについて そして高齢患者や腎機能障害の患者を含む固有の特徴を有した糖尿病 (T2DM) 患者の高血糖管理に最適な治療戦略についての理論的解釈および内容についてディスカッションを行います シルビオさん あなたは 2 型糖尿病患者の高血糖管理に関する患者中心のアプローチについて 米国糖尿病学会 (ADA)/ ヨーロッパ糖尿病学会 (EASD) の指針の作成に関わっていらっしゃいました なぜこの方針を作成する必要があったのか また なぜそれほど患者中心のアプローチが重要なのかについて 簡単にご説明いただけますか

Silvio E. Inzucchi, MD( シルビオ E インズッチ医学博士 ): この15 年間 2 型糖尿病の治療は非常に混乱していました 多くの異なる高血糖治療薬があり それぞれが特異の作用機序を持っているからです どのような患者にどの薬を選ぶべきか 困難なことがよくありました 特に 2 型糖尿病以外の様々な治療も行っているプライマリーケア医にとっては 非常にわかりにくい場合があります そこで ADA/EASDは いくつかの関連する問いに関して ある程度のガイダンスを与えるべくデータを検討すべき時が来たと判断しました それらの問いとは 適切な血糖目標とは何か 糖化ヘモグロビン (HbA1c) をどの程度厳しくコントロールすべきか どの高血糖治療薬を使うべきか 糖化ヘモグロビン (HbA1c) をどこまで積極的に治療すべきか 高血糖治療薬を選択する際にどのような要因を考慮すべきか です 処方箋を書くときに必要とされる複雑な判断がいくつかあります Dr Fonseca( フォンセカ博士 ): では 血糖目標と どこまで積極的に治療するかは どのように選択するのでしょうか

インズッチ博士 : 多くの患者において それは複雑な決定になり得ます ADA/EASDの方針に記載されているいくつかの要因を考慮する必要があります それらの要因とは 患者の態度及び予想される治療努力 低血糖に関わるリスク及びその他の有害事象 疾病の持続期間 寿命 重要な併存疾患 既存の血管合併症 そして 患者のリソースとサポート体制です 図の左側に書かれているような特徴があれば より厳しくコントロールすることが可能ですが 右側のような場合は コントロールを緩める必要があるでしょう たとえば 寿命を例として挙げると 先の寿命の長い患者の場合 できるだけ長くできるだけ健康でいてもらうために 私たちは長年にわたる血糖負荷を減らしたいと考えるでしょう 人生の終わりに近づいている患者の場合 血糖コントロールはそれほど重要ではないかもしれません 2013 年の患者にとって正しい治療が 2018 年の患者にとっても正しいとは限りませんから 医者は融通を利かせて判断する必要があります

この作成グループが次に考慮した問いは 高血糖の治療に使うべき特定の治療薬戦略とは何かです 現在 様々な高血糖治療薬が入手できることが この問題をさらに複雑にしています 最後に数えたときには 血糖を下げる作用機序が異なる 12 種類の薬品がありました 委員会は どのような治療においても まず健全な食生活 体重減少 ライフスタイルの変化 運動量の増加を基礎とすべきだと考えました ライフスタイルの変化を行っても 血糖目標の達成できない場合 糖尿病治療の最善の第一選択薬がメトホルミンであることに関しては 一般に意見が一致しています メトホルミンは非常に費用対効果に優れており ほとんどの患者に忍容されます しかし メトホルミンの次の第二選択薬となると どの組み合わせが最も適しているのか意見が割れます 従来は スルホニル尿素 (SU) から始めるアプローチが行われてきましたが スルホニル尿素には低血糖と体重増加の高いリスクが伴います チアゾリジンジオン (TZD 類 ) は 非常に物議をかもしている薬品類です インクレチン系薬剤が利用できるようになり 経口ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP- 4) 阻害剤及び注射可能なグルカゴン様ペプチド-1(GLP- 1) 受容体アゴニストなどが利用できるようになりました これらにもまた 潜在的な利点と いくらかの懸念材料があります 最後にインスリンですが これは糖尿病のどの段階でも使用できます 作成グループは 血糖コントロールを強化する必要があるときにメトホルミンと併用し得るオプションとして 5 つ

の薬物クラスを特定しました SU TZD DPP-4 阻害剤 GLP- 1 受容体アゴニスト そしてインスリンです 高血糖治療薬であるこれらの5つの薬物クラスは リスクとベネフィットのバランスが最も良いのです 重要なのは これらの医薬品のそれぞれが 潜在的ベネフィットと 当然 いくらかのリスクを有していることです また 国によってかかる費用も異なります つまり 血糖目標を個別化する必要があるのと同じように 特定の薬品戦略もまた 個別化する必要があるということです ある患者に適したものが 次の患者には全く適していない場合があるのです 患者と医者が高血糖管理のアルゴリズムを考えて進んで行くと 血糖を下げるために使用し得る薬剤のいくつかの異なる組み合わせに行き着きます ここで重要なのは 治療法の決定の中心が常に患者であることを忘れないことです つまる所 これらの医薬品を使い それらの副作用に耐えなくてはならないのは患者だからです ですから 疾患過程のその時点での 患者という一個人に最適な治療戦略について医者が患者と話し合うことは極めて重要です Stefano Del Prato, MD( ステファノ デル プラト医学博士 ): シルビオさん この個別化の概念は非常に重要で 医師もそれを彼らの管理プランに組み込みたいと思っているわけですが どのように個別化を行うかについて 何らかのガイダンスを作成する必要があるとお考えですか? 医師は パーソナル療法のアプローチ (personal therapeutic

approach) を行わずに いかに個別化のアプローチ (individualized approach) を行うことができるでしょうか? インズッチ博士 : それは重要なポイントです 委員会の作成グループ内の会議中にも それについて議論が交わされました 委員会は 2 型糖尿病のほかにも多くの慢性疾患の管理をしなくてはならないプライマリーケア医師や一般開業医にとって 方針が特に有用になるようにしたかったのです また 委員会は できる限り真実を述べたいと思っていました 現在 患者のために論理的に治療決定をするために使えるような異なる高血糖治療薬の比較試験はまだ行われていません 実際 もし委員会のメンバーのそれぞれが特定のA B Cのアルゴリズムを書くように依頼されたならば それぞれが独自のアプローチを作成したかもしれないと私は思いますが それでは医師の助けにはならないでしょう より優れたデータが得られるまでは 高血糖管理を個別化するアプローチが私たちには本当に必要であり 患者と協力して最適のアプローチを決定するよう努める必要があると私は本当に感じています つまり その人にとってどの薬剤がベストで どんな副作用の可能性があるのかを見ることが 2 型糖尿病ケアの患者中心の特徴なのです フォンセカ博士 : ステファノ博士 2 型糖尿病の高齢の患者は重要な患者群ですが この集団での血糖コントロールについての考えをお聞かせください

デル プラト博士 : 年齢は 高血糖管理に対する患者中心のアプローチを用いるときに医師が考慮すべき代表的な要素だと思います 2 型糖尿病を患う高齢者の数は増えています 幸いなことに人々の寿命は延びていますから 比較的若いときに2 型糖尿病と診断されて長生きする人の数はこれから増えるでしょう さらに 高齢に達してから2 型糖尿病が発症する人も増えるでしょう 2 型糖尿病を患う高齢の患者の治療は 将来 大きな問題になります

2 型糖尿病の高齢患者に最適の血糖目標とは何でしょうか? ここでも 個別化されたアプローチで目標の設定に取り組むことが重要だと思います 高齢者といっても様々です 高齢の2 型糖尿病患者の多くは虚弱ですが 元気で活発な人も大勢います それぞれの患者の個別のニーズに基づく決断をすることが重要なのです インズッチ博士 : また 年齢だけではありません 寿命も関係します デル プラト博士 : そのとおりです 一個人の記録上の年齢と生物学的な年齢を区別すること 併存疾患やその他の併存状態の存在を考慮することも重要です

考慮すべきもう一つの問いは 血糖目標を達成するためにどの高血糖治療薬を使うべきかです 異なるオプションがありますが 高齢者の薬剤療法を選択する際の一つの重要な問題は 異なる薬剤に関連する低血糖のリスクです 高齢者は はるかに低血糖症になりやすく また 低血糖の症状に気づく能力が劣っている傾向があるので 危険に気づかず 重篤な低血糖症に至るリスクが高いのです

さらに 高齢の2 型糖尿病患者を低血糖のリスクにさらす その他のいくつかのリスク因子として 患者 ライフスタイル 薬剤が挙げられます 特定の併用療法 併存疾患 及び臓器機能障害は 高齢患者を低血糖のリスクにさらします たとえば 高齢患者の場合 腎機能の進行性の低下があります 腎臓は 多くの2 型糖尿病治療薬を除去する主要経路です 腎機能障害のある患者では 特定の薬物が循環系に蓄積し はるかに大きい薬理作用をもたらす場合があります 低血糖を誘導し得る薬物に関しては 低血糖のリスクは増します 高齢の患者は脆弱な場合があるので いわゆる低血糖によって誘発される合併症が増えます 特に高齢者の場合は 低血糖を 2 型糖尿病の治療を制限するステップとして捉える必要があります

私どものピサ大学病院で 低血糖症による救急 (ED) 入院を評価する調査を最近行いました 2009 年 1 月から 2012 年 6 月にかけて 低血糖症による救急入院 (N=276 人 ) の例が 380 例ありました それらの患者の 70% が 2 型糖尿病と診断されました 平均年齢は 69 ± 18 歳でした 低血糖発症の原因を調べたところ 患者の59% が家庭でインスリンのみを投与していたことがわかりました しかし 家庭で高血糖治療の経口薬のみを摂っていた患者では 救急入院の95% が SUを単薬療法か又は他の薬剤との併用薬として摂っていた患者でした 全体として 私たちは低血糖症の発生率及び低血糖症が患者のケアと臨床転帰に与える影響を過小評価してきたと私は思います 高い低血糖リスクと関連づけられる特定の高血糖治療薬として インスリン SU 類 グリニドが挙げられます 一方 低血糖リスクが低い高血糖治療薬としては メトホルミン α-グルコシダーゼ阻害剤 TZD 類 GLP- 1 受容体アゴニスト 及びDPP-4 阻害剤が挙げられます

さらに医師は 高齢者は複数の薬剤を使用することが多いことも考慮する必要があります したがって 患者の低血糖リスクを判断する際は 薬物同士の相互作用も忘れないことがまた重要です つまり シルビオさんが強調したように 私も 医師は2 型糖尿病の高齢患者の血糖値を下げるための治療法を個別化する必要があると思います 高齢の2 型糖尿病患者における治療の個別化と血糖目標の個別化の安全性と有効性に関して 洞察を与え得る試験結果が最近発表されました ビルダグリプチンを追加薬又は単薬として用いた療法での2 型糖尿病の高齢患者の個別化治療目標 (INTER VAL) は 24 週間の無作為化二重盲検プラセボ対照試験です 薬剤ナイーブ又はコントロール不十分 (HbA1cが7.0%~10.0%) の70 歳以上の2 型糖尿病患者がプラセボか又はDPP- 4 阻害薬ビルダグリプチンに無作為に割り付けられました 個別化治療目標は 年齢 ベースラインHbA1c 併存疾患 及び虚弱性に基づいて設定されました この試験は 個別化されたアプローチを用いることで 従来のアプローチと比べてはるかに高い割合で血糖目標を達成できることを実証しました また 個別化されたアプローチで治療を受けた患者では 低血糖事象の有意な低下も認められました 高齢者に関しては 低血糖リスク 治療の結果としての低血糖 そして低血糖によって引き起こされる影響を私たちがよく認識しておくことが必要だと考えます 私たちは 血糖目標の決定及びその目標の達成のために使用する薬剤の選択を非常に慎重に行う必要があります フォンセカ博士 : マルコス博士 腎機能障害を有する2 型糖尿病患者は 糖尿病患者のもう1つの重要な患者群ですが この集団の血糖コントロールについての考えをお聞かせください

Marcos A. Tambascia, MD PhD( マルコス A タンバスシア医学博士 ): 2 型糖尿病では 残念ながら腎機能障害が合併症としてよく起こります 2 型糖尿病患者のほぼ 40% が 程度の差はあれ腎機能障害を有しています その結果生じる問題は 腎機能障害が心血管系疾患 (CV 疾患 ) に関連することです つまり 腎機能障害の程 度が悪化するほど 心血管系事象と死亡のリスクが増します

高血糖治療薬を選択する際は 腎機能を考慮することが重要です 高血糖治療薬の中には 腎臓で除去されるものがありますから 腎機能が低下すれば 患者は薬物の蓄積及び低血糖症を含む有害事象のリスクにさらされることになります

腎機能障害のある2 型糖尿病患者にどの高血糖治療薬を使うかを考えるとき ほとんどの治療薬に何らかの制約が伴います たとえば メトホルミンは 男性の場合 132.6 µmol/l (1.5 mg/dl) 女性の場合 123.8 µmol/l (1.4 mg/dl) を超える血清クレアチニンを有する患者には推奨されません SU 類の半減期が増加して 患者の低血糖リスクを増す可能性があります TZD 類には 体液貯留が伴います 腎機能障害のある患者では インスリンの除去が減少するので 用量を調整する必要があります また ほとんどのGLP-1 受容体アゴニスト及びDPP-4 阻害薬に関しても 用量の調整が必要です

リナグリプチンは 他のDPP-4 阻害剤とは異なるDPP- 4 阻害剤です リナグリプチンは 非腎臓経路を介して除去されるので 腎機能障害のある患者で 用量を調整する必要がありません さらに 初期的なデータは 2 型糖尿病患者において リナグリプチンを用いた治療が 血糖コントロールに依存せずにアルブミン尿を減少したことを実証しています

現在の標準的な糖尿病性腎症の治療を継続中の 2 型糖尿病及び有病アルブミン尿 ( 尿中アルブミン対クレア チニン比が クレアチニン 1g に 30~3000mg のアルブミン ) の患者で 血糖に対するリナグリプチンの有効性及 び安全性を評価するためのより決定的な試験である MARLINA 試験が現在進行中です フォンセカ博士 : マルコス博士 2 型糖尿病における腎機能障害の管理の例として挙げられるような患者さんをお持ちですか?

タンバスシア博士 : これと同じような症例の患者は誰でも持っていると思います ジョンは 10 年間 2 型糖尿病を患っている56 歳の男性です 現在 メトホルミンとグリブリドの両方を投与しています 体格指数は31.4kg/ m2で 高血圧と脂質異常症の病歴もありますが それらはよくコントロールされています ジョンの前回の尿検査で微量アルブミン尿が検出されました 血清クレアチニンは123.8μmol/L(1.4mg/dL ) です 過去 2 年間に ジョンは何回か低血糖を発症しましたが 彼のHbA1cは9.2% です

ジョンの糖尿病管理に関して問うべき複数の問いがあります 第 1に ジョンの血糖コントロールは許容範囲内でしょうか? 私は そうではないと考えます 患者は低血糖症ですが 9.2% というHbA1cは目標範囲から完全に外れています 第 2に ジョンの糖尿病治療にどんな調整を加えるべきでしょうか 私は グリブリドを中止します グリブリドは低血糖の高リスクと関連するSUです ジョンの推定糸球体濾過速度は現在 52mL/ 分 /1.73 m 2 ですので 将来 メトホルミンの用量調整が必要になる可能性があります 私なら この患者にはDPP- 4 阻害剤の使用を考慮します デル プラト博士 : シルビオさん この患者の適切な HbA1c 目標はどの程度ですか? インズッチ博士 : もちろん 9.2% は目標から大きく外れています これは比較的高齢の患者です いくらかの腎機能障害がありますが それ以外の重大な併存疾患はありません 私は HbA1cを約 7% に下げようとするでしょう 患者とともに考え 話し合うべき重要なことは その目標の達成に要する努力がどのぐらいかということです タンバスシア博士 : 患者に処方された医薬品の種類に基づいて血糖目標を調整できるでしょうか?

たとえば インスリンを処方された 2 型糖尿病患者には 約 7.5% の目標を設定しますが 低血糖が低リスクの 医薬品を処方された患者には もっと低い目標を設定するでしょう デル プラト博士 : 私は別のやり方をします 第 1 に 最も適切な目標を算出します 次に その目標の達成のために どの高血糖治療が最善のリスク対ベ ネフィット比と関連づけられるかを決定します フォンセカ博士 : シルビオさん 血糖の他にも考えないといけないことがあります ADA/EASD の方針は CV 疾患及び疾患の進行の他のリスク因子の管理について 何と言っているのでしょう か? インズッチ博士 : 方針は あくまでも血糖コントロールに関するものだということを覚えておいてください ちなみに 私たちはCV 疾患のリスクの低減について考えました それはとても重要なことです 血糖コントロールは小血管合併症のリスクを低減しますが 大血管合併症に対する効果は不明です 心筋梗塞や脳卒中などの大血管合併症によって 私たちの患者の多くが死亡しています 大血管合併症を減らすには 脂質のコントロール 血圧の管理 抗血小板療法を重視するほうがはるかに重要です

もちろん 心血管リスクを増すような医薬品を糖尿病患者に使いたくありません 特に低血糖症がある場合 低血糖を経験する患者は死亡のリスクが高いことがわかってきました 死亡の増加が低血糖エピソード自体と関連しているのか 症状の重い患者の一つの目安に過ぎないのかはわかりません より多くが解明されるまでは 心血管リスクが高いと私たちが判断するそれらの患者の低血糖を避けることが重要です デル プラト博士 : そのとおりです 2 型糖尿病患者の低血糖を避ける努力は非常に重要だと思います さらに おっしゃるとおり 糖尿病患者の他のCV 疾患リスク因子を慎重に管理することもまた重要だと思います

フォンセカ博士 : これらのすべての理由から 糖尿病ケアの ABC つまり HbA1c の A BP つまり血圧の B コレステロールの C それと抗血小板管理は 非常に重要です

デル プラト博士 : それだけではありません 個別化の ABC もあります Age( 年齢 ) の A Body weight( 体重 ) の B Complications( 合併症 ) の C そして Duration( 疾患の持続期間 ) の D です フォンセカ博士 : それは実にいいですね すばらしいと思います

まとめとして 正しい血糖コントロールは2 型糖尿病治療の要ですが 私たちは血糖コントロール目標を個別化する必要があります 高齢者 腎機能障害 CV 疾患患者といった特定の患者サブグループに関しては 個別の糖尿病治療薬の選択に影響するこれらの問題を考慮する必要があります

いくかの古い高血糖治療薬には問題があり たとえばSU 類などは 問題となり得る低血糖と体重増加を引き起こします さらに 一部の薬剤は 腎疾患が存在する場合 作用持続期間を長引かせます DPP- 4 阻害剤は 低血糖リスクが比較的低い新しいクラスの薬剤です 高齢の糖尿病患者や腎機能障害 CV 疾患の患者を含め 患者のために設定した目標に達するように よく忍容される有効な高血糖治療薬を使用することが重要です

このプログラムをご視聴くださり ありがとうございました 皆様に関心を持っていただけたなら幸いです この情報を皆様の 2 型糖尿病患者の低血糖管理の個別化にぜ ひお役立てください This transcript has been edited for style and clarity.