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ROCKY NOTE 血球貪食症候群 (130221) 完全に知識から抜けているので基本的なところを勉強しておく HPS(hemophagocytic syndrome) はリンパ球とマクロファージの過剰な活性

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Transcription:

子どもの肝臓病 総説 子どもの肝臓病 (III) 田澤雄作 1) 1) 国立病院機構仙台医療センター総合成育部長 抄録 子どもの肝臓病は 成人のスペクトラムと異なり多彩である これまで 子どもの肝臓病 に関して2 編の総説を上梓したが この総説は先の2 編を補完する ( シトリン欠損症の最新治療 Alagille 症候群の特異顔貌の診断 ) と共に そのほかの分野 ( 門脈体循環短絡 静脈管開存 肝肺症候群 門脈肺高血圧 肝内腫瘍 脂肪肝 ) について記載した キーワード : シトリン欠損門脈体循環短絡肝腫瘍脂肪肝 Alagille 症候群 (2011 年 12 月 31 日原稿受領 ) 1 はじめに 新生児胆汁うっ滞 新生児肝炎及びシトリン欠損による新生児肝内胆汁うっ滞の臨床を中心にして 1) 黄疸ネット に記載した 黄疸の乳児を診たら 及び 各疾患の解説 : 胆道閉鎖 先天性胆道拡張症 新生児肝炎症候群 周産期の異常 新生児仮死 2 ) の総説二編を補完し 未記載分野の肝疾患及び肝障害について記載する 2 肝臓とは 肝心( 肝腎 ) は 大切なものを意味する言葉であるが まさしく肝臓はヒトにとって重要な臓器である 人間の臓器中最大で 3,000 億個以上の肝細胞で構成され 体重の 50 分の 1 大人では大きなスイカ1 個くらいの大きさである 色調は赤茶色 ( レバー色 ) 血管 リンパ管 胆管に富み 表面は滑らかである 機能は 糖 たんぱく 脂質. ホルモン ビタミン血液凝固 胆汁産成 解毒代謝等 まさに 人体化学コンビナート である 肝臓の再生能力は 巨人プロメテウスの物語 ( ギリシャ神話 ) に例えられている : プロメテウスは神の所有物であった火を人間に与え その罰として 大鷲に肝臓を食いちぎられるが 一夜にして肝臓は元に戻り--- 生体肝移植で移植した肝臓も 移植された肝臓も再生してサイズを復元する また肝臓は 沈黙の臓器 であり しかも肝細胞の 70-80% は眠っている 予備力 に富む臓器であり 病気が高度に進行しない限り症状は現れない 肝硬変は ギリシャ語のオレンジ色 cirrhosis からきているが 肝細胞の壊死 肝内線維化の進行 肝細胞の再生 ( 結節 ) により肝臓の表面は凸凹になる 肝機能の予備能が保たれている間 ( 代償期 ) は無症状だが 非代償期には黄疸 腹水 浮腫 門脈圧亢進症状 ( 脾機能亢進症 吐血 下血 ) 皮膚症状( 痒い 手掌紅斑 クモ状血管腫 ) 女性化乳房 意識障害( 肝性脳症 ) を認める 3 シトリン欠損症その後 4

仙台医療センター医学雑誌 Vol. 2 April 2012 1) シトリン欠損による新生児肝内胆汁うっ滞 (NICCD) と成人期発症 II 型シトルリン血症 (CTLN2) シトリン欠損による新生児肝内胆汁うっ滞 ( neonatal intrahepatic cholestasis cause by citrin deficiency, NICCD ) の責任遺伝子は SLC25A13 であるが この遺伝子変異によるシトリン欠損症は 新生児 乳児期に発症する NICCD のほか 意識障害 高アンモニア血症 脂肪肝などの臨床像を示す成人期発症 II 型シトルリン血症 (CTLN2) の2つの異なる臨床像を示す ( 図 1) 新生児期 (0~ 1 歳 ) 適応 代償期成人期 (10~ 80 歳 ) NICCD OMIM #605814 男 : 女 =112:135 遷延性黄疸肝内胆汁うっ滞多種アミノ酸血症 (Cit, Thr, Met, Tyr 等 ) ガラクトース血症低蛋白血症 低血糖凝固能低下 AFP 高値脂肪肝 体重増加不良肝移植 (5 例 ) 見かけ上健康 幼少時より特異な食癖 # 糖質を嫌う # 蛋白質 脂質を好む 多彩な症状出現食欲不振 視力障害てんかん様発作疲労 全身倦怠感低血糖 肝機能障害腹痛 胃腸障害膵炎 高脂血症 肝癌 CTLN2 OMIM #603471 男 : 女 =135:60 意識障害 行動異常高アンモニア血症シトルリン血症 Arg Thr/Ser 比 肝 ASS 活性低下 PSTI 上昇 膵炎脂肪肝 肝癌予後不良肝移植 (>45 例 ) でに肝機能は正常化していたが,1 歳前に生体肝移植が行われた症例が2 例あった さらに 16 歳で CTLN2 を発症した症例が1 例あり, 長期的な経過観察が必要である 2)CTLN2 及び NICCD でみられる特異な食嗜好 CTLN2 患者は豆類などの高蛋白質食を好み, 糖質を嫌うことが報告されているが, NICCD と診断された 18 症例 (1 33 歳 ) の食嗜好についての検討から, 以下の結果が得られている 1 歳児例では, 炭水化物摂取カロリー比は 33% と対象の 59% に比べ低下し 脂肪摂取カロリー比は 47% と増加し 特異な食行動は離乳食開始後の1 歳から認められた 18 例の平均値でも, 炭水化物の摂取カロリー比は 37% と低く 脂肪摂取カロリー比は 44% と増加しており 小児期より低炭水化物食を好む食嗜好が明らかとなった 3) ( 図 2) 図 1 シトリン欠損症の臨床経過 ( 小林ら : 小児科診療 2010;73(Suppl):493-494 より一部改変 ) 日本人では この遺伝子異常をもつキャリアーは 1/70 人 ホモ接合体は 1/1,7000 人と推定されてい るが ホモ接合体の 20% が CTLN2 として発病すると推定されている 3) NICCD75 例の臨床像は以下のように要約される 3):1) NBS 陽性を契機に受診したのは全体の 40% であり, その多くはガラクトースもしくはメチオニン高値であった その他は 黄疸, 淡黄色使を主訴 図 2 右側は日本の1 2 歳児の平均総摂取カロリー (1136 kcal/day) 平均摂取カロリー比( 脂 28% 蛋 14% 炭水化物 59%). 左側はシトリン欠損症 1 歳女子の総摂取カロリー (1409 kcal/day) 平均摂取カロリー比( 脂肪 47% 蛋白 19% 炭水化物 33%)F: 脂肪 P: 蛋白 C: 炭水化物. ( 文献 3 より引用 改訂 ) に新生児肝炎, 胆道閉鎖が疑われ生後 1 4 か月の 間に受診していた 2) 検査結果では高胆汁酸血症, 凝固能低下, 低蛋白血症, 一過性の多種高アミノ酸血症 高ガラクトース血症 白内障 高脂血症が認められる 3) MCT ミルク 乳糖除去ミルク, 脂溶性ビタミン等が使用され, 大部分の症例では1 歳ま 多くの NICC 患児は 1 歳までに肝機能は正常化し 見かけ上は無症状となるが 離乳食が開始されると甘いジュースや米飯を嫌い 低炭水化物 高蛋白質 高脂肪食品を好むという特徴的な食嗜好が現れる この特異な食行動は シトリン欠損による代謝不全 5

子どもの肝臓病 を代償する合目的行動であると考えられている 3) 低炭水化物食治療 佐伯らはシトリン欠損モデルマウスを用いて 蔗糖を単独で強制投与するとアンモニアが上昇し カゼイン水解物のトリブトンを併用するとアンモニア上昇が抑えられることを報告した さらに Dimmock 及び lmamura らはそれぞれ NICCD と CTLN2 患者に低炭水化物食を与えた結果 臨床的に効果があることを報告し 低炭水化物食による治療が期待されている 4, 5) ここで大浦が報告した CTLN2 症例 (68 歳 ) を再掲 ( 要約 ) する 3) 主訴は 夜中の昏迷発作 両親はいとこ婚 アルコールは飲めない 豆類を好み 甘いものを好まない食癖がある 現病歴は以下 就寝中に突然おきだし 全裸になり失禁することが週 2 回程度見られるようになった さらに倦怠感が増強し 農作業が出来ず 認知症が疑われて 某大学病院に紹介される 患者さんは 昏迷発作数日前に黒飴を購入し 1 袋 ( 約 150g) 食べたていた 検査成績では 高アンモニア血症 (127μg/d1) 高シトルリン血症 (6 mg/d1) が認められ 遺伝子検査にて CTLN2 と診断された 入院時は普通食 ( 蛋白質 14 16% 脂質 20 25%, 炭水化物 60 65%) が提供され さらに食欲不振のため経管栄養が併用され 周期的な昏迷状態も続いていた 確定診断後 低炭水化物食 ( 蛋白質 19% 脂質 46 炭水化物 35%) に変更し, ピルビン酸ナトリウムを併用した結果 食欲が回復 体重も増加 昏迷発作も消失した 患者は 昏迷発作直前に大量の糖質 ( 黒飴 ) を摂取しており これが発症の引き金になった可能性がある 今までにも飲酒により発症した報告もあり 糖質の過剰摂取はシトリン欠損症では禁忌であると考えられた 4) シトリン欠損症最新治療のために (1) 高カロリー輸液やグリセリン 果糖液は禁忌 NICCD とは異なり CTLN2 の予後は不良であり 発症後数年以内に死亡することが多いとされてきた 従来の CTLN2 の治療は 高アンモニア血症に対する低蛋白質 高カロリー輸液 脳症に対するグリセリン 果糖液 ( グリセオール注 など ) 投与などであったが シトリンの機能が明らかとなり 古典的治療法は不適切であることが明確化した 特に高カロリー輸液やグリセリン 果糖液は細胞質内の NADH を増加させ 急性代謝不全を起こす危険があり 禁忌である 低炭水化物食事療法を導入することで CTLN2 の予後は改善すると思われる 3) 離乳食開始後, 患児は炭水化物を好まず, 高蛋白質, 高脂防食を好んで食べる特異な食癖が現れるが これは合目的行動であり 子ども特有のわがままではないこと 特に学校給食を無理に食べさせないことが重要である 生クリームやチョコレートなどの甘みは食べることが多いが これらの食品は 糖質だけでなく多くの蛋白脂肪が多く含まれているためと考えられている また, 患児では ケトン血性低血糖を生じるリスクがあると考えられるが 通常の末梢からの低濃度ブドウ糖の輸液では問題はないと考えられている 3) 新生児から乳児期の治療として 乳糖除去粉ミルクや MCT ミルク等が使用されているが その効果は確認されていない 母乳の平均エネルギー比率は 一般調整粉乳も同様であるが 蛋白質 7% 脂質 49% 炭水化物 44% であり 普通の食事に比較すると 低蛋白質 高脂質 低炭水化物である 3) しかし 母乳では各々の個体差があり 必ずしも均一ではないことは紛れのない事実である NICCD では 時に高ガラクトース血症を伴うため 乳糖除去ミルクが用いられるが 炭水化物のエネルギー比率は 51% と高くなる 乳糖除去ミルク 100 m1 に MCT オイル 2 m1 添加すると エネルギー比率は脂質 50% 炭水化物 40% となり 摂取総カロリーも増加する 胆汁うっ滞が強く肝障害が遷延 あるいは体重増加不良を認める症例では有用であると思われる 蛋白加水分解 MCT ミルク (ML-3) は 乳糖除去かつ MCT 含有であり 6

仙台医療センター医学雑誌 Vol. 2 April 2012 NTCCD の治療に適している 3) ビルビン酸は 細胞質で乳酸脱水素酵素により乳酸に変換し NAD + が産生することから 治療薬として効果が期待されている Moriyama らは シトリン欠損モデルマウスの肝還流実験を行い ビルビン酸投与下で尿素合成能が増加することを示した 6) また Mutoh らは CTLN2 未発症の 13 歳の女児ピルビン酸ナトリウムとアルギニンを投与したところ 倦怠感 大欲不振の改善 体重増加 検査成績の正常化が見られたと報告している 7) シトリン及びミトコンドリア glycerol-3-phosphate dehydrogenase (mgpd) のダブルノックアウトマウスの実験では 蔗糖投与による高アンモニア血症が蔗糖とピルビン酸ナトリウムの投与で改善することが報告されている 8) 4 高ガラクトース血症 高胆汁酸血症ガラクトース血症 (galactosemia) は Galactose-1-P uridyl-transferase 欠損による遺伝性疾患であり 無治療では新生児劇症肝不全を引き起こす致死的な疾患である 一方 高ガラクトース血症 (hypergalactosemia) は 新生児肝疾患 ( 新生児肝炎 NICCD など ) galactokinase 欠損 UDP-galactose-4' epimerase 欠損 門脈体循環短絡などで認められるが 白内障や軽度の肝機能障害を例外として無徴候性である 高ガラクトース血症は 新生児マススクリーニングを契機に発見されるが 肝血管腫 ( 肝内動静脈シャント 静脈管開存門脈体循環シャント ) あるいは新生児肝炎 NICCD で合併する 溝口らの報告では 新生児スクリーニング (1986-1993) による 233 例 (0.125%) の陽性者中 生後 2ヶ月時に持続的に陽性を示した 17 例 (7.2%) 中 ガラクトース関連酵素活性が正常を示した 12 例の病因は以下であった : 肝血管腫 (4 例 ) 静脈管開存(1 例 ) 新生児肝炎 (2 例 ) 不明(5 例 ) 当時は新生児肝炎類似の臨床像を示す NICCD 未発見であり 新生児肝炎 2 例は NICCD の可能性がある 9) 肝血管腫や静脈管開 存の症例では 高ガラクトース血症のほか 高胆汁酸血症が認められる その機序は ガラクトースと同様で 胆汁酸は腸肝循環を形成し 腸管から吸収された胆汁酸が肝臓をバイパスして処理されないためと考えられている 肝血管腫の4 例の血清総胆汁酸は高値を示している (44-100 μmol/l) 9) 5 門脈体循環短絡 1) 先天性門脈欠損および先天性門脈低形成先天性門脈欠損および先天性門脈低形成は門脈体循環短絡を形成し 高胆汁酸血症や高ガラクトース血症のほか 多様な臨床像を示す ( 表 1) 表 1. 先天性門脈欠損及び先天性門脈低形成の臨床像先天性門脈欠損 (12 例 ) 肝性昏睡 (2/9 例 ) 肝腫瘍奇形女子 (12/12 例 ) 先天性門脈低形成 (7 例 ) 先天性心疾患男性 (6/6 例 ) 肝性昏睡 (2/6 例 ) IUGR (1/6 例 ) 先天性門脈欠損は女子に先天性門脈低形成は男子に好発するが 高アンモニア血症による肝性昏睡 が一部の症例で報告されている 2) 静脈管開存 10, 11) Coceani らによると 静脈 (ductus venosus) は胎児では生理的に存在し そのシャント率は 50% であり インドメサシンは静脈管や肝血管系の収縮作用を示し 母親のインドメサシン服用は静脈管の開存に影響する 新生児の静脈管開存は日齢 0 7

子どもの肝臓病 (100%) 日齢 (76 8%) 日齢 14 (16%) と報告されている 12, 13) 従って 新生児期には生理的な門脈体循環短絡があり 一過性の高胆汁酸血症状 高ガラクトース血症 高アンモニア血症がおこりうることを示唆している 静脈管の開存が脂肪肝の原因となることを示唆する事例がある 最初は 先天性と考えられる家族性静脈管開存である 静脈管開存の3 兄弟例が報告され その臨床像の特徴は進行性の肝機能障害と高度な脂肪肝である ( 表 2) 表 2.3 兄弟例の年齢 シャント率 肝組織像 ( 脂肪肝 ) 年齢シャント率肝組織像 ( 脂肪肝 ) Case 1: 4 歳 67% +++ Case 2: 5 歳 50% ++ Case 3: 11 ケ月 77% + 門脈体循環短絡による脳症は年齢依存的であり シャント率が 50% 以上で認められる また肝機能異常は シャント率 30% 以下の場合 小児期に認めることはまれであると報告されている 14) 在胎 38 週 2,670g で出生し 新生児仮死 胎便吸引症候群で死亡した日齢 1の症例 (AST 149 IU/L ALT 255 IU/L LDH 4442 IU/L CK 1213 IU/L) の剖検肝は特異な所見を示していた 肝臓の右葉の色調は brownish yellow 組織像は 脂肪肝 ( 中脂肪滴型 ) を示したが 左葉は dark red 組織像は うっ血肝 を示し 肝臓全体では two tone liver の外観を呈していた 15) この症例は 静脈管開存による肝内血流のシャントが 胎児肝組織に与える影響を示唆している 胎児期の肝血流は 生理的には左側優位で右側の約 3 倍であるが その差が肝細胞に影響を与えていることを示唆している 糖原病や肥満の脂肪肝の CT 検査でも左右両葉の CT 値の違いを示す two tone liver を呈する症例があるが 肝内血流動態と関連している可能性が示唆される Hassall らは 肝硬変を合併していない門脈体循 環シャント術後の肝性脳症について報告している ヒトの門脈血流の完全閉鎖では肝性脳症は出現せず 肝臓のグリコーゲンの枯渇 肝細胞の萎縮 脂肪沈着がおこると報告している 16) 6 肺と肝疾患 肝肺症候群と門脈肺高血圧 肝肺症候群 (hepatopulmonary syndrome, HPS) と門脈肺高血圧 (portopulmonary hypertension, PPH) は 肝臓と肺臓の関連を示唆する疾患である HPS は肺血管収縮作用の機能低下状態を示し PPH は肺血管収縮作用の過剰状態を示していると推定されている HPS における肺血管の拡張は 肺におけるガス交換を障害して低酸素血症を生み PPH における肺血管の攣縮は 血流動態に影響して右心不全を生じさせる HPS では 前毛細血管および毛細血管の拡張があり ガス交換の拡散等を障害する 一方 PPH は 進行性肝病変 ( 肝硬変 ) の 20% に見られ 平均肺動脈圧が 25mmHg 以上を示す HPS と PPH における肺血管系の病理組織像の異同の鑑別は難しい 17, 18) 7 肝腫瘍と脂肪肝肝腫瘍の病因は多様であるが 診断 鑑別診断の手掛りは表 3 のように要約される 脂肪肝 特に局在性脂肪肝は肝腫瘍との鑑別が問題となる 1) 肝腫瘍肝腫瘍は 子どもの腫瘍全体の約 2% であり 肝芽腫 肝癌 肝血管腫が主要な疾患であり 全体の 3 分の2を占める 小児血管内皮腫 ( 血管腫 ) 間葉性過誤腫 肝芽腫は低年齢で認められ 血管腫の大部分 (95%) は1 歳未満である 後 2 者の大部分は 2 歳までに認められる その他の肝腫瘍 ( 肝細胞がん 未分化胎芽肉腫 限局性結節性過形成 ) は 主として年長児に認められる 性差が明らかに認められる肝腫瘍は 肝腺腫および限局性結節性過形成 8

仙台医療センター医学雑誌 Vol. 2 April 2012 であり 女子に好発する 成人とは異なり 胆管がんや転移性腫瘍は少ない 19, 20) 記載する肝細胞がん ( 成人型肝細胞がん ) とは組織学的に異なる ( 表 5) 表 3. 肝腫瘍の診断 鑑別診断に有用な所見 年齢 年少児肝芽腫 小児血管内皮腫 間葉性過誤腫 年長児肝細胞がん 限局性結節性過形成 肝線腫未分化胎芽肉腫 結節性再生性過形成 血清 AFP ( アルファ フェトプロテイン ) の増加 / 血小板の増加肝芽腫 肝細胞がん 表 4. 肝芽腫を伴う疾患 ( 文献 18 より抜粋 一部改変 ) Beckwith-Wiederman syndrome Down s syndrome hemihypertrophy oral contraceptive (mother) Prader-Wille syndrome renal dysplasia trisomy 18 type Ia glycogen storage disease very low birth weight 血小板減少 / うっ血性心不全 小児血管内皮腫 HBV 感染 / 肝硬変 肝細胞がん 表 5. 肝芽腫と肝細胞がんの組織像の比較 ( 文献 19 より抜粋 一部改変 ) 早発思春期症 Hepatoblastoma Hepatocellular 肝芽腫 門脈圧亢進症 結節性再生性過形成 carcinoma Tumor mass single single or multiple Pseudocapsule present usually absent Light and black pattern present absent (1) 肝芽腫 hepatoblastoma 小児期で最も高頻度に経験される肝腫瘍である 病因としては 癌抑制遺伝子 ( 染色体 11p など ) の欠失や失活による可能性が指摘されている 殆どの症例は 5 歳以下であり 70% の症例は生後 2 年までに 5% は生下時に経験される 本邦では 1,500 g 以下の低出生体重時の肝芽腫の発生頻度が増加していることが報告されている 肝芽腫では 多様な先天性形成異常を合併することが知られている ( 表 4) 肝細胞癌とは異なり 人種や地域差はない 特徴的な臨床像は 早発思春期症である 腫瘍が産生すヒト絨毛性性腺刺激ホルモン (HCG) の影響による 70% に貧血 50% に血小板増加 AFP の異常増加は 90% の症例に認められる 80% の症例は孤立性の腫瘍であり 15% の症例では肺への転移が認められる 肝芽腫は次に Tumor giant cells absent present Extramedullary hematopoiesis present absent Bloody lake present absent Osteroid tissue present absent Cirrhosis present absent (2) 肝細胞がん ( 成人型肝がん )hepatocellular carcinoma 肝細胞がんの成因は多数ある それ自身が直接遺 伝子変異をもたらす癌原性物質ではないが 長期間 の肝細胞の壊死 再生を引き起こす要因の場合 肝 がんの発症に連続すると考えられている 従って 肝硬変が多いと肝がんが多い傾向がある 小児例の 65% は 10 歳以上であり 多様な疾患との合併が 報告されている ( 表 6) 9

子どもの肝臓病 我が国では HB 感染に関連する症例が多く 母子感染が主たる原因と考えられている 発症最年少 人型肝がんとの関係が知られているが 小児期では極めて稀である 表 6. 成人型肝細胞がんを合併する小児期疾患 ( 文献 18 より抜粋 一部改変 ) hepatitis B infection biliary atresia postnecrotic biliary cirrhosis hereditary tyrosinemia alpha-1-antitrypsin deficiency Alagille syndrome (arteriohepatic dysplasia) Byper s disease (progressive familial intrahepatic cholestasis type I) methotrexate therapy type I or III glycogen storage disease Wilson s disease Wilms tumor は7 歳であることから 肝がん発症までの期間は一般的に7 年以上と推測されている ( 例外的に 8 ヶ月の症例が報告されているが 詳細は不明である ) HB 感染後 3 年で発症と考えられる 10 歳例がある この患児は 7 歳時に白血病を発症し 化学療法を受け 同時に HB 感染したと推定される症例である 多発性または孤立性の腫瘤を形成し 貧血及び赤血球増多症 血小板増多症 血清 AST 及び LDH ALP 及びコレステロールの異常高値が認められることがある 血清ビリルビンの上昇は 15-20% に AFP の異常増加は大部分の症例で観察されるが 正常あるいは軽度上昇にとどまる症例もある 21) 肝がんは単発性あるいは多発性腫瘤を形成する 60% 前後の症例では 周囲組織に大結節性あるいは小結節性肝硬変が観察される 本邦小児では HBV 感染後の肝硬変のほか 胆道閉鎖症術後胆汁性肝硬変 新生児肝炎後胆汁性肝硬変に合併する肝がんが報告されている Fibrolamellar variant では 肝硬変は稀 (5%) であるが 限局性結節性過形成が観察されることがある (5%) HCV 感染と成 (3) 血管腫と小児血管内皮腫 hemangioma and infantile hemangioendothelioma 小児で経験される良性血管腫は 海面状血管腫である 通常は孤立性である巨大海面状血管腫では 腹部膨満 肝腫 腹痛等の臨床像を示す 稀に肝臓に瀰漫性に分布することもある ( 血管腫症 hemangiomatosis) 小児血管内皮腫では 腹部腫瘤あるいは黄疸 呼吸困難 うっ血性心不全 皮膚血管腫が観察される 孤立性あるいは多中心性に認められる 診断後 6ヶ月後の生存率は約 70% 黄疸 うっ血性心不全 多発性腫瘍の予後は不良である 大部分の症例は生後 6ヶ月以内 3 分の 1 の症例は生後 1 ヶ月以内に経験される 女子に好発する傾向がある 多くの症例は腹部膨満 腹部腫瘤を示し 10-15% の症例ではうっ血性心不全の徴候が認められる このほか 体重増加不良 発熱 黄疸 (20%) 稀に肝不全および血管腫の破裂ある Kasabach-Merritt 症候群 ( 血管腫及び血小板減少 ) は特異な疾患である 皮膚血管腫の合併は 報告で異なるが 10-70% に認められる 貧血は 50% 血清トランスアミラーゼの上昇 (>100IU/L) は 3 分の1の症例で観察される 近年 血管腫の治療として interferon が使用されているが 乳児での使用は神経学的合併症の発症に注意すべきである 22) (4) 限局性結節性過形成 focal nodular hyperplasia 良性腫瘍であり 原則として無徴候性である 周囲から明瞭に境界された孤立性の腫瘍であるが 多発性例もある ある程度の大きさの腫瘤では 肉眼的に central fibrous scar が観察され 周囲に向かう索状の線維索で多数の結節に分割されているのが特徴である これらの組織学的所見は 瘢痕中央部の奇形様肝動脈に灌流される肝実質が血行不全のため壊死に陥り その後 肝細胞が再生したこと 10

仙台医療センター医学雑誌 Vol. 2 April 2012 を示唆している 23, 24) 限局性結節性過形成は成人の疾患と考えられているが 15 歳以下でも経験される 限局性結節性過形成は多様な小児期疾患に合併する 糖原病 I 型では 限局性結節性過形成及び肝腺腫の合併が知られている 胆道閉鎖術後の 5 歳及び 9 歳女子例が報告されている 明であるが 肝細胞が単クローン性に増殖したものと想定される 肝細胞がんへの悪性形質転換するためには 発がんに関与する遺伝子が変異し 1 個の細胞に段階的に蓄積する必要があると考えられている 無症状で経過する場合もあるが 軽度の腹痛を伴う場合 腫瘍内あるいは腹腔内出血による腹痛が出現する (5) 結節性再生性過形成 nodular regenerative hyperplasia 従来 3mm 以下の小葉より小さな肝細胞の過形成結節が肝全体に多数認られ 結節周囲にはほとんど繊維化を伴わない肝病変と定義されてきた しかし現在では 肝に過形成結節を認めるすべての病変を包括した疾患概念となっている 慢性全身性病変や全身性循環障害 肝あるいは腎移植後に合併することが多い 門脈圧亢進症を約半数に認める 結節状に過生している肝細胞が再生肝細胞の特徴を有し これが門脈周囲にできていること そして小葉中心部の肝細胞は萎縮していることから 循環障害が基礎になっていることが示唆される 23, 24) 小児期では稀な疾患であるが 通常肝脾腫大を伴う 肝は多数の過形成肝細胞結節が認められ 周囲肝実質を圧迫し 門脈圧亢進症を合併することがある 成人では 骨髄性あるいはリンパ性血液疾患との合併が有名であるが 小児では 多様な非腫瘍性疾患 ( 抗てんかん剤など ) での合併が報告されている (6) 肝腺腫 hepatocellular adenoma 肝細胞腺腫はほぼ正常な肝臓に発生し 単発することが多く 被膜に包まれながら膨張性に発育する良性の疾患である 腺腫細胞は性状の肝細胞とほぼ同一の組織像を呈するが 腺腫内の門脈様構造には胆管が存在しない 主として思春期の女子に認められ 避妊薬の使用との関連が指摘されている このほか 糖原病やガラクトース血症など多様な疾患との合併が報告されている このような疾患に線腫が何故発生するのかは不 (7) その他の肝腫瘍間葉性過誤腫 (mesenchymal hamartoma) は 稀に成人で発見されるが 通常は生後 2 年以内に腹部腫大で発見される (85%) 新生物ではなく 先天的な発生異常による 正常肝組織との境界はやや不明瞭である 様々なサイズの嚢胞が疎な線維性結合間質に散在している 悪性化 ( 未分化胎芽肉腫 ) することはないとされているが反論もある 未分化胎芽型肉腫 (embryonal undifferentiated sarcoma) は 腹部腫瘤あるいは腹痛を訴えて 6-10 歳で発症する 腫瘤は大きく 嚢胞や壊死組織を内包する 予後は不良である このほか 転移性腫瘍 ( 神経芽細胞腫 Wilms 腫瘍ほか ) がある (2) 脂肪肝病因としては 栄養性 代謝性 薬剤性 感染性 その他に分類できる 脂肪肝は瀰漫性に認められることが多いが 時には局所性 半葉性 多中心性のパターンを示し 肝内腫瘍との鑑別が必要となる場合がある 肝がん の診断で化学療法を選択することは絶対的に避けなければならない (1) 低栄養及び肥満に伴う脂肪肝低タンパク低カロリーによる低栄養 (Kwashiokor) では全身性浮腫と共に脂肪肝が認められるが 肝線維化は伴わない 一方 子どもの過栄養 ( 肥満 ) に伴う脂肪肝は大きな国民的問題として浮上している : 非肥満児の脂肪肝も存在する 肥満児は現在約 15% に認められるが その 20% に血清 AST または ALT 値の異常高値あるいは超音波 11

子どもの肝臓病 断層検査で脂肪肝の存在が示唆されている 今後 肥満児は 25% まで増加することが予想されることから 将来は子どたちの約 5% が脂肪肝を合併する計算となる さらに 脂肪肝に合併する ( 非アルコール性 ) 脂肪性肝炎あるいは進行性肝病変 ( 肝線維症あるいは肝硬変 ) が脂肪肝児の約 60% に認められることが明らかにされ 将来 HBV/HCV 感染の大部分が消退することが予想される我が国の 次世代の国民的疾患 として問題となることが警告されている 脂肪肝の一部が脂肪性肝炎 ( あるいは進行性肝病変 ) へ進展する機序としては two hits 説が有力である 脂肪性肝炎成立の第 2 因子として 耐糖能の異常 (II 型糖尿病 ) があげられている このほか エンドキシンおよび各種サイトカイン (TNF-α レプチンほか ) の関与が推定されている 24, 25) (2) 代謝性新生児や乳児では胆汁うっ滞を合併する脂肪肝では 特に代謝性疾患を考慮すべきである 多様な代謝性疾患で脂肪肝を合併するが 本邦で重要な疾患はシトリン欠損症 (citrin deficiency) である この疾患は 出生 20,000:1 の発症頻度であり 本邦に特有な代謝性疾患である さらに近年 新生児胆汁うっ滞及び脂肪肝を合併する疾患であることが明らかにされた シトリン欠損症は SLC25A13 遺伝子による蛋白 ( シトリン ) 生成異常が原因であるが 従来 成人期に発症する疾患 (adult-onset citrullinemia type II) として報告されてきたが 新生児胆汁うっ帯を示すことが明らかにされた (NICCD) 27, 28, 29) 脂肪肝を合併するそのほかの代謝性疾患として 遺伝性チロシン血症 フルクトース代謝異常症 糖原病 Wilson 病等があげられる (3) 薬剤性及び感染性化学療法剤 (L-アスパラギナーゼほか) ステロイド剤 抗生剤 ( テトラサイクリンほか ) EBV 肝炎 HCV 肝炎があげられる 8 Alagille 症候群 Alagille 症候群のほか Watson-Alagille syndrome Arteriohepatic dysplasia が同義語としてある Watson-Alagille 症候群は家族性 先天性心疾患 肝機能異常を認める症例に Alagille 症候群は 家族性 慢性胆汁うっ滞 先天性心疾患 特徴的顔貌 椎骨の異常 後部胎生環を認める症例として報告されてきた 責任遺伝子は 染色体 20p12 (D20S59-D20S65) にある JAG1(Jaggd1 encodes a ligand for the Notch receptor) である 30, 31, 32) (1) Alagille 症候群の診断診断は以下の5 項目 ( 表 7) によるが 本邦例の発症頻度は以下のように報告されている 表 7. 本邦 Alagille 症候群の臨床像慢性胆汁うっ滞 100% 特徴的顔貌 98% 心血管系の異常 90% 椎骨の異常 77% 後部胎生環 40% 5 症状をみとめる完全型と慢性胆汁うっ滞のほか 2 症状以上を認める不完全型に分類されているが 臨床的な意義は不明である 2)Alagille 症候群の診断 治療の問題点 (1) 特徴的顔貌顔貌の特徴は 突き出した前額 後退した眼窩部 ストレートな鼻梁 小さな下顎である ( 写真 ) が 日本人ではその特徴が明確ではなく 特に新生児 乳児では判別が難しいと考えられていた ( 写真 ) 特異顔貌の診断について 日本小児肝臓病研究会会員 (65 名 ) を対象とした結果を以下に示す ( 表 8) この結果から 本邦症例の特異顔貌の診断のため 12

仙台医療センター医学雑誌 Vol. 2 April 2012 には 症例の積み重ねが必要であり 特に新生児 乳児では困難であることを知っておくこと 診断ではその他の徴候を見逃さないことが重要であり 聴診 ( 心雑音 ) 胸椎正面 X-P(2 分脊椎 ) 肉眼であるいは眼科医に依頼して角膜周辺部を観察 ( 後部胎生環 ) することが必須であることが示された 症例と共に 予後不良の症例が報告されている 肝門部空腸吻合術例での移植術率は 肝門部空腸吻合術非施行例での移植術率が低値 (p<.01) である ( 表 9) 33) 表 9.Alagille 症候群における肝門部空腸吻合術の予後非移植例移植例 肝門部空腸吻合術有 11 例 4 例 7 例 (63%) 肝門部空腸吻合術無 33 例 31 例 2 例 (6%) 計 44 例 35 例 9 例 死亡例からの解析では 肝移植施行例では 5/ 9 例 (55%) に対して 肝移植未施行例では 4/35 例 (11%) であり 有意に肝移植未施行の予後が良好であることが明らかにされた (P< 0.01) 予後不良例 ( 重症例 ) が肝門部空腸吻合術の対象になった可能性は残される 写真 Alagille 症候群 (Y.T.): 年長では特異的顔貌の特徴が 明確になる ( 右 ) 新生児 乳児期の顔貌は特異的でない ( 左 ) 表 8. 特異顔貌の診断正解率 患児年齢 <1 歳 >1 歳 計 会員卒後年数 ( 年 ) 1-5 44% 74% 60% 6-10 46 64 56 11-15 46 60 56 16-20 46 62 54 21-44 52 48 総計 45% 62% 54% (2) Alagille 症候群の治療と予後 Alagille 症候群における治療上の問題点は 1) 複 雑先天性心疾患の合併 ( 末梢性肺動脈狭窄症ほか ) 2) 外科的治療の功罪がある 特に Alagille 症候群 では 肝外胆管の低形成 ( あるいは無形成 ) を伴う 症例があり 胆道閉鎖 との鑑別診断が不十分の ため 胆道再建術 ( 葛西の手術ほか ) を受ける症 例があるが 以外にも予後が良好で黄疸が消失する 9 最後にこの総説は 鳥取大学小児科学教室肝疾患セミナー で使用したテキスト ( 全 125 頁 ) 肝腫瘍と脂肪肝 ( 小児疾患診療のための病態生理. 小児内科 小児外科編集委員会共編. 東京医学社小児内科 2002:34;542-545) をベースにしている 肝疾患セミナー冒頭文を以下に記す : このセミナーの目的は 鳥取大学小児科教室で経験された症例を中心に 高山の山頂から ガイド付きで子どもの肝疾患の峰々を俯瞰することである 私は 幸運にも新たな小児肝疾患 シトリン欠乏による新生児胆汁うっ滞 neonatal intrahepatic cholestasis by citrin deficiency (NICCD) をこの地で発見し 子どもの肝臓病の新たな扉を開くことができた 今一度 小児肝臓疾患を静かに俯瞰することで 次の謎を解く鍵が発見できるかもしれない 10 文献 1) 田澤雄作. 新生児胆汁うっ滞 新生児肝炎及びシトリン欠損による新生児肝内胆汁うっ滞の臨 13

子どもの肝臓病 床を中心として日本小児科学会雑誌 2007;111:1493-1514 2) 乳児黄疸ネット http://www.jspghan.org/ icterus/01/1-1.html 31 March 2012 3) 大浦敏博. シトリン欠損症研究の進歩 発症予防 治療法の開発に向けて日本小児科学会雑誌 2009;113:1649-1653 4) Dimmock D et al. Citrin deficiency: a novel cause of failure to thrive that responds to a high-protein, low-carbohydrate diet. Pediatrics 2007;119:e773-e777 5) Imamura Y et al. Effectiveness of carbohydrate-restricted diet and arginine granules therapy for adult-onset type II citrullinemia: a case report of siblings showing homozygous SLC25A13 mutation with and without the disease. Hepatol Res 2003;26:68-72 6) Moriyama M et al. Pyruvate ameliorates the defect in ureogenesis from ammonia in citrin-deficient mice. J Hepatol 2006;44:930-938 7) Mutoh K et al. Treatment of a citrin-deficient patient at the early stage of adult-onset type II citrullinemia with arginine and sodium pyruvate. J Inherit Metab Dis 2008;31:343-347 8) Saheki T et al. Metabolic analysis reveals hepatic metabolite perturbations in citrin/mitochondrial glycerol-3-phosphate dehydrogenase double-knockout mice, amodel of human citrin deficiency. Mol Genet. Metab. 2011;104:492-500 9) 溝口信行ほか日本小児科学会雑誌 1994;98:1392-9 10) 溝口信行ほか異常血管による門脈 - 下大静脈短絡のために高ガラクトース血症を呈した肝内門脈欠損の1 例日本小児科学会雑誌 1995;99:1293-8. 11) 内野高子ほか. 先天性門脈 - 体循環シャントとその病態ならびに自然経過. 日本小児科学会雑 1996;100:247 12) The control of the ductus venosus: an update. Coceani F et al. Eur J Pediatr 1993;152: 976-977 13) Loberant N et al. Closure of the ductus venosus in neonates: Findings on real-time gray-scale color-flow Doppler, and duplex Doppler sonography. AJR 1992;159:1683-1685 14) Uchino T et al. Three brothers with progressive hepatic dysfunction and severe hepatic steatosis due to a patent ductus venosus. Gastroenterology 1996;110:1964-1968 15) 津田圭助ほか. Two tone liver" の像を示した新生児の一例肝臓 1998;39:725-730 16) Hassall et al. Hepatic encephalopathy after portocaval shunt in a noncirrhotic child. J Pediatr 1984;105:439-441 17) Barbe T et al. Pulmonary atreriovenous shunting in children with liver disease. J Pediatr 1995;126:571-9 18) Losay J et al. Early liver transplantation is crucial in children with liver disease and pulmonary artery hypertension. J Hepatology 1998;28:337-342 19) Stocker JT. Hepatic tumors. In: Suchy FJ, Sokol RJ, Balistreri WF, ed. Liver Disease in Children. Philadelphia;Lippincott Willams & Wilkins, 2001;919-47 20) Shende A, Valderrara E. Miscellaneous Childhood Tumors. In: Lanzkowsky P, ed. Pediatric Oncology. New York; McGraw-Hill Book Company. 1983;360-385 21) Tazawa Y, et al. Hepatocellular carcinoma in children with hepatitis B surface antigen. Tohoku J Exp Med 1992;167;47-55 14

仙台医療センター医学雑誌 Vol. 2 April 2012 22) Barlow C et al. Spastic diplegia as a complication of interferon alfa-2a treatment of hemangiomas of infancy. J Pediatr 1998;132:527-530 23) 内田俊和著. 最新肝臓病理学. 東京 ; 中外医学社. 1999;420-510 24) 中島敏郎, 鹿毛政義著. 門脈圧亢進症の病理. 東京 ; 医学書院 1996;121-129 25) 村上潤ほか. 肝線維化を認める小児期非アルコール性脂肪性肝炎の 2 例. 肝臓 1999;40:649-653 26) 田澤雄作ほか. 小児肥満と進行性肝病変. medicina 2002;39:303-304 27) Tazawa Y, et al. Infantile cholestatic jaundice associated with adult-onset type II citrullinemia. J Pediatr 2001;138:735-740 28) Ohura T, et al. Neonatal presentation of adult-onset type II citrullinemia. Hum Genet 2001;108:87-90 29) 田澤雄作. NICCD (neonatal intrahepatic cholestasis caused by citrin deficiency) の病態と診断. 小児科診療 2007;70:913-922 30) T. Oda et al. Mutations in the human Jagged1 gene are responsible for Alagille syndrome. Nature Genetics 1997;16:235-242 31) L.Li et al. Alagille syndrome is caused by mutations in human Jagged1, which encoded a ligand for Notch1. Nature Genetics 1997;16:243-251 32) Z-G Yuan et al. Linkage analysis and identification of deletion in Alagille syndrome gene. Acta Paediatr Jpn 1997;39:647-652 33) 虻川大樹ほか. Alagille 症候群の予後と肝移植の適応に関する検討. 日本小児科学会雑誌 1999;103:554-558 15