平成 28 年度地方公共団体における犯罪被害者支援総合対応窓口調査報告書 犯罪被害者等暮らし 支援検討会 ( くらしえん )
Ⅰ. 地方公共団体における犯罪被害者支援総合対応窓口調査全体編... 3 1. 調査の背景 目的... 3 2. 調査の概要... 3 2-1. 調査内容... 3 2-2. 調査対象... 3 2-3. 調査方法 概要... 3 2-4. アンケート調査の結果... 4 1) 地方公共団体の属性... 4 2) 担当者の属性... 8 3) 相談の状況... 12 4) 連携について... 16 5) 広報について... 20 6) 担当者のサポート体制... 21 7) 総合対応窓口と犯罪被害者等支援に関する取り組み... 23 Ⅱ. 地方公共団体における犯罪被害者支援総合対応窓口調査分析編... 27 1. 調査の概要... 27 2. 分析結果... 27 2-1. 相談を受理した対応窓口の傾向と課題... 27 1) 対応窓口の傾向... 27 2) 担当部署の傾向... 29 3) 担当者の傾向... 30 4) 相談の傾向... 31 5) 相談件数について... 31 6) 連携について... 32 7) 広報について... 32 8) 担当者のサポート体制... 33 9) 担当者の資質から見る連携と事業の傾向... 34 2-2. 相談実績の比較分析... 36 1) 全体結果と相談受理のあった対応窓口から見えてきた特徴と課題... 36 2) 相談実績差での比較分析... 38 a 市民に関わる担当者の確保... 38 b 対面支援と当事者へのアプローチ... 38 c 市民への周知と多様な連携... 39 d 専門性の育成... 39 3) 実績差で見る担当者の意見の傾向... 40 a-1 充実のために必要と思うこと (10 件未満の機関 )... 40 a-2 課題に思うこと (10 件未満の機関 )... 40 b-1 充実のために必要と思うこと (10 件以上の機関 )... 41 b-2 課題に思うこと (10 件以上の機関 )... 41 Ⅲ. 総括... 44 2
Ⅰ. 地方公共団体における犯罪被害者支援総合対応窓口調査全体編 1. 調査の背景 目的犯罪被害者支援の状況として 2005 年の犯罪被害者等基本法 ( 以下 基本法 ) の施行により地方公共団体においても犯罪被害にあわれた方やその家族 ( 以下 犯罪被害者等 ) への支援が行われるようになっている 犯罪被害者等基本法から 10 年ほど経った 2016 年 4 月には 第 3 次犯罪被害者等基本計画 ( 以下 第 3 次基本計画 ) が閣議決定し 地方公共団体における総合的対応窓口等の充実の促進 が明記されている 地方公共団体における犯罪被害者等の相談体制の確立が 喫緊の課題になっているといえる しかしながら 地方公共団体の総合的対応窓口の支援自体については 把握できていない部分も多く その基礎的調査が急務である 本研究では 実際に犯罪被害者等の対応にあたる総合的対応窓口の全国調査を行い その実態とそこから見えてくる体制整備の課題や方向性を明らかにする 2. 調査の概要 2-1. 調査内容全国の地方公共団体における総合的対応窓口 ( 以下 対応窓口 ) での犯罪被害者等の支援や取り組み状況を収集し 多角的に分析することで 犯罪被害者支援の基礎データを得る 地方公共団体の属性 対応窓口の担当者の属性 過去の相談件数 取り扱った被害事案 対応における体制 連携先 対応窓口を充実させるための課題などを調べた 2-2. 調査対象第 1 次基本計画 (2005 年 ) 下で 都道府県における犯罪被害者等のための対応窓口が整備された 第 2 次基本計画 (2011 年 ) 下では 市区町村における対応窓口の設置も促進され 2015 年 4 月で 約 90% の市区町村に整備されている これら全国の都道府県 および市区町村が設置した対応窓口を担当する部署 主に生活課 安全課 人権課等を対象とし アンケート調査を実施した 2-3. 調査方法 概要調査対象である対応窓口の担当部署に調査依頼を郵送し WEB で回答するアンケート調査を実施した 2016 年 2 月 22 日 ( 月 ) 調査依頼発送 web アンケート開始 2016 年 3 月 15 日 ( 火 ) web アンケート終了 ( 最終回収 3 月 23 日 ) 3
全国の 47 都道府県の対応窓口 および 1,741 市区町村の対応窓口の 合わせて 1,788 件に調査依頼を郵送し 364 票の回答を得る ( 回収率 20.3%) なお アンケートにあたっては 担当者の自由意思による回答であり 地方公共団体の固有名記載は求めなかった 以上 日本社会福祉学会研究倫理指針に従って実施した 2-4. アンケート調査の結果 1) 地方公共団体の属性都道府県の対応窓口 47 件に配付して 18 票を回収 ( 都道府県における回収率 38.3%) 市区町村の対応窓口 1,741 件に配付して 346 票を回収した ( 市区町村における回収率 20.4%) 全体では 一般市 43.6% 町 38.9% の順に多く 地域別では 関東 19.9% 中部 18.5% 北海道 14.4% の順に続く また 人口規模が 5 万人未満のところで 61.7% 15 万人未満で 22.3% となっている 回答のあった地方公共団体の地域 n=362 九州 沖縄 13% 四国 3% 中国 9% 北海道 14% 東北 9% 近畿 13% 中部 19% 関東 20% 有効 北海道 52 14.3 14.4 14.4 東北 32 8.8 8.8 23.2 関東 72 19.8 19.9 43.1 中部 67 18.4 18.5 61.6 近畿 47 12.9 13.0 74.6 中国 34 9.3 9.4 84.0 四国 11 3.0 3.0 87.0 九州 沖縄 47 12.9 13.0 100.0 362 99.5 100.0 欠損値 無回答 2.5 4
回答のあった地方公共団体の区分 n=360 その他 都道府県 2% 村 6% 5% 政令指定都市 2% 町 中核市 39% 3% 一般市 43% 有効 その他 6 1.6 1.7 1.7 都道府県 18 4.9 5.0 6.7 政令指定都市 7 1.9 1.9 8.6 中核市 11 3.0 3.1 11.7 一般市 157 43.1 43.6 55.3 町 140 38.5 38.9 94.2 村 21 5.8 5.8 100.0 360 98.9 100.0 欠損値 無回答 4 1.1 5
回答のあった地方公共団体の人口規模 n=355 250 219 200 150 100 79 50 0 19 7 6 10 15 有効 120 万人以上 19 5.2 5.4 5.4 120 万人未満 7 1.9 2.0 7.3 70 万人未満 6 1.6 1.7 9.0 50 万人未満 10 2.7 2.8 11.8 30 万人未満 15 4.1 4.2 16.1 15 万人未満 79 21.7 22.3 38.3 5 万人未満 219 60.2 61.7 100.0 355 97.5 100.0 欠損値 無回答 9 2.5 6
担当する部署 n=325 その他 7% 総務 25% 市民生活保健福祉 協働 7% 19% くらし 安全 安心 まちづくり 29% 交通 防災 4% 男女 共同参画人権 1% 8% 度数 有効パーセント 有効 くらし 安全 安心 まちづくり 94 28.9 交通 防災 12 3.7 男女 共同参画 5 1.5 人権 25 7.7 市民生活 協働 61 18.8 保健福祉 23 7.1 総務 83 25.5 その他 22 6.8 325 100.0 欠損値 -1 39 364 7
2) 担当者の属性対応窓口の担当者については 他の業務と兼務する者 (89.4%) がほとんどで 専任 (3.9%) はごくわずかである また 担当歴は 1 年未満 30.1% 1-2 年未満 30.1% 2-3 年未満 21.0% と続き 約 6 割が 2 年未満で短い実務経験となっている 体制では 1 人 (44.9%) から 2 人 (25.0%) のところが大半で 3 人以上の体制を築いているところは 2 割ほどである 資格の有無については 資格なし (279 件 88.0%) が 9 割を占め 何らかの資格を有して支援にあたっているところは少ない状況がわかる なお 資格の内訳としては 社会福祉士 9 件 社会福祉主事 9 件 精神保健福祉士 8 件 保健師 5 件 臨床心理士 2 件 その他 21 件と 主に福祉系の資格が目立つ 担当する部署も様々であり 方向性も模索段階であると考えられる 担当者の属性 n=360 担当者でない 7% 専任で担当 4% 兼務で担当 89% 有効 専任で担当 14 3.8 3.9 3.9 兼務で担当 322 88.5 89.4 93.3 いいえ 24 6.6 6.7 100.0 360 98.9 100.0 欠損値 無回答 4 1.1 8
職員の配置状況 160 140 120 146 n=325 100 91 80 60 40 20 0 47 20 12 3 3 2 1 0 人 1 人 2 人 3 人 4 人 5 人 6 人 7 人 8 人 有効 0 人 12 3.3 3.7 3.7 1 人 146 40.1 44.9 48.6 2 人 91 25.0 28.0 76.6 3 人 47 12.9 14.5 91.1 4 人 20 5.5 6.2 97.2 5 人 3.8.9 98.2 6 人 3.8.9 99.1 7 人 2.5.6 99.7 8 人 1.3.3 100.0 325 89.3 100.0 欠損値 無回答 39 10.7 9
担当者の資格の有無 n=317 何らかの資格あり 12% 特に資格なし 88% 有効 何らかの資格あり 38 10.4 12.0 12.0 特に資格なし 279 76.6 88.0 100.0 317 87.1 100.0 欠損値 -1 47 12.9 職員の総合的対応窓口の担当歴 n=319 3 年以上 19% 1 年未満 30% 2~3 年未満 21% 1~2 年未満 30% 有効 1 年未満 96 26.4 30.1 30.1 1~2 年未満 96 26.4 30.1 60.2 2~3 年未満 67 18.4 21.0 81.2 3 年以上 60 16.5 18.8 100.0 319 87.6 100.0 欠損値 無回答 45 12.4 10
総合的対応窓口の担当部署 n=325 その他 男女 共同参画 1% 交通 防災 4% 7% 人権 8% くらし 安全 安心 まちづくり 29% 保健福祉 7% 総務 25% 市民生活 協働 19% 度数 有効パーセント 有効 くらし 安全 安心 まちづくり 94 28.9 市民生活 協働 61 18.8 総務 83 25.5 保健福祉 23 7.1 人権 25 7.7 男女 共同参画 5 1.5 交通 防災 12 3.7 その他 22 6.8 325 100.0 欠損値 -1 39 364 11
3) 相談の状況体制としては上述の通り 1~2 人で兼務 そして資格は有していない状況である そのような中 相談対応状況として過去 1 年間で相談があったところは 2 割未満と 受け入れ事例がほとんどない対応窓口が多い状況がうかがえる 実際の相談について 電話での相談件数 1を見ると 1 年間で 10 件未満 ( 29 カ所 54.7%) のところが半数以上である 10-50 件 (15 カ所 28.3%) と少数の事例を複数回対応していると思われるところと 51 件以上 (9 カ所 17.0%) と頻繁に対応しているところに傾向が分かれることがうかがえる また 頻繁に対応しているところは 対応窓口を民間に委託している事例や 官民協働で取り組む事例など 窓口の特色を出している事例 2である 対面での相談についても同様の傾向が見られる 面接相談件数は 10 件未満 (38 カ所 71.7%) が多く 10-50 件 (9 カ所 17.0%) 51-100 件 (2 カ所 3.8%) 101 件以上 (4 カ所 7.5%) である また相談者は 本人 (41 カ所 78.8%) 家族 遺族(36 カ所 75.0%) その他(25 カ所 67.6%) の順で多かった ( 重複あり ) 相談で対応した事例としては 暴行 傷害等被害 財産的被害 詐欺 交通事故の順で多く DV 被害や 性暴力などの女性が被害者になりやすい事案や 虐待 ( 児童 障がい 高齢 ) などは 保健 福祉等他部署で取り扱うことが多いこともわかった 相談の実績については ごく一部の対応窓口では 蓄積されつつあるものの 大半では開店休業状態であることがうかがえる 1 過去 1 年に相談がなかったところも 電話相談件数 面接相談件数を挙げている機関があり それらを含めて結果を出している 2 500 件以上の 2 件のうち 1 件は民間被害者支援団体に委託をしており もう一つは官民協働で取り組むサポートステーションの電話相談件数を含む 12
総合的対応窓口における相談の有無 (2015 年 4 月 1 日 ~2016 年 2 月末日 ) n=334 あり 18% なし 82% 有効 はい 60 16.5 18.0 82.0 いいえ 274 75.3 82.0 100.0 334 91.8 100.0 欠損値 無回答 30 8.2 13
電話相談件数 n=53 35 30 29 25 20 15 15 10 5 2 2 3 2 0 10 件未満 10 件 -50 件 51 件 -100 件 101-300 件 301-500 件 501 件以上 有効 欠損値 10 件未満 29 8.0 54.7 54.7 10 件 -50 件 15 4.1 28.3 83.0 51 件 -100 件 2.5 3.8 86.8 101-300 件 2.5 3.8 90.6 301-500 件 3.8 5.7 96.2 501 件以上 2.5 3.8 100.0 53 14.6 100.0 無回答 7 1.9 非該当 304 83.5 311 85.4 14
面談相談件数 40 38 n=53 30 20 10 9 2 4 0 10 件未満 10 件 -50 件 51 件 -100 件 101 件以上 有効 欠損値 10 件未満 38 10.4 71.7 71.7 10 件 -50 件 9 2.5 17.0 88.7 51 件 -100 件 2.5 3.8 92.5 101 件以上 4 1.1 7.5 100.0 53 14.6 100.0 無回答 7 1.9 非該当 304 83.5 311 85.4 対応した事案の犯罪種別 n=60 暴行 傷害等被害 財産的被害 詐欺 交通事故 虐待 ( 児童 障がい者 高齢 ) 殺人 傷害致死 その他 ( ストーカー 窃盗 放火 ) 総合的対応窓口で対応 他の部署に調整 性暴力被害 その他 ( 消費生活 ) DV 被害.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 15
4) 連携について支援における連携については 警察 (54 件 98.2%) が最も多く 相談実績のあるところの大半が連携している その他の連携先としては 民間被害者支援団体 (38 件 73.1%) 福祉事務所 (36 件 76.6%) 保健所 精神保健福祉センター(34 件 72.3%) が多い 一方で 当事者団体 自助グループとの連携は 13 件 (32.5%) と連携先としては少ない結果となった また 法曹関係で 法テラス (31 件 64.6%) 弁護士会(29 件 63.0%) はまだ 6 割ほど連携しているが 検察 (13 件 30.2%) 保護観察所(12 件 27.3%) は少数である 医療機関 (18 件 39.1%) カウンセリング機関(18 件 42.9%) も同様であり 多いとは言えない 全体では警察との連携は取れ 福祉分野での連携も十分とは言えないが一定数見られ 司法 医療等との連携は不十分である 支援者団体と当事者団体との差も大きくひらいており 支援を行う上で連携先のトータルなバランスが求められると考えられる 支援における連携先 n=60 連携している 連携していない 警察 54 1 民間被害者支援団体 38 14 福祉事務所保健所 精神保健福祉センター法テラス弁護士 ( 会 ) 36 34 31 29 11 13 17 17 カウンセリング機関 医療機関 18 18 24 28 当事者団体 自助グループ 検察庁 保護観察所 13 13 12 27 30 32 0 10 20 30 40 50 60 16
1 警察 有効 欠損値 連携している 54 14.8 98.2 98.2 連携していない 1.3 1.8 100.0 55 15.1 100.0 無回答 5 1.4 非該当 304 83.5 309 84.9 2 検察庁 有効 欠損値 連携している 13 3.6 30.2 30.2 連携していない 30 8.2 69.8 100.0 43 11.8 100.0 無回答 17 4.7 非該当 304 83.5 321 88.2 3 弁護士 ( 会 ) 有効 欠損値 連携している 29 8.0 63.0 63.0 連携していない 17 4.7 37.0 100.0 46 12.6 100.0 無回答 14 3.8 非該当 304 83.5 318 87.4 4 法テラス 有効 欠損値 連携している 31 8.5 64.6 64.6 連携していない 17 4.7 35.4 100.0 48 13.2 100.0 無回答 12 3.3 非該当 304 83.5 316 86.8 17
5 保護観察所 有効 欠損値 連携している 12 3.3 27.3 27.3 連携していない 32 8.8 72.7 100.0 44 12.1 100.0 無回答 16 4.4 非該当 304 83.5 320 87.9 6 民間被害者支援団体 有効 欠損値 連携している 38 10.4 73.1 73.1 連携していない 14 3.8 26.9 100.0 52 14.3 100.0 無回答 8 2.2 非該当 304 83.5 312 85.7 7 福祉事務所 有効 欠損値 連携している 36 9.9 76.6 76.6 連携していない 11 3.0 23.4 100.0 47 12.9 100.0 無回答 13 3.6 非該当 304 83.5 317 87.1 8 保健所 精神保健福祉センター 有効 欠損値 連携している 34 9.3 72.3 72.3 連携していない 13 3.6 27.7 100.0 47 12.9 100.0 無回答 13 3.6 非該当 304 83.5 317 87.1 18
9 医療機関 有効 欠損値 連携している 18 4.9 39.1 39.1 連携していない 28 7.7 60.9 100.0 46 12.6 100.0 無回答 14 3.8 非該当 304 83.5 318 87.4 10 カウンセリング機関 有効 欠損値 連携している 18 4.9 42.9 42.9 連携していない 24 6.6 57.1 100.0 42 11.5 100.0 無回答 18 4.9 非該当 304 83.5 322 88.5 11 当事者団体 自助グループ 有効 欠損値 連携している 13 3.6 32.5 32.5 連携していない 27 7.4 67.5 100.0 40 11.0 100.0 無回答 20 5.5 非該当 304 83.5 324 89.0 19
5) 広報について相談実績のあるところで 市区町村独自の案内パンフレットを作成 配布しているところは 26 件 (46.4%) で していないところは 30 件 (53.6%) であった 市民への周知活動は十分とは言えない 被害者用に配布できる他機関のパンフレット等を準備しているところは 52 件 (91.2%) 準備していないところは 5 件 (8.8%) であった 主なものとしては 都道府県が作成している窓口一覧表が使われている その他では 犯罪被害者等支援に関する制度や条例に関する案内 民間の支援団体に関する案内 弁護士や裁判所 警察などの機関に関する案内などがあった 独自資料の作成 配布 他機関資料の収集 配布 n=56 n=60 なし 9% なし 54% あり 46% あり 91% 利用しているツール n=60 都道府県が作成している窓口一覧表 42 市町村独自が作っている窓口一覧表 17 民間団体が作成している窓口一覧表 12 名刺等の個人的情報ツール 11 その他 8 0 10 20 30 40 50 20
他機関の資料例 : 交通事故紛争処理センター発行チラシ民間被害者支援センターパンフレットまごころ奨学金の案内弁護士会のちらし被害者支援条例 ( 概要 ) 犯罪被害給付制度の案内犯罪被害者サポートチーム名刺都道府県発行の啓発パンフレット裁判所パンフレット警察パンフレット DV カード など 6) 担当者のサポート体制担当者に何かしらの研修の機会がある (167 件 53.4%) と回答したところは 5 割ほどで いずれも研修を受けたことがない (146 件 46.6%) と回答したところが多い もっとも多い研修の機会は 地方公共団体が主催している被害者支援に関する研修 (133 件 42.4%) で 次が 全国被害者支援ネットワーク主催及び民間被害者支援団体の研修 (59 件 18.8%) である また 担当者がスーパーバイズやコンサルテーションなどを受ける体制については 9 割以上がない (286 件 92.9%) と回答しており 専門的かつ質の高い支援にしていくために求められる体制の構築には至っていない 研修の機会 n=313 何らかの研修 研修を受けた ことはない 47% を受けた 53% 有効 欠損値 何らかの研修を受けた 167 45.9 53.4 53.4 研修を受けたことはない 146 40.1 46.6 100.0 313 86.0 100.0-1 50 13.7 システム欠損値 1.3 51 14.0 21
研修内容の内訳 全国被害者支援ネットワーク主催及び民間被害者支援団体の研修 59 地方公共団体が主催している被害者支援に関する研修 133 厚生労働省及び国立研究開発法人国立精神 神経医療研究センターの PTSD 被害者に関する研修 2 職能団体等が主催している被害者支援に関する研修 6 その他 ( 内閣府主催の研修 研修用 DVD 警察主催の会議など ) 16 0 20 40 60 80 100 120 140 専門的な助言 指導 ( スーパーバイズ コンサルテーションなど ) の体制 n=310 体制がある 7% 今後体制を整備す る予定である 1% ない 92% 有効 ない 286 78.6 92.3 92.3 体制がある 22 6.0 7.1 99.4 今後体制を整備する予定である 2.5.6 100.0 310 85.2 100.0 欠損値 無回答 54 14.8 22
7) 総合対応窓口と犯罪被害者等支援に関する取り組み相談実績のあるなしに関わらず 知識や資格を有する職員の配置や人材育成など 専門性の確保が求められている 一般職員による対応は 一部の他機関他部署への紹介しかできていない現状があり より適切な支援につなぐための体制づくりが急務といえる しかし 人口の少ない自治体など 規模に開きのある市区町村に一律に対応窓口の設置を進めることへの負担感に関する意見も出されている 人口バランスに対しての対応窓口の設置は課題であると言えるが 対応窓口について取り組み自体の共有がなされておらず まずは周辺市区町村や都道府県との連携が求められる 同様に 連携は課題として挙げられており 警察 民間支援団体 そして庁内など ネットワークの構築も模索段階である 相談実績のない機関では とくにマニュアル等の整備が挙げられた 何をどう対応するのか支援の流れや事例が見えておらず 相談につながっていないとも考えられる 被害が契機となり生活困窮に陥っている場合なども少なからずあると考えられるが 潜在的な犯罪被害者等をどのように発見し共有していくかについても課題と言える その流れでは 周知に関する課題も多い 市区町村の 9 割ほどに設置が進む対応窓口だが まだ体制として途上であることが推測される 今後は 実際の事例から支援の流れを把握し 対応窓口の意義などコンセンサスを得ながら問題意識を共有していくことが まずは重要であると考えられる さらに 民間被害者支援団体との連携など 人口規模に応じた相談支援のモデル化や 市区町村 都道府県レベルの連携など 被害者支援の質を上げていくステップアップが求められる 犯罪被害者等支援に関連する事業の実施 n=314 実施 37% 未実施 63% 有効 実施 117 32.1 37.3 37.3 未実施 197 54.1 62.7 100.0 314 86.3 100.0 欠損値 -1 50 13.7 23
実施事業の内訳 n=314 被害者支援ネットワーク会議への出席 76 対応窓口についての定期的な広報 50 被害者等支援についての職員研修の開催 31 被害者等支援に関する市民講演会の開催 26 その他 24 0 10 20 30 40 50 60 70 80 24
充実のために必要と思うこと :( 意見すべて ): 相談のある機関とない機関で分類 総合的対応窓口を充実させるために必要と思われていることがありましたらご自由にお書きください 相談のない機関 相談のある機関 件数が少ない ( 年に1 回程度 ) ため 市町村では独自で窓口を設置 小さな自治体だと相談に来ているだけでも噂になる可能性があり 相談しにくいのではと思う むしろ部外 ( 県や国 ) に相談窓口があると話しやすいのでは 1つの所属で複数の行政事務を扱うため 相談者のための多くの時間を割くことが難しい するより 既存の弁護士相談等で対応している 年に1 回ある相談のために専門窓口 専門相談員を置く余裕はないため 費用対効果からいえば 広域 ( 都道府県 ) での被害者支援施策が必要であると考えるが 内閣府等は市町村での施策を呼びかけており コンセン サスがない 当課は市民からの意見 要望を受け付ける窓口であるため 各種犯 窓口の充実とは すなわち職員の増員や広報 支援のための予算確保であると思われるが それに向けて動き出すための機運が不足している 罪被害に対する相談に対しては その相談窓口を紹介するに留まるものであります 相談先が分からず 困って見える犯罪被害者のために 各種機関を越えてあらゆる犯罪被害の相談窓口を集約して紹 介しているリーフレットなどがあればと思います 犯罪被害者が深刻な事態になる前に相談につながることが重要であ より専門性の高い研修や事例研究が必要担当する人数のさらなるり 市報 ホームページなどあらゆる機会をとらえ 相談窓口の周確保警察機関や支援機関とのネットワークをさらに深める必要性知に努めていく考えです 研修の充実 とくにこれといった研修等の案内もない 従来相談もないが いざ出てきたときに対応できるかどうか不安 県民に対する認知度が低い上に 支援制度が十分でないことから 広報啓発に加えて 支援体制 支援制度の充実を図る必要がある 全体で職員数が削減されていく中 専門職を置くことは難しい 予算もないので関係相談機関への紹介程度しかできない 町単独では 職員の配置が難しいので 広域で相談窓口を設けるなどの対策が必要と思われる 全庁的な犯罪に関連する課との連携体制の確立警察との連携を密にする体制の確立 庁内 庁外のネットワークの強化 庁内職員への研修 予算の確保 小規模な自治体では 相談があったとしても専門団体の紹介のみと 各支援機関 相談窓口に関する情報の共有と連携関係の構築 なる恐れがある 小さい自治体への単独窓口は無意味 窓口担当と制度担当 ( 福祉担当等 ) との引継ぎ 連携の強化 相談者の負担にならないよう役場内の連携を強化する必要がある 臨床心理士など 専門的知識 資格を有する職員の配置 行政はもちろん 地域や関係者の理解を高めるため研修 啓発 犯罪被害者相談窓口としての周知が必要 マニュアル整備 個々の関係窓口の業務への知識 時間か人手 広く周知することが まず必要 マニュアル等の整備 関係機関相互の連携及び情報共有 研究制度の充実 自治体のホームページ 広報でのPR 事案ごとの連絡会議 ポスターやリーフレット等の広報活動 相談者のスキルアップ 経済的な支援についても検討していく必要がある 担当者のスキルアップ 先進事例の研修 各自治体に応じた内容の研究 人員体制の強化 まずは 職員 特に幹部に関心を持たせること 専門的な資格 知識を有する職員の配置 研修等を受けた専門の相談員の配置 専門知識と必要な予算の確保 専任担当者の配置が必要 人的及び財政支援 人員の増 人材育成 警察や民間支援団体との連携 職員配置 支援に関する法整備 関係機関 ( 特に警察署 福祉関係施設 ) との連携 関係機関との連携 情報収集 関係機関の密な連携 警察との連携 なし 25
課題と考えていること :( 意見すべて ): 相談のある機関とない機関で分類 あなたが 課題と思うことについて自由にお書きください ( 例 : 人事異動 引継ぎの体制 マニュアル整備 スーパービジョン体制 連携先がわからない 担当者会議が開催されない等 ) 相談のない機関相談のある機関 当方では犯罪被害者支援施策自体がないため 警察の犯罪被害者支援国の担当が総務省から公安委員会へ変更となるそうだ 犯罪被害者に限定するならば 一元的にホットラインを案内している しかし 警察の犯罪被害者支援ホットは警察がしっかり取り組むべきであり 市町窓口は一つをきっかけとして存在し 関係機関へ取ラインでは 支援に該当しない ( 入院条件等を満たしていない ) 相談次ができれば十分と考えている 永年相談窓口業務に携わっている先輩によると 被害者側から者に市町村を案内しており タライ回しとなっている 当方では 警の相談は受けたことがないが 加害者家族からの相談がまれにあるそうだ 話を聞き 必要に応察の犯罪被害者支援内容を把握し 該当しない場合は案内をせず 市じて無料弁護士相談を案内したそうだが この人達も一種の被害者のように思う 町村の福祉サービスの案内にとどめているが 警察は他機関を案内する前に 案内先で支援を受けられることを確認すべきだと思う 地方の公共団体では 知識のない職員が様々な業務との兼務でやっており 対応が必要な案件も他の自治体になかなか窓口が広がっていないこと ほかの自治体のなかなか無い状況なので いざ対応に迫られても話を聞き 専門機関を紹介することしかできな住民が 当区で被害を受けたなどのとき 紹介できない 都道府県レいと思います また 慣れてきたとしても人事異動でまた別の無知な職員に代わってしまうのでベルにスーパービジョン機能がないために 当区に支援について問い総合対応窓口を充実させるためには やはり知識の豊富な専門の職員を配置することが必要では合わせがある 都道府県レベルで課長会しか開かれず 担当者会がなないかと思います いので 具体的な困り事が明らかにならない どの自治体でも 相談窓口には一般行政事務の職員が配置されていることが通常であると考えま 犯罪被害 というイメージが殺人 傷害ばかりで DV 虐待 etcと比す 精神的に相当のダメージを負われている犯罪被害者の方々に対し 適切な対応ができるのかべ圧倒的に対象人数も少なく 予算化されない 被害者の施策とし疑問です 事務的な対応ではなく 親身になって話を聴ける職員は多くありません 被害者のて 総合的な支援への転換が必要と思う 現在の役所の機構にいまひ方々にとって二重の被害とならないよう 担当職員への研修の充実が必須と考えています とつマッチしない 町内に警察署があるため 犯罪被害に関する相談は直接警察署に持ち込まれることが多く 行政犯罪被害者の支援等については総務課総務係で担当しているが 他の窓口で相談を受ける機会はほとんどない 特殊詐欺 DV ネグレクトなどは行政が関与する度業務もあり専門に取り組めていない 相談があった場合は法テラスな合いが強いが 担当課がバラバラになっている点は否定できないため 事案によってどの課がどどの窓口を紹介するなどしている う対処し どう他課と連携をとるか 内部のマニュアル化は検討する余地がある 犯罪被害者等対応の条例案は 本町のような規模では不可能な対応ばかりである 事務を兼任し年間 1 件未満の事案について窓口体制を構築しきれない 基礎自治体ながら被害者と付き添い 手助けをするのは非現実的であ 被害者と加害者の関係者が密接に関では紹介のみにとどめ できれば都の広域対応案件とするべきと考えわりあって生活していかなくてはならない過疎地では 被害者に特別な対応をとったとしても限ている 界があるため 被害者も加害者も地域を離れることがある 県や警察は自治体に犯罪被害の相談窓口となるよう研修等の機会を設けているが 犯罪被害の相談は精神面に及ぶ大切な相談であるため 行政職員ではなく 県の犯罪被害者支援センター等の本市は 犯罪被害者支援センターに委託し 総合的対応窓口を設置し専門的な知識を持つ職員に相談をしてもらい その中で住居や職等について支援を必要とする場ています 回答中の相談件数は センターでの対応件数です 合 自治体から斡旋する方式を採用したほうが良いと思う 現状では 本市及び近隣自治体においても犯罪被害者等支援を行う総合的対応窓口における相談事例がほとんどないため 対応窓口中心に支援策を推し進めるよりも 警察等が具体的な支援策 DV 被害者の自立に向けた継続的支援 組織全体の個人情報保護の徹について 自治体の担当部局に直接働きかけをした方がよいかも知れません ( 被害者の仮住ま底及び加害者対応 ( 配暴センターとしての課題 ) い問題なら公園住宅担当部局 といったように ) 過去にも 相談を含め対応した実例がないので よくわからない 犯罪被害者等の窓口を設ける担当者会議が年 1 回であるため 他市町や県 警察との連携が不十分ためには 庁内連携が必要だが ケースバイケースであるので ワンストップの窓口にはなり得である ないし マニュアル化 人員配置とも困難であると思われる 県下一斉に条例等が整備されているわけではないので 市町村によって温度差があるのではない人材不足 研修 人材育成の体制整備 相談体制整備に係る補助金等か 当市も条例は整備したが 実際に活用する事例は発生していないので いざそのような場合の創設 になった場合は 速やかに対応できるのか不安がある 業務の重要性は理解できるが 人口 1 万人以下の小規模自治体では 自治体単独での専任担当職事案がほぼないため いざという時に十分な対応ができるかがわから員設置及び国などが求める体制の維持は 他の業務の兼ね合いもありほぼ不可能と思われる ない 現時点では 組織規則上に担当部署の規定が無い為 どの部署がどんな対応をすべきか全庁的な地方自治体担当者自身が被害者支援の重要性を理解することがまず必話し合いを進める必要がある 要 人事担当部署が犯罪被害者等支援総合的対応窓口の必要性を認識していない そのため 適正な個人情報のプライバシーもあるが 関係機関の綿密な関係と情報共有人事配置がされていない 現在は出向警察官が2 年ごとに代わり 一般事務職も定期的に異動するため 知識 経験に欠け被害者対応を行うための専門的な助言 指導を受ける体制の整備 る 県内における担当者会議の開催などによる 対応事例など 情報の共有がなされていないこと 関係機関相互の連携 総合的対応窓口の効果的な広報最初に被害者の方と接する警察署との情報連携は個人情報との関係があり困難な現状です カウンセリング等が可能な専門職の配置マニュアルや 相談者のプライバシーを守り相談しやすい環境の整備 専門機関との連携相談窓口の認知度が まだまだ低い 警察や弁護士会等との連携 専門的な対応が難しいなりにも初期対応を正しく行うこと スーパービジョン体制 人事異動犯罪被害者等の支援が自治体の責務であるという意識付けをどのようにしていくか スーパービジョン体制各市町村で対応するべき業務なのか疑問である 犯罪被害の定義が難しい ここ数年の犯罪被害事例がほとんどない 警察の支援体制が不十分そもそも犯罪被害者がほとんどいない 女子職員の確保マニュアル整備 担当事務の明確化連携の強化マニュアル整備マニュアル整備関係部署 関係機関との連携支援職員の人材育成なし 26
Ⅱ. 地方公共団体における犯罪被害者支援総合対応窓口調査分析編 1. 調査の概要地方公共団体における犯罪被害者支援総合対応窓口調査におけるアンケート調査で 相談が過去おおよそ 1 年間 (2015 年 4 月 1 日 ~2016 年 2 月末日 ) で犯罪被害に関わる相談があった機関は 60 件である 以下 相談のあった機関について焦点をあてて その特徴等について分析する 2. 分析結果 2-1. 相談を受理した対応窓口の傾向と課題 1) 対応窓口の傾向相談実績のある対応窓口は 関東 18 件 ( 30.0%) 近畿 12 件 ( 20.2%) 中国 9 件 ( 15.0%) 中部 8 件 (13.3%) の順で並び 関東と近畿で 5 割となる 地方公共団体の形態では 一般市 28 件 (46.7%) 都道府県 13 件 (21.7%) 政令指定都市 7 件 (11.7%) となり 人口規模は 5 万人以上 15 万人未満 16 件 (26.7%) 120 万人以上 14 件 (23.3%) 5 万人未満 12 件 (20.0%) となる 15 万未満の小さな市区町村か 100 万人以上の大きな都市に偏る傾向となった 相談のあった総合的対応窓口の地域 九州 沖縄 n=60 四国 3% 8% 北海道 5% 東北 5% 中国 15% 関東 30% 近畿 20% 中部 14% 27
相談のあった地方公共団体の区分 n=60 町 8% その他 5% 都道府県 22% 一般市 46% 政令指定都市 12% 中核市 7% 相談のあった地方公共団体の人口規模 n=60 5 万人未満 12 15 万人未満 16 30 万人未満 50 万人未満 5 5 70 万人未満 2 120 万人未満 6 120 万人以上 14 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 28
2) 担当部署の傾向対応窓口を担当する部署は 広く市民との接点を持って関わる部署が 42 件で 7 割を占める その内訳としては 市民生活 協働 に関わる部署が 14 件 くらし 安全 安心 まちづくり に関わる部署が 13 件 健康 福祉 6 件 人権 6 件 男女 共同参画 3 件 総務部 8 件 交通 防犯 4 件 その他 3 件である 担当職員数は 2 人体制 21 件 ( 36.2%) 1 人体制 15 件 ( 25.9%) 3 人体制 14 件 ( 24.1%) 4 人体制 6 件 (10.3%) の順となった 複数体制で取り組んでいるところが 7 割以上で 相談実績がないところを含めた全体で 5 割であることと比べて多い 16 13 14 12 10 8 6 4 2 0 くづくりらし 安全 安心 まち4 交通 防犯3 男女 共同参画6 人権14 市民生活 協働6 健康 福祉8 総務n=60 市3 その他(生活環境 経済 長室)相談のあった総合的対応窓口の担当部署 相談のあった総合的対応窓口の体制 n=57 1 名体制 27% 2 名以上体制 73% 29
3) 担当者の傾向兼務で担当する者が 51 件 (85.0%) 専任で担当する者が 7 件 (11.7%) で 全体の傾向とほぼ同様である 資格の有無は 資格なし 44 件 (77.2%) 資格あり 13 件 (22.8%) であった 資格保持者 13 人の内訳は 保健師 1 名 社会福祉士 1 名 精神保健福祉士 1 名 臨床心理士 1 名 その他 ( 専門相談員 福祉職 社会福祉主事他 )8 名で 福祉系に関わるものが多い 担当歴は 1-2 年未満 21 件 ( 36.8%) 1 年未満 13 件 ( 22.8%) 2-3 年未満 13 件 ( 22.8%) 3 年以上 10 件 (17.5%) で 担当実績がないところを含めた全体と比べて若干長い傾向が出ている 相談のあった総合的担当窓口の職員の資格の有無 n=57 資格あり 10 8 6 6 8 23% 4 2 資格なし 0 77% 相談のあった総合的担当窓口の職員の担当歴 n=57 3 年以上 17% 1 年未満 23% 2~3 年未満 23% 1~2 年未満 37% 30
4) 相談の傾向扱ったことのある被害事案は 暴行 傷害等被害 29 件 ( 51.8%) 性暴力被害 26 件 ( 46.4%) DV 被害 25 件 (44.6%) 交通事故 22 件 (39.3%) 財産的被害 詐欺 22 件 (39.3%) 殺人 傷害致死 14 件 (25.0%) 虐待( 児童 障がい 高齢 )14 件 (25.0%) の順となった 性暴力や DV など 女性が受けやすい被害に関する事案が半数ほどを占めている 受けた相談を他部署で取り扱うことが多いものは順に 虐待 ( 児童 障害 高齢 )31 件 (51.7%) DV 被害 28 件 ( 46.7%) 交通事故 12 件 ( 20.0%) 財産的被害 詐欺 10 件 ( 16.7%) であった 他部署に送る事案として 殺人 傷害致死 暴行 傷害等被害 性暴力被害はほとんどなく 逆に他部署で扱うのは 児童虐待防止法および障害者虐待防止法 高齢者虐待防止法を根拠とする虐待や 配偶者暴力防止法に絡む DV 被害が多い結果となった 一方で 相談について個室や空間で対応できているところは 48 件 (85.7%) で 対応ができていないところは 8 件 (14.3%) であり プライバシーは比較的確保でき 相談環境としてはある程度 整っている しかし 上記の通り 女性に関わる相談が多いことから 女性の相談員が求められるとの声もあがっている ( 自由記述回答より ) Ⅰ 章 2-4. アンケート調査の結果 3) 相談の状況を参照 相談における個室の確保 n=56 なし 14% あり 86% 5) 相談件数について Ⅰ 章 2-4. アンケート調査の結果 3) 相談の状況を参照 31
6) 連携について警察とはほぼ連携ができているものの 検察 保護観察所等などの司法や 医療 当事者グループやカウンセリング機関など 専門機関との連携はあまり見られない Ⅰ 章 2-4. アンケート調査の結果 4) 連携についてを参照 支援における連携先警察福祉事務所民間被害者支援団体保健所 精神保健福祉センター法テラス弁護士会カウンセリング機関医療機関当事者団体 自助グループ検察保護観察所 42.9 39.1 32.5 30.2 27.3 76.6 73.1 72.3 64.6 63.0 n=55 98.2 0 20 40 60 80 100 7) 広報について Ⅰ 章 2-4. アンケート調査の結果 5) 広報についてを参照 32
8) 担当者のサポート体制担当者の研修について 42 件 (76.4%) は何らかの研修を受けていたが 13 件 (23.6%) は受けたことはなかった 全体では研修を受けていたのが 5 割ほどであり 相談実績があるところが多い傾向が出た 受けたことのある研修は 全国被害者支援ネットワーク主催及び民間被害者支援団体の被害者支援に関する研修が 23 件 (41.4%) 地方公共団体が主催している被害者支援に関する研修 34 件 (60.7%) が主な内容であった また スーパーバイズを受ける体制は 46 件 ( 82.1%) がなく 体制があるのは 10 件 ( 17.9%) であった 相談実績がないところを含めた全体と比べて 2 倍以上スーパーバイズを受ける体制にはあるものの 8 割ではスーパーバイズ体制が整っておらず 今後の課題と言えるだろう 専門的な助言 指導 ( スーパーバイズ コンサルテーションなど ) の体制 n=56 体制がある 18% 体制がない 82% 犯罪被害者等支援に関連する事業の内訳 n=56 対応窓口についての定期的な広報 45.6 被害者支援ネットワーク会議への出席 被害者等支援に関する市民講演会の開催 被害者等支援についての職員研修の開催 36.8 36.8 36.8 その他の関連事業 24.6.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 33
9) 担当者の資質から見る連携と事業の傾向担当者が何らかの対人援助資格を有する場合は 他機関との連携率が高まる傾向が読み取れた また 有資格者は無資格者に比べ 他機関との連携をバランスよく取っていた 担当者の資格有無と連携先 関係機関との連携率 p 有資格者 資格なしの者 保護観察所 5 名 (62.5%) 5 名 (15.2%) P=0.005 *** 検察庁 4 名 (57.1%) 7 名 (21.2%) P=0.053 * 当事者団体 自助グループ 4 名 (66.7%) 7 名 (22.6%) P=0.031 ** 医療機関 6 名 (66.7%) 10 名 (29.4%) P=0.040 ** カウンセリング機関 7 名 (87.5%) 10 名 (31.3%) P=0.004 *** 弁護士 ( 会 ) 8 名 (88.9%) 19 名 (55.9%) P=0.069 * 法テラス 7 名 (87.5%) 21 名 (56.8%) P=0.104 n.s. 保健所 精神保健福祉センター 9 名 (90.0%) 22 名 (64.7%) P=0.123 n.s. 福祉事務所 9 名 (90.0%) 25 名 (73.5%) P=0.275 n.s. 民間被害者支援団体 9 名 (81.8%) 26 名 (68.4%) P=0.386 n.s. 警察 12 名 (100%) 39 名 (97.5%) P=0.580 n.s. χ2 乗検定, p 0.1* p 0.05** p 0.01*** 有資格者とは 保健師 社会福祉主事 社会福祉士 精神保健福祉士 臨床心理士 その他の対人援助職の資格を有 する者を指す 担当者の資格有無と連携先 有資格者 警察 保護観察所 100 検察庁 資格なしの者 民間被害者支援団体 50 当事者団体 自助グルー プ 福祉事務所 0 医療機関 保健所 精神保健福祉セ ンター カウンセリング機関 法テラス 弁護士 ( 会 ) 34
また 有資格者が担当者である場合に 様々な被害者支援に関連する事業等を行ってい た このように 資格があることで バランスの良い連携や事業の展開につながっている傾向が読み取れる 犯罪被害者支援に関連する事業実施 事業実施率 事業の実施有資格者資格なしの者 p 有実施率 18 件 (51.4%) 91 件 (34.5%) P=0.050 ** 被害者支援ネットワーク会議への出席対応窓口についての定期的な広報被害者等支援についての職員研修の開催被害者等支援に関する市民講演会の開催その他 11 件 (31.4%) 58 件 (22.0%) P=0.212 n.s. 12 件 (34.3%) 33 件 (12.5%) P=0.001 *** 7 件 (20.0%) 22 件 (8.3%) P=0.028 ** 8 件 (22.9%) 15 件 (5.7%) P<0.000 *** 5 件 (14.3%) 17 件 (6.4%) P=0.095 * χ2 乗検定, p 0.1* p 0.05** p 0.01*** 35
2-2. 相談実績の比較分析 1) 全体結果と相談受理のあった対応窓口から見えてきた特徴と課題 1-50 件と 50 件以上 ( 相談件数の多い所と明記 ) の相談実績から自治体の比較分析を行った 地域性では 首都圏 関西 ( 政令指定都市など ) で 相談活動が先行している 全体 (n=364) では 関東 20% 近畿 13% に対し 相談受理のあった対応窓口 (n=60) は 関東 30% 近畿 20% であり 都市部とその周辺のエリアに広がっている ( 統計的な有意差なし ) また 担当者レベルでは 専任で担当する場合に相談件数多く 担当歴も長い傾向があった 担当者の資格の有無では有意差は出ないものの 資格者が全体では 12.0% であるのに対し 相談受理のあった対応窓口は 22.8% となっていた また 相談件数が多いところは 独自にパンフレットを作成しており 他機関と連携を取っている状況にあった とくに 被害者の健康 心理的側面の支援のための他機関 ( 医療機関 カウンセリング ) との連携状況が極めて高かった さらに 相談件数が多いところは 専門的な助言 指導の機会 スーパービジョンを受けやすい体制が取られている傾向にあった 36
相談件数の多い行政の特徴 1-50 件 50 件以上 地域区分 n.s. n.s. 担当者属性 専任で担当 1(2.3%) 4(44.4%) 兼務で担当 42(95.5%) 4(44.4%) P 0.001 *** 担当者数 n.s. 担当歴 ( 年数 ) 1 年未満 12(28.6%) 0(0%) 1-2 年未満 15(35.7%) 2(25.0%) 2-3 年未満 9(21.4%) 2(25.0%) 3 年以上 6(14.3%) 4(50.0%) 担当者の資格有無 プライバシー確保対応 P=0.077 * n.s. n.s. 独自パンフレット作成 作成している 18(41.9%) 7(77.8%) 作成していない 25(58.1%) 2(22.2%) P=0.050 ** 被害者へ資料配布準備 n.s. 連携がとれている 警察 42(100%) 9(100%) 検察 6(19.4%) 5(62.5%) P=0.016 ** 弁護士会 18(54.5%) 8(88.9%) P=0.060 * 法テラス 21(58.3%) 8(88.9%) P=0.087 * 保護観察所 6(18.8%) 5(62.5%) P=0.013 ** 民間被害者支援団体 n.s. 福祉事務所 n.s. 保健所等 23(65.7%) 8(100%) P=0.051 * 医療機関 8(24.2%) 8(88.9%) P 0.001 *** カウンセリング機関 10(31.3%) 7(100%) P=0.001 *** 当事者団体 自助 G 7(23.3%) 4(66.7%) P=0.035 ** 専門的な助言 指導の機会 SV 体制なし 39(88.6%) 4(44.4%) SV 体制あり 5(11.4%) 5(55.6%) P=0.002 *** 犯罪被害者支援に関連する事業 n.s. 37
2) 相談実績差での比較分析 相談実績が 1-10 件の群と 10 件以上の群とで 比較分析を行った 相談が 10 件未満の 対応窓口 30 件 (56.6%) 10 件以上が 23 件 (43.4%) で ほぼ半々となる a 市民に関わる担当者の確保 相談実績 10 件以上の対応窓口の傾向 市民に関わる部署や 保健福祉に関わる部署が多い 専任で担当する者がいる 10 件以上の相談がある機関は 市民に関わる部署が 21 件 (91.3%) 保健福祉に関わる部署が 2 件 (8.7%) であった 市民に関わる部署の内訳は 多い順に 市民生活 協働 9 件 くらし 安全 安心 まちづくり 8 件 人権 2 件 交通 防犯 / 男女共同参画各 1 件ずつであった 担当者数 担当者の資格有無 担当者の担当年数では 実績差の関連は見受けられなかった また 対応窓口の来談者に対してのプライバシー確保 ( 個室やその空間 ) の点でも 実績差は見受けられなかった 10 件以上の相談を受けている機関では 専任で担当する者がいる傾向にあった (χ 2 検定 p=.08) b 対面支援と当事者へのアプローチ 相談実績 10 件以上の対応窓口の傾向 面談相談を多く受ける 性暴力被害 交通事故 財産被害詐欺の被害事案をより多く受ける 10 件以上の相談がある機関は 面談相談件数も多く受ける傾向があった (χ 2 検定, p=0.000) 一方 10 件未満の相談にとどまっている機関は 相談者が本人 家族 遺族 その他のうち その他 ( 関係機関 民生委員 ) の相談を受ける傾向にあった (χ 2 検定, p=.07) 相談実績が低いところは いわゆる当事者へのアプローチが十分でないとことが想定される 事案別では 10 件以上の相談を受けている機関は 性暴力被害 交通事故 財産被害詐欺の被害事案をより受ける傾向にあった (χ 2 検定それぞれ p=.003, p=.008, p=0.000) 38
c 市民への周知と多様な連携 相談実績 10 件以上の対応窓口の傾向 独自の対応窓口案内パンフレットを作成 配布 連携先として 弁護士会 医療機関 カウンセリング機関 当事者団体 自助グループとも連携 10 件以上の相談を受けている機関は 独自の対応窓口案内パンフレットを作成 配布する傾向にあった (χ 2 検定, p=0.006) 連携先としても 10 件以上の相談を受けている機関は 弁護士会 医療機関 カウンセリング機関 当事者団体 自助グループとも連携をしている傾向にあった (χ 2 検定それぞれ p=.011, p=.0057, p=0.034,p=0.023) 一方 警察 検察庁 法テラス 保護観察所 民間被害者支援団体 福祉事務所 保健所 精神保健福祉センターでは有意差は見受けられなかった d 専門性の育成 相談実績 10 件以上の対応窓口の傾向 被害者等支援についての職員研修の開催 被害者等支援に関する市民講演会の開催 の事業を行う 専門的な助言 指導 ( スーパービジョン (SV) コンサルテーション ) を受ける体制が取られている 10 件以上の相談を受けている機関は 10 件以内の相談を受けている機関と比べ 被害者等支援についての職員研修の開催 被害者等支援に関する市民講演会の開催 の事業を行う傾向にあった (χ 2 検定それぞれ p=.030, p=.006) また 対応窓口についての定期的な広報や 被害者支援ネットワーク会議への出席に関する事業では 有意差は見受けられなかった 被害者対応を行うにあたっては 10 件以上の相談を受けている機関で 専門的な助言 指導 (SV コンサルテーション) を受ける体制が取られている傾向にあった (χ 2 検定, p=0.01) 39
3) 実績差で見る担当者の意見の傾向 a-1 充実のために必要と思うこと (10 件未満の機関 ) 地方公共団体の規模や対応窓口の体制に困難を感じている傾向がある 被害者等支援の必要性と 各地 方公共団体がそれを引き受けるコンセンサスとともに 体制の強化が求められている 町単独では 職員の配置が難しいので 広域で相談窓口を設けるなどの対策が必要と思われる 件数が少ない ( 年に1 回程度 ) ため 市町村では独自で窓口を設置するより 既存の弁護士相談等で対応している 年に1 回ある相談のために専門窓口 専門相談員を置く余裕はないため 費用対効果からいえば 広域 ( 都道府県 ) での被害者支援施策が必要であると考えるが 内閣府等は市町村での施策を呼びかけており コンセンサスがない 県民に対する認知度が低い上に 支援制度が十分でないことから 広報啓発に加えて 支援体制 支援制度の充実を図る必要がある 広く周知することが まず必要 人員体制の強化 犯罪被害者相談窓口としての周知が必要 a-2 課題に思うこと (10 件未満の機関 ) 兼務や専門職の不在 女子職員の確保など 体制 とくに人員に関する課題が挙げられている 犯罪被害者の支援等については総務課総務係で担当しているが 他の業務もあり専門に取り組めていない 相談があった場合は法テラスなどの窓口を紹介するなどしている カウンセリング等が可能な専門職の配置 個人情報のプライバシーもあるが 関係機関の綿密な関係と情報共有 事案がほぼないため いざという時に十分な対応ができるかがわからない 女子職員の確保 相談窓口 ( 犯罪被害者サポートステーション ) の認知度が まだまだ低い 地方自治体担当者自身が被害者支援の重要性を理解することがまず必要 当方では犯罪被害者支援施策自体がないため警察の犯罪被害者支援ホットラインを案内している しかし 警察の犯罪被害者支援ホットラインでは 支援に該当しない ( 入院条件等を満たさない ) 相談者に市町村を案内しており タライ回 40
しとなっている 当方では 警察の犯罪被害者支援内容を把握し 該当しない場合は案内をせず 市町村の福祉サービスの案内にとどめているが 警察は他機関を案内する前に案内先で支援が受けられることを確認すべきだと思う 年間 1 件未満の事案について窓口体制を構築しきれない 基礎自治体では紹介のみにとどめ できれば都の広域対応案件とするべきと考えている 犯罪被害の定義が難しい 被害者対応を行うための専門的な助言 指導を受ける体制の整備 b-1 充実のために必要と思うこと (10 件以上の機関 ) ネットワークの充実 連携会議などの支援の仕組みづくり 担当者のスキルアップなどが求められてお り 体制づくりの次の段階としてのニーズが出てきている 当課は市民からの意見 要望を受け付ける窓口であるため 各種犯罪被害に対する相談に対しては その相談窓口を紹介するに留まるものであります 相談先がわからず 困ってみえる犯罪被害者のために 各種機関を越えてあらゆる犯罪被害の相談窓口を集約して紹介しているリーフレットなどがあればと思います 庁内 庁外のネットワークの強化 庁内職員への研修 予算の確保 各支援機関 相談窓口に関する情報の共有と連携関係の構築 関係機関相互の連携及び情報共有 事案ごとの連携会議 相談者のスキルアップ 窓口担当と制度担当 ( 福祉担当等 ) との引継ぎ 連携の強化 担当者のスキルアップ 犯罪被害者が深刻な事態になる前に相談につながることが重要であり 市報 ホームページなどあらゆる機会をとらえ 相談窓口の周知に努めていく考えです 臨床心理士など 専門的知識 資格を有する職員の配置 b-2 課題に思うこと (10 件以上の機関 ) 継続的な支援や スーパービジョンの機能など 支援の質を上げていくことが課題となっている また 効果的な広報など 市民への周知にも課題を感じている 担当者会議が年 1 回であるため 他市町や県 警察との連携が不十分である DV 被害者の自立に向けた継続的支援 41
組織全体の個人情報保護の徹底及び加害者対応 ( 配暴センターとしての課題 ) 他の自治体になかなか窓口が広がっていかないこと 他の自治体の住民が 当区で被害を受けたなどのとき 紹介できない 都道府県レベルにスーパービジョン機能がないために 当区に支援について問い合わせがある 都道府県レベルで課長会しか開かれず 担当者会がないので 具体的な困り事が明らかにならない 犯罪被害 というイメージが殺人 傷害ばかりで DV 虐待 etc と比べ圧倒的に対象人数も少なく 予算化されない 被害者の施策として 総合的な支援への転換が必要と思う 現在の役所の機構にいまひとつマッチしない スーパービジョン体制 スーパービジョン体制 人事異動 関係機関相互の連携 対応窓口の効果的な広報 警察の支援体制が不十分 人材不足 研修 人材育成の体制整備 相談体制整備に係る補助金等の創設 連携の強化 42
以下は 意見を集約 ( 表 ) 充実のために必要と思うこと ( 一部抜粋 ) 10 件以内の機関 10 件以上の機関 広域で相談窓口を設けるなどの対策が必 庁内 庁外のネットワークの強化 要 年に1 回ある相談のために専門窓口 専 庁内職員への研修 予算の確保 門相談員を置く余裕はない 費用対効果からいえば 広域 ( 都道府 各支援機関 相談窓口に関する情報の共有県 ) での被害者支援施策が必要であると考と連携関係の構築える人員体制の強化 犯罪被害者相談窓口としての周知が必要 事案ごとの連携会議 窓口担当と制度担当 ( 福祉担当等 ) との引継ぎ 連携の強化 担当者のスキルアップ 臨床心理士など 専門的知識 資格を有する職員の配置 課題と思うこと ( 一部抜粋 ) 10 件以内の機関 10 件以上の機関 他の業務もあり専門に取り組めていな 担当者会議が年 1 回であるため 他市町い や県 警察との連携が不十分である カウンセリング等が可能な専門職の配 被害者の自立に向けた継続的支援置 事案がほぼないため いざという時に 組織全体の個人情報保護の徹底及び加害十分な対応ができるかがわからない 者対応 女子職員の確保 窓口が充実していない自治体の住民が 当区で被害を受けたなどのとき 紹介できない 地方自治体担当者自身が被害者支援の 都道府県レベルにスーパービジョン機能重要性を理解することがまず必要がないこと 年間 1 件未満の事案について窓口体制を 被害者の施策として 総合的な支援への構築しきれない 転換が必要 犯罪被害の定義が難しい 人事異動 被害者対応を行うための専門的な助言 指導を受ける体制の整備 関係機関相互の連携 総合的対応窓口の効果的な広報 相談体制整備に係る補助金等の創設 43
Ⅲ. 総括 犯罪被害者等から 支援体制が不十分 経済的支援が足りない 医療福祉サービスが十分でない 刑事手続きで権利が保障されていない 社会からの理解が足りない といった声が高まり 平成 16 年 12 月に犯罪被害者等基本法が成立した 成立から 10 年ほどたち どれほど被害者の生活は向上したであろうか 平成 28 年 4 月には第 3 次犯罪被害者等基本計画が閣議決定され その中で 第 4 支援等のための体制整備への取組 )1 相談及び情報の提供等 ( 基本法第 11 条関係 ) として 地方公共団体について下記のようなことが明記されるに至った (1) 地方公共団体における総合的対応窓口の設置及び地域住民に対する周知の促進 (2) 地方公共団体における総合的対応窓口等の充実の促進犯罪被害者等の心情等に配慮した適切な対応がなされるよう体制の整備を要請する (3) 地方公共団体における専門職の活用及びこれらとの更なる連携 協力の充実 強化地方公共団体に対し 犯罪被害者等の生活支援を効果的に行うため 犯罪被害者支援分野における社会福祉士 精神保健福祉士及び臨床心理士等の専門職の活用を働き掛ける また 犯罪被害者等が早期に専門職につながるよう 地方公共団体における総合的対応窓口と関係機関 団体との更なる連携 協力の充実 強化を要請する 実際 行政が関与する保健福祉サービスや 居住サービス等の生活支援は 住民に近い地方公共団体の 窓口 が行うのが適切である 犯罪被害者の対応 支援にあたる警察や民間被害者支援団体がいくら 努力 しても 福祉手続き等の住民サービスを提供する側にはないからである 医療保険や住民票 死亡届等で被害者等が役所に手続きに来訪しなければならないことが多い役所で 被害者からの生活相談を受けることができれば 随分と被害者側の負担が軽減されることが想定される 被害者の地域での暮らしを支えるさまざまなサービスにつなぐことは容易であり 新たなサービスをつくり出すことも可能であり 対応窓口の存在は大きな意義を持っている 各地方公共団体で地域住民の犯罪被害相談を引き受ける意識を持つことが急務といえる 地方公共団体の被害者等対応窓口の実態を明らかにした 調査の回収率は伸びなかったが 346 か所から回答が寄せられた その結果で特筆すべきことは 回答のあった総合的対応窓口のうち約 1 年間で相談を受けた機関は 18%( 60 件 ) しかなかったという事実である また 窓口の設置部署についても 地方公共団体によってばらつきがあり 地方公共団体の中で対人援助にあたる専門職等が配置されているところも多いとは言えなかった 一方 相談のあった 60 件の地方公共団体の取り組みからは 様々な傾向が見出せた たとえば 相談を受けている機関は 多機関と連携をより取れている傾向にあるとか 独自のパンフレット作成を行っているといった特徴である 担当者に 対人援助職といえる有 44
資格者を置いているところは よりその傾向が強く表れていた また そのような機関は 相談を受けるだけではなく 窓口の定期的な広報に努めたり 被害者支援に関する市民講演会の開催をするなど 市民への啓発活動および被害者相談の端緒となる活動を行っていた なお 窓口で相談にあたったことのある機関では 暴行 傷害等被害の相談件数がもっとも多かった 一方で ほぼ同数の虐待事案 ( 児童 障がい者 高齢 ) の相談は 他部署に回す対応が取られていた 現在 被害者支援を取り巻く状況としては 犯罪被害者等支援を根拠とした枠組みと 配偶者からの暴力被害者支援を根拠とした枠組み さらに 障害者虐待防止法を根拠とした枠組みや 児童福祉法および児童虐待防止法を根拠とした枠組み 加えて 高齢者虐待防止法を根拠とした枠組みがそれぞれ別組織で対応をする流れにある それらの枠組みに 関与の度合いは異なるものの 地方公共団体はそれぞれに関与している そもそも 犯罪被害者等 の対象は 児童虐待や障がい者高齢者虐待 DV も含み それらは関連しあうこともあるため 市区町村の中に 総合的にそれらを扱う部署を統合 支援の強化を図り 包括的に被害者支援を行っていくことも視野に入れておく必要があるかもしれない ( 下図参照 ) 少なくとも 人口減への組織体制としての 縦割り から 丸ごと への転換の対策 3とともに 被害者のたらい回しによる二次被害を防ぐ意味で このような検討を行うことも地方公共団体においては重要な視点になる 犯罪被害者等支援を根拠とした枠組み 障害者虐待防止法を根拠とした枠組み 法テラス 被害者団体 裁判所 検察庁 弁護士会 保護観察所等 犯罪被害者支援センター 性暴力被害者支援ワンストップセンター 配偶者からの暴力被害者支援を根拠とした枠組み 女性センター 母子生活支援施設等 児童福祉法および児童虐待防止法を根拠とした枠組み 児童相談所 児童養護施設 乳児院 里親 / 養育里親 小規模住居型児童養育事業者 ( ファミリーホーム ) 児童家庭支援センター ( 子ども家庭支援センター ) 情緒障害児短期治療施設 発達障害者支援センター 児童自立支援施設等 高齢者虐待防止法を根拠とした枠組み 地域包括支援センター等 民生委員 児童委員 保健所 保健センター 警察 医療機関 ( 精神科 産婦人科 ) カウンセリングセンター等 3 2016 年 7 月厚生労働省によって提案された 我が事 丸ごと 地域共生社会実現に向けての改革を指す 高齢者や障害者 子どもなど支援の対象者ごとの 縦割り をなくした福祉サービス提供の仕組みをつくることを視野に入れ 具体策などを検討することになっている 45
最後に 犯罪被害者支援は 担当者にとって事務的には処理できない相談援助の側面を強く持つ業務となる そのため 専門職等によるスーパービジョン体制の確立も同時に検討をしていくことが 充実した被害者支援へとつながるだろう そのような質の高い相談支援を市民である犯罪被害者等に提供することが 市民全体の安全感を増強させるものになることを確信している 地方公共団体のの今後の活動に大いに希望を託したい ( 日本学術振興会科学研究費助成事業 ( 課題番号 24530728: 伊藤冨士江 ) 及び ( 課題番号 25780360: 大岡由佳 ) による共同研究として実施しました ) 発行 犯罪被害者等暮らし 支援検討会( くらしえん ) 663-8558 兵庫県西宮市池開町 6-46 武庫川女子大学文学部心理 社会福祉学科精神保健福祉研究室 Email: hanzai.higai2016@gmail.com 本冊子は下記の web 上からダウンロードできます HP: http://kurashien.net/ お気付きの点等ありましたら 上記 E メールアドレスまでよろしくお願いします 46