液状化検体細胞診 (LBC) ~ 子宮頸部 膣細胞診を中心に ~ 2013 年 5 月 11 日 オリンパス株式会社 ライフサイエンス営業企画部
本日の内容 液状化検体細胞診 (LBC) って何? - 用語 定義 etc. 現状は? どうしてLBCなのか? - 歴史的背景 - 従来法の問題点 -LBCの特長 細胞像の特徴 - 従来法との違い
液状化検体細胞診とは...( 用語 ) 従来の細胞診 ( 従来法 )- 直接塗抹法 液状化検体細胞診 (Liquid Based Cytology:LBC) > 米国を中心として世界的な広がりを見せている細胞診検査 ( 特に婦人科 ) > 定義 : 試料を保存液などに採取し 液状化処理した検体から細胞を回収し スライド標本を作製して細胞診検査を行うこと -Thin Layer 法 ( 標本 ) -Mono Layer 法 ( 標本 ) 商品名 -ThinPrep (Hologic 社 ) : オリンパス ( 株 ) ホロジックジャパン ( 株 ) -SurePath (BD 社 ) : 日本ベクトン ディッキンソン ( 株 ) -TACAS : ( 株 ) 医学生物学研究所 (MBL) -LBC PREP : 武藤化学 ( 株 )
婦人科細胞診の現状 LBC の普及率 米国 (6,000 万検体 / 年 ) 日本 (1,000 万検体 / 年 ) 5% 9% 27% 68% 91% ThinPrep SurePath 従来法 LBC 従来法
LBC の普及と子宮頸がん発症数 (06 年 ASCO 報告 ) 発症数 ThinPrep の普及率 Reference: American Cancer Society. Cancer Facts and Figures 1997-2005. Atlanta, GA: American Cancer Society; 1997-2005.
Wall Street Journal, Nov 1987 その結果 : 世間からの抗議 責任問題 法律による改革 新技術の採用 LBC の普及
従来法における問題点 偽陰性の原因 1,2,3 試料採取時または標本作製時のエラー 採取器具に異常細胞が採取されなかった 採取した異常細胞が正しくスライドへ移らなかった 乾燥変性など 細胞の保存不良 偽陰性の 3 分の2 鏡検時 ( スクリーニングまたは同定 ) のエラー 異常細胞が見逃された 細胞の同定を誤った 偽陰性の 3 分の 1 1 Gay JD, et al.: False-Negative Results in Cervical Cytologic Studies, Acta Cytologica 1985, Vol. 29(6):1043-6 2 Joseph MG, et al.: Cyto-Histological Correlates in a Colposcopic Clinic: A 1-Year Prospective Study, Diagnostic Cytolopathology 1991, Vol. 7(5):477-81 3 Linder J, et al., ThinPrep Papanicolau Testing to Reduce False-Negative Cervical Cytology, Arch Pathol Lab Med 1998, Vol. 122(2):139:44
従来法における問題点 試料採取時または標本作製時のエラー 細胞採取 スライドガラスに細胞塗抹 従来法 染色 鏡検 採取器具を採取器具を 廃棄廃棄 細胞固定
従来法における問題点 胞の割合(百スライドに塗抹された細胞の割合細分率%各種採取器具別 廃棄される細胞の割合 100 採取器具に残った細胞の割合 75 50 93% of cells 82% of cells 92% of cells 25 0 )頸管ブラシ / スパーテル 綿棒 / スパーテル 頸管ブラシ / スパーテル ブルーム型採取器具 1. Hutchinson ML, et al. Am J Clin Pathol. 1994;101:215-219.
LBC( 例 : ThinPrep システム ) 従来法 ( 試料採取 / 標本作製時 ) の問題点を改善 細胞採取 バイアル内で採取器具をすすぐ 空気乾燥 固定不良による細胞変性を防止 LBC ほとんどの細胞を回収保存 染色 鏡検 機械で細胞塗抹 細胞の有効利用が可能 + 細胞の長期保存が可能 追加の標本作製や 分子生物学的検査などの補助的検査の追加が可能
LBC( 例 : ThinPrep システム ) 従来法 ( 試料採取 / 標本作製時 ) の問題点を改善 診察室 検査室 染色へ 分散細胞の回収細胞の転写 採取した細胞をバイアルの保存液に入れます 〇自動塗抹装置 ( 標準化 ) 〇血液 粘液 および判定に重要でない細胞断片から細胞を分離します 薄くて均一な厚さの鏡検しやすい塗抹標本を作製 同品質の標本を複数枚作製可能
LBC( 例 : ThinPrep システム ) 必要な消耗品 フィルター バイアル スライド
LBC( 例 : ThinPrep システム ) 処理原理 ThinPrep の標本作製技術 Controlled Membrane Transfer テクノロジー 分散 細胞の回収 細胞の転写 バイアル内の細胞を均一に攪拌し フィルター膜面に細胞を回収して スライドガラスへ細胞を転写します 13
LBC と従来法の違い標本の比較 従来法 LBC (ThinPrep )
LBC と従来法の違い標本の品質比較 従来法 LBC( ThinPrep ) 採取された細胞の多くがスライドに塗抹されず捨てられている採取された細胞の一部だけが塗抹される ( 検体の一部の状態が反映される ) 細胞は重なり合ったり 塊を作る細胞像を不明瞭にする成分が多い 採取された殆どの細胞をバイアルに回収採取された細胞は攪拌後 無作為に転写される ( 検体全体の状態が反映される ) 細胞は均等に分布不明瞭成分を最小化 Source: Hutchinson ML, et al. Am J Clin Pathol. 1994;101:215-219.
子宮頸部細胞診検査検査のポイント 病変の進行の仕方 正常 90% 軽度 (LSIL) 10% 高度 (HSIL) 癌 もし治療されなければ CIN2 の 58% CIN3 の 68% が 持続あるいは癌に進展する HSIL( 高度扁平上皮内病変 ) は子宮頸部癌に速やかに進展し易い前駆病変であるため HSIL の検出は重要です
HSIL 検出率の増加 ルーチン使用において ThinPrep により HSIL 検出率が増加 発表されたされた査読済み論文 ( 直接バイアルバイアル法 ) 著者 ( 日付 ) 掲載誌従来法からの増加率 p 値 Bolick, 1998 Acta Cytol 173% <0.001 Papillo, 1998 Acta Cytol 55% <0.01 Diaz-Rosario, 1999 Arch Pathol Lab Med 103% <0.001 Guidos, 1999 Diagn Cytopathol 233% <0.001 Yeoh, 1999 Hong Kong Med J 28% <0.01 Ferris, 2000 J Fam Pract 119% <0.001 Weintraub, 2000 Diagn Cytopathol オッズ比 = 1.86; 244% <0.001 Harkness, 2003 J Reprod Med 47% <0.006 Limaye, 2003 Arch Pathol Lab Med 233% <0.001
SIL 検出率の増加 ThinPrep は SIL の検出率を高める 増加率 年著者 ThinPrep ASCUS LSIL HSIL 2000 Weintraub 18,247 69% 224% 94% 1999 Diaz-Rizario 56,339 5% 72% 103% 1999 Carpenter 2,727 45% 57% 26% 1999 Yeoh 16,541 53% 58% 28% 1998 Johnson 1,000 22% 71% 125% 1998 Guid 9,583 70% 267% 233% 1998 Dupress 19,351 18% 43% 33% 1998 Bolick 10,694 26% 181% 173% 1998 Papillo 16,314 22% 88% 55% TOTAL 262,736
FDA 承認 ( 品質表示 ) 例 : ThinPrep システム FDA( 米国食品医薬品局 ) とは... 日本の 厚労省 に当たる 保健社会福祉省 に属する一機関です 従来の子宮頸部細胞診検査の代替として使用できる 従来の細胞診検査と比べて - 軽度扁平上皮内病変 ( LSIL) 以上の検出において 有意に効果がある - 高度扁平上皮内病変 (HSIL) の検出率が向上 - 腺疾患の検出率が向上 - 標本の質が明らかに改善される ブルーム型ブラシまたは スパーテルと頸管ブラシの併用による細胞採取法を使用することが出来る HPV 検査 (HCⅡ Cervista) が可能である PCR 法によるクラミジア / 淋菌検査 (COBAS Aptima) が可能である 事前に検体の一部を分注して使用できる
LBC の特徴 ( 例 : ThinPrep システム ) 利点 標本作製の標準化 ( 自動塗抹装置 ) 採取細胞を有効利用 ( 採取した殆どの細胞を回収 ) 複数枚の同品質の塗沫標本の作製が可能 特染や免疫細胞化学的検索が可能 乾燥などによる細胞変性が最小限 背景がきれいで細胞が均等分布した鏡検しやすい標本 限定された塗沫範囲 スクリーニング時間の短縮及び 細胞検査士の疲労度減少 細胞の長期保存が可能 細胞診標本の再作製 HPV 検査 ( 分子生物学的検査 ) などの追加が可能細胞診 :15 ~30 で6 週間 HCⅡ:2 ~30 で3ヶ月間
LBC の特徴 ( 例 : ThinPrep システム ) その結果... 不適正な標本の減少 子宮頸部疾患の検出率の向上 分子生物学的診断が可能 (HPV クラミジア 淋菌 etc.)
LBC の特徴課題 コストの加算 細胞の見方に慣れが必要
LBC の細胞像標本の比較 従来法 LBC (ThinPrep )
従来法
同一患者の LBC ThinPrep
LBC の細胞像 細胞像の特徴 従来法と何が違うのでしょうか? 固定 ( 保存 ) 法 細胞の大きさ 各 LBC 共通 塗抹のパターン 標本の背景 各 LBC で独自の特徴がある 細胞像は各 LBC によって違う!
LBC の細胞像 細胞像の特徴 固定法 ( 細胞は バイアル溶液中で固定保存される ) 細胞質の詳細が鮮明になる 核の詳細が鮮明になる
L-SIL
L-SIL 40x
H-SIL 60x
内膜腺 Ca
LBC の細胞像 細胞像の特徴 細胞の大きさ 従来法に比べて 小さく見える 溶液の中で 細胞は凝集する ( 物理的特性 )
40x
LBC の細胞像 細胞像の特徴 従来法と何が違うのでしょうか? 固定 ( 保存 ) 法 細胞の大きさ 各 LBC 共通 塗抹のパターン 標本の背景 各 LBC で独自の特徴がある 細胞像は各 LBC によって違う!
LBC の細胞像 早く慣れるためには... 各 LBC 独自の細胞像の特徴を知ることが大事ある! 処理原理の違い 細胞像に影響 正確に 自信を持って鏡検
まとめ まとめ 従来法の問題点に着目して開発された液状化検体細胞診 (LBC) は 不適正標本が減少すること 精度が向上すること 標本が鏡検しやすいこと HPV 検査などの付加検査が 同一検体から出来て便利なこと などから 米国を中心として世界中に普及しています 日本でも今後 子宮頸部細胞診 を始めとして その有用性が期待されます
ありがとうございました 円相 盤珪 (1622~1693 年 ) 筆 墨書き ( 和紙 ) 禅の芸術 (The Art of Zen): 日本の僧の書画 1600~1925 年 (Addiss S. 著 ) 所収 ニューヨーク市 Harry N Abrams 社 (1989 年 ) Yabumoto 氏提供