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Transcription:

CUGA 3/CUGA 6/CUGA 7 in vitro Transcription Kit ユーザーズマニュアル Ver. 4. 0 はじめにお読みください この度は CUGA 3/CUGA 6/CUGA 7 in vitro Transcription Kit をお買い上げいただき 誠にありがとうございます 本キットを使用する前に 以下の事項をご確認ください ご使用上の注意 1. 本キットは 試験研究用です 医療行為および臨床診断薬としては使用できません 2. 本キットのご使用は 本ユーザーズマニュアルの記載内容に必ずしたがってください 記載内容と異なった取り扱いにより発生するトラブルにつきましては責任を負いかねます 3. 本キットに含まれている化合物および本キットに含まれていない試薬 化合物を併用しての使用は 化合物の危険性について十分な知識が必要です 十分な知識がない場合は使用できません 実験中は 白衣 防護用ゴーグル 手袋等で身体を保護し 皮膚に試薬が直接触れないよう注意してください 4. 本キットは 20 C に保管し 納品後 6 ヶ月以内に使用してください 過度の冷却は避けてください 5. リボヌクレアーゼ (RNase) およびその他のヌクレアーゼの混入にご注意ください 使用する器具 実験台 および試薬類は汚染のないように注意し 実験を行う際は手袋 マスク等を着用してください 6. 本製品の安全な取り扱いおよび使用方法については 株式会社ニッポンジーンテクホームページに製品安全データシート (MSDS) を公開しておりますので ご参照ください URL: http://www.nippongenetech.com/msds.htm 7. 本ユーザーズマニュアルの記載内容は 2009 年 8 月現在のものです 記載内容や製品仕様 価格については予告なしに変更する場合があります 最新のユーザーズマニュアルは株式会社ニッポンジーンテクホームページからダウンロードしてください URL: http://www.nippongenetech.com/cuga/file.htm 1

目次 ページ I. キットに含まれる試薬 3 CUGA 3 in vitro Transcription Kit キット内容 CUGA 6 in vitro Transcription Kit キット内容 CUGA 7 in vitro Transcription Kit キット内容 品質管理 II. キット以外に必要な機器 試薬 5 III. キットの特長 6 CUGA in vitro Transcription Kit の特長 CUGA ポリメラーゼについて IV. 鋳型 DNA の調製 8 鋳型 DNA の調製方法について A. 直鎖化したプラスミド DNA を使用する場合 B. PCR 産物を使用する場合 C. 化学合成オリゴヌクレオチドを使用する場合 Control DNA について V. in vitro 転写反応 14 1. 転写反応用試薬の融解 2. 転写反応溶液の調製と鋳型 DNA の添加 3. in vitro 転写反応 VI. RNA の精製 16 1. 鋳型 DNA の除去 1-1. DNase Enzyme Solution の添加 1-2. 消化反応 2. RNA 精製用試薬の融解 3. RNA の精製および電気泳動による検出 3-1. 短鎖 RNA の精製 : フェノール抽出およびエタノール沈澱 3-2. 短鎖 RNA の検出 : 変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動による検出 3-3. 長鎖 RNA の精製 : フェノール抽出およびイソプロパノール沈澱 3-4. 長鎖 RNA の検出 : 変性アガロースゲル電気泳動による検出 VII. トラブルシューティング 19 VIII. 資料 20 2

Ⅰ. キットに含まれる試薬 CUGA 3 in vitro Transcription Kit Code No. 301-15491 5 反応用 Code No. 307-15493 20 反応用 CUGA 6 in vitro Transcription Kit Code No. 303-88221 5 反応用 Code No. 309-88223 20 反応用 CUGA 7 in vitro Transcription Kit Code No. 304-14641 5 反応用 Code No. 307-13531 20 反応用 CUGA 3 in vitro Transcription Kit のキット内容 5 反応用 20 反応用 ユーザーズマニュアル 1 部 1 部 CUGA 3 Enzyme Solution 5 µl 20 µl 5 Transcription Buffer 20 µl 80 µl 0.1 M DTT 10 µl 40 µl 100 mm CTP 7.5 µl 30 µl 100 mm UTP 7.5 µl 30 µl 100 mm GTP 7.5 µl 30 µl 100 mm ATP 7.5 µl 30 µl Control DNA (Cloning Vector pts1 DNA/Nsi I; 50 ng/µl) 4 µl 6 µl DNase Enzyme Solution 10 µl 40 µl 10 M Ammonium Acetate 250 µl 1 ml Enzyme Dilution Buffer 50 µl 200 µl CUGA 6 in vitro Transcription Kit のキット内容 5 反応用 20 反応用 ユーザーズマニュアル 1 部 1 部 CUGA 6 Enzyme Solution 5 µl 20 µl 5 Transcription Buffer 20 µl 80 µl 0.1 M DTT 10 µl 40 µl 100 mm CTP 2.5 µl 10 µl 100 mm UTP 2.5 µl 10 µl 100 mm GTP 2.5 µl 10 µl 100 mm ATP 2.5 µl 10 µl Control DNA (Cloning Vector pts2 DNA/Nsi I; 50 ng/µl)) 4 µl 6 µl DNase Enzyme Solution 10 µl 40 µl 10 M Ammonium Acetate 250 µl 1 ml Enzyme Dilution Buffer 50 µl 200 µl 3

CUGA 7 in vitro Transcription Kit のキット内容 5 反応用 20 反応用 ユーザーズマニュアル 1 部 1 部 CUGA 7 Enzyme Solution 5 µl 20 µl 5 Transcription Buffer 20 µl 80 µl 0.1 M DTT 10 µl 40 µl 100 mm CTP 7.5 µl 30 µl 100 mm UTP 7.5 µl 30 µl 100 mm GTP 7.5 µl 30 µl 100 mm ATP 7.5 µl 30 µl Control DNA (Cloning Vector pts1 DNA/Sac I; 50 ng/µl) 4 µl 6 µl DNase Enzyme Solution 10 µl 40 µl 10 M Ammonium Acetate 250 µl 1 ml Enzyme Dilution Buffer 50 µl 200 µl ( ご注意 ) * 本キットは 20 C に保管し 納品後 6 ヶ月以内に使用してください また 過度の冷却は避けてください * 5 Transcription Buffer は各 CUGA ポリメラーゼに最適化しており 各キット専用の組成となっています * 本キットに含まれている酵素 (CUGA 3/CUGA 6/CUGA 7 Enzyme Solution および DNase Enzyme Solution) の取り扱いの際には ピペッティングあるいはタッピングの操作で気泡が発生しないよう また 長時間室温 (15-25 C) あるいは 4 C で放置しないようご注意ください 酵素活性が低下する可能性があります 品質管理 キット添付の Control DNA 2 µl を検定用鋳型 DNA として用いた品質管理試験において 20 µl (1 反応分 ) の容量で in vitro 転写反応を行い 37 C 2 時間で 1,000 ng 以上の RNA (100 base) を調製できることを確認しています 4

Ⅱ. キット以外に必要な機器 試薬 を付したものは 必ずご用意ください 滅菌蒸留水 (RNase-free) 蒸留した脱イオン水をオートクレーブで 121 C 40 分間処理したものをご使用ください マイクロピペットおよびピペットチップ インキュベーター 37 C で一定時間保温できるものが必要です 反応液の濃縮を避けるため エアー式インキュベーターのご使用をおすすめします 冷却遠心機 鋳型 DNA 滅菌蒸留水 (RNase-free) に溶解したものをご用意ください (8 ページ 鋳型 DNA の調製方法について 参照 ) 99.5% エタノール イソプロパノール フェノール / クロロホルム / イソアミルアルコール混合液 (25:24:1) ヒートブロックあるいはサーマルサイクラー 分光光度計 40% アクリルアミド / ビスアクリルアミド混合液 (19:1 あるいは 39:1) 10% 過硫酸アンモニウム溶液 TEMED N,N,N,N -テトラメチルエチレンジアミン 尿素 アガロース ホルムアルデヒド溶液 (37%) ホルムアミド 10 TBE 溶液 892 mm トリス ( ヒドロキシメチル ) アミノメタン /890 mm ホウ酸 /20 mm エチレンジアミン四酢酸 25 MOPS 溶液 2 M 3- [N-モルフォリノ] プロパンスルホン酸 /NaOH (ph 7.0) 電気泳動用色素 0.02% ブロモフェノールブルー /0.02% キシレンシアノール /50% グリセロール /1% ドデシル硫酸ナトリウム パワーサプライ 臭化エチジウム SYBR Gold あるいは SYBR Green II (Molecular probes, Inc.) トランスイルミネーター トルイジンブルー O 染色液 0.4% トルイジンブルー O/10% 酢酸 /40% メタノール 各種修飾リボヌクレオチド用途に応じて各種修飾リボヌクレオチドをご用意ください 修飾リボヌクレオチドの種類によって取り込み効率は異なりますので 反応条件を最適化する必要があります 塩基修飾 : ビオチン標識 ジゴキシゲニン標識 蛍光標識リン酸基修飾 : 放射性同位体標識 キャップアナログ 5

Ⅲ. キットの特長 CUGA in vitro Transcription Kit の特長 CUGA in vitro Transcription Kit は 株式会社ニッポンジーンテクが独自に開発した CUGA ポリメラーゼを in vitro 転写反応に用いることにより 目的の RNA 産物を正確かつ大量に得ることできる画期的な RNA 調製キットであり 以下の特長を有しています 野生型の大腸菌ファージ由来 T3 RNA ポリメラーゼ /T7 RNA ポリメラーゼおよびサルモネラ属菌ファージ由来 SP6 RNA ポリメラーゼ ( 以下 野生型ポリメラーゼ ) の変異体である CUGA 3ポリメラーゼ /CUGA 7 ポリメラーゼおよび CUGA 6 ポリメラーゼ ( 以下 CUGA ポリメラーゼ ) を使用することにより きわめて効率のよい in vitro 転写反応系の構築が可能となりました (7 ページ CUGA ポリメラーゼについて 参照 ) 大量の RNA を調製することが可能 プラスミド DNA や PCR 産物 化学合成オリゴヌクレオチド等 鋳型 DNA の種類や鎖長を選ばずに大量 ( 既存のキットと比較して 約 2~5 倍量以上 ) の RNA を調製できます CUGA ポリメラーゼおよびリボヌクレオチドを高濃度にて使用しているため 短鎖 RNA (1,000 base 以下 * ) の調製にも適しています * 本ユーザーズマニュアルでは 1,000 base 以下を短鎖 RNA 1,000 base 以上を長鎖 RNA としています 安定に正確な転写反応を行うことが可能 CUGA ポリメラーゼが獲得した性質により 野生型ポリメラーゼを用いた既存のキットの欠点が克服され in vitro 転写反応の効率が飛躍的に向上しました また 野生型ポリメラーゼの強力なプロモーター配列認識能は変化しておりませんので 従来のプロモーター配列をそのまま使用できます 目的とする RNA を安価に得ることが可能 CUGA ポリメラーゼを用いることにより 目的の RNA を正確かつ大量に合成できるため in vitro 転写反応を用いた RNA 調製のコストパフォーマンスが大幅に改善されます 幅広い研究分野への適用が可能 CUGA 3/CUGA 6/CUGA 7 in vitro Transcription Kit を用いて得られた RNA は 下記のような in vitro 転写反応を利用した既存の実験系にそのまま用いることができます また 4 種類のリボヌクレオチドを個別に分注しているため 修飾ヌクレオチドあるいはキャップアナログ等の使用により さらに多様な実験系を構築することが可能です 無細胞タンパク質合成システムへの導入高感度マイクロアレイ用プローブの調製各種ハイブリダイゼーション用プローブの調製 RNA 構造解析機能性 RNA ( アプタマー リボザイム アンチセンス sirna mirna 等) の調製微量 mrna の増幅 SELEX 法 6

CUGA ポリメラーゼについて CUGA ポリメラーゼは ファージ由来の RNA ポリメラーゼに変異を導入することにより開発されました この変異導入により 下記のような 従来の RNA ポリメラーゼにはない様々な特長を得ることに成功しています 鋳型 DNA の 3' 末端の形状に依存しない転写反応 直鎖化した鋳型 DNA の 3' 末端からのランオフ (RNA ポリメラーゼの鋳型 DNA からの解離 ) による転写反応の強制終結を用いた従来の in vitro 転写反応においては 平滑末端あるいは 3' 突出末端を有する鋳型 DNA からは野生型ポリメラーゼが正常にランオフしないために転写の終結が不完全となり 目的鎖長よりも長い RNA が産生されることが知られていました CUGA ポリメラーゼは鋳型 DNA の 3' 末端の形状の影響を受けにくい安定な転写反応を行うため 鋳型 DNA を直鎖化するための制限酵素の種類を選ばずに 必要な部位で転写を終結させることが可能です 末端の形状の影響を受けにくいため 逆転写反応産物から 2nd strand cdna 合成により調製される二本鎖 DNA を鋳型 DNA とする際にも 正確な結果を得ることができます 転写終結シグナル様配列に依存しない転写反応 野生型ポリメラーゼはいくつかの転写終結シグナル配列を認識し これが転写終結に直接関与しています CUGA ポリメラーゼは一部の転写終結シグナル配列を認識しないため これらの配列を含む鋳型 DNA からも途中で転写反応が停止することなく 目的鎖長の RNA を調製することが可能です 化学合成オリゴヌクレオチドからの正確な転写反応 二本鎖の化学合成オリゴヌクレオチドを鋳型 DNA とする in vitro 転写反応によって短鎖の RNA を調製する際には数塩基の余分な塩基付加が起こる場合がありますが CUGA ポリメラーゼを使用することにより 正確な鎖長の短鎖 RNA を得ることが可能です 7

Ⅳ. 鋳型 DNA の調製 鋳型 DNA の調製方法について in vitro 転写反応の鋳型 DNA にはプロモーター配列を含む A. 直鎖化したプラスミド DNA B. PCR 産物 C. 化学合成オリゴヌクレオチドのいずれかを使用します (CUGA 6 in vitro Transcription Kit を用いる場合は A. 直鎖化したプラスミド DNA あるいは B. PCR 産物を使用してください ) 野生型ポリメラーゼの強力なプロモーター配列認識能は変化しておりませんので 従来のプロモーターをそのまま使用できます CUGA 3 in vitro Transcription Kit では T3 プロモーター CUGA 6 in vitro Transcription Kit では SP6 プロモーター CUGA 7 in vitro Transcription Kit では T7 プロモーターをそれぞれ使用します +1 T3 プロモーター配列 : 5'- AATTAACCCTCACTAAAGGGAGA -3' +1 SP6 プロモーター配列 : 5'- ATTTAGGTGACACTATAGAAGAG -3' +1 T7 プロモーター配列 : 5'- TAATACGACTCACTATAGGGAGA -3' 図 1: ファージ RNA ポリメラーゼのプロモーター配列 in vitro 転写反応では 転写開始点から下流のアンチセンス鎖を鋳型 DNA として RNA を合成しますが プロモーター配列部分は完全に二本鎖を形成する必要があります 図 1 では +6 までを含む配列を記載していますが +1 のグアノシン残基までが in vitro 転写反応を開始するために必ず必要とされています A. 直鎖化したプラスミド DNA を使用する場合 本キットではプロモーター配列依存的な野生型ポリメラーゼの in vitro 転写反応を利用していますので 必ず対応したプロモーターが必要です ご使用のプラスミド DNA にプロモーターが存在することを確認してください プラスミド DNA の直鎖化および精製 本キットでは CUGA ポリメラーゼを使用することにより 鋳型 DNA の末端形状 (3 突出末端等 ) が転写反応に及ぼす影響を低減しています したがって 鋳型 DNA を直鎖化するための制限酵素の種類を選びません 重要鋳型 DNA の純度は転写効率に大きく影響しますので 鋳型 DNA は塩化セシウム濃度勾配超遠心分離による精製あるいは RNase 処理後フェノールによる抽出を行ったものをご使用ください 設備上困難な場合は市販のプラスミド DNA 精製キット等を用いると便利です ただしこの場合 RNase を使用するキットについては必ず RNase を除去してください 制限酵素を用いて鋳型プラスミド DNA の直鎖化を行った場合 電気泳動により消化が完全であることを確認してください また フェノールによる抽出を必ず行ってください 8

B. PCR 産物を使用する場合 本キットではプロモーター配列依存的な野生型ポリメラーゼの in vitro 転写反応を利用していますので 必ず対応したプロモーターが必要です ご使用の PCR 産物にプロモーターが存在することを確認してください また 鋳型 DNA にプロモーター配列が存在しない場合は 目的の配列を増幅するプライマーの 5' 末端に図 2 のようにプロモーター配列を付加して PCR を行ってください PCR 産物の純度は転写効率に大きく影響しますので エタノール沈澱等により精製を行ってください 市販の PCR 産物精製用キット ( 例 : MinElute PCR Purification Kit; 株式会社キアゲン 等 ) を用いると便利です (T3プロモーター配列) ( 設計したプライマー配列 ) 5'- CAATTAACCCTCACTAAAGGGAGA + NNNNNNNNNNNNNNNNNNNNN -3' (T7プロモーター配列) ( 設計したプライマー配列 ) 5'- CTAATACGACTCACTATAGGGAGA + NNNNNNNNNNNNNNNNNNNNN -3' 図 2: プロモーター配列を付加するためのプライマー設計 下線部は転写反応に必須となる配列を示しています プライマーを合成する際に プロモーターの 5 末端に欠損が発生した場合を考慮して 塩基を付加してください ( 図 2 では シチジン残基を付加しています ) 重要 CUGA 6 in vitro Transcription Kit を使用する場合 上記の方法では十分な転写量が得られない場合があります CUGA 6 in vitro Transcription Kit を使用して PCR 産物から in vitro 転写反応を行う場合は PCR 産物の末端に SP6 プロモーターが配置しないようにしてください SP6 プロモーター上流側の末端までに 34 塩基対以上の二本鎖 DNA が形成されるように設計したプライマーを用いて PCR 産物を調製してください 34 塩基対 +1 SP6 プロモーター 5'- NNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNATTTAGGTGACACTATAGAAGAG 3'- NNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNTAAATCCACTGTGATATCTTCTC 鋳型 DNA 図 3: PCR 産物に SP6 プロモーターを導入する場合の例 9

C. 化学合成オリゴヌクレオチドを使用する場合 短鎖の RNA の調製を目的とする場合 化学合成オリゴヌクレオチドを鋳型 DNA として使用できます この際 精製グレードはカートリッジあるいは HPLC を推奨しております 短鎖の RNA の調製を行う場合には転写の開始効率が重要とされていますが 本キットでは転写反応条件の最適化を行っておりますので 効率よく RNA を調製することが可能です 重要 CUGA 6 in vitro Transcription Kit を使用する場合 プロモーター配列部分のみでなく 鋳型 DNA 領域を完全に二本鎖にする必要があり また B. PCR 産物を使用する場合と同様に プロモーターの上流への塩基付加が必須となりますので 本プロトコルを推奨しておりません 化学合成オリゴヌクレオチドを用いて短鎖 RNA を合成する場合は CUGA 3/CUGA 7 in vitro Transcription Kit をご利用ください 10

化学合成オリゴヌクレオチドからの鋳型 DNA 調製 必ずプロモーター配列部分が完全な二本鎖を形成するように化学合成オリゴヌクレオチドの設計を行ってください 一般的な鋳型 DNA のタイプは図 4 を参照してください 鋳型 DNA は オリゴヌクレオチドを等量モルずつ同一のチューブに加え この混合液と等量のアニーリングバッファー (20 mm Tris-HCl 2 mm EDTA 200 mm NaCl) と混和して 75 C で 5 分間加熱し 穏やかに室温 (15-25 C) に戻すことにより調製してください a +1 T7 プロモーター 5'- CTAATACGACTCACTATAGGGAGA -3' 3'- GATTATGCTGAGTGATATCCCTCTNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNN -5' b +1 T7 プロモーター 5'- CTAATACGACTCACTATAGGGAGANNNNNNNNNNNNNNNNNNNNN -3' 3'- GATTATGCTGAGTGATATCCCTCTNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNN -5' c +1 T7 プロモーター 5'- CTAATACGACTCACTATAGGGAGA -3' 3'- GATTATGCTGAGTGATATCCCTCTNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNN -5' +1 T7 プロモーター 5' CTAATACGACTCACTATAGGGAGANNNNNNNNNNNNNNNNNNNNN -3' 3' GATTATGCTGAGTGATATCCCTCTNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNN -5' +1 T7 プロモーター 5'- CTAATACGACTCACTATAGGGAGANNNNNN -3' 3' CCCTCTNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNN -5' +1 T7 プロモーター 5'- CTAATACGACTCACTATAGGGAGANNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNN -3' 3'- GATTATGCTGAGTGATATCCCTCTNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNN -5' 図 4: 化学合成オリゴヌクレオチドからの鋳型 DNA 調製 (T7 プロモーターを用いた例 ) a: プロモーター配列のみが二本鎖のもの b: プロモーター配列および標的配列が二本鎖のもの c: DNA ポリメラーゼを用いて二本鎖を形成させたもの in vitro 転写反応では 転写開始点から下流のアンチセンス鎖を鋳型 DNA として RNA を合成しますが プロモーター配列部分は完全に二本鎖を形成する必要があります より効率よく RNA を合成する場合には b あるいは c のように全ての領域を二本鎖にしてください 11

重要 in vitro 転写反応では 転写開始点 (+1) のグアノシン残基までが二本鎖 DNA として存在していれば in vitro 転写反応が開始されますが このグアノシン残基の直下 (+2 から下流 ) にチミジン残基が連続する鋳型 DNA を使用した場合 in vitro 転写反応の特性から転写開始の効率が著しく低下することが知られています オリゴヌクレオチドの配列設計時に転写開始点直下にプリン塩基 ( グアニン アデニン ) を多く配置させる ( 図 1 で示したプロモーター配列 ) と 上記の問題が大幅に改善され安定な転写開始が期待できます +1 T7 プロモーター 5' TAATACGACTCACTATAGTTTTTNNNNNNNNNNNNNN -3' 3' ATTATGCTGAGTGATATCAAAAANNNNNNNNNNNNNN -5' 通常の配列 転写開始点直下にプリン塩基を挿入 +1 T7 プロモーター 5'- TAATACGACTCACTATAGGGAGATTTTTNNNNNNNNNNNNNN -3' 3'- ATTATGCTGAGTGATATCCCTCTAAAAANNNNNNNNNNNNNN -5' 改変した配列 図 5: 配列依存的な転写開始効率の低下を回避するための対処方法 (T7 プロモーターを用いた例 ) Control DNA について 本キットには キットの性能を確認するための鋳型 DNA として Control DNA (50 ng/µl) が添付されています (4 ページ 品質管理 参照 ) 万が一 結果が思わしくなかった場合の原因究明の指標となりますので トラブルの際にご使用ください Control DNA は Cloning Vector pts1 DNA あるいは Cloning Vector pts2 DNA ( 株式会社ニッポンジーンテク ) を制限酵素 Nsi IあるいはSac I により直鎖化し 濃度を調整したものです CUGA 3 in vitro Transcription Kit の場合 : Cloning Vector pts1 DNA/Nsi I CUGA 6 in vitro Transcription Kit の場合 : Cloning Vector pts2 DNA/Nsi I CUGA 7 in vitro Transcription Kit の場合 : Cloning Vector pts1 DNA/Sac I 12

A B Sac I Nsi I Nsi I T3 プロモーター T7 プロモーター SP6 プロモーター T7 プロモーター Cloning Vector pts1 DNA 2,800 bp Cloning Vector pts2 DNA 2,800 bp C 制限酵素消化 プロモーター 制限酵素消化 鋳型 DNA in vitro 転写反応 100 base RNA 図 6: Control DNA の模式図 A: Cloning Vector pts1 DNA の模式図 B: Cloning Vector pts2 DNA の模式図 C: プロモーターと鋳型 DNA 領域の構造模式図 13

Ⅴ. in vitro 転写反応 1. 転写反応用試薬の融解 キットから以下のチューブを取り出して室温 (15-25 C) で完全に融解後 軽く混合して溶液を均一にし 遠心操作により溶液をチューブの底に集めます 5 Transcription Buffer 内に白い沈澱物 ( スペルミジン ) が見られる場合は 沈澱物が確認されなくなるまでチューブを室温 (15-25 C) に放置した後 バッファーの濃度が均一になるよう ピペッティングまたはタッピングにより撹拌してください 5 Transcription Buffer 0.1 M DTT 100 mm CTP 100 mm UTP 100 mm GTP 100 mm ATP 2. 転写反応溶液の調製と鋳型 DNA の添加 新しいチューブに以下の試薬を上から順番に加え よく混和した後 室温 (15-25 C) に置きます ( この溶液を 転写反応溶液 と呼称します ) 鋳型 DNA の溶液量に応じて 全量 20 µl となるように滅菌蒸留水 (RNase-free) の添加量を調整してください 鋳型 DNA 以外の全ての試薬を加えた後 ピペッティングまたはチューブのキャップを閉め タッピングにより混合してください 混合する際に 気泡が発生すると酵素 (CUGA 3/CUGA 6/CUGA 7 Enzyme Solution) が失活するおそれがありますので ご注意ください 最後に 0.05-0.25 pmol ( プラスミド DNA の場合 100-500 ng 程度 ) の鋳型 DNA を転写反応溶液に加え ( 全量 20 µl とする ) 前記と同様にピペッティングまたはタッピングにより混合してください 混合する際に 気泡が発生すると酵素が失活するおそれがありますので ご注意ください 酵素 (CUGA 3/CUGA 6/CUGA 7 Enzyme Solution) の希釈非特異的な転写反応産物が多量に認められる場合や 鋳型 DNA 量が極端に少ない場合は 酵素 (CUGA 3/CUGA 6/CUGA 7 Enzyme Solution) を添付の Enzyme Dilution Buffer で 2 倍程度に希釈して用いることで結果が改善されることがあります ( ご注意 ) * 5 Transcription Buffer にはスペルミジンが含まれています スペルミジンは核酸と複合体を形成し 場合によっては不溶物質として沈澱する可能性がありますので 鋳型 DNA は必ず最後に加えてください 沈澱を形成した場合 転写反応の効率が著しく低下します 5 Transcription Buffer の濃度の不均一化を防ぐため 転写反応溶液の調製操作は必ず室温 (15-25 C) 条件下で行ってください また 本キットでは RNase 阻害剤の使用を推奨しておりませんので 転写反応溶液中に RNase 阻害剤を添加しないでください 14

CUGA 3/CUGA 7 in vitro Transcription Kit 滅菌蒸留水 (RNase-free) µl 5 Transcription Buffer 4 µl 0.1 M DTT 2 µl 100 mm CTP 1.5 µl 100 mm UTP 1.5 µl 100 mm GTP 1.5 µl 100 mm ATP 1.5 µl CUGA 3/CUGA 7 Enzyme Solution 1 µl 鋳型 DNA (0.05-0.25 pmol) µl 全量 20 µl CUGA 6 in vitro Transcription Kit 滅菌蒸留水 (RNase-free) µl 5 Transcription Buffer 4 µl 0.1 M DTT 2 µl 100 mm CTP 0.5 µl 100 mm UTP 0.5 µl 100 mm GTP 0.5 µl 100 mm ATP 0.5 µl CUGA 6 Enzyme Solution 1 µl 鋳型 DNA (0.05-0.25 pmol) µl 全量 20 µl 3. in vitro 転写反応 インキュベーターを用いて 37 C で 2 時間反応を行います リボヌクレオチドが枯渇するとヌクレオチドの取り込みエラーが発生する可能性がありますので in vitro 転写反応は 2 時間以上行わないでください より精度の高い RNA を必要とされる場合は反応時間を 30 分程度まで短縮してください 15

Ⅵ. RNA の精製 1. 鋳型 DNA の除去 1-1. DNase Enzyme Solution の添加 DNase Enzyme Solution 2 µl を転写反応溶液に加え ( 全量 22 µl) ピペッティングまたはタッピングにより混合してください 混合する際 気泡が発生すると酵素が失活するおそれがありますので ご注意ください 1-2. 消化反応 インキュベーターを用いて 37 C で 30 分間反応を行います 2. RNA 精製用試薬の融解 キットから 10 M Ammonium Acetate のチューブを取り出して室温 (15-25 C) で完全に融解後 軽く混合して溶液を均一にし 遠心操作により溶液をチューブの底に集めます 10 M Ammonium Acetate は 以降の操作 3-1. あるいは 3-3. で使用します 3. RNA の精製および電気泳動による検出 未反応のリボヌクレオチドおよび酵素を除去するために フェノール抽出およびエタノール沈澱を行ってください あるいは 市販の RNA 精製用カラム ( 例 : RNeasy MinElute Cleanup Kit; 株式会社キアゲン 等 ) をご使用になると便利です 以下に 推奨する RNA の精製 検出方法を示します 調製する RNA の鎖長により 精製 検出方法が異なりますので ご注意ください 本ユーザーズマニュアルでは 1,000 base 以下を短鎖 RNA 1,000 base 以上を長鎖 RNAとしています 短鎖 RNA の場合 3-1. 短鎖 RNA の精製 : フェノール抽出およびエタノール沈澱 3-2. 短鎖 RNA の検出 : 変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動による検出 長鎖 RNA の場合 3-3. 長鎖 RNA の精製 : フェノール抽出およびイソプロパノール沈澱 3-4. 長鎖 RNA の検出 : 変性アガロースゲル電気泳動による検出 ( ご注意 ) * 短鎖 RNA の精製において イソプロパノール沈澱を用いると回収効率が低下します * 長鎖 RNA の精製には 短鎖 RNA の精製方法を用いることも可能です 16

3-1. 短鎖 RNA の精製 : フェノール抽出およびエタノール沈澱 i. 反応溶液 ( 全量 22 µl) に滅菌蒸留水 (RNase-free) 78 µl を加えて全量 100 µl とし フェノール / クロロホルム / イソアミルアルコール混合液 (25:24:1) を 100 µl ( 等倍量 ) 加えて転倒混和により混合した後 室温 (15-25 C) で 13,000 g にて 5 分間遠心します ii. 遠心後 上層 ( 水相 ) を新しいチューブに移し 再度 フェノール / クロロホルム / イソアミルアルコール混合液 (25:24:1) を 100 µl ( 等倍量 ) 加えて転倒混和により混合した後 室温 (15-25 C) で 13,000 g にて 5 分間遠心します 上層 ( 水相 ) を新しいチューブに移し 以降の操作に進んでください iii. 滅菌蒸留水 (RNase-free) 50 µl (0.5 倍量 ) 10 M Ammonium Acetate 50 µl (0.5 倍量 ) をそれぞれ加えて数回ピペッティングを行った後 99.5% エタノール 400 µl (4 倍量 ) を加えて転倒混和により混合し 室温 (15-25 C) に 5 分間放置します iv. 室温 (15-25 C) で 15,000 g にて 10 分間遠心します v. 上清を取り除き 70% エタノール 1 ml を静かに加え 室温 (15-25 C) で 15,000 g にて 5 分間遠心します vi. 上清を取り除き 沈澱物を風乾により乾燥します 乾燥後は滅菌蒸留水 (RNase-free) あるいは適当なバッファーに溶解し すぐに使用しない場合は-20 C あるいは-70 C で保存してください 3-2. 短鎖 RNA の検出 : 変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動による検出 i. 7.2 g の尿素に 40% アクリルアミド / ビスアクリルアミド混合液 (19:1 あるいは 39:1) 12 ml 10 TBE 溶液 4 ml 10% 過硫酸アンモニウム 300 µl を加えてよく混和した後 TEMED 30 µl を加えてさらによく混和し ガラス板に注ぎ込み 適当なコームを差し込んでゲルを重合させます ii. RNA 溶液に等倍量の 8 M 尿素溶液 ( 電気泳動用色素を含む ) を加えます iii. 55 C 15 分間熱処理した後 1 TBE 溶液を電気泳動用緩衝液として 50-300 V の定電圧で電気泳動を行います iv. 電気泳動後 ゲルを 1 µg/ml の臭化エチジウム溶液に浸して染色し 紫外線照射下にてバンドの確認および写真撮影を行います あるいは トルイジンブルー O 染色液で染色することにより 可視光下で検出することも可能です 17

3-3. 長鎖 RNA の精製 : フェノール抽出およびイソプロパノール沈澱 i. 反応溶液 ( 全量 22 µl) に滅菌蒸留水 (RNase-free) 73 µl 10 M Ammonium Acetate 5 µl を加えて全量 100 µl とし フェノール / クロロホルム / イソアミルアルコール混合液 (25:24:1) を 100 µl ( 等倍量 ) 加えて転倒混和により混合した後 室温 (15-25 C) で 13,000 g にて 5 分間遠心します ii. 遠心後 上層 ( 水相 ) を新しいチューブに移し 再度 フェノール / クロロホルム / イソアミルアルコール混合液 (25:24:1) を 100 µl ( 等倍量 ) 加えて転倒混和により混合した後 室温 (15-25 C) で 13,000 g にて 5 分間遠心します 上層 ( 水相 ) を新しいチューブに移し 以降の操作に進んでください iii. イソプロパノール 100 µl ( 等倍量 ) を加えて転倒混和により混合し 室温 (15-25 C) に 5 分間放置します iv. 室温 (15-25 C) で 15,000 g にて 10 分間遠心します v. 上清を取り除き 70% エタノール 1 ml を静かに加え 室温 (15-25 C) で 15,000 g にて 5 分間遠心します vi. 上清を取り除き 沈澱物を風乾により乾燥します 乾燥後は滅菌蒸留水 (RNase-free) あるいは適当なバッファーに溶解し すぐに使用しない場合は-20 C あるいは-70 C で保存してください 3-4. 長鎖 RNA の検出 : 変性アガロースゲル電気泳動による検出 i. アガロース 1.0 g に 蒸留水 39 ml を加えて加熱 溶解し 25 MOPS 溶液を 2 ml ホルムアルデヒド溶液 (37%) を 9 ml 加えてよく混和した後 型に流し込んでゲルを固化させます ii. RNA 溶液に 25 MOPS 溶液 0.4 µl ホルムアルデヒド溶液 (37%) 1.3 µl ホルムアミド 3.8 µl 電気泳動用色素 1 µl 0.1 mg/ml 臭化エチジウム溶液 0.1 µl と滅菌蒸留水 (RNase-free) を加え 溶液量を 10 µl とします iii. 55 C 15 分間熱処理した後 1 MOPS 溶液を電気泳動用緩衝液として 50-100 V の定電圧で電気泳動を行います iv. 電気泳動後 紫外線照射下にてバンドの確認および写真撮影を行います 18

Ⅶ. トラブルシューティング 本キットの使用において何らかの問題が発生した場合は 以下の項目にしたがって対処してください また キット添付の Control DNA を用いて製品のチェックを行ってください 問題点原因および対処法 1. 得られる RNA の量が 5 Transcription Buffer の添加不足あるいは過剰添加 温度低下による濃少ない度の不均一化 鋳型 DNA の過剰添加 CUGA 3/CUGA 6/CUGA 7 Enzyme Solution の過剰添加 鋳型 DNA の純度が悪い 本キットは in vitro 転写反応を利用しているため 鋳型 DNA の純度によっては転写効率に差が生じる場合があります また 高濃度の塩や界面活性剤の持ち込みは転写反応の効率を下げる原因となります 核酸 ヌクレアーゼ その他の夾雑物の混入にもご注意ください スペルミジンと鋳型 DNA が複合体を形成している 試薬を添加する順序は転写効率に大きく影響しますので 必ず本ユーザーズマニュアルの記載内容にしたがってください 転写開始点付近の配列が転写開始効率に影響している 11 ページをご参照ください 2. 非特異的な転写反応 制限酵素による鋳型 DNA の消化が不完全である産物が多い in vitro 転写反応ではランオフにより反応を終結させます プラスミド DNA 等を鋳型 DNA に用いる場合に制限酵素消化が不完全であると 目的の領域以降からも続けて転写反応が行われます 鋳型 DNA は制限酵素消化によって完全に直鎖化していることを確認し 可能であればアガロースゲル電気泳動を行い 目的の DNA 断片をゲルから抽出 精製してください PCR の過程において非特異的な DNA が増幅されている PCR 産物を鋳型 DNA として用いる場合は 非特異的な DNA が増幅されない条件設定で鋳型 DNA の調製を行ってください 未成熟な転写反応産物の形成 in vitro 転写反応では 反応開始の効率が RNA 合成量に直接影響しています 本キットでは これを解決するための最適化を行っておりますが 鋳型配列によってはリボヌクレオチド量を最適化することで 未成熟な転写反応産物の形成が減少する場合があります プロモーターが複数個存在する 鋳型 DNA の配列中にプロモーター配列が存在しないことを確認してください 3. RNA が全く得られない 鋳型 DNA の上流にプロモーターが存在しない 鋳型 DNA の種類に関わらずプロモーターを確実に導入し 本ユーザーズマニュアルで推奨している配列と一致していることを確認してください 鋳型 DNA の精製 鋳型 DNA の制限酵素消化が不完全 上記 2. を参照してください 19

Ⅷ. 資料 1. Butler, E. T. and Chamberlin, M. J. (1982) Bacteriophage SP6-specific RNA Polymerase. I. Isolation and characterization of the enzyme. J. Biol. Chem., 257, 5772 2. He, B., Kukarin, A., Temiakov, D., Chin-Bow, S. T., Lyakhov, D. L., Rong, M., Durbin, R. K. and McAllister, W. T. (1998) Characterization of an unusual, sequence-specific termination signal for T7 RNA polymerase. J. Biol. Chem., 273, 18802 3. Triana-Alonso, F. J., Dabrowski, M., Wadzack, J. and Nierhaus, K. H. (1995) Self-coded 3'-extension of run-off transcripts produces aberrant products during in vitro transcription with T7 RNA polymerase. J. Biol. Chem., 270, 6298 4. Guajardo, R., Lopez, P., Dreyfus, M. and Sousa, R. (1998) NTP concentration effects on initial transcription by T7 RNAP indicate that translocation occurs through passive sliding and reveal that divergent promoters have distinct NTP concentration requirements for productive initiation. J. Mol. Biol., 281, 777 5. Korencic, D., Sollm, D. and Ambrogelly, A. (2002) A one-step method for in vitro production of trna transcripts. Nucl. Acids. Res., 30, e105 6. Ling, M. L., Rismon, S. S., Klement, J. F., McGraw, N. and McAllister W. T. (1989) Abortive initiation by bacteriophage T3 and T7 RNA polymerase under conditions of limiting substrate. Nucl. Acids. Res., 17, 1605 7. Milligan, J. F., Groebe, D. R., Witherell, G. W. and Uhlenbeck, O. C. (1987) Oligoribonucleotide synthesis using T7 RNA polymerase and synthetic DNA templates. Nucl. Acids. Res., 15, 8783 8. Milligan, J. F. and Uhlenbeck, O. C. (1989) Synthesis of small RNAs using T7 RNA polymerase. Meth. Enzymol., 180, 51 9. Nacheva, G. A. and Berzal-Herranz, A. (2003) Preventing nondisired RNA-primed RNA extension catalyzed by T7 RNA polymerase. Eur. J. Biochem., 270, 1458 10. Schenborn, E. T. and Mierendorf, R. C. Jr. (1985) A novel transcription property of SP6 and T7 RNA polymerases: dependence on template structure. Nucl. Acids. Res., 13, 6223 11. Shirane, D., Sugao, K., Namiki, S., Tanabe, M., Iino, M. and Hirose, K. (2004) Enzymatic production of RNAi libraries from cdnas. Nat. Genet., 36, 190 12. Wyatt, J. R., Chastain, M. and Puglisi, J. D. (1991) Synthesis and purificaton of large amounts of RNA oligonucleotides. Biotechniques., 11, 764 20