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日本内科学会雑誌第98巻第12号

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医師のためのTUE申請ガイドブック2013_本文.indd

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1 章 吸入薬概論 吸入薬を使う前に押さえておこう そのため 喘息では ICS ICS LABA といった吸入薬が主役として活躍していま す ICS と ICS LABA のすべてが喘息に保険適用されますが LABA はセレベン 吸入薬を用いる疾患 ト だけ LAMA はスピリーバ レスピマットだけ

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喘息ガイドライン -小児-                  平成24年12月改訂版

質問 5 スペーサーで吸うとき 数回に分けて吸っても良いのか? 回答 5 吸入は一息で吸い込む必要はありませんが 薬剤をスペーサー内に噴霧したらできるだけ早く吸い込んで下さい ( 吸入は一息で吸い込む必要はなく 噴霧後ただちに何回かに分けて吸入しても効果は変わらないとの報告があります ) 質問 6

吸入療法マニュアル

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選択した 薬剤から表示される処方内容 44 5: 気管支喘息 12 歳 ~ アドエア 50 エアゾール 120 吸入用 12.0g 瓶 3: 外用 4:1 日 2 回 1 1 回 2 吸入 45 5: 気管支喘息 9 歳アドエア 50 エアゾール 120 吸入用 12.0g 1.00


本マニュアルは吸入指導を行う上で 医療スタッフの共通認識の要点をまとめたものである なお 巻末の吸入薬 Q&A 及び当院採用吸入薬一覧も参考として掲載した 用語解説 ( COPD ;chronic obstructive pulmonary disease: 慢性閉塞性肺疾患 ) ( DPI ;dr

CQ1: 急性痛風性関節炎の発作 ( 痛風発作 ) に対して第一番目に使用されるお薬 ( 第一選択薬と言います ) としてコルヒチン ステロイド NSAIDs( 消炎鎮痛剤 ) があります しかし どれが最適かについては明らかではないので 検討することが必要と考えられます そこで 急性痛風性関節炎の

1. 気管支喘息とは? 基礎知識 病態 疫学 など 2. 診断 ( 軽く ) 3. 治療 ( 主に薬について ) 長期管理 発作時治療 4. 気管支喘息とのつき合い方継続治療 ( 吸入ステロイド ) が何より大切自己管理 ( ピークフローメーターの使用 ) 日常生活における注意 ( 危険因子を避ける

COPD疾患教育コンテンツ

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はじめに 目 次 佐野虎ノ門クリニック院長東京アレルギー 喘息研究所所長 佐野靖之 患者指導のポイント 喘息とはどのような病気ですか? 1 3 気管支喘息に用いられる吸入薬の特徴は 薬剤が気道に直接到達すること 喘息ではどのような治療をするのですか? 4 で 気道の炎症や狭窄 ( 狭くなること )

Microsoft Word _12_1ガイド_フルティフォーム120(企業案1)

第 2 事案の概要 1 事案の概要本件は 2018 年 5 月 20 日から 27 日までの間 公益財団法人日本自転車競技連盟主催の UCI 公認国際自転車ロードレース H ( 以下 本競技会 という ) に A の選手として参加した申立人が同月 20 日のレース後に実施されたドーピング検査 ( 以

資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 <その他分野 ( 消化器官用薬 解毒剤 その他 )> 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号

れたドーピング検査 ( 以下 本ドーピング検査 という ) を受け 同人の検体から世界アンチ ドーピング機構が公表する 2018 年禁止表国際基準に定める S3.β2 作用薬 であるビランテロール (Vilanterol) が検出されたため 同年 6 月 19 日に被申立人に対し 遡及的治療使用申請

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平成19年11月27日

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PRESS RELEASE この資料は 英国グラクソ スミスクライン plc が 2017 年 5 月 5 日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり 報道関係者各位の利 便性のために提供するものです この資料の正式言語は英語であり その内容およびその解釈については英語が優先します 詳細は htt

喘息治療の目標 あなたは喘息のない人と同じような生活ができますか? 薬の副作用を恐れて必要な治療をせず 悪い状態で我慢してしまうこ とは 炎症の悪化 気道の強い傷害 気道の不十分な修復による不可 逆的な変化を来し 治療薬の効果を悪くし 喘息を重症化します!! 1

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環境汚染等から呼吸器病患者を守る会 EPAREC 障 骨粗鬆症 糖尿病, 前立腺肥大などの合併症をお持ちの方も多く これらを踏まえながら 多角的に治療方針 使用薬剤を決めていきます (3) 管理目標 : 喘息における発作 COPD における急性増悪をともに予防する事が管理目標となります 禁煙を徹底し

1. 喘息の診断 ( 疑う時 ) 病態 発症は 感冒後に咳が続くという形が一番頻度が高いです 問いかけの仕方としては かぜをひいた後 2 週間以上咳が続いて困った 事がありますか? 呼吸をする時ゼイゼイ音がしますか? 明け方 咳や呼吸が苦しくて目が覚める事 がありますか? などです これ らの症状を

2. 特定使用成績調査 2-1 安全性収集された 1,169 例から 46 例 ( 再来院なし 39 例 安全性未評価 5 例 本剤未投与 1 例及び本剤投与歴有り 1 例 ) を除いた 1,123 例が安全性解析対象とされた なお 安全性解析対象には未承認用法 用量で使用された 174 例 1)

(別添様式)

シムビコートタービュヘイラー30吸入・60吸入 インタビューフォーム

抗ヒスタミン薬の比較では 抗ヒスタミン薬は どれが優れているのでしょう? あるいはどの薬が良く効くのでしょうか? 我が国で市販されている主たる第二世代の抗ヒスタミン薬の臨床治験成績に基づき 慢性蕁麻疹に対する投与 2 週間後の効果を比較検討すると いずれの薬剤も高い効果を示し 中でもエピナスチンなら

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2015 年 11 月 5 日 乳酸菌発酵果汁飲料の継続摂取がアトピー性皮膚炎症状を改善 株式会社ヤクルト本社 ( 社長根岸孝成 ) では アトピー性皮膚炎患者を対象に 乳酸菌 ラクトバチルスプランタルム YIT 0132 ( 以下 乳酸菌 LP0132) を含む発酵果汁飲料 ( 以下 乳酸菌発酵果

原日本呼吸ケア リハビリテーション学会誌 2016 年第 26 巻第 1 号 気管支喘息患者に対する看護師による吸入指導の効果 医療法人康曜会プラーナクリニック看護科 ₁), 医療法人康曜会プラーナクリニック呼吸器内科 ₂), 群馬大学医 ₃) 学部附属病院呼吸器 アレルギー内科 中

審査報告書 平成 28 年 10 月 17 日 独立行政法人医薬品医療機器総合機構 承認申請のあった下記の医薬品にかかる医薬品医療機器総合機構での審査結果は 以下のとおりである 記 [ 販売名 ] レルベア 100 エリプタ 14 吸入用 同 100 エリプタ 30 吸入用 [ 一般名 ] ビランテ

緒言

モビコール 配合内用剤に係る 医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 販売名 モビコール 配合内用剤 有効成分 マクロゴール4000 塩化ナトリウム 炭酸水素ナトリウム 塩化カリウム 製造販売業者 EA ファーマ株式会社 薬効分類 提出年月 平成 30 年 10 月 1.1. 安全

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未承認薬 適応外薬の要望に対する企業見解 ( 別添様式 ) 1. 要望内容に関連する事項 会社名要望された医薬品要望内容 CSL ベーリング株式会社要望番号 Ⅱ-175 成分名 (10%) 人免疫グロブリン G ( 一般名 ) プリビジェン (Privigen) 販売名 未承認薬 適応 外薬の分類

NG 3 1 MDI 製 剤,DPI 製 剤 違 い MDI DPI 表 1MDIDPI 表 2 58

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このぜんそく手帳は 病院でもかかりつけ医でも受診の際は必ずお持ちください 患者氏名 アレルギー情報 アスピリン喘息 有 無 不明 薬物アレルギー 有 ( ) 無 かかりつけ医 ID( カルテ No.) 豊田厚生病院担当医 担当看護師 患者様 ID かかりつけ薬局

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第1回肝炎診療ガイドライン作成委員会議事要旨(案)

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201601

ン (LVFX) 耐性で シタフロキサシン (STFX) 耐性は1% 以下です また セフカペン (CFPN) およびセフジニル (CFDN) 耐性は 約 6% と耐性率は低い結果でした K. pneumoniae については 全ての薬剤に耐性はほとんどありませんが 腸球菌に対して 第 3 世代セフ

未承認の医薬品又は適応の承認要望に関する意見募集について

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佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

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2001年12月(新様式第1版)

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3 スライディングスケール法とアルゴリズム法 ( 皮下注射 ) 3-1. はじめに 入院患者の血糖コントロール手順 ( 図 3 1) 入院患者の血糖コントロール手順 DST ラウンドへの依頼 : 各病棟にある AsamaDST ラウンドマニュアルを参照 入院時に高血糖を示す患者に対して 従来はスライ

Ⅰ. 改訂内容 ( 部変更 ) ペルサンチン 錠 12.5 改 訂 後 改 訂 前 (1) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本剤の作用が増強され, 副作用が発現するおそれがあるので, 併用しないこと ( 過量投与 の項参照) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本

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ⅱ カフェイン カテキン混合溶液投与実験方法 1 マウスを茶抽出液 2g 3g 4g 相当分の3つの実験群と対照群にわける 各群のマウスは 6 匹ずつとし 合計 24 匹を使用 2 実験前 8 時間絶食させる 3 各マウスの血糖値の初期値を計測する 4 それぞれ茶抽出液 2g 3g 4g 分のカフェ

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今回の調査では 主に次のような結果が得られました 花粉症の現状と生活に及ぼす影響の実態 スギ花粉症を初めて発症してから 10 年以上経つ人が 66.8% と 長年花粉症に悩まされている人が多いという結果に 10 年以上経つ人の割合が多い地域としては静岡県 栃木県 群馬県 山梨県等が上位に 今までにス

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D961H は AstraZeneca R&D Mӧlndal( スウェーデン ) において開発された オメプラゾールの一方の光学異性体 (S- 体 ) のみを含有するプロトンポンプ阻害剤である ネキシウム (D961H の日本における販売名 ) 錠 20 mg 及び 40 mg は を対象として

審査結果 平成 25 年 9 月 27 日 [ 販売名 ] アナフラニール錠 10 mg 同錠 25 mg [ 一般名 ] クロミプラミン塩酸塩 [ 申請者名 ] アルフレッサファーマ株式会社 [ 申請年月日 ] 平成 25 年 5 月 17 日 [ 審査結果 ] 平成 25 年 4 月 26 日開

Part.1 専門医の処方を読む デバイスの正しい指導で服薬アドヒアランスを維持 向上 日本大学医学部附属板橋病院呼吸器内科准教授 権寧博氏 潜在患者が多い COPD 患者掘り起こしが急務 COPD の最大の原因は喫煙である COPD 患者の約 90% には喫煙歴があり COPD による死亡率は 喫

301226更新 (薬局)平成29 年度に実施した個別指導指摘事項(溶け込み)

医療法人高幡会大西病院 日本慢性期医療協会統計 2016 年度

コントロール不良の中等症から重症の喘息を有する成人および思春期患者の維持療法に追加する治療薬としてのデュピクセント は 現在米国 日本 欧州連合 (EU) などの各国で審査中で その安全性および有効性に関する各国の規制当局の評価は完了しておりません 米国での審査期日は 2018 年 10 月 20

目次 I. 調査概要 II. 調査票 調査目的調査期間調査対象調査方法サンプル数 III. 属性調査結果 性別年齢入院病棟入院日数当院を選んだ理由 IV. 満足度調査結果 1. 満足度ポイント一覧 2. 満足度構成比率総合満足度医療サービス施設 設備 情報提供師の接遇の接遇の接遇 V. ポートフォリ

02 28結果の概要(3健康)(170622)

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2.7.3(5 群 ) 呼吸器感染症臨床的有効性グレースビット 錠 細粒 表 (5 群 )-3 疾患別陰性化率 疾患名 陰性化被験者数 / 陰性化率 (%) (95%CI)(%) a) 肺炎 全体 91/ (89.0, 98.6) 細菌性肺炎 73/ (86

査を実施し 必要に応じ適切な措置を講ずること (2) 本品の警告 効能 効果 性能 用法 用量及び使用方法は以下のとお りであるので 特段の留意をお願いすること なお その他の使用上の注意については 添付文書を参照されたいこと 警告 1 本品投与後に重篤な有害事象の発現が認められていること 及び本品

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日本内科学会雑誌第104巻第6号

2017年度患者さん満足度調査結果(入院)

要望番号 ;Ⅱ 未承認薬 適応外薬の要望 ( 別添様式 1) 1. 要望内容に関連する事項 要望 者 ( 該当するものにチェックする ) 優先順位 学会 ( 学会名 ; 日本ペインクリニック学会 ) 患者団体 ( 患者団体名 ; ) 個人 ( 氏名 ; ) 2 位 ( 全 4 要望中 )

抗精神病薬の併用数 単剤化率 主として統合失調症の治療薬である抗精神病薬について 1 処方中の併用数を見たものです 当院の定義 計算方法調査期間内の全ての入院患者さんが服用した抗精神病薬処方について 各処方中における抗精神病薬の併用数を調査しました 調査期間内にある患者さんの処方が複数あった場合 そ

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吸入療法FAQ

第 1 部申請書等行政情報及び添付文書に関する情報 一般名 : ブデソニド / ホルモテロールフマル酸塩水和物 版番号 : 1.4 特許状況 シムビコート タービュヘイラー 慢性閉塞性肺疾患 (COPD) の治療 本資料に記載された情報に係る権利はアストラゼネカ株式会社に帰属します 弊社の事前の承諾

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(2) レパーサ皮下注 140mgシリンジ及び同 140mgペン 1 本製剤については 最適使用推進ガイドラインに従い 有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積するまでの間 本製剤の恩恵を強く受けることが期待される患者に対して使用するとともに 副作用が発現した際に必要な対応をとることが可能な一定の要件

News Release 報道関係各位 2015 年 6 月 22 日 アストラゼネカ株式会社 40 代 ~70 代の経口薬のみで治療中の 2 型糖尿病患者さんと 2 型糖尿病治療に従事する医師の意識調査結果 経口薬のみで治療中の 2 型糖尿病患者さんは目標血糖値が達成できていなくても 6 割が治療

Transcription:

ICS/LABA 配合剤 ( アドエア シムビコート フルティフォーム レルベア ) ( 吸入ステロイド薬 + 長時間作用性吸入 β2 刺激薬 ) 近年 世界的にアドエア ( 海外商品名 :SeretideまたはAdovair) シムビコート ( 海外商品名 :Symbicort) フルティフォーム( 海外商品名 : Fiutiform) レルベア( 海外商品名 :Relvar) の吸入ステロイド薬 (ICS) と長時間作用性吸入 β2 刺激薬 (LABA) のICS/LABA 配合剤がよく使われるようになっています アドエア ( 発売元 : グラクソ スミスクライン ) は長時間作用性吸入 β2 刺激薬のキシナホ酸サルメテロール (SM: 商品名セレント ) と吸入ステロイド薬のプロピオン酸フルチカゾン (FP: 商品名フルタイド ) の配合剤で わが国では2007 年 6 月に発売されました 2009 年 1 月 21 日にはアドエア100ディスカスが小児気管支喘息への適応が追加され アドエア250ディスカスが慢性閉塞性肺疾患 (COPD: 慢性気管支炎 肺気腫 ) への適応が追加承認されました また アドエア50エアゾールも2009 年 4 月に発売されました シムビコート ( 発売元 : アストラゼネカ アステラス製薬 ) は長時間作用性吸 入 β2 刺激薬のホルメテロール (FM) と吸入ステロイド薬のブデソニド (B UD: 商品名パルミコート ) の配合剤で 2010 年 1 月 13 日に発売されました レルペア ( 発売元 : グラクソ スミスクライン ) は新しい長時間作用性吸入 β2 刺激薬のビランテロールトリフェニル酢酸塩 :VI) と新しい吸入ステロイド薬のフルチカゾンフランカルボン酸エステル :FF) の配合剤で わが国では2013 年 12 月に発売されました

フルティフォーム ( キョーリン製薬 ) 長時間作用性吸入 β2 刺激薬のホルメテ ロール (FM) と吸入ステロイド薬のフルチカゾン (FP: 商品名フルタイ ド ) の配合剤で 2013 年 11 月 19 日に発売されたエアゾール製剤です 米国ではモメタゾンフランカルボン酸エステル ( 吸入ステロイド薬 : アズマネックス ) とホルモテロールフマル酸塩 ( 長時間作用性吸入 β2 刺激薬 ) の配合剤 デュレラも発売されており 喘息治療は配合剤の時代に入ったという状況になっています 以下 現在発売されているICS/LABA 配合剤について記載します アドエア フルチカゾン / サルメテロール (FP/SM) ドライパウダー製剤 アドエアディスカス (FP/SM-DK) エアゾール製剤 アドエアエアゾール (FP/SM-HFA) ( 規格 ) アドエア 100ディスカスアドエア250ディスカスアドエア 500ディスカス ( 規格 ) アドエア 50エアゾールアドエア100エアゾールアドエア250エアゾール 用量 (FP/SM) アドエア 100:100μg/50μg アドエア 250:250μg/50μg アドエア 500:500μg/50μg 1 個 28 回 (14 日分 ) 用量 (FP/SM) アドエア 50:150μg/25μg アドエア 125:120μg/25μg アドエア 250:250μg/25μg 1 本 120 吸入 1 個 60 回 (30 日分 ) があります 1 回 1 吸入 2 回 / 日 1 回 2 吸入 2 回 / 日 アドエアの海外商品名 =Seretide Adovair

アドエアの主な特徴 長時間作用性吸入 β2 刺激薬 ( セレベント ) と吸入ステロイド薬 ( フルタイ ド ) の配合剤であるアドエアには次のような特徴があります 1 1 剤で気道炎症と狭窄両方に優れた効果を示す 2 サルメテロールとフルチカゾンプロピオン酸エステルは相互に作用し 相乗効果を示す 3 軽症から重症までの多くの患者で1 剤による喘息コントロールの達成および維持が期待できる 4 投与 1 日目から優れた呼吸機能改善を示す 5 簡単なディスカス製剤で 1 剤で幅広い患者への治療が期待できる シムビコート ブデソニド / ホルモテロール (BU D/FM) シムビコート (BUD/FM-DPI) シムビコートタービュヘイラー 30 シムビコートタービュヘイラー 60 用量 (BUD/FM) 160μg/4.5μg 1 個 30 回 1 個 60 回があります 1 回 1~4 吸入 2 回 / 日 シムビコートにおけるブデソニドの用量について

シムビコートの用量はブデソニド ( 商品名 : パルミコート )160μg ホルモテロール4.5μgとなっています パルミコートでは容器 ( タービュヘイラー ) 内ではかりとられるブデソニドの薬剤量 (meterd dose) で表記していますが シムビコートの用量はタービュヘイラーから放出されるブデソニド薬剤量 (deliverd dose) で表記されており ブデソニド160μgは meterd doseで200μgに相当するそうです したがって シムビコートにおけるブデソニドの量はパルミコートの200μgに相当することになります アドエアでは100 250 500の3 種類があり それぞれフルチカゾンの薬剤量の100μg 250μg 500μgが表記されています それに習えばシムビコートは シムビコート200 ということなりますが シムビコートは1 剤 (1 種類 ) で用量調節が可能なため あえて用量は表記せず シムビコートタービュヘイラー 30 吸入 シムビコートタービュヘイラー 60 吸入と吸入回数が表記されています シムビコートの主な特徴 長時間作用性吸入 β2 刺激薬 ( ホルモテロール ) と吸入ステロイド薬 ( ブデソニド : 商品名パルミコート ) の配合剤であるシムビコートには次のような特徴があります なお シムビコートに含まれるホルモテロールには即効性と遅効性の効果があります この点がアドエアとの大きな違いになります 1 1 剤で気道炎症と狭窄両方に優れた効果を示す 2 ホルモテロールとブデソニドは相互に作用し 相乗効果を示す 3 4 速やかな効果発現 に加え 長期にわたるコントロール が可能な薬剤である 吸入 1 分後から発作治療薬である短時間作用性吸入 β2 刺激薬と同様の速やかな効果発現を示す

5 タービュヘイラーという優れた吸入器具が装着されており 肺内到達に適した大きさの粒子を吸入できる 1 剤で用量の調節が出来るようになっており 患者さんの喘息の状 6 態 に応じて増減することが可能 シムビコートの投与方法について固定用量投与 (Fixed Maintenance Dosing Therapy :FD) 従来の吸入ステロイド薬やアドエアで使用されているように 一定量を定期的に吸入する方法です ( わが国では基本的にこの方法で使用することが推奨されています ) 用量調節投与 (Adjustable maintenance dosing Therapy :AMD) 喘息コントロール状態に合わせて薬剤の用量を調節しながら投与する方法で 自覚症状や肺機能の悪化 改善にあわせて吸入量 ( 吸入数 ) を増減します シムビコートを2 吸入 2 回 / 日使用していた場合 喘息状態が良好であれば1 吸入 2 回 / 日としたり 喘息状態が不良であれは4 吸入 2 回 / 日とし 喘息状態が良好となれば2 吸入 2 回 / 日あるいは1 吸入 2 回 / 日と状況に応じて用量を調節して投与します 維持および発作治療療法 (Symbicort Maintenance and Reliever Therapy :SM ART) 長期管理における定期吸入に加えて症状に応じて要時吸入する維持および発作治療療法で 定期吸入に加えて発作時に吸入する方法です すなわち 定期的には1 ~2 吸入 2 回 / 日使用し 発作があればjまず1 吸入を吸入し それでも症状が治まらないときには数分あけてもう1 吸入します ます 定期吸入が朝 1 吸入 夜 1 吸入の場合 発作が出たときに追加吸入できるのは1 日合計 6 吸入まで ( 合計 1 日通常 8 吸入まで ) 定期吸入が朝 2 吸入 夜 2 吸入の場合は 発作ず出たときに追加吸入できるのは1 日 4 吸入 ( 合計 1 日通常 8 吸入まで ) までになります 朝 2 吸入以上 (3~4 吸入 ) 夜 2 吸入以上 (3~4 吸入 ) の場合は 発作時頓用としてシムビコートを使用してはいけないことになっています ICS/LABA 配合剤 ( アドエア シムビコート フルティフォーム レルベア ) のうちSMART 療法が出来るのはシムビコートのみです

シムビコート SMART 療法の実施方法

( 資料提供 : アステラス製薬 アストラセネカ社 ) シンビコートでこのような投与方法が可能で 1 剤で用量の調節が出来るのが 特徴です ホルモテロールの特性 ( 効果発現時間と効果持続時間 ) シムビコートには長時間作用性吸入 β2 刺激薬のホルモテロールが使用されています 下表のようにホルモテロールは効果発現が迅速で 効果持続が長いという特性があります 発作時に使用する短時間作用性吸入 β2 刺激薬のサルブタモール ( サルタノールインヘラー メプチンエアー ベロテックエロゾルなど ) は効果発現が迅速で効果持続が短い 短時間作用性経口 β2 刺激薬 ( ブリカニール錠 べネトリン錠 アトック錠など ) は効果発現が遅くて効果持続が短い 長時間作用性吸入 β2 刺激薬して使われているサルメテロール ( セレベント ) は効果発現が遅くて効果持続が長い とそれぞれ違いがあります すなわち ホルモテロールは長時間作用性吸入 β2 刺激薬で効果持続が長く 効果発現が迅速で短時間作用性吸入 β2 刺激薬と同様の効果があるのが特徴です 効果持続時間

短い 長い 短時間作用性 吸入 β2 刺激薬 長時間作用性 吸入 β2 刺激薬 迅速 サルタノールインヘラー メプチンエアー ベロテックエロゾルなど ( ホルモテロール ) シムビコートに使用 効 フルティホームに使用 果発現時間 短時間作用性 経口 β2 刺激薬 長時間作用性 吸入 β2 刺激薬 ブリカニール錠 ( サルメテロール ) 遅延 べネトリン錠など セレベント ( ビランテロール ) アドエアに使用 レルペアに使用 ブルーは商品名 ( 文献などより作成 ) ( サルメテロール ) は商品名セレベントとして発売されています ( ホルモテロール ) は2012 年 9 月オーキシスという商品名で発売されています ただし COPD( 慢性閉塞性肺疾患 ) 治療薬として適応がありますが 喘息の適応はありません ビランテロールは単剤では発売されていません フルティフォーム

フルチカゾン / ホルモテロール (FP/F M) フルティフォーム (FP/FM-pMDI) フルティフォーム 50 エアゾール フルティフォーム 125 エアゾール 用量 (FP/FM) 50μg/5μg 125μg/5μg 1 個 56 吸入 1 個 120 吸入があります 1 回 2~4 吸入 2 回 / 日 フルティフォームの主な特徴 長時間作用性吸入 β2 刺激薬 ( ホルモテロール ) と吸入ステロイド薬 ( フル タイド ) の配合剤であるフルティフォームには次のような特徴がありま す 1 1 剤で気道炎症と狭窄両方に優れた効果を示す 2 ホルモテロールとフルチカゾンプロピオン酸エステルは相互に作用し 相乗効果を示す 3 軽症から重症までの多くの患者で1 剤による喘息コントロールの達成および維持が期待できる 4 速やかな効果発現に加え 長期にわたるコントロールが可能な薬剤 である 5 エアゾール製剤で噴射速度が早くないため 多くの場合そのままクローズドマウスで使用できる フルティフォームの粒子径は 2.1~4.7μm で 肺内到達に適した範囲の 粒子が吸入でき 中枢気道炎症の改善みならず末梢気道炎症の改善に

も効果があると考えられます 吸入ステロイド薬 (ICS) はフルタイド 長時間作用性 β2 刺激薬 (LABA) はホルモテロールとアドエアとシムビコートの中間に位置するような配合剤ですが エアゾール製剤で使用することにより 優れた治療効果が得られる 吸気流速低下に対応できる 局所的副作用に対応できるなどの利点があると考えられます レルベア フルチカゾンフランカルボン酸エステル / ビランテロール (FF/VI) レルベア (FF/VI-DPI) レルベア 100 エリプタ レルベア 200 エリプタ 用量 (BUD/FM) 160μg/4.5μg 1 個 14 回 1 個 30 回があります 1 回 1 吸入 1 回 / 日 レルベアの主な特徴 長時間作用性吸入 β2 刺激薬 ( ビランテロール ) と吸入ステロイド薬 ( フル チカゾンフランカルボン酸エステル ) の配合剤であるレルベアには次のよ

うな特徴があります 1 1 剤で気道炎症と狭窄両方に優れた効果を示す 2 ビランテロールとフルチカゾンフランカルボン酸エステルは相互に作用し 相乗効果を示す 3 軽症から重症までの多くの患者で1 剤による喘息コントロールの達成および維持が期待できる 4 投与 1 日目から優れた呼吸機能改善を示す 5 簡単なエリプタ製剤で 1 日 1 回 1 吸入の使用で幅広い患者への治療が期待できる アドエア シムビコート フルティフォーム レルベアの使用方法については吸入ステロイド薬の使い方をご覧ください レルベアは最も操作が簡単な吸入薬ですが 効果もかなりあると思われます 私としてはアドエアより優れていると考えており 当院ではアドエアを使用している患者さんの多くでレルベアに変更しております アドエア シムビコート フルティフォーム レルベアはは喘息治療薬として世界的に使われています 配合剤は長時間作用性吸入 β2 刺激薬 ( 気管支拡張薬 ) と吸入ステロイド薬が1 剤になったため 従来 長時間作用性吸入 β2 刺激薬と吸入ステロイド薬の2 剤を吸入していた方はアドエア シンビコート フルティフォーム レルベアでは1 剤の吸入でよくなり 2 剤が1 剤となり大変簡単 便利になります 中でもレルベアは1 日 1 回 1 吸入という簡便さがあります 配合剤になったことにより相乗効果を示し 長時間作用性吸入 β2 刺激薬と吸入ステロイド薬を別々に吸入するよりも合剤 1 剤で吸入する方が効果を示すといわれています 実際に 当院でアドエアを2000 名以上に使用しましたが 相乗効果による症状改善を示したと思われる患者さんがかなりあります アドエア シムビコート フルティフォーム レルベアを使用するようになって 喘息のコントロールはさらに良くなったという印象を持っています 簡単 便利になって 治療効果も優れていることから服薬アドヒアランスも向上しました

アドエア シムビコート フルティフォーム レルベアは治療ステップ 2から治療ステップ4まで幅広い患者さんに使用でき 1 剤による喘息コントロールも期待でき 喘息治療が非常にシンプルになるという面で大変有用だと思われます 当院で以前から吸入ステロイド薬と長時間作用性吸入 β2 刺激薬を中心に治療を行っていましたので とくに治療ステップ3~4の患者さんで積極的にICS/LABA 配合剤を使用しています 各 ICS/LABA の特性とて使用比較 ICS のところでまとめたが 改めてここで ICSLABA 配合剤の特徴と使 用比較についてまとめてみます フルチカゾン ブデソニド フルチカゾン フルチカゾンフラ フルチカゾン + + + ンカルボン酸エス + 一般名 サルメテロール ホルモテロール (BUD/F サルメテロール (FP/SM-H テル + ホルモテロール (FP/SM- (FP/FM- DK) M) FA) ビランテロール (FF/VI) HFA) 商品名 アドエアディスカス シムビコート アドエアエアゾール レルペア フルティフォーム 実物写真 適応成人 ( 小児 ) 成人成人 ( 小児 ) 成人成人 最大使用量 ( 小児 ) 1,000μg/ 日 (200μg/ 日 ) 8 吸入 / 日 1,000μg/ 日 (200μg/ 日 ) 200μg/ 日 1,000μg/ 日 発売年 2007 年 2010 年 2009 年 2013 年 2013 年 吸入器具ディスカスタービュヘイラーインへラーエリプタインヘラ カウンターありありありありあり 添加剤乳糖 ( 多い ) FP 4.4μm 乳糖 ( 少な い ) BUD HFA フロン乳糖 ( 多い ) HFA フロン FF 4.0μm

平均粒子径 SM 4.4μm 2.4μm FM 2.5μm 3.1μm VI 2.2μm 2.1~4.7μm 肺内送達率 15~17% 40% 30%?? 抗炎症作用強中強強強 効果持続時間 12 時間 12 時間 12 時間 24 時間 12 時間 効果発現時間遅延 (15 分 ) 迅速 (1 分 ) やや遅延 (5 分?) 遅延 (15 分 ) 迅速 (1 分 ) 局所的副作用 やや多い やや少ない 少ない やや多い? 少ない 吸入臭 味 無臭 甘い 無臭 無味 ほぼ無臭 無臭 甘い アルコール臭 治療効果 全身への影響 簡便性 ~ ( ) ( ) 操作性 残量の確認 臭い 味 ~ ~ 携帯性 ( ) ( ) 吸入感 迅速性 発作への対応 末梢気道炎症 ~ 〇 ~ 吸う力が弱い 患者への対応 末梢気道炎症 〇 ~ 〇 ~ 局所的副作用 〇 ~ 1 剤用量調節 〇 ~ : 大変優れている : 優れている : やや劣る : 劣る 宮川武彦 :medicina 52,1984-1988,2015 に追加 一部変更 ICS/LABA 配合剤の位置づ

け 当院では 以前から吸入ステロイド薬と長時間作用性吸入 β2 刺激薬 ( セレベ ント ) を中心にした治療を行っており 治療ステップ 3 4 の患者さんで は配合剤を第一選択薬として位置付づけて使用しいます また 治療ステッ プ 2 の患者さんの一部にも合剤を使用してます 理由は操作が簡単であるこ と 2 剤が 1 剤になり便利になったこと 治療効果が優れていることなどで す 配合剤の位置づけを治療ステップ別に考えてみますと 治療ステップス 3 お よび治療ステップ 4 で ICS/LABA 配合剤 ( アドエア シムビコート フ ルティフォーム レルベア ) を使用することは全く問題ないと思います 問題は治療ステップ 2 における ICS/LABA の使用ですが 現在のとこ ろ 当院では一部は吸入ステロイド薬のみ 一部は配合剤を使用していると いう状況です 当初 治療ステップ 2 で配合剤を使用するのは 吸入ステロイド薬のみでコ ントロール不良の場合にのみ使用していましたが 配合剤の早期の症状改善 効果を期待して 導入はまず配合剤を使用することで早期に症状を安定さ せ その後 経過が極めて良ければ吸入ステロイド薬のみに変更するという 方法をとっています 治療ステップ 2 では 最初から 吸入ステロイド薬のみを使用するか ICS/LABA 配合剤を使用するか の判断は難しい点があります が 早期に患者さんの症状を改善させるということを考えると 最初は配合 剤で良いと考えます そして 経過が極めて安定すれば吸入ステロイド薬の みに変更するという方法が最も良いのではないかと考えています なお 当院における治療ステップ 2 の治療では 吸入ステロイド薬のみ ま たは配合剤のみと極めてシンプルな治療を行っており その他の薬剤はほと んど使用することはありません ICS/LABA 配合剤の使用量

喘息におけるアドエア シムビコートの 1 日使用量の目安は下記の通りです 成人 治療ステップ 2 治療ステップ 3 治療ステップ 4 アドエア 100 ディスカス 1 吸入 2 回 - - アドエア 250 ディスカス - 1 吸入 2 回 - アドエア 500 ディスカス - - 1 吸入 2 回 アドエア 50 エアゾール 2 吸入 2 回 - - アドエア 125 エアゾール 2 吸入 2 回 アドエア 250 エアゾール 2 吸入 2 回 シムビコート 1 吸入 2 回 2 吸入 2 回 4 吸入 2 回 レルペア 100 1 吸入 1 回 1 吸入 1 回 レルペア 200 1 吸入 1 回 1 吸入 1 回 フルティフォーム 50 2 吸入 2 回 フルティフォーム 125 2 吸入 2 回 4 吸入 2 回 小児 (5 歳以上 ) ステップ 2 軽症持続型 ステップ 3 中等症持続型 ステップ 4 重症持続型 アドエア 100 ディスカ ス - 1 吸入 2 回 1 吸入 2 回 1 吸入 2 回 アドエア 50 エアゾール - または 2 吸入 2 回 2 吸入 2 回 現在のところ 小児適応となっている配合剤はアドエアのみで 使用は原則 として 5 歳以上になっています 6~15 歳において配合剤はステップ 3 では追 加治療に記載され ステップ 4 では基本治療に記載されています

アドエアディスカス100 250 500は1 回に吸入するフルタイドの量を示すもので いずれの製剤でも セレベントの用量は1 回に50μgです アドエア50エアゾールは1 回に吸入するフルタイドの量を示すもので いずれの製剤でも セレベントの用量は1 回に25μgです アドエアディスカスは100 250 500と3 剤型あり それぞれ治療ステップに合わせて使い分けますが シムビコートは1 剤で用量の調節が出来るようになっており 患者さんの喘息の状態に応じて増減することが可能です 以下 当院においてすでに使用したアドエア ( アドエアディスカス ) とシムビコートの使用経 験 シムビコート SMART 療法の実施経験について記載します アドエアの使用経験 アドエアが発売された2007 年 6 月から使用していますが アドエアを使用した患者さんに 治改善効果 効果発現時期 使いやすさ 便利さ 短時間作用性 β2 刺激薬の使用量 使用印象などについてアンケート調査を実施しましたので アドエアの使用経験としてその結果を示します 対象は A : 吸入ステロイド薬 +セレベント (183 名 ) B : 吸入ステロイド薬群 (111 名 ) C : 初回治療 (230 名 ) 計 524 名 ( 以下 すべて当院でのデータ :2008 年 ) 症状の改善と効果発現時期 全例 (A B C) にアドエアによる症状の改善についてアンケートしました が 68.0% で 大変良くなった 良くなった 少し良くなった と回答していま す

効果発現時期は初日からが 32.3% 2~3 日からが 37.9% で 3 日以内が 71.6% 1 週間 以内は 88.7% で 早期の治療効果が示されています 使いやすさと便利さ 使いやすさ 便利さについてもアンケートを行ないましたが 使いやすさでは83.0% で 大変使いやすい 使いやすい と回答し 便利さでは85.3% で 便利 と回答しています ディスカス製剤の特徴は操作が簡単というのが大きな特徴ですが 2 剤が1 剤になった便利さもあり アドエアは多くの患者さんから支持されています

短時間作用性 β2 刺激薬使用量 アドエアを使用した患者さんのうち121 名で短時間作用性 β2 刺激薬を使用していましたが アドエア使用によってA B Cいずれでも短時間作用性 β2 刺激薬の使用量減少しており 全体では74.4% で減少が見られています アドエア使用で最も顕著に変化したことは 短時間作用性 β2 刺激薬の減少でした すなわち アドエア使用によって喘息のコントロールが良くなり 短時間作用性 β2 刺激薬が必要な発作が減ったということを示しています 患者さんの使用印象 アドエアの患者さんの使用印象は 大変良い 良い と回答したのは 80.4% で 多 くの患者さんで大変良い印象が得られております

アドエア導入による ACT 点数の変化 アドエア導入前後に喘息コントロールテスト (ACT) を実施し その変化を検討しましたが 吸入ステロイド薬にセレベントを併用していた患者さん (A) では 導入前に20 点以下がかなりありましたが 導入後には20 点以上 ( とくに22~25 点が増加しています (1.5 点増加 ) 吸入ステロイド薬は使用していてセレベントを併用していなかった患者さん (B) では 導入前に20 点以下が多くありましたが 導入後には20 点以上が明らかに増加しています (3.5 点増加 ) 初回治療 (C) の患者さんでは 導入前に20 点以下が非常に多くありましたが 導入後には20 点以上が著しく増加しています (6.2 点増加 )

アドエア導入による平均 PEF 値の変化 アドエア導入前後の平均ピークフロー値 (PEF) の変化を検討しましたが 吸入ステロイド薬にセレベントを併用していた患者さん (A) では 導入後に15.6L/min の増加 吸入ステロイド薬は使用していてセレベントを併用していなかった患者さん (B) では 導入後に45.9L/minの増加 初回治療 (C) の患者さんでは 導入後に75.7.L/minの増加が見られています アドエアによる調査項目別改善率 アドエアを使用した患者さんについ 喘息コントロールテスト (ACT) イー ジー アズマ プログラム (EAP) ピークフロー値 (PEF) アンケート調査

を実施した結果を示しましたが A B Cいずれでも一定の改善率を示しており アドエアの有用性を示す結果となっています 吸入ステロイド薬にセレベントを併用していた患者さん (A) より 吸入ステロイド薬は使用していてセレベントを併用していなかった患者さん (B) の方が改善率が高くなっています また 初回治療 (C) の患者さんでは (B) よりさらに改善率が高くなっています A : 吸入ステロイド薬 + セレベント (183 名 ) B : 吸入ステロイド薬群 (111 名 ) C : 初回治療 (230 名 ) 当院における今年度のアドエア使用状況 当院では喘息の患者さんに吸入ステロイド薬を基本治療薬 ( 第一選択薬 ) として積極的に使用していますが 2007 年 6 月からは合剤のアドエアを多用するようになりました 今回 2008 年に受診した成人喘息の患者さんのアドエア使用状況を調査しましたので その結果を記載します アドエアの使用状況 ( 成人 :2008 年 ) 年 齢 患 者 数 吸入ステロイド薬 使用者数 % うちアドエア 使用者数 %

16-29 205 160 78.0% 78 48.8% 30-39 283 296 85.0% 147 49.6% 40-49 263 232 87.3% 101 43.5% 50-59 273 233 84.0% 111 47.6% 60-69 289 260 89.9% 121 46.5% 70-7 251 236 92.8% 91 38.6% 成人 1,570 1,367 87.1% 649 47.5% アドエア使用者数 % は吸入ステロイド薬使用者数に占める比率 シムビコートの使用経験 シムビコートが発売された2010 年 1 月 13 日から使用していますが シムビコートを使用した患者さんに 症状改善効果 効果発現時間 短時間作用性 β2 刺激薬の使用量 使用印象などについてのアンケート調査およびピークフローの測定 喘息コントロールテストを実施しましたので シムビコートの使用経験としてその結果を示します 対象は2010 年 1 月 13 日 ~3 月 12 日の2ヶ月間の間に 吸入ステロイド薬 +サルメテロール ( セレベント ) またはアドエアからシムビコートに変更した121 名です すなわち シムビコート変更前に吸入ステロイド薬 +サルメテロール または吸入ステロイド薬 / サルメテロール ( アドエア ) を使用していた121 名です 詳細は下図に示した通りで アドエアから変更が2/3を占めています なお 吸入ステロイド薬単独使用または吸入ステロイド薬 + 他剤からシムビコートへの変更例 初診でシムビコートを使用した例は含まれておりません

アンケートはシムビコート変更 2 週間後に実施 ACT はシムビコート変更前と変 更 2 週間後に実施 PEF はシムビコート使用開始後 2 週間 ( 朝 夜 ) 実施 症状の改善と朝の快適感 シムビコートによる症状の改善についてアンケートしましたが 56% で 大変良くなった 良くなった 少し良くなった と回答しています 朝の快適感はシムビコートの使用によって朝の日常生活が今までより改善するのではないかということでアンケートを行いましたが 38% で 快適になった 少し快適になった と回答しています この結果は すでに吸入ステロイド薬 +サルメテロール ( セレベント ) またはアドエアを使用していた例ということを考えると 非常に良い結果だと思います

即効性と短時間作用性吸入 β2 刺激薬使用量 シムビコートは即効性があるとされていますで 症状改善例でどれくらいの患者さんが即効性を感じたかアンケートを行いましたが 5 分以内に感じた 37% 5 分以上たって感じた 26% と 63% で早期に効果を感じています 一方 感じなかった と回答したの方は37% ありました シムビコートの吸入感と残量カウンター

吸入感では 吸った感じがしなかった と回答したのは63% ありました パルミコートには乳糖か添加されていませんでしたが 合剤のシムビコートでは乳糖が添加されています しかしその量は少量で 添加されている乳糖の量が多いアドエアに比較して吸った感じがしないようです 残量カウンターについては いずれもシムビコート変更前に1 回 1 回残量の数字が示されるアドエアまたはセレベントのディスカスを使用していますので 数字が 60 40 20 0(60 回用 ) しか示されませんので 75% が わかりにくい と回答しています ただし 残量が少なくなるとカウンターの背景が赤色になるのでわかりやすいと答えた方もありました シムビコートの使用印象 シムビコートの全体的使用印象は 大変良い 良い が54% と半分以上の患者さんで良いという印象を持っており シムビコートと前使用薬と どちらが良いですから? と尋ねたところ 57% が シムビコートが良い と答えており 前使用薬が良い が25% であったことを結果を考えると シムビコートは非常に患者さんに好評であったという結果になっています 好評な理由は 症状が改善したから 即効性があるから 吸いやすいから 操作が簡単だから などでした

シムビコート変更前後の ACT 各項目の平均点数 シムビコート変更前後のACT( 喘息コントロールテスト ) の各項目 (5 点満点 ) の平均点数をを比較しましたが いずれの項目でもシムビコート変更後に点数が増加しています とくに 質問 2の喘息症状で点数の増加が著しく その結果 質問 5のコントロール状況の点数も増加しています すなわち シムビコートはすでに吸入ステロイド薬 +セレベントまたはアドエアを使用していた患者さんでも症状を改善する効果がかなりあることを示しています シムビコート変更後のピークフロー (PEF) 値

96 名の患者さんでシムビコートに変更してから 2 週間 毎日朝 夜の 2 回ピークフ ローを 9 測定してもらいましたが 下図に示すように シムビコート変更後に朝も 夜も PEF 値は日を追うごとに増加しています 吸入後の PEF 経時推移の比較 1 名の患者さんでシムビコート2 吸入 サルタノール2 吸入 アドエア250 1 吸入をそれぞれ吸入してもらい 吸入前 1 3 5 10 15 分後にPEFを測定してもらいましたが 下図に示す通り シムビコートでは短時間作用性吸入 β2 刺激薬のサルタノールとほぼ同程度に1 分後からPEF 値が上昇しており シムビコートに含まれる長時間作用性吸入 β2 刺激薬ホルモテロールは即効性も有していることが示されました

シムビコートは短時間作用性吸入 β2 刺激薬と同様に即効性がありますが 現在のところ 発作 時の使用は適応になっていません シムビコート長期 (10 ヶ月 ) 使用例の経過 シムビコートが発売されてちょうど1 年になりました 当院でも発売当初より多くの患者さんに使用してきましたが 今回 10ヶ月継続してシムビコートを使用した患者さんがどうであるかを検討しましたので記載します シムビコートを10ヶ月間使用した患者さんは61 名で いずれも他の吸入ステロイド薬 +セレベントまたはアドエアからシムビコートに変更した患者さんについて経過を見てみました シムビコート使用後 2 週間のデータについては 吸入ステロイド薬合剤 ( アドエア シムビコート ) の項に記載しましたのでご参照ください 他の吸入ステロイド薬 +セレベントまたはアドエアからシムビコートに変更した患者さんについて 10ヶ月後に喘息コントロールテスト (ACT) ピークフロー (PEF) 聞き取り調査 急性増悪の回数について2 週後 10ヶ月後で調査しました ACTは2 週後で平均 1.9 点増加 ( 変更前 :19.7 点 変更後 21.6 点 ) していましたが 10ヶ月後にはさらに0.5 点増加 (22.1 点 ) していました シムビコート変更前に比較してACT 点数の増加は41 名 (67%) 不変は20 名 (33%) で減少は0 名で トータルコントロールは2 名から18 名に増加していました PEFは朝が変更前 :323L/min( 平均 ) に対して2 週間後 :355L/minで32L/min 増加 10ヶ月後には363L/minとさらに8L/min 増加 ( 計 40L/min 増加 ) していま

した 夜も変更前 :329L/min( 平均 ) に対して2 週間後 :368L/minで39L/min 増加 10ヶ月後には376L/minとさらに8L/min 増加 ( 計 47L/min 増加 ) していました 聞き取り調査では 変更前に比較して症状は良くなったかどうかを聞きましたが 大変良くなった 15% 良くなった 49% 少し良くなった 26% と 実に90% の人が 良くなった と答えています 現在の喘息の状態については 非常に安定 が36% 安定 が44% やや不安定 が20% で 80% が 安定 と答えています 急性増悪の回数についても調べましたが (61 名中 33 名は変更前後とも急性増悪なし ) 全体で変更前 10ヶ月間で急性増悪は71 回でしたが シムビコート変更後 10ヶ月間では42 回と 41% 減少していました 以上の結果から シムビコートは使用早期のみならず長期的にも非常に安定した効果を発揮すると思われました もちろん 10ヶ月使用した患者さんのほとんどがシムビコートで効果があったので続けた方ばかりですから その点を考慮しなければなりませんが それにしても この結果は私自身も少し驚きでした 新しい吸入ステロイド薬や合剤が出るたびに喘息のコントロールが良くなる患者さんが増えていますが シムビコートの登場でさらにコントロールが良くなる患者さんが多くなるのではないかと思います (2011.1.12 記載 : 喘息最新情報 249と同文 ) シムビコート SMART 療法の実施経験 シムビコートSMART 療法 (Symbicort Maintenance And Rliever Therapy) は長期管理における定期に加え 発作 ( 症状 ) があれば追加吸入する維持および発作治療投与で2012 年 6 月 21 日に追加承認され わが国でも実施できるようになりました 当院ではシムビコートを使用している患者さんで積極的にSMART 療法を活用していますので 以下にその結果を示します 下記の実施経験は2012 年 6 月 21 日 ~2013 年 12 月 20 日までの1 年半の間に行ったものです SMART 療法の患者指導

SMART 療法における追加吸入の頻度 SMART 療法を実施したかどうかを確認できたのは 507 名で うち SMART 療法 を実施したのは 298 名 (58.8%) でした その 298 名における追加吸入の頻度を平均で見たものですが 月 1 回が 63.1% と圧倒 的に多くをめています 月 2~3 回が 26.8% で 週 1 回が 4.7% 週 2~4 回が 5.4% で それほど頻繁には使用していませんでした

なお 1 日 8 吸入以上した患者さんはいませんでしたし 発作 ( 症状 ) 時のみにシム ビコートを吸入している患者さんもいませんでした シムビコート追加吸入による発作 ( 症状 ) 改善効果 これはシムビコート追加吸入による発作または症状改善効果について 実際に追加吸入をしたことがある298 名の患者さんに尋ねた結果ですが 良くなった 楽になった という患者さんは241 名 80.9% で 一部に良くならなかった わからないという患者さんがありましたが シムビコートの追加吸入は発作または症状の改善に明らかに効果があると考えられました シムビコートに対する患者さんの評価 -SABA との比較 -

SABAのサルタノール メプチン ベロテックを使用していた患者さんで 発作 ( 症状 ) 出現時にSABAの代わりにシムビコートを使用した患者さん45 名において SABAとシムビコートでは効果の面でどちらが良いかということをたずねた結果ですが シムビコートと答えた患者さんが46.7% で 変わらないが20.0% SA BAが良いが33.3% で シムビコートの発作 症状改善効果はSABAと遜色ないと考えられました SMART 療法と急性増悪 シムビコートを定期的に固定用量投与していた 1 年間と その後に SMART 療法を

実施した1 年間の急性増悪の回数を比較してみましたが 固定用量投与でSMAR T 療法を実施していなかった1 年間の急性増悪は69 回でしたが SMART 療法実施後の1 年間では41 回と406.% 減少していました この結果からSMART 療法は 急性増悪を減少させる優れた治療法であると考えられました SMART 療法と喘息クイックチェック 前の症例と同じ患者さん51 名で SMART 療法実施前と実施 1 年後の喘息クイックチェックを比較したものです 良くコントロールできている は35% 増加し あまりコントロールできていない は80% 減少しています 症状では咳 痰は25.8% 21.4% とやや改善程度ですが ぜーぜー ヒュー ヒュー と 息苦しい というところでは 47.6% 54.5% の減少とかなり改善がみ られています また 夜間症状も 75.0% 減少 仕事や家事への支障も 50.0% 減少と著しい改善がみら れており SMART 療法によって患者さんの QOL は明らかに向上したと考えら れました SMART 療法の懸念と対応策

SMART 療法の懸念と対処法は上記に示す通りです 実際にこうした説明によって過剰に使用していたり 発作時のみに使用していたケースはありませんでした また 現在まで心血管系に関する有害事象はありませんでした SMART 療法についてまとめは以下のようになります 発作治療薬としての効果はほぼ確実にみられ 発作 ( 症状 ) 出現時に使用して良くなったという患者さんは多く その効果はSABA( サルタノール メプチン ベロテックなど ) に比較して遜色ありませんでした 一つのデバイスで長期管理と発作治療が可能という便利さが有用で 患者さんにも好評でした SMART 療法を実施したことによって急性増悪は明らかに減少し 患者さんのQ OLも向上しました SMART 療法の実施でシムビコートを過剰に使用しているケースはありませんでした 発作時のみにシムビコートを吸入しているケースはありませんでした SMART 療法による喘息および心血管系に関する有害事象は認められませんでした SMART 療法は事前に十分な説明を行えば 安全に使用できると考えられました 以上から シムビコート SMART 療法は今後の喘息治療戦略として極めて有用で

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