KPMG Japan Tax Newsletter

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タックスヘイブン対策税制 年度税制改正 -

2017年度税制改正 相続税・贈与税国外財産に対する納税義務の範囲の見直し

平成 29 年度税制改正解説国際課税 ~ 外国子会社合算税制の改正 2 4. 外国子会社合算税制の適用フローチャート 改正前 合算課税の適用対象となる内国法人等の判定 用語解説 丸数字は左のフローチャートと対応 合算対象法人における判定 1 外国法人の株式を 10% 以上保有しているか? 合算所得な

2018年度改正 相続税・贈与税外国人納税義務の見直し

デンマークとの新租税条約

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税制改正大綱―外国子会社合算税制の見直し

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KPMG Insight Vol.2_税務01

恒久的施設(PE)と外国子会社合算税制の見直し

新規文書1

外国子会社合算税制 (CFC 税制 ) の改正と今後の海外投資 M&A に与える影響 PwC 税理士法人国際税務 /M&Aタックスグループパートナー山岸哲也 はじめに 2016 年 12 月 22 日に閣議決定された 2017( 平成 29) 年度税制改正の大綱 ( 以下 2017 年度税制改正大綱

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

目 次 問 1 法人税法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 1 問 2 租税特別措置法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 3 問 3 法人税法における当初申告要件 ( 所得税額控除の例 ) 5 問 4 法人税法における適用額の制限 ( 所得税額控除の例 ) 6

国際課税原則帰属主義

税額控除限度額の計算この制度による税額控除限度額は 次の算式により計算します ( 措法 42 の 112) 税額控除限度額 = 特定機械装置等の取得価額 税額控除割合 ( 当期の法人税額の 20% 相当額を限度 ) 上記算式の税額控除割合は 次に掲げる区分に応じ それぞれ次の割合となります 特定機械

第4回税制調査会 総4-1

平成30年公認会計士試験

公共債の税金について Q 公共債の利子に対する税金はどのようになっていますか? 平成 28 年 1 月 1 日以後に個人のお客様が支払いを受ける国債や地方債などの特定公社債 ( 注 1) の利子については 申告分離課税の対象となります なお 利子の支払いを受ける際に源泉徴収 ( 注 2) された税金

公共債の税金について Q 公共債の利子に対する税金はどのようになっていますか? 平成 28 年 1 月 1 日以後に個人のお客様が支払いを受ける国債や地方債などの特定公社債 ( 注 1) の利子については 申告分離課税の対象となります なお 利子の支払いを受ける際に源泉徴収 ( 注 2) された税金

(2) 源泉分離課税制度源泉分離課税制度とは 他の所得と全く分離して 所得を支払う者 ( 銀行 証券会社等 ) がその所得の支払の際に 一定の税率で所得税を源泉徴収し それだけで所得税の納税が完結するものです 1 対象となる所得代表的なものとして 預金等の利子所得 定期積金の給付補てん金等があります

投資法人の資本の払戻 し直前の税務上の資本 金等の額 投資法人の資本の払戻し 直前の発行済投資口総数 投資法人の資本の払戻し総額 * 一定割合 = 投資法人の税務上の前期末純資産価額 ( 注 3) ( 小数第 3 位未満を切上げ ) ( 注 2) 譲渡収入の金額 = 資本の払戻し額 -みなし配当金額

6 課税上の取扱い日本の居住者又は日本法人である投資主及び投資法人に関する課税上の一般的な取扱いは 下記のとおりです なお 税法等の改正 税務当局等による解釈 運用の変更により 以下の内容は変更されることがあります また 個々の投資主の固有の事情によっては異なる取扱いが行われることがあります (1)

労働基準法が改正されます

平成30年3月期決算の留意事項(税務)

経 [2] 証券投資信託の償還 解約等の取扱い 平成 20 年度税制改正によって 株式投資信託等の終了 一部の解約等により交付を受ける金銭の額 ( 公募株式投資信託等は全額 公募株式投資信託等以外は一定の金額 ) は 譲渡所得等に係る収入金額とみなすこととされてきました これが平成 25 年度税制改

[Q1] 復興特別所得税の源泉徴収はいつから行う必要があるのですか 平成 25 年 1 月 1 日から平成 49 年 12 月 31 日までの間に生ずる所得について源泉所得税を徴収する際 復興特別所得税を併せて源泉徴収しなければなりません ( 復興財源確保法第 28 条 ) [Q2] 誰が復興特別所

「恒久的施設」(PE)から除外する独立代理人の要件

平成23年度税制改正の主要項目

2. 改正の趣旨 背景 (1) 問題となっていたケース < 親族図 > 前提条件 1. 父 母 ( 死亡 ) 父の財産 :50 億円 ( すべて現金 ) 財産は 父 子 孫の順に相続する ( 各相続時の法定相続人は 1 名 ) 2. 子 子の妻 ( 死亡 ) 父及び子の相続における相次相続控除は考慮

Microsoft Word - NO.2 株式の譲渡 2.docx

公募株式投資信託の解約請求および償還時

この特例は居住期間が短期間でも その家屋がその人の日常の生活状況などから 生活の本拠として居住しているものであれば適用が受けられます ただし 次のような場合には 適用はありません 1 居住用財産の特例の適用を受けるためのみの目的で入居した場合 2 自己の居住用家屋の新築期間中や改築期間中だけの仮住い

【表紙】

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新しい非居住者債券所得非課税制度の概要 < 平成 22 年度税制改正前の制度の概要 > 非居住者等が受ける振替国債及び振替地方債のについては 一定の手続要件を満たせば非課税とされていました しかし 非居住者等が受ける振替社債等のについては 原則 15% の税率により源泉徴収課税がなされていました 非

新設 ( 大法人により発行済株式等の全部を保有される場合の適用対象金額の計算 ) 66 の 6-10 の 2 措置法令第 39 条の 15 第 1 項第 1 号の規定により特定外国子会社等の適用対象金額につき本邦法令の規定の例に準じて計算するに当たり 特定外国子会社等の発行済株式等の全部を直接又は間

別紙 平成 30 年 1 月 ( 平成 30 年 8 月改定 ) 国税庁 平成 29 年度及び平成 30 年度改正外国子会社合算税制に関する Q&A 特定外国子会社等に係る所得の課税の特例 ( 外国子会社合算税制 ) については 平成 29 年度改正において 外国子会社の経済実態に即して課税すべき

債券税制の見直し(金融所得課税の一体化)に伴う国債振替決済制度の主な変更点について

?? TAX LAW NEWSLETTER 2017 年 1 月号 (Vol 合併号 1 ) 外国子会社合算税制 ( タックスヘイブン対策税制 ) の総合的見直し < 平成 29 年度税制改正大綱 > Ⅰ. はじめに Ⅱ. 外国子会社合算税制とは Ⅲ. 本改正案の概要 1. 合算対象とさ

1: とは 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの ( 青色事業専従者等に該当する者を除く ) のうち 合計所得金額 ( 2) が 38 万円以下である者 2: 合計所得金額とは 総所得金額 ( 3) と分離短期譲渡所得 分離長期譲渡所得 申告分離課税の上場株式等に係る配当所得の金額 申告分

(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

iii. 源泉徴収選択口座への受入れ源泉徴収ありを選択した特定口座 ( 以下 源泉徴収選択口座 といいます ) が開設されている金融商品取引業者等 ( 証券会社等 ) に対して 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書 を提出することにより 上場株式等の配当等を源泉徴収選択口座に受け入れることができま

租税特別措置法 ( 昭和三十二年法律第二十六号 ) 第十条の二 第四十二条の五 第六十八条の十 租税特別措置法 ( 昭和三十二年法律第二十六号 ) ( 高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除 ) 第十条の二青色申告書を提出する個人が 平成三十年四月一日 ( 第二号及

上場株式等の譲渡益に係る課税 上場株式等の税金について 上場株式等の譲渡益に係る税率は以下の通りです 平成 25 年 1 月 1 日 ~ 平成 25 年 12 月 31 日 平成 26 年 1 月 1 日 ~ 平成 49 年 12 月 31 日 平成 50 年 1 月 1 日 ~ % (

1 繰越控除適用事業年度の申告書提出の時点で判定して 連続して 提出していることが要件である その時点で提出されていない事業年度があれば事後的に提出しても要件は満たさない 2 確定申告書を提出 とは白色申告でも可 4. 欠損金の繰越控除期間に誤りはないか青色欠損金の繰越期間は 最近でも図表 1 のよ

五有価証券 ( 証券取引法第二条第一項に規定する有価証券又は同条第二項の規定により有価証券とみなされる権利をいう ) を取得させる行為 ( 代理又は媒介に該当するもの並びに同条第十七項に規定する有価証券先物取引 ( 第十号において 有価証券先物取引 という ) 及び同条第二十一項に規定する有価証券先

土地の譲渡に対する課税 農地に限らず 土地を売却し 譲渡益が発生すると その譲渡益に対して所得税又は法人税などが課税される 個人 ( 所得税 ) 税額 = 譲渡所得金額 15%( ) 譲渡所得金額 = 譲渡収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 ) 取得後 5 年以内に土地を売却した場合の税率は30

24年度税制改正(案)の解説

て 次に掲げる要件が定められているものに限る 以下この条において 特定新株予約権等 という ) を当該契約に従つて行使することにより当該特定新株予約権等に係る株式の取得をした場合には 当該株式の取得に係る経済的利益については 所得税を課さない ただし 当該取締役等又は権利承継相続人 ( 以下この項及

改正された事項 ( 平成 23 年 12 月 2 日公布 施行 ) 増税 減税 1. 復興増税 企業関係 法人税額の 10% を 3 年間上乗せ 法人税の臨時増税 復興特別法人税の創設 1 復興特別法人税の内容 a. 納税義務者は? 法人 ( 収益事業を行うなどの人格のない社団等及び法人課税信託の引

5 配偶者控除等 配偶者控除 配偶者特別控除 扶養控除及び勤労学生控除の合計所得金額の要件 について 一律 10 万円ずつ引き上げられます 6 青色申告特別控除正規の簿記の原則により記帳している者に係る控除額が 55 万円に引き下げられ 正規の簿記の原則により記帳し かつ e5tax 等により確定申

日本版スクーク ( イスラム債 ) に係る税制措置 Q&A 金融庁

PowerPoint プレゼンテーション

2017年度税制改正速報

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上場株式等の配当等に対する課税

日本基準でいう 法人税等 に相当するものです 繰延税金負債 将来加算一時差異に関連して将来の期に課される税額をいいます 繰延税金資産 将来減算一時差異 税務上の欠損金の繰越し 税額控除の繰越し に関連して将来の期に 回収されることとなる税額をいいます 一時差異 ある資産または負債の財政状態計算書上の

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平成20年2月

2017 年度税制改正の概要 PwC 税理士法人 ディレクター荒井優美子 はじめに米国における政権交代や英国のEU 離脱などの国際政治環境が激変する一方で 世界経済では需要の低迷 成長の減速リスクが懸念される状況において 日本全体の成長力を底上げしていくための 働き方改革 と イノベーション を税制

3. 改正の内容 法人税における収益認識等について 収益認識時の価額及び収益の認識時期について法令上明確化される 返品調整引当金制度及び延払基準 ( 長期割賦販売等 ) が廃止となる 内容改正前改正後 収益認識時の価額をそれぞれ以下とする ( 資産の販売若しくは譲渡時の価額 ) 原則として資産の引渡

法人会の税制改正に関する提言の主な実現事項 ( 速報版 ) 本年 1 月 29 日に 平成 25 年度税制改正大綱 が閣議決定されました 平成 25 年度税制改正では 成長と富の創出 の実現に向けた税制上の措置が講じられるともに 社会保障と税の一体改革 を着実に実施するため 所得税 資産税についても

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2 2 上場株式等 の範囲の拡大 上場株式等には 上場株式 上場投資信託の受益権 (ETF) 上場不動産投資法人の投資口 (REIT) 公募株式等証券投資信託の受益権が含まれていた 今回の租税特別措置法の改正により 発行者の情報が一般に公開され その商品内容を入手することが容易に可能な公社債を 上場

スポンサー企業 増減資により 再生会社をスポンサー企業の子会社としたうえで 継続事業を新設分割により切り分ける 100% 新株発行 承継会社 ( 新設会社 ) 整理予定の事業 (A 事業 ) 継続事業 会社分割 移転事業 以下 分社型分割により事業再生を行う場合の具体的な仕組みを解説する の株主 整

第 5 章 N

Giới thiệu tóm tắt CÔNG TY CỔ PHẦN PHÁT TRIỂN ĐẦU TƯ CÔNG NGHỆ - FPT TRUNG TÂM GIẢI PHÁP PHẦN MỀM FPT SOFTWARE SOLUTIONS

e. 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度 ( ジュニア NISA) 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度に基づき 証券会社等の金融商品取引業者等に開設した未成年者口座において設定した非課税管理勘定に管理されている上場株式等 ( 平成 28 年 4 月 1 日から平成 35 年 12

注 1 認定住宅とは 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいう 注 2 平成 26 年 4 月から平成 29 年 12 月までの欄の金額は 認定住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が 8% 又は 10% である場合の金額であり それ以外の場合における借入限度額は 3,000 万円とする

上場有価証券等書面

シティジャパン 租税条約等の実施に伴う所得税法 法人税法及び地方税法の特例等に関する法律に基づく届出書 ( 事業体のお客様用 ) 手順 本届出書にご記入いただく前に 以下の手順を注意深くお読みください 共通報告基準 (CRS:Common Reporting Standard) が採用されている国に

(ⅲ) 源泉徴収選択口座への受入れ 源泉徴収ありを選択した特定口座 ( 以下 源泉徴収選択口座 といいます ) が開設されている金融商品取引業者等 ( 証券会社等 ) に対して 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書 を提出することにより 上場株式等の配当等を源泉徴収選択口座に受け入れることができま

国外転出時課税制度(出国税)の導入

き一 修正申告 1 から同 ( 四 ) まで又は同 2 から同 ( 四 ) までの事由が生じた場合には 当該居住者 ( その相続人を含む ) は それぞれ次の 及び に定める日から4 月以内に 当該譲渡の日の属する年分の所得税についての修正申告書を提出し かつ 当該期限内に当該申告書の提出により納付

電磁的方法による書面の交付及び 電磁的方法による交付に対する同意書 第 1 電磁的方法による書面の交付 1 契約締結前の電磁的交付ラッキーバンク インベストメント株式会社 ( 以下 当社 といいます ) は お客様が契約をご締結するにあたっては あらかじめ 下記事項を 書面によらず電磁的方法により交

適用時期 法人の平成 26 年 4 月 1 日以後に開始する事業年度分の法人税について適用されます 改正措法附則案 使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例 ( 法人が支出した使途秘匿金の額に 40% の割合を乗じて計算した金額をその納付すべき法人

スライド 1

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はじめに 会社の経営には 様々な判断が必要です そのなかには 税金に関連することも多いでしょう 間違った判断をしてしまった結果 受けられるはずの特例が受けられなかった 本来より多額の税金を支払うことになってしまった という事態になり 場合によっては 会社の経営に大きな影響を及ぼすこともあります また

土地建物等の譲渡損失は 同じ年の他の土地建物等の譲渡益から差し引くことができます 差し引き後に残った譲渡益については 下記の < 計算式 2> の計算を行います なお 譲渡益から引ききれずに残ってしまった譲渡損失は 原則として 土地建物等の譲渡所得以外のその年の所得から差し引くこと ( 損益通算 )

1. dia

平成16年版 真島のわかる社労士

株式等の譲渡(前年からの繰越損失を譲渡所得及び配当所得等から控除)編

第11 源泉徴収票及び支払調書の提出

FX取引に係る確定申告について

また 国外財産調書制度は 2013 年 12 月末の国外財産から調書の提出義務が始まりましたので 5,000 万円超の国外財産を保有の方はご留意ください これに関連して 国税庁より 2013 年 11 月 15 日に FAQ が発表されており FAQ は国税庁のホームページで閲覧等できます 資産税ニ

給与所得控除額の改正前後の比較 改正前 改正後 給与等の収入金額給与所得控除額給与等の収入金額給与所得控除額 180 万円以下 収入金額 40% 65 万円に満たない場合は 65 万円 180 万円以下 収入金額 40%-10 万円 55 万円に満たない場合は 55 万円 180 万円超 360 万

2. 適用を受けるにあたっての 1 相続発生日を起算点とした適用期間の要件 相続日から起算して 3 年を経過する日の属する年の 12 月 31 日まで かつ 特例の適用期間である平成 28 年 4 月 1 日から平成 31 年 12 月 31 日までに譲渡することが必要 例 平成 25 年 1 月

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1. 国際財務報告基準に準拠した財務諸表 ( 抜粋 翻訳 ) 国際財務報告基準に準拠した財務諸表の作成方法について当行の国際財務報告基準に準拠した財務諸表 ( 以下 IFRS 財務諸表 という ) は 平成 27 年 3 月末時点で国際会計基準審議会 (IAS B) が公表している基準及び解釈指針に

検査の背景 (1) 事業者免税点制度消費一般に幅広く負担を求めるという消費税の課税の趣旨等の観点からは 消費税の納税義務を免除される事業者 ( 以下 免税事業者 という ) は極力設けないことが望ましいとされている 一方 小規模事業者の事務処理能力等を勘案し 課税期間に係る基準期間 ( 個人事業者で

2. 適用を受けるにあたっての 1 相続発生日を起算点とした適用期間の要件 相続日から起算して 3 年を経過する日の属する年の 12 月 31 日まで かつ 特例の適用期間である平成 28 年 4 月 1 日から平成 31 年 12 月 31 日までに譲渡することが必要 例 平成 25 年 1 月

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「図解 外形標準課税」(仮称)基本構想

2. 制度の概要 この制度は 非上場株式等の相続税 贈与税の納税猶予制度 とは異なり 自社株式に相当する出資持分の承継の取り扱いではなく 医療法人の出資者等が出資持分を放棄した場合に係る税負担を最終的に免除することにより 持分なし医療法人 に移行を促進する制度です 具体的には 持分なし医療法人 への

下では特別償却と対比するため 特別控除については 特に断らない限り特定の機械や設備等の資産を取得した場合を前提として説明することとします 特別控除 内容 個別の制度例 特定の機械や設備等の資産を取得して事業の用に供したときや 特定の費用を支出したときなどに 取得価額や支出した費用の額等 一定割合 の

Transcription:

KPMG Japan Tax Newsletter 12 December 2016 2017 年度税制改正 タックスヘイブン対策税制 改正の背景. 2 改正のポイント.2 1. タックスヘイブン対策税制の全体像... 3 2. 外国関係会社 3 3. 納税義務者..... 4 4. ペーパーカンパニー等の定義... 4 5. 適用除外基準 経済活動基準.... 6 6. 会社単位の合算課税ルール.... 7 7. 資産性所得 受動的所得...... 8 8. 受動的所得の合算課税ルール.. 10 9. その他..... 12 10. 適用開始時期..... 12 2016 年 12 月 8 日 政府与党 ( 自民党 公明党 ) は 2017 年度税制改正大綱 を決定しました このニュースレターでは 税制改正大綱に示された改正項目のうち タックスヘイブン対策税制に関する事項をお知らせいたします 税制改正大綱は改正案の概要を示すものであり 改正の詳細は 改正法案の公表並びに法律及び政省令の公布を待たなければなりません また 今後の国会審議等によりその内容に変更が生じる可能性がありますので ご留意くださいますようお願いいたします

KPMG Japan tax newsletter/december 2016 2 改正の背景タックスヘイブン対策税制とは 一定の外国法人の所得を その株主である内国法人の所得に合算して課税する制度で 外国の子会社を利用した租税回避を抑止するために設けられています 2017 年度税制改正では 2015 年 10 月 5 日に経済協力開発機構 (OECD) が公表した税源浸食と利益移転 (BEPS: Base Erosion and Profit Shifting) プロジェクトの行動 3( タックスヘイブン対策税制の設計 ) に関する最終レポートを踏まえて 制度全体にわたる改正が予定されています ( タックスヘイブン対策税制は日本の居住者である個人にも適用がありますが ここでは 原則として 内国法人が納税義務者である場合の取扱いについて解説いたします ) 改正のポイント トリガー税率 ( 合算課税の対象となる外国関係会社を判定するための租税負担割合 現行法においては 租税負担割合が 20% 以上である外国関係会社は 合算課税の対象から除外されている ) は廃止された これにより 現行法において指摘されていたアンダーインクルージョンの問題 ( 租税負担割合が 20% 以上であれば経済実体を伴わない所得であっても 自動的に合算課税の対象から除外されるという問題 ) が解消されることとなる ただし 企業の事務負担に配慮し 租税負担割合が 20% 以上である外国関係会社については 経済活動基準 による判定は免除される したがって 租税負担割合が 20% 以上である外国関係会社が合算課税の対象となるのは ペーパーカンパニー キャッシュボックス又はブラックリストカンパニ -に該当する場合に限られることになる ( ただし 租税負担割合 30% の足切基準あり ) 適用除外基準 ( 改正案では 経済活動基準 ) が見直され 現行法において指摘されていた 航空機リース事業等のオーバーインクルージョンの問題が解消されることが期待される 資産性所得 ( 改正案では 受動的所得 ) の範囲が拡大される 外国関係会社 及び 納税義務者 の判定方法に 実質支配基準が導入される

KPMG Japan tax newsletter/december 2016 3 1. タックスヘイブン対策税制の全体像 以下は タックスヘイブン対策税制の全体像を現行法と改正案それぞれで示したものです 現行法 外国関係会社の租税負担割合 区分 合算課税 20% 以上合算課税なし 20% 未満 ( 無税国に本店が所在するものを含む ) 適用除外基準 のいずれかを満たさない 適用除外基準 の全てを満たす 会社単位の合算課税 資産性所得の合算課税 改正案 外国関係会社の租税負担割合 区分 合算課税 30% 以上 20% 以上かつ 30% 未満 20% 未満 以下のいずれかに該当する ペーパーカンパニー キャッシュボックス ブラックリストカンパニー 経済活動基準 のいずれかを満たさない 経済活動基準 の全てを満たす 合算課税なし 会社単位の合算課税 受動的所得の合算課税 2. 外国関係会社 外国関係会社の範囲は以下のように見直され たとえ 居住者及び内国法人による株式保有割合が 50% 以下であっても 居住者又は内国法人により実質的に支配されている場合には その外国法人は外国関係会社の範囲に含まれることになります 現行法居住者及び内国法人並びに特殊関係非居住者による直接及び間接の株式保有割合が 50% 超である外国法人 改正案 同左 居住者又は内国法人と外国法人と の間にその居住者又は内国法人がその外国法人の残余財産のおおむね全部を請求することができる等の関係がある場合におけるその外国法人 ( 実質支配基準 ) なお 間接保有割合は 現行法では掛け算方式により算定されていますが 改正により 50% 超の株式保有を通じた連鎖関係がある外国法人が有する判定対象の外国法人に対する持分割合等により算定されることになります

KPMG Japan tax newsletter/december 2016 4 ( 例 1) 内国法人 A 80% 外国法人 B 60% 外国法人 C 内国法人 A による外国法人 C の間接保有割合現行法 : 80% x 60% =48% 改正案 : 60%( 内国法人 A と外国法人 B との間に 50% 超の保有関係あり ) ( 例 2) 内国法人 A 40% 外国法人 B 60% 外国法人 C 内国法人 A による外国法人 C の間接保有割合現行法 : 40% x 60% =24% 改正案 : 0%( 内国法人 A と外国法人 B との間に 50% 超の保有関係なし ) 3. 納税義務者 納税義務者の範囲にも 実質支配基準が導入されることになります 現行法以下の (i) 又は (ii) (i) 外国関係会社を直接及び間接に 10% 以上保有する内国法人又は居住者 (ii) 外国関係会社を直接及び間接に 10% 以上保有する同族株主グループに属する内国法人又は居住者 改正案 同左 居住者又は内国法人と外国法人と の間にその居住者又は内国法人がその外国法人の残余財産のおおむね全部を請求することができる等の関係がある場合におけるその居住者又は内国法人 ( 実質支配基準 ) 4. ペーパーカンパニー等の定義 (1) ペーパーカンパニーペーパーカンパニーとは 以下の要件のいずれも満たさない外国関係会社をいいます 主たる事業を行うに必要と認められる事務所等の固定施設を有していること ( 保険業を営む一定の外国関係会社については これらを有している場合と同様の状況にある場合が含まれます ) 本店所在地国において事業の管理 支配及び運営を自ら行っていること ( 保険業を営む一定の外国関係会社については これらを自ら行っている場合と同様の状況にある場合が含まれます ) なお 国税当局の職員が内国法人にその外国関係会社が 上記の要件を満たすことを証明する書類の提出等を求めた場合において 期限までにその提出等がないときは その外国関係会社は上記の要件を満たさないものと推定されることになります

KPMG Japan tax newsletter/december 2016 5 (2) キャッシュボックス キャッシュボックス とは 以下の 2 つの基準を満たす外国関係会社をいいます 受動的所得のうち 7 で示した(1)~(10) に該当する所得の合計額 > 30% 総資産の額 有価証券 + 貸付金 + 無形固定資産等の合計額 総資産の額 > 50% 金融子会社等 ( 詳細は 8 に記載しています ) の場合には 上記に代えて 以下の 2 つの基準で判定されます 8 (3) で示した A 又は B(i) のうちいずれか大きい金額 > 30% 総資産の額 有価証券 + 貸付金 + 無形固定資産等の合計額 総資産の額 > 50% (3) ブラックリストカンパニー ブラックリストカンパニー ( 仮称 ) には 租税に関する情報の交換に非協力的な国又は地域として財務大臣が指定する国又は地域に本店等を有する外国関係会社が該当します OECD は グローバル フォーラムが実施する要請に基づく情報交換に関するピア レビューにおける評価や共通報告基準に基づく税務当局間での金融口座情報の自動的交換に対するコミットメント等により 税の透明性に関する非協力的地域 と特定された国 地域のリスト ( いわゆるブラックリスト ) を 2017 年 7 月に公表する予定です 改正案では詳細は示されていませんが OECD のブラックリストに掲載された国 地域が 財務大臣により指定されるものと考えられます

KPMG Japan tax newsletter/december 2016 6 5. 適用除外基準 経済活動基準 現行法における 適用除外基準 は内容が見直され 経済活動基準 に名称変更される予定です 現行法- 適用除外基準 (1) 事業基準 主たる事業が以下のものでないこと 株式等又は債券の保有 無形資産の提供 船舶又は航空機の貸付け (2) 実体基準 本店所在地国に主たる事業に必要な事務所等を有すること (3) 管理支配基準 本店所在地国において事業の管理 支配及び運営を行っていること (4) A. 非関連者基準 非関連者との取引が全体の 50% 超であること 適用業種 : 卸売業 銀行業 信託業 金融商品取引業 保険業 水運業又は航空運送業 B. 所在地国基準 事業を主として本店所在地国で行っていること 適用業種 : A の基準が適用される業種以外 改正案 - 経済活動基準 それぞれの基準の改正点は 以下のとおりです (1) 事業基準航空機の貸付けを主たる事業とする外国関係会社のうち 本店所在地国においてその役員又は使用人が航空機の貸付けを的確に遂行するために通常必要と認められる業務の全てに従事していること等の要件を満たすものについては 事業基準を満たすものとされます (2) 実体基準及び管理支配基準保険委託者の実体基準及び管理支配基準の判定について その保険委託者に係る保険受託者が実体基準又は管理支配基準を満たしている場合には その保険委託者は実体基準又は管理支配基準を満たすものとされます ( 上記の 保険委託者 とは 保険業法に相当する本店所在地国の法令の規定による免許を受けて保険業を営む一定の外国関係会社をいい 保険受託者 とは その 保険委託者 の免許の申請等の際に保険業に関する業務を委託するものとして申請等をされた者で一定の要件を満たすものをいいます ) (3) 非関連者基準 非関連者との間で行う取引の対象となる資産 役務その他のものが 関連者に移転又は提供されることがあらかじめ定まっている場合には その非関連者との間の取引は 関連者との間で行われたものとみなして 非関連者基準の判定を行うこととする等の見直しが行われます

KPMG Japan tax newsletter/december 2016 7 保険業を主たる事業とする外国関係会社が保険受託者に該当する場合における非関連者基準の判定について その外国関係会社がその外国関係会社に係る保険委託者との間で行う取引は 関連者取引に該当しないものとされます 航空機の貸付けを主たる事業とする外国関係会社については 非関連者基準が適用されることになります (4) 所在地国基準製造業を主たる事業とする外国関係会社のうち 本店所在地国において製造における重要な業務を通じて製造に主体的に関与していると認められるものの所在地国基準の判定方法について 所要の整備が行われます ( この改正により 来料加工を行う外国関係会社が所在地国基準を満たすようになることが期待されます ) (5) 経済活動基準を満たすことを明らかにする書類等現行法の 適用除外基準 においては その適用があることを明らかにする書類の保存が適用要件とされています 経済活動基準 においては 国税当局の職員が内国法人にその外国関係会社が経済活動基準を満たすことを証明する書類の提出等を求めた場合において 期限までにその提出等がないときは その外国関係会社は経済活動基準を満たさないものと推定される規定が設けられることになります 6. 会社単位の合算課税ルール現行法において 会社単位の合算課税の対象所得 ( 適用対象金額 ) の計算上 持分割合 25% 以上 ( かつ保有期間 6 ヵ月以上 ) の外国子会社からの配当を控除することとされています この 25% の持分割合要件に特例が設けられ 主たる事業が化石燃料 ( 原油 石油ガス 可燃性天然ガス又は石炭 ) を採取する事業 ( その採取した化石燃料に密接に関連する事業が含まれます ) である外国法人で日本が締結した租税条約の相手国に化石燃料を採取する場所を有するものから受ける配当等については 持分割合要件が 10% 以上に緩和されます

KPMG Japan tax newsletter/december 2016 8 7. 資産性所得 受動的所得現行法における資産性所得は 受動的所得として範囲が拡大される予定です それぞれの内容は以下のとおりです 現行法- 資産性所得 (1) 配当 ( 持分割合 10% 以上の株式等に係るものを除く ) (2) 債券の利子 (3) 債券の償還差益 (4) 株式の市場における譲渡等から生じる譲渡益 ( 持分割合 10% 以上の株式等に係るものを除く ) (5) 債券の市場における譲渡等から生じる譲渡益 (6) 特許権等の使用料 ( 自己開発した無形資産等及び対価を支払って取得し 又は使用許諾を得たうえで一定の事業の用に供している無形資産等に係るものを除く ) (7) 船舶 航空機の貸付けの対価上記のうち (1) から (5) については 外国関係会社が行う事業 ( 適用除外基準の事業基準に掲げられた事業を除きます ) の性質上 重要で欠くことのできない業務から生じたものは除かれます 改正案- 受動的所得 (1) 利子 (*1) ( 一定の利子を除く ) (2) 配当 (*2) ( 持分割合 25% 以上等の要件を満たす法人から受ける配当等を除く ) (3) 有価証券の貸付けの対価 (4) 有価証券の譲渡損益 ( 持分割合 25% 以上等の要件を満たす法人の株式等に係るものを除く ) (5) デリバティブ取引に係る損益 ( ヘッジ目的で行われることが明らかなデリバティブ取引等に係るもの及び一定の商品先物取引業者等 (*3) が行う商品先物取引等に係るものを除く ) (6) 外国為替差損益 ( 外国関係会社が行う事業 ( 外国為替相場の変動によって生ずる差額を得ることを目的とする事業を除く ) に係る業務の通常の過程で生ずるものを除く ) (7) 上記 (1) から (6) までに掲げる所得を生ずべき資産から生ずるこれらの所得に類する所得 ( ヘッジ目的で行われることが明らかな取引に係るものを除く )

KPMG Japan tax newsletter/december 2016 9 (8) 有形固定資産の貸付けの対価 (*4) ( 一定の有形固定資産の貸付けの対価を除く ) (9) 無形資産等の使用料 ( 自己開発した無形資産等及び相当の対価を支払って取得し 又は使用許諾を得たうえで一定の事業の用に供している無形資産等に係るものを除く ) (10) 無形資産等の譲渡損益 ( 自己開発した無形資産等及び相当の対価を支払って取得し 又は使用許諾を得たうえで一定の事業の用に供している無形資産等に係るものを除く ) (11) 以下の算式により算出される金額に相当する所得 ( 当期利益 )-( 上記 (1) から (10) までの所得金額 )-( 所得控除額 (*5) ) (*1) 一定の利子 一定の利子 とは以下の利子をいいます 以下の貸し手及び借り手の間で行われる金銭の貸付けによる利子貸し手 : 本店所在地国においてその役員又は使用人が金銭の貸付け等を的確に遂行するために通常必要と認められる業務の全てに従事していること等の要件を満たす外国関係会社借り手 : 貸し手の関連者等 以下の貸し手及び借り手の間で行われる金銭の貸付けによる利子借り手 : 本店所在地国においてその役員又は使用人が金銭の貸付け等を的確に遂行するために通常必要と認められる業務の全てに従事していること等の要件を満たす外国関係会社貸し手 : 借り手の関連者等である他の外国関係会社 以下の貸し手が金銭の貸付けによって得る利子貸し手 : 本店所在地国において法令に準拠して貸金業を営む外国関係会社で 本店所在地国においてその役員又は使用人が貸金業を的確に遂行するために通常必要と認められる業務の全てに従事していること等の要件を満たすもの 外国関係会社が行う事業に係る業務の通常の過程で得る預金利子 (*2) 持分割合 25% 以上等の要件を満たす法人から受ける配当等 配当支払法人において損金算入される配当等は除かれます 主たる事業が化石燃料を採取する事業 ( その採取した化石燃料に密接に関連する事業が含まれます ) である外国法人で日本が締結した租税条約の相手国に化石燃料を採取する場所を有するものから受ける配当等については 持分割合要件が 10% 以上とされます

KPMG Japan tax newsletter/december 2016 10 (*3) 一定の商品先物取引業者等 一定の商品先物取引業者等 とは 本店所在地国の法令に準拠して商品先物取引業又はこれに準ずる事業を行う外国関係会社で 本店所在地国においてその役員又は使用人がこれらの事業を的確に遂行するために通常必要と認められる業務の全てに従事していること等の要件を満たすものをいいます (*4) 一定の有形固定資産の貸付けの対価 一定の有形固定資産の貸付けの対価 とは 以下のものをいいます 主として外国関係会社の本店所在地国において使用に供される有形固定資産等の貸付けによる対価 本店所在地国においてその役員又は使用人が有形固定資産の貸付けを的確に遂行するために通常必要と認められる業務の全てに従事していること等の要件を満たす外国関係会社が行う有形固定資産の貸付けによる対価 (*5) 所得控除額 所得控除額 は 以下のように計算されます ( 総資産 + 減価償却累計額 + 人件費 )x 50% 8. 受動的所得の合算課税ルール (1) デミニマス基準現行法においては 外国関係会社が以下のいずれかの基準を満たす場合には その事業年度においては 資産性所得の合算課税ルールの適用は免除されることとされています ( 少額免除規定 ) (i) (ii) 資産性所得の合算課税の対象所得 ( 部分適用対象金額 ) に係る収入金額の合計額 資産性所得の合算課税の対象所得 1,000 万円 ( 部分適用対象金額 ) 5% 決算に基づく ( 税引前 ) 所得の金額 改正後の受動的所得の合算課税ルールにも 同様のデニミマス基準が適用されることになりますが 上記 (i) の 1,000 万円が 2,000 万円に引き上げられます また 現行法では デミニマス基準を満たす旨を記載した書面の確定申告書への添付及びその適用があることを明らかにする資料等の保存が この少額免除規定の適用要件とされていますが これらの要件は廃止される予定です

KPMG Japan tax newsletter/december 2016 11 (2) 受動的所得の合算課税の対象所得 外国関係会社の受動的所得の合算課税の対象所得 ( 部分適用対象金額 ) は 以下の A 及び B の所得の金額の合計額とされます A 以下の所得の金額の合計額 (1) 利子 (2) 配当 (3) 有価証券の貸付けの対価 (8) 有形固定資産の貸付けの対価 (9) 無形資産等の使用料 (11) 一定の算式により算出される金額に相当する所得 B 以下の所得の金額の合計額 ( 合計額が零を下回る場合には 零 ) (4) 有価証券の譲渡損益 (5) デリバティブ取引に係る損益 (6) 外国為替差損益 (7) (1) から (6) までに掲げる所得を生ずべき資産から生ずるこれらの所得に類する所得 (10) 無形資産等の譲渡損益 外国関係会社の B の合計額が零を下回る場合には その金額は 7 年間繰り越され 翌事業年度以降の B の合計額の計算上 控除することが認められます (3) 金融子会社等の特例金融子会社等 ( 本店所在地国の法令に準拠して 銀行業 金融商品取引業又は保険業を営む外国関係会社で 本店所在地国においてその役員又は使用人がこれらの事業を的確に遂行するために通常必要と認められる業務の全てに従事していること等の要件を満たすもの ) については 以下の特例が設けられます 金融子会社等の受動的所得は以下のものとされ A 又は B のうちいずれか大きい金額が受動的所得の合算課税の対象所得 ( 部分適用対象金額 ) とされます A 金融子会社等の異常な水準の資本に係る所得 (i)+(ii) (i) 以下の所得の金額の合計額 有形固定資産の貸付けの対価 無形資産等の使用料 無形資産等の譲渡損益 B ( 零を下回る場合には 零 ) (ii) 一定の算式により算出される金額に相当する所得 ( 7 で示した受動的所得の(11)) 外国関係会社の無形資産等の譲渡損益が零を下回る場合には その金額は 7 年間繰り越され 翌事業年度以降の無形資産等の譲渡損益の計算上 控除することが認められます

KPMG Japan tax newsletter/december 2016 12 9. その他 (1) 外国関係会社に係る財務諸表等の添付内国法人は 以下に掲げる外国関係会社に係る財務諸表等を確定申告書に添付することが求められるようになります 租税負担割合が 20% 未満の外国関係会社 租税負担割合が 30% 未満の外国関係会社 ( 4 で述べた ペーパーカンパニー キャッシュボックス又はブラックリストカンパニーに該当するものに限られます ) (2) 二重課税の調整 外国関係会社の合算課税された所得に対して課される日本の所得税の額 復興特別所得税の額及び法人税の額は 法人税の額から控除されます 投資法人等が外国関係会社から配当を受けた場合には 過去 10 年以内にその外国関係会社の所得につき合算対象とされた金額の合計額に達するまでの金額は課税所得に含めないこととされます 10. 適用開始時期上記の改正は 外国関係会社の 2018 年 4 月 1 日以後に開始する事業年度から適用されます

KPMG Japan tax newsletter/december 2016 13 KPMG 税理士法人 106-6012 東京都港区六本木 1-6-1 泉ガーデンタワー TEL: 03-6229-8000 FAX: 03-5575-0766 530-0005 大阪府大阪市北区中之島 2-2-2 大阪中之島ビル15F TEL: 06-4708-5150 FAX: 06-4706-3881 450-6426 愛知県名古屋市中村区名駅 3-28-12 大名古屋ビルヂング26F TEL: 052-569-5420 FAX: 052-551-0580 www.kpmg.com/jp/tax info-tax@jp.kpmg.com ここに記載されている情報はあくまで一般的なものであり 特定の個人や組織が置かれてい る状況に対応するものではありません 私たちは 的確な情報をタイムリーに提供するよう 努めておりますが 情報を受け取られた時点及びそれ以降においての正確さは保証の限りで はありません 何らかの行動を取られる場合は ここにある情報のみを根拠とせず プロフェ ッショナルが特定の状況を綿密に調査した上で提案する適切なアドバイスをもとにご判断く ださい 2016 KPMG Tax Corporation, a tax corporation incorporated under the Japanese CPTA Law and a member firm of the KPMG network of independent member firms affiliated with KPMG International Cooperative ( KPMG International ), a Swiss entity. All rights reserved. The KPMG name and logo are registered trademarks or trademarks of KPMG International.