第4回税制調査会 総4-1

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第5回税制調査会 総5-4

平成 29 年度税制改正解説国際課税 ~ 外国子会社合算税制の改正 2 4. 外国子会社合算税制の適用フローチャート 改正前 合算課税の適用対象となる内国法人等の判定 用語解説 丸数字は左のフローチャートと対応 合算対象法人における判定 1 外国法人の株式を 10% 以上保有しているか? 合算所得な

第4回税制調査会 総4-1

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第8回税制調査会 総8-5

税調第20回総会 資料2-1

海運関係事項

税制改正大綱―外国子会社合算税制の見直し

KPMG Insight Vol.2_税務01

参考 平成 27 年 11 月 政府税制調査会 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理 において示された個人所得課税についての考え方 4 平成 28 年 11 月 14 日 政府税制調査会から 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する中間報告 が公表され 前記 1 の 配偶

<4D F736F F F696E74202D C590A782CC89FC90B382C982C282A282C481698DE096B181458D9190C592A1834E838A834194C5816A2E >

税が課税される所得を生み出す事業活動に使われているか否かを基準に損金算入規制を設けていると考えられます 株式などの出資の取得のために資金を使った場合, 株式から生じる配当やキャピタルゲインは資本参加免税により非課税となります このケースでは, オランダでの課税所得を生じないことが想定されるため, 出

1. 国際的二重課税の発生理由と態様 3 税を行っていますが 諸外国においても 一般に 我が国の場合と同様に 国だけでなく地方公共団体も独自に課税権を有していますので 国の段階と地方公共団体の段階とで重複して 国際的二重課税 が生ずることとなっています 国際的二重課税 とは 基本的には このように捉

1 検査の背景 (1) 租税特別措置の趣旨及び租税特別措置を取り巻く状況租税特別措置 ( 以下 特別措置 という ) は 租税特別措置法 ( 昭和 32 年法律第 26 号 ) に基づき 特定の個人や企業の税負担を軽減することなどにより 国による特定の政策目的を実現するための特別な政策手段であるとさ

外国税額控除 この取り扱いは 平成 21 年度税制改正の 海外子会社の配当の益金不算入制度 ( 法法 23 条の 2) により廃止されました 原則として 平成 21 年 4 月 1 日以降に開始する親会社の事業年度から適用されます ( 附則 6) ただし 租税負担率 25% 以下の軽課税国に所在する

PE 帰属所得計算の実務と課題 平成 28 年 7 月 4 日公開草案事例を検討する 平成 29 年 7 月 11 日 ユナイテッド パートナーズ会計事務所代表取締役西村善朗 1. 平成 28 年 4 月 1 日以後開始事業年度に 報告対象となるもの (3 月決算法人である内国法人については 平成

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

「経済政策論(後期)《運営方法と予定表(1997、三井)

KPMG Japan Tax Newsletter

3. 改正の内容 法人税における収益認識等について 収益認識時の価額及び収益の認識時期について法令上明確化される 返品調整引当金制度及び延払基準 ( 長期割賦販売等 ) が廃止となる 内容改正前改正後 収益認識時の価額をそれぞれ以下とする ( 資産の販売若しくは譲渡時の価額 ) 原則として資産の引渡

実務特集1. 寄附修正 Ⅰ はじめに グループ法人税制 100% グループ内の法人間での譲渡損益の繰り延べ 100% グループ内の法人間の寄附 ( 以上 2010 年 11 月号 ) 100% グループ内の法人間の寄附 ( 寄附修正 ) 支配関係 完全支配関係の判定 100% グループ内の法人のステ

2. 改正の趣旨 背景 (1) 問題となっていたケース < 親族図 > 前提条件 1. 父 母 ( 死亡 ) 父の財産 :50 億円 ( すべて現金 ) 財産は 父 子 孫の順に相続する ( 各相続時の法定相続人は 1 名 ) 2. 子 子の妻 ( 死亡 ) 父及び子の相続における相次相続控除は考慮

「経済政策論(後期)」運営方法と予定表(1997、三井)

第7回国際課税DG 際D7-3

【問】適格現物分配に係る会計処理と税務処理の相違

1 各調整方式の比較 前提 : 法人実効税率 % 金融所得の税率 20% ( 配当軽課の場合の配当分の法人税率は 30%) 比較のポイント 適用税率 法人税率か所得税率か 金融所得課税一元化にマッチするか( 税率 損益通算 ) 簡素な制度か 特定口座への対応はか 法人の税負担は軽減されるか

新設 ( 大法人により発行済株式等の全部を保有される場合の適用対象金額の計算 ) 66 の 6-10 の 2 措置法令第 39 条の 15 第 1 項第 1 号の規定により特定外国子会社等の適用対象金額につき本邦法令の規定の例に準じて計算するに当たり 特定外国子会社等の発行済株式等の全部を直接又は間

2. 改正の趣旨 背景の等控除は 給与所得控除とは異なり収入が増加しても控除額に上限はなく 年金以外の所得がいくら高くても年金のみで暮らす者と同じ額の控除が受けられるなど 高所得の年金所得者にとって手厚い仕組みとなっている また に係る税制について諸外国は 基本的に 拠出段階 給付段階のいずれかで課

第6章 海外勘定の推計

「経済政策論(後期)《運営方法と予定表(1997、三井)

土地の譲渡に対する課税 農地に限らず 土地を売却し 譲渡益が発生すると その譲渡益に対して所得税又は法人税などが課税される 個人 ( 所得税 ) 税額 = 譲渡所得金額 15%( ) 譲渡所得金額 = 譲渡収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 ) 取得後 5 年以内に土地を売却した場合の税率は30

1. dia

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新規文書1

6 課税上の取扱い日本の居住者又は日本法人である投資主及び投資法人に関する課税上の一般的な取扱いは 下記のとおりです なお 税法等の改正 税務当局等による解釈 運用の変更により 以下の内容は変更されることがあります また 個々の投資主の固有の事情によっては異なる取扱いが行われることがあります (1)

消費税 : 課税の適正化について 1 ( これまでの取組み等 ) 1. 総論 社会保障 税一体改革成案 ( 平成 23 年 6 月 30 日政府 与党社会保障改革検討本部決定 ) においては 消費税制度の信頼性を確保するための一層の課税の適正化を行う こととされている ( 参考 ) 平成 23 年度

2. サプライチェーン マネジメントと国際税務戦略 サプライチェーン マネジメントと国際税務戦略には密接なつながりがあります グローバルに事業を展開している多国籍企業のサプライチェーンは 複数の国の複数の関係会社を通じて行われているのが通常であり 関係会社間の製品やサービスの取引価格は 移転価格税制

(2) 源泉分離課税制度源泉分離課税制度とは 他の所得と全く分離して 所得を支払う者 ( 銀行 証券会社等 ) がその所得の支払の際に 一定の税率で所得税を源泉徴収し それだけで所得税の納税が完結するものです 1 対象となる所得代表的なものとして 預金等の利子所得 定期積金の給付補てん金等があります

目 次 問 1 法人税法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 1 問 2 租税特別措置法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 3 問 3 法人税法における当初申告要件 ( 所得税額控除の例 ) 5 問 4 法人税法における適用額の制限 ( 所得税額控除の例 ) 6

平成23年度税制改正の主要項目

資料9

平成16年版 真島のわかる社労士

タックスヘイブン対策税制 年度税制改正 -

下では特別償却と対比するため 特別控除については 特に断らない限り特定の機械や設備等の資産を取得した場合を前提として説明することとします 特別控除 内容 個別の制度例 特定の機械や設備等の資産を取得して事業の用に供したときや 特定の費用を支出したときなどに 取得価額や支出した費用の額等 一定割合 の

CONTENTS 第 1 章法人税における純資産の部の取扱い Q1-1 法人税における純資産の部の区分... 2 Q1-2 純資産の部の区分 ( 法人税と会計の違い )... 4 Q1-3 別表調整... 7 Q1-4 資本金等の額についての政令の規定 Q1-5 利益積立金額についての政

5 配偶者控除等 配偶者控除 配偶者特別控除 扶養控除及び勤労学生控除の合計所得金額の要件 について 一律 10 万円ずつ引き上げられます 6 青色申告特別控除正規の簿記の原則により記帳している者に係る控除額が 55 万円に引き下げられ 正規の簿記の原則により記帳し かつ e5tax 等により確定申

国際課税制度に関する意見 ( 研究会の議論の整理 ) 平成 2 8 年 3 月日本企業の海外展開を踏まえた国際課税制度の在り方に関する研究会 < はじめに > 平成 27 年 6 月以降 経済産業省の委託事業の一環として開催されてきた 日本企業の海外展開を踏まえた国際課税制度の在り方に関する研究会

Chapter 1 Chapter 2

日本版スクーク ( イスラム債 ) に係る税制措置 Q&A 金融庁

望の内容平成 28 年度税制改正 ( 租税特別措置 ) 要望事項 ( 新設 拡充 延長 ) ( 経済産業省経済産業政策局産業再生課 ) 制度名産業競争力強化法に基づく事業再編等に係る登録免許税の軽減措置 税 目 登録免許税 ( 租税特別措置法第 80 条 ) ( 租税特別措置法施行令第 42 条の

1 1. 課税の非対称性 問題 1 年をまたぐ同一の金融商品 ( 区分 ) 内の譲渡損益を通算できない問題 問題 2 同一商品で 異なる所得区分から損失を控除できない問題 問題 3 異なる金融商品間 および他の所得間で損失を控除できない問題

税効果会計シリーズ(3)_法定実効税率

法人による完全支配関係下の寄附金 1.100% グループ内の法人間の寄附 ( 法法 372) 現行税制上では 寄附金は支出法人では損金計上限度額を超える部分が損金不算入 受領法人では益金算入です 平成 22 年度税制改正により 100% グループ内での支出法人では寄附金全額を損金不算入とし 受領法人

IFRS基礎講座 IAS第12号 法人所得税

法人会の税制改正に関する提言の主な実現事項 ( 速報版 ) 本年 1 月 29 日に 平成 25 年度税制改正大綱 が閣議決定されました 平成 25 年度税制改正では 成長と富の創出 の実現に向けた税制上の措置が講じられるともに 社会保障と税の一体改革 を着実に実施するため 所得税 資産税についても

Microsoft Word - 2-要望.doc

「恒久的施設」(PE)から除外する独立代理人の要件

(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

<4D F736F F F696E74202D2095BD90AC E937888D38CA98F F D8E968D80816A5F8DC58F492E >

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税調第20回総会 資料2-2

平成 31 年度 税制改正の概要 平成 30 年 12 月 復興庁

新しい非居住者債券所得非課税制度の概要 < 平成 22 年度税制改正前の制度の概要 > 非居住者等が受ける振替国債及び振替地方債のについては 一定の手続要件を満たせば非課税とされていました しかし 非居住者等が受ける振替社債等のについては 原則 15% の税率により源泉徴収課税がなされていました 非

トランプ政権、税制改革案を公表

iii. 源泉徴収選択口座への受入れ源泉徴収ありを選択した特定口座 ( 以下 源泉徴収選択口座 といいます ) が開設されている金融商品取引業者等 ( 証券会社等 ) に対して 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書 を提出することにより 上場株式等の配当等を源泉徴収選択口座に受け入れることができま

4. 附加価値への試みと挫折 現行事業税へ昭和 24 年 (1949 年 ) 第一次シャウプ勧告事業税の課税標準について 原料等 他の事業から購入したものの価値に その企業が附加したところの額である とし 課税標準を事業の所得によるのではなく 附加価値を採用すべきである旨勧告昭和 25 年 (194

債券税制の見直し(金融所得課税の一体化)に伴う国債振替決済制度の主な変更点について

貿易特化指数を用いた 日本の製造業の 国際競争力の推移

【表紙】

1. 復興基本法 復興の基本方針 B 型肝炎対策の基本方針における考え方 復旧 復興のための財源については 次の世代に負担を先送りすることなく 今を生きる世代全体で連帯し負担を分かち合うこととする B 型肝炎対策のための財源については 期間を限って国民全体で広く分かち合うこととする 復旧 復興のため

42

Giới thiệu tóm tắt CÔNG TY CỔ PHẦN PHÁT TRIỂN ĐẦU TƯ CÔNG NGHỆ - FPT TRUNG TÂM GIẢI PHÁP PHẦN MỀM FPT SOFTWARE SOLUTIONS

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上場株式等の譲渡益に係る課税 上場株式等の税金について 上場株式等の譲渡益に係る税率は以下の通りです 平成 25 年 1 月 1 日 ~ 平成 25 年 12 月 31 日 平成 26 年 1 月 1 日 ~ 平成 49 年 12 月 31 日 平成 50 年 1 月 1 日 ~ % (

目次 Ⅰ タックス ヘイブン対策税制の概要 3 Ⅱ 非課税所得の範囲 連結納税を適用している場合の取扱い 1 非課税所得の範囲 2 連結納税を適用している場合の租税負担割合の算定方法 Ⅲ 各国の事例に基づく検討 1 米国 ( 現物分配 連結納税 LLC) 2 英国 ( グループリリーフ ) 3 ドイ

1 平成 30 年 11 月 7 日 日本人 ( 個人 ) と トランプ税制における移行税 ( 強制みなし配当課税 ) 税理士法人山田 & パートナーズ税のシンクタンク事業部天木雪絵 目次 Ⅰ. はじめに... 2 Ⅱ. 移行税の概要... 4 (1) 移行税の対象となる課税所得... 4 (2)

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はじめに 会社の経営には 様々な判断が必要です そのなかには 税金に関連することも多いでしょう 間違った判断をしてしまった結果 受けられるはずの特例が受けられなかった 本来より多額の税金を支払うことになってしまった という事態になり 場合によっては 会社の経営に大きな影響を及ぼすこともあります また

検査の背景 (1) 事業者免税点制度消費一般に幅広く負担を求めるという消費税の課税の趣旨等の観点からは 消費税の納税義務を免除される事業者 ( 以下 免税事業者 という ) は極力設けないことが望ましいとされている 一方 小規模事業者の事務処理能力等を勘案し 課税期間に係る基準期間 ( 個人事業者で

第3回国際課税ディスカッショングループ 際D3-5

税額控除限度額の計算この制度による税額控除限度額は 次の算式により計算します ( 措法 42 の 112) 税額控除限度額 = 特定機械装置等の取得価額 税額控除割合 ( 当期の法人税額の 20% 相当額を限度 ) 上記算式の税額控除割合は 次に掲げる区分に応じ それぞれ次の割合となります 特定機械

平成17年度税制改正に関する要望(案)

第2回法人課税ディスカッショングループ 法D2-1

その他資本剰余金の処分による配当を受けた株主の

事業承継税制の概要 事業承継税制は である受贈者 相続人等が 円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において その非上場株式等に係る贈与税 相続税について 一定の要件のもと その納税を猶予し の死亡等により 納税が猶予されている贈与税 相続税の納付が免除される

恒久的施設(PE)と外国子会社合算税制の見直し

注 1 認定住宅とは 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいう 注 2 平成 26 年 4 月から平成 29 年 12 月までの欄の金額は 認定住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が 8% 又は 10% である場合の金額であり それ以外の場合における借入限度額は 3,000 万円とする

1: とは 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの ( 青色事業専従者等に該当する者を除く ) のうち 合計所得金額 ( 2) が 38 万円以下である者 2: 合計所得金額とは 総所得金額 ( 3) と分離短期譲渡所得 分離長期譲渡所得 申告分離課税の上場株式等に係る配当所得の金額 申告分

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外国子会社合算税制 (CFC 税制 ) の改正と今後の海外投資 M&A に与える影響 PwC 税理士法人国際税務 /M&Aタックスグループパートナー山岸哲也 はじめに 2016 年 12 月 22 日に閣議決定された 2017( 平成 29) 年度税制改正の大綱 ( 以下 2017 年度税制改正大綱

1 繰越控除適用事業年度の申告書提出の時点で判定して 連続して 提出していることが要件である その時点で提出されていない事業年度があれば事後的に提出しても要件は満たさない 2 確定申告書を提出 とは白色申告でも可 4. 欠損金の繰越控除期間に誤りはないか青色欠損金の繰越期間は 最近でも図表 1 のよ

給与所得控除額の改正前後の比較 改正前 改正後 給与等の収入金額給与所得控除額給与等の収入金額給与所得控除額 180 万円以下 収入金額 40% 65 万円に満たない場合は 65 万円 180 万円以下 収入金額 40%-10 万円 55 万円に満たない場合は 55 万円 180 万円超 360 万

投資法人の資本の払戻 し直前の税務上の資本 金等の額 投資法人の資本の払戻し 直前の発行済投資口総数 投資法人の資本の払戻し総額 * 一定割合 = 投資法人の税務上の前期末純資産価額 ( 注 3) ( 小数第 3 位未満を切上げ ) ( 注 2) 譲渡収入の金額 = 資本の払戻し額 -みなし配当金額

( 注 ) 役務の提供を受ける者の本店又は主たる事務所が日本にあれば課税 ということですので 国内に本店がある法人の海外支店に対して インターネットを介してソフトウェア等を提供した場合は 提供者が国内 国外いずれの事業者であっても国内取引に該当し消費税が課税されます ( 国税庁作成の 国境を越えた役

デンマークとの新租税条約

第 298 回企業会計基準委員会 資料番号 日付 審議事項 (2)-4 DT 年 10 月 23 日 プロジェクト 項目 税効果会計 今後の検討の進め方 本資料の目的 1. 本資料は 繰延税金資産の回収可能性に関わるグループ 2 の検討状況を踏まえ 今 後の検討の進め方につ

2. 制度の概要 この制度は 非上場株式等の相続税 贈与税の納税猶予制度 とは異なり 自社株式に相当する出資持分の承継の取り扱いではなく 医療法人の出資者等が出資持分を放棄した場合に係る税負担を最終的に免除することにより 持分なし医療法人 に移行を促進する制度です 具体的には 持分なし医療法人 への

平成 30 年度税制改正内国法人の外国関係会社に係る所得の課税の特例 (CFC 税制 ) における租税特別措置法施行令第 39 条の 15 第 1 項第 5 号ニに規定する計画書 (PMI 計画書 ) の具体例について 平成 30 年 8 月経済産業省投資促進課 平成 30 年 3 月 31 日に公

経 [2] 証券投資信託の償還 解約等の取扱い 平成 20 年度税制改正によって 株式投資信託等の終了 一部の解約等により交付を受ける金銭の額 ( 公募株式投資信託等は全額 公募株式投資信託等以外は一定の金額 ) は 譲渡所得等に係る収入金額とみなすこととされてきました これが平成 25 年度税制改

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平 28. 10. 14 総 4-1 説明資料 国際課税 2 平成 28 年 10 月 14 日 ( 金 ) 財務省

第 3 回政府税制調査会 (9/29) の外国子会社合算税制に関する主な意見 1 近年増加傾向にあるクロスボーダーの直接投資の中には 工場設立を通じた海外進出等の グリーンフィールド 投資だけでなく 10% 超の証券投資などが相当程度含まれているのではないか 国際租税の議論に当たっては 直接投資の実像を踏まえることが必要 知的財産の海外への移転については 日本で研究開発減税を含む政策資源を投入して知財開発を支援していることを踏まえれば BEPS プロジェクトの勧告も踏まえた移転価格税制の見直し等を通じて しっかりと対応していかなければならない 研究開発の成果からどれだけ果実をしっかりととれるかというところの歯どめは重要 諸外国を含めていかに妥当な制度を作っていくかというところは特に注力する必要 トリガー税率である 20% 以上の高い税率を払っても パテントを移して そこから利益を得ることで税負担を軽減することが可能 外国子会社合算税制は トリガー税率あるいは制度の運用も重要だが もっと日本にとって大きな次元での問題 外国子会社合算税制の見直しに当たっては 中小企業に過度な事務負担が掛からないよう留意すると共に これから海外進出を考える日本企業の競争力を削ぐことがないよう 留意しなければならない 制度設計に当たっては 健全な事業活動を行う多国籍企業が活動しやすいよう配慮が必要 また 国際的な課税競争にどう対応していくかという視点も重要 外国子会社合算税制の見直しは 国際的な取組みと歩調を合わせながら 慎重に対応すべきでないか また 企業の負担に配慮し トリガー税率に代わるような制度を導入してはどうか 1

第 3 回政府税制調査会 (9/29) の外国子会社合算税制に関する主な意見 2 国際租税の制度改革に当たっては 個別企業の負担といった視点だけでなく BEPS プロジェクト において日本が果たしてきた主導的な役割 企業の海外展開を支える 2009 年の 外国子会社配当益金不算入制度 導入等 過去の制度改革の趣旨 及び現在の日本の法人税の体系を踏まえた 総合的な視点を持って議論を進めることが必要 行き過ぎたタックスプランニング 多国籍企業による課税逃れを放置することはできない 先進国と新興国が協調して新たなルールづくりを進め さらに今 その実施フェーズで求められるのは そのルールがしっかり効果をもたらし得るかという実効性とスピード 日本は OECD 租税委員会における議論をリードしてきたという経緯も踏まえ グローバル スタンダードを日本がリードするような形で推進する そのための必要な法改正に取り組むことは重要 国際租税の分野は 税の論理だけでなく 他国との交渉において 国内関係者とも調整の上 日本として何を取り 何を捨てるのかを明確にし 効果的にカードを切るといった外交的センスが求められる 公平な課税を行うには情報が必要で 情報を得るにはモニタリングが必要 モニタリングには費用がかかるということになれば やはり公平な課税というのはそれなりのコストがかかるということ モニタリングの強化に対応できるような 税務当局のマンパワーの拡充が必要ではないか グローバル化 ICT 化や金融技術の進歩 及びマイナンバー制度等の新たな制度インフラの導入等 多岐にわたる納税実務を巡る環境変化を踏まえ 納税者の利便性の向上や適正 公平な課税をどのように実現していくか 掘り下げた議論をすることも必要 2

国際租税制度をめぐる基本的な考え方と我が国の対応 あるべき国際租税制度に関する基本的な考え方 資本輸出中立性 (CEN: Capital Export Neutrality ) 全世界所得課税と外国税額控除による二重課税の調整 全世界所得課税は外国子会社の所得に発生時に課税することに限界あり 資本輸入中立性 (CIN: Capital Import Neutrality) 領土主義課税と国外所得免除による二重課税調整 領土主義課税を採用する場合も 原則として投資所得 ( 配当 利子 使用料等 ) は全世界所得課税とされる 先進国における近年の傾向 事業や経済活動から発生する所得 ( アクティブ所得 ) は 源泉地国あるいは事業がなされている国で課税し 金融等の所得 ( パッシブ所得 ) については 居住地国で全世界所得課税 我が国における取組み 上記の国際租税制度の理論や国際的潮流 及び 日本企業の積極的な海外展開支援を通じた国際競争力の強化 と 租税回避への対応 という二つの政策的要請のバランスを取りながら 国際租税制度の新規導入 改正を実施 2009 年度には 日本企業の海外子会社が進出先で得た所得を日本に配当として還流する場合には 親会社の所得に算入しない 外国子会社配当益金不算入制度 を導入 ( 注 ) 海外子会社とは 親会社から 25% 以上の出資を受けた外国子会社を指す 日本企業の海外展開支援を通じた海外市場の成長の果実の日本経済への取込みに貢献するとともに 企業の余剰資金をグループ間で配分するにあたって中立的な税制を確立 日本からの対外直接投資に係る配当 ( 現地での再投資は除く ) の直接投資収益全体に占める割合は増加傾向 外国子会社合算税制 については こうした我が国の国際租税制度全体での位置付け等も踏まえ 見直しを進める必要がある ( 参考 ) 資本輸出中立性 (CEN: Capital Export Neutrality): 居住地国 ( 資本輸出国 ) の視点からみて 居住者が投資を国内で行うか国外で行うかの選択について 税制が中立的であることをいう CEN の下での国際的二重課税の排除措置としては 外国税額控除方式が親和的とされる 資本輸入中立性 (CIN: Capital Import Neutrality): 源泉地国 ( 資本輸入国 ) の視点からみて 外国からの投資と国内からの投資とが等しく課税されることをいう CIN の下での国際的二重課税の排除措置としては 国外所得免除方式が親和的とされる 資本所有の中立性 (CON: Capital Ownership Neutrality): 資本 ( 工場等 ) をどの国の企業が所有するかについて 税制が中立的であることをいう 1 全ての国が外国税額控除方式を採用するか 又は 2 全ての国が国外所得免除方式を採用するかのいずれかであれば CON が達成されるとされる 3

日本からの対外直接投資に係る配当収益 ( グロス ) の推移 直投収益には 海外子会社等への出資及び貸付から得られる配当 利子の受取りに加え 海外子会社が収益を現地で再投資に振り向けた額が含まれる 後者については日本国内での投資や分配には使用されず 日本の親会社の内部留保として計上される 直投収益に占める受取配当の割合は 2004 年以降低下傾向にあったものの リーマンショックを期に 9 割を超える水準まで増加 しかし その後 6-7 割程度に低下 単位 : 億円 90000 80000 70000 配当金 配分済支店収益受取 ( 左軸 ) 再投資収益受取 ( 左軸 ) 利子所得等受取 ( 左軸 ) 配当金 配分済支店収益受取の直接投資収益に占める割合 ( 右軸 ) 93% 100% 90% 80% 60000 50000 40000 51% 46% 60% 65% 54% 51% 54% 48% 71% 69% 60% 72% 67% 70% 60% 50% 40% 30000 30% 20000 20% 10000 10% 0 0% 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 ( データ出典 : 財務省国際収支統計 ) 4

我が国における外国子会社合算税制における主な改正の経緯 改正年度 主な改正の内容 昭和 53 年 平成 4 年 平成 21 年 制度の創設 ( 軽課税国 指定制度 ( )) ( ) 大蔵大臣が合算対象子会社の所在地国を指定し告示する制度 軽課税国 指定制度を廃止し 外国子会社の租税負担割合( トリガー税率 :25% 以下 ) により対象を判定するアプローチへ移行 外国子会社配当益金不算入制度 の導入に伴う制度趣旨の変更( ) ( ) 外国子会社に留保された所得を合算する制度 ( 課税繰延の抑止 ) から 外国子会社で発生した所得を合算 する制度 ( 租税回避を発生時に抑止 ) へと制度の位置付けを変更 平成 22 年 トリガー税率の引き下げ (25% 以下 20% 以下 ) 一定の事業持株会社及び物流統括会社が合算課税の対象とならないよう適用除外基準の見直し 資産性所得の合算課税制度 ( ) の創設 ( ) 適用除外基準を満たすことにより会社単位の合算課税制度の対象外となる特定外国子会社等であっても 資産運用的な所得 ( ポートフォリオ投資に係る配当 利子 特許権等の使用料 船舶 航空機リース使用料等 ) については合算する制度 平成 27 年 トリガー税率の見直し (20% 以下 20% 未満 ) 5

なる ( 一部 所得アプローチ を採用 ) 外国関係会社居住者又は内国法人 同族株主グループ 居住者又は内国法人 特殊関係者 ( 個人 法人 ) 居住者 内国法人等が合計で50%超を直接及び間接に保特定外国子会社等 0%未満の外国子会社合算税制 : 日本の現行制度 日本の 外国子会社合算税制 は 税負担の水準が低く (20% 未満 (= トリガー税率 )) 適用除外基準 を満たさないため経済活動の実体がないとみなされた外国子会社等の 全ての 所得について日本の親会社の所得に合算して課税する制度 ( 事業体アプローチ ) ただし 適用除外基準を全て満たした外国子会社等についても 一定の資産運用的所得については 合算課税対象と 1 事業基準 適用除外判定 主たる事業が株式の保有 船舶 航空機リース等でないこと ( ) ( ) 被統括会社の株式保有を主たる事業とする統括会社は除外 2 実体基準資産性所得本店所在地国に主たる事業に必要な事務所等を有することあり租有資外税国負全てを関担3 管理支配基準満たす係割本店所在地国において事業の管理 支配及び運営を自ら会合行っていること社が24 所在地国基準 ( 下記以外の業種 ) 主として所在地国で事業を行っていること又は非関連者基準 ( 卸売業 保険業など 7 業種 ) 主として関連者 (50% 超出資 ) 以外の者と取引を行っていること いずれかを満たさない 制度の対象外 会社単位の合算課税 適用除外 資産性所得なし 産性所得の合算課税合算課税なし 6

外国子会社合算税制 : 見直しの方向性 問題意識 現行制度は 外国子会社の税負担水準が 20%( トリガー税率 ) 以上であれば経済実体を伴わない所得であっても合算せず 申告も求めない一方 実体ある事業から得た所得であっても合算してしまう という問題あり ( 右記図参照 ) 外国子会社配当益金不算入制度 (2009 年度導入 ) と相まって 知財 金融資産等や事業を形式的 表面的に外国子会社へと移転し 得られた所得を配当として日本に戻すことで課税を逃れる行為を可能とする側面あり 国内資産の減少 知の国外流出 サービス収支の減少 日本企業が晒されるリピュテーション リスクの増大 税の空洞化 税制への信頼低下等の可能性 トリガー税率 20% 外国子会社の租税負担率 実体ある事業からの所得も一部合算されてしまう部分 (Over Inclusion) 能動的所得 現行制度のイメージ 実体を伴わない所得であっても合算されない部分 (Under Inclusion) 合算対象所得 受動的所得 見直しの方向性 価値創造の場で税を払うべき という BEPS プロジェクトの原則を踏まえ 外国子会社の所得の種類等に応じて合算対象を決定するアプローチへと変更し 上記の問題に対応 ( その際 過度の事務負担が生じないよう配慮 ) 子会社が自らの能力と責任を持って取り組む商品の製造 販売やサービスの提供による対価の獲得等 経済実体がある事業から得た所得 ( 能動的所得 ) 合算対象外 ( 子会社所在地国で課税 ) 一定の金融所得や実質的活動のない事業から得られる所得等 (= 経済実体がない受動的所得 ) 親会社の所得に合算 ( 日本で課税 ) 海外事業に取り組む日本企業のリピュテーション リスク低減 日本企業のグローバル コーポレート ガバナンス強化の促進 海外成長市場の果実の日本経済への取込み促進 税制に対する納税者の信頼の確保と税の空洞化の可能性への対処 税率を代替 補完する 制度適用免除基準 を検討 設定 実体ある事業からの所得であれば 合算対象外 能動的所得 見直しのイメージ 経済実体がない受動的所得であれば 合算対象 受動的所得 7

( 現行制度における航空機リース事業の取扱い ) 現行制度の課題 1: 実体ある事業から得られた所得相当額が合算課税されるケースへの対応 現行制度は 航空機リース事業を低課税環境で営んでいる海外子会社について 租税回避に活用されるリスクが高く 敢えて当該国で事業展開をする経済合理性が認め難いとして 当該子会社の所得全体を合算対象としている 近年 一部の航空機リース子会社は 税負担軽減だけでなく 進出先国が有する航空機リース業に係る豊富な専門人材の活用や取引先への容易なアクセス等の理由から 実体のある航空機リース業を展開しているが 現行制度では こうした海外子会社の所得も 合算対象とされてしまう 日本親会社 A 国 ( 軽課税地国等 ) B 国 経済実体の有無に関わらず 親会社の所得として合算 経済実体のある外国子会社 ( 航空機リース会社 ) 航空会社等 ( 航空機の借手 ) 賃貸料 近年の日本企業による海外での航空機リース事業の実情 アイルランドを拠点にしている日系リース企業の状況 2014 年 2015 年 2016 年 機体保有数 395 機 423 機 425 機 従業員数 168 名 194 名 249 名 売上金額 1,519 億円 1,834 億円 2,040 億円 出所 ) 経済産業省各社ヒアリング結果 日系上位 3 社の合算 各データは 3 月期のもの アイルランドに航空機リース業の拠点が集中する背景 航空機リース事業に特化した法律 会計等の専門家が300~400 名 リースの主要な客先である欧米の航空会社への地理的近接性あり コンタクトが容易 等 ( 出典 ) アイルランド政府産業開発庁 (IDA) KPMG レポート 8