野村資本市場研究所｜個人金融資産動向：2017年第4四半期－続く現預金への滞留と流動性資金割合の上昇－（PDF）

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としはるひろなが
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1 野村資本市場クォータリー 1 Spring 個人金融資産動向 :17 年第四半期 - 続く現預金への滞留と流動性資金割合の上昇 - 宮本佐知子要約 1. 日本銀行資金循環統計によると 17 年 1 月末の個人金融資産残高は 1, 兆, 億円 ( 前期比 1.9% 増前年比 3.9% 増 ) と過去最高になった個人金融資産の 1.1% を占める現金預金が前年から.% 増加したことに加え株高が進行し評価額が膨らんだ株式や投資信託が前年からそれぞれ 17.3% 13.1% 増加したことが残高全体を押し上げた. 17 年第四半期 (1~1 月期 ) の個人資金の各金融資産への純流出入を見ると現金預金は資金純流入債務証券は資金純流入 ( うち国債は資金純流入事業債は資金純流出 ) 上場株式は資金純流出投資信託は資金純流入保険年金定型保証は資金純流出外貨預金と対外証券投資は資金純流入となった 3. マイナス金利が導入されて年目を迎えた 17 年の年間の動きを振り返る個人資金は市場に残された利回りを求めて投資先を一層多様化させておりその一部は個人向け国債や生命保険外貨預金対外証券投資などに向かうようになった株価が一段と上昇する中で個人資金は投資信託へも流入したが株式からは流出した 17 年中に増加額が最も大きかった資産は現金預金だったこれは預金に長期間固定させるのではなく期待リターンに見合う投資先が現れるまで動かしやすい形で待機させているものと推測される今後の注目点はこれらの待機資金が本格的にリスク資産に向かうかである. 金融庁から公表された 17 年 1 月末時点の NISA ジュニア NISA 口座の利用状況調査によると速報値ベースで NISA 口座数は 1,9 万口座買付額は 1 兆, 億円であり 17 年 9 月末に比べると順に.% 減.1% 増となったまたジュニア NISA 口座数は万口座買付額は億円であり 17 年 9 月末に比べると順に 7.7% 1.% 増となった 1 年からの NISA 口座数の動きには留意点もあるため評価することは難しいが大切なことは新たに投資を行う人が広がり投資による資産形成が国民に普及定着するかである今後も資産形成制度を巡る動きは注目されよう 1

2 野村資本市場クォータリー 1 Spring Ⅰ. 日本銀行統計から見るマイナス金利下での個人金融資産動向 1. 個人金融資産残高の概況 1 年 3 月 19 日に公表された日本銀行資金循環統計 17 年第四半期 (1~1 月期 ) によると 17 年 1 月末の個人金融資産残高は 1, 兆, 億円 ( 前期比 1.9% 増前年比 3.9% 増 ) と過去最高になった ( 図表 1) 個人金融資産の 1.1% を占める現金預金が前年から.% 増加したことに加え株高が進行し評価額が膨らんだ株式や投資信託が前年からそれぞれ 17.3% 13.1% 増加したことが残高全体を押し上げた図表 1 個人金融資産の残高と内訳, 1, 1, 1, 1, 1, その他債務証券投資信託株式等保険年金定型保証現金預金 17.Q 構成比前年比金融資産計 1, 1.% 3.9% ( 内訳 ) 現金預金 %.% 債務証券 1.3%.3% ( 国債 ) 1.7%.% 投資信託 19.% 13.1% 株式等 % 17.3% 保険年金定型保証 7.7%.7% その他.9% -.1% ( 出所 ) 日本銀行統計より野村資本市場研究所作成. 個人資金の動き図表は四半期ごとの主な金融資産への個人資金純流出入の動きである足下の特徴は次の通りである第一に現金預金は資金純流入となった現金預金は季節要因の影響を受けやすく四半期ごとに純流入と純流出を繰り返し例年第四半期 (1~1 月期 ) は純流入となる 17 年第四半期は現金が純流入預金も流動性預金が純流入となったものの定期性預金は純流出が続き現金預金全体では純流入となった第二に債務証券は資金純流入となった債務証券のうち国債は 17 年第四半期は純流入となった個人が購入できる国債のうち新窓販国債は金利低下等のために募集停止が続いているが 1 個人向け国債はマイナス金利政策下で預金金利が下がる中で元本と年.% の最低金利が保証される点が注目され人気が高まっていた月次発行額は 17 年 1 月 ~3 月が最も多くその後も月間 3, 億円程度で推移している ( 図表 3) 1 財務省では金利水準等を勘案し年物は 1 年 11 月債から年物は 1 年 9 月から募集を中止している 1 年物の募集については 17 年月から再開した後同年 9 月から中止し 1 年 1 月から再開した応募額などに応じて現金を贈呈する販売促進キャンペーンが展開されたことも個人向け国債の人気を後押ししてきたと見られるただし財務省では 17 年月発行分から個人向け国債を扱う金融機関に支払う事務手数料を引き下げている

3 野村資本市場クォータリー 1 Spring 今後も個人側で一定の需要が続くと見込み財務省では 1 年度の個人向け国債発行額を 3.3 兆円へと 17 年度と比べて.3 兆円増額させる計画を発表した 3 債務証券のうち事業債は資金純流出が続いたこれまで事業債はリスクを抑えつつ相対的に高い利回りを狙う個人資金の受け皿商品となりその保有残高は増加基調を続けてきた ( 図表 ) 企業側でも資金の調達先を多様化させるために 1 年に続き 17 年も個人向けの社債発行に積極的だったしかし足元では個人が保有する事業債残高は 3 四半期連続で減少が続いている図表主な金融資産への個人資金純流出入 ( 四半期ベース ) 1 預金の動き ( 四半期移動平均 ) 1 主要金融資産の動き ( 預金以外 ) 流動性預金定期性預金現金債務証券上場株式投資信託保険年金定型保証対外証券投資 ( 出所 ) 日本銀行統計より野村資本市場研究所作成図表 3 個人向け国債の発行額の推移図表個人が保有する事業債残高 ( 億円 ) 1, 9,, 7,,,, 3,, 1, 変動 1 年固定年固定 3 年 /1 1/7 1/1 1/7 1/1 1/7 17/1 17/7 1/ ( 年 / 月 ) ( 出所 ) 財務省統計より野村資本市場研究所作成 ( 出所 ) 日本銀行統計より野村資本市場研究所作成 3 参照 3

4 野村資本市場クォータリー 1 Spring 図表株式市場における個人の売買状況 (%) 売買代金に占める個人のシェア個人の売買代金 ( 年 / 月 ) ( 注 )1. 二市場 ( 東京名古屋 ) 一二部等合計 13 年 7 月第週までは大阪を含む 3 市場. 個人のシェアは委託合計額に占める割合現金と信用取引の合計値である ( 出所 ) 東京証券取引所統計より野村資本市場研究所作成図表投資部門別の株式売買状況法人 ( 単位 : 億円 ) 個人投資信託事業法人その他法人等 ( 注 )1. 二市場 ( 東京名古屋 ) 一二部等合計 13 年 7 月第週までは大阪を含む 3 市場. プラスは買い越しマイナスは売り越しを示す ( 出所 ) 東京証券取引所統計より野村資本市場研究所作成生保損保都銀地銀等金融機関信託銀行その他金融機関海外投資家証券自己 1 年 -9,99,9 9,3 -,17 -,1-3,9,7, -,1 1, 1 年 -31, -3,9,3,71 -,739 -,93 3,1,19-3,,1 17 年 -7,93-1,3 1,3,7 -,79 -, 939 1,3 7,3,31 17 年月 -, , -1,97 17 年月 -1,1 -,9 1, ,3 1 11,99,3 17 年月 -3,199-3,, ,3 9 -,397, 年 7 月 -, 7 1,1 1, , ,9-3, 17 年月 -33 1,17 1, ,9 19-7,,93 17 年 9 月 -9,9-1, ,131-1,1-3 -,71, 17 年 1 月 -1,13 -,13-1, ,133-31,3 3,71 17 年 11 月 -1,39 1, , ,,3 17 年 1 月 -,13,9 1,9 1, , 1-1, 年 1 月 39, , 1 -,773-1,7 1 年月 1,3 1,17,73 1, , 7-11, -1,3 第三に上場株式は資金純流出が続いた株式市場における個人の売買代金のシェアは市場参加者が減る年末を除くと % 前後での推移が続いている ( 図表 ) 株式売買差額を見ると個人は 17 年月から売り越しを続け株価上昇が鮮明になった同年 9 月 1 月は市場における最大の売り越し主体となった ( 図表 ) 個人による売り越しは 17 年

5 野村資本市場クォータリー 1 Spring 1 月まで続き 17 年の売り越し額は合計. 兆円と 13 年に次ぐ高水準となったしかし 1 年に入り株価が軟調になると個人は買い越しに転じ同年月には最大の買い越し主体となった続く 3 月は第週に週ぶりに買い越しが途切れた第四に投資信託は資金純流入が続いた月次データを公表している投資信託協会統計によると 17 年 1~1 月は公募投資信託全体では資金純流入となり ( 図表 7) 特に株式投資信託への流入が大きかった ( 図表 9) 一方日銀による ETF 買入れの影響も考慮し株式投資信託から ETF を除き更に分配金も除いたコア指標では 17 年 1~1 月期は資金純流出となった ( 図表 1) 投資信託の売れ筋上位に毎月分配型の投資信託が並んでいた 1 年から資金純流出が続いていたことになるただし月々の動きでは 17 年 1 月から 3 ヶ月連続で資金純流入に転じておりこの動きは注目される図表 7 公募投資信託への資金流出入と資産残高 1 公募投信の資金流出入設定額解約額 + 償還額資金増減額 ( 注 )1. 公募投信は株式投信と公社債投信の合計. 解約額と償還額はマイナス表示資金増減額は設定額から解約額と償還額を引いたもの ( 出所 ) 投資信託協会統計より野村資本市場研究所作成 1 公募投信の資産残高図表公社債投資信託への資金流出入と資産残高公社債投信の資金流出入設定額解約額 + 償還額資金増減額 ( 注 ) 解約額と償還額はマイナス表示資金増減額は設定額から解約額と償還額を引いたもの ( 出所 ) 投資信託協会統計より野村資本市場研究所作成公社債投信の資産残高

6 野村資本市場クォータリー 1 Spring 図表 9 株式投資信託への資金流出入と資産残高株式投信の資金流出入 1 株式投信の資産残高 1 設定額解約額 + 償還額資金増減額 ( 注 ) 解約額と償還額はマイナス表示資金増減額は設定額から解約額と償還額を引いたもの ( 出所 ) 投資信託協会統計より野村資本市場研究所作成図表 1 株式投資信託 ( 除 ETF) への資金流出入資金増減額 1. 資金増減額 - 分配金図表 11 ラップ口座の利用状況金額 ( 左軸 ) 件数 ( 右軸 ) ( 年 / 月 ) ( 万件 ) ( 出所 ) 投資信託協会統計より野村資本市場研究所作成 ( 出所 ) 日本投資顧問業協会統計より野村資本市場研究所作成投資信託への資金流入はラップ口座や NISA(Ⅱ 章参照 ) を通じた資金流入も影響する日本投資顧問業協会統計によるとラップ口座の件数金額は 17 年 1 月末時点で万,3 件 7 兆,9 億円でありそれぞれ 17 年 9 月末から.1% 7.% 増加した ( 図表 11) 投資信託の売れ筋商品については 17 年第四半期は分配頻度が少ない安定的な運用を目指す投資信託や成長企業やロボット関連企業の株式に投資する投資信託が上位を占めた ( 図表 1) 一方 1 年には売れ筋上位 1 商品のうち多くを占めた毎月分配型投信は 17 年第四半期にはついに上位 1 商品からは姿を消した

7 野村資本市場クォータリー 1 Spring 図表 1 投資信託の資金純増額ランキング (17 年 7 月 ~1 年 1 月 ) 17 年第 3 四半期 (7 月 ~9 月 ) 17 年第四半期 (1 月 ~1 月 ) ( 参考 )1 年 1 月順位ファンド名投信会社資金純増額ファンド名投信会社資金純増額ファンド名投信会社資金純増額 1 野村インド株投資野村 1,1 野村 PIMCO 世界インカム戦略ファンド A コース ( 為替ヘッジあり年回決算型 ) 野村 1,99 グローバルロボティクス株式ファンド ( 年回決算型 ) 日興 979 野村 PIMCO 世界インカム戦略ファンド A コース ( 為替ヘッジあり年回決算型 ) 野村 91 ひふみプラスレオスキャピタルワークス 1,93 ひふみプラスレオスキャピタルワークス 7 3 ひふみプラスレオスキャピタルワークス 77 グローバルロボティクス株式ファンド ( 年回決算型 ) 日興 73 新興国ハイクオリティ成長株式ファンドアセマネ One 3 グローバルロボティクス株式ファンド ( 年回決算型 ) 日興 7 ロボットテクノロジー関連株ファンド - ロボテック - 大和 71 ロボットテクノロジー関連株ファンド - ロボテック - 大和 73 キャピタルニューワールドファンド B コース ( 為替ヘッジなし ) キャピタル 9 野村 PIMCO 世界インカム戦略ファンド A コース ( 野村 SMA EW 向け ) 野村 71 グローバルロボティクス株式ファンド (1 年決算型 ) 日興 1 SMBC アムンディプロテクト & スイッチファンドアムンディ SMBC アムンディプロテクト & スイッチファンドアムンディ 7 SBI 小型成長株ファンドジェイクール SBI 1 7 野村ファンドラップ債券プレミア野村グローバルフィンテック株式ファンド日興 SMBC アムンディプロテクト & スイッチファンドアムンディ 1 野村インド債券ファンド ( 毎月分配型 ) 野村 1 野村インド株投資野村 9 野村 PIMCO 世界インカム戦略ファンド A コース ( 野村 SMA EW 向け ) 野村グローバルハイクオリティ成長株式ファンド ( 為替ヘッジなし ) アセマネ One JPM ザジャパン ( 年回決算型 ). JP モルガン 13 高成長インド中型株式ファンド ( 年 1 回決算型 ) 三井住友 1 1 JPM ベストインカム ( 毎月決算型 ) JP モルガン 3 グローバルロボティクス株式ファンド (1 年決算型 ) 日興 71 ダイワブルベアファンド Ⅳ ブル 3 倍日本株ポートフォリオ Ⅳ 大和 19 ( 注 )1. 対象は追加型投信で該当月に新規設定した投信や償還された投信上場投信は除外されている. 資金純増額の単位は億円 ( 出所 )R&I ファンド情報より野村資本市場研究所作成第五に保険年金定型保証は資金純流出となったこのうち生命保険は資金純流入が続いた一方年金保険年金受給権非生命保険はそれぞれ資金純流出となった第六に外国資産は外貨預金も対外証券投資も資金純流入が続いた 17 年 1 月末時点で個人が保有する外貨建資産残高 ( 外貨建投資信託外貨建対外証券投資外貨預金の合計 ) は兆円個人金融資産に占める割合は.9% と推定されるがこの割合は近年ほぼ横ばいである 3.17 年の総括と今後の注目点マイナス金利が導入されて年目を迎えた 17 年の動きを振り返ると個人資金は市場に残された利回りを求めて投資先を一層多様化させておりその一部は個人向け国債や生命保険外貨預金対外証券投資などに向かうようになったまた株価が一段と上昇する中では個人資金は株式から流出する一方で投資信託には流入したがその流入先は 1 年まで主流だった毎月分配型の投資信託ではなく低分配型の投資信託が存在感を増すようになった背景には金融庁の指導もあり販売会社が低分配型の投資信託に販売の主軸を置くようになったことや個人側でも投資信託のコストや運用効率に目配りするようになったことが挙げられよう前掲図表 1の資金純増額ランキング上位 1 商品のうち毎月分配型投資信託が占める割合は 1 年第第 3 四半期は 9 割だったが次第に減少し 17 年第四半期にはゼロとなった 7

8 野村資本市場クォータリー 1 Spring 図表 13 現金 + 流動性預金と定期性預金図表 1 個人金融資産に占める流動性資金割合 7% % % % 3 3% % 1 現金 + 流動性預金定期性預金 1% % ( 注 ) 流動性資金は現金と流動性預金の合計 ( 出所 ) 日本銀行統計より野村資本市場研究所作成 ( 出所 ) 日本銀行統計より野村資本市場研究所作成図表 1 MRF 残高図表 1 個人金融資産に占めるリスク資産割合 % % 1% 1% % 有価証券リスク資産 % ( 注 ) リスク資産は株式出資金と投資信託の合計 ( 出所 ) 投資信託協会統計より野村資本市場研究所作成 ( 出所 ) 日本銀行統計より野村資本市場研究所作成個人金融資産のうち 17 年の増加額が最も大きかった資産は現金預金であるただし個人は低い預金金利に満足して預金を選択しているわけではないマイナス金利下での現金預金の動きを見ると定期性預金が減少する一方で現金と流動性預金が増加し 17 年からは現金と流動性預金が定期性預金を上回るようになった ( 図表 13) つまり個人が最も多く保有する金融資産は現金預金である点は以前と変わらないものの定期性資産と流動性資産のバランスが変わっているのであるこれは預金に長期間固定させるのではなく期待リターンに見合う投資先が現れるまで動かしやすい形で待機させているものと推測される現金と流動性預金が個人金融資産に占める割合は 17 年 1 月末では 7.% と過去最高水準にある ( 図表 1) また MRF の残高は 17 年 1 月に過去最高の 13. 兆円となりその後も高水準にある ( 図表 1) 今後の注目点はこれらの待機資金が本格的にリスク資産に向かうかであるリスク資産が個人金融資産に占める割合は 17 年 1 月末には 17.% へ上昇しリーマンショック前の 7 年月末の水準とほぼ並んだ ( 図表 1) 1 年に入り株価が軟調となる中で

9 野村資本市場クォータリー 1 Spring 株式投資信託への純流出入額から分配金を除いた実質的に市場に留まっていると考えられる資金の流入幅は拡大している ( 前掲図表 1) また株式についても 17 年は個人の売り越し額は 13 年に次ぐ規模となったが 1 年は買い越し基調となっているなお 17 年から特に注目を集めた個人資金を巡るトピックとしてビットコインなど仮想通貨が挙げられる仮想通貨の保有者数に関する正確な統計はないが仮想通貨交換業者が公表している顧客数は例えばビットフライヤー社のウェブサイトによると 17 年 1 月現在で顧客数は 1 万人超とあるまたコインチェック社のウェブサイトによると 1 年 1 月日に仮想通貨 NEM が不正アクセスにより外部送金された事案において当時 NEM を保有していた顧客数は約万人とあるただしこれらの仮想通貨交換業者から公表されている顧客数には外国人や複数口座保有者及び架空名義口座等が含まれる可能性もあり日本での保有実態を把握することは困難である一方外国為替証拠金 (FX) 取引については金融先物取引業協会によると顧客口座数が万近くあり取引実績がある稼働口座はその 1 割とのことである Ⅱ. 足元の NISA の利用状況 1 年 3 月 1 日金融庁から NISA ジュニア NISA 口座の利用状況調査 ( 平成 9 年 1 月末時点 ( 速報値 )) が公表された 7 同調査は速報値であるため NISA 口座や買付の内訳は公表されていない主なポイントは以下の通りである 1.NISA の利用状況 17 年 1 月末時点 ( 速報値 ) の NISA 口座数は 1,9 万口座買付額は 1 兆, 億円であり 17 年 9 月末に比べると口座数は.% 減少買付額は.1% 増加した ( 図表 17) NISA 口座数が前期末に比べて減少したのは 17 年 1 月末が初めてのことである制度上 17 年 1 月 1 日から同年 1 月 31 日までに NISA 口座の開設申し込みが行われた場合実際に口座が開設されるのは 1 年 1 月 1 日以降となるため原則的には上記期間は NISA 口座数が増加しないことになる一方で何らかの理由で口座を閉鎖する人がいるため 17 年 1 月末の口座数が減少したと見られるよりより FX 年曲がり角日経ヴェリタス 1 年 1 月日面 7 詳細は参照 9

10 野村資本市場クォータリー 1 Spring ( 万件 ) 1, 1, 図表 17 NISA の利用状況買付額 ( 右軸 ) 口座数 ( 左軸 ) ( 年. 月 ) ( 注 )1. 口座数はこれまでに開設された総口座数から金融機関変更に伴う変更前口座廃止口座等の数を差し引いたもの. 買付額は 1 年から 17 年の利用枠で買付があった金額の合計買付時の時価により算出 3. 1 年 9 月末の利用状況は公表されていない ( 出所 ) 金融庁資料より野村資本市場研究所作成. ジュニア NISA の利用状況次にジュニア NISA の利用状況を確認するジュニア NISA は 1 年 1 月から口座開設の受付が開始され 1 年月から金融商品の買付ができるようになった年目に入ったジュニア NISA の口座数は 17 年 1 月末時点で万口座買付額は億円となり 17 年 9 月末に比べると順に 7.7% 1.% 増加した ( 図表 1) 図表 1 ジュニア NISA 利用状況 ( 万件 ) 買付額 ( 右軸 ) 口座数 ( 左軸 ) ( 億円 ) ( 年. 月 ) ( 注 ) 1. 口座数はこれまでに開設された総口座数から廃止口座数等の数を差し引いたもの. 買付額は 1 年及び 17 年の利用枠で買付があった金額の合計買付時の時価により算出 ( 出所 ) 金融庁資料より野村資本市場研究所作成 1

11 野村資本市場クォータリー 1 Spring 3.1 年の NISA 動向を巡る留意点このように 17 年 1 月末の NISA 口座数は速報値ながら前期末比ベースで初めて減少した 1 年からの NISA の動きを見る上で次の要素に留意しておく必要がある第一に NISA 口座保有者が 1 年以降も NISA 口座で買い付け買い増しをするにはマイナンバーを金融機関へ告知する必要があることであるマイナンバーを巡っては資産を国に把握される抵抗感など制度への不安や不信感から告知に難色を示す人が NISA 口座保有者の中にも一定数存在すると見られるマイナンバーの告知が進まないことによる影響は 1 年から投資可能な勘定が設定されている NISA 口座数が減少するという形で顕在化すると見られる第二につみたて NISA が 1 年から開始されたことであるつみたて NISA 口座数は本稿執筆時点では金融庁からまだ公表されていないが報道によると 17 年 1 月末時点での申込は約万口座だったというまた金融庁が主な金融機関へのヒアリング結果を纏めた資料によるとつみたて NISA 口座開設者のうち歳代 ~ 歳代が占める割合が 7 割と従来型の NISA( 一般 NISA 同割合は 3 割 ) と比べて多くなっている 9 またつみたて NISA 口座開設者のうち新規の口座開設者は % であり残りは一般 NISA からの切替えである ( 非稼働口座からの切替えが % 稼働口座からの切替えが 3%) つみたて NISA は一般 NISA とは異なる層で新たに投資を行う人を増やす効果が期待されているそのため 1 年の NISA 口座数の動きを評価することは難しいが大切なことは新たに投資を行う人が広がり投資による資産形成が国民に普及定着するかである今後も資産形成制度を巡る動きは注目されよう 9 つみたて NISA 始動万口座申し込み日本経済新聞 1 年 1 月日夕刊 1 面主な証券銀行 1 社への聞き取り調査に基づく金融庁つみたて NISA の普及利用促進を図るための金融庁の取組み等 ( 平成 3 年 3 月 ) 参照 11

野村資本市場研究所｜個人金融資産動向：2018年第2四半期－流動性資金割合の上昇が継続－（PDF）

野村資本市場研究所｜個人金融資産動向：2018年第2四半期－流動性資金割合の上昇が継続－（PDF）野村資本市場クォータリー 1 Autumn 個人金融資産動向 :1 年第四半期 - 流動性資金割合の上昇が継続 - 宮本佐知子要約 1. 日本銀行資金循環統計によると 1 年月末の個人金融資産残高は 1,7 兆 7,9 億円 ( 前期比.9% 増前年比.% 増 ) となった個人金融資産の 5.5% を占める現金預金が前年から.% 増加したことに加え前年からの株高進行で評価額が膨らんだ株式等が前年から.%