野村資本市場研究所｜個人金融資産動向：2014年第4四半期（PDF）

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ことこまつかた
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1 野村資本市場クォータリー 15 Spring 個人金融資産動向 :1 年第四半期宮本佐知子荒井友里恵要約年 3 月 1 日に公表された日本銀行資金循環統計によれば 1 年 1 月末の個人金融資産残高は1,9 兆 3,19 億円 ( 前期比.% 増前年比 3.% 増 ) となった株価上昇と円安進行により保有資産の時価評価が増したことや投資信託への資金流入が続いたことにより個人金融資産残高は過去最高となった一方現金預金は前年比 1.9% 増加し個人金融資産に占める割合は5.5% と依然として過半を占めている. 1 年 1~1 月期の各金融資産への個人資金の純流出入は次の通りである第一に預金へは資金純流入となり特に流動性預金への選好が続いている第二に債券からは資金純流出が続き国債から期連続で資金が純流出した第三に上場株式からは3 期連続で資金純流出に投資信託へは11 期連続で資金純流入となった第四に対外証券投資からは資金が純流出に転じ外貨預金からは3 期連続で資金純流出となった 3. 1 年末時点での個人が保有するリスク資産割合は15.% でありこの割合は緩やかに上昇が続いている実質金利がマイナスの局面においては個人の資産選択行動も変化する可能性も高いと考えられ投資機会を窺う個人資金は依然として多く待機している 1 年は13 年に続き個人資金の動きが活発な一年となったがその中で存在感を増して注目されたラップ口座とNISAはそれぞれ今後も拡大が見込まれている. NISAの利用が拡大する中制度拡充の動きも着実に進んでいる 1 年から創設されるジュニアNISAは基本的な制度設計はNISAと変わらないが留意したい点として 1 引出制限が課されていること金融機関の変更が認められていないこと 3 口座開設にはマイナンバーが必要であることが指摘できる特にマイナンバー制度については現時点で内容を認知している人は多くないだけに今後のスケジュールにも留意する必要がある Ⅰ. 個人金融資産動向 : 株高と投信資金流入により残高が過去最高に 1. 個人金融資産残高の概況 15 年 3 月 1 日に公表された日本銀行資金循環統計 1 年第四半期 (1~1 月期 ) によれば 1 年 1 月末の個人金融資産残高は 1,9 兆 3,19 億円 ( 前期比.% 増前年比 3.% 増 ) となった ( 図表 1) 前年からの株価上昇と円安進行により保有資産の時価 1

2 野村資本市場クォータリー 15 Spring 評価が増したことや投資信託への資金流入が続いたことにより個人金融資産残高は過去最高となった株式出資金は前年比 3.9% 増投資信託は同 17.1% 増となり投資信託残高も過去最高となった一方現金預金は前年比 1.9% 増加し個人金融資産に占める割合は 5.5% と依然として過半を占めている. 各金融資産への個人資金純流出入図表は四半期ごとの主な金融資産への個人資金純流出入の動きである足下の特徴は次の通りである第一に預金は資金純流入となった四半期ごとに大きく変動するものの流動性預金を選好するトレンドが続いている預金に占める流動性預金の割合は.% と過去最高となった図表 1 個人金融資産の残高と内訳その他債券投資信託 1 年末構成比前年比金融資産計 19 1.% 3.% ( 内訳 ) 現金預金 9 5.5% 1.9% 債券 1.7% -.5% ( 年末 ) 株式出資金保険年金準備金現金預金 ( 注 ) 債券は株式以外の証券から投資信託を除いたもの ( 出所 ) 日本銀行資金循環統計より野村資本市場研究所作成 ( 国債 ) 1 1.1% -13.9% 投資信託 9 5.5% 17.1% 株式出資金 1 9.5% 3.9% 保険年金準備金 7.% 1.% その他 75.% 11.% 図表各金融資産への個人資金純流出入 ( 四半期ベース ) 預金の動き ( 四半期移動平均 ) 1 主要金融資産の動き 1 定期性預金ゆうちょ銀行貯金債券上場株式 - - 流動性預金定期性預金投資信託対外証券投資 Q 3Q 1Q 3Q 1Q 3Q 1Q 3Q 1Q 3Q1Q 3Q1Q 3Q1Q 3Q 1Q 3Q Q 3Q 1Q 3Q 1Q 3Q 1Q 3Q 1Q 3Q 1Q 3Q 1Q 3Q 1Q 3Q 1 1Q 3Q ( 注 ) 左図の定期性預金にはゆうちょ銀行貯金を含む ( 出所 ) 日本銀行資金循環統計ゆうちょ銀行資料より野村資本市場研究所作成

3 野村資本市場クォータリー 15 Spring 第二に債券から資金純流出が続いている国債からは 1 年第四半期まで四半期連続で資金が流出した多くは個人向け国債の償還に因るものと見られ再投資されなかった償還金は主に投資信託へ流入したと見られる個人が購入できる国債には個人向け国債と新型窓口販売国債があり前者は下限金利があり募集は毎月行われているのに対し後者は日銀の金融緩和により実質的な運用利回りがマイナスになったため 1 年 1 月末から 5 ヶ月連続で年物国債の募集中止 15 年 1 月には 5 年物国債の募集中止が決定された財務省ではこれまでも個人向け国債の商品改善や発行頻度増加により個人資金を受け入れやすくするための工夫を重ねてきたが 15 年 1 月からは物価連動国債の個人への譲渡制限を解除し 1 年 1 月以降に満期を迎えるものについては個人も保有できるようにした 1 年 1 月末時点での個人の国債保有額は 1 兆円国債残高全体の約 % を占めるにすぎず財務省では今後も国債に個人資金を受け入れやすくするため検討を進めるとしている 1 第三に上場株式からは資金純流出が続き投資信託は 1 年第四半期まで 11 四半期連続で資金純流入となった上場株式については個人の投資行動は総じて逆張りの傾向が続いており 1 年年初に資金が純流入した後は 3 四半期連続で資金純流出となっている株式市場における個人投資家の売買状況を見ると活発だった 13 年に比べて 1 年前半はやや低調だったが年央以降は 13 年後半の売買代金水準を回復した ( 図表 3) また株式市場の活況に伴い新規株式公開件数も増加している ( 図表 ) 15 年度は 1 社前後と年連続図表 3 株式市場における個人投資家の売買状況 5 (%) 売買代金に占める個人のシェア個人の売買代金図表新規株式公開件数 ( 注 ) 東京大阪名古屋 3 市場 1 部合計 ( 注 ) 東証 1 部マザーズ JASDAQ TOKYO ( 出所 ) 東京証券取引所統計より野村資本市場研究所作成 PRO Market その他の合計 ( 出所 ) 株式会社日本取引所グループ個人投資家向け会社説明会資料 (15 年 3 月 ) ( 社 ) ( 予 ) ( 年度 ) 1 財務省では 1 年後半より物価連動国債についても個人向けの新型窓販の取扱いを開始する予定である参照 3

4 野村資本市場クォータリー 15 Spring で増加すると見込まれておりなかでも日本郵政グループは持ち株会社の日本郵政と傘下の金融社 ( ゆうちょ銀行かんぽ生命保険 ) の同時上場を計画しており 199 年の NTT ドコモに匹敵する大型新規株式公開になると注目されている投資信託については個人資金の純流入が続いている投資信託協会統計によると公募投資信託全体ではヶ月連続の資金純増同純資産残高も 9 ヶ月連続で過去最高額を更新し直近 15 年月の純資産残高は 95 兆,571 億円に達した ( 図表 5) このうち株図表 5 投資信託への資金流出入と資産残高 1 公募投信の資金流出入設定額解約額 + 償還額資金純増減額公募投信の資産残高株式投信の資金流出入 9 株式投信の資産残高設定額解約額 + 償還額資金純増減額 ( 注 ) 1. 公募投信は株式投信と公社債投信の合計. 解約額と償還額はマイナス表示とした資金純増減額は設定額から解約額と償還額を差し引いたもの ( 出所 ) 投資信託協会統計より野村資本市場研究所作成新規上場 1 社規模に日本経済新聞 15 年 3 月 15 日

5 野村資本市場クォータリー 15 Spring 式投資信託は 79 兆,537 億円を占めておりこちらもヶ月連続で過去最高額を更新した 1 年 11 月には株高円安が一段と進む中での利益確定売りと見られる解約が膨らみ株式投資信託は単月で 1.5 兆円もの資金純流出となったがその後はそれを上回る資金純流入となった商品別の資金純増額ランキングを見ると 1 年 1~1 月期は市場環境の変化もあり資金流入先にも変化が見られた ( 図表 ) 1 年 1 月米国 FRB の QE3 終了やユーロ圏の景気減速とデフレ懸念等を背景に世界的に株価が調整その後は日銀の追加緩和等もあり株高と円安が進行するも年末にかけて資源市況が下落する等金融市場は乱高下が続いたこのような環境変化も反映しランキング上位商品は高配当高利回り投信や内外 REIT 投信等へと分散するようになったまた後述するようにラップ口座が急拡大しておりそれに伴いラップ口座専用投信がランキング上位に多く入るようになった 3 なお 1 年 1 月から改正投資信託法が施行された証券会社や銀行が投信を保有する顧客に分配金を含めた通算損益を定期的に通知する制度が始まり運用会社が運用成績などを記した運用報告書にも簡易版が加わった個人投資家が商品の仕組みを理解しやすくすることが狙いであり今後は商品選択にも変化が見られる可能性もあろう図表投資信託の資金純増額ランキング (1 年 1 月 ~15 年 1 月 ) 順位 1 年 1 月 1 年 11 月 1 年 1 月 15 年 1 月 1 ピクテ新興国インカム株式ファンド ( 毎月決算型 ) ピクテ新興国インカム株式ファンド ( 毎月決算型 ) 野村テンプルトントータルリターン D コースピクテ新興国インカム株式ファンド ( 毎月決算型 ) 米国エネルギー MLP オープン ( 毎月決算型 ) 為替ヘッジなし野村テンプルトントータルリターン D コースピクテ新興国インカム株式ファンド ( 毎月決算型 ) 野村グローバル高配当株プレミアム ( 通貨セレクトコース ) 毎月分配型 3 ラサールグローバル REIT ファンド ( 毎月分配型 ) 野村グローバル高配当株プレミアム ( 通貨セレクトコース ) 毎月分配型野村グローバル高配当株プレミアム ( 通貨セレクトコース ) 毎月分配型アジアオセアニア好配当成長株オープン ( 毎月分配型 ) 野村グローバル高配当株プレミアム ( 通貨セレクトコース ) 毎月分配型ダイワファンドラップ日本債券セレクトアジアオセアニア好配当成長株オープン ( 毎月分配型 ) 野村テンプルトントータルリターン D コース 5 日経 5 ノーロードオープン野村日本債券インデックス野村外国債券インデックスラサールグローバル REIT ファンド ( 毎月分配型 ) 野村テンプルトントータルリターン D コース野村ハイパーブルベア ( マネーポートフォリオ ) 好配当グローバル REIT プレミアムファンド通貨セレクトコース好配当グローバル REIT プレミアムファンド通貨セレクトコース 7 野村ハイパーブルベア ( 日本ハイパーブル ) 野村外国債券インデックス野村日本債券インデックスピクテグローバルインカム株式ファンド ( 毎月分配型 ) 野村外国債券インデックス好配当グローバル REIT プレミアムファンド通貨セレクトコースダイワファンドラップ日本債券セレクト野村米国ブランド株投資 ( 通貨選択型 ) アジア通貨コース ( 毎月分配型 ) 9 野村日本債券インデックスニッセイオーストラリア高配当株ファンド ( 毎月決算型 ) 野村ファンドラップ外国債券 B コースダイワファンドラップ日本債券セレクト 1 アジアオセアニア好配当成長株オープン ( 毎月分配型 ) J-REIT リサーチオープン ( 毎月決算型 ) ラサールグローバル REIT ファンド ( 毎月分配型 ) 野村ファンドラップ外国債券 B コース ( 出所 ) ファンド情報より野村資本市場研究所作成 3 ラップ型投信の販売も伸びているスペシャル投信トレンド分析有力地域金融機関編 (1 年 1~1 月期 /15 年 1 月 ~) 台頭するラップ型野村がグループ挙げ支援ファンド情報 15 年月 3 日 5

6 野村資本市場クォータリー 15 Spring 第四に対外証券投資からは資金が純流出に転じ外貨預金からは 3 四半期連続で資金純流出が続いた 1 年 1 月末時点で個人が保有する外貨資産 ( 外貨建投資信託外貨建対外証券投資外貨預金の合計 ) は. 兆円である個人金融資産に占める割合は.7% でありこの割合は 13 年から緩やかに上昇が続いている 3.1 年の特徴 : 存在感を増すラップ口座と NISA このように 1 年は前年からの株価上昇効果や投資信託を中心に個人資金流入が続いたことにより個人金融資産残高は過去最高値を更新した個人金融資産に占める有価証券 ( 株式以外の証券株式出資金対外証券投資の合計 ) の割合は 17.5% リスク資産 ( 株式出資金と投資信託の合計 ) の割合は 15.% であり上昇が続いている ( 図表 7) 日銀統計で長期データを遡るとこれらのピークは 19 年度末であり順に 33.% 7.5% であったこれまではデフレが長期化し実質金利がプラスであったこともあり預金は一つの合理的な選択であったが今後実質金利がマイナスの局面においては個人にとって資産を預金以外で運用することがこれまで以上に重要になろう投資機会を窺う個人資金は多く待機していると見られる MRF の残高は 15 年月末には過去最高値を更新した ( 図表 ) また預金に占める流動性預金の割合は過去最高となり必要に応じて資金を動かしやすい形で滞留させる傾向が続いているこの他待機資金になりうるものとしては個人向け国債の償還金もあり満期償還額は 15 年年間で合計. 兆円と推定される図表 7 個人金融資産に占める図表 MRF 残高の推移有価証券とリスク資産の割合 5% % 15% 有価証券 1 1 1% 5% リスク資産 % ( 注 ) リスク資産は株式出資金と投資信託の合計 ( 出所 ) 投資信託協会統計より野村資本市場 ( 出所 ) 日本銀行資金循環統計より野村資本市場研究所作成研究所作成

7 野村資本市場クォータリー 15 Spring 1 年は 13 年に続き個人資金の動きが活発な一年となったがその中で存在感を増して注目された動きとして次の二つが挙げられる第一にラップ口座であるラップ口座は年から実質的に取扱いが始まり年の金融危機により口座残高が急減したものの 13 年以降に急増した日本投資顧問業協会統計によると 1 年 1 月末時点では万 9,55 件 3 兆 1, 億円に達している ( 図表 9) 背景にはアベノミクスの下で株価が上昇し脱デフレ機運が醸成される中で家計側では資産価値を守るために運用を専門家に任せたい人が増えていると見られることや口座利用の最低投資額が当初に比べて引き下げられたために利用対象者が広がってきたこと金融機関側では顧客からの預かり資産残高を重視するビジネスモデルへ戦略転換を図る動きが見られていること等が挙げられ今後も拡大が続くと注目されている図表 9 ラップ口座の利用状況残高 ( 左軸 ) 件数 ( 右軸 ) ( 万件 ) ( 出所 ) 日本投資顧問業協会統計より野村資本市場研究所作成第二に NISA である NISA は 1 年 1 月から開始されその存在感を着実に高めている 15 年月日の金融庁公表資料によると 1 年末時点で NISA を取り扱う全ての金融機関における NISA 口座数は 5 万 3,799 口座購入総額は兆 9,79 億,913 万円であった ( 図表 1) 1 年月末に比べると口座数は 13% 増加したのに対し購入総額は 9% 以上増加した 1 年末時点の商品別内訳は NISA を通じた株式の購入総額は 9,75 億円であった NISA 開始を機に企業側でも個人株主獲得の重要性を意識した取組みが広がりつつあり個人投資家が購入しやすいよう売買単位変更や株式分割を行ったり 5 株主優待を設けたり拡充することにより個人株主を増やす工夫等も行われている株主優待実施銘柄数は参照 1 年に売買単位変更や株式分割を行った企業は 1 社であった参照 7

8 野村資本市場クォータリー 15 Spring 図表 1 NISA 口座の利用状況 ( 万口座 ) 3.5 購入総額 ( 左軸 ) 9 口座数 ( 右軸 ) ( 年. 月 ) 図表 11 株主優待の実施状況 ( 件 ) (%) 株主優待実施銘柄数 ( 左軸 ) 優待実施銘柄数 / 上場銘柄数 ( 右軸 ) ( 出所 ) 金融庁資料より野村資本市場研究所作成 ( 出所 ) 野村インベスターリレーションズ株主優待実施状況レポートより野村資本市場研究所作成年月末現在で 1,19 件全上場銘柄の 31.1% に上り過去最多となっている ( 図表 11) また個人株主に自社株式を長期間保有してもらえるよう株主優待について長期保有優遇制度を導入する企業も増えている NISA を通じた投資信託の購入総額は 1 年末時点では 1 兆 9, 億円であった 1 年年初から同年末までの公募株式投信への資金純流入額は.9 兆円であり NISA を通じた資金流入はその 1/ 程度に相当するまた投資信託は初めて投資をする人のための入口機能としても重要な役割を果たしていると見られる NISA 開始年目となる 15 年に入ってからも NISA の口座数や購入総額は順調に拡大していると見られる 15 年月日に日本証券業協会が公表した主要証券会社 1 社の NISA 口座利用状況によると 15 年 3 月末時点での主要証券会社 1 社の NISA 総口座数は 3 万口座購入総額 7 は兆億円となり 1 年末から順に 5.% 5% 増加した利用状況を月別に見ると 1 新規口座が制度開始直後のみならず毎月 ~7 万件開設されていること購入額は年初及び年末が多いとはいえ他の月でも 1, 億円前後の購入が継続的になされており年初月については制度が開始された 1 年よりも 15 年の方が大きいことがわかる ( 図表 1) これら主要証券会社 1 社は全金融機関の口座開設数や購入総額の 5 割近くを占めるため 15 年年初の全金融機関での NISA 利用状況も同様のものと推測されるさらに今後は 1 年末に NISA 推進連絡協議会職場積立 NISA ガイドラインが公表されたこともありこれまで後手に回っていた若年層や現役層への NISA の普及も進むことが期待されている 7 主要証券会社 1 社とは大手証券会社 5 社インターネット専業証券会社 5 社を言う購入総額は 1 年利用枠と 15 年利用枠の買付額の合計

9 野村資本市場クォータリー 15 Spring 図表 1 主要証券会社 1 社における NISA の利用状況 ( 月別 ) ( 万口座 ) 35 開設口座数 ( 億円 ) 3, 購入額 3, , 1,5 1, 年 1 月月 3 月月 5 月月 7 月月 9 月 1 月 11 月 1 月 15 年 1 月月 3 月 ( 注 )1 年 1 月の開設口座数については前年 1 月から口座開設申込受付があり他の月と状況が異なることまた値が 7 万口座と非常に大きいことから本グラフには表示していない ( 出所 ) 日本証券業協会資料より野村資本市場研究所作成 1 年 1 月月 3 月月 5 月月 7 月月 9 月 1 月 11 月 1 月 15 年 1 月月 3 月 Ⅱ. 今後の NISA 制度における留意点 NISA の利用が拡大する中制度拡充の動きも着実に進んでいる 15 年度の税制改正では 1NISA の投資上限額を 1 万円に引上げジュニア NISA を創設することとされ両措置を盛り込んだ所得税法等の一部を改正する法律案は 15 年 3 月 31 日に可決成立したジュニア NISA は歳から 19 歳の居住者等を対象とし親または祖父母が子や孫の名義で口座を開設し投資する場合に年間万円までの投資額について配当や譲渡所得等を最長 5 年間非課税とする制度である ( 図表 13) 1 年 1 月 1 日より口座開設申し込みが始まり同年月 1 日より買付が可能となる対象商品や非課税期間などの基本的な制度設計は成人 NISA と変わらないが制度開始へ向けて留意したい点もある第一に引出制限が課されている対象者が 1 歳になる年度の 1 月 31 日までの間非課税で引出すことができず途中で引出す場合には過去の配当と売却益に課税される第二に現状金融機関の変更が認められていないジュニア NISA の口座は一人 1 口座しか開設できないため基本的には初年度に口座を開設した金融機関で対象者が成人するまで運用を続けることになる, 9 第三にジュニア NISA の口座開設にはマイナンバーが必要となる口座重複の有無を住民票ではなくマイナンバーによって確認するためであるただし課税されることを厭わずに一度開設した口座を廃止すれば翌年以降他の金融機関で新たにジュニア NISA 口座を開設することも可能である NISA では 15 年以降 1 年単位で異なる金融機関に非課税管理勘定を設定することが可能となった実際の手続きとしてはマイナンバーを確認できる書類兼本人確認書類として後述する個人番号カードを提示することになる個人番号カードを取得していない場合はマイナンバーの記載された住民票の提出などで代替することも考えられる 9

10 野村資本市場クォータリー 15 Spring 図表 13 ジュニア NISA の制度概要項目摘要制度を利用可能な者歳 ~19 歳の居住者等年間投資上限額万円非課税対象上場株式公募株式投信等 ( 成人 NISAに準ずる ) 投資可能期間平成年月から平成 35 年 1 月末まで ( 終了時期は成人 NISAに準ずる ) 平成 35 年以降も口座開設者が歳に到達するまでは非課税保有を継続可能非課税期間投資した年から最長 5 年間 ( 成人 NISAに準ずる ) 口座開設手続マイナンバーを提出して口座開設手続を行う ( 住民票の提出不要 ) 原則として親権者等が未成年者のために代理して運用を行う運用管理 1 歳まで払出し制限を課す災害等やむを得ない場合には非課税での払出しを可能とする ( 出所 ) 金融庁平成 7 年度税制改正について税制改正大綱における金融庁関係の主要項目 P. ( なお成人 NISA は口座重複の有無を平成 5 年 1 月 1 日時点の住所が記載された住民票等で確認しており今回の法律改正案ではこの手続きは変更されていないしかし次の勘定設定期間に入る 1 年 ( 平成 3 年 ) 以降はジュニア NISA と同様にマイナンバーによって重複の有無を確認し住民票の提出を不要とする仕組みにするよう今後手当てがされるものと見られているちなみにマイナンバーとは住民票を有する全ての国民に一人一つ与えられる 1 桁の個人番号のことであり 11 1 年 1 月から社会保障税災害対策分野での行政手続に必要となるマイナンバーは 15 年 1 月より住民票を有する全ての国民一人ひとりに通知される ( 図表 1) マイナンバーの通知に当たっては氏名住所生年月日性別の基本情報及びマイナンバーが記載された通知カードという紙製のカードが市区町村から届く通知カードはあくまでマイナンバーを通知するためのものであり通知カード単体では口座開設手続き等に必要とされる本人確認書類として利用することができない本人確認書類として利用できるのが個人番号カードである個人番号カードは 1 年 1 月 1 日以降国民が自ら市区町村に申請することで交付されるプラスチック製のカードである券面には基本情報とマイナンバーの他顔写真が記載され本人確認書類としての利用が可能になるしかし現時点でマイナンバー制度の内容を認知している人は多くない 1 マイナンバーの通知を受ける個人もマイナンバーを取り扱う民間企業も同制度の今後のスケジュールに留意する必要があろう 11 1 中長期在留者や特別永住者などの外国人にも与えられる内閣府政府広報室マイナンバー ( 社会保障税番号 ) 制度に関する世論調査の概要 ( 平成 7 年月 19 日 ) によればマイナンバー制度について内容まで知っていたは.3% 内容は知らなかったが言葉は聞いたことがあるが 3.% 知らなかったが.% となっている 1

11 野村資本市場クォータリー 15 Spring 図表 1 マイナンバー制度 ( 社会保障税番号制度 ) 導入のロードマップ ( 案 ) ( 出所 ) 内閣官房社会保障改革担当室内閣府大臣官房番号制度担当室マイナンバー社会保障税 13 番号制度概要資料 ( 平成年 1 月版 ) より抜粋 13 P.5 参照 11

野村資本市場研究所｜個人金融資産動向：2013年第4四半期（PDF）

野村資本市場研究所｜個人金融資産動向：2013年第4四半期（PDF）野村資本市場クォータリー 1 Spring 個人金融資産動向 :13 年第四半期宮本佐知子要約 1. 日本銀行 13 年 ~1 月期資金循環統計によれば 13 年 1 月末の個人金融資産残高は 1, 兆,3 億円 ( 前期比.% 増前年比.% 増 ) と過去最高となった株価上昇により家計が保有する株式や投資信託の時価評価が増し家計全体の資産額を押し上げた形であり株式出資金は前年比