カボチャの育種研究の現状と今後の課題誌名農業および園芸 = Agriculture and horticulture ISSN 著者巻 / 号嘉見, 大助 90 巻 8 号掲載ページ p 発行年月 2015 年 8 月農林水産省農林水産技術会議事務局筑

Size: px

Start display at page:

Download "カボチャの育種研究の現状と今後の課題誌名農業および園芸 = Agriculture and horticulture ISSN 著者巻 / 号嘉見, 大助 90 巻 8 号掲載ページ p 発行年月 2015 年 8 月農林水産省農林水産技術会議事務局筑"

ともみしまむね
5 years ago
Views:

1 カボチャの育種研究の現状と今後の課題誌名農業および園芸 = Ag h ISSN 5 著者巻 / 号嘉見, 大助巻号掲載ページ - 発行年月 5 年月農林水産省農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター Tk B-Am C S C, Ag, Fy Fh Rh C S

嘉見カボチャの育種研究の現状と今後の課題しかし北海一号は果実の肥大性収量性が良化をくなかったため株渡辺採種場と共同で F 進めることにした渡辺採種場が持つ普通草姿で高 BHA 種子親と北海一号花粉親を収量の進を検討している杉山ら ) ペポカボチャの育種日本においてベポカボチャといえばズッキーニを作製したところ株元着果性があり交配して F 日の

3 嘉見カボチャの育種研究の現状と今後の課題しかし北海一号は果実の肥大性収量性が良化をくなかったため株渡辺採種場と共同で F 進めることにした渡辺採種場が持つ普通草姿で高 BHA 種子親と北海一号花粉親を収量の進を検討している杉山ら ) ペポカボチャの育種日本においてベポカボチャといえばズッキーニを作製したところ株元着果性があり交配して F 日のを想像する人が多いと思われる着花後 5 食味にも優れる TCA を作出した TCA は既存の未熟果を煮物抄め物または揚げ物で利用しており蔓性の品種に比べて蔓を曲げる側枝を摘むなどのその生産量も宮崎県や長野県を中心に約トン誘引整枝作業が省略可能であることから作業時間を計上するに至ったそれ以外だと果肉の繊維部の短縮が図られるまた果実は株元近くに着果し分を食する錦糸瓜やハロウィンなどの飾りカボ着果位置が比較的そろっていることから密植栽培チャなどが挙げられるがセイヨウカボチャに比べによる一斉収穫も可能になっている図杉山らるとまだ普及段階であると考えられるしかし海 ) 外特に欧米においてはベポカボチャはセイヨ TCA 以降も品種開発は進めており次は食品加ウカボチャ以上に利用されているグループである工に適した特性に注視した品種作りを検討した近ためその育種研究は海外の方が進んでいる海外年注目される加工業務用の品種としての特性としにおけるべポカボチャの育種目標はウイノレス病抵て大果で加工時の歩留まりが良いこと高収量で抗性であるウイルス病抵抗性についてはセイヨウは主要品種のあることなどが挙げられるが TCA カボチャよりも低いことが知られていることからえびすに比べて収量や果実の大きさの点はほぼ同以前からウイルス病抵抗性育種が進んでいた例え等であるが煮物加工では崩れやすい等の改良点はばウイノレス病抵抗性の高いペポカボチャ遺伝資源残されていたそこで年に果実が kg台中盤 k ウイルス病抵抗の評価 L K の重さで収量が TCA やえびすを上回る株元着性の高い同属異種の素材評価などを行ってきた経品種くりひかりを開発したこの品種は果性の F 岸章がある ( P ら,G -A ら加熱時においても煮崩れを起こしにくい形質も持 ) また遺伝子組み換えによるウイノレス病抵ち合わせていたため果肉ブロック加工に適すると抗性品種も開発され Fh G 5 実判断されたことから加工業者の評価および利用促際にその栽培もアメリカでは可能になっている図カボチャの親品種および育成系統北海一号における節間の伸長図カボチャ TCA の着果状況マルチは幅 mの黒マルチを用いた

農業および園芸第巻第号 ( 5年図 H タイプのペポカボチャ F 品種ストライプベポの外観図カボチャ種子左は殻があるセイヨウカボチャ種子から皮をむいたもの右が H タイプのペポカボチャストライプペポ種子 ι 一方北海道農研では従来のペポカボチャとは固としてはこのタイプのカボチャの商品としての異なる用途の品種作りを検討してきた現在カボ

4 農業および園芸第巻第号 ( 5年図 H タイプのペポカボチャ F 品種ストライプベポの外観図カボチャ種子左は殻があるセイヨウカボチャ種子から皮をむいたもの右が H タイプのペポカボチャストライプペポ種子 ι 一方北海道農研では従来のペポカボチャとは固としてはこのタイプのカボチャの商品としての異なる用途の品種作りを検討してきた現在カボ価値が予測しにくかったことこと H のチャの種子がナッツ素材菓子のトッピング素材な,F 品種まで開発形質が劣性形質で野口ら ) どに使われているこれらの供給源は主に中国からするには多くの労力が予想されたからであるしかの輸入品であるが国産に切り替えたいという動きタイプの育成に携わる頃にし筆者が H があるしかし既存のカボチャ種子には厚い殻がは上記のような商品化の要望が高まってきたことあるため利用するにはこれを剥がす作業が必要ととからこの品種育成に力が入れられるようになっなるペポカボチャの中には厚い殻を作らない H - たタイプのカボチャが存在しこれを利用すタイ今まで北海道農研で収集した H ることで上記の課題を解決できると考えられた図プの遺伝資源から側枝の少ない ι豊平号と株元 ) 着果性の強い豊平号の固定系統を選抜しこの H タイプの話は分かりにくいところ両者を交配親として種子生産量が多く株元着果性タイもあるため若干の補足をする H 品種ストライプペポを開の強い食用種子用の F プカボチャは世紀の終わりに現在のオーストリ現在ストライプベポ発した図嘉見ア付近で偶然発見されたとされアメリカでは北海道の上川郡和寒町を中心に六次産業の対象年に Ly G が品種として初めて発表されて作物として取り上げられより収益の高い栽培法や以降様々な品種が開発されている H 種子の機能性の評価種子および果肉を用いた商品タイプのカボチャの種子は油糧用で外種皮がない開発の検討がなされているこれとは別に家庭菜園 J S や fnk ことから O でも栽培されている事例があるとのことであると呼ばれていたが現在は H J という呼称に統一されつつある種子食用カボチャは主にオーストリアやドイツなどの中央ヨーロッパやアメリカで栽培されているカボチャ種子は古くからカボチャの圏内遺伝資源の活用上記で述べたように海外からニホンカボチャ C m h が導入されて約 5年セイヨウカボチャヨーロッパでは食用油として利用されておりアメが導入されて約 5年経過しており各栽培地におリカではギョウ虫の駆虫剤としても利用されてきいて形態や食味の面で多様な変異を遂げて地方品 ) た経緯がある A 種として栽培されていたしかし昭和年代以しかし H タイプのカボチャは日本の品種の到来によりこれらを栽培維持す降の F 民間企業ではあまり育種対象にはならなかった原る生産者が減少し地方品種そのものが失われつつ

嘉見カボチャの育種研究の現状と今後の課題の利用による幼首育成期間と場所の省力化平井らや機械を用いた幼百の定植辻らが成功しているためかなり栽培が容易になりつつある一方セイヨウカボチャは大果であることや着果位置が安定しないなどの点から収穫作業の省力化が今後の栽培上の課題といえる著者が調査したの手取り収穫におところでは株元着果性の

5 嘉見カボチャの育種研究の現状と今後の課題の利用による幼首育成期間と場所の省力化平井らや機械を用いた幼百の定植辻らが成功しているためかなり栽培が容易になりつつある一方セイヨウカボチャは大果であることや着果位置が安定しないなどの点から収穫作業の省力化が今後の栽培上の課題といえる著者が調査したの手取り収穫におところでは株元着果性の TCA いても他の株から伸びた蔓で果実が隠れてしまう Bh B 取ことで果実の発見が完全な懸性のよりも遅れたことからズッキーニに代表される嬢性型の品種開発が必要であろうまた果梗部が細図 5 カボチャの地方品種清内路カボチャの果実あったしかし近年これらの地方品種を地域のブランドとして活用しようという試みがあるニホンい品種ほど蔓からの切り離しが容易であるため果梗部の長さやその径も今後の重要な調査項目にな ) るといえる嘉見らさらに北海道のような大面積栽培の生産地ではカボチャでは宗麟カボチャ大分県セイヨウカ手取りによらない機械収穫機の開発は急務であるボチャでは宿難カボチャ岐阜県や清内路カボ利用面においてはカボチャの品質糖分デンプチャ長野県図 5 などが挙げられ現在はこれン含量色素と調理適性との関係が詳細に検討さら地方品種を用いた加工食品の販売や催しが行われていないことから果肉品質の特性と調理適性の関係を明らかにすることが今後の加工業務用品種れているこれらの地方品種の問題を挙げるとすればその維持管理にある大変有用な形質を持っていたとしても維持管理に失敗すると有用な形質どころか品種そのものが喪失しかねなしからである具体的には ①個人ではなくグループで管理すること ② 交配もできるだけ他品種の花粉が混じらない条件下で行うこと ③できれば集団交配というよりは自殖によって純系選抜を試みた方が望ましいこと ④受粉用の雌花や雄花は開花前日には袋がけをし日聞かかて花粉管核が旺珠に受精するのにることから Lg,Shg巴5 交配後も雌花は最低日間袋がけを維持することが望ましいただし ③の方法で自殖を繰り返すと近交弱勢が生じてしまう場合があるので同じ地方品種でもいくつかの系統を選んで維持しておき蔓の伸長着果率の低下や果実の肥大の程度が低いことが認められた場合は系統間で交配して地方品種を維持するように心がけたい 5カボチャの今後の課題カボチャについては品種以外にもセルトレイ苗育成において重要であるといえる引用文献 A,T C C G C R : - Fh,MDG 5N B h : Ehy - G A ら嘉見大助ら I 農作業研究嘉見大助グリーンテクノ情報 L,A EK ' k G R C E : Lg, B A日 D B P D R : P ら S h g,r 5 F : 杉山慶太ら北海道農業研究センター研究報告杉山慶太ら園芸学研究別 ): 平井岡 j ら園芸学研究 : 里子口裕司ら北海道園芸研究談話会報伊藤喜三男ら園芸学会雑誌別 ) 5 伊藤喜三男室崇人園芸学会雑誌別 ) 早瀬広司カボチャ農業技術体系野菜編 5農山漁村文化協会東京伊藤喜三男北農 :中川春一上村昭二 5 農業および園芸 : 5 野口裕司ら北海道園芸研究談話会報

カボチャの育種研究の現状と今後の課題 誌名 農業および園芸 = Agriculture and horticulture ISSN 著者 巻 / 号 嘉見, 大助 90 巻 8 号 掲載ページ p 発行年月 2015 年 8 月 農林水産省農林水産技術会議事務局筑

カボチャの育種研究の現状と今後の課題誌名農業および園芸 = Agriculture and horticulture ISSN 著者巻 / 号嘉見, 大助 90 巻 8 号掲載ページ p 発行年月 2015 年 8 月農林水産省農林水産技術会議事務局筑