半導体物理講義ノート 2017 年 0823 版 目次バンド構造概論 金属の自由電子模型 電子の状態密度 フェルミ (Fermi) エネルギー フェルミ球 確率の保存則 バンド理論 結晶の格子ベクトル--

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1 半導体物理講義ノート 7 年 8 版 目次バンド構造概論 金属の自由電子模型 電子の状態密度 フェルミ エネルギー フェルミ球 確率の保存則 バンド理論 結晶の格子ベクトル 逆格子ベクトル 結晶中の 電子のハミルトニアンの空間的構造 lo の定理 波数 に関する周期性と波数 のとりうる範囲 固体電子のエネルギーバンド 弱い束縛近似 平面波展開による固有値 固有関数の求め方 強い束縛近似 有効質量 グリーンの定理 次元の結晶における電子の運動 正孔 固体の電気伝導 ドルーデモデル フェルミ分布 ボルツマン方程式 半導体内のキャリアーの定性的な説明 不純物準位 熱平衡における不純物準位の占有密度 半導体電子の熱平衡分布 真性半導体 不純物半導体 キャリアーの濃度積 電気的中性条件 少数キャリアーの拡散と再結合 接合 拡散方程式による拡散電流の扱い 空乏層の幅 接合部での電流 ボルツマン分布 光検出器 問題 この講義ノートの著作権は 著者 矢野隆治 にあります 記述の間違いがあれば 連絡をお願いします

2 バンド構造概論 結晶中では電子が占有するエネルギー状態はほぼ連続となり エネルギーバンドを形成する そして結晶の 周期性によってエネルギーバンド間にエネルギーギャップが形成される この章ではこれらのエネルギー バンドとエネルギーギャップについて説明する エネルギーバンド結晶中では結晶間の距離がオングストローム 程度と近いため 原子の電子分布が隣接する原子の電子分布と重なる 電子はフェルミ粒子であり 個の電子が同じ状態を占有することはできない この原理をパウリの排他律 Pl lso l という 電子が占有可能な状態を作るために 電子のエネルギー準位は分裂し 新たなエネルギー準位が生成する このエネルギー準位の間隔は -8 程度と極めて小さいため ほぼ連続と見なされる このように ほぼ連続したエネルギー準位の一群をエネルギーバンド g b という 電子が詰まっているエネルギーバンドを充満帯 ll b という 共有結合結晶では 充満帯を占有している電子は結合に寄与しており 価電子と呼ばれている そこで 共有結晶では 充満帯の事を価電子帯 l b ともいう 一方 充満帯よりもエネルギーが高く 電気伝導に寄与するエネルギーバンドを伝導帯 oo b という ただし 伝導帯を占有している電子が電気伝導に寄与するためには 伝導帯がすべて占有されていない事 つまり伝導帯に空席がある事が必要である 結晶の周期性によって電子が占有する事の出来ないエネルギー領域がエネルギーバンド間に形成される この領域を禁制帯 ob b エネルギーギャップ g g またはバンドギャップb g という 禁制帯の大きさは電子エレクトロンボルト あるいはそれ以上の大きさである 右図に絶縁体 半導体 金属のエネルギーバンドを示す この図において 曲線がエネルギーバンドを表し 灰色部分が電子を占有している領域を示す 横軸は 後で述べるが 電子のもつ波数を表わす また 電子のエネルギーは上方ほど高い 図 のように 伝導帯が完全に空の場合 あるいは伝導帯に電子が充満している場合 電子は動くことができず この個体は絶縁体 slo になる 図 b のように伝導帯が部分的に % から 9% 程度 電子で占有されている場合 この固体は金属 l になる また 図 のように伝導帯がわずかの電子で占有されているかまたは価電子帯にわずかに空の部分 電子が入っていない部分 をもっている場合 この固体は半導体 soo となる この時 電気伝導に寄与する電子 即ち伝導電子の濃度は原子濃度のせいぜい - 以下である 多くの場合 半導体は 絶対零度において電子の満ちたバンド 価電子帯 と空のバンド 伝導帯 との間 のエネルギーギャップが小さい結晶である しかしこの数十年で G l のようなバンドギャップの極 めて大きな窒化物半導体の研究 青色 L など の進展があった

3 金属の自由電子模型アルカリ金属 L b など や貴金属 Cg などの金属では 最外殻の電子が特定の電子から離れて 結晶中を自由に動く事ができる この動く電子を 伝導電子という つの伝導電子に着目すると この電子に働くポテンシャルは 周期的に並んだ正電荷のイオンによる周期的ポテンシャル 右図 と着目している伝導電子以外の電子が作るクーロンポテンシャルである また 伝導電子が金属表面から外へ出るには大きなエネルギーを必要とするため 伝導電子は無限大の高さの障壁により金属内に閉じ込められている この様子を記述する一番簡単なモデルは 正電荷のイオンおよびその多数の伝導電子によるポテンシャルの寄与を空間的に一様なポテンシャル 金属内では一様 : ポテンシャル とする で置き換え 金属表面でポテンシャルが急激に大きくなる 無限大になる モデルである これを金属の自由電子模型という 一辺の長さ L の直方体で出来た無限大のポテンシャルに囲まれた自由電子のシュレディンガー方程式は L で とおいて H である さらに および L で とする 波動関数は の形にかけると仮定する 電子の伝播は どの方向に対しても同様の可能性があるため 上の形を仮定する さらに次の周期的境界条件を課して 進行波の解を仮定する 定在波の形の解は 電子の流れを示さない L L L 以下は 方程式の解き方の詳細 両辺を で割り算をする } 定数の関数の関数 任意の で等式が成り立つので この式は定数である ここで 電子は L では束縛されていない

4 ため 自由電子を表すとして 係数を - にとった に関しても 同様の扱いを後で行う 周期的境界条件から に対して 以下のような表式を得る ここで は整数である L L L に関しても 以下に示すように 同様の方程式を得る } 周期的境界条件を課すと 次のような波数が求まる ここで は整数である L L L 以上より 以下に示す波動関数および固有エネルギーを得る L L C ただしこれより エネルギーが を満足する状態数は L L を満足する量子数の組 だけある事が分かる

5 電子の状態密度 が不連続な整数の値をとるので 波数およびエネルギーも不連 続な値をとる 波数は / L で与えられるので ある整数 の組 が占拠する大きさは / L より / L である よって 波数の大きさが ~ の間にある状態数 は 半径 厚さ の殻の体積 4 を / L で割ることで与えられる 右図で 半径 の球の殻 殻の厚さ を考えると 4 / L / L L 4 単位体積あたりでは L とおけばよい エネルギー と波数 との関係は / / で与えられるので ~ の間になる状態数 は / / L L 4 L / / / / L 4 / / で与えられる スピンのアップダウンの因子 を考慮すると それぞれ L / / L 別の考え方 : 波数の大きさ を半径とする球の体積は / L 4 4/ であるので この球の中に含まれる状態数は / L である これを で微分する事で 4/ L / L 4 である ある整数の組 L を得る さらに スピンの自由度を考慮し 倍する が占拠する大きさは 4

6 5 フェルミ エネルギー フェルミ球金属の自由電子模型. では 絶対零度において 電子はエネルギーの低い準位から上の準位へと パウリの原理に従って 詰まっていく 電子を充填した時 電子が持つ最も高いエネルギーを エネルギーという 先に求めた電子の持つエネルギーが ~ の間になる状態数 を用い 単位体積あたりの電子数 電子密度 を求める において L とおいて / / / / / : / / / L L L L 絶対零度における エネルギー は 上で求めた関係式を逆に解き 電子数密度 を用い / / / / / / L となる 絶対零度では 電子は波数 空間で / を半径とする球の内部に充満している この球をフェルミ 球と呼ぶ また をフェルミ波数という 確率の保存則確率密度 * に関する保存則の導出をする * * * * : l H H Δ Δ Δ Δ の時間微分をすると * * * * * * * * * * Δ Δ Δ Δ Δ Δ ここで * * g を定義すると

7 6 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * } * * * * - これより をえる この式から は確率密度の流れと解釈できる さて 電荷密度の流れ 電流密度 は 電子の確率密度の流れ に をかけたもので与えられる * * * * 確率の保存則の式は 有効質量テンソルの厳密な導出.7 で 利用する

8 バンド理論 結晶の格子ベクトル 結晶の単位構造は どれをとっても全ての原子の組成 配列が等しい それらが多数規則的に配列する事で 大きな結晶を作る 右図は 種類の原子で作られた結晶の最小単位である単位構造を示す このような単位 構造は 単位胞とも呼ばれる 結晶において ある原子を原点に取り 原点にとった原子 例えば 図で 真ん中の灰色原子を原点にとっ て見よう から見た他の原子の配列を考えよう 原点にとった原子から図に示したベクトル または の適当な整数倍の移動で 原点にとった原子と同等の原子 灰色の大きな原子 に移る その原子から見た周 辺の原子の配列は 原点にとった原子から見た配列と同 じである この時 単位胞の体積は つのベクトル で囲まれる体積である 以上の考察からわかるように 単位胞の位置 は こ のような つベクトル と適当な整数 を用いて で表わされる このようにして作られるベクトル の終点は 規則正しい点の配列を作る この配列を格子と いい これらの点を格子点と呼ぶ をこの結晶の基本ベクトルという このようにして 単位胞の 結晶内での位置は決める事が出来るが 単位胞の中の原子の配置までは決まらない 逆格子ベクトル上で定義された の格子ベクトルに対して b b b b で定義されるベクトル b b b を逆格子における基本ベクトルと呼ぶ ここで および はそれぞれベクトルの内積と外積を表わす これらb b b と適当な整数 を用いてできるベクトル b b b を逆格子ベクトルという 格子ベクトルと逆格子ベクトルの間には b の関係がある 7

9 結晶中の 電子のハミルトニアンの空間的構造 空間的な周期性のある結晶における 電子のハミルトニアンの空間的な構造を考える 次元の周期的なポ テンシャル 中の 電子のシュレディンガー方程式は H H で与えられる 結晶は それを構成する最小単位である単位胞が規則正しく配列したものである よって 結 晶の中の電子が感じるポテンシャルは どの単位胞であっても 単位胞の同じ場所にあれば 同じポテンシャルになる すなわち 結晶の任意の格子ベクトル に対して ポテンシャルは が成り立つ よってハミルトニアン H は 結晶の格子での併進操作に対して不変である : H H これより H H となる よって 一般に複素数の解 がシュレディンガー方程式のエネルギー固有値 の解なら も同じエネルギー固有値 の解である lo の定理 結晶のような周期的なポテンシャル中の 電子の波動関数 において 格子ベクトル で与えられる併 進演算子 で が成り立つ これを lo ブロッホ の定理という 以下では そのいくつかの証明を示す lo の定理 / 証明その 空間的な周期性のある結晶において その結晶の任意の格子ベクトル に対して併進演算子 を定義し 電子の波動関数 を だけ位置をずらすものとする 結晶中の電子のハミルトニアンは 格子ベクトル に対して周期的な演算子であるので H H H H H H は任意の関数なので H H の交換関係が成り立つ 加えて 連続して つの異なる併進操作を行っても その順番に関係なく同じ併進操 作になる : 8

10 よって が成り立つ H H の関係式は この結晶内の 電子の固有関数として とハミルトニアン H が互いに可換な演算子である事を示す よって と H の同時固有関数 を選ぶことができる の固有関数で もあり H の固有関数でもあるような 波動関数 が存在するという事 * すなわち H である よって複数の併進操作を考える事で における次の関係式を得る = * 注意 あるエネルギー固有値 に対応する波動関数が複数 エネルギー縮退している の場合は 複雑に なるので 詳細な考察が必要だが 結果は変わらない さらに注意 次元の束縛された系では つのエネ ルギーに対応する固有状態の縮退はない しかし 結晶中の 電子の運動は完全に束縛された系ではない で波動関数 ではない ため 縮退している可能性がある 次元の場合も同様である さて 格子ベクトルは 基本ベクトルを を用いて で与えられる そこで = の関係式がなりたつ そこで 結晶の格子ベクトルを作る基本ベクトルに関する係数 について考えよう ~ 一般には複素数 について と書く事にしよう は 一般には複素数である しかし 波動関数がその物理的内容を変えない事を要求すると 実数になる もし に虚数成分が存在すると または となるため 無限回の併進操作で波動関数が発散 + またはゼロになるという 不都合が生じる よって は実数でなければならない 注 : が実数のとき である 関係式 = を何度も用いると 任意の格子ベクトル に対して となる これは を係数 これらの係数が実数である事以上の制約は この段階ではない とする 逆格子ベクトル b b b b 9

11 を用いて と書ける まとめると ---- となる 結晶中の 電子の波動関数が の形を持てば の置き換えで となる 一方 関係式 から これらは等しいので の関係式を得る これらの関係式が lo の定理 の一部 である 電子の波動関数 の波数 に関する周期性と波数 のとりうる範囲 結晶中を伝播する電子を記述する波動関数は 規格化定数を別にすると の形で記述される ここで は原子の場合の主量子数に相当する バンドを指定する量子数である 一方で波数 は 以下に示すように 一意的に決まらない を結晶の逆格子ベクトル を格子ベクトルとする その時 が成り立つ を波数 を中心として逆格子ベクトル でフーリエ展開する " " の波数の変換 " " " これは 結晶中の 電子の波動関数 lo 関数 が 空間において逆格子ベクトル の周期性を持つ事を示す つまり は と同じ関数である このように 同じ波動関数を指定するのに際して の値は一意的に決まらず 逆格子ベクトル だけの任意性がある そこで の差異を持たないすべての波数 の数およびその範囲について考えよう その際 波数 は を中心とする取り方が有用である そこで 波数 のとりうる範囲について考えよう 波動関数に より厳しい周期的境界条件を課す を 軸方向の単位胞 結晶を構成する最小単位の構成物のこと これが縦 横 奥の 方向に積み重なって 結晶が出来る の数とし 以下のような厳しい条件をとる

12 この制約 位相を含めて 関数の形が同じ は 次のような条件 は整数 を課すことになる これより 以下の関係式を得る 波数 は b b b b で与えられる 大抵の教科書では 波数としてこのような値とする 波数 の値は一意的に決まらず 既に述べたように 任意の逆格子ベクトル だけの任意性がある このため の値は を満足する範囲で扱うことになる そのほうが何かと便利で判りやすいから 波数 の取りうる数は 結晶格子の単位胞の数 である まとめ結晶の任意の格子ベクトル に関して ポテンシャル は が成り立つ を結晶の逆格子ベクトル 結晶中の 電子波動関数を とすれば が成り立つ lo の定理 / 証明その 次元の周期的なポテンシャル 中の 電子のシュレディンガー方程式は H H で与えられる ポテンシャル は結晶の周期 に関しする周期関数である : よってハミルトニアン H は 結晶の格子での併進操作に対して不変である : これより H H

13 となるので 一般に複素数の解 がシュレディンガー方程式の解なら もその解である 一般に 階の微分方程式は つの独立な解を持つ そこで シュレディンガー方程式の解として 同じエ ネルギー固有値 に対応する独立な つの実数解の波動関数を と としよう と は や とは異なる解の表現である に対する os s のようなもの もちろん と も同じエネルギー固有値 に対応するシュレディンガー方程式の解であるので それらは既知の実数係数 を用い と の線形結合で書ける : また と の適当な線形結合により シュレディンガー方程式の複素数解 を作ることが出来る は 同じエネルギー固有値 に対応する波動関数である 係数 は一般に複素数 である : このようにして作った波動関数 が の係数を用いて を満足するとする このような条件を満足する波動関数が存在する条件を求めよう 最初は の周期性から 係数の間に成り立つ関係を求めよう よって を得る つづいて : よって をえる このようにして得られた つの等式 :

14 は 任意の の値で成り立つので それぞれの関数の係数が等しい これらの等式を 行列で表す これらは である解を要求 = だと 常にゼロの値の関数 興味なし すれば の固有値方程式になる この方程式の解 固有値 が である それらの値に対して の行列の成分が決まり つの独立な解 が求まる それらの解の間で が成り立つ いずれも の形である 次に 原点は適当にとれるので のようにとる シュレディンガー方程式で の変換をすると : H H H H となるので H H をえる これから分るように がエネルギー固有値 の解なら もおなじエネルギー固有値 の解である 最初は 固有値が の形である事を示す 関係式 において で置き換えた後に の置き換えをする : 従って は / で と同じ性質を持つ ところで シュレディンガー方程式は

15 階の微分方程式なので つの独立な解を持つ よって である すなわち 置き換え : が と異なる独立な解であるなら は とは独立な解であるから が成り立つ よって を得る 行列式 = の解 は 実数か複素数である 実数の場合は を実数として とできる 一方 解が複素数の場合は を実数として とできる は実数である 先の関係式より または をえる の場合 が大きくなると波動関数は指数関数的に増加または減少する解であり 結晶中を 動く電子の定常状態の波動関数としては 不適切である o よって 物理的には の値を許容する 定常状態を表す関数は が適当である 次に を示す 最初は で考察 とおくと を得る 同様にして で考察する とおくと いずれにても が成り立つ 以下 電子の波動関数 の波数 に関する周期性と波数 のとりうる範囲については 省略する 次元の場合の証明も省略する 4

16 固体電子のエネルギーバンド 弱い束縛近似 つの電子の波動関数を平面波で表す近似 結晶内の 電子の波動関数を とおくと lo の定理から は格子ベクトル に 関して を満足する周期関数である よって 逆格子ベクトル を用いて をフーリエ展開 する 次式において は逆格子ベクトル で振動する項 の振幅である 次式で与えられる電子の波動関数 をシュレディンガー方程式に代入し 振幅 に関する方程式を導く なお / は次のようである 上で定義した をシュレディンガー方程式に代入すると Δ } } ここで 両辺に をかけて 結晶全体にわたって体積積分 に関する積分 すると } ここで の計算 の時は を結晶の体積として の時は 以下のように考える 波数 は を整数として.7 参照 b b b b で与えられた は逆格子ベクトルであるので も逆格子ベクトルである よって " " を整数として " " b " b " b " 5

17 6 とする 結晶格子の基底ベクトル 方向の単位胞の数 を用いて 結晶内の位置ベクトルを と表わす 体積積分は に関する積分に変える 体積積分の 成分は " = 整数になる場合は " " " " " になる これを利用して体積積分を実行すると の時 になる 以上をまとめると の時のみ の値をとる 実数であるポテンシャル を波数で o 展開した係数を以下のように定義する * * の定義から * の関係式を得る このように係数を決めると } } この式で 波数の交換 を行うと に関する方程式を得る に注意する事 ** } } } これは 成分が } である行列 と列ベクトル との積がゼロ となる式である 具体的な計算方法を理解するため 波数は全部で としよう その時 上の式 ** の連立方程式は

18 7 となる この解から 固有エネルギー が求まる もし 行列に逆行列が存在するなら になる この解には興味ない なぜ興味のない解は 考えよ ので 除外する すると 行列式 = から固有エネルギー が求まる この行列式から求まったエネルギー固有値を用い を について解く事で 結晶中の 電子の波動関数が求まる さて のフーリエ展開の定数項 は すぐ下の式で示すように ポテンシャル を結晶全体にわたって平均した値である : さらに行列 については 対角項を次のように式変形できる そこで 実際の計算では を求めるべき固有値 エネルギー固有値 として扱い 得られた値に を足すこと で エネルギー固有値が求まる 次の行列式 = を見よ

19 平面波展開による固有値 固有関数の求め方自由空間 ポテンシャル での 電子の波動関数を とする この時 周期的な変化をするポテンシャル を導入する事で 波動関数およびエネルギー固有値がどのように変化するかを 上で得られた固有値方程式から求める ポテンシャル は 逆格子ベクトルでフーリエ展開し その係数 を用いる ポテンシャル のフーリエ係数 は 以下のように定義されている 波動関数やエネルギー固有値を近似計算するため とおく ここで は近似計算での次数を明確にするため導入したパラメーターであり 計算終 了時に とおく の置き換えになる での電子の波動関数も同様にフーリエ展開する 係数 は 行列の積の方程式 に代入する事で 求めるべきものである ここからは 具体的な計算方法について述べる で となることから での係数として を得る は 現時点では 決まらない エネルギー固有値も のように に関する級数で展開する の次数が近似の次数であり の次数が高くなるほど近似の精度が 高くなる このようにして の次数に関する の級数展開の式 の方程式を導き 近似解を求める これらの に関する級数展開を すでに導いた式.6** に代入する } ---** 再掲示 代入後 に関する級数として式を整理し 全ての の係数 = とおいて を求める 計算では 次数の低い の係数の計算から始めて つ高次の項の計算へと進む 最後に とお いて 近似解を得る の級数で解を近似したのは 計算が混乱しないための方便である 8

20 9 } } 次数 注意 : の項 } とすれば より を得る : 次の項一般の では に関する式から が求まる 注 : 次の係数では のみ } } } } } } よって 周期的ポテンシャルに関する 次までの近似で 電子の持つエネルギーは となる 運動エネルギーと位置エネルギーの和が 全エネルギーとなっている 一般の では に関する次式から が求まる } に / を代入し } 但し をえる この近似解は である場合は正しい さて この近似解では を満足する は非常に大きな値になり 妥当な値ではない そこで を満足する で それ以外の では として計算を進める その際

21 を満足する は非常に大きな値となるため 摂動計算で近似解を求める方法は妥当ではなく 元の厳密な式に立ち返る必要がある 以下 その計算 での振幅 および での振幅 の式は / として } } : } } : } である の解を持つためには 行列式 = が必要 これから を求める 4 } } すなわち を満足する つの波数 に対して どのような を取るのかは 後で示す となり エネルギーの縮退は解け だけ分離する 右図は 次元の場合のエネルギー図 破線は自由電子モデルでの 実線は周期的ポテンシャルでの エネルギーの波数依存性を示す 自由電子モデルでは連続であったエネルギースペクトルが 周期的ポテンシャルの影響でエネルギーギャップを生じ エネルギーバンドが形成される

22 次元では 格子定数 での逆格子ベクトルは / およびその整数倍で与えられる これを示せ エネルギー縮退が生じる波数の条件 は 次元では すなわち である よってバンドギャップは / の波数で生じる事が分かる さて エネルギーの縮退が解ける波数の点では と のなす角度を として とすると os os os os が成り立つ これは が逆格子ベクトル を垂直 等分する面上にある事を示す 上で見たように 縮退がとけるベクトル では その終点が逆格子ベクトル を垂直 等分する面上にある この手続きに従って つの逆格子点を中心として これに逆格子点に到るベクトルを垂直 等分する面によって作られる逆格子空間の部分を 第 ブリユアン領域という 右図は 逆格子の 次元正方格子 黒点 のブリユアン領域を示す 灰色が第 ブリユアン領域 最も近い格子点 4 点との垂直 等分線で囲まれた領域 であり 縦線の箇所が第 ブリユアン領域 次に近い格子点 4 点との垂直 等分線で囲まれた領域から第 ブリユアン領域を引いたもの である さて の時 として 波動関数を求める } } となる 複合同順 以下では簡単のため が実数値をとり かつ としよう 振幅 は と求まる

23 続いて を満足する波数 を求めよう よって に垂直な成分を とすると となる 波数 に垂直であれば はどんなベクトルでも良い 続いて 高いエネルギー に対応する波動関数を とすると os } 低いエネルギー に対応する波動関数を とすると s } と は 定在波になっている なお の時の波動関数は と を入れ替えたものになる 大抵の場合 波動関数はほぼ進行波の形でよいが バンドギャップに近い場合は 定在波になっている 波動関数が s / os / の場合 自由電子モデルでは同じエネルギーを持つ しかし周期的なポテンシャルの中では 電子が原子付近に存在する確率がこれら つの関数で異なるため 異なるエネルギーを取る

24 強い束縛の近似 電子がつの原子に強く束縛されている波動関数を用いた近似 固体はマクロな数の原子が集まった巨大分子であると考えると 分子と同じ方法で扱える 原子核は 原子間相互作用のポテンシャルが極小になる点を中心に微小振動すると考え エネルギー準位を検討する 問題によっては電子の運動と原子振動の相互作用も考慮する必要がある 固体には結晶と非結晶 oos sol の 種類あるが ここでは原子の配列に規則性のある結晶について考える 結晶の特徴は原子核が周期的に配列している事である 一番簡単なモデルは 個の同種原子が 等しい間隔 で 軸上に並んでいる一次元モデルであるが 結晶の場合周期性が必要になるから 長さ L の環状に並んだ 次元モデルで考えよう このモデルでは 最後の原子に位置の次に最初の原子が来る 周期的構造を仮定する 電子は 周期性 を持つポテンシャル場を互いに独立に運動する 電子同士の相互作用を無視する とする 電子のハミルトニアンが H で与えられるとし その固有値を求める 結晶中の電子のエネルギー固有値 エネルギー準位 は エネルギーバンド g b と呼ばれるほぼ連続的なエネルギー準位の集合であり バンドとバンドとの間には 準位を全く含まないエネルギーギャップ バンドギャップともいう が存在する 孤立電子のとびとびの準位が 結晶中では連続的なバンドになる事を示す 強い束縛の近似 次元結晶の原子核が に固定されている 原点に局在化している 束縛されている 電子の規格化された波動関数を とすれば 結晶の 番目の原子の位置 に束縛されている電子の波動関数 は で表わされる 原子間隔 が波動関数 の広がりと同程度になると 電子は原子から原子へとトンネル効果によって動く そのため 孤立原子 ではとびとびの値に存在していた電子のエネルギー準位が 結晶中では連続的なバンドになる 結晶での電子の運動は 波動関数 を用いて記述する場合 複数の波動関数 ~ の重ね合わせで表わすのが適当だろう そこで 電子の波動関数を 次のような電子の波動関数の重ね合わせの形で近似しよう 係数 は に依存する 結晶を大きな輪 周期的境界条件 と見なすと は の周期性を持つので が成り立つ

25 4 から が成り立つ 波動関数の係数の比較から を得る さらに 位置 で見た波動関数は位置 でみた波動関数と物理的に同等と見なせる すべての原子は同種であるとした ので と は係数を除いて等しい そこで係数 C を用いて 次の関係式を得る C C C よって C をえる この式を利用し 以下のようにして係数 C を求める C C ここで周期的境界条件 から得られた関係式 に注意すると l を整数として C l l l C となる l を 変化させると は 変化するため C の値は変化しない よって の値も不変である よって 独立な係数 C を与える l として l で与えられる 個の値に限ろう この を還元波動ベクトルという 波動関数は次式で与えられる C C は定数である さて には次の ~ の性質がある なお の中で定義される関数 は次のように定義されている C C C C

26 と置くと が成り立つ となる そこで の性質 を用いると が成り立つ ~ の性質を lo の定理という 次に バンド構造を考えよう まず 波動関数 を規格化する * C C C / * ここで 電子の波動関数 が十分局在化しているとして 異なる波動関数同士の内積を無視する次の近似 を用いた * エネルギーの期待値は H * H 電子の波動関数 の重なりは大きくないとして 積分は のみを残す : } os * H * H これは と の間に 個のエネルギー準位がある事を示す をバンド幅という 原子間 隔 が増加するにしたがって幅は狭まり の極限で孤立原子のシャープな準位 重に縮退している が得られる スピンのアップ ダウンの つの向きを考慮すれば つの状態に つの電子が入る事ができる よって 個の原子で作られる結晶の つのバンドの中には 個の状 態がある 5

27 6 有効質量電子の運動を 波束の運動と見なして その運動を考察する 周波数および波数が近い つの電場 平面波 の重ね合わせを考える 図では 赤色 破線 と青色 実線 の つの波が該当する これは os となる つの波の重ね合わせ 緑色の波 は 包絡線 緑の曲線を囲む つの黒色破線 を持つ波の伝播である なお黒色の破線は関数 os を表わす この包絡線 黒色の破線 の移動する速度は 位相速度 / では進まない 簡単のため が 成分のみを持つとすれば os の中の因子が時間的に変化しない条件から つの波の重ね合わせは g で進む g を群速度という この関係式を 電子の関係式に書きなおす g を結晶中の電子の速度 と読み替え の関係式を用い 偏微分を 次元での扱いに拡張 波数 の 成分での微分 すれば 電子の速度 は g で与えられる よって 速度の時間変化は である 外部から加えられる力により 電子は運動をする 電子のエネルギーの時間変化は 荷電粒子に掛かる電場 による単位時間当たりの仕事量を考えると となり 電場 による電子のエネルギーの変化 / は 波数の変化を通じて行われる この式を速度ベクトルの微分 / に代入し 微分の順序を交換すると となる 成分で書くと 質点の運動方程式 :

28 7 との類似性から 以下で定義された有効質量テンソル ~ を用いて ~ ~ となる もし が に関して一様であれば 有効質量テンソルはスカラーになる その時 * で与えられる * を有効質量という この式は 結晶中の電子が有効質量 * を持つ自由電子のように電場により加速される事を示す 有効質量 * は 空間におけるエネルギー曲面の曲率半径に反比例する 一方 電場 による電子のエネルギーの増加は波数 を通じてもたらされるので 波数 に関する時間変化の式 運動方程式 は 以下の式で与えられる.6 有効質量の厳密な導出波動関数 のシュレディンガー方程式は 一般に次のとおり ポテンシャル は実数なので * である事に注意 * * * * : l H H Δ Δ Δ Δ 電子の波動関数の性質続いて 結晶中の波動関数 C に対する基本的な性質を確認する C は積分定数 定常状態の結晶中の電子のシュレディンガー方程式 固有値方程式 は C C Δ である ポテンシャルおよびエネルギーは実数なので * * である lo の定理では 結晶中の電子の波動関数を とおいたとき

29 8 が成立する この関係式を用いて 結晶中の波動関数に関するいくつかの関係式を導出する 最初に結晶中の単位胞を番号付けし 最初の単位胞を とし 最後を とする 番目の積分領域を で表わす 任意の単位胞の格子点を表わす格子ベクトルを とすると 番目の単位胞での の体積積分は となる 積分変数を に変換すると 体積積分する空間は 単位胞 から単位胞 に変わる ここで を利用すると 以下の関係式を得る つまり の体積積分をどの単位胞で行っても 同じ値になる 続いて 異なる波数における波動関数の内積を見る ここで は結晶全体での体積積分である は 番目の単位胞での体積積分を意味する * * * この積分を 個の単位胞での寄せ集めにかえる * * * * * ここで積分の中の変数ベクトル は 番目の単位胞内を動く lo の定理 を用いると 積分の変数 は 単位胞 の中を動く事になる

30 9 * * * 積分の項は に無関係な積分であるため * * * 続いて " とおいて の評価を行う 波数ベクトル と格子ベクトル は " " " " b b b b で与えられる は 方向の単位胞の数である であり 格子ベクトル の に掛かる係数 整数 はお互いに独立に選ぶ事ができるので 総和 Σ では を独立に取れる / " / " / " / " / " / " " " b さて "/ の時 " = 整数となるので / " " / " / " 一方 "/ の時 / " となる さて. 4 参照 波数ベクトルの各成分の大きさの範囲について "

31 がなりたつ 同様にして " " である よって となる 以上から 単位胞における の体積積分を とすると : * となる 電子の波動関数 C は 規格化されていない 規格化定数 C を結晶全体での積分から求める C C C / * 以下は 有効質量導出の計算の詳細さて シュレディンガー方程式に規格化された波動関数 / を代入する Δ さらに両辺を に関して微分する } } } Δ --- 各項の計算をする 左辺の第 項は } } Δ となる 続いて 左辺第 項は } } } 右辺は

32 } } } } これより 次式 を得る } } --- さて 式の左辺第 項 : の計算は これを利用すると ここで がシュレディンガー方程式 の解であることから

33 となる これを利用し 式は --- となる は の関数であり の関数ではないため 空間積分では定数 の左辺から * をかけて空間積分を行うと ここでの空間積分 は 電子の流れのるある領域であり 必ずしも結晶全体ではない * * * 式の右辺第 項 = となる事の確認ここで 演算子のエルミート性と がハミルトニアンの固有関数である事を用いて 右辺第 項を計算する }* * が成り立てば 演算子 はエルミート演算子である * * または後ほど示すグリーンの定理.5 を利用すると

34 * * * * S S が成り立つ 最初の等式はグリーンの定理である 次の等式 = は 波動関数に対して周期的境界条件をとっているため 表面積分において波動関数などの外向き方向の微分の面積分は 相対する面同士で打ち消しあうからである これから * * を得る この結果と がハミルトニアン H の固有値 に対応する固有関数である事を用いると * となる. 4 式の右辺第 項 = の証明の仕方は上で示したように複数あるが いずれにせよ 4 式から * を得る は実数であるから その複素共役との和をとって で割ったものとも等しい * * * * * * 電流密度は すでに求めた.6 ように * * である これと すでに求めた次の式 * * とを比較し さらに の微分も行うと 電流 は

35 4 で与えられる これを で割ると 電子の速度 として を得る ここで ド ブロイの関係式 を用いて 結晶運動量 を定義した 外部から電子に加えられる電場 電子のエネルギーとの混乱を避けるため の代わりに を用いた と電子の単位時間あたり移動したベクトル量 速度 との内積 即ち電子が受けた単位時間当たりの仕事量の分だけ 電子のエネルギーが変化するので エネルギーの時間変化は次式.6 で与えられる 速度ベクトルの微分は 上の式を利用して 微分の順序を交換し である 成分で書くと 質点の運動方程式との比較 から 以下で定義される有効質量テンソル ~ を用いて ~ ~ となる もし が に関して一様であれば 有効質量テンソルはスカラーになる その時 * で与えられる * を有効質量という この式は 結晶内の電子が 有効質量 * を持つ自由電子のように 電場により加速される事を示す 有効質量 * は 空間におけるエネルギー曲面の曲率半径に比例する

36 5 グリーンの定理ガウスの定理 S S において g とおく は任意のスカラー関数である S S g g g g g よって S S } g g g ---- と を交換して 以下の式を得る S S } g g g ---- これら つの式 を引き算すると S S } g g この関係式を グリーンの定理という

37 次元結晶における電子の運動 次元の結晶における電子の運動を考えよう 電子に加わる電場ベクトルを とすれば.7 となるため 時間の経過とともに は一定の割合で増加する は エネルギー の波数 依存性を示す b は結晶中の電子の速度の波数依存性であり の微分により得られる.6&5: く 最初点 O にいた電子は 図 b に見るように 電子の速度は増加してい 方向の速度の向きを+にとる 付近で である / となり の増加に伴い 速度 が増加する が 点 で極大になり その後速度は減少し ブリユアン領域の端点 / で速度 =ゼロになる 点 は点 C と同等の点である 注 意 :lo の定理で を結晶の逆格子ベクトルとすると が成り立つ事. を思い出そう このため 点 と点 C は同等である 下の 注 を見よ 点 C から議論を再開する が の偶関数なので / は の奇関数である事に注逸する事 の増加に伴い 速度は点 の地点に なるまで減少し続け 速度はマイナス - の値を持つ 点 で再び速 度は増加を始め 点 O に戻る このように 電子は一定の電場のもとで 往復運動を行う 実際は 格子振動や欠陥との衝突などにより 電子の 運動が妨げられるため 電子がこのような往復運動をすることはないだ ろう 注 波動関数の同等性 から b の 点とC 点 / は同じである よって C が成り立つ 然るに は偶関数であり / から C となる C かつ C となるのは C の時だけである よこれより b のとCでは 速度 =ゼロになる 6

38 正孔 波数 を持つ電子による電流は 電荷を 速度を とすると 電子 個では J と書ける つのバンドに電子が充満している時は 全電流はゼロになる これは バンド内の任意の方向に 走る電子と同数の 逆向きに走る電子が存在するからである すなわち J である ここで はフェルミエネルギー.5 に相当する波数の大きさである ある波数 をとっても それと反対方向の波数成分 を持つ * ため バンド内の電子の流れの総和としての電流 =ゼロとなる その 状態で バンドの中である つの状態 の電子を取り除く そうすると電流は J となり 取り除いた電子の箇所に 速度 で運動する の電荷が存在するように見える つまり 電子の抜 けた穴は あたかもそこに正の電荷があるように振舞 う この電子の抜けた穴を正孔と呼ぶ * ハミルトニアンの時間反転対称性から エネルギーに関する対称性 が成り立つ これから が成り立つ 証明は省略する 価電子帯において 電子が充満している状態から 個だけ電子が抜けた状態 正孔が 個 での正孔の運動 を考えよう そのため まず価電子帯における 波数 の電子 個の振る舞いを理解しよう 電子に電場 を加える 価電子帯のエネルギーバンドは 上に凸の構造をとるため 電子の有効質量は負の値 をとる 有効質量 の電子の運動方程式は 正孔は の電荷を持つため 正孔には の電場による力が働くと考えられる よって 先の電子に対する運動方程式に - を掛けると となり 質量 電荷 の正孔の運動方程式になる 偶関数 が成り立てば は の奇関数 すなわち が成り立つ " " " 7 " " " "

39 固体の電気伝導 結晶中の電子の電気伝導 つのバンドに収容できる電子の数は を原子の数として 個である 電子の充満しているバンドでは電流はゼロになる 電子がバンドに充満していない時でも 外部電場をかけない場合 球の電子は全ての方向に動く電子を同数含んでいるため 電流は流れない 伝導電子の速度は すでに示した.6 ように g g で与えられる またエネルギー は波数 に関して偶関数.7 の * を見よ であるから は波数 に関して奇関数となり 全電流 I は I ここで に関する和は 電子によって占められた 球全体にわたっての和である 自由電子の場合は / は有効質量 を用い I となる 金属内電子は 空間的に一様であるため 電流密度 は 電子の平均速度 電子密度 を用い て I となる ここで は 考えている物質全体積である 電子がバンドの一部を満たしている状況で電場 が金属に加えられると 結果としてフェルミ面近傍 波 数の大きさが ~ / である波数.5 の電子が加速される 右図 ので 伝導電子の平均速度は ゼロでない値をとる 加える電場の大きさが十分に強ければ エネルギー的に上のバンドに電子が遷移し 電流が流れる可能性があるが 大抵の場合 そこまで電場の大きさは大きくは無く バンド間遷移は起こらない 全ての が充満している場合 絶縁体に該当 は 充満したバンドにいくら電場を加えても様子に変わりがない. 6 ので 電流は流れない こでは 印加する電場の大きさが大きくなく バンド間遷移をしない場合を考える 物質に電場を印加すると 右図に示すように 電子は 球に掛けられて電場の向き と逆方向へ平行移動する この時 電子の持つゼロでない平均速度 を流れの速度またはドリフト速度という この平均速度を改めて で表す 8

40 電場により電子の運動は加速され速度が増大するため 電流の流れが定常にならず 定常電流が得られない.6 しかし実際の電子の運動は 衝突や散乱により加速が抑制され 一定の電流密度 を持つ そこで 電子の衝突 散乱の原因について考えよう 規則正しく配列した原子で出来ている結晶のハミルトニアンの固有状態として電子の波動関数が存在する この固有状態は 理想的な結晶では 原子は規則正しく配列しているため 電子は自由に動く事ができる つまり規則正しく配列した原子により電子が散乱される事はない 電子が散乱されるのは この規則性から逸脱した状態である原子の格子振動 規則的な位置からのずれ や不純物が原因である 結晶格子の不完全性は 周期的ポテンシャル場の乱れを引き起こすため 電子の散乱が生じる また 電子同士の相互作用も周期的ポテンシャルを歪ませるため 散乱の原因となる 上記の事を理解した上で 外部電場がある時の電流について 次元バンドモデルで考えよう 外部電場 = ゼロ では 伝導帯の電子は互いに逆向きの波数を持つ電子があるため 全体としての電荷の 流れはなく 電流 = ゼロである 外部電場が加わる b と 電子が加速される 電子の波数の運動.7 は 外部電場 とすれば / / から として に増加する よって 電場の大きさが小さい場合 例えば b のように 側の電子の個数が 個減少し 側の電子の数が 個増加する 結局 電子 個分 側の電子が増加するので 電流が流れる さらに外部電場が大きくなる と 側の電子の個数がさらに 個減少 し 側の電子の数がさらに 個増 加する 結局 電子 4 個分 側の電 子が増加するので b の場合よりも大き な電流が流れる 電流を自由電子模型で扱うと : 相殺されずに残っている電子の数密度 から 電流密度 I は I : 電流に直接関わる自由電子のおよその速度 で与えられる 直接電流に関与する電子の速度はほぼ一定 厳密には一定でない で 電子数密度 速度によ る相殺がされないで電流に直接関わっている が外部電圧により変化すると理解できる これは ドルー デモデル 電流に関与する電子数密度は一定で 電子の速度が変化する と真逆の扱いである ドルーデモデル結晶中の電子に電場 が加えられると の方向へ加速される また 電子は格子振動や不純物によって散乱され 電場から得た運動量 を失う は電子の持つ有効質量である 伝導電子の散乱時間および衝突時間をまとめて つの時間パラメーター で表わす 自由電子の運動方程式は で与えられる 電場による加速と散乱 衝突が釣合った後は 定常状態となるので 9

41 となる ここで は 大きさが の電場での電子の平均の速さを与え 電子の動きやすさの目安を与えるの で ドリフト易動度 または簡単に易動度とよぶ 外部から加えた電場による電流を ドリフト電流という 注意 : ドリフト速度は 波数ベクトル での速度を表しているのではなく 電子が電場により得られる速度 の平均を表す 全ての自由電子が 電流に関与するとする模型である この時 電子密度を とすれば 定常状態における電流密度として I この電気伝導度 伝導率 の表式は ドルーデ の式と呼ばれる 電子の濃度 有効質量 * 易動度 緩和時間を とし 正孔の濃度 有効質量 * 易動度 緩和時間を とする その時 電子と正孔のドリフト速度 および電子と正孔のドリフト電流密度 J J は 以下の式で与えられる * * J * J * フェルミ分布 アルカリ金属での電子の有効質量 * は電子の質量 とほぼ等しく フェルミ面はほとんど球面である 従 って * とおいた平面波近似 自由電子モデル で多くの実験事実が説明できる 自由電子モデルでは 絶対温度 において フェルミエネルギー までの状態は電子で完全に占拠され よりも上の状態は完全に空いている 化学ポテンシャル ボルツマン定数 絶対温度 を用いると 電子がエネルギ ー である状態を占拠する確率は フェルミ ディラック分布関数 / で与えられる また 電子の有効質量 * の時 電子のエネルギーは * で与えられる 4

42 4 ボルツマン方程式伝導電子の速度分布を考慮して電気伝導度などを議論する必要がある 電子論では 運動量 の代わりに が頻繁に出てくる そのため 座標と波数の組み合わせ で状態空間として取り扱うのが便利である 波数 は離散変数であるが 巨視的な系では 連続変数として扱っても問題ない そこで系の単位体積 = をとって 状態空間のある点 のまわりの体積要素 / 因子 はスピンの多重度 の中にある電子の数を /4 とし これにより電子の分布関数 を導入する 時刻 における結晶中の電子の状態を で表わすと 時間 経過後の電子の状態は で表わされる 時間経過に伴う状態の移動では 体積要素 / そのものは不変である 大雑把な言い方をすれば 散乱などの外的な乱れが電子に加わらない時 点 の状態の電子が時間 経過後に に移動するのなら その周辺部分の電子は 点 の周辺部分にそのまま留まると考えてよい 電子数の変化がない しかし 現実の系では 不規則に配列された格子 格子振動による散乱や 電子同士の衝突などにより 電子数は変化する 時間幅 の間における体積要素 / の中の電子数の変化は 時間幅 の中で電子が受けた散乱や衝突などにより変化すると考える そこで衝突により変化する電子数を oll 4 と書けば oll 4 4 となる よって oll 以下 この式の導出 : 電場 を加えると 電荷 の電子は 波数空間 において に従って運動する この式を用いると oll 4 4 衝突の項は 次のように近似する 外部からの何らかの力が働かない時 十分時間が経過した時の分布関数が で与えられる 電場 もない定常状態で 時間依存性なし とし 衝突により分布関数が に達するまでの時間を とすれば 衝突の項は 次式で近似できる oll

43 4 この衝突の近似を用いると 次式で表せるボルツマン方程式を得る 定常電流での電気伝導度外部電場を結晶内の電子に加えた時の定常状態での電流を考えよう 十分時間が経過した定常状態では 時間微分 / とおける さらに分布関数 が空間的に一様である / と考え とすれば ここで 以下の式変形と近似 を用いると と近似出来る 定常状態を仮定しているので 右辺では に時間依存性が欠落している事がわかる 電流密度 は となる ところで は定常状態の分布関数であり は奇関数である よって の積分の項はゼロである これより 4 4 電流密度 成分は とすれば 方向に流れる電流および電気伝導度 は 4 で与えられる

44 半導体内のキャリアーの定性的な説明 IXI 族の S G 結晶中に入った X 族の不純物 P s Sb などは それぞれ持っていた電子 個を伝導帯に供給するので ドナーと呼ばれる これに対して IIIXIII 族の不純物 l G などはおのおの不足する電子 個を価電子帯から受け取る事によって正孔 ホール 個を価電子帯に放出するので アクセプターと呼ばれる 不純物準位 半導体のキャリアー密度に寄与する不純物は ドナー: 伝導帯に余分の電子を供給するドナー不純物は 純粋の 母体 物質を作っている原子よりも大きい原子価を持った原子 アクセプター: 価電子帯に余分の正孔を供給する 価電子帯から電子を捕獲する アクセセプター不純物は 純粋の 母体 物質を作っている原子よりも少ない価電子を持った原子 ドナー不純物の場合 例 :IXI 族半導体中の置換型不純物 下図は 純粋のゲルマニウム G の結晶で G のつをヒ素 s で置き換えた場合である G イオンは 4 個の価電子を持つ P や s イオンは 5 個の価電子を持つ s と G の間の大きさなどの差を無視すれば G 原子を s 原子で置換する事は G 原子を取り除かないまま G 原子の位置に固定された正電荷 + と一個の電子 - を追加する事と同じと見なせる 半導体を一様な物質として扱う近似では G 半導体に添加されたヒ素不純物は 一様な物質中に固定された + の点電荷として表される 追加された電子は書いていない これがドナー不純物をドープした半導体の一般的なモデルである s 原子の 5 個の荷電子のうち 4 個は隣接する 4 個の各 G 原子からの価電子とそれぞれ共有結合をする s は結合に 4 個の電子を使用しても 個の電子が余る 結合に関与しない 5 番目の電子は遊離して s 原子の位置に固定された + の電荷 s + イオン を中心として クーロン力によって s イオンに弱く束縛された状態をとる この状態は 電子がドナー準位に束縛された状態である 半導体の温度が上昇して 熱エネルギーがクーロン力による電子の束縛エネルギーよりも大きくなると 電子は伝導帯に励起され 自由に動くようになる このように s は電子を伝導帯に供給するので ドナーと呼ばれる 供給される電子をドナー電子という 4

45 さて 正電荷 + は電子 個を捕えることができるが その結合エネルギーは弱く 電子は熱的励起により容易に自由になる もし不純物が半導体中ではなく 真空中にあるとすれば その電子の結合エネルギーは不純物原子の第一イオン化ポテンシャルと等しい値 すなわちヒ素 s の場合なら 9.8 になる しかし不純物は純粋の半導体という媒質の中に埋め込まれている これは半導体物理で大変重要なポイントである から この結合エネルギーは著しく低下する この結合エネルギー低下が起こる理由として 次の理由があげられる 半導体中を動く電子は 自由空間のエネルギー 運動量の関係式で記述されるのではなく 電子の結晶運動 量 を用いた半古典的なエネルギーの関係式 で記述される ここで は伝導帯のエネルギ ー 運動量の関係式である 不純物により導入された余分の電子は おなじく不純物により導入された局在し ている 電荷により変調を受けたポテンシャルの中を運動する事になる 半導体中で正電荷 の不純物が作る電場は 半導体の誘電率 の分だけ 減少する つまり 電荷 のド ナー不純物が存在する半導体媒質内を動く電子は 電荷 44 / の正電荷から引力を受ける この電場の大き さの変化はかなり大きく 真空中の誘電率を G の誘電率を として / ~6 となる 多くの場合は / は ~ の値をとる よって 正電荷 の作る電場中で負電荷 が持つ電場のポテンシャルは 物 質の誘電率を 正負の電荷間の距離を として /4 で与えられる このように 半導体媒質内を動く電子は 電荷 / の正電荷から引力を受けつつ自由空間を動いている電荷 有効質量 * の粒子 と見なせる 電子の有効質量 * は一般に自由電子の質量 より小さく しばしば. 倍また はそれ以下となる この粒子の運動は水素原子のモデルにおいて 核と電子の電荷 の積を を / に置き換え 電子の質量 を * で置き換えたものとして 考えることができる 水素原子において最もエネルギーの低い電子の軌道半径 は o = / で与えられる よって 半導体中での電子の軌道半径 は * / / * * となり 基底状態の結合エネルギー 4 / =.6 は 8 so / /8 /8 * * * so となる * / と / にそれらしい数値を代入すると o は またはそれ 以上の値になる また 結合エネルギー は.6 よりも / あるいはそれ 以下の因子で小さい値になる ここでの議論では 電場の変化が結晶の格子定数の 長さよりも非常に大きいとして 半古典的モデルや巨視的な誘電率を用いている 得られた結果はこの仮定と整合性があり 計算結果は信頼できる 一般に 小さいエネルギーギャップは大きな誘電定数と結びついている ほとんどの場合 ドナー不純物の 正電荷と電子の結合エネルギーは半導体のエネルギーギャップより小さくなる この結合エネルギーは伝導 帯準位のエネルギーから見た相対的な値である 即ちドナー不純物は伝導帯の底のエネルギー よりも低いエネルギー のところにもう一つの電子準位を追加する と の差は半導体のエネルギーギャップ G よりも小さい o

46 アクセプター不純物の場合 さきほどと同様な議論は 原子価が母体原子の原子価より つ少ないアクセプター不純物にも適用される その場合 不純物原子は 母体原子の位置に固定された負電荷 と結晶中の電子 個の欠損として表現され る アクセプター不純物の例として G 原子をとる G 原子が隣接する 4 個の各 G 原子からの価電子と電子対による共有結合をするためには 電子が 個不 足する よって 中性の 価の G 原子は 個の電子が欠けた状態を G 結 晶中に持ち込んだことになる 正孔は 周りの G 原子からの電子によって 穴埋めされる この時 G 原子は G - イオンとなり 電子を供給した G 原 子の 4 本の共有結合のボンドのうちの つの電子対の片方は 電子の抜けた 穴すなわち正孔となる このようにしてできた正孔は G - イオンを中心と して弱く束縛された状態をとる この状態は 正孔がアクセプター準位に束 縛された状態である G - イオンに捕捉された正孔の結合エネルギーは 半導体のエネルギーギャップ G より小さい この束縛 された正孔の電子準位は価電子帯の頂上 より少し高いエネルギー のところに存在する 上の図 その準位が空の時 正孔は束縛されていることになる 正孔の結合エネルギーは である これは 個の電子 を価電子帯からアクセプター準位へ励起してアクセプター付近の正孔を埋めるのに必要なエネルギーである その際には 価電子帯中に 個の自由な正孔が生じる ドナー不純物の場合と同様 正孔の結合エネルギーも 小さく 価電子帯の電子は熱的励起により容易にアクセプター準位に持ち上げられる 個の電子を 半導体のエネルギーギャップ G を越えて価電子帯から伝導帯へ励起させるよりも 熱的に 電子をドナー準位から伝導帯に励起させる方が あるいは熱的に正孔をアクセプター準位から価電子帯に励 起させる方が遥かに容易である ドナーやアクセプター不純物の濃度が非常に小さくない限り エネルギーギ ャップ G 以上のエネルギーによりキャリアーを励起する真性の機構よりも 不純物準位のキャリアーの方が より重要なキャリアーの供給源になる 45

47 熱平衡における不純物準位の占有密度 不純物準位からどの程度キャリアーを熱的に励起できるかを見積もるためには 与えられた温度と化学ポテ ンシャルにおいて 準位にある電子の平均数を計算しなければならない まず 不純物の密度は十分低く 異 なる位置の不純物に捕えられた電子 または正孔 同士の相互作用はないものと仮定する すると ドナー あるいはアクセプター の位置に捕えられた電子の数密度 または正孔の数密度 は ドナーの密度 またはアクセプターの密度 と 不純物 個当たりの電子 または正孔 の平均数の掛け算により求め られる 不純物により導入される電子準位は つだけとすれば 平均の占有数は次のように計算できる 電 子の占有数の一般式 / / * ここで はそれぞれ電子の占有する準位の電子数 エネルギー および化学ポテンシャル フェ ルミ準位 である および はそれぞれボルツマン定数と絶対温度である この関数の形については 統 計力学における大正準分布 大分配関数 を参照のこと ドナー準位 : 中性のドナー準位は電子 個を持っており 中性のアクセプター準位には電子 個の空席がある 不純物 により導入された不純物準位は 空か 電子が 個入っているか 反対向きのスピンを持つ 個の電子が入っ ているかのいずれかの状態にあるはずであると考えたくなる 確かに 伝導 帯や価電子帯の電子は 結晶中 広い範囲 を移動しているので 他所から スピンの異なる電子を収容することが出来る しかし ドナー準位やアクセ プター準位のような局在している準位 電子は 空間的に狭い範囲に存在 即ち局在化する にスピンの異なる つの電子を収容しようとすると 電子 同士のクーロン力による反発のため 不純物準位のエネルギーが高くなる よって不純物準位に つの電子が入るという状態は生じず つの電子しか収容されない 以上より 不純物の混入によるドナー準位の場合 電子は スピンがアップとダウンのいずれをとっても良い が つの電子しか入る事ができない よって 熱平衡において不純物準位に電子が占有する確率 すなわち ドナー準位の電子の平均数 は次式で与えられる 分子のゼロは電子数がゼロ個 残りの つの項は スピンアップまたはダウンの電子が 個ある場合を示す 電子の平均数は スピンのアップ ダウンを含めて も から の間を取る この平均数 は 電子のスピンのアップ ダウンの つの向きを許したとし てドナー準位の つに占有する事ができる電子数の期待値である / / / / / / / / / 46

48 注意ここで求めているのは スピンのアップ ダウンを含めた電子の占有数 期待される電子の数 である フェルミ分布では スピンのアップまたはダウンのどれかについての占有数を求めている事に注意せよ アクセプター準位 : ドナー準位と違い アクセプター不純物により導入された不純物準位は 電子が 個入っているか 反対向 きのスピンを持つ 個の電子が入っているかの状態を取りうるが 空にな ることはない 空の状態は 価の原子からさらに電子 より正確には 4 価の原子とアクセプターの 価原子との間で共有結合に携わっている電子 を取り去る事に対応する 共有結合している電子を取り除く事になるため それにかかるエネルギーは大きい よって この状態は 実現困難すなわち 生じない 準位が空 正孔が全くない という状態が生じないので アクセプター準位に 番目の電子がいるかいない かだけを考えてその準位の電子の平均数 スピンのアップ ダウンも含 めた数 を求める 正孔の結合エネルギーは であり 正孔が イ オン化 するというのは余分の電子がもう 個アクセプター準位に入っ てくることに対応する 以上のような考察から アクセプター準位の電子数はゼロにならない 電子のない状態は禁止されている 事 また 電子状態は 電子状態 スピンが または の 電子状態であり 電子のエネルギーは である よりも だけ高いエネルギーを持つという条件下で電子数を求める すると アクセプター準位における電子の平均数 ある準位における 電子の平均数 期待値 は / / / / / / / / この平均数 は 電子のスピンのアップ ダウンの つの向きを許したとして アクセプター準位に占 有できる電子数の期待値である アクセプター準位にある正孔の分布関数 アクセプター準位のつにある正孔の平均数 は つ の準位が保持できる電子の最高数 個 と その準位での電子の平均数 との差 で与えられる すなわち あるアクセプター準位 での正孔の平均数 は 次式で与えられる / / / / / / / 自由エネルギーを用いた電子の平均数の導出は 例えば 御子柴 半導体の物理. を参照 47

49 48 半導体電子の熱平衡分布真性半導体真性半導体では 絶対零度で電子が価電子帯をちょうど満たし 伝導帯は完全に空になっている 温度が上がると フェルミ分布に従って 伝導帯に電子が 価電子帯には正孔が同数できる 伝導帯の状態密度を 価電子帯の状態密度を フェルミ分布関数.4: 電子がその状態を占める数密度 を とすると エネルギー エネルギー幅 にある伝導電子と正孔の数は以下の式で表される 伝導電子の有効質量を 正孔の有効質量を 伝導帯の底のエネルギーを 価電子帯の頂上のエネルギーを とする 伝導帯の底付近および価電子帯の頂上付近のエネルギーは である よって 伝導帯の電子密度 および価電子帯のホール 正孔 の状態密度 は 自由電子模型での結果.4: 電子の状態密度 を利用して / / / / で与えられる 電子の分布関数 およびホールの分布関数 は / / / 伝導帯の電子の数 と価電子帯の正孔の数 は / / / / / / で与えられる および が十分小さい が成立する 場合 よほど高濃度の不純物ドープでない限り この近似が成り立つ は / / / / / / ol lo : :

50 49 の近似が使える 電子と正孔では の範囲が異なる事に注意 電子及び正孔のエネルギーはそれぞれ を満足する この時の電子の密度と正孔 ホール の密度 単位体積辺りの数 を求めよう / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / J の計算 : g g g g g g を用いると / I I I I J 4 I I 4 I I J I I 問題 : I はゼロ以上の整数 を求めよ

51 5 よって および は 以下のように与えられる / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / と は 伝導帯の電子および価電子帯のホールの有効状態密度と呼ばれる 化学ポテンシャル フェルミ準位 は 電気的中性条件 電子とホールの数密度が等しい から求まる l 4 l / / / / / / より / であり 化学ポテンシャル はエネルギーギャップのほぼ真ん中にある また 真性半導体では 伝導帯に電子が出来た数だけ 価電子帯に正孔ができる とすれば G G G / / / / / / 4 / / となる を固有キャリアー密度という 不純物半導体 型半導体で 先程の事柄を考える ドナー準位が伝導帯の底よりエネルギー だけ低いところに存在し ドナー準位の密度が とする フェルミ分布関数の形と次の考察から である事わかる 絶対零度 において伝導帯には電子がゼロであるが ドナー準位には電子は必ず存在する これを満足するのは フェルミ準位 化学ポテンシャル とドナー準位 および伝導帯の底 の間に が成り立つ時である

52 5 さて 絶対温度 においてドナー準位での電子数密度 単位体積あたりの電子数 は で与えられる ここで はドナー準位にある電子数 スピンのアップ ダウンの両方を含めた平均の電子数 / であり.46 通常の電子のフェルミ分布とは異なっている 通常のフェルミ分布では ある準位をスピンのアップ ダウンの つの電子が占拠する可能性がある 不純物の混入により生じたドナー準位の場合 電子のスピンはアップとダウンのいずれをとっても良いが 電子の局在化のため つの電子しか入る事ができないため / の因子が加わる 伝導帯や価電子帯でのフェルミ分布は 通常の分布でよい 電気的中性条件は 次式で与えられる 温度がある程度高く かつ / が成り立つとする その時 l l / / / / / / / となり フェルミ準位 化学ポテンシャル は 伝導帯の近くにある 伝導帯の電子数密度は より 以下の式で与えられる / / / / 問題アクセプター準位 の正孔の平均数 は次の式で与えられる / 価電子帯の正孔の濃度 正孔数密度 を 価電子帯の電子数密度を求めた時と同様の計算手順.5~5 で求めよ

53 キャリアーの濃度積 真性半導体や不純物半導体のいずれにおいても 励起される電子数密度は全体の電子数密度の中に収まっている この状態で 熱平衡におけるキャリアー数密度の分布が形成される 不純物半導体において 伝導帯や荷電子帯における電子や正孔の分布も フェルミ分布で与えられる またフェルミ準位 化学ポテンシャル は キャリアー数密度で決まる さらに よほどの高濃度の不純物ドープでない限り キャリアー数密度は フェルミ分布のすその部分で与えられる すなわち 不純物半導体においても 真性半導体と 同じような電子および正孔の分布関数となる 異なるのは フェルミ準位の値である よって 電子と正孔の数密度は 以下の式で与えられる / / これより 伝導帯の電子数 と価電子帯の正孔数 の積 として / / G をえる この関係式は バンド構造と温度に依存するだけで 真性半導体であるか否か 不純物半導体に何がドープされたのか またその濃度はいくらか といった詳細にはよらない 電気的中性条件 続いて ドナー準位とアクセプター準位がある不純物半導体の電気的中性条件を考えよう 記号は : ドナー 電子供給 準位の数 単位体積あたりの数 : ドナー準位にある電子の数 : 伝導帯の電子の数 : アクセプター 電子の捕獲 準位の数 : アクセプター準位にあるホールの数 : 価電子帯の正孔 ホール の数 とする 単位体積あたり 個のドナー不純物と 個のアクセプター不純物をドープした不純物を考えよう 下 図の左 半導体作成時o では ドナー準位は 個あり 電子も 個あるようにした アク セプター準位の数は 個であり 電子の数はゼロである 最初は を仮定する まず における基底状態の電子配置を考える 下 - 真中図 であるから ドナー不純物により供給された単位体積当たり 個の電子のうち 個はドナー準位からアク セプター準位に落ちる この時 価電子帯とアクセプター準位は電子で満ち ドナー準位のうち 個も 電子で満たされている しかし 伝導帯準位は空である この場合 電流の主体となるのは電子なので g 型半導体という 次に温度 の熱平衡状態 下 - 右図 を考えると 総電子数は変化しないが電子の配置は変化する 温度 における伝導帯とドナー準位の電子数 は と較べると 価電子帯とア クセプター準位から電子が減少した 正孔が出来た 数 5 の時の電子数 だけ多くなる これより 以下の電気的中性

54 条件の式を得る この式はさらに次のように変形される 左辺は伝導帯とアクセプター準位にいる電子の数であり 右辺は価電子帯の正孔 ホール とドナー準位にある正孔 ホール の数である 続いて の場合を考えよう 単位体積あたり 個のドナー不純物と 個のアクセプター不純物をドープした不純物を考える 下図の左 半導体作成時では ドナー準位は 個あり 電子も 個あ る アクセプター準位の数は 個であり 電子の数はゼロである まず における基底状態の電子配置を考える 下 - 真中図 だから ドナー不純物により供給された 個の電子すべてがドナー準位からアクセプター準位に落ちる この時 価電子帯は電子で充満し ているが アクセプター準位では電子が 個だけある ドナー準位は アクセプター準位に全部の電子が移動しているので 空である もちろん伝導帯準位も空で ある この場合 電流の主体となるのは正孔 ホール なので os 型半導体という 次に温度 の熱平衡状態 下 - 右図 を考えると 総電子数は変化しないが電子の配置は変化する 温度 における価電子帯とアクセプター準位の正孔数 は と較べると 伝 導帯とドナー準位に電子が増えた数 の時の正孔数 だけ多くなる これより 以下の式を得る この式は の場合と同様に式変形される 左辺は伝導帯とアクセプター準位にいる電子の数であり 右 5

55 54 辺は価電子帯の正孔 ホール とドナー準位にある正孔 ホール の数である および いずれの場合も 直感的には 上図の左右の比較をすると 半導体の作成時には価電子帯とドナー準位に充満していた電子が 伝導帯とアクセプター準位に移動する このように考えると 電気的中性条件は 伝導帯とアクセプター準位で電子の増えた数 = ドナー準位と価電子帯で正孔の増えた数 となり をえる / s log の事ここで アクセプターの準位の数がドナー準位の数よりもはるかに小さい 不純物半導体を考えよう この場合 ドナー準位に潤沢にある電子がアクセプター準位をほとんど満たす よって アクセプター準位にある正孔 ホール の数 と価電子帯の正孔の数 はほとんどゼロとみなせる この時 電気的中性条件は / ここで / を用いると すなわち の一般式を得る この式から 伝導帯のキャリアー 自由電子 の数の絶対温度の逆数 / に対する依存性が異なる 4 つの領域がある事を示すことができる これについては 大抵の半導体の教科書で書いてあるので 以下省略する

56 少数キャリアーの拡散と再結合 熱平衡状態にある半導体中の電子および正孔の濃度をそれぞれ 55 とする 型半導体で 型半導体では である 光照射ないしは電流注入によりキャリアーを半導体に注入する事でキャリアーが生成され 再結合などによりキャリアーは消滅する この時 電子および正孔の濃度をそれぞれ として キャリアーの生成 消滅過程を理解しよう 最初は と の空間分布が一様であるとしてその時間変化の様子を議論する 型半導体を例として 考える 型半導体に光照射して 単位時間当たり G 個の電子 正孔対を作る場合を考えよう 電子濃度の変化分 および正孔濃度の生成分 変化分 も よりもずっと小さいとする この場合では 正孔の数 が電子の数よりはるかに小さいので 正孔を少数キャリアーという 励起された余剰キャリアーである電子や正孔は 直接再結合して光やフォノンを出す以外に 電子または正 孔のいずれかが再結合中心に捕獲され その後他方のキャリアーがその再結合中心に落ち込んで再結合する 場合がある さらに他の過程を経て 電子と正孔が再結合する場合もある 再結合中心について : 半導体結晶の表面や内部の欠陥により余っている結合の手 本来なら他の原子と共有 結合するはずの 手 は キャリアーの捕獲の部位になる ドナー準位やアクセプター準位は電子ないしは 正孔を捕獲するが さらに正孔または電子を捕獲する事はないので 再結合中心とはならない 少数キャリアーである正孔は電子と再結合し 単位時間当たり の / 割合で消滅する 緩和時間 を少数キャリアーの寿命 この場合は 正 孔の寿命 という 光励起により単位時間当たり G の正孔が生成される とすると 正孔の生成と再結合の過程は 次式で与えられる G 問題 : この微分方程式を初期条件 で として解け 定常状態では G である 光照射を止めた後は / で緩和する 型半導体に対して 再結合と正孔の流入による少数キャリアーを考えよう 再結合を考慮した正孔に対 する連続の式は J を正孔の電流密度 正孔の密度を とすれば 電荷密度と電流に関する保存則から J * になる この式は ある閉空間への正孔の流入とその空間内での正孔の消滅を考慮した結果得られる 電磁 気学での 電荷の保存則を参照 右辺第 項は再結合による正孔の減少を表わし 第 項は着目している 閉空間への正孔の流入による変化を表わす 次元での正孔の運動を考え 電流密度 J を J とする 第 項はドリフト電流 第 項は拡散電流である は正孔の拡散係数である 電場により電子 正孔が流れる場合の電流の流れをドリフト電流という また 電子 正孔それぞれに空間的な濃度の不均一が ある場合 空間的な拡散により均一になろうとする この拡散に伴う電子 正孔の流れを拡散電流という

57 56 J を正孔の式 * に代入する もしキャリアー注入があれば 右辺に G > の項が加わる 次に 電場 = として 定常状態での正孔の空間分布を求める / 拡散する半導体の長さが十分長いとする での正孔濃度を とし 十分遠方での正孔濃度を とすれば / の解は 解が発散するため 捨てる / / L をえる ここで L は 正孔による拡散距離であり 正孔が再結合などで消滅するまでにどの程度の距離まで広がるかの距離の目安を与える 注意 : 拡散係数 と正孔の寿命 との積の平方根が拡散長を与える 続いて 型半導体での少数キャリアーの拡散を考えよう 再結合を考慮した電子に対する連続の式は I を電子の電流密度として I になる 右辺第 項は再結合による電子の減少を表わし 第 項は空乏層への電子の流出による変化を表わす 次元での電子の運動を考え 電流密度を J とする 注意 : 電子のドリフト速度は である ドリフト電流は J である 第 項はドリフト電流 第 項は拡散電流である これを電子の運動方程式に代入する 次に 電場 = として 定常状態 / での電子の空間分布を求める / L を 電子による拡散距離という あとは正孔の場合と同様なので 省略する

58 - 接合 型および 型半導体の接合前のエネルギー準位図を示す 真性半導体ではフェルミ準位はエネルギーギ ャップの中間付近に位置するが 型半導体ではフェルミエネルギーは伝導帯の近くに位置し 型半導体で はフェルミエネルギーは価電子帯の近くに位置する フェルミ準位から真空準位へ電子を取り出すために必要なエネルギー は 仕事関数と呼ばれる - 接 合は つの半導体の単結晶 例えば 型 S の単結晶の薄い板の片面か ら ホウ素 を拡散させる事で作る 簡単のため 領域ではアクセプター濃度 単位体積あたりのアクセプ ター数 は ドナー濃度はゼロとし 領域ではドナー濃度は アクセプター濃度はゼロとする さらに アクセプター濃度とドナー濃 度ともに空間的に一様に分布しているとする また アクセプターとド ナーともにイオン化して アクセプターは正孔を荷電子帯に ドナーは 電子を伝導帯に供給し 電気的中性を保つとする 右図参照 このよう にして用意された半導体が接合される - 接合でのエネルギー準位右図に - 接合した場合のエネルギー準位図を示す 接合部では電子と正孔の濃度差のため 領域から 領域へ電子が拡散し 領域から 領域へ正孔が拡散する したがって 接合部付近の 側では電子が不足して正に帯電 イオン化 したドナーの空間電荷が現れる 一方 側では正孔が不足し 負に帯電 イオン化 したアクセプターの空間電荷が現れる 接合部の電子や正孔が不足した領域を空乏層という ドナー準位とアクセプター準位の電子 正孔などの図は省略 側についてより詳細に説明する 価電子帯にある電子が熱的励起によりアクセプター準位に捕獲されることで アクセプター準位は負に帯電し 価電子帯に正孔ができる この正孔が 領域に拡散すれば 電気的に中性であった 領域の部分が負に帯電する 正に帯電した正孔が不在になる この負に帯電した空間電荷の部分が - 接合部付近の 領域にできる 領域でも 接合部付近に 正に帯電した空間電荷の領域 負に帯電した電子の不在 が出来る 領域についても同様である このような 電子 正孔の拡散による電荷移動が 更なる電子 正孔の拡散を押しとどめるような電場を生成する 最後にはある平衡状態にお達し 電場の硬化と拡散の硬化が互いに打ち消しあうようになる 電子 正孔のキャリアーは電場によりきわめて移動しやすいため この平衡状態では 電場が相当の大きさを持つような場所では キャリアー密度は非常に小さい このように - 接合部分付近では 電気の 重層 型部分が正に帯電し 型部分が負に帯電する による電場ができて 電子 正孔の拡散を妨げる 熱平衡状態では 拡散電流 電子 正孔の空間的濃度の不均一がある場合 空間的な拡散によりその不均一さをなくし均一になろうとする この拡散に伴う電子 正孔の流れを拡散電流という と電気 重層の電場によるドリフト電流 電場により電子 正孔が流れる場合の電流の流れをドリフト電流という が釣合っている 57

59 接合部分には 電場の 重層による電位差 が現れる を 電位障壁または拡散電位とよぶ ここで である この電位により 図に示すようなバンドの変形が生じる このように バンドを変形させるのは 空乏層の電荷が打ち消されていないドナー アクセプター準位によって生じる静電ポテンシャルである 接合部分付近の不純物濃度が変化する領域を遷移領域という また 拡散電位の存在する部分には電子 正孔のキャリアー 電荷を運ぶもの が存在しないので この部分は空乏層ともいう 熱平衡ではフェルミ準位は 領域と 領域でそろっており 伝導帯と価電子帯それぞれで だけのエネル ギー差が生じる 一方で 室温では ドナー準位とアクセプター準位は全てイオン化している 接合部から十分遠い 領域の部分ではドナー準位と同数の電子が存在するため 電子の持つ負の電荷はドナー準位の持つ正の電荷と打ち消しあう 電荷を持つ空乏層からも十分離れているため この領域は電気的には中性事もあり 電場は存在しない 電場の空間微分とその場の電荷に関するガウスの法則 / / から 電荷のなければ電場の空間変化がない よって 空乏層以外のまたは 領域では 電場はゼロとなる 接合に電圧印加なし 電流 =の説明次に 熱平衡で電流の流れがない事を確認しよう 外部から半導体には電場をかけない 熱平衡では 電流は流れない この事を - 接合部での電流の流れから確認しよう なお フェルミ準位に関係なく 電子数 と正孔数 の積は一定.5 で 次式で与えられる : / よって 領域では 域を表す G であり 領域では である ここで添え字 はそれぞれ 領域と 領 電子による電流 最初に 電子による電流を考える ドリフト電流は無視する 外部電圧をかけていないため 拡散電流 電 子 正孔の空間拡散に伴う電流 のみが半導体内を流れる事に注意しよう なお 拡散方程式の扱いが妥当 となるためには - 接合の接合部分の長さが電子 正孔の平均自由行程よりも長い必要がある - 接合の接合部分の長さが電子 正孔の寿命 電子と正孔の再結合時間 電子 正孔がドナー準位 アク セプター準位に捕獲されるまでの時間 で移動できる距離 拡散長 よりも短いなら 領域に発生した自由 電子は 領域まで拡散し流れ込む この流れの大きさは 電子数 と拡散速度 との積で与えられる 領域の伝導帯の底にある電子は 領域の伝導帯に入るにはエネルギーが小さく 接合部付近で反射され 領域に戻る そのため 領域に流れ込む電子数は そのエネルギーが伝導帯の底から 以上のものに制 限される 高温におけるフェルミ分布は / ルギー差で電子の存在確率が決まる 伝導帯の最低エネルギー 以上のエネルギーを持つ電子数密度は / で与えられる こ の電子数の関係式は すぐ後の大雑把な計算で示す なお この関係式は 後 で述べる拡散方程式を用いることできれいに導くことができる よって 領域の伝導帯の電子数密度を とすれば 領域に流れ込む電子数は / となる よって 領域から 領域に流れる電子による電 で与えられ 化学ポテンシャル フェルミ準位 とのエネ 58 以上の電子数 密度 を とすれば

60 流 J は 以下の式で与えられる J / 一方 領域から 領域に流れ込む電子による電流は 領域の伝導帯の電子数を とすれば J で与えられる ところで 領域における伝導帯の底のエネルギーを とすれば 領域における伝導帯の底は で与えられる 高温におけるフェルミ分布は / で与えられる 化学ポテンシャル フェルミ準位 とのエネルギー差で電子の存在確率が決まる事を考慮すると 領域の電子数密度 は を用いて.65 ボルツマン分布を見よ / / となる よって 領域から 領域への 電子の拡散による電流密度は / J / J これより電子による正味の電流密度 領域から 領域への電気の流れを正にとる は J J J 以下は / の大雑把な計算 領域での電子の数 は 領域の伝導帯の電子の状態密度を とし / / の場合 で与えられる を 領域の伝導帯の底のエネルギーとする さて 領域で である電子が 領域に流れる事ができる その数 は / である ここで により 積分の変数変換を行うと 59

61 / / / となる ここで非常にあらい近似 をすると 以下のように求まる / / / / / 拡散方程式.56 を利用すると の近似をする事なくこの関係式が導かれる 終り 正孔による電流 同様の考えで 正孔による電流を求める 領域に発生した正孔は 領域まで拡散し流れ込む この流れの 大きさは 正孔数 と拡散速度 との積で与えられる なお 領域に流れ込む正孔数は そのエネルギーが価電子帯の頂上から 以下のものに制限される 注意 : 正孔 の持つエネルギーは 価電子帯の頂上に近くなるほど 低くなる 流れ込む正孔数は価電子帯の頂上の正孔数 にボルツマン因子 / を掛けた数となる よって 領域に流れる正孔による電流 J は J となる / 一方 領域から 領域に流れ込む正孔の量は 領域から 領域に流れる正孔数 との積で与えられる よって正孔による電流は J 6 と正孔の拡散速度 で与えられる 領域における価電子帯の頂上のエネルギーを とすれば 領域における価電子帯の頂上は で与えられる よって 領域における正孔数 は次式で与えられる.65 ボルツマン 分布を見よ / / これより 領域から 領域に流れる正孔による電流 J は J / これより正孔による正味の電流は J J J J よって - 接合部分に電流は流れない /

62 注意 : 上に述べた考えでは - 接合している半導体を 方向の 次元物体と見なした場合でも の 方向への拡散があるので 電子の流れの方向性を説明できない 拡散電流は 正確には 電流は密度の空間微分で与えられる 電流は 電子の流れ 電子の密度こう配 を掛けたもの に を掛 けると求まる これについては 後で説明する / に拡散係数 - 接合に電圧印加 続いて 外部から - 接合した半導体に電圧を加える場合を考えよう - 接合部では電子や正孔が存在しない.57 電子や正孔が存在しないため 電流が流れない よって - 接合部 空乏層 の抵抗は 領域や 領域に比べ高いと考えられるので 外部から加えられた電圧は主として - 接合部分に加わると考えてよい この外部電圧により 型と 型の領域における伝導バンド間のエネルギー差が変化する いま 側を正 + 側を負 - にバイアス電圧 をかける 順方向バイアス 下図 と 拡散電位 電位障壁 は から に小さくなる 図の赤い点線は バイアス電圧なしでのエネルギー準位 この 領域の伝導バンドの底あげ 領域のエネルギーの高さ を固定し 領域のエネルギーの高さ がバイアス電圧で変化すると考えよう により バイアス電圧なしの場合の時よりも多くの電子が 領域から 領域に流れこむ しかし 領域の電子数は変化しない 領域から 領域への電子による電流は J である 領域から 領域への電子による電流 符号を含める J を求めよう 領域における伝導帯の底のエネルギーを とすれば 領域における伝導帯の底は で与えられる 領域における電子数 は次式で与えられる.65 ボル ツマン分布を見よ これより J は / / / / J / となる よって 領域から 領域への電子による電流は 次式となる J J J / 6

63 J 正孔による電流も 電子の場合と同様に考える 結果は J J である 従って全電流 J は J J J / / 逆に 側を正 + 側を負 - にバイアス電圧 壁 は から をかける 逆方向バイアス と 拡散電位 電位障 に大きくなる すると 領域から 領域への電子の注入およびその逆向きへの正孔 の注入が減少する 領域に存在するわずかの正孔が 領域へ流れ 領域にわずかに存在する電子が 領 域に流れる これは 微小電流がある事を示す 先ほどと同様に考えると 全電流は J J J / J / これは の極限で J J になる事を示す このように - 接合の部分では 半導体に流れる電流値が加える電圧の極性 により大きく変化する整流特性を示す 電子と正孔の拡散係数を 拡散長を L L とすれば とし L L の関係から L L となる なお ダイオードは の記号で表示し 左から右方向が順方向 電流が良く流れる向き である 注意 : 接合に電圧を掛けると 拡散電流とドリフト電流の つの電流が流れる ここでは ドリフト電流が無視できる状況を仮定し 接合での電流を議論した ドリフト電流が無視できる条件については 例えば 佐藤久直 井上正半導体物理の基礎 オーム社 を参照せよ キャリアーの注入順方向に電圧を加えると 電子は 領域へ 正孔は 領域へ流れ込む この注入により 領域の電子数は熱平衡で存在するよりも多く存在するようになる 領域でも正孔の数は熱平衡で存在するよりも多く存在する このようにして注入されたキャリアーは それぞれの領域においては少数派のであるため 空乏層 遷移領域 よりさらに深く流れ込み ある時間定数で熱平衡の値へ戻っていく この定数は散乱の緩和時間とは異なり 一般には散乱時間よりも長い 6

64 拡散方程式による拡散電流の扱い 空乏層の幅 ここで - 接合部分での電場を詳細に考察する 電子が 領域から 領域へ拡散し 正孔が 領域から 領域へ拡散することで 空乏層に電場が生じる この領域ではキャリアー密度は無視できるほど小さく 電荷 はドナーイオンとアクセプターイオンによるものである その電荷分布 を図のようにする - 接合での電位差 はこの空乏層によるもので キャリアーの拡散によって生じるため 拡散電位とも言う 微分型のガウスの法則 で 次元 方向 で考えると - 接合付近では 電気的に中性であった 領域の部分が 正孔の拡散により 負に帯電する 領域で も 接合部付近に 電子の拡散により 正に帯電した空間電荷の領域が出来る また 電子 正孔は存在しな い 接合部の 領域でアクセプター濃度は 正孔の放出により 負の電荷を持つ 領域でドナー濃度 は 電子の放出により 正の電荷を持つ としたので.57 空乏層の電荷分布を とすれば 領域および 領域での電場 となる 電場が きさが最大になる は で連続である事から 電荷のつりあいの式 : を得る 電場は で大 ここで 電場によるポテンシャル 電位 を考える 外部から - 接合した半導体に順方向バイアスによる電圧 をかけると となる その の分布から を得る 計算は 後で示す 注意 : の時が順バイアスで の時 では逆バイアスである 以下は の計算 : および における電位を それぞれ P とおく P に注意して計算すると 電場の積分で電位が与えられる / ので P / C / ポテンシャル が で連続である事から P C C P 6

65 64 をえる よって 電位差 P は以下のとおり P 続いて 上の式と電荷のつりあいの式 から 空乏層の幅 を求める これより 空乏層の幅 は バイアス電圧の向き 極性 により変化することがわかる すなわち の順バイアス時には空乏層の幅は狭くなり 逆バイアスの時には空乏層の幅は拡がる 注意 および で となる理由 では ガウスの法則の微分形から となり 空間的に一様な電場となる であれば 領域の電子が移動するので 定常状態ではない かつ電気 電子 が流れ続ける不思議な状況になる 一方 空乏層から十分距離が離れた場所では 空乏層の電場の影響が無視できる 上の計算結果から では一様な電場になるので 空乏層以外では 電場の大きさはゼロである - 接合部での電流続いて - 接合部での電流を求める 空乏層の領域を とする 最初は 正孔による拡散電流を求める まず 順方向バイアスでの における正孔濃度を求める 領域の正孔濃度を とし 領域の正孔濃度を とする 同様に 領域の電子濃度を とし 領域の電子濃度を とする バイアス電圧を加えない時 それぞれの濃度には ボルツマン分布 *.67 から

66 / / の関係がある 順方向のバイアス電圧 が加わった時は における正孔濃度 は ボルツマン分布から 以下の式で与えられる この式の妥当性については すぐ後で説明する / 熱平衡でバイアス電圧なしで成立する電子 正孔間の濃度比の式 ボルツマン分布 :67 が バイアス電圧を掛けたときにも成立すると仮定すれば 上の関係式になる 外部から加えた電圧がかかるのは 空乏層のみで それ以外のバルクの部分には 電圧はかからない これについては すぐ下の注意を参照 注意 非平衡状態であっても 空乏層の中の 領域との境界までの部分は 領域の正孔とつの閉じた系を構成し その系の中では 正孔は平衡状態と同じような統計的な状態にあると仮定する そうすると 外部電圧が加えられている時でも熱平衡 で成立する式が成立する すなわち / の式が成り立つ 同様の仮定を空乏層と 領域ですれば / が成り立つ また 外部電場がある場合でも 領域の正孔密度はアクセプター準位の濃度に等しいと仮定した この仮定は 少数キャリアーの注入と矛盾する仮定である 領域で考えると 外部電圧により電流を注入する状況 では 領域より電子の注入が行われる 従って電子の注入がある程度の量あれば 領域中の電子密度は熱 平衡での値と異なる よって / の式は あくまでも注入電流密度が十分小さい時に 成立する近似式である 実際の 接合によるダイオードでは 注入電流が十分低い条件は必ずしも満足されていない つまり 領域中の正孔密度も 熱平衡の値よりも大きな値になっている が外部電圧により に注入された正孔濃度を表わす 外部から半導体に加えられた電圧 印加電圧 は空乏層にのみかかるため では電場の大きさはゼロで 注入された正孔は再結合しながら拡散し で に近づく における定常状態の正孔濃度 は をバイアス電圧 =ゼロの値 接合の端は接合部からの距離が十分大きいため 拡散の影響は無視でき 正孔濃度はバイアス電圧がゼロの時の値 と等しいとみなせる すなわち とおいて / L L で与えられる 境界条件 / を代入し / / L をえる これより において 正孔による拡散電流密度は 65

67 J / / L L で与えられる 注意 正孔の流れは 正孔の空間的な濃度分布がある場合 高濃度部分から低濃度部分へと流れる 濃度勾配は / で与えられるが 濃度が濃い部分から低い部分へと流れるので 流れの向きは / で与えられる 力 学での質点の運動で ポテンシャル での質点に掛かる力が / で与えられるのと同じである 電子 による拡散電流も 同様に考える 同様にして 領域 における電子の拡散電流をもとめる 領域の電子濃度を とし 領域の電子濃度を とする バイアス電圧を加えない時 ボルツマン分布による関係式 / が成立する 順方向のバイアス電圧 / が加わった時は ボルツマン分布から / / は に注入された電子濃度を表わす 外部から半導体に掛けられた電圧 印加電圧 は 空乏層にのみかかるため で に近づく における定常状態の電子濃度は では電場の大きさはゼロで 注入された電子は再結合しながら拡散し / L L / を代入し で与えられる 境界条件 をえる これより / L / / L / / L において 電子による拡散電流密度は J / / L L で与えられる 拡散距離が空乏層の幅よりも大きければ 空乏層での電子 正孔の再結合は無視できるだろう その場合 - 接合部を流れる電流密度は での正孔の電流密度 J と での電子の電流密度 J の和として与えられる J J J L L L / / 66 L /

68 逆バイアス時は の置き換えでよい 以下 省略 ボルツマン分布.64 統計力学でよく見るボルツマン分布は 以下のようである エネルギー準位が である時 それらの準位に粒子が存在する確率をそれぞれ とすれば 相対的な確率は / / である しかし今回は 半導体において あるエネルギー以上の電子の数密度についての比である 伝導帯の電子の最低準位のエネルギーを 領域と 領域で および とすれば 領域および 領域における伝導帯におる電子数密度は の仮定のもと / / となる ここで はそれぞれ 領域および 領域における伝導帯での電子の状態密度であ る この時 電子数密度の比が / / で表される これが つの伝導帯における電子数密度のボルツマン分布である 以下 その説明 : 伝導帯の電子の最低準位のエネルギーを 領域 領域で および とする この時 領域 領域の電子の状態密度をそれぞれ とすれば 共通の電子の状態密度 を用いて それぞれ で与えられる 注意 : 同じ半導体の場合 同 じ関数の状態密度を用いる事ができる 異なる半導体では この仮定は成立しない これから の変数変換をし / / / / となる 同様の計算により 領域の電子数密度は となる ここで / / / / とおくと 67

69 68 / / / / / / となり 半導体でのボルツマン分布が導かれた 正孔の場合も同様の計算で導く事ができる

70 光検出器 フォトダイオード P の特性 フォトダイオード P は 光半導体素子の P 接合部に光を照 射すると電流や電圧を発生する受光素子で 光強度の強弱を精密に検 出するセンサである シリコンフォトダイオードには P 型のシリ コンダイオード PI フォトダイオードなどがある PI フォトダイ オード -P は 任意の逆電圧を素子に印加する事で 優れた 応答特性を実現するフォトダイオードである フォトダイオードは 光半導体素子の P 接合部に光を照射するこ とで 電流や電圧を発生する素子である フォトダイオードは 一般 に入力信号の大きさに比例し その時間波形を忠実に再現する すな わち 光強度が 倍になれば 出力としての電圧の大きさは 倍にな る 直線性を示す 入射光量 - ~ - W 程度の範囲での 9 桁 にも及ぶ直線性をもつ 光強度が時間的に変化すれば P の出力である電圧は 同じ時 間波形を示す シリコン PI フォトダイオードは 任意の逆電圧を素子に印加する事で 高速の時間応答特性を示す しかし 型領域 直流バイアス 光信号強度が高すぎると 出力はそれ以上大きくならない これを飽和という 光検出素子 または光検出素子後の電気回路の関係で 時間応答が遅い場合がある 負荷抵抗 型領域 g 光検出器 P の構造 動作原理 P 接合を持つ半導体を考えよう 正孔がドープされた半導体領域 P 領域 と自由電子がドープされた半導体領域 領域 の接合部分では 急激な変化が見られ P 領域では正孔が 領域では電子が多数を占める 多数キャリアー P 層と 層の中性領域 電気的に中性ということ を空乏層という バンドギャップエネルギーよりも大きいエネルギーを持つ光 がシリコンフォトダイ オードに照射されると 価電子帯の電子は伝導帯へ励起される また 電子が励起された後に正孔が出来る この電子 - 正孔のペアは P 層 層の全ての場所で出来る この素子に外部から図のように電圧をかけると P 層に出来た自由電子は 空乏層との距離が拡散距離以下なら 空乏層を通過して 層に至る 同様に 層に出来た正孔も 空乏層との距離が拡散距離以下なら 空乏層と通過して P 層に到達する この状態で外部回路が閉じていれば 電流が流れる 69

71 拡散距離 : 空間のある領域にあるキャリアーは 時間経過とともに拡散する しかしそれと同時に 電子は正 孔と 正孔は電子と再結合する この再結合によりどの程度キャリアーが空間的に拡がるのか その目安とな るのが 拡散距離である P の検出感度の波長依存性光の波長 がバンドギャップエネルギーに対応する波長 よりも短くなると 光の吸収が急激に増大する で よって 光の波長が十分短ければ 光検出器の検出部分の表面付近にだけ自 g g 由キャリア 電子 が生成される このキャリア 自由電子 は 拡散しても空乏層に到達するまでにホール 正孔 と再結合するため 外部回路を流れる電流とはなりえない すなわち 光の波長が短くなればなるほど 受光感度が低下する データなどは 浜松ホトニクス HP から引用 g 参考書 川村肇固体物理学共立出版御子柴宣夫半導体の物理培風館佐藤久直 井上正半導体物理の基礎オーム社西村久基礎固体電子論技法堂出版.W. アシュクロフト.. マーミン固体物理の基礎訳吉岡書店 7

72 問題ページ数は テキストのページである. 問題 : 8 を満足する量子数の組 の総数を求めよ.6 次元での確率密度を 波動関数が の場合について 求めよ ここで は複素 数 は実数である.7 問題 : 直交座標で とする この時 b b b を成分表示で求めよ. 次元では 格子定数 での逆格子ベクトルは / およびその整数倍で与えられる これを示せ 問題右図において 第 ブリユアンゾーンを図示せよ 格子点を で表わす なお 第 は灰色 第 は縦の線の部分である.~ 問題 次元の設定にするため とし の向きを 方向にとり / / とし / はある原子と隣の原子との距離 ポテンシャルは の周期的ポテンシャルに なる の場合を考察する この時 波動関数 を求めよ として のおおよその振る舞い 様子 を 横軸を 軸にとり グラフに書け.49 問題 : I はゼロ以上の整数 を求めよ.68 問題 : 正孔の場合のボルツマン分布の式を導け の記号を用いよ 7

73 問題 : 図の回路において の電池 内部電圧は無視する と大きさ Ω 抵抗とダイオード がつながっている この回路で ダイオードにかかる電圧を 回路を流れる電流 I とする この時 I に成り立つ関係式を書け b 電圧 =. =Ω の時 ダイオードの電圧電流特性のグラ フ I / / で無次元化すると I ダイオードに流れる電流の大きさを求めよ が成り立つ を利用し 順方向電流 データ 順方向電圧 C 7

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