8. 漁川ダム貯水池水質保全事業の概要いざりがわ 8.1 漁川ダムの概要いざりだけ漁川は千歳川に流入する数ある支川のうち最大の支川でありその源は漁岳に発し流路延長は46.8kmに及びます漁川ダムはその上流に位置し恵庭市街から約 15kmと比較的都市部の近い位置にロックフィルダムとして建

Size: px

Start display at page:

Download "8. 漁川ダム貯水池水質保全事業の概要いざりがわ 8.1 漁川ダムの概要いざりだけ漁川は千歳川に流入する数ある支川のうち最大の支川でありその源は漁岳に発し流路延長は46.8kmに及びます漁川ダムはその上流に位置し恵庭市街から約 15kmと比較的都市部の近い位置にロックフィルダムとして建"

そよふくだ
5 years ago
Views:

年に着手され昭和 55 年に完成しています表漁川ダムの概要形式 : 中央コア型ロックフィルダム目的 : 洪水調節流水の正常な機能の維持水道堤高 : 45.5m 堤頂長 : 270.

1 8. 漁川ダム貯水池水質保全事業の概要いざりがわ 8.1 漁川ダムの概要いざりだけ漁川は千歳川に流入する数ある支川のうち最大の支川でありその源は漁岳に発し流路延長は46.8kmに及びます漁川ダムはその上流に位置し恵庭市街から約 15kmと比較的都市部の近い位置にロックフィルダムとして建設されました漁川ダムの目的は洪水調節流水の正常な機能の維持水道の3つの機能を有し昭和 49 年に着手され昭和 55 年に完成しています表漁川ダムの概要形式 : 中央コア型ロックフィルダム目的 : 洪水調節流水の正常な機能の維持水道堤高 : 45.5m 堤頂長 : 270.0m 総貯水容量 : 15,300 千 m 3 堤体積 : 647 千 m 3 集水面積: 113.3km 2 竣工年 : 昭和 55 年 ( 平成 21 年まで29 年経過 ) 宗谷漁川ダム留萌上川網走後志石狩川空知釧路根室石狩十勝胆振千歳川日高檜山渡島写真漁川ダムの概観図漁川ダムの位置 -1-84

2 千歳川流域漁川流域漁川ダム集水域面積 163.4km2 面積 113.3km2 図漁川ダムの流域ダムの運用は制限水位方式を採用しており洪水期の洪水調整容量は11,900千 m3 利水容量は2,200千m3となっています洪水時最高水位洪最高 EL=176.50m 平常時最高水位 EL=164.30m サーチャージ容量 10,300千m3 洪水調節容量 11,900千m3 洪水貯留準備水位 EL=161.00m 45.50m 非洪水期利水容量 7/1 3,800千m3 不特定 300千m3 水道用水 3,500千m3 9/30 洪水期利水容量 2,200千m3 不特定 200千m3 水道用水 2,000千m3 最低水位 EL EL= m 60m 堆砂量 1,200千m3 基礎地盤 EL=140.00m 図貯水池容量配分図 85 有効貯水容量 14,100千m3 総貯水容量 15,300千m3

漁川ダムは恵庭市北広島市の全世帯江別市及び千歳市の一部世帯に対して 1 日最大 77,100m 3

121,987 人 60,729 人 93,117 人 344,404 人出典 : 住民基本台帳 ( 平成 22 年

77,100m 3 / 日一日最大取水量 (m 3 / 日 ) 60,000 40,000 20,000 0 S54

3 漁川ダムは恵庭市北広島市の全世帯江別市及び千歳市の一部世帯に対して 1 日最大 77,100m 3 の水道用水の供給が可能です人口一覧図漁川ダム給水区域図恵庭市江別市北広島市千歳市総人口 68,571 人 121,987 人 60,729 人 93,117 人 344,404 人出典 : 住民基本台帳 ( 平成 22 年 3 月 31 日現在 ) 100,000 日最大取水量計画一日最大取水量 80,000 計画一日最大取水量 77,100m 3 / 日一日最大取水量 (m 3 / 日 ) 60,000 40,000 20,000 0 S54 S56 S58 S60 S62 H1 H3 H5 H7 H9 H11 H13 H15 H17 H19 H21 図水道用水の取水実績 ( 一日最大取水量 ) 86

8.2 事業概要漁川ダムでは昭和 56 年頃から水道利用者よりカビ臭に対する苦情が寄せられました特に平成 5 年からは夏季を中心に顕著なカビ臭が発生し住民から苦情が殺到するとともに平成 10 年には石狩東部広域水道企業団平成 12

自治体および利水者から早急な対策が求められていましたこれらの発生原因を調査した結果カビ臭の原因は放線菌の死滅によるジェオスミンの放出パンドリナの異常発生は貯水池の水温上昇に伴うパンドリナの異常増殖

(ng/l) 苦情件数昭和 56 年度 - 21 件平成 5 年度 43.0 122 件平成 8 年度 2.0 58 件平成 9 年度 33.0 2 件石狩東部広域水道企業団からの聞き取り写真パンドリナの異常発生状況 0.

4 8.2 事業概要漁川ダムでは昭和 56 年頃から水道利用者よりカビ臭に対する苦情が寄せられました特に平成 5 年からは夏季を中心に顕著なカビ臭が発生し住民から苦情が殺到するとともに平成 10 年には石狩東部広域水道企業団平成 12 年には恵庭市よりカビ臭対策に関する要望書が提出されましたまた一方で植物プランクトンのパンドリナ (Pandorina morum) の異常発生によるダム湖の景観障害 ( 変色水 ) が生じるとともに水道基準を上回る高濃度のマンガンが検出され自治体および利水者から早急な対策が求められていましたこれらの発生原因を調査した結果カビ臭の原因は放線菌の死滅によるジェオスミンの放出パンドリナの異常発生は貯水池の水温上昇に伴うパンドリナの異常増殖またマンガン濃度の上昇原因は貯水位低下に伴う堆積土の洗出しであることを解明しました漁川ダム貯水池水質保全事業はカビ臭の発生抑制パンドリナの異常発生の抑制およびマンガン濃度を抑制することを目的としています表苦情発生件数年度ジェオスミン濃度最大 (ng/l) 苦情件数昭和 56 年度 - 21 件平成 5 年度件平成 8 年度件平成 9 年度件石狩東部広域水道企業団からの聞き取り写真パンドリナの異常発生状況 0.4 取水塔 ( 表層 ) 漁川浄水場取水口マンガン濃濃度 (mg/l) mg/L 05mg/L 以下 ( マンガン水道基準値 ) 0.0 S56 S57 S58 S59 S60 S61 S62 S63 H1 H2-2- H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 図取水塔 ( 表層 ) 及び漁川浄水場取水口地点におけるマンガン濃度の経年変化 87

カビ臭発生の原因放線菌の死滅により細胞が破壊されジェオスミンが放出されることが原因貯水池に流入する放線菌が

死滅によって細胞が破壊されてジェオスミンが放出されカビ臭が発生パンドリナの異常発生の原因貯水池の水温上昇に伴うパンドリナの異常増殖が原因

DO 濃度の維持のため湖水循環装置の設置運用を行うとともに放線菌の抑制のため堆砂掘削河岸保護工湖岸緑化の対策を実施

5 カビ臭発生の原因放線菌の死滅により細胞が破壊されジェオスミンが放出されることが原因貯水池に流入する放線菌が堆積土砂の棚上の浅水部で日光により水温の上昇した環境で活性化して増殖増殖された放線菌は移流して嫌気化された深水層に沈降して酸欠により死滅死滅によって細胞が破壊されてジェオスミンが放出されカビ臭が発生パンドリナの異常発生の原因貯水池の水温上昇に伴うパンドリナの異常増殖が原因マンガン濃度上昇の原因貯水位の低下に伴って堆砂土が露出し河道の流入末端で堆積土が洗い出されることが原因図各種障害の発生原因カビ臭の抑制対策 DO 濃度の維持のため湖水循環装置の設置運用を行うとともに放線菌の抑制のため堆砂掘削河岸保護工湖岸緑化の対策を実施パンドリナの異常発生の抑制対策貯水池上層の水温上昇の抑制のため湖水循環装置の設置運用の対策を実施マンガン濃度上昇の抑制対策土砂の洗出しの抑制のため堆砂掘削河岸保護工湖岸緑化の対策を実施図各種障害の抑制対策 88

8 億円 2 堆砂掘削 3 湖岸緑化 4 河岸保護工 1 湖水循環装置漁川ダム図事業対象箇所 1 湖水循環装置の運用放線菌の死滅を防ぐため湖水に酸素供給を行う湖水循環装置を設置運用しましたまた

6 事業の対象箇所漁川ダムではカビ臭の発生パンドリナの異常発生およびマンガン濃度の抑制を目的に平成 13 年度からの5ヵ年間に 1 湖水循環装置の設置運用 2 堆砂掘削 3 湖岸緑化 4 河岸保護工の施工の4つの事業を実施しました事業期間 : 平成 13 年度 ~ 平成 17 年度全体事業費 : 約 20.8 億円 2 堆砂掘削 3 湖岸緑化 4 河岸保護工 1 湖水循環装置漁川ダム図事業対象箇所 1 湖水循環装置の運用放線菌の死滅を防ぐため湖水に酸素供給を行う湖水循環装置を設置運用しましたまた湖水を循環させることで湖内の上層水温を低下させパンドリナの異常発生しやすい環境を解消しました施設諸元 : 空気揚水筒 φ0.5m 4 本 5m 1 台 : コンプレッサー 22kw EL.155m 湖水循環装置 ( 揚水筒 ) EL.150m -2- 図湖水循環装置の概要 EL.149m 89

7 2 堆砂掘削放線菌の増殖しやすい環境ならびに貯水位低下に伴う堆積土の洗出しの解消を図るため貯水池上流部で土砂掘削を行い上流端付近の水深を深くしました掘削量 : 550,000m 3 図堆砂掘削位置図 3 湖岸緑化浅瀬の露出による堆積土の洗出し対策として湖岸緑化を施工しました緑化面積 : 4,100m 2 湖岸緑化状況湖岸緑化緑化に使用した植物 ( エゾミソハギ ) 図湖岸緑化の実施箇所 90

6.0mg/l 以上の維持放線菌の抑制浅瀬の土砂洗出しの抑制貯水池水温の上昇抑制

パンドリナの抑制が考えられます問題となる要因貯水池水温の上昇底層部の嫌気化 DO 濃度の低下

ジェオスミン ) マンガン濃度の上昇貯水池水温の上昇抑制 DO 濃度の維持 (6.

8 4 河岸保護工 ( 土砂流入防止対策 ) 洗出しによる土砂の流出を抑制するため貯水池上流部に河岸保護工を施工しました河岸保護工延長 : 左岸約 240m 右岸約 390m 河岸保護工 H16 施工 H17 施工図河岸保護工施工箇所 8.3 事業の効果の発現状況昭和 56 年からのカビ臭発生状況を踏まえ水質改善目標として DO 濃度 6.0mg/l 以上の維持放線菌の抑制浅瀬の土砂洗出しの抑制貯水池水温の上昇抑制を設定しました水質保全事業により期待される効果としてカビ臭マンガンパンドリナの抑制が考えられます問題となる要因貯水池水温の上昇底層部の嫌気化 DO 濃度の低下放線菌の増殖浅瀬の露出土砂の洗出し問題となっている現象パンドリナの異常発生カビ臭 ( ジェオスミン ) マンガン濃度の上昇貯水池水温の上昇抑制 DO 濃度の維持 (6.0mg/l 以上 ) 放線菌の抑制洗出しの抑制改善目標湖水循環装置掘削護岸緑化事業実施により期待される効果パンドリナの抑制カビ臭の抑制マンガンの抑制図貯水池における問題点改善目標事業により期待される効果 91

9 カビ臭の抑制効果事業の実施以降貯水池下層の DO 濃度は水質改善の目標値 6.0mg/l を概ね満足していますまた貯水池下層のジェオスミン濃度は約 6ng/l 低下しており水道法に基づく水質基準値 10ng/lを概ね満足しています堆砂掘削の実施前後で貯水池内の放線菌数は減少しており貯水池上中流における放線菌の密度は近年低い水準にあります事業の実施により DO 濃度の上昇に伴い放線菌の増殖が軽減されカビ臭の苦情件数は確認されていません貯水池下層ジェオスミン濃度ジェオスミンン濃度 (ng/l) 凡例 : 定期水質調査データカビ臭調査データ湖水循環装置稼働期間事業実施前事業実施中 (H13~H17 年度 ) 事業実施後平均値 11.8ng/l 10.0ng/l 以下 ( ジェオスミン水質基準値 ) 平均値 5.7ng/l 平均値 5.6ng/l 0.0 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 年注 1) 貯水池下層とは湖底より0.5mの箇所である注 2) 定期水質調査のジェオスミン濃度の定量下限値は 5ng/l 注 3) ジェオスミンは平成 16 年度より水質基準に追加注 4) 図中の平均値は定期水質調査のデータをもとに算出図事業実施前後におけるジェオスミン濃度の経年変化マンガン濃度の抑制効果事業の実施以降水道法に基づく水質基準値 0.05mg/l05mg/l を概ね満足しています事業の実施により浅瀬の露出による土砂の洗出しが抑制されマンガン濃度が軽減されましたパンドリナの抑制効果変色水の原因となる植物プランクトンのパンドリナの細胞数は湖水循環装置を導入した平成 15 年度以降に減少する傾向がみられました -1-92

10 8.4 事業を巡る社会経済情勢等の変化関連事業との整合恵庭市では恵庭市漁川流域に係る水道水源の水質の保全に関する条例が制定されており恵庭市民の健康で文化的な生活を確保することを目的として漁川上流の水道水源流域の汚濁源 ( ゴルフ場廃棄物処分場等 ) を規制し排水を管理していますまた産業廃棄物の不法投棄について漁川上流域のパトロールを実施し河川等への汚染防止に努めていますダム湖等の利用状況イベント写真水道水源の水質の保全 ( 不法投棄物の撤去 ) えにわ湖慈しみフェスタ実行委員会主催のえにわ湖慈しみフェスタなどが漁川ダム周辺で実施されています場所えにわ湖自由広場漁川ダム管理支所開催月日平成 21 年 7 月 25 日 ( 土 ) 活動内容主催者湖岸周辺の清掃記念植栽学習会えにわ湖慈しみフェスタ実行委員会第 10 回開催概要漁川ダム周辺の清掃エゾミソハギの植栽漁川ダム学習会図えにわ湖慈しみフェスタ 93

11 利用施設観光地漁川ダム周辺にはえにわ湖自由広場など複数の公園が整備されておりダム湖上流部には滝 ( 白扇の滝ラルマナイの滝三段の滝 ) などの景勝地がありますラルマナイの滝白扇の滝 ( 滝見広場 ) 三段の滝えにわ湖自由広場漁川ダム管理所桜公園展望スペース 1:25, km 緑のふるさと森林公園えにわ湖自由広場桜公園図漁川ダム周辺の利用施設観光地 94

12 8.4.3 地域開発の状況人口世帯数の推移近年漁川ダムの受益 4 市の人口と世帯数はほぼ横ばい傾向にあります当該事業の性質上社会経済情勢の変化には影響しないと考えられます人口 [ 人 ] 350, , , , , ,000 千歳市人口北広島市人口江別市人口恵庭市人口世帯数 140, , ,000 80,000 60,000 40,000 世帯数 [ 世帯 ] 50,000 20,000 産業別就業者数 0 S30 S35 S40 S45 S50 S55 S60 H2 H7 H12 H 図人口世帯数の推移 0 参考 : 国勢調査近年漁川ダムの受益 4 市の産業別就業者数は第 3 次産業が多くの割合を占めます当該事業の性質上社会経済情勢の変化には影響しないと考えられます 200, , 第 3 次産業第 2 次産業第 1 次産業 [ 人 ] 100,000 50,000 0 S40 S45 S50 S55 S60 H2 H7 H12 H 図産業別就業人口の推移参考 : 市町村勢要覧 1 S49 漁川ダム着工 2 S55 本体完成試験湛水開始竣工管理開始 3 H13 貯水池水質保全事業開始 95

13 8.4.4 地域の協力体制水源地域ビジョン漁川ダムでは水源地域ビジョンが策定されており重要な交流の場 ( 憩いの場 ) 環境学習の場として期待されるだけでなく漁川ダムを水源に持つことの意識水水源地域を保全しなくてはならないという意識により水源地域ビジョンに水質保全の地域連携が第一に盛り込まれています地域との連携水源地域ビジョンに基づきダム周辺ではダム管理支所主催の漁川ダム見学会やエゾミソハギの植栽等が実施されており地域との連携を深めています漁川ダム水源地域ビジョン行動計画概念図漁川ダム管理支所 HP よりエゾミソハギの植栽小学校対象のダム見学会図地域との協力事例 96

14 8.5 事業実施による環境の変化事業実施によりDO 濃度等の改善が見られるほか一般的な水質指標であるBODについては事業実施前実施中実施後において大きな変化はみられず事業による影響は小さいものと考えられますまた事業の実施前中後で動物プランクトンに大きな変化はみられず魚類についても事業による魚類への影響は小さいものと考えられます事業実施前事業実施中事業実施後環境基準値 2mg/L 以下図水質の変化 (BOD(75% 値 )) 8.6 今後の事業評価の必要性本事業では湖水循環装置堆砂掘削湖岸緑化河岸保護工の対策の実施によりカビ臭パンドリナおよびマンガンの抑制効果が発現していますまた CVM を用いた便益評価でも B/C=5.0 という結果であることから事業実施の妥当性が検証されていますしたがって再度の事後評価を行う必要性は認められません 8.7 改善措置の必要性現時点では事業の効果が発現されていることから本事業に対する改善措置の必要性は認められません 8.8 同種事業の計画調査のあり方や事業評価手法の見直しの必要性現時点では同種事業の計画調査のあり方や事業評価の見直し等の必要性はみられません -1-97

水質

34 34. 水質 3 水質流域の状況 3 金山ダムは石狩川水系空知川の上流域に位置するダム流域は森林が約 9% を占めており流入河川の流入付近が南富良野町の市街地となっている流域の概要面積 47km 2 人口約 2,8 人 ( 南富良野町 H2.9) 土地利用森林が約 9% その他牧場農場あり流入河川の流入付近が市街地 36 水質 2 定期水質調査地点金山ダムでは流入河川 2