平成21年度飼料分析技術担当者会議用資料

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1 家畜飼料中に含まれるカビ毒分析法の開発 青山幸二

2 博士論文 家畜飼料中に含まれるカビ毒分析法の開発 Development of Analytical Method for Mycotoxins in Feedstuffs 青山幸二 Koji Aoyama

3 目次 目次... i 略語一覧... v 第 1 章緒言... 1 第 1 節カビ毒... 1 第 2 節本研究で取り上げるカビ毒の概要 オクラトキシン A シトリニン フモニシン ゼアラレノンおよびその関連化合物 デオキシニバレノールおよびニバレノール... 6 第 3 節カビ毒の制御... 6 第 4 節カビ毒分析法... 7 第 5 節本研究の位置付け... 8 第 2 章飼料中のカビ毒分析法の開発... 9 第 1 節序論... 9 第 2 節材料および方法 試料 試薬 標準液の調製 装置および器具 HPLC によるオクラトキシン A およびシトリニン同時定量法 LC-MS によるオクラトキシン A およびシトリニン確認法 HPLC によるオクラトキシン A 定量法 LC-MS によるフモニシン定量法 i

4 2-9 LC-MS によるフモニシン確認法 LC-MS によるゼアラレノン定量法 LC-MS/MS によるゼアラレノン関連化合物定量法 LC-MS/MS によるゼアラレノン関連化合物確認法 添加回収試験 定量下限および検出下限 第 3 節結果および考察 HPLC によるオクラトキシン A およびシトリニン同時定量法 HPLC によるオクラトキシン A 定量法 LC-MS によるフモニシン定量法 LC-MS によるゼアラレノン定量法 LC-MS/MS によるゼアラレノン関連化合物定量法 第 4 節要約 第 3 章室間共同試験 第 1 節序論 第 2 節材料および方法 コンパクトコラボ フルコラボ 第 3 節結果 HPLC による飼料中のオクラトキシン A およびシトリニン同時定量法のコンパクトコラボ HPLC による飼料中のオクラトキシン A 定量法のコンパクトコラボ LC-MS による飼料中のフモニシン定量法のコンパクトコラボ LC-MS による飼料中のゼアラレノン定量法のコンパクトコラボ LC-MS/MS による飼料中のゼアラレノン関連化合物定量法のコンパクトコラボ ii

5 3-6 HPLC および LC-MS(/MS) による小麦中のデオキシニバレノールおよびニバレノール同時定量法のフルコラボ 第 4 節考察 第 5 節要約 第 4 章ソルガムにおけるゼアラレノン汚染とその原因菌 第 1 節序論 第 2 節材料および方法 試料 標準品および試薬 ゼアラレノン汚染調査 菌学に関する試験 第 3 節結果 ソルガムにおけるゼアラレノン汚染 ソルガムにおけるゼアラレノン汚染原因菌 第 4 節考察 第 5 節要約 第 5 章飼料および食品中のカビ毒汚染実態調査 第 1 節序論 第 2 節材料および方法 飼料 食品 第 3 節結果および考察 飼料中のフモニシン 食品中のオクラトキシン A およびフモニシン 第 4 節要約 iii

6 総合考察 結論 謝辞 引用文献 本論文を構成する論文 学位論文要旨 iv

7 略語一覧 ANOVA APCI CEN CFU EC ECD ELISA ESI FAO analysis of variance 分散分析 atmospheric pressure chemical ionization 大気圧化学イオン化法 Comité Européen de Normalisation 欧州標準化委員会 colony forming unit コロニー形成単位 European Communities 欧州共同体 electron capture detection 電子捕獲型検出器 enzyme-linked immunosorbent assay 酵素結合免疫吸着法 electrospray ionization エレクトロスプレーイオン化法 Food and Agriculture Organization of the United Nations 国際連合食糧農業機 関 GC HPLC HorRat IARC ISO IUPAC JECFA gas chromatograph ガスクロマトグラフ high performance liquid chromatograph 高速液体クロマトグラフ Horwitz ratio International Agency for Research on Cancer 国際がん研究機関 International Organization for Standardization 国際標準化機構 International Union of Pure and Applied Chemistry 国際純正 応用化学連合 Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives FAO/WHO 合同食品添 加物専門家会議 LC LOAEL MS MS/MS ND NOEL ODS PBS liquid chromatograph 液体クロマトグラフ lowest observed adverse effect level 最小毒性量 mass spectrometric detector 質量分析計タンデム型質量分析計 not detected 不検出 no observed effect level 無作用量 octadecylsilyl オクタデシルシリル phosphate-buffered saline リン酸緩衝生理食塩水 v

8 PMTDI RSD r RSD R SCF SIM SN SRM TLC t-tdi UV WHO α-zal β-zal ZAN α-zel β-zel ZEN provisional maximum tolerable daily intake 暫定最大耐容一日摂取量 relative standard deviation of repeatability 繰返し精度の相対標準偏差 relative standard deviation of reproducibility 室間再現精度の相対標準偏差 Scientific Committee on Food 食品科学委員会 selected ion monitoring 選択イオン検出 signal noize シグナル ノイズ selected reaction monitoring 選択反応検出 thin-layer chromatograph 薄層クロマトグラフ temporary tolerable daily intake 暫定耐容一日摂取量 ultraviolet 紫外線 World Health Organization 世界保健機関 α-zearalanol α-ゼアララノール β-zearalanol β-ゼアララノール zearalanone ゼアララノン α-zearalenol α-ゼアラレノール β-zearalenol β-ゼアラレノール zearalenone ゼアラレノン vi

9 第 1 章緒言 第 1 節カビ毒カビは自然環境の至る所に存在し 有害な面と有益な面の両面でヒトと深く関わってきた ( 宇田川ら, ) ) カビによる有害な面の最たるものは 食品の腐敗である また カビはヒトや動物 農作物に感染すると病気の原因となる その一方で ヒトはカビを有効に利用してきた 味噌や醤油 酒 鰹節の製造にはカビが不可欠である また カビは大量に培養することにより 抗生物質や酵素などの製造にも利用されている カビの代謝物のうち 少量でもヒトや動物に対して毒性を示すものをカビ毒 ( mycotoxin マイコトキシン ) と言う 一方 抗生物質は少量であれば微生物に対してのみ毒性を示し ヒトや動物に対しては毒性を示さない カビ毒の中には 当初は抗生物質に分類されていたが ヒトや動物への毒性が明らかとなって カビ毒と呼ばれるようになったものも存在する ( 宇田川ら, ) ) カビ毒の摂取が原因となって起こる病気を真菌中毒症 ( mycotoxicosis マイコトキシコーシス ) という 真菌中毒症は カビそのものがヒトや動物の組織に感染して起こる真菌症 ( mycosis マイコーシス ) とは区別される 真菌中毒症はあまり耳にすることはないが 日本も含め 世界各地で古くから発生している 代表的なものとしては 中世ヨーロッパで頻発した麦角中毒 ( CAST, ) ) 1930~1940 年代に旧ソ連で起こった食中毒性無白血球症 (Alimentary Toxic Aleukia ATA 症 )( 芳澤, ) ) を挙げることができる 日本でも 1940~1950 年代に カビに感染した麦類の摂取による食中毒が多数報告されている ( 芳澤, ) ) 現在でも 食料の確保が困難な地域を中心に カビ毒による死亡例も報告されている ( Lewis et al., ) ) カビ毒が世界的に注目を浴びるようになったのは 1960 年にイギリスで発生した七面鳥の雛が大量に中毒死した事故である ( Sargeant et al., ) ) この原因物質として発見されたのが 飼料に用いられたブラジル産落花生油かすを汚染したカビ Aspergillus flavus が産生したアフラトキシンであった その後の研究で アフラトキシンは強い致死毒性の上 慢性毒性である強い発がん性も有することが明らかとなった ( 宇田川ら, ) ) アフラトキシンは天然物質中で最も発がん性が強い物質であると言われている この発見以降 1

10 少量のカビ毒を長期間摂取することによる慢性毒性にも注目を浴びるようになり 世界的な最大含有量の設定へと繋がっていった 現在 カビ毒は数百種類が知られており その大部分は Aspergillus 属 Fusarium 属および Penicillium 属のカビにより産生される ( 宇田川ら, ) ) Aspergillus 属は熱帯から温帯にかけて分布し 代表的なものとして アフラトキシンを産生する A. flavus オクラトキシンを産生する A. ochraceus が挙げられる Fusarium 属は土壌菌類として世界中に分布し トリコテセン系カビ毒 ゼアラレノン フモニシなどを産生する Penicillium 属も土壌中に生息し 比較的寒冷な地域に分布している Penicillium 属はオクラトキシン A シトリニン パツリンなどを産生する 第 2 節本研究で取り上げるカビ毒の概要 2-1 オクラトキシン A オクラトキシン A( ochratoxin A Fig. 1-1) は 1960 年代に A. ochraceus の代謝物として発見された ( IARC, ) ) その後の研究で オクラトキシン A は寒冷な気候に生息するカビである Penicillium 属菌や 熱帯から温帯地域に生息する複数の Aspergillus 属菌により産生されることが明らかとなった 汚染地域が多岐にわたることから とうもろこし 麦類 ぶどう コーヒー豆 カカオ豆 香辛料など様々な種類の作物がオクラトキシン A に汚染されている ( JECFA, 2001b 35) ) また 飼料を介した畜産物の汚染も報告されている ( JECFA, 2001b 35) ) 従って オクラトキシン A の汚染は国際貿易の際に深刻な問題となりうる なお オクラトキシンには オクラトキシン B オクラトキシン C などいくつかの関連化合物も発見されているが これらはオクラトキシン A に比べ毒性も低く 産生量も少ない COOH O OH O N O H Cl H Fig Structure of ochratoxin A 2

11 オクラトキシン A は腎臓や肝臓に対して強い毒性を示す このカビ毒は北ヨーロッパで多発したブタの腎障害や バルカン諸国の風土病である腎臓疾患 ( バルカン腎炎 ) の原因物質であると考えられている ( Abouzied et al., ) ) また 動物実験では発がん性を示すことが証明され ヒトに対する発がん性も示唆されたことから IARC ( International Agency for Research on Cancer 国際がん研究機関 ) はオクラトキシン A のヒトに対する発がん性をグループ 2B( 発がん性の恐れがある ) に分類している ( IARC, ) ) オクラトキシン A の含有量は ヨーロッパを中心に様々な国で規制されている FAO ( Food and Agriculture Organization of the United Nations 国際連合食糧農業機関 ) と WHO ( World Health Organization 世界保健機関 ) によって設置された国際食品規格委員会である Codex 委員会は 近年 穀物( 小麦 大麦およびライ麦 ) 中のオクラトキシン A の最大基準値を 5 μg/kg と設定した ( Codex, ) ) 2-2 シトリニンシトリニン ( citrinin Fig. 1-2) は 1931 年に 抗生物質の探索中に P. citrinum の培養物から発見された ( 宇田川ら, ) ) シトリニンは Penicillium 属および Aspergillus 属の複数の菌から産生される シトリニン産生菌の中にはオクラトキシン A も産生する場合があるため それらの同時汚染が懸念されている OH HOOC O O H H Fig Structure of citrinin シトリニンは主に腎臓に対して毒性を示す 同じ腎毒性を示すオクラトキシン A と比べると シトリニンの毒性は弱いが シトリニンとオクラトキシン A が共存すると毒性が増強するという報告 ( Klarić et al., ) ) もあるため注意が必要である 日本でのシトリニンに関する重要な出来事は 1950 年代に起こった黄変米事件である ( 宇田川ら, ) ) 当時の日本は食糧難の時代であり 海外から大量の米が輸入されて 3

12 いた その中には 品質が悪く カビにより黄色や橙色に変色した米 ( 黄変米 ) も含まれていた 米の変色の原因を調査したところ その原因菌の一つとして P. citrinum が単離された また P. citrinum が産生する物質であるシトリニンが腎毒性を示すことも明らかにされた これは アフラトキシンの発見よりも前の出来事であった 2-3 フモニシン フモニシン ( fumonisin) は現在注目されているカビ毒の中では比較的発見が新しく 1988 年に F. moniliforme の培養物から発見された ( Gelderblom et al., ) ) フモニシンは複 数の Fusarium 属の菌から産生され 特にとうもろこしでは汚染が頻繁に認められる ( Shephard et al., ) ) フモニシンにはいくつかの関連化合物があるが 重要なのはフ モニシン B 1 B 2 および B 3 である ( Fig. 1-3) その他に フモニシン A 群 C 群 P 群が 発見されているが その産生量は少ない HOOC COOH O O R 2 OH O O R 1 NH 2 HOOC COOH Fig Structure of fumonisin. Fumonisin B 1 : R 1 =OH, R 2 =OH; Fumonisin B 2 : R 1 =H, R 2 =OH; Fumonisin B 3 : R 1 =OH, R 2 =H. フモニシンはウマの白質脳症 ブタの肺水腫 ヒトの新生児神経管障害 ( Marasas et al., ) ; Missmer et al., ) ) の原因物質とされており 食道がんとの関係も示唆されている ( Chu and Li, ) ; Yoshizawa et al., ) ) IARC はオクラトキシン A 同様 フモニシンを発がん性の恐れがあるグループ 2B に分類している 4

13 2-4 ゼアラレノンおよびその関連化合物ゼアラレノン ( zearalenone ZEN) は 1962 年に F. graminearum から単離され 1966 年に構造が決定されたカビ毒である ( Fig. 1-4) ZEN は Fusarium 属の複数の菌から産生され とうもろこしや麦類などの穀物から検出される ( Codex, ) ; Kuiper-Goodman et al., ) ; Tanaka et al., ) ; Zinedine et al., ) ) Abbreviation C 1 C 2 R HO OH O H O C 2 C 1 R Zearalenone -Zearalenol -Zearalenol Zearalanone -Zearalanol -Zearalanol ZEN -ZEL -ZEL ZAN -ZAL -ZAL O OH OH O OH OH Fig Structure of zearalenone and the related compounds ZEN は 毒性は強くないが ほ乳類の生殖器系にエストロゲン ( 女性ホルモン ) 作用を示すことが特徴である 特に ブタは他の動物よりも ZEN の影響を受けやすいことが報告されている ( Kuiper-Goodman et al., ) ) メスのブタにおける ZEN によるエストロゲンの過剰は 子宮や乳頭 外陰部の肥大 膣脱 不妊症を引き起こす オスのブタが ZEN にさらされると 精巣萎縮や乳腺の肥大が起こる可能性がある 日本では飼料に対して 1 ppm( mg/kg) という基準値が設定されている ( 農林水産省生産局畜産部飼料課長, 2002a 128) ) ゼアララノン ( zearalanone ZAN) α-ゼアラレノール ( α-zearalenol α-zel) β-ゼアラレノール ( β-zearalenol β-zel) α-ゼアララノール ( α-zearalanol α-zal) および β-ゼアララノール ( β-zearalanol β-zal) は ZEN の関連化合物である ( Fig. 1-4) これら関連化合物のほとんどは ZEN よりもエストロゲン作用が強い ( Hagler et al., ) ; Le Guevel and Pakdel, ) ; Shier et al., ) ) これらの化合物は動物体内での ZEN の代謝物として検出されることが多いが ( Zinedine et al., ) ; Zöllner et al., ) ) カビも産生することから ( Bottalico et al., ) ; Hagler et al., ) ; Richardson et al., ) ) 作物の汚染も報告されている ( Bottalico et al., ) ; Cavaliere et al., ) ; Han et al., ) ; Jin et al., ) ; Mirocha et al., ) ; Schollenberger et al., ) ) 5

14 2-5 デオキシニバレノールおよびニバレノールデオキシニバレノール ( deoxynivalenol) およびニバレノール ( nivalenol) は Fusarium 属菌により産生されるトリコテセン系カビ毒の一種である ( Fig. 1-5) デオキシニバレノールおよびニバレノールは 1970 年前後に 日本における麦類の赤カビ病の研究の際に発見された これらのカビ毒は温帯や亜寒帯地域で麦類を中心とした穀物を汚染し 汚染穀物の摂取により成長抑制 免疫毒性および血液毒性を引き起こす H O H OH O O OH OH R Fig Structure of deoxynivalenol and nivalenol. Deoxynivalenol: R=H; Nivalenol: R=OH. 日本の作物でも デオキシニバレノールやニバレノールによる汚染は問題となっており 農林水産省では 麦類のデオキシニバレノール ニバレノール汚染低減のための指針 を作成している ( 農林水産省消費 安全局長, 生産局長, ) ) また 厚生労働省では 小麦中のデオキシニバレノールの含有量について 1.1 ppm( mg/kg) という暫定基準値を設定している ( 厚生労働省医薬局食品保健部長, ) ) 飼料については 生後 3 ヶ月以上の牛の飼料に対しては 4 ppm それ以外の飼料に対しては 1 ppm という基準値が設定されている ( 農林水産省生産局畜産部飼料課長, 2002b 129) ) 第 3 節カビ毒の制御真菌中毒症はカビ毒を摂取することにより起こる中毒症であるため 予防には食物中のカビ毒の量を制限する必要がある カビ毒を産生するカビは通常 農場段階で作物に付着し その作物の生産 貯蔵 流通中に増殖すると同時にカビ毒を産生する 従って カビ毒を抑制するためには 農場から ヒトや動物の口に入るまで カビの増殖を制御する必要がある また カビそのものであれば調理過程の加熱等で死滅させることができるが カビ毒は一般的に調理温度程度では安定なものが多い 一方でカビ毒は その急性毒性も 6

15 さることながら 少量を長期間摂取することにより起こる慢性毒性にも注意を要する カビ毒の量を制御するための方法として Codex 委員会は各種カビ毒に対して 生産 貯蔵 流通段階における実施規範を作成している ( Codex, 2012b 21) ) また 作物中カビ毒の最大含有量を設定することも有効な制御手段となりうる ただし 最大含有量は設定するだけでは意味をなさず それが遵守されているかどうか またはどの作物がどの程度のカビ毒を含有しているかを監視する仕組み つまりカビ毒の含有量を分析することが必要になる カビ毒の最大含有量は その慢性毒性のために低い濃度に設定されることが多くなる 従って 分析法もその低い濃度を検出できるものが必要となる 第 4 節カビ毒分析法食品や飼料中のカビ毒含有量の分析法は 機器分析と簡易キットによる分析に大きく分けることができる カビ毒分析用の簡易キットは多く販売されており 分析費用が安価であり 結果も迅速に得られる ( Zheng et al., ) ; 中島, ) ) 簡易分析キットは ELISA( Enzyme-linked Immunosorbent Assay 酵素結合免疫吸着法 ) 等を利用し 通常 おおよその値を知るためのスクリーニング用として用いられる 簡易キットにより問題となりそうな結果が得られた場合は 機器分析によりその確認が行われる 機器分析によるカビ毒分析法に関する報告は カラムにより目的成分とその他の成分とを分離するクロマトグラフィーの技術を用いたものが大半である クロマトグラフィーは液体クロマトグラフィーとガスクロマトグラフィーに大別される 液体クロマトグラフィーは固体が充填されたカラムに液体を流して目的成分を分離する方法 ガスクロマトグラフィーは液体が内側に塗布されたカラムに気体を流して目的成分を分離する方法である カビ毒の分析には 以前はガスクロマトグラフィーもよく利用されていたが 誘導体化が必要になるなど前処理が煩雑となる 従って 現在は液体クロマトグラフィーが主流となっている 液体クロマトグラフ ( liquid chromatograph LC) の検出器としては UV( ultraviolet 紫外線 ) 検出器 蛍光検出器 質量分析計 ( mass spectrometric detector MS) MS を 2 台つなげたタンデム型質量分析計 ( MS/MS) などが挙げられる 多成分のカビ毒を同時に分析する場合は 選択性 感度共に良くなる MS や MS/MS が用いられる しかしながら 蛍光強度が強い成分の場合は蛍光検出器が汎用されている 7

16 第 5 節本研究の位置付けカビ毒に限らず 新しい分析法を作るためには 第一に 対象となる試料の範囲を明確にし 単一試験室内で十分な検討を行うことが重要である しかしながら 単一試験室内で十分な検討を行った分析法でも 他の試験室で同程度の結果が得られるとは必ずしも限らない そこで 他の試験室でも使用する分析法については 複数の試験室において 同一の試料を同一の分析法で分析 ( 室間共同試験 ) し その結果を確認しておく必要がある 一方 カビ毒の制御には 実施規範の作成と最大含有量の設定もしくはリスクが高い食物の特定が重要となる 実施規範の作成 つまり農場や貯蔵 流通段階でカビ毒の発生を制御するためには そのカビ毒を産生するカビを特定し そのカビに合った対策を取ることが重要である また 流通している食品や飼料が最大含有量を超えていないか もしくはどの食物がカビ毒のリスクが高いかなどは カビ毒の分析により確認される 本論文の第 2 章では 液体クロマトグラフを用いた飼料中のカビ毒分析法を単一試験室で検討した結果について記述した 第 3 章では 第 2 章で検討した分析法を中心に室間共同試験を実施した結果について記述した 第 4 章および第 5 章では 第 2 章や第 3 章で検討した分析法を ソルガムにおける ZEN 汚染とその原因菌の調査 ( 第 4 章 ) および飼料や食品中のカビ毒汚染調査 ( 第 5 章 ) に応用した 著者が実施したこれらの研究は 食品や飼料中のカビ毒制御の一助になることが期待できる 8

17 第 2 章飼料中のカビ毒分析法の開発 第 1 節序論日本で家畜に供されている飼料は 牧草を除き その大半を輸入に頼っている ( 農林水産省, 2014b 125) ) 例えば 日本で製造される植物油の原料 ( 大豆 なたね等 ) はほとんどが輸入品であるため 飼料に用いられる搾油かすの原料も輸入品となる 日本の飼料はとうもろこしを主体に設計されているが とうもろこしはカビ毒汚染が特に懸念されている作物の一つである 従って 日本の飼料中のカビ毒を制御するためには 日本国内で実施規範を作成するだけでは不十分であり 分析によりカビ毒を監視する必要がある 日本においては 飼料の公定分析法として 飼料分析基準 が策定されている ( 農林水産省消費 安全局長, ) ) これは 単一試験室での検討結果 室間共同試験の結果をもとに 各分野の専門家で構成された委員会において承認された分析法である この飼料分析基準の中には カビ毒の分析法も収載されている そこで 本章では カビ毒であるオクラトキシン A シトリニン フモニシン ZEN および ZEN 関連化合物について 液体クロマトグラフを用いた飼料中の分析法を単一試験室で検討した結果を記載した なおこれらの分析法は 公定分析法に採用するために検討を行ったものである 検討結果を受けて これらの分析法は飼料分析基準に収載された 第 2 節材料および方法 2-1 試料飼料製造工場で採取した配合飼料および飼料原料をそれぞれ 1 mm の網ふるいを通過するまで粉砕して用いた 2-2 試薬オクラトキシン A シトリニン フモニシン B 2 ZEN ZAN α-zel β-zel α-zal および β-zal の各標準品は Sigma 製 フモニシン B 1 の標準品は和光純薬工業製 フモニシン B 3 の標準品は South African Medical Research Council 製を用いた 標準液の調製 最終試料溶液の溶媒 高速液体クロマトグラフ ( High performance liquid 9

18 chromatograph HPLC) および LC-MS に用いたメタノール アセトニトリルは HPLC 用または LC-MS 用試薬を用いた 酢酸アンモニウムは和光純薬工業製高速液体クロマトグラフ用 1 mol/l 水溶液を用いた 水は比抵抗が 18 MΩ cm 以上のものを用いた その他の試薬は特級を用いた 2-3 標準液の調製標準原液は以下のように調製した オクラトキシン A およびシトリニンはメタノールを用いて フモニシン B 1 B 2 および B 3 はアセトニトリル - 水 ( 1+1) を用いて ZEN ZAN α-zel β-zel α-zal および β-zal はアセトニトリルを用いて それぞれ正確に溶解したものを標準原液とした 各標準原液の濃度は オクラトキシン A シトリニン フモニシン B 1 B 2 および ZEN がそれぞれ 200 µg/ml β-zel が 100 µg/ml フモニシン B 3 が 56 µg/ml ZAN α-zel α-zal および β-zal がそれぞれ 50 µg/ml であった 標準原液は 18 C 以下で保存した 混合標準原液は各標準原液を用いて以下のように調製した オクラトキシン A およびシトリニン混合標準原液は 各標準原液を混合し メタノールで正確に希釈して調製した ( オクラトキシン A 1 µg/ml シトリニン 5 µg/ml) フモニシン B 1 B 2 および B 3 混合標準原液 ( フモニシン混合標準原液 ) は 各標準原液を混合し アセトニトリル - 水 ( 1+1) で正確に希釈して調製した ( 各フモニシン 5 µg/ml) ZEN ZAN α-zel β-zel α-zal および β-zal 混合標準原液 ( ZEN 類混合標準原液と称す ) は 各標準原液を混合し アセトニトリルで正確に希釈して調製した ( 各 ZEN 類 2.5 µg/ml) 混合標準原液は 5 C 以下で保存した 検量線の作成に用いる標準液あるいは内標準液は 各混合標準原液もしくは標準原液を用いて 使用の際に以下のように調製した オクラトキシン A およびシトリニン混合標準液は オクラトキシン A およびシトリニン混合標準原液の一定量をアセトニトリル - 水 ( 1+1) で正確に希釈して調製した オクラトキシン A 標準液は オクラトキシン A 標準原液の一定量をアセトニトリル - 水 - 酢酸 ( ) で正確に希釈して調製した フモニシン混合標準液は フモニシン混合標準原液の一定量をアセトニトリル - 水 ( 1+1) で正確に希釈して調製した ZEN 標準液は ZEN 標準原液の一定量をアセトニトリル - 水 10

19 ( 1+1) で正確に希釈して調製した ZAN 内標準液は ZAN 標準原液の一定量をアセトニトリル - 水 ( 1+1) で正確に希釈して調製した ( 5 µg/ml) ZEN 類混合標準液は ZEN 類混合標準原液の一定量をアセトニトリル - 水 ( 21+4) で正確に希釈し 更に 各希釈液の一定量をそれぞれ酢酸 ( 1+100) で正確に 2 倍に希釈して調製した 2-4 装置および器具 HPLC は Agilent Technologies 製 1100 Series 島津製作所製 Prominence または Waters 製 2695 蛍光検出器は Agilent Technologies 製 G1321A( Agilent Technologies 製 HPLC の場合 ) MS は Agilent Technologies 製 1100 Series LC/MSD SL( Agilent Technologies 製 HPLC の場合 ) 島津製作所製 LCMS-2010 EV( 島津製作所製 HPLC の場合 ) または Micromass 製 Quattro micro API( Waters 製 HPLC の場合 ) LC 用カラムはジーエルサイエンス製 Inertsil ODS-2 Agilent Technologies 製 ZORBAX Eclipse XDB-C18 アルカリ化溶液送液ポンプは Waters 製 510 アルカリ化溶液混合部はトムシック販売 PEEK ミキシングティーを用いた 振とう器は Iwaki 製 KM Shaker またはタイテック製 Recipro Shaker SR-2W 遠心分離器は久保田商事製 5200 KS-5000P またはトミー精工製 LC-121 高速遠心分離器はトミー精工製 MX-300 久保田商事製 KM または日立製作所製 SCT15B エバポレーターは BÜCHI Labortechnik AG 製 Rotavapor R-200 遠心エバポレーターは東京理化学製 CVE-3100 を用いた 限外ろ過フィルターユニットは Millipore 製 Ultrafree-MC 多機能カラムは Romer Labs 製 MultiSep 229 Ochra または MultiSep 226 AflaZon+ イオン交換カラムは Varian 製 Bond Elut LRC SAX( 500 mg/10 ml) を用いた 2-5 HPLC によるオクラトキシン A およびシトリニン同時定量法分析試料 25 g を量って 200 ml の共栓三角フラスコに入れ アセトニトリル - 塩酸 - 水 ( 8+1+1) 100 ml を加え 軽く振り混ぜた後 5 分間放置し 30 分間振り混ぜてオクラトキシン A およびシトリニンを抽出した 抽出液をろ紙 ( No. 5A) でろ過し ろ液 5 ml を正確にとって 50 ml のなす型フラスコに入れ 40 C で 1 ml 以下になるまで減圧濃縮した後 窒素ガスを軽く吹き付けてアセトニトリルを除去した 塩化ナトリウム約 0.5 g を試 11

20 料溶液に加え 更に酢酸エチル 10 ml を正確に加えた後 よく混合したものを 10 ml の試験管に入れ 1000 g で 5 分間遠心分離した 酢酸エチル層 ( 上層 ) 5 ml を正確にとって 50 ml のなす型フラスコに入れ 40 C でほとんど乾固するまで減圧濃縮した後 窒素ガスを送って乾固した 残留物にアセトニトリル - 水 ( 1+1) 2 ml を正確に加えて溶かし 限外ろ過フィルターユニットに入れ 5000 g で 15 分間遠心し フィルターを通過したものを HPLC に供する試料溶液とした 試料溶液および各混合標準液各 20 µl を HPLC に注入し Table 2-1 の HPLC 条件に従いクロマトグラムを得た 得られたクロマトグラムからピーク高さまたは面積を求めて検量線を作成し 試料中のオクラトキシン A およびシトリニン量を算出した Table 2-1. HPLC conditions for ochratoxin A and citrinin Column Inertsil ODS-2 (4.6 mm i.d. 250 mm, 5 µm) Mobile phase Acetonitrile-water-1% H 3 PO 4 ( ) Detector Fluorescence detector (Ex: 335 nm, Em: 480 nm) Flow rate 1.0 ml/min Column temperature 40 C 2-6 LC-MS によるオクラトキシン A およびシトリニン確認法 2-5 により各カビ毒と同じ位置にピークが確認された試料については 2-5 で得ら れた最終溶液を Table 2-2 の条件に従い LC-MS により測定を行った 12

21 Table 2-2. LC-MS conditions for ochratoxin A and citrinin Column ZORBAX Eclipse XDB-C18 (3.0 mm i.d. 250 mm, 5 µm) Mobile phase Acetonitrile-water-acetic acid ( ) Flow rate 0.5 ml/min Column temperature 40 C Injection volume 10 µl Ionization Electrospray ionization (ESI) Fragmentor voltage 100 V Nebulizer gas N 2 (35 psi) Drying gas N 2 (10 L/min, 350 C) Capillary voltage 3000 V (positive) Monitor ion m/z 404 (ochratoxin A), 251 (citrinin) 2-7 HPLC によるオクラトキシン A 定量法分析試料 25 g を量って 200 ml の共栓三角フラスコに入れ アセトニトリル - 水 - 酢酸 ( )100 ml を加え 30 分間振り混ぜて抽出した 抽出液を 50 ml の遠心沈殿管に入れ 1000 g で 5 分間遠心分離した 上澄み液を多機能カラム ( MultiSep 229 Ochra) に入れ カラム内の充填剤を通過した初めの流出液 1 ml を捨て その後の流出液 3 ml から正確に 2 ml を 10 ml の遠心沈殿管に入れ 遠心エバポレーターを用いて 50 C でほとんど乾固するまで減圧濃縮した後 窒素ガスを送って乾固した アセトニトリル - 水 - 酢酸 ( ) 1 ml を正確に残留物に加えて溶かし ポリプロピレン製遠心沈殿管 ( 容量 1.5 ml) に移し 5000 g で 5 分間遠心分離し 上澄み液を HPLC に供する試料溶液とした 試料溶液および各標準液各 50 µl を HPLC に注入し Table 2-3 の測定条件に従いクロマトグラムを得た 得られたクロマトグラムからピーク高さまたは面積を求めて検量線を作成し 試料中のオクラトキシン A 量を算出した Table 2-3. HPLC conditions for ochratoxin A Column Inertsil ODS-2 (4.6 mm i.d. 250 mm, 5 µm) Mobile phase Acetonitrile-water-acetic acid ( ) Detector Fluorescence detector (Ex: 385 nm, Em: 444 nm) Solution for alkalifying 100 mmol/l NaOH solution Flow rate Mobile phase: 1.0 ml/min, solution for alkalifying: 0.3 ml/min Column temperature 40 C 13

22 2-8 LC-MS によるフモニシン定量法分析試料 20 g を量って 200 ml の共栓三角フラスコに入れ メタノール - 水 ( 3+1)100 ml を加え 15 分間振り混ぜてフモニシン B 1 B 2 および B 3 を抽出した 抽出液を共栓遠心沈殿管に入れ 1500 g で 5 分間遠心分離し 上澄み液をイオン交換カラムによる精製に供する試料溶液とした イオン交換カラム ( Bond Elut LRC SAX) をあらかじめメタノール 8 ml およびメタノール - 水 ( 3+1) 8 ml で順次洗浄した 試料溶液 10 ml をカラムに正確に入れて流出させた後 メタノール - 水 ( 3+1) 8 ml およびメタノール 8 ml を順次カラムに加え 同様に流出させた 50 ml のなし形フラスコをカラムの下に置き メタノール - 酢酸 (99+1) 14 ml をカラムに加えて各フモニシンを溶出させた 溶出液を 40 C の水浴上でほとんど乾固するまで減圧濃縮した後 窒素ガスを送って乾固した 残留物にアセトニトリル - 水 ( 1+1)1 ml を正確に加えて溶かし ポリプロピレン製遠心沈殿管 ( 容量 1.5 ml) に移し 5000 g で 5 分間遠心分離し 上澄み液を LC-MS に供する試料溶液とした 試料溶液および各混合標準液各 5 µl を LC-MS に注入し Table 2-4 の測定条件に従い SIM( selected ion monitoring 選択イオン検出 ) クロマトグラムを得た 得られたクロマトグラムからピーク高さを求めて検量線を作成し 試料中のフモニシン B 1 B 2 および B 3 量を算出した Table 2-4. LC-MS conditions for fumonisins Column ZORBAX Eclipse XDB-C18 (2.1 mm i.d. 150 mm, 5 µm) Mobile phase A; 0.1 % formic acid, B; acetonitrile 0 min; 25 % B, 5 min; 50 % B, 8 min; 50 % B, 10 min; 25 % B Flow rate 0.2 ml/min Column temperature 40 C Ionization Electrospray ionization (ESI) (positive) Fragmentor voltage 220 V Nebulizer gas N 2 (50 psi) Drying gas N 2 (10 L/min, 350 C) Capillary voltage 3000 V Monitor ion m/z 722 (fumonisin B 1 ), 706 (fumonisin B 2 and B 3 ) 14

23 2-9 LC-MS によるフモニシン確認法 2-8により各フモニシンが検出された試料については 須賀らの報告 ( ) ) を参考に LC-MS のフラグメント電圧を上げ 2-8の最終溶液を再測定した 得られたフラグメントイオンにより定量を行い 2-8 の擬分子イオンにより得られた定量値と比較した Table 2-4 のうち フラグメント電圧を 340 V モニターイオンをフラグメントイオンである m/z 334( フモニシン B 1 ) m/z 336( フモニシン B 2 および B 3 ) として定量を行った 2-10 LC-MS によるゼアラレノン定量法分析試料 50 g を量って 300 ml の共栓三角フラスコに入れ アセトニトリル - 水 ( 21+4) 150 ml を加え 30 分間振り混ぜて抽出した 抽出液を 50 ml の遠心沈殿管に入れ 1000 g で 5 分間遠心分離した 上澄み液を多機能カラム ( MultiSep 226 AflaZon+) に入れ カラム内の充填剤を通過した初めの流出液 4 ml を捨て その後の流出液 3 ml から 2 ml を正確に 10 ml の遠心沈殿管に入れ 遠心エバポレーターを用いて 50 C でほとんど乾固するまで減圧濃縮した後 窒素ガスを送って乾固した アセトニトリル - 水 ( 1+1) 1 ml および ZAN 内標準液 ( 5 µg/ml) 20 µl を正確に残留物に加えて溶かし ポリプロピレン製遠心沈殿管 ( 容量 1.5 ml) に移し 5000 g で 5 分間遠心分離し 上澄み液を LC-MS に供する試料溶液とした 一方 各標準液 1 ml を正確にバイアルに入れ それぞれ ZAN 内標準液 20 µl を正確に加えて よく撹拌したものを LC-MS に供する標準液とした 試料溶液および各標準液各 10 µl を LC-MS に注入し Table 2-5 の測定条件に従い SIM クロマトグラムを得た 得られたクロマトグラムからピーク高さを求めて内標準法により検量線を作成し 試料中の ZEN 量を算出した 15

24 Table 2-5. LC-MS conditions for ZEN Column ZORBAX Eclipse XDB-C18 (2.1 mm i.d. 250 mm, 5 µm) Mobile phase Acotonitrile-methanol-10 mmol/l ammonium acetate solution (4+7+9) Flow rate 0.5 ml/min Column temperature 40 C Ionization Atmospheric pressure chemical ionization (APCI) (negative) Nebulizer gas N 2 (2.5 L/min) Interface temperature 300 C Heat block temperature 200 C CDL temperature 200 C Monitor ion m/z 317 (ZEN), 319 (ZAN) LC-MS/MS によるゼアラレノン関連化合物定量法分析試料 50 g を量って 300 ml の共栓三角フラスコに入れ アセトニトリル - 水 ( 21+4) 100 ml( 振り混ぜることができない試料は 150 ml) を加え 30 分間振り混ぜて抽出した 抽出液を 50 ml の遠心沈殿管に入れ 1000 g で 5 分間遠心分離した 上澄み液を多機能カラム ( MultiSep 226 AflaZon+) に入れ カラム内の充填剤を通過した初めの流出液 4 ml を捨て その後の流出液 2 ml のうち一定量を同量の酢酸 ( 1+100) で希釈した 希釈した液をポリプロピレン製遠心沈殿管 ( 容量 1.5 ml) に移し 5000 g で 5 分間遠心分離し 上澄み液を LC-MS/MS に供する試料溶液とした 試料溶液および各混合標準液各 10 µl を LC-MS/MS に注入し Table 2-6 および Table 2-7 の測定条件に従い SRM( selected reaction monitoring 選択反応検出 ) クロマトグラムを得た 得られたクロマトグラムからピーク面積を求めて検量線を作成し 試料中の ZEN 類量を算出した 16

25 Column Mobile phase Flow rate ZORBAX Eclipse XDB-C18 (4.6 mm i.d. 150 mm, 5 µm) A; 10 mmol/l ammonium acetate, B; acetonitrile 0 min; 90 % B, 1 min; 90 % B, 20 min; 20 % B, 35 min; 20 % B 0.2 ml/min Column temperature 40 C Ionization Electrospray ionization (ESI) (negative) Source block temperature 120 C Desolvation gas N 2 (600 L/min, 300 C) Capillary voltage Table 2-6. LC-MS/MS conditions for ZEN and the related compounds 1500 V Table 2-7. MS/MS parameters for ZEN and the related compounds Mycotoxins Precursor Product Cone Collision (m/z ) (m/z ) (V) (ev) ZEN ZAN α -ZEL, β-zel α -ZAL, β-zal LC-MS/MS によるゼアラレノン関連化合物確認法 2-9 により ZEN 関連化合物が検出された試料の一部については 以下の方法により確認を行った 分析試料 25 g にアセトニトリル - 水 ( 21+4) 100 ml を加え 30 分間振り混ぜて抽出した 抽出液を遠心分離 ( 1000 g 5 分間 ) し 上澄み液を多機能カラム ( MultiSep 226 AflaZon+) に入れ 初めの流出液 4 ml を捨て その後の流出液 2 ml を 40 C 以下で濃縮乾固した 10 mmol/l 酢酸アンモニウム - メタノール ( 9+1) 1 ml を加えて残留物を溶かし 高速遠心分離 ( 5000 g 5 分間 ) した上澄み液を LC-MS/MS により測定した LC-MS/MS の測定条件は Table 2-8 および Table 2-9 のとおり 17

26 Column Mobile phase Flow rate ZORBAX Eclipse XDB-C18 (2.1 mm i.d. 150 mm, 3.5 µm) A; 10 mmol/l ammonium acetate, B; methanol 0 min; 90 % B, 1 min; 90 % B, 40 min; 100 % B 0.2 ml/min Column temperature 40 C Injection volume 10 µl Ionization Electrospray ionization (ESI) (negative) Source block temperature 120 C Desolvation gas N 2 (500 L/h, 350 C) Capillary voltage Table 2-8. LC-MS/MS conditions for ZEN and the related compounds 1500 V Table 2-9. MS/MS parameters for ZEN and the related compounds Precusor Product Cone Collision Mycotoxins (m/z ) (m/z ) (V) (ev) Target 275 ZAN Qualifier 205 Target α -ZEL, β-zel Qualifier Target 277 α -ZAL, β-zal Qualifier 添加回収試験検討濃度相当量となるように各カビ毒の標準液を添加した試料について 各定量法に従い分析を行った 得られた結果から各カビ毒の回収率および繰返し精度を算出した なお 検討は 3 点併行で行った また 各カビ毒の自然汚染が見られる試料については 試料のブランク値を求めて補正を行った 定量下限および検出下限 定量下限は クロマトグラムにおける各カビ毒のピークの SN 比が 10 以上であり 添加 回収試験の結果が良好である濃度とした また 検出下限は定量下限の 10 分の 3 とした 18

27 第 3 節結果および考察 3-1 HPLC によるオクラトキシン A およびシトリニン同時定量法 定量法の検討オクラトキシン A の定量法としては 薄層クロマトグラフ ( Thin-Layer Chromatograph TLC) 法 ( 矢崎ら, ) ) HPLC 法 ( Akiyama et al., ) ; Aresta et al., ) ; Reinhard and Zimmerli, ) ; Vrabcheva et al., ) ; Zimmerli and Dick, ) ) 酵素免疫法 ( Sibanda et al., ) ; Vrabcheva et al., ) ) 等が報告されている 一方 シトリニンの定量法としては 蛍光分析法 ( Trantham and Wilson, ) ) TLC 法 ( 矢崎ら, ) ) HPLC 法 ( Abramson et al., ) ; Franco et al., ) ; Reinhard and Zimmerli, ) ) 酵素免疫法 ( Abramson et al., ) ; Vrabcheva et al., ) ) ガスクロマトグラフ ( Gas Chromatograph GC) 法 ( Shu and Lin, ) ) 等が報告されている しかしながら 現在では どちらのカビ毒も HPLC 法による定量が主流である オクラトキシン A とシトリニンは共にイソクマリン類似骨格およびカルボン酸を有することから 同時分析が可能であり いくつか報告もされている ( 矢崎ら, ) ) しかしながら いずれの報告においても精製の際に 試験者に悪影響のあるクロロホルムを使用している なお 飼料分析基準にはオクラトキシン A の定量法として Sep-Pak カートリッジで精製後 HPLC で定量する方法も収載されているが この定量法もクロロホルムを使用している そこで今回は クロロホルムを用いず かつ穀類および配合飼料に適用可能なオクラトキシン A およびシトリニン同時定量法を検討した オクラトキシン A およびシトリニンの同時定量法を検討するにあたり 財団法人日本食品分析センターが検討した方法が適用可能かどうかを確認した この方法は アセトニトリル - 塩酸 - 水 ( 8+1+1) で抽出した液を 硫酸アンモニウムを加えることにより 2 層に分離し その上層をジエチルアミノプロピル基による固相抽出により精製する方法である この方法により配合飼料および飼料原料の分析を行ったところ 配合飼料の一部において 硫酸アンモニウムを加えても 2 層に分離しないものが見られた 従って この方法は一部の配合飼料には適用できないことが判明した そこで ゲル浸透クロマトグラフィー ケイソウ土カラム シリカゲルカラム等を用いて精製方法の検討を行ったところ いずれの方法でもオクラトキシン A の回収率は良好で 19

28 あるが シトリニンの回収率が悪くなる傾向が見られた 検討の結果 各種クリーンアッ プカラムを使用せずに単に溶媒置換を行っただけの第 2 節 2-5 の方法で良好な結果が得 られた 妨害物質の検討鶏用配合飼料 ( 3 試料 ) 豚用配合飼料 ( 3 試料 ) 牛用配合飼料 ( 4 試料 ) 大麦 小麦 ライ麦 えん麦 とうもろこし マイロ 大豆油かすおよびごま油かすについて 第 2 節 2-5に従ってクロマトグラムを作成し オクラトキシン A およびシトリニンの定量を妨害するピークの有無を検討した なお 各カビ毒と同じ位置にピークが確認された試料については 第 2 節 2-6 に従って確認を行った その結果 配合飼料の一部において シトリニンの定量を妨害するようなピークが確認された 従って 配合飼料においてシトリニンの位置にピークが確認された場合 LC-MS により そのピークがシトリニンであることを確認する必要がある 添加回収試験大麦 とうもろこし 鶏用および豚用配合飼料にオクラトキシン A として 10 および 100 µg/kg 相当量 シトリニンとして 100 および 400 µg/kg 相当量をそれぞれ添加した試料について 第 2 節 2-5で示した方法の回収率および繰返し精度を求めた その結果 Table 2-10 のように オクラトキシン A およびシトリニンの平均回収率はそれぞれ 96.3~107 % および 77.2~90.8 % であり その繰返し精度は相対標準偏差 ( RSD r ) としてそれぞれ 13 % および 14 % 以下であった なお 添加回収試験で得られたクロマトグラムの一例を Fig. 2-1 に示した EC では 食品中カビ毒の公定検査に用いる分析法の基準を カビ毒ごとに策定している シトリニンは基準が策定されていないが オクラトキシン A は策定されており その基準は濃度が 1 µg/kg 未満の場合 回収率および RSD r はそれぞれ 50~120 % および 40 % 以下である また オクラトキシン A 濃度が 1~10 µg/kg の場合は それぞれ 70~110 % および 20 % 以下である シトリニンについてもこの基準を参考にすると Table 2-10 の結果はオクラトキシン A シトリニン共に良好であった 20

29 Spiked Barley Corn Formula feed for poultry Formula feed for pig Mycotoxins levels Recovery a) b) RSD r Recovery RSD r Recovery RSD r Recovery RSD r (µg/kg) (%) (%) (%) (%) (%) (%) (%) (%) Ochratoxin A Table Recovery test of ochratoxin A and citrinin Citrinin a) Mean (n =3), b) Relative standard deviation of repeatability 21

30 (LU) 1.2 Ex: 335 nm, Em: 480 nm Ochratoxin A (A) Citrinin 0.2 (LU) 0.4 (B) (LU) 0.4 (C) (min) Fig HPLC chromatograms of ochratoxin A and citrinin in recovery test. (A) Standard solution. The amounts of ochratoxin A and citrinin are each at 2.5 ng. (B) Sample solution of barley spiked at 100 µg/kg as ochratoxin A and 400 µg/kg as citrinin. (C) Sample solution of formula feed for pig spiked at 100 µg/kg as ochratoxin A and 400 µg/kg as citrinin. 22

31 3-1-4 定量下限および検出下限本法の定量下限および検出下限を確認するため添加回収試験を実施した 大麦および牛用配合飼料にオクラトキシン A として 2.5 および 5 µg/kg 相当量 シトリニンとして 10 および 20 µg/kg 相当量をそれぞれ添加した試料について その回収率および繰り返し精度を算出した その結果 Table 2-11 のように オクラトキシン A として 2.5 µg/kg 相当量添加した場合は良好な結果が得られなかったが オクラトキシン A として 5 µg/kg 相当量 シ トリニンとして 10 および 20 µg/kg 相当量添加した場合はほぼ良好な回収率および RSD r が得られた また オクラトキシン A として 5 µg/kg シトリニンとして 20 µg/kg 相当量を添加した場合 クロマトグラムにおけるピークの SN 比が 10 となった 以上より 定量下限および検出下限は試料中で オクラトキシン A が 5 µg/kg および 2 µg/kg シトリニンが 20 µg/kg および 7 µg/kg であった なお 牛用配合飼料にオクラトキシン A として 2.5 µg/kg 相当量添加した場合 平均回収率は 158 % となったが これはピークの SN 比が 5 程度であるため ノイズの影響を受けたものと推察された 23

32 Table Recovery around the limit of quantification Spiked Barley Formula feed for cattle Mycotoxins levels Recovery a) b) RSD r Recovery RSD r (µg/kg) (%) (%) (%) (%) Ochratoxin A Citrinin a) Mean (n =3), b) Relative standard deviation of repeatability 24

33 3-2 HPLC によるオクラトキシン A 定量法 HPLC 測定条件の検討自然汚染濃度を調査する場合 通常の自然汚染濃度よりも低く かつできる限り低い定量下限を有する定量法を利用することが望ましい オクラトキシン A の自然汚染濃度は 通常 数 µg/kg 程度である また Codex 委員会が設定した穀物中のオクラトキシン A の最大基準値は 5 μg/kg である しかしながら 3-1 で検討した定量法におけるオクラトキシン A の定量下限は 5 µg/kg である 従って 定量下限がより低い定量法の開発を行った Romer Labs 社からはオクラトキシン A 精製用の多機能カラム ( MultiSep 229 Ochra) が市販されているが その分析例における定量下限は 4 µg/kg である 一方 Dall'Asta ら ( ) ) は オクラトキシン A は HPLC においてアルカリ性の溶離液 ( アセトニトリル - アンモニア緩衝液 ( 15+85)) を用いると 酸性の溶離液に比べ蛍光強度が増大したと報告している しかし 通常の HPLC カラムでは使用可能範囲が酸性から中性であるため アルカリ性の溶離液は実用的ではない 一方 Burdaspal ら ( ) ) はベビーフード中のオクラトキシン A の分析において ポストカラムアルカリ化 HPLC 法を用いた方法を報告している この方法は 酸性の溶離液 ( 酢酸水溶液とメタノールのグラジエント ) を用い カラム通過後に 25 % アンモニア水溶液でアルカリ性にする方法である この方法は通常の HPLC カラムを使用することが可能であるため この方法を参考に検討を行った ただし Burdaspal らの方法では 用いたアンモニア水溶液が HPLC の廃液に残ってしまうため 廃液容器を密閉するなどの処理が必要である そこで アンモニア水溶液の代わりに水酸化ナトリウム ( NaOH) 水溶液を用いて検討を行うこととした アルカリ化に用いる水酸化ナトリウム水溶液の濃度および流速を変化させ 各区の蛍光強度の比較を行った ( Table 2-12) なお 蛍光強度はアルカリ化溶液を用いない場合を基準とした また アルカリ性にするとオクラトキシン A の最大励起および蛍光波長も変化するため 蛍光強度はその時の最大波長で測定を行った まず アルカリ化溶液の NaOH 濃度を 100 mmol/l に固定し 流速を変えたときの蛍光強度の変化を見た その結果 流速が 0.2 ml/min の場合に 4.2 倍の強度上昇が見られた しかしながら 流速が遅い場合 クロマトグラムのベースラインが乱れた そこで 流速 25

34 を 0.3 ml/min とし NaOH 濃度を 50 および 60 mmol/l に変化させたところ 蛍光強度はそれぞれ 0.9 および 4.3 倍の強度上昇が見られた しかしながら 50 および 60 mmol/l の間では わずかな濃度の変化で蛍光強度の上昇が見られなくなったため 余裕を見て アルカリ化溶液として 100 mmol/l NaOH 水溶液 流速 0.3 ml/min の条件を本法に採用することとした 26

35 Concentration; A Flow rate; B A B (mmol/l) (ml/min) (µmol/min) (nm) (nm) 100 NaOH solution Table Examination of alkalifying condition ph a) Max. Ex. b) Max. Em. c) Ratio of emission intensity a) ph after mixing with NaOH solution, b) Maximum excitation wavelength, c) Maximum emission wavelength 27

36 多機能カラムからの流出挙動の確認多機能カラムである MultiSep 229 Ochra からオクラトキシン A が流出する画分を確認するため オクラトキシン A 標準液をライ麦の抽出液で希釈したものを多機能カラムに入れ その流出液を 1 ml ごとに分取し 各画分の回収率を求めた ( Table 2-13) なお オクラトキシン A の濃度は 5 および 50 µg/kg 相当量汚染された試料を抽出した場合と同じ濃度になるように設定した その結果 0~1 ml の画分は回収率が少し低くなった 従って 実際の操作では初めの流出液 1 ml を捨て その後の流出液 3 ml から 2 ml を正確に分取することとした なお シトリニンとの同時定量についても検討したが 多機能カラムからシトリニンが溶出されなかったため 検討から除外した 28

37 Table Elution pattern from MultiSep 229 Ochra Fraction volumes Recovery of ochratoxin A (%) (ml) 5 µg/kg 50 µg/kg 0~ ~ ~ ~ ~

38 妨害物質の検討飼料原料として用いられる穀類である とうもろこし ( 2 試料 ) マイロ ( 2 試料 ) 小麦 ( 2 試料 ) 大麦( 2 試料 ) ライ麦 えん麦および玄米について 第 2 節 2-7に従ってクロマトグラムを作成し オクラトキシン A の定量を妨害するピークの有無を検討した その結果 小麦 1 試料からオクラトキシン A と同じ位置にピークが確認されたが これはイムノアフィニティーカラムを用いたオクラトキシン A の分析法 ( Entwisle et al., ) ) に従って定量を行い オクラトキシン A であることを確認した 従って いずれの試料についても オクラトキシン A の定量を妨害するピークは認められなかった なお 穀類以外の飼料原料および配合飼料についても検討を行ったが それらの一部からオクラトキシン A の定量を妨害するピークが確認された また オクラトキシン B との同時定量を試みたが 穀類でもオクラトキシン B の定量を妨害するピークが確認された 添加回収試験とうもろこし 大麦およびライ麦にオクラトキシン A として 1 および 20 µg/kg 相当量を添加した試料について 2-7の方法の回収率および繰返し精度を求めた その結果 Table 2-14 のように オクラトキシン A の平均回収率は 95.8~121 % であり その繰返し精度は相対標準偏差 ( RSD r ) として 2.5 % 以下であった で示した EC の公定検査の基準を参考にすると これらの結果はほぼ良好であると言えた なお 添加回収試験で得られたクロマトグラムの一例を Fig. 2-2 に示した 30

39 Table Recovery test of ochratoxin A Spiked Corn Barley Rye levels Recovery a) b) RSD r Recovery RSD r Recovery RSD r (µg/kg) (%) (%) (%) (%) (%) (%) a) Mean (n =3), b) Relative standard deviation of repeatability 31

40 (A) (Ochratoxin B) Ex: 385 nm, Em: 444 nm Ochratoxin A (B) (C) Fig HPLC chromatograms of ochratoxin A. (A) Standard solution (0.5 ng/ml), (B) Corn spiked at level of 1 µg/kg, (C) Barley spiked at level of 1 µg/kg. 32

41 定量下限および検出下限 において 1 µg/kg 相当量のオクラトキシン A を添加した場合 そのピークの SN 比は 20 となった しかしながら 一部の試料では これ以上低濃度を検討すると 回収率が大きくなり 定量が困難になると予想された 従って 定量下限は 1 µg/kg 検出下限は 0.3 µg/kg とした 3-3 LC-MS によるフモニシン定量法 LC-MS 測定条件の検討日本では 飼料 食品共にフモニシンの基準値は設定されていないが いくつかの国では基準値が設定されている ( FAO, ) ) スイスではフモニシン B 1 および B 2 の合計量で とうもろこしに対して 1000 µg/kg 米国ではフモニシン B 1 B 2 および B 3 の合計量で 食品 ( とうもろこし製品 ) に対して 2~4 mg/kg 飼料に対して 5~100 mg/kg という値が設定されている フモニシンを HPLC により測定する場合 フモニシン自体は蛍光を発しないため 蛍光検出器を用いる場合は蛍光化試薬による誘導体化が必要である 飼料分析基準には フモニシン B 1 および B 2 の定量法として カラムで分離した後に蛍光誘導体化を行うポストカラム蛍光誘導体化 HPLC 法が収載されている しかしながら この定量法では フモニシン B 1 のピークが前に出てくる大きなピークの肩にかかることから フモニシン B 1 の量が少なく見積もられる事例が見受けられた そこで今回 誘導体化を必要としない LC-MS を用いる分析法について検討した また フモニシン B 3 も含めた基準値を設定している国もあることから LC-MS を用いたフモニシン B 群 3 種類の同時定量法を検討した Cirillo らは LC-MS によるフモニシンの分析において 溶離液の一部にメタノールを用いている ( Cirillo et al., ) ) しかしながら フモニシンはメタノール中ではメチルエステルが生成するため できる限りメタノールは用いない方が好ましいと考えられた さらに 全体の測定時間ができる限り短くなるよう考慮して Table 2-4 に示した測定条件を設定した 33

42 妨害物質の検討とうもろこし ( 2 試料 ) マイロ ( 2 試料 ) 小麦 大麦 ライ麦 玄米 ふすま 大豆油かす ごま油かす コーンジャムミール アルファルファ 綿実 ビートパルプ 鶏用配合飼料 ( 3 試料 ) 豚用配合飼料 ( 3 試料 ) 牛用配合飼料 ( 3 試料 ) について 第 2 節 2-8 に従ってクロマトグラムを作成し フモニシン B 1 B 2 および B 3 の定量を妨害するピークの有無を検討した なお 各フモニシンと同じ位置にピークが確認された試料については 第 2 節 2-9 に示した方法よって定量を行い 擬分子イオンとフラグメントイオンによる二つの定量値を比較することにより そのピークが妨害ピークかどうかの確認を行った その結果 Table 2-4 に従って得られた定量値に対するフラグメントイオンによる定量値の割合は 86~107 % となった EC では質量分析計で測定した際の確認イオンの許容範囲を設定している ( EC, ) ) その許容範囲は 基準となるイオンに対する確認イオンの強度の割合により異なるが 最も厳しい場合でも ± 20 % のずれを認めている 従って いずれの試料においても妨害ピークは見られないと考えられた なお フモニシンに自然汚染されている試料の SIM クロマトグラムの例を Fig. 2-3 に示した 34

43 Fumonisin B 1 Fumonisin B 2 Fumonisin B 3 m/z 706 m/z 722 Fig SIM chromatograms of fumonisins obtained from formula feed for poultry. The baseline of m/z 706 is displased to make it easy to see. 35

44 添加回収試験とうもろこし 大麦 鶏用および牛用配合飼料にフモニシン B 1 として 300 および 3000 µg/kg 相当量 フモニシン B 2 として 150 および 1500 µg/kg 相当量およびフモニシン B 3 として 60 および 600 µg/kg 相当量をそれぞれ添加した試料について 第 2 節 2-8の方法の回収率および繰返し精度を求めた その結果 Table 2-15 のように フモニシン B 1 B 2 および B 3 の平均回収率はそれぞれ 70.5~106 % 64.9~109 % および 70.0~110 % であり その繰返し精度は相対標準偏差 ( RSD r ) としてそれぞれ 11 % 以下 9.1 % 以下および 10 % 以下であった EC におけるカビ毒の公定検査に用いる分析法の基準によると フモニシン ( B 1 B 2 ) では 濃度が 500 µg/kg 以下の場合は 回収率および RSD r はそれぞれ 60~120 % および 30 % 以下である また 濃度が 500 µg/kg より大きい場合は それぞれ 70~110 % および 20 % 以下である これらの基準を参考にすると Table 2-15 の結果は良好であると考えられた 36

45 Spiked Corn Barley Formula feed for poultry Formula feed for cattle Fumonisins levels Recovery a) b) RSD r Recovery RSD r Recovery RSD r Recovery RSD r (µg/kg) (%) (%) (%) (%) (%) (%) (%) (%) B 1 B 2 B 3 Table Recovery test of fumonisins a) Mean (n =3), b) Relative standard deviation of repeatability 37

46 定量下限および検出下限妨害物質の検討において 試料の各フモニシンの自然汚染濃度が 2 µg/kg 未満の場合 フラグメントイオンによる定量値との相関が見られなかった また 得られたクロマトグラムのピークは いずれのフモニシンも SN 比が 10 以上となったため 定量下限は 2 µg/kg 検出下限は 0.6 µg/kg とした 3-4 LC-MS によるゼアラレノン定量法 定量法の検討飼料中の ZEN の分析法としては 飼料分析基準に 多機能クリーンアップカラムで精製後 液体クロマトグラフで定量する方法が収載されている しかしながら この方法では配合飼料等において ZEN のピークを妨害するピークが認められる例が多数見受けられた そこで LC-MS を用いた分析法について検討した LC-MS あるいは LC-MS/MS により ZEN を測定する際は イオン化抑制を受けやすいことから内標準を用いるのが一般的である ( Laganà et al., ) ; Zöllner et al., ) ; Zöllner et al., ) ) そこで著者の検討においても 内標準として 天然にはほとんど存在しない ZAN を用いて検討を行った 検討にあたっては飼料分析基準となっている HPLC による ZEN 定量法を参考とした この方法は 精製用のカラムとして挿入型の多機能カラムである MycoSep 226 AflaZon+ を用いている しかしながら 挿入型のカラムは定量値に個人差が出やすく 妨害物質も溶出しやすいという問題がある そこでこの検討では 定量中の個人差が出にくいシリンジ型の MultiSep 226 AflaZon+ を用いることとした また 検討中に ZEN の試料中の分布が一様でないことに起因すると思われる分析値のバラツキが見られたため 試料採取量を 25 g から 50 g に変更した 多機能カラムからの流出挙動の確認多機能カラムである MultiSep 226 AflaZon+ から ZEN が流出する挙動を確認するため ZEN 標準液を配合飼料の抽出液で希釈したものを多機能カラムに入れ その流出液を 1 ml ごとに分取し 各画分における ZEN の回収率を求めた なお 多機能カラムには ZEN 38

47 に 500 µg/kg 相当量汚染された試料を抽出した場合と同じ濃度の溶液を加えた その結果 Table 2-16 のように 0~1 ml の画分は回収率が低く 1~4 ml の画分では回収率が高めとなった 従って 分析法としては初めの流出液 4 ml を捨て その後の流出液 3 ml から 2 ml を正確に分取することとした 39

48 Table Elution pattern from MultiSep 226 AflaZon+ Fraction volume Recovery of ZEN (ml) (%) 0~1 15 1~ ~ ~ ~ ~ ~ ~

49 妨害物質の検討とうもろこし マイロ 小麦 大麦 玄米 ホミニーフィード キャッサバおよび各種配合飼料について 2-10の方法に従ってクロマトグラムを作成し ZEN および内標準 ( ZAN) と同じ位置に妨害ピークがないかどうかを確認した その結果 一部の試料において ZEN と同じ位置にピークが確認された そこで イムノアフィニティーカラムを用いた ZEN の定量法 ( Campbell and Armstrong, ) ) に従って分析を行ったところ 当ピークが ZEN と確認された 従って ZEN および ZAN と同じ位置に妨害ピークは認められなかった 添加回収試験大麦 玄米 豚用および牛用配合飼料に ZEN として 40 および 1000 µg/kg 相当量をそれぞれ添加した試料について 第 2 節 2-10の方法の回収率および繰返し精度を求めた その結果 Table 2-17 のように 平均回収率は 92.4~115 % であり その繰返し精度は相対標準偏差 ( RSD r ) として 8.7 % 以下であった なお 牛用配合飼料の添加回収試験で得られた SIM クロマトグラムの例を Fig. 2-4 に示した EC におけるカビ毒の公定法の基準によると ZEN では 濃度が 50 µg/kg 以下の場合は 回収率および RSD r はそれぞれ 60~120 % および 40 % 以下である また 濃度が 50 µg/kg より大きい場合は それぞれ 70~120 % および 25 % 以下である これらの基準を参考にすると Table 2-17 の結果は公定分析法として適当であると考えられた 41

50 Table Recovery test of ZEN Spiked Barley Dehulled rice Formula feed for pig Formula feed for cattle levels Recovery a) b) RSD r Recovery RSD r Recovery RSD r Recovery RSD r (µg/kg) (%) (%) (%) (%) (%) (%) (%) (%) a) Mean (n =3), b) Relative standard deviation of repeatability 42

51 Intensity ZEN (m/z 317) ZAN (m/z 319) Time (min) Fig SIM chromatograms of ZEN and ZAN obtained from recovery test for formula feed for cattle. 43

52 定量下限および検出下限 5 µg/kg 相当量の ZEN を添加した玄米について 3 点分析したところ 平均回収率は 107 % その繰返し精度は相対標準偏差 ( RSD r ) として 3.3 % であり 得られたピークの SN 比も 10 以上となったため 定量下限は 5 µg/kg 検出下限は 2 µg/kg となった 3-5 LC-MS/MS によるゼアラレノン関連化合物定量法 妨害物質の検討飼料分析基準にはカビ毒分析法の一つとして LC-MS/MS でカビ毒 11 成分を同時に分析する方法が収載されている この方法は選択性の高い機器である LC-MS/MS を用いる方法であり 精製方法も多機能カラムによる精製のみであり 濃縮操作もなく 汎用性の高い方法となっている 更に この方法には ZEN も分析対象に含まれていることから ZEN 関連化合物にも適用できる可能性が高い そこで ZAN 等 5 成分について 飼料分析基準に収載されているカビ毒の LC-MS/MS による一斉分析法への適用を検討するため とうもろこし ( 3 試料 ) 大豆油かす ( 1 試料 ) ふすま ( 1 試料 ) 鶏用配合飼料 ( 5 試料 ) 豚用配合飼料 ( 5 試料 ) および牛用配合飼料 ( 9 試料 ) について 第 2 節 2-11に従い調製し ZEN 関連化合物の定量を妨げるピークの有無を確認した なお 標準液およびとうもろこしの SRM クロマトグラムの例を Fig. 2-5 に示した その結果 ZEN 関連化合物と同じ位置にピークが確認されたものについては 第 2 節 2-12に従い確認を行ったところ 目的成分であることが確認され 妨害ピークは認められなかった 44

53 (A) (B) β-zal α-zal β-zel α-zel β-zel α-zel ZAN ZAN ZEN ZEN Retention Time (min) Fig SRM chromatograms of ZEN and the related compounds. (A) Standard solution. The amounts are 0.8 ng of each of α- and β-zal, α- and β-zel and ZAN, 2 ng of ZEN. (B) Corn sample solution. 4 µg/kg of each of β-zel and ZAN, 160 µg/kg of ZEN, trace amounts of α-zel were detected in the corn sample. 45

54 添加回収試験 定量下限および検出下限とうもろこしおよび豚用配合飼料に ZEN として および 1000 µg/kg 相当量 ZEN 以外の成分としてそれぞれ 4 8 および 100 µg/kg 相当量を 大豆油かす 鶏用配合飼料および牛用配合飼料に ZEN として 100 および 1000 µg/kg 相当量 ZEN 以外の成分としてそれぞれ 8 および 100 µg/kg 相当量を添加した試料を用いて 第 2 節 2-11に従い得られた結果について回収率および繰返し精度を求めた なお α-zel および β-zel については 4 µg/kg 相当量を添加した場合 そのピークの SN 比が 10 未満となったため回収率等の計算は行わなかった その結果 Table 2-18 のとおり 平均回収率および RSD r はそれぞれ ZEN が 102~115 % および 7.9 % 以下 ZAN が 99.6~119 % および 19 % 以下 α-zel が 97.9~120 % および 14 % 以下 β-zel が 91.3~120 % および 17 % 以下 α-zal が 96.7~120 % および 7.8 % 以下 β-zal が 93.5~115 % および 14 % 以下となった で示した ZEN の公定法の基準を参考にすると いずれの成分も良好な結果であった 一方 α-zel および β-zel については 8 µg/kg の添加回収試験で得られたピークの SN 比が 10 となり 回収率等も良好であったことから 定量下限は 8 µg/kg 検出下限は 3 µg/kg であった 一方 ZAN α-zal および β-zal については 4 µg/kg の添加回収試験で得られたピークの SN 比が 10 となり 回収率等も良好であったことから 定量下限は 4 µg/kg 検出下限は 2 µg/kg であった 46

55 Kinds of sample Corn Soybean meal Formula feed for poultry Formula feed for pig Formula feed for cattle Spiked levels (µg/kg) ZEN Others Recovery a) (%) b) RSD r (%) Recovery (%) NC c) NC NC NC NC NC NC NC a) Mean (n =3), b) Relative standard deviation of repeatability, c) Not calculated Table Recovery test of ZEN and the related compounds ZEN ZAN α -ZEL β-zel α -ZAL β-zal RSD r (%) Recovery (%) RSD r (%) Recovery (%) RSD r (%) Recovery (%) RSD r (%) Recovery (%) RSD r (%) 47

56 第 4 節要約飼料中カビ毒の液体クロマトグラフを用いた分析法について HPLC によるオクラトキシン A およびシトリニンの同時定量法 HPLC によるオクラトキシン A 定量法 LC-MS によるフモニシン定量法 LC-MS による ZEN 定量法および LC-MS/MS による ZEN 関連化合物定量法を単一試験室において検討した EC における食品中カビ毒の公定法の基準と比較したところ いずれの分析法も公定法として適当であると考えられた 48

57 第 3 章室間共同試験 第 1 節序論飼料や食品中のカビ毒濃度を求める方法に関する報告は数多く見られるが その報告の大半は単一の試験室のみで実施された結果であるため その結果が他の試験室でも再現できるとは限らない ある分析方法の再現性を確認するためには 複数の試験室で 同じ試料を用いて同じ分析を行う室間共同試験の実施が必要である 室間共同試験の実施方法 その結果の解析方法などについては ISO( International Organization for Standardization 国際標準化機構 ) や IUPAC( International Union of Pure and Applied Chemistry 国際純正 応用化学連合 ) AOAC インターナショナルなどからガイドラインが出されている ( 内藤, ) ) これらのガイドラインに従って室間共同試験が行われた分析法の多くは ISO や CEN( Comité Européen de Normalisation 欧州標準化委員会 ) AOAC などから標準法として示されている 公定法を策定するためにはこれらのガイドラインに沿った室間共同試験 ( フルコラボ ) の実施が望まれるが そのためには多くの時間と労力が必要である そのため 日本の飼料分析の公定法である 飼料分析基準 ( 農林水産省消費 安全局長, ) ) の策定のためには フルコラボの実施条件を緩和したコンパクトコラボの実施を条件としている ( 山多, ) ) フルコラボとコンパクトコラボの大きな違いは試料数である フルコラボでは試料数が 5 種類以上とされているが コンパクトコラボでは 2 種類以上とされている また フルコラボでは有効試験室数 ( 外れ値の棄却後に残った数 ) が 8 試験室以上とされているが コンパクトコラボでは 試験室が確保できない場合を避けるため 有効試験室数が 8 以上とならない もしくはならないと見込まれる場合は試料数を増やすことにより対応が可能としている 一方 JECFA( Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives FAO/WHO 合同食品 添加物専門家会議 ) は 2001 年に デオキシニバレノールの暫定最大耐容一日摂取量 ( provisional maximum tolerable daily intake PMTDI) を 1.0 μg/kg bw/day と設定した ( JECFA, 2001c 36) ) この PMTDI はマウスの 2 年間給餌試験から得られた無作用量 ( no observed effect level NOEL) 100 μg/kg bw/day と安全係数 100 をもとに設定された 食品科学委員会 ( Scientific Committee on Food SCF) は 2000 年にニバレノールの暫定耐容一日摂取量 49

58 ( temporary tolerable daily intake t-tdi) を 0.7 μg/kg bw/day と設定した ( SCF, ) ) この t-tdi は マウスの 1 年間および 2 年間給餌試験から得られた最小毒性量 ( lowest observed adverse effect level LOAEL)0.7 mg/kg bw/day と安全係数 1000 をもとに設定された しかしながら ニバレノールの LOAEL については ラットの 90 日間給餌試験の結果に基づいて 0.4 mg/kg bw/day であるという報告もされている ( Kubosaki et al., ) ; Takahashi et al., ) ) デオキシニバレノールとニバレノールは頻繁に同じ試料から検出され デオキシニバレノールの自然汚染濃度は一般的にニバレノールよりも高い ( Tanaka et al., ) ) しかしながら 日本産の小麦や大麦ではニバレノールの濃度がデオキシニバレノールよりも高い場合がしばしば見られる ( Yoshizawa and Jin, ) ) 日本では小麦中のデオキシニバレノール暫定基準値を 1.1 mg/kg と設定している ( 厚生労働省医薬局食品保健部長, ) ) 従って これらのカビ毒を確実 迅速に定量するためには デオキシニバレノールとニバレノールの濃度を同時に測定する分析法が必要である デオキシニバレノールとニバレノールの同時分析法は多く報告されている これらトリコテセン系カビ毒の濃度を求めるために最も利用されている分析機器は 電子捕獲型検出器 (electron capture detection ECD) または MS を有した GC である ( Koch, ) ; Walker and Meier, ) ) しかしながら GC の場合 誘導体化の手順が必要となる 一般的に この手順は時間がかかり 回収率の低下を招く 一方 誘導体化の手順を必要としない UV や MS を利用する LC 法も報告されている ( Lauren and Greenhalgh, ) ; Razzazi-Fazeli et al., ) ; Tanaka et al., ) ; Walker and Meier, ) ) 近年では デオキシニバレノールとニバレノールを含むトリコテセン系カビ毒の同時分析のための LC-MS や LC-MS/MS 法が多く報告されている これらの方法は衛生管理やこれらカビ毒の調査に用いられている しかしながら これらの LC-MS 法は同位体置換化合物のような高価な内標準を必要とする 一方で LC-UV 法は 一般的に感度や選択性は LC-MS 法よりも劣るものの LC-MS 法で問題となるイオン化阻害が起こらない等の利点がある そこで 本章では 第 2 章で検討した分析法について その室間再現性をコンパクトコラボにより評価した結果について記載した また フルコラボを用いて小麦中のデオキシニバレノールとニバレノール同時分析法における LC-UV と LC-MS(/MS) の評価を行った結 50

59 果についても記載した 第 2 節材料および方法 2-1 コンパクトコラボコンパクトコラボの試料には 飼料製造工場で採取した配合飼料または飼料原料を用いた 各試料は 1 mm の網ふるいを通過するまで粉砕後 V 型混合機を用いて均一にした後 各分析法の試料採取量より多い量を小分けした 自然汚染試料については 小分けした試料間でばらつきが見られないことを 共同試験に用いた各分析法により確認した 配布した試料は そのままあるいは濃度を非通知とした標準液を各試験室において添加した後 各分析に供した 試料の種類は 2 種類以上 試験は 2 点反復で実施した 標準品 試薬 器具および定量法は第 2 章に示したものを使用した 試験室から報告のあった結果については 国際的な共同試験のガイドラインを参考に統計処理を行った Cochran 検定 ( 試験室内 2 点のばらつきを検定 ) 外れ値 1 個の Grubbs 検定および外れ値 2 個の Grubbs 検定 ( 試験室の平均値を検定 ) を用いて外れ値の検定を行った 参加試験室が 8 試験室に満たない試験 いずれかの試料または成分において有効試験室数が 8 を下回るまたは全参加試験室数の 2/9 を超えた数の試験室が棄却された試験については 外れ値の棄却を行わずに 平均回収率 繰返し精度の相対標準偏差 ( RSD r ) 室間再現精度の相対標準偏差 ( RSD R ) および HorRat( RSD R と予想 RSD R との比 ) を算出した それ以外の試験については 外れ値を棄却した後 平均回収率等を算出した HorRat の予想 RSD R は Thompson の報告をもとに計算した ( Thompson, ) ) 2-2 フルコラボ 標準液 試薬および器具デオキシニバレノールおよびニバレノールの標準品は和光純薬工業から購入した デオキシニバレノールまたはニバレノール 5 mg を正確に秤量し 50 ml 全量フラスコに入れ アセトニトリルで溶解したものを標準原液 ( 100 μg/ml) とし 20 C で保存した 標準原液の一部を混合後 アセトニトリルで希釈し 混合標準液 ( 各カビ毒 20 μg/ml) および 3 濃度の混合添加用溶液 ( 各カビ毒 μg/ml) を調製した LC に用いたアセトニ 51

60 トリルおよびメタノールは LC 用試薬を 抽出に用いたアセトニトリルは特級試薬を用い た 他の試薬は利用できる最も高純度のものを用いた 多機能カラムは昭和電工製 Autoprep MF-T 1500 を使用した 試料の調製デオキシニバレノールおよびニバレノールに自然汚染された小麦および自然汚染が見られない小麦の 2 種類 ( いずれも中島博士から提供を受けた ) を試料として用いた これらの小麦は 1 mm の網ふるいを通過するまで粉砕後 V 型混合器で混合 均一にした これの小麦はそれぞれ約 30 g をストマッカー袋に詰めた 自然汚染小麦 40 袋 非汚染小麦 200 袋からそれぞれ 6 袋を無作為に選び その均一性を 後述する LC-MS/MS 法により評価した 室間共同試験において各試験室は以下のものを受け取った (a) デオキシニバレノールおよびニバレノールの汚染が見られない ( <0.005 mg/kg) 添加試験用小麦 6 試料 (b) 無作為に番号を付けた 4 試料 そのうち 2 試料は自然汚染試料 2 試料は添加試験用試料と同じもの (c) 混合標準液 (d) 混合添加用溶液 3 濃度 デオキシニバレノールおよびニバレノールの濃度は非通知 添加手順回収率の評価のために 各試験室において 200 ml のフラスコに入れた非汚染試料 25.0 g に混合添加用溶液 500 μl を添加 ( または 1 mg/kg 相当量 ) し 室温の暗所に静置した 1 時間後 デオキシニバレノールおよびニバレノールを各添加試料から抽出し プロトコールに従って定量した 定量法分析法は Sugita-Konishi らが以前に報告した方法 ( Sugita-Konishi et al., 2006b 90) ) を基に行った 試料 25.0 g にアセトニトリル - 水 ( 85+15) 100 ml を加え 10 分間静置後 30 分間振とうして抽出した 抽出液を 50 ml の遠沈管に移し替え 1500 g で 5 分間遠心分離した 上澄み液のうち 10~20 ml を 予備洗浄していない多機能精製カラム ( Autoprep MF-T 1500) に加えた 溶出液のうち最初の 4 ml を捨て 次の 4 ml を集めた 集めた溶出液を 52

61 LC-UV 測定用として 2.0 ml LC-MS または LC-MS/MS 測定用として 1.0 ml の 2 つのバイアルに分けた 分割した溶出液をおよそ 45 C で窒素を用いて乾固した 各残留物を LC-UV 用として水 - メタノール - アセトニトリル ( ) 1.0 ml あるいは LC-MS または LC-MS/MS 用として 10 mmol/l 酢酸アンモニウム水溶液 - メタノール ( 90+10) で再溶解した 各溶液をメンブランフィルター ( 0.45 μm) でろ過し ろ液を LC-UV および LC-MS(/MS) により測定した LC-UV 測定条件 LC-UV 測定用最終溶液を 40 C に保温したオクタデシルシリル ( ODS) カラム ( mm i.d. 3~5 μm) に注入した 移動相は水 - メタノール - アセトニトリル ( ) 流速は 0.6~1.0 ml/min に設定した UV 検出器は波長 220 nm に設定した 注入量は各試験室により 標準液 0.05 μg/ml( 試料中 0.1 mg/kg 相当 ) のシグナルピークの高さがノイズの 10 倍 ( S/N=10) 以上となるように設定した LC-MS または LC-MS/MS 測定条件各試験室はデオキシニバレノールおよびニバレノールの濃度を LC-MS または LC-MS/MS により求めた LC-MS または LC-MS/MS 測定用最終溶液のうち 5~20 μl を 40 C に保温した ODS カラム ( mm i.d. 3~5 μm) に注入した 移動相は 10 mmol/l 酢酸アンモニウム水溶液とメタノールの 2 液のグラジエント 流速は 0.2 ml/min とした MS 検出器のイオン化には ネガティブモードのエレクトロスプレーイオン化を用いた 各試験室において LC-MS の場合は SIM モード LC-MS/MS の場合は SRM モードを選択した 他の測定条件は 標準液 μg/ml( 試料中 0.1 mg/kg 相当 ) のシグナルピークの高さがノイズの 10 倍 ( S/N=10) 以上となるように 各試験室により設定した 検量線検量線用の標準液を調製するため 混合標準液を LC-UV の場合は水 - メタノール - アセトニトリル ( ) を用いて LC-MS または LC-MS/MS の場合は 10 mmol/l 酢酸アンモニウム水溶液 - メタノール ( 90+10) を用いて希釈した デオキシニバレノールまた 53

62 はニバレノールの濃度とピークシグナル ( 面積または高さ ) を 異なる 5 濃度の標準液に ついてプロットした 試料溶液中のデオキシニバレノールまたはニバレノールの濃度をこ の検量線から計算した 室間共同試験の設計著者の方法を評価するため 5 種類の試料 ( 小麦の添加試料 ( 3 濃度 ) 自然汚染試料およびブランク試料 ) を用いた 試験は各種類の試料を 2 点併行で実施した ( 全 10 試料 ) 室間共同試験には日本の 10 試験室および韓国の 1 試験室が参加した 統計処理著者の研究で提供した自然汚染試料中のデオキシニバレノールおよびニバレノールの均質性は 一元分散分析 ( analysis of variance ANOVA) および F 検定により確認した 試験室からの結果については 事前に Cochran 検定 外れ値 1 個の Grubbs 検定および外れ値 2 個の Grubbs 検定を用いて外れ値の検定を行った RSD r RSD R および HorRat については AOAC ガイドラインにより 一元 ANOVA を用いて求めた ただし HorRat の予想 RSD R は Thompson の報告をもとに計算した ( Thompson, ) ) 第 3 節結果 3-1 HPLC による飼料中のオクラトキシン A およびシトリニン同時定量法のコンパクトコラボ第 2 章第 2 節 2-5 の定量法の再現精度を調査するため 共通試料を用いてコンパクトコラボを実施した オクラトキシン A およびシトリニンの自然汚染が認められなかった豚用配合飼料に オクラトキシン A として 20 μg/kg およびシトリニンとして 200 μg/kg 相当量を各試験室において添加した試料 および 自然汚染されたマイロを用いて 11 試験室において室間共同試験を実施した その結果は Table 3-1 のとおり 添加試料のシトリニンにおいて Cochran 検定により 1 試験室が棄却された また 自然汚染試料のシトリニンはすべての試験室において不検出となった 添加試料について 各かび毒の平均回収率および HorRat は オクラトキシン A 54

63 が 100 % および 0.36 シトリニンが 84.6 % および 0.52 となった 自然汚染試料について オクラトキシン A の HorRat は 1.1 となった 55

64 Table 3-1. Interlaboratory study of simultaneous determination of ochratoxin A and citrinin Spiked formula feed for pig (µg/kg) Naturally contaminated milo (µg/kg) Laboratory Ochratoxin A Citrinin Ochratoxin A Citrinin A ND a) ND B ND ND C ND ND D b) ND ND E c) 127 c) ND ND F ND ND G ND ND H ND ND I ND ND J ND ND K ND ND The number of lab. accepted Spiked level (µg/kg) Mean value d) (µg/kg) Recovery (%) RSD r e) (%) RSD R f) (%) PRSD R g) HorRat a) Not detected, b) Column temperature was set at 25 C. c) Data excluded by Cochran test, d) n equals twice the number of laboratory accepted. e) Relative standard deviation of repeatability within laboratory, f) Relative standard deviation of reproducibility between laboratories, g) Predicted relative standard deviation of reproducibility between laboratories calculated from the modified Horwitz equation ND 56

65 3-2 HPLC による飼料中のオクラトキシン A 定量法のコンパクトコラボ第 2 章第 2 節 2-7 の定量法の再現精度を調査するため 共通試料を用いてコンパクトコラボを実施した オクラトキシン A の自然汚染が認められなかった小麦粉にオクラトキシン A として 5 µg/kg 相当量を各試験室において添加した試料 および 自然汚染された小麦を用いて 7 試験室において共同試験を実施した 参加試験室が 8 試験室に満たなかったため 外れ値の検定は行わなかった その結果は Table 3-2 のとおり 添加試料の回収率は 98.2 % HorRat は 0.40 自然汚染試料の HorRat は 0.50 であった 57

66 Laboratory A B C D E F a) G b) Spiked level (µg/kg) Mean value c) (µg/kg) Recovery (%) RSD r d) (%) RSD R e) (%) PRSD R f) Table 3-2. Interlaboratory study of ochratoxin A Spiked wheat flour (µg/kg) Naturally Contaminated wheat (µg/kg) HorRat a) LC mobile phase: acetonitrile-water-acetic acid ( ), b) LC mobile phase: acetonitrile-water-acetic acid ( ), c) n =14, d) Relative standard deviation of repeatability within laboratory, e) Relative standard deviation of reproducibility between laboratories, f) Predicted relative standard deviation of reproducibility between laboratories calculated from the modified Horwitz equation

67 3-3 LC-MS による飼料中のフモニシン定量法のコンパクトコラボ第 2 章第 2 節 2-8 の定量法の再現精度を調査するため 共通試料を用いたコンパクトコラボを実施した フモニシンに自然汚染された鶏用配合飼料 および その試料にフモニシン B 1 として 1000 µg/kg B 2 として 400 µg/kg および B 3 として 150 µg/kg 相当量を各試験室において添加した試料を用いて 12 試験室において室間共同試験を実施した その結果 自然汚染試料中フモニシン B 3 の外れ値検定において 全体の 2/9 以上の試験室が棄却されたため すべての試料および成分について 外れ値の棄却は行わなかった 結果は Table 3-3 のとおりであり 自然汚染試料について HorRat は 0.93 以下であった また 添加試料について 平均回収率は 71.7~80.3 % HorRat は 0.82 以下であった 59

68 Laboratory A B C D E F G a) H I J K L Spiked level (µg/kg) Mean value b) (µg/kg) Blank value (µg/kg) Recovery (%) d) RSD r (%) e) RSD R (%) f) PRSD R HorRat Table 3-3. Interlaboratory study of fumonisins Naturally contaminated formula feed for poultry (µg/kg) B 1 B 2 B c) 59 c) 24 c) a) LC mobile phase: A: 5 mmol/l CH 3 COONH 4 ; B: acetonitrile, 0 min, 33 % B; 18 min, 60 % B; 30 min, 33 % B. b) n =24, c) Mean value obtained in naturally contaminated sample, d) Relative standard deviation of repeatability within laboratory, e) Relative standard deviation of reproducibility between laboratories, f) Predicted relative standard deviation of reproducibility between laboratories calculated from the modified Horwitz equation Spiked formula feed for poultry (µg/kg) B 1 B 2 B

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