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1 博士論文 底生動物による高精度の水環境評価 と水質浄化能の改善に関する研究 平成 25 年 12 月 広島国際学院大学大学院工学研究科 天川卓也

2 学位論文目次 第 1 章緒論 1-1. 底生動物と生物学的水質判定 瀬野川の環境 生物学的水質調査法 生物指標 Pi Pollution index 汚濁指数 p.p Pollution Percentage 汚濁比 Bi Bio index 生物指数 Di Divercity index 生物指数 水質化学分析による環境評価 有機物 窒素 リン酸イオン 名水と底生動物の関係 名水とは 名水を評価する水質分析 名水と底生動物との関連 底生動物と水質変化の関係 熊野川での浄化設備下流の底生動物 毛翅目の水質浄化能力 水質浄化装置の考案 本研究の目的と意義 第 1 章参考文献 19 1

3 第 2 章底生動物による名水といわれる水の評価 2-1. 緒論 調査地点及び地質 水質化学分析 底生動物調査 調査結果および考察 名水の評価 名水と底生動物の関係 ASPT 値 第 2 章総括 第 2 章参考文献 37 第 3 章瀬野川における生物指標を用いた下水道整備の評価 3-1. 緒論 調査地点および調査方法 調査地点 下水道完備区間 底生動物調査 分析方法 汚濁指数 (Pollution index) 汚濁性生物比率 (p.p index) 生物指数 (Bio index) 多様性指数 (Diversity index) 実験結果および考察 汚濁指数 Pi(Pollution index) 汚濁性生物比率, p.p(p.p index) 49 2

4 生物指数 Bi(Bio index) 多様性指数, Di(Diversity index) 第 3 章総括 第 3 章参考文献 55 第 4 章熊野川における毛翅目の造網型係数の変遷 4-1. 緒論 実験方法 分析方法 汚濁指数 生物指数 造網型の比率 調査地点 結果及び考察 汚濁指数 生物指数 造網型の比率 第 4 章総括 第 4 章参考文献 69 第 5 章底生動物の毛翅目とツルヨシやクレソンの組み合わせによる水質浄化能力の促進 5-1. 緒論 実験方法 水槽の構造と植物の採集と底生動物 水質化学分析 実験結果および考察 73 3

5 底生動物とヨシによる水質浄化能力の向上 底生動物とクレソンによる水質浄化能力の向上 第 5 章総括 第 5 章参考文献 79 第 6 章結言 82 関連公表論文および関連出版物 84 謝辞 85 4

6 第 1 章 緒論 5

7 1-1. 底生動物による水質環境と生物学的水質判定水質環境は, 生活に密着しており直接人体にも影響を及ぼすことから極めて重要である. 一般に水道水として使用される飲料水も元を辿れば山に降った雨水が河川を流下し, 汲み上げられて上水道施設で浄化されて各家庭に分配されている. その重要な河川水を汚濁することは, 生活, さらには生態系にも影響を与える. また, 河川の最終地点である海や河口を汚濁してしまうことに繋がるのである. 近年, 河川や海, または湖などに関わらず水圏の多くのところが汚濁し, 生態系が崩れてしまい, 元の環境に戻そうとしてなかなかうまくいかないといった事例が多く報告されている 1). 即ち, 水質環境保全は, 生態系の正常化に最も重要と言っても過言ではない. 水について説明すると地球上に存在する水のうち, 99% は海水で, 真水は約 1% である. この 1% が陸上の生物を支えている. その 1% の大部分は河川が占めており, 河川環境を健全に保つことがこれからの環境重視の社会では重要になってくるのである. 河川環境の評価は, 一般に水質化学分析が主流であるが, 河川は常に流下しているため, 水質を化学的に常時把握することは困難であり, また, 正確な評価が容易ではなく, 日々変化していく水質を特定するには工夫を要する. 即ち, 持続的な評価が難しいのである. そこで河川の水質環境をもっとも良く評価できる方法として底生動物による判定法が行われている 1-5). この底生動物 (benthos) とは水域に生息する生物の中でも底質に生息する生物の総称である. 日本において 底生動物 という語は benthos 生活型の分類の一つである. しばしば底生動物は, 水生昆虫, 水生生物といわれるがここでは, 底生動物で統一する 1-5). これらの底生動物は, 生活環境が種類により大きく異なっており, 人類を含め, 動物や植物と同じように環境に適応して生息している. 従って, 底生動物 6

8 の種類と生息数は, 河川の環境を知る上での指標となる 5). その他にも水中では魚類等が多く生息しているが, 魚類は移動可能なので河川環境を直接に反映するものは少なく, より広い範囲での自然環境を判定する材料としては好適だが, 狭い地域の環境評価には向いていないといわれている. しかし, 肉眼的な底生動物の観察は, 地区や区間の河川環境の総合判定には適している 3). 水環境評価のため我々が扱う底生動物の場合は種の数が淡水域 150 種以上である. それぞれ種や科, 目により多種多様な環境適応をして生活をしている. いずれも幼虫に属しており, 水生生活をする 13 目で同定している 2,6). また, ユスリカ科についてはその体躯が微細であり同定が困難であるため, セスジユスリカだけ同定を行い, それ以外の種をその他のユスリカとしてまとめている. 基本的には, 幼虫時代は水中で生活をし, 成虫になれば陸上に出て飛翔をするものが多い. 成虫は, 水分だけで生活し産卵を終えるとほとんどの種が寿命を迎える. その寿命は, 種によってさまざまではあるが, 1 週間から長いもので 1カ月生きるものもいる. 本研究では, 肉眼で見える生物の大部分を主に形態から種まで同定しており, 一部の双翅目や大きさが非常に小さく顕微鏡下でも判定が難しいものについては, 科までに留めて同定をしている 1-6). この指標となる底生動物は, 水質環境に敏感であり, 例えば, 水域の水が清冽であれば, そこには清い水を好む生物がすみ, 水が汚れていれば, その汚れに耐える生物がいる. 環境が生物を規定するからである. それゆえに, ある水域にすむ生物を調べることによって, その水の汚れの状態を知ることができる 5, 6). それは生物学的水質判定法と呼ばれ, 出現した生物の種類と数を調べ, その各生物が貧腐水性, β 腐水性, α 腐水性, 強腐水性の4つの階級のどの階級に属するか判定し, それより総合判断してその水域の水質階級を評価する. この方式を数式で表現することが既に古くから提案されている 5, 6). これが今日の生 7

9 物学的水質判定法である, その詳しい計算方式は後述の 1 章 3 節で解説をする. なお, 日本では, さらに, 平成 4 年度に環境庁から 大型底生動物による河川の水域環境評価のための調査マニュアル ( 案 ) 7) が示され, これに基づく全国調査が平成 4 年から 6 年にかけて実施された 6). 我が国で底生動物による評価法が使われるようになったのは, 津田が 1944 年に鴨川でコルヴィッツ マールソンの生物学的水質判定 (1902 年 ) を用いたのが始まりで, 1955 年にリープマンによって修正されたものが現在の体系になっている 5). その後, 東京帝国大学で津田は, 1964 年に日本の河川に水質汚濁指標の体系 を導入し, 水質評価の基礎を作り上げた. それを東海大学の川合禎次 8) や奈良 女子大の森下らが受け継ぎ, 改良を加え, 現在の形へと継承されてきたのである 5). 広島国際学院大学では, 工学部のバイオ リサイクル学科にて工学的な知見で環境の分野が研究されており, 水質化学的な分析を含め, 水質環境評価にも重点を置いている. 従って, 20 年前から瀬野川を中心に保光らにより数々の水質化学分析と底生動物による河川の評価について研究を行っており, 積み上げてきた実績と経験で現在の研究が継続されて行われてきたのである. 本研究はその延長線上にあり, 湧水, 瀬野川等の河川の水質の高精度の評価, そして, 底生動物やヨシが持つ水質浄化能力の解明を行ったものである 1-4) 瀬野川の環境瀬野川は, 源流を東広島市の曾場ヶ城山に発し, 途中より最大の支流である熊野川を合わせ中流部に至り, 広島市安芸区瀬野南付近で南西方向に曲流し, 畑賀川と榎山川の支川を合流した後, 広島湾において瀬戸内海へ注ぐ二級河川である 9). 本大学は, 中流域の安芸区中野東にあり, 広島市の一番外側に近い位置にある. 周辺は, 山々が聳えており, 自然環境も豊かである 1, 9). 8

10 流域は, 122.2km 2, 幹線流路延長 22.5kmに及び, 広島市安芸区, 東広島市, 海田町, 熊野町にまたがり, 広島市都市圏の東部地方における経済 生活の基盤をなしている. また, 熊野川は, 合流する幹川流路延長 15.5kmの瀬野川水系最大の支流である 4). 流域の形態は, 上流が Aa 型, 中流が Bb 型, 下流が Bc 型と一般的な河川の形態と同じ構造になっている. Aa 型とは, 屈曲から屈曲の間の一区間に, 複数の瀬と淵があり, 水は瀬から淵へ小さな滝となって落ち込む型である. Bb 型は, 一つの蛇行区間に瀬と淵が一組あり, 平瀬から白く泡立った早瀬を通って淵に流れ込む型である. Bc 型は, 一つの蛇行区間に瀬と淵が一組あり, 平瀬か, ほとんど波立たない瀬から淵に流れ込む型である 10). そのため, 流域の河床は砂が大部分であり, 礫や小石などが散乱している形となっている. 従って, 生物が生息しやすい良好な河川環境が保たれている 5). 流域の気候は, 瀬戸内海性気候に属し, 年平均気温は 15, 年降水量は平均 1500mm 程度であり, 梅雨期の 6 月や台風期の 9 月に降雨量が多い傾向を示している. 近年は特に, 異常気象の影響で毎年の 7 月に大雨が続くことが頻繁に起こっており, 生物や植物などに少なからず悪影響を及ぼしている. しかし, 本研究では, 大雨や工事をしている区間の場所 日時は調査をしておらず, 天候の良い平均的な日を選んで調査を行っているので誤差は少ないと思われる 1). 地形は, 流域全体の約 75% を山地が占めている. これらの山地は, 最高峰の山でも標高約 720m 程度で, 山麓部を除くと概ね斜度 30% 以上の急斜面となっている 9). この安芸区には, 約 7.5 万人の人口がおり, 1970 年から宅地開発がすすめられ人口が急激に増加していった. 現在 (2011 年の時点 ) では, 東広島とのバイパスを繋ぐ道路工事もされており, 都市部を繋ぐ中継地点として発展していく可能性も見込まれている. しかし, 現時点では人口の増加は緩やか 9

11 になると考えられている. 地質は, 大半が, 非常に風化しやすく侵食されやすい性質の広島花崗岩類からなっている. このため, 現在の瀬野川の直線的な経路は, 北東から南西方向の断層に沿い山地を刻み, 河岸段丘が形成され, 谷を広げていったものと考えられている. また, 瀬野川沿い及び熊野川の安芸区阿戸から上流の低地には, 砂層, シルト, 粘土層, 砂礫層からなる沖積層が分布している. 瀬野地区で土木工事を行うと地層から貝塚が発見されている. これらの地質から縄文時代までは中野地区まで海岸であったことがいえる. 即ち, 瀬野地区より下流側は広島のデルタ地区と同じように堆積して出来た地層である 1). 河川の水質については, 瀬野川は公共水域に係わる環境基準の指定がなされている. 平成 12 年までの BOD の観測結果を見ると上流部では1~2mg/lと良好な水質となっており, 特に悪化していない 9). しかし, 下流部の市街地に至ると徐々に悪化し, 環境基準地点である日浦橋では3~5mg/l で推移し, 今までは良好な水質には達成していない年度が多い状況であった 1-4). しかし, その後は, 広島県の事業として下水道設置工事を施工してから水質改善が行われ, 現在の瀬野川の水質環境は概ね良好となっている 4). しかし, まだ瀬野地区も水質改善は全体に良くなったとは言えず, 廿日市地区など広島でも未整備区域は複数ある. 認可区域が整備完了するまで残り 60~70 年かかると予測されている 9). なお, 畑賀川などの支流では環境基準は指定されていないが, 現状では基準を満たしている 9). 瀬野川には, 多種の動物が生息し, 鳥類では, コサギ, アオサギなどのサギ類, カモやアヒルが生息している. 魚類ではオイカワ, カワムツ, シマドジョウ, ドンコなどが全区間にわたって生息している. 上流域から中流域にかけては, 河岸や中洲にツルヨシが多く群生している. 下流域では, ツルヨシは少なく, 主としてクサヨシが群生している 1-4). 全体を通して動植物を観察をする 10

12 ことが出来るほど自然美豊かな河川環境となっている. さらに良好な自然環境のもとで, ゲンジボタルが確認されている. 特に, ゲンジボタルについては 瀬野川ホタルの会 が保護活動を盛んに行っており, 安芸区全体でゲンジボタルを題材にして環境への啓蒙活動も同時に行っており, 地域住民や学校, そして行政と協力して瀬野川の環境を守っている. その他でも河川は多方面の領域で利用されており, ほことり公園 で本大学と共同して瀬野川イルミネーションが行われ, 広島県警の音楽隊によるブラスバンド演奏など, 瀬野川の河川環境を維持 継承していくための河川愛護活動として毎年多くの参加者を集めている. また, 環境学習の場としても大いに利用されており, 広島県環境サポーター の援助により, 瀬野川だけに関わらず広島の河川で小学生を中心とした課外活動や総合的な学習の時間として底生動物の観察を行い, 河川の環境問題に子供の頃から取り組める事業なども行われている. 近年では, その重要性から中学校の理科の単元にも含まれており, 河川環境を用いた自然科学を中学生のうちに学習する指導も行われている. しかし, これだけの自然を有する瀬野川でも, もっとも懸念されるのは生活排水であり, 下水道整備が進行するに従って改善はされてはいる. 大都市や都市近郊では下水道が完備されており改善傾向を示している. しかし, 広島でみれば都市を10km 以上離れた市町村では下水道整備が完全にはされておらず生活排水が河川へそのまま流れているのが現状である. 瀬野川も都市部より離れた 2 級河川であり, 生活排水による汚濁によって水質汚濁が進んでおり, 水質環境が悪化していた. このような地域での有機物, 窒素, リンは自然または, ヨシなどの植物の力によって浄化されている現状がある 9). 中小の河川ではこのように現在でも生活排水が流れ込んでいる状況であり, 汚濁によって環境維持が困難な地域も少なくない. このように, 生活排水による河川の水質汚濁は全国で報告されており, 下水道や合併処理槽の普及が進んでいる. 特に下水道 11

13 の普及は都市近郊の中小河川の水質改善に大きく貢献していると言われる 9). この下水道整備後の水質環境の変化を評価するとき, 汚濁に対して底生動物が比較的敏感に表現されるため, 本研究では, 生物学的水質判定法による水質評価を用いた 生物学的水質調査法調査地点は, 河川の上流から下流に向かって調査をしていく. これは汚濁源の影響がわかるからである. 一般的には, 3~4km ごとに 1 地点を選ぶが橋など誰にもわかる地点がよい 5). この条件に当てはまらない場合でも誤差を生じさせないためになるべく区間の長さは均等に選定をした. サンプリングの方法には, 森下らによるα 法を用いた 5). 川の瀬の石礫底を選び, 石礫の大きさはスイカ大ないしみかん大程度の石の多いところ, そして流速は 100~150cm/sec 程度, 水深は 30cm 前後, 50cm 50cm のコドラートを水底に置き, その範囲内の肉眼的生物をすべて採集した. 瀬野川の河床は砂地が多く生物の採集には適している. なお, 肉眼的底生動物の観察の場合, サンプルは腐敗しやすいので, 現場で固定する. 固定にはホルマリン溶液を用い, 広口のビンに採集し, ホルマリンを 10%(v/v) 溶液を入れて固定した 5). その後, 実験室内に持ち帰り, 日本産水生昆虫検索図鑑 8) により生物種を同定して生物指標による水質評価を行った 生物指標による水質評価 Pi Pollution index 汚濁指数 5,10) 汚濁指数とは, 1955 年 Pantle u Buck によって提案された次式に示す指数方式 の評価である. Σ ( s h) S Σh 12

14 ここで, 生物の多少度 (h) の評価に3 段階を用いる. 1 遇在 1 匹しか種が出現しなかった場合. 2 多い 2~9 匹の種が出現した場合. 3すこぶる多い 10 匹以上の種が出現した場合. h: 生物の出現多様度遇在 :h=1 多い :h=2 すこぶる多い :h=3 次に汚濁の階級は 4 段階で, 種の汚濁階級認定は指標生物表 5) を適用する. s: 汚濁階級指数 os:s=1 βms:2=2 αms:s=3 ps:s=4 そして, 判定としては次のような基準が与えられる. S=1.0~1.5 貧腐水性汚濁はごくわずか S=1.5~2.5 β 中腐水性汚濁は中ぐらい S=2.5~3.5 α 中腐水性汚濁は強い S=3.5~4.0 強腐水性汚濁は非常に強い Pp.p, Pollution Percentage 汚濁比 5,10) 底生動物は汚濁に耐えうる種と, 耐え得ない種に分けられる. 耐えうる種を汚濁耐性種といい, 耐え得ない種を汚濁非耐忍性種という. その調査地点の汚濁非耐忍性種の出現数と全出現数の比率を汚濁比として以下の割合で調査地点の水質を評価する方法である. 汚濁性種個体数 p. p 100 全体の生物個体数底生動物 : ユスリカ, ホシチョウバエ, コミズムシ, タイコウチ甲殻類 : ミズムシ, アメリカザリガニ貝類 : ヒメタニシ, ヒメモノアラガイ, サカマキガイ, ドブガイ, ドブシジミ 13

15 ヒル類 : シマイシビル, ミドリビル, などのヒルミミズ類 : イトミミズ, エラミミズなどのミミズ上記 15 種を汚濁耐性種の代表例として挙げる. 瀬野川では, この16 種以外にも多種存在する. なお, 判定の基準は以下に示す. 判定の基準 p.p=0~30 貧腐水性 p.p=31~70 β 中腐水性 βmsと表示 p.p=71~99 α 中腐水性 αmsと表示 p.p=100 強腐水性 ps Bi Bio index 生物指数 5,10) 生物学的水質階級指数 Bio index は, 川の任意の地点に存在する肉眼的底生動物の種類をもとにする汚濁の指数として提案されたものである. 生息する生物を汚濁に耐え得ない種類, 汚濁に耐えうる種の2 群に分け, 各地点における各群の種数を調べる. そして汚濁非耐忍性種の数を A, 汚濁耐性種の数を B とするとき, 次の式で生物指数 Bio index とする. Bi=2A+B A を汚濁非耐忍性生物種類数 Intolerant species B を汚濁耐忍性生物種類数 Tolerant species Di Divercity index 多様性指数 5,10) 自然界に汚濁物質が加わったときに, その汚濁物質に適応した種が増加し, 適応できない種が衰退し, 滅亡することにより生物種の個体数 ( 密度 ) の変動が起こる. これらの傾向を数量化したものを多様性指数という. すなわち, 個体数または量と種数の比で表す. 外から加わる環境変動を大小の数値化したものである. 前述の種の豊かさと種間での密度の配分の均等性または平均的な量 14

16 概念を結合した総計量である. 一般的に言われている生物多様性と同じ意味を 持っている. 即ち, Di の指数が高ければ生物の種数が多く分布が良いというこ とである 7). しかし, 汚濁耐性種も全て含むため, この評価法だけではその河 川を特定することは難しく, その他の Bi や p.p, そして Pi などと組み合わせ て評価して始めて環境評価の効果を発揮する 1-4). Di から導き出されるものは, 種が多ければ多いほど, また種の密度が均一 であればあるほど多様性指数は高く, 環境は良好と判断する評価である. 現在 使われている多様性指数の公式は数多くあり, 代表的なものとして以下のもの がよく用いられている. 多様性指数を表す式は多種あるが本研究では, 最もよく使われる ( ア ) を用い て評価する. ( ア ) 種数と量の対数比 ( S 1) log N ( イ ) 種数と量の比 S N ( ウ ) 種数の対数と量の対数の比 log S log N ここで N: 個体数 S: 種数 1-5. 水質化学分析による環境評価 水質化学分析も水質評価には重要である 11). 以下の項目を分析した 有機物 15

17 有機物測定には通常 BOD(Biological Oxygen Demand= 生物化学的酸素要求量 ) で求められる. 微生物によって好気的な条件下で5 日間で分解される間に消費する酸素量のことである. 操作が煩雑であることと時間が掛り過ぎるために, 強力な酸化剤で処理し, 消費する酸化剤の量を求め, それを対応する酸素の量に換算する COD(Chemical Oxygen Demand= 化学的酸素消費量以下 COD と呼ぶ ) を用いて測定をした 11). 河川水を測定する場合に過マンガン酸カリウム酸性法 (KMnO 4 法 ) は, 必ずしも高い酸化率は必要なく, 再現性よく簡便に行えるのでよく用いられる 11, 12). また, 平成 21 年 4 月 1 日の法令改正により, TOC(Total Organic Carbon) が有機物測定の指標となっているが TOC 測定は高価な装置と煩雑な操作を要するので本研究では, 過マンガン酸カリウム酸性法を指標として用いた. 本研究では, 河川水をよく洗浄したペットボトルに, 流量がある程度ある場合, 河床と表層の中間部で採取して, 4 に保存して実験室に持ち帰って直ちに測定を行った 窒素窒素は, 水中に含まれるアンモニア性窒素, 亜硝酸性窒素, 硝酸性窒素の総量をいい, 全窒素量をもって表す. アンモニア性窒素においては次亜塩素酸塩の共存のもとでフェノールと反応して生ずるインドフェノール青の吸光度を測定して定量する方法を用いた. 硝酸性窒素は, ブルシン吸光光度法を用いた. 硫酸による強い酸性と塩化ナトリウムで不純物を除去し, 硝酸イオンとブルシンとの反応によって生じる黄色の化合物の吸光度を測定して硝酸イオンを求めた 13). 亜硝酸性窒素は, スルファニル酸と反応して生ずるアゾ化合物に, ナフチルエチレンジアミンを加え, カップリングして生ずるジアゾ化合物の赤色の吸光 16

18 度を測定する方法で評価した 11). 溶存酸素, DO を消費して, HN + 4 -N はアンモニア酸化菌によって亜硝酸に, さらに亜硝酸化菌によって硝酸にまで酸化される. これらの過程に関与する硝化菌は増殖速度が遅いため, 都市下水処理場の放流口の直下であるとか干潮河川で低湿の巻上げが多い区間以外は, 河川流水中で水質に影響を及ぼすほど増殖し現存することはほとんどない. 一般的に河川での硝化作用は河床付着微生物あるいは底質中微生物によって行われる. 一方, 硝酸と亜硝酸を経て N 2 O あるいは N 2 に還元する脱窒についても, 嫌気性条件下で生ずることから, 底質中で生ずるものとして取り扱われる 14) リン酸イオンリンは, かつて洗剤などに多く含まれ, 生物体にはエネルギー源 (ATP 源 ) として必要不可欠なものである. 生物が死ぬと生物体よりリンが放出される. これらの有機リンは, 食品などにも多く含まれており, 生活排水として河川へ流入する. 河川へ流入したリンは, 化学的に分解されることは難しく大半は, そのまま流下していき, 河口付近で堆積し, ヘドロ化されるのが現状である. 都市部であれば, 下水処理場の活性汚泥法により部分的に処理され, 放流される. 都市部より離れた下水道未整備地区では, 現在でもリンを含めた生活排水が河川へ放流されている 12, 14). 水中では, リン酸イオン (PO 3-4 ) として存在することが多い. しかし, 有機物に含まれるリンも化学的に分解して全リン (T -P) として評価することも行われる 11) 名水と底生動物の関係 名水とは名水には明確な区分はなく, 民間に伝わっている湧水など, 迷信に近いものまで名水と言われているものがある. 戦後の分析技術の向上により, 含有成分 17

19 が詳細にわかるようになり, 名水場に掲示されるようになった. 多くの名水場で湧いている水を自由に汲んで帰る光景が現在でも続いている. 佐々木らによる 名水と水質評価 で, 名水とは, 大腸菌群 一般細菌群が検出されず, 雑味がなく, 硬度が低く, 旧 厚生省おいしい水の要件 昭和 5 9 年 ( 旧厚生省 ) に合致した水質であると定義している 名水を評価する水質分析佐々木ら 15) によると広島では, 旧厚生省 おいしい水の要件 でpH:6.0~ 7.5, 臭味 : なし, 硬度 :50mg/l 以下, 有機物消費量 : 地下水なら 1.5mg/ l 以下, 蒸発残査 :50~2000mg/l, 鉄 0.02mg/l 以下, 塩素イオン :50m g/l 以下, 大腸菌群がほぼゼロ ( 痕跡も含む. 1ml 当たり5 個以下 ) の水が現在使われている名水の判断基準である 15) 名水と底生動物との関連名水と言われている水が存在するところは主に, 山中や井戸などの湧水や自然水として存在する場合が多い. それを実験室に持ち帰り分析してから判定するには時間がかかりすぎ, かつ分析費用がかかりすぎるという問題点がある. しかし, その場に生息する底生動物を調査すれば, 現場で簡便に水質を判定できるが可能がある. 多くの名水場と呼ばれる水場では, ヨコエビ (Gammarus nipponensis) やオビカゲロウ (Belptus fasciatus) が優占して生息していることが佐々木らにより報告されている 16). それゆえに, これらの生物が観察された場合は, 少なくとも名水の範疇の水質であると評価できる可能性がある 底生動物と水質変化の関係 熊野川での浄化設備下流の底生動物保光らは, 熊野川での農業集落排水とツルヨシとの関係を報告している 4). そこでは, 浄化設備が配備されて水質が浄化されるに従って, ツルヨシが多く 18

20 生育している箇所での毛翅目が急激に増殖していることを新規に確認した. コガタシマトビケラ (Cheumatopsyche) やウルマシマトビケラ (Hydropsyche orientalis) が他の生物に比べてかなり多く生息していた 毛翅目の水質浄化能力ツルヨシが多く生育している場所には, コガタシマトビケラやウルマシマトビケラなどのシマトビケラの仲間が多数生息していることが確認された 4). 毛翅目の造網型と呼ばれる種は, 石や水中にある障害物に付着して生活をする. そのため, 生物の成長に必要なその現場の有機物を摂取していることが示唆される 5). 生活排水などの有機物が多量に河川を流下していくと河口付近では富栄養化状態になり, ヘドロ蓄積など河川環境が悪化する 水質浄化装置の考案保光らは, 底生動物による水質評価法を用いて農業排水集落施設のある熊野川の調査を行い, 水質環境評価を行った 4). その結果, 生活排水で汚染された水の有機物, 窒素, リンは, ヨシ原河床を流下するうちに希釈でなく, 生物学的浄化作用で浄化されている可能性を見出したことにより, ヨシ原河床を形成する上で底生動物とツルヨシには, 何らかの共生関係があるのではないかと考えた. そこでフィールドでの底生動物分布調査に加えて, ポッド試験や室内実験では, ヨシだけの窒素 リン除去速度を評価した報告は多くなされているが 17-20) 本研究では新たに水質浄化装置を新規に開発し, ヨシと底生動物を組み 合わせた装置で河川状態を室内で再現し, 分析, 解析を行った 本研究の目的と意義本研究では, 底生動物による水質評価や生態観察, 底生動物の特性を過去の研究結果を総合的に考え, 新規に以下の目的で研究を進めることとした. 1. 底生動物による名水評価の可能性を検討することを目的として, 地域で名水 19

21 といわれる水の水質と, その狭い水場での底生動物の生息状況との関連を調査した. 高精度での水質評価に底生動物調査が適用できるかを検討した. 2. 瀬野川において下水道が整備された前と後に, 底生動物によって河川の水質調査をした例はなく, 一般的には, 感覚的に認知されているだけであり, 定量的評価がされていなかった. 瀬野川において下水道が整備されていなかった 2000 年以前 (1998 年 ) から 2003 年の下水道整備が完了後, さらに 2005 年までの底生動物を調査することにより水質環境の評価及び下水道整備の効能をより定量的に行うことを目的とした. 3. 毛翅目の中でも造網型が優先しているヨシ原は, 多少の有機物汚染でも浄化力が強く, 水質浄化に貢献できると推定される. 毛翅目が優占すると水質浄化能力が高いことが確認されている 4). 本研究では, 瀬野川の支流である熊野川での造網型の割合を調べ, 汚濁指数 Pi, 生物指数 Bi などと比較を行い, 造網型の分布と水質環境の評価を行い, 造網型の河川浄化の寄与を究明した. 4. 熊野川の生活排水の流入する地点 ( 下切りと墓苑 ) の河床では, 底生動物の蜉蝣目と毛翅目が優占的に生息していた. 自然の河川では, 蜉蝣目若しくは毛翅目が水質浄化能力に寄与しているのではないかと推定した 4). しかし, これまでの研究では, 人工的な河床システムの確立は報告されていない. ヨシと底生動物 ( コガタシマトビケラ ) の組み合わせが水質浄化に対してどのように寄与しているのか新規に室内水槽にて確立させた. さらに, ヨシとクレソンとともに底生動物を飼育し, リン, 全窒素と有機物の水質分析を実施し, 水質浄化能力を調査した 第 1 章参考文献 1) 保光義文, 松本誠一, 佐々木健 : 瀬野川水系熊野川におけるツルヨシ群落 20

22 と水質浄化,, 水処理技術学会 38, 5~15(1997) 2) 渡部晃久, 保光義文, 竹野健次, 佐々木健 : ヨシ原除去にともなう瀬野川, 熊野川の底生動物および水質の変化と回復, 環境技術学会誌, 35, 596~ 604(2006) 3) 保光義文, 渡部晃久, 竹野健次, 新川秀典, 佐々木健 : 瀬野川水系熊野川における天然ヨシ原川床の水質浄化能力, 環境技術学会誌, 36, 53~58 (2007) 4) 保光義文, 渡部晃久, 竹野健次, 新川秀典, 佐々木健 : 熊野川における生活排水 農業排水処理施設放流水の底生動物に及ぼす影響および天然ヨシ原川床による水質浄化に関する研究, 水処理生物学会誌 43, 2, 63~71 (2007) 5) 森下郁子 : 指標生物学, 生物モニタリングの考え方 ( 普及版 ), 山海堂 p.140 ~159(1986) 6) 社団法人日本水環境学会 : 生き物から水環境を見る講演資料集, 第 31 回日本水環境学会セミナー, p.50~51(1997) 7) 環境省水質保全局 : 大型底生動物による河川の水域環境評価のための調査マニュアル ( 案 ), 環境省水環境部企画課, p.8~32(1992) 8) 川合禎次 : 日本産水生昆虫検索図説, 東海大学出版会 p.1~409(1985) 9) 広島県土木整備局河川企画整備室 : 二級河川瀬野川水系河川整備計画書 p.1~18(2004) 10) 山口県衛生公害研究センター : 親と子の水辺の教室, 指導の手引き, p.7~ 21, 39~42(1997) 11) 日本分析化学会北海道支部編 : 水の分析, 第 5 版, 化学同人, p.307~ 324(2005) 12) 飯田貞夫 : やさしい陸水学, 地下水 河川 湖沼の環境, 文化書房博文社 21

23 p.36(1993) 13) 工場排水試験方法, JIS K 0102, p.155(1998) 14) 土木学会関西支部編, 村本嘉雄, 栗田英明, 瀬口雄一, 中川一, 細田尚, 道奥康司 : 川のなんでも小事典, 川をめぐる自然 生活 技術.p.84~ 87(1998) 15) 佐々木健, 竹野健次, 保光義文 : 名水とは- 名水鑑定の実際, 水処理技術, 19~28(2006) 16) 佐々木健, 天川卓也, 竹野健次, 保光義文 (2009): 底生動物による名水といわれる水の評価. 環境技術学会誌, 38, 727~734 17) 宗宮功 : 自然の浄化機構, 技報堂出版, p.91(1990) 18)( 社 ) 日本水環境学会編集 : 日本の水環境行政, ぎょうせい, p.17(1999) 19) 鈴木静夫 : 水辺の科学, 湖 川 湿原から環境を考える, 内田老鶴圃 p.138 ~140(1994) 20) 財団法人リバーフロント整備センター : まちと水辺に豊かな自然をⅡ, 多自然型川作りを考える, 山海堂, p.94~96(1992) 22

24 第 2 章 底生動物による名水といわれる水の評価 23

25 2-1. 緒論広島には名水といわれる湧水, 沢水, 川水が広く分布している 1-4). 地元で, 古くから名水と語り継がれる由緒ある名水や, 現在でも地域の人々に名水と認識され愛飲されている名水や, 比較的最近, 昔からある湧水や新しいボーリング井戸で名水とうわさが広がり愛飲されているなど, 名水ブームにのって, 多くの水汲み人が名水に群がっている現実がある. 我々は過去 30 年間, 全国の名水といわれる水の水質化学成分分析およびきき水を行い, 水質化学成分同士の相関関係や, 成分の重回帰分析を行うことにより, 飲用を対象とした名水とは, 旧 厚生省おいしい水の要件 ( 昭和 59 年 ) の基準に合致した水といえることを提案した 4). さらに, ファジイ推論を応用して解析した結果, この結果を十分支持しうることを確認している 5-6). また, これらの学術的解析をもとに, 名水鑑定手法を実用化している 7). 一方, 我々は, 地域の小学校, 中学校, 高等学校の環境学習, 総合学習の指導的立場から, これらの名水分析や, 地域の中小河川の水質化学分析, および, 底生動物調査による水質評価を, 生徒および地域環境ボランティアとともに, 過去約 15 年間継続している. 例えば, 水質化学成分と底生動物による, 瀬野川, および支流熊野川の水質の変遷や, ヨシの浄化能力の評価など, 水質化学成分調査ばかりでなく, 底生動物調査が, 水質評価の有力な手段であることを確認している 8). これらは過去, 多くの研究者によりすでに認められていることではある 9-11). ところが, 名水といわれる水域のうち, 非常に清冽な湧水や沢水における底生動物に関する報告はあまりない. これは, 名水の水質の定義がなく, 湧水の名水などでは溶存酸素が低く底生動物が生育しにくいことや, 湧水や沢水の流域が狭く, 複雑でかつまちまちであり, 気温や環境など外的条件などが影響し, 定量的評価が行いにくかったことなどがあると思われる. さらに, 地質も底生動物の生育に影響するので, 24

26 名水の水質成分との関係がより複雑となると予想される. しかしながら, 我々は名水調査の過程で, 広島県内の名水といわれる水場の回りにも, わずかではあるが底生動物が棲息していることを見出していた. しかも, 名水といわれる水域でも厳密に分類すると, 限定された底生動物が優占していることに気が付いた. すなわち, この限定された底生生物は名水のうちおいしい水の要件に合致する水であるかどうかを認識する指標になりうる可能性がある. 底生動物調査は, 化学分析のように器機や試薬を必要とせず, 現地で簡便に行える利点がある. 名水判定の化学分析は, パックテストや簡便法では分析感度が十分でなく,JISレベルの実験が必須で, 現地試験は容易ではない 4-7). 本研究では, 広島西部地区という限定された地域において, 底生動物による名水評価の可能性を検討することを目的として, 地域で名水といわれる水の水質と, その狭い水場での底生動物の生息状況との関連を調査した 調査地点及び地質調査地点は図 2-1 に示す広島県西部地区に分布する名水湧水, 沢水, 名水といわれる河川水および生活排水の混入する河川水である. 湧水および井戸水については, 湧出地点の水を採取すると同時に, 湧出地点から1~2m 以内の狭い範囲の底生動物を採取した. 沢水および河川水は水を採取した同じ地点の1 ~2m 範囲内の底生動物を採集した. 調査地点の地質は広島県地質図 12) により確認した. 調査期間は平成 16 年 4 月より平成 17 年 3 月であった. 25

27 図 2-1 清冽な名水, 名水, 名水といわれる沢水, 川水 の採水地点 ( 広島県西部 ) 26

28 2-3. 水質化学分析採取した水は直ちにpHを試験した後, 4 0 C 以下に保存し, 実験室に持ち帰り分析した. 分析項目は, ph(ph 電極法 ), 硬度 ( キレート滴定法 ), 過マンガン酸カリウム消費量 ( 酸性 )( 以下, 過マンガン酸カリウム消費量と略 ), 塩化物イオン ( モール法 ), 全鉄 ( オルトフェナントロリン法 ), 硝酸態窒素 - 2- (NO 3 - N, ブルシン法 ), リン酸イオン (PO 4, モリブデン青法 ) で, 水の分析第 4 版 13) に従い分析した. 大腸菌は試験紙法 ( チッソ株式会社製 ) で分析した 底生動物調査 底生動物は, 水を採取した地点の 1-2m の狭い範囲内で, 水路の小石間やコケ の上や隙間など,1mm のメッシュで約 0.25m 2 の範囲内の目視的動物を採取し て, ルーペによる同定を行った. 水場により差があるが, おおむね 50x50cm 四方 程度の面積中で, おおむね 10 個体以上で 5 割以上が優占して認められた時, 第一 優占と判断した. 数多く出現するものから順に同定した. 現地で判定できないも のは, 持ち帰り直ちに実体顕微鏡 (x20) にて同定した. 同定は日本産昆虫図鑑 14) および森下の方法 9) によった. 参考までに, ASPT(Average Score Per Taxon) 値 15) を評価した 調査結果および考察 名水の評価名水の評価は我々が報告した結果 4-6) に基づき, 旧厚生省のおいしい水の要件 ( 以下要件 ) に合致する水質をおいしい水の名水と評価した. この基準を表 2-1 に示す. 表 2-1 には, 比較のために, 旧厚生省の おいしい水研究会 が報告した おいしい水の水質要件 ( 以下水質要件 ) を示す 2,3). 注意すべきは, 27

29 実際名水のうちおいしい水であるかどうかを評価するためには, 広島では水質要件では評価ができないことである 4-7). 水質要件でおいしい水の名水の評価を行おうとすると, 例えば, 太田川下流域の大腸菌がたくさんいる生活排水で汚染された水まで, おいしい水の名水と判定され現実と合わなくなる. 広島中が名水だらけと評価されてしまう. 広島はもともと水がきれいで, 硬度が 30mg/L 以下, 過マンガン酸カリウム消費量が 1.5 mg/l 以下の軟水が多く分布しており, 一般の人から名水といわれる水は, きれいで清冽な水が多い 1 6). 我々の研究では, 要件で判定すると, 一般の人がおいしいと認識する統計的なきき水結果とよく一致し, おいしい水の名水判定が可能となっている 4-7). つまり, おいしい水をいわゆる 名水 と称していることが多い現実を認識している 4-7). 歴史的に 名水 といわれる水で, かつては水質がよかったのであろうが, 現在は汚れて飲用不適で, 名水とは言わない事例もあった. 本報では, 特にきれいな水, つまり, 要件に合致しかつ, 過マンガン酸カリウム消費量が 1.0 mg/l 以下で, 硬度も約 30mg/L 以下の軟水を, 清冽な名水, 要件に合致する水だが, 明らかに降雨時には腐葉土を含む表層水が流れ込む沢水を 名水と判定される水, 自治体や地域で名水といわれる水だが, 要件にはやや外れる水を 名水といわれる沢水, 川水, また, 明らかに生活排水の混入のある中流域の川水を 生活排水の流入する川水 に仮に分類して, 底生動物の分布を解析した 名水と底生動物の関係表 2-2 に, 清冽な名水 における底生動物の分布を示す. これらの名水は, 地元の人ほとんどすべてがおいしいと太鼓判を押す地元では有名な名水ばかりである. 生活排水や工場廃水流入による汚染はなく, 硝酸態窒素, リン酸イオンも低かった. 大腸菌も検出されなかった ( データは示していない ). 底生動物の出現状況を見ると, オビカゲロウ (Belptus fasciatus), およびヨコエビ (Gammarus nipponensis) が出現の第一の順を示しているのが明らか 28

30 表.2-1 よく使われるおいしい水の基準 旧厚生省 *) おいしい水の要件 おいしい水の水質要件 ph 6.0~ ~7.5 臭気 なし 3 度以下 温度 ( ) 20 以下 硬度 (mg/l) 50 以下 10~100 遊離炭酸 (mg/l) 3~30 有機物 (mg/l) 1.5 以下 3.0 以下 ( 過マンガン酸カリ消費量 ) 蒸発残留物 (mg/l) 50~200 30~200 残留塩素 Cl 2 (mg/l) 0.4 以下 全鉄 (mg/l) 0.02 以下 Cl - (mg/l) 50 以下 *) 昭和 59 年 5 月 10 日, 朝日新聞に旧厚生省発表が掲載 29

31 となった. 目視的には, 特に清冽な名水域のヨコエビは比較的大きく,8~12mm くらいのものが大半であった. これは, いわゆるきれいな川に生息するヨコエビの 4mm 程度のものに比べ, 著しく大きく, 通常のものとの識別は可能である. きれいな水にサイズの大きいヨコエビが出現することは, 森下ら 14) が古くから観察しているが, 化学分析値との関連は知られておらず, このように, 硬度, 過マンガン酸カリウム消費量のきわめて低い名水水域での大きなヨコエビの観察は新規な観察と思われる. 出現順の2 番目では, ヒメヒラタカゲロウ (Rhithrogena japonica), ナミトビイロカゲロウ (Baetis chocoratus), シロタニガワカゲロウ (Ecydyonurus yoshidae), コカゲロウ属 (Baetis sp.), ヒメフタオカゲロウ (Ameletus kyotoensis) などのカゲロウ目, また, オナシカワゲラ (Nemoura sp.), カミムラカワゲラ ( Kamimuria tibialis), などのカワゲラ目, ホタルトビケラ (Nothopsyche luficolis) などのエグリトビケラ科, サワガニ (Geothelphusa dehaanii) など, いずれもきれいな水に生息する生物の出現が認められた. その他, ナミウズムシ (Dugesia gonocephala), エルモンヒラタカゲロウ (Epeorus latifolium), クロタニガワカゲロウ (Ecdyonurus tobiironis), コカクツトビケラ (Dinarthrodes japanica), クロツツトビケラ (Uenoa tokunagai) なども3 番目に観察された. 広島は広島花崗岩と呼ばれる, 黒雲母花崗岩 (Biotite granite) や, 高田流紋岩 (Rhyolite and its tuff) とよばれる流紋岩が広く分布している. 清冽な名水はほとんどこれらの地質上に分布している. 岩石からのカルシウムやマグネシウムの溶け出しが少ないため, 軟水の水質が維持されていると思われる. 一方, 表 2-3 に 名水と判定される水, および名水と呼ばれるがやや過マンガン酸カリウム消費量が高く, 要件の基準から外れる 名水といわれる沢水, 川水 の底生動物の分布を示す. 名水と判定される水 では, 一番に多く観察さ 30

32 表 2-2 清冽な名水 の水質と出現する底生動物 地質 1) :Ak: 安山岩及び石英安山岩, Rt: 高田流紋, : 黒色千紋岩, : 粗粒花崗岩, G3: 広島花崗岩 硬度 (mg/l): 有機物 ( 過マンガン酸カリウム消費量, mg/l), 電気伝導度 (μ S/cm), - ( 塩化物イオン, mg/l), 全鉄 (mg/l), NO 3 - -N (mg/l), PO 4 3- (mg/l), ASPT:Average Score Per Taxon 値 ( 環境省 ) による水質評価 31

33 表 2-2 ( 続き ) 地質 1) :Ak: 安山岩及び石英安山岩, Rt: 高田流紋, : 黒色千紋岩, : 粗粒花崗岩, G3: 広島花崗岩 硬度 (mg/l): 有機物 ( 過マンガン酸カリウム消費量, mg/l), 電気伝導度 (μ S/cm), - ( 塩化物イオン, mg/l), 全鉄 (mg/l), NO 3 - -N (mg/l), PO 4 3- (mg/l), ASPT:Average Score Per Taxon 値 ( 環境省 ) による水質評価 32

34 れたのはナミウズムシ, サワガニと, 清冽な名水 でのヨコエビ, オビカゲロウとはあきらかに出現パターンが異なっていた. さらに, 名水と呼ばれる沢水, 川水 では, 一番目はカミムラカワゲラ, ヘビトンボ (Protohermes grandis), ヨコエビなどで, この場合ヨコエビは小型のものであり, 清冽な名水 のヨコエビ, オビカゲロウとはやはり, 明確に異なっていた.2 番目および3 番目の生物の出現状況は, 明確な特徴は認められなく, アミメカワゲラ (Megarcys ochracea) やエルモンヒラタカゲロウ, カミムラカワゲラ, オオヤマシマトビケラ (Hydropsyche dlatata), ウルマシマトビケラ (Hydropsychodes ulmeri) など, 一般的にきれいな水に生息する生物の出現が認められた. また, 比較のために河川中流域の生活排水の流入する瀬野川 ( 下切り ) や熊野川 ( 荒谷 ) のデータも示すが ( 表 2-4), 一番目に, フタバコカゲロウ (Pseudocloeon japonica), シロタニガワカゲロウ, ミズミミズ (Nais sp.) やユスリカ (Chironomus sp.) が観察された.2 番目として, アカマダラカゲロウ (Ephemerella rufa), フタバコカゲロウ, コカゲロウ属も多く, 生活排水の流入する水に観察された. 生活排水の混入する川水の特徴は, 多くの生物種 ( きれいなところにすむ生物や, 汚れたところにすむ生物を含む ) が混在して観察されることで, 清冽な名水, および 名水と判定される水 という水ではほぼ10 種以下という点と, 大きく異なっていた ( 表 2-4). すなわち, 生活排水の混入する水は, じっくり底生動物を観察すれば, きれいなところにすむ生物と, ユスリカやカワニナ (Semisulcopsira libertina) およびミズミミズなど汚いところにすむ生物と混在しており, 定性的ではあるが, 識別が可能である. 一般的には, 生物種が多いということは, 多様性が豊かで, 環境がいいという評価 16) であるが, 名水という極めてきれいな水ではむしろ生物種は少ないということが必須であることが, 一般的にいわれているが, このことが改めて再確認された. これらの結果から, 広島地区では, オビカゲロウやヨコエビの 8~12mm のもの 33

35 表 2-3 名水と判定される水 および 名水といわれる沢水, 川水 の 水質と出現する底生動物 地質 1) :Ak: 安山岩及び石英安山岩, Rt: 高田流紋, : 黒色千紋岩, : 粗粒花崗岩, G3: 広島花崗岩 硬度 (mg/l): 有機物 ( 過マンガン酸カリウム消費量, mg/l), 電気伝導度 (μ S/cm), - ( 塩化物イオン, mg/l), 全鉄 (mg/l),no 3 - -N (mg/l), PO 4 3- (mg/l), ASPT:Average Score Per Taxon 値 ( 環境省 ) による水質評価 34

36 が最も多く観察された場合は, その水はかなり清冽な名水といえる可能性が考えられる. もちろん水質化学分析のように定量的に評価する必要はあるが, 現実的に定量的な評価は容易ではない. コンクリートの水路が造成されていたり, パイプが配置されていたりで, 名水の水場ではなかなか底生動物が定量的に観察できる機会は少ないからである. しかし, 少なくとも今回の定性的調査ではオビカゲロウ, 大きなヨコエビの優占で, しかも, ユスリカ, ミズミミズおよびカワニナなどの不検出の条件がそろえば, 名水の評価につながると思われる. また, 名水と呼ばれる川水 ( 大暮川, 丁川 ) でも, オビカゲロウや大きなヨコエビは観察されているが,1~2 個体程度で少なく, 優占とはいえなかった. また, ユスリカやカワニナおよびミズミミズなどが同時に観察され, 混在という状況であった ASPT 値比較のために,ASPT 値を計算して, 表 2-1 から表 2-4 に示す. 清冽な名水 に属する水でも,ASPT 値は 7.5 から 9.0 に分布しており, きれいさでランクの少し下がる, 名水 や 名水といわれる沢水 の 7.0 から 8.9 と, あまり差は認められなかった. 生活排水流入する川水 では,ASPT 値は 5.1 から 7.4 と, 低かったが, 下切りでは 7.4 と, 清冽な名水 および名水に分類されるつゆ太郎 (7.5) や金明水 (7.5) および桂の滝 (7.6) や茂谷 (7.0) と差は認められず, ASPT 値では名水の判定は, 現在のところ難しいように思われた. 一般の河川では廣田 17) や保光ら 18) が報告しているように,ASPT 値は 5.0 から 7.5 であった. 35

37 表 2-4 生活排水の流入する川水 の水質と出現底生動物. 地質 1) :Ak: 安山岩及び石英安山岩, Rt: 高田流紋, : 黒色千紋岩, : 粗粒花崗岩, G3: 広島花崗岩 硬度 (mg/l): 有機物 ( 過マンガン酸カリウム消費量, mg/l), 電気伝導度 (μ S/cm), - ( 塩化物イオン, mg/l), 全鉄 (mg/l), NO 3 - -N (mg/l), PO 4 3- (mg/l), ASPT:Average Score Per Taxon 値 ( 環境省 ) による水質評価 36

38 2-6. 第 2 章総括広島西部地区という限られた地域内で, 底生動物による名水の識別の可能性について検討し, 以下の結果を得た. 1. 特に清冽な名水の水場で, オビカゲロウや大きなヨコエビの第一優占が観察された. 2. 名水の水場では, サワガニ, ナミウズムシ, ヘビトンボ, カミムラカワゲラの優占が観察された. さらに, 生物種が多く, 12 種を越える場合や, ユスリカ, カワニナやミズミミズなどが同時に生息していることが見出された. 3. 従って, オビカゲロウや大きなヨコエビが優占第一種と観察された場合は, 少なくとも名水の範疇内の水と評価してよい可能性があると考えられる. 生物種が多く 12 種以上で, ユスリカ, カワニナ, ミズミミズなどが同時に生息していれば, 生活排水が混入している可能性があるので, 精密な水質化学分析が名水判定には必要である. これらの規則性は, 広島という限られた地域では適用可能と思われるが, 他の地域でも, 第一優占種と汚濁性種の不検出に着目する方法で調査を行えば, 清冽な名水と名水と判定される水などの簡易評価が可能になる可能性がある 第 2 章参考文献 1) 佐々木健, 岩原正人, 大槻和男, 丸山誠, 鈴木洸次郎 : 広島近郊の名水の水質とパーソナルコンピューターによる名水判定, 用水と廃水,29,825~838 (1987) 2) 佐々木健, 西村良司, 荒谷昌弘 : 名水を訪ねて (17) 広島の5 名水, 日本地下水学会誌, 34, 45~52 (1992) 37

39 3) 佐々木健 : 広島県の名水, 名水を科学する, 技報堂出版, p.128~228 (1994) 4) 佐々木健, 岩永千尋, 鈴木洸次郎, 浜岡尊, 島津恭子, 近藤暹 : 重回帰分析による名水の水質化学成分とおいしさとの相関, 日本農芸化学会誌, 70, 1103~1116 (1996) 5) 岩永千尋, 佐々木健 : ファジイ理論を適用したおいしい水の判定, 水環境学会誌, 19, 209~219 (1996) 6) 岩永千尋, 佐々木健, 浜岡尊 : ファジイ推論と重回帰分析を適用したおいしい水の解析, 日本ファジイ学会誌, 9, 373~383 (1997) 7) 佐々木健, 竹野健次, 保光義文 : 名水とは 名水鑑定の実際, 水処理技術, 47, 269~278 (2006) 8) 渡辺晃久, 保光義文, 竹野健次, 佐々木健 : ヨシ原除去にともなう瀬野川, 熊野川の底生動物および水質の変化と回復, 環境技術, 35, 596~ 604 (2006) 9) 森下郁子 : 生物指標学, 生物モニタリングの考え方, p.1-159, 山海堂, (1986) 10) 水野寿彦, 御勢久右衛門 : 河川の生態学, p.1~71, 築地書簡 (1993) 11) 日本水環境学会編 : 生き物から水環境を見る, 日本水環境学会セミナー講演資料集, p.1~150, 日本水環境学会 (1997) 12) 木野崎吉郎他 : 広島県地質図, 内外図書株式会社 (1963) 13) 日本分析化学会北海道支部編 : 水の分析 第 4 版, 化学同人, p.1~480 (1992) 14) 河合貞次編 : 日本産水生昆虫検索図説, 東海大学出版会, p.1~367 (1990) 15) 環境庁水質保全局編 : 大型底生動物による河川水域環境評価のための評価マニュアル ( 案 ), p.1~30 (1992) 38

40 16) 野崎隆夫, 山崎正敏 : 大型底生動物による河川環境評価の試み, 水環境学会誌, 18, 13~17 (1995) 17) 廣田敏郎, 坂口寛 : 水生底生動物による福岡市内河川の環境評価 多々良川,2003, 福岡市保険環境研究所所報, 29, 123~130 (2003) 18) 保光義文, 渡邊晃久, 竹野健次, 新川秀典, 佐々木健 : 熊野川における生活排水, 農業集落排水処理施設放流水の底生動物に及ぼす影響および天然ヨシ河床による水質浄化特性, 日本水処理学会誌, 43, 63~71 (2007) 39

41 第 3 章 瀬野川における生物指標を用いた下水道整備の評価 40

42 3-1. 緒論二級河川瀬野川は, 源流を東広島市の曾場ヶ城山に発し, 途中より最大の支流である熊野川を合わせ中流部に至り, 広島市安芸区瀬野南付近で南西方向に曲流し, 畑賀川と榎山川の支川を合流した後, 広島湾において瀬戸内海へ注いでいる. その流域は, 122.2km 2, 幹線流路延長 22.5kmに及ぶ. また, 支流の熊野川は, 合流する幹川流路延長 15.5kmの瀬野川水系最大の支流であり, 瀬戸内海機構に属する 1). 瀬野川流域を構成する各市町の人口は, 広島市安芸区が約 7.5 万人, 東広島市が約 12 万人, 海田町が約 3 万人, 熊野町が約 2.5 万人である. なお流域内では 1970 年ごろから広島市のベッドタウンとして大規模な住宅開発が行われており, 人口が急激に増加していった. そのため 1998 年頃は, 多量の生活排水が河川へ流入し, 瀬野川の水質環境は悪くなっていった. しかし, 下水道の整備は, 開発が進んでから後, 近年になって行われた. 瀬野川ではヨシ原を流下すると水質が浄化されることや支流の熊野川において農業集落排水が流れ出る地域では, 主として合併処理槽により水質浄化が行われることをすでに保光らにより報告されている 2). 中流域では, ヨシ原の影響もあり水質環境の良好な河川となっている 2,3). 下流域 ( 石原公園より下流 ) では, ヨシ原は少なく下水道も完備されておらず, 工場の排水も影響して水質環境はかなり悪い河川となっている. このままの水質で流下していくため, 河口の海田湾では, 有機物が堆積し, ヘドロ化している. これら生活排水が河川に流入することで河川の水質環境が悪くなることは一般的に知られている. 下水道が整備された前後に底生動物によって河川の水質調査をした例はなく, 一般的には, 感覚的に認知されているだけであり, 定量的評価がされていなかった. 本研究では, 下水道が整備されていなかった 2000 年以前 (1998 年 ) から

43 年の下水道整備が完了後, さらに 2005 年までの底生動物相を調査することによ り水質環境の評価をより定量的に行うことを目的とした 調査地点および調査方法 調査地点調査地点は, 図 3-1 の St で示すように St-1 の熊野合流地点から南下して行き, 熊野川と合流する熊野合流, さらに下り, St-2 の塚地橋, St-3 の瀬野大橋, St-4 のほことり公園, St-5 の権現橋, St-6 の貫道橋, St-7 の砂走り, St-8 の石原公園までの計 8 箇所を調査した. St-1 付近は, 熊野川上流から流れてくる生活排水や農業集落排水により非常に汚れた水質環境であったが, 2005 年に阿戸集落に農業集落排水処理場が建設され, St-1 上流 3kmの地点 ( 墓苑 ) で処理水が放水されるようになってからは汚濁の少ない安定した水質となっている 2). 下水道整備により, 農業集落排水処理場設置以前の Pollution index は, 1.4, 2002 年では, 1.9 と悪化したが, 年は 1.5 まで回復していた. さらに Bio index においても設置以前の 2002 年には 15 と低く, 2005 年にかけて 31 まで回復した 2). そして,St-1 から St-7 までが 2003 年までに下水道完備されており, St-8 から 1km 先の日下橋の堰より下流が干潮域となり, 河口である海田湾へ繋がっている. この St-8 は完全な真水 ( 川水 ) で 500m 上流に中規模食品工場が 2 つある. なお, 下水道の処理水は, 海田湾へ直接放水されており, St-1 から St-8 において瀬野川にはまったく下水処理水を放水されていない 下水道完備区間 2000 年度より始められた下水道工事は 2003 年には一次工事が完成した ( 図 3-2 ~ 図 3-4) 年までに下水道工事が完成された面積は約 384.8kmである. 下水道整備区域の面積は, 広島県下水道局より提供された縮尺地図を元に, 著 42

44 図 3-1 瀬野川の調査地点 St-1~8 が調査地点 43

45 者らが台形法で計算し割り出した. 図 3-2~ 図 3-4 のハッチ部 ( 黒塗り部 ) が下水道整備区域を示す 底生動物調査底生動物の採取方法は, 一般的に行われているα 法で行った 2,3,4) cm のコドラートとサーバーネット (1mm) の道具を使い, 流速が 100~150cm/ 秒, 水深が 30cm 以下, 底質は小石, 礫, 砂の場所でコドラートを用いて 3 箇所の目視できる生物を採取した 年から 2005 年までの 7 年間, 下水道整備地区の調査を行った. データを年 2 回のサンプリングから平均している. なお, St-1 から St-8 のサンプリングは, 春と秋の 2 回にした. 秋を採集していない年は, 秋に近い夏を選択している. 採集した底生動物を実験室にて同定を行った. 底生動物の同定は, 日本産昆虫検索図説 5) によった. なお, 我々はこの方法で長年瀬野川の水質評価を行っている 2,3,4) 分析方法生物学的水質評価は, 第一章緒論と同様に以下の 4 種の方法により評価した 汚濁指数 (Pollution index) 汚濁指数 (Pollution index) は, 生物の多量度で評価される方式で次の式で表 される. Σ ( s h) Pi Σh Σhは多様度を表しており, 値が 3 段階に変化し, 個体数が 1 匹の場合は, 1 を乗法し, 2~9 匹だと2を乗法し, 10 匹以上だと 3 を個体数に乗法して計算をする. sは汚濁階級指数で生物の種類 ( 例 : ヤマトビケラはs=1) により数値は異なる 2,3) 汚濁性生物比率 (p.p index) 生物の汚濁に耐えうる種と, 耐え得ない種の出現数と全出現数の比率を汚濁比 44

46 図 年下水道整備面積 (219km 2 ) ( 黒塗り部分が整備区画 ) 45

47 図 年下水道整備面積 (51km 2 ) ( 黒塗り部分が整備区画 ) 46

48 図 年下水道整備面積 (114.8km 2 ) ( 黒塗り部分が整備区画 ) 47

49 として算出した. なお, 汚濁に耐えうる種と耐え得ない種の分別は, 森下らの方法によった 4). 汚濁性種個体数 p. p 100 全体の生物個体数 生物指数 (Bio index) 川の任意の地点に存在する肉眼的底生動物の種類をもとにする汚濁の指数として提案されたものである. 生息する生物を汚濁に耐え得ない種と汚濁に耐えう る種 4) の 2 群に分け各群の種数を調べた. そして汚濁に耐え得ない種数を A, 汚濁に耐えうる種数を B とし, 次式で算出した 2,3). Bi=2A+B 多様性指数 (Diversity index) 環境の変化によって生物種の個体数 ( 密度 ) の分布が変わることを数量化したものであり, 生物種の統計量を算出することができる. 式中のsは, 生物種数であり, Nは, 生物の全体の個体数を示している. なお, 公式が数多くあるため, 本研究では次式を用いた 2,3). ( s 1) Di log N 3-4. 実験結果および考察 汚濁指数, Pi(Pollution index) 図 3-5 は, 1998 年から 2005 年までの Pollution index, (Pi) の変化である. 傾向を見やすいように隔年で表示している. 下水道整備工事は 2000 年から工事が開始された. 下水道整備工事以前の 1998 年ごろは全体的に汚濁指数が高く, 汚れた水質であった 年の工事時期も中流域 St-4~St-7では高い数値を示した. 工事が完了した 2003 年から汚濁物質が流れ込まなくなったことにより 2003 年以降は低い数値を示した. 特に St-6, St-7 では著しく水質改善の傾 48

50 向が出ている. しかしながら, St-8 の石原公園では, 近隣の食品工場排水の影響と思われるが下水道が整備されているにも係わらず汚濁指数は高い値を示している. なお, この流域の人口変化は 1998 年から 2005 年の間少し増加した程度で大差はない 1) 年では, St-1~St-7 まで安定した値になっている. これは下水道の整備により, 生活排水系の汚濁物質が河川に流れなくなり, 汚濁に耐え得ない種が増え, さらには, 個体数が増加したことを示している 汚濁性生物比率, p.p(p.p index) p.p では, パーセンテージが高いほど水質階級が低いことを表している 2,3) 図 3-6 に示すように, 工事開始の 2000 年以前の 1998 年は p.p が高く, 当時の河川に生息する種は, 双翅目 (Diptera) のユスリカ科 (Chironomidae) や環形動物 (Annelida) のイトミミズ (Tubifex tubifex) などが大半を占めた. そのために汚濁比は非常に高い値を示した. その後, 下水道が整備されて 2003 年以降になると毛翅目 (Trichoptera) の中の非汚濁種が多数確認され, 汚濁に耐え得ない種が生息できる環境になったことが確認できた. 即ち, 下水道工事が終了した 2003 年以降は St-1~St-6 までの流域では汚濁が少なく水質階級が高いことを示した 生物指数, Bi(Bio index) 図 3-7 に生物指数 Bi の変化を示す 年と 2001 年には, Bi は非常に低い値を示している. これは, 当時汚水による生活排水で汚濁非耐忍性生物種が少なく, 汚濁耐忍性生物種が多いという傾向がよくでていた. 代表的なものでは, ヒル (Hirudinea) イトミミズ(Tubifex tubifex) ミズムシ(Corixidae) が St-1 ~St-5 まで幅広く分布していた.1998 年までに Tubifex tubifex が多数確認されているが 2003 年以降ではその数が減りヤマトビケラ属 (Glossosomatidae) や 49

51 Pollution index, Pi St-1 St-2 St-3 St-4 St-5 St-6 St-7 St 年度 図 3-5 瀬野川の汚濁指数 (Pollution index) 推移 50

52 p.p index, p.p (%) 年度 St-1 St-2 St-3 St-4 St-5 St-6 St-7 St-8 図 3-6 瀬野川の汚濁性生物比率 (p.p index) 推移 51

53 ウスバヒメガガンボー (Antocha satsuma) といった種が多数生息するようになってきた. この 2 種は汚濁非耐忍性生物種であり, 下水道整備により河川内の水質が改善されたことを示す指標生物であると考えられる. Pi, Bi は瀬野川の水質を良く表す指標と我々は確認しており 2,3), これらが低い値を示したことは瀬野川の水質が改善されたことを示している. St-7 は, 畑賀川との合流地点であり, 1998 年以前では, 生物の種は少なくその大半をカワニナ (Semisulcospira libertina) が占めていたが, 2003 年以降は多種にわたり, 毛翅目 (Trichoptera) や蜉蝣目 (Ephemeroptera), 蜻蛉目 (Odonata) など, 非汚濁種の生物に混じり出現してきている. これは上流から流れてきていた生活排水が下水道により流れなくなったため, 中流域まで水質が改善されたことを示している 多様性指数, Di(Diversity index) 図 3-8 では, St-1 の熊野合流付近では, 護岸工事が 2000 年ごろから行われ, 評価は難しいが, St-2~St-6 までの流域では, 多くの生物が多種多様に繁殖したことが図 3-8 よりいえる. 特に St-4 に 10 年前まで生息していたヒゲナガカワトビケラ (Stenopsyche marmorata) など肉眼でも多くの生物が確認できるようになった. 下水道の完備で st-1 は, 支流である熊野川と瀬野川の生物種にあふれ, 水質階級の高い生物が生息するようになった. 合わせてツルヨシがこの流域には 4 箇所に 1998 年以前から群生しており 2,3), よって生物が住みやすい環境がますます広がっており, 生物にとって住み良い環境が整っていることが推定される. 下水道整備により水質改善が進み, きれいな環境になっていると推定される. さらに, 中流域でも同じように少しずつ水質が改善されており, 生物種が過去に比べ富んできたことが図 3-8 より確認できた. 下流域の St-8 では, 下水道が整備されても食品工場排水によって河川に汚濁物質が流れ込み, 生物にとって 52

54 Bio index, Bi St-1 St-2 St-3 St-4 St-5 St-6 St-7 St 年度 図 3-7 瀬野川の生物指数 (Bio index) 推移 53

55 Diversity index, Di St-1 St-2 St-3 St-4 St-5 St-6 St-7 St 年度 図 3-8 瀬野川の多様性指数 (Diversity index) 推移 54

56 住みにくい環境であることが Di で示された. St-7 では, 生物指数 Bi で評価した結果と同じ傾向が多様性指数, Di でも出ている. この両結果から St-7 付近では, 生物群集が年度を追うごとに汚濁物質が流れこまなくなったことを顕著に表していることが明らかとなった 第 3 章総括広島市の瀬野川において 1998 年から 2005 年まで長期に生物調査を行い, その期間の生物種を比較することにより, 流域における下水道の工事前と 2003 年以降の工事後の水質変化を評価した. 下水道整備以降は, 整備区間下流側において汚濁指数の低下, 生物指数, 多様性指数の上昇, および汚濁性生物比率の低下が認められた. この流域では, 調査期間中に人口の変化がほとんどないことから, 各種生物指数の改善は, 下水道整備が河川の水質改善に寄与することを示唆している. 以前よりも水質的にきれいになり, 生物種が多様化した河川となったことが Pi, p.p および Bi の変動パターンより証明された. 工事後の 2003 年度以降は, 多様性指数も上昇し, 生物種が増える傾向となった. さらに生物の個体数を調査することで, 瀬野川の生活排水が流入しなければヨシや河床に底生動物が広く生息するようになり, 水質が改善しやすい特徴が明らかになった. 1, 2 年だけでなく, 8 年もの長期データを調査 集計することで今までに明らかにされていない, 中小河川の水質の変化の特徴を調査より明確に評価することができた 第 3 章参考文献 1) 広島県土木整備局河川企画整備室 ; 二級河川瀬野川水系河川整備計画書, p. 1~18 (2004) 2) 保光義文, 渡部晃久, 竹野健次, 新川秀典, 佐々木健 ; 熊野川における生活 55

57 排水 農業排水処理施設放流水の底生動物に及ぼす影響および天然ヨシ原川床による水質浄化に関する研究, 水処理生物学会誌, 43, 63~71 (2007) 3) 保光義文, 竹野健次, 渡部晃久, 新川秀典, 佐々木健 ; 瀬野川水系熊野川における天然ヨシ原川床の水質浄化能力, 環境技術, 36, 589~594 (2007) 4) 森下郁子 ; 指標生物学, 生物モニタリングの考え方 ( 普及版 ), 山海堂, p.140 ~159 (1986) 5) 川合禎次 ; 日本産水生昆虫検索図説, 東海大学出版会, p.1~409 (1985) 56

58 第 4 章 熊野川における毛翅目の造網型係数の変遷 57

59 4-1. 緒論瀬野川水系熊野川では, 農業集落排水による河川の汚濁が問題になっていた 1) 年に浄化槽が設置される以前は, 水質の悪化が顕著であったが, ヨシの能力により浄化され, 河川環境が良好になっていることが保光らにより証明された. 中でも水質環境が良好になった地点では, ヨシの生育と共に, 著しく毛翅目が出現していたことが明らかになった 1). ちなみに毛翅目は, 一般に口から吐き出す糸により, 石や落ち葉などで体に入る大きさの巣を作り, 前方から頭胸部を出して移動し, 採餌して生活をする. 水中の植物質を餌とするものが多く, 礫で巣を造るニンギョウトビケラなどが有名である. これに対して, シマトビケラやヒゲナガカワトビケラなど 造網型 と呼ばれる種の作る巣は, 流水などの石に固定されており, 糸による網が作られ, ここにひっかかった流下微粒子 ( デトリタス ) を捕食する 2). このデトリタスは, 落ち葉や底生動物の死骸などの有機物であり, 環境により変化するため組成は一定したものではない. 造網型の毛翅目が作る巣の一つ一つは小さく, 網にかかり採食するデトリタスの量は微々たるものだが, 河川全体にもなるとその数は大きくなることが想像される. 従って, 造網型の毛翅目が増殖すれば, 河川の自浄作用とは別に有機物を貯蔵または分解によって水質改善を助けることに繋がっている. ひいては, 河川の浄化機構の一部を担っている可能性が示唆される. 以前の研究では, 瀬野川水系熊野川の毛翅目は処理施設からの有機物を直接または間接的に利用して増殖し, 水質浄化機能を高めている可能性を示した 1). 特に, 毛翅目の中でも造網型が優先しているヨシ原は, 多少の有機物汚染でも浄化力が強く, 水質浄化に貢献できると推定された. 毛翅目が優占すると水質浄化能力が高いことが示唆されている 1). 本研究では, 瀬野川の支流である熊野川での造網型の割合を調べ, 汚濁指数 58

60 Pi, 生物指数 Bi などと比較を行い, 造網型の分布と水質環境の評価を行い, 造網型の河川浄化の寄与を究明した 実験方法底生動物の採取方法は, α 法で行った 3) cmのコドラートとサーバーネットの道具を使い, 流速が100~150cm/ 秒の場所で目視できる生物を 3 箇所のポイントを選び採取した. 河床は瀬野川と同じく, 全体的に砂地で礫や小石が散乱している状態である. サンプリングは, 春と秋の 2 回行い, 採集した後に広口ビンに全て詰め, ホルマリン溶液 (10%, v/v) で固定し, 実験室に持ち帰って生物の同定を行った 3). 底生動物の同定は, 日本産昆虫検索図説 4) によった 分析方法生物学的水質評価は, 第一章緒論と同様に以下の 4 種の方法により評価した 汚濁指数 (Pollution index) 汚濁指数 (Pollution index) は, 生物の多量度で評価される方式で次の式で表 される. Σ ( s h) Pi Σh Σhは多様度を表しており, 値が 3 段階に変化し, 個体数が 1 匹の場合は, 1を乗法し, 2~9 匹だと2を乗法し, 10 匹以上だと 3 を個体数に乗法して計算をする. sは汚濁階級指数で生物の種類 ( 例 : ヤマトビケラはs=1) により数値は異なる 3,5) 生物指数 (Bio index) 川の任意の地点に存在する肉眼的底生動物の種類をもとにする汚濁の指数として提案されたものである. 生息する生物を汚濁に耐え得ない種と汚濁に耐え 59

61 うる種 4) の2 群に分け各群の種数を調べた. そして汚濁に耐え得ない種数を A, 汚濁に耐えうる種数を B とし, 次式で算出した 3,5) 造網型の比率 造網型の比率 Bi=2A+B 毛翅目の中の造網型とそれ以外の毛翅目の個体数で商法して計算して割り出し た. 毛翅目の造網型個体数毛翅目の造網型以外の個体数 4-4. 調査地点瀬野川の支流である熊野川を対象とし, 上流の初神から時光地, 海上側, 宮の郷, 昭和橋, 下切り, 墓苑, 荒谷までの計 8 地点を1~3km 区間ごとに調査を行った. 調査地点は, 図 4-1 に示す. 調査期間は, 2001 年春期から 2005 年秋期まで行った 結果及び考察 汚濁指数 (Pollution index) 図 4-2 は, 2001 年から 2005 年までの Pollution index の変化である 年, 2004 年が省略してあるのはそれぞれ前年度と特に変化はみられなかったので 5 年間の変遷を理解しやすくするため隔年で表示した. 農業集落排水による河川の汚濁がある 2001 年では指数が高く, 特に上流から中流域にかけて水質階級は低かった. 合併処理槽設置が完了 (2003 年 ) 以降 2005 年には指数は低く, 水質階級は高くなっており, 農業排水の流れ込んでいた上流付近も含め全体的に水質が改善されていることを示した. 水質階級は β 腐水性からα 腐水性へと改善されている 年以前の上流付近では, ヒルやミズムシといった強腐水性の生物が多く生息していたが, 2003 年以降にコガ 60

62 図 4-1 熊野川の底生動物調査地点 61

63 図 4-2 熊野川の汚濁指数 (Pollution index) の推移 62

64 タシマトビケラやウルマシーシマトビケラのような毛翅目が増殖し, 汚濁に耐え得ない種の生物も見られるようになった 生物指数 (Bio index) 図 4-3 に生物指数 Bi の変化を示した 年から 2005 年までの上流から中流にかけての初神から宮の郷までは指数にほぼ変化が見られなく汚濁に耐え得ない種と耐えうる種が多様に生息していた 年の下流では, 2003 年以前の汚濁に耐え得ない種が少なく水質階級は低い値を示していたが, 2005 年には汚濁に耐え得ない種が増えた. そして, 2003 年に比べて図 4-4 の造網型の比率より, 毛翅目と汚濁に耐え得ない種が増殖したことが推察できる ( 後述 ). 昭和橋から下切りの 2003 年が 2005 年より高いのは, 汚濁に耐えうる生物の種数が多かったためであり, 種数で計算を行う Bi による誤差であると考えられる. なお, この 2001 年から 2005 年までの間に河川改修工事は行われているが生物の採集は工事前後を避けているため影響はないものと思われる 造網型の比率シマトビケラやヒゲナガカワトビケラなどの造網性の種は, 水中の小石が増水等で移動するような場所では安定して生活できないと考えられる. さらに, 瀬野川での観察では, 造網型の種の多くは汚濁に耐えうるものが多いが, 水質が少しでも良くなると急速に増殖する傾向がある. そこで底生動物の中にこの類の占める割合を造網型の比率とし, 河川の水質改善の前兆を示す指標として新規に用いた. 上流の初神では, その他の指数と比較しても高くない, 主にユスリカやミズムシなどの汚濁に強い種が生息していた. 初神では, 毛翅目の造網型が生息していなかった. しかし, 徐々に流下していくうちに造網型の生物は増えていく傾向にあった. 熊野川最下流の荒谷では, 汚濁に耐え得ない種である造網型のヤマトビケラが最も多く生息していた. 63

65 図 4-3 熊野川の生物指数 (Bio index) の推移 64

66 生物の個体数を図 4-4 に示す. これは熊野川全体の底生動物の個体数の推移であり, 造網型の個体数も含んでいる 年は, 生物の数が少なく 2003 年から 2005 年にかけて生物の数が増えている 年から 2005 年までは生物個体数はほぼ同じ個体数を示した. 即ち, 個体数の変化は少ないのに水質が改善されているということは図 4-2, 図 4-3 に示すように, 汚濁に耐えうる種が減り, 汚濁に耐え得ない種が増加したことを示している. 図 5 では毛翅目の造網型と造網型以外の個体数を示す. 造網型の個体数が増えるということは, 水質が改善される前兆と見ることができる 年では, 造網型とそれ以外の毛翅目はほとんど生息しておらず, 全体的に毛翅目自体が生息していないことを示した. しかし, 時光地より下流の 2005 年は, 造網型が著しく多数生息していた. そのため水質階級も 2003 年から 2005 年にかけて改善された結果となった ( 図 4-2, 図 4-3). 図 4-5 では, 海上側より下流域すべてにおいて造網型が 2003 年以降から 2005 年にかけて増加していた. 個体数は図 4-6 では, 毛翅目の造網型の比率を示した. 図 7 では比率で計算しているためグラフは不安定ではあるが, 2001 年と 2003 年から 2005 年を比べると約 2 倍以上にも造網型の比率が増加しており, 2005 年の造網型の比率は, ほぼ90% 近く毛翅目の造網型が優占していた. その結果, 造網型が優占する地点では, 図 4-2, 4-3 に示した Pi や Bi も高くなり, 造網型の比率が高い河川では, 水質が改善されている可能性が示唆された. つまり, 造網型の比率も水質改善の前兆を示す一つの水質指標になり得ることが明らかとなった 第 4 章総括 瀬野川支流熊野川において農業集落排水処理施設の設置後に生物の個体数が 増殖した. 中でも毛翅目の造網型が増えることによって, 河川の水質環境が改 65

67 図 4-4 熊野川の生物個体数と造網型の推移 66

68 図 4-5 熊野川の造網型個体数と造網型以外の個体数の推移 67

69 図 4-6 熊野川の造網型比率の推移 68

70 善されることが Pi, Bi によって現れた. 造網型の比率は 2003 年から 2005 年にかけて約 2 倍増加することにより水質改善されることを示した. 造網型の増殖による水質改善が行われると汚濁に耐え得ない種も同時に増殖していき, 全体的に生物が多くなり, 水質環境は良好な河川になった. これにより, 造網型が占有するような河川では Pi と Bi, そして, 造網型の比率を比較することにより簡便に水質評価ができるという可能性を見出した. 同時に, これまで感覚的に感覚的に知られていたが, 毛翅目の中でも造網型が増殖することによって河川の水質を改善することが確認された 第 4 章参考文献 1) 保光義文, 渡部晃久, 竹野健次, 新川秀典, 佐々木健 ; 熊野川における生活排水 農業排水処理施設放流水の底生動物に及ぼす影響および天然ヨシ原川床による水質浄化に関する研究, 水処理生物学会誌, 43, 63~71 (2007) 2) 谷田一三, 丸山博紀, 高井幹夫 : 原色川虫図鑑, 全国農村教育協会, p.57 (2000) 3) 森下郁子 ; 指標生物学, 生物モニタリングの考え方 ( 普及版 ), 山海堂, p.140~159 (1986) 4) 川合禎次 ; 日本産水生昆虫検索図説, 東海大学出版会, p.1~409 (1985) 5) 山口県衛生公害研究センター : 親と子の水辺の教室, 指導の手引き, p.7~21, 39~42 (1997) 6) 安嬰, 大村達夫, 海田輝之, 相沢治朗, 佐藤芳光, 海藤剛 : 特定汚染源のない河川の底生動物相による水質評価, 水環境学会誌, 16, 11, 804~814. (1993) 7) 柴谷篤弘, 谷田一三 : 日本の水生昆虫, 種分化とすみわけをめぐって, 東海大学出版会, p.136.(1989) 69

71 第 5 章 底生動物の毛翅目とツルヨシやクレソンの組み合わせによる 水質浄化能力の促進 70

72 5-1. 緒論広島県東部を流れる 2 級河川瀬野川は, 全長 22.8km に及び, 4つの支流と合流し海田湾の河口へ流れていく. 瀬野川と熊野川では, 高度経済成長期に宅地開発が進められ, 下水道の整備は確立されておらず 20 年前から都市部近郊の河川として生活排水により汚濁された 1). しかし, 生活排水で汚濁されていたにも関わらず, 瀬野川は都市部のような非常に汚れた水質環境までにはならず, 少し汚れた河川で落ち着いていた. それは, 川中に繁茂するヨシにより, 流下していく間に窒素やリン等が浄化されていたからである 1-3). ヨシ周辺には必ず底生動物が生息しており, 水質浄化に寄与しているものと思われる. 下水道の設置に伴い, 生活排水が流入しなくなったことにより, 良好な水質環境の河川になったことを以前の研究より底生動物の分布調査によって明らかにした 2, 3). 熊野川では, 天然ヨシ原の河床の存在により, 農業集落排水が流れこむ地点に関わらず水質環境は比較的に良好な河川であった 3). 河川の水質を調査する場合, 常に流下している河川水を分析しても水質を断定しにくく, 底生動物を用いた評価法が広く一般的に用いられている. 底生動物は, 水質により生息域が変化し, 底生動物を同定することで水質を評価することができる. 我々は, 過去 20 年間, 瀬野川と熊野川の底生動物調査を行い, 水質評価を行なっている 1-3). 熊野川の生活排水の流入する地点 ( 下切りと墓苑 ) の河床では, 底生動物の蜉蝣目と毛翅目が優占的に生息していた. 自然の河川では, 蜉蝣目若しくは毛翅目が水質浄化能力に寄与しているのではないかと示唆された 4). しかし, これまでの研究では, 人工的な河床モデル実験は報告されていない. 本研究では, ヨシと底生動物 ( コガタシマトビケラ ) の組み合わせが浄化に対してどのように寄与しているのか新規に室内水槽にて実験した. さらに, ヨシとクレソンとともに底生動物を飼育し, リン, 全窒素と有機物の水質分析を 71

73 実験し, 水質浄化能力を調査した 実験方法 水槽の構造と植物の採集と底生動物水槽 ( 容量 20L を 2 台, 最大容量 :40l) は, 水槽内部には熊野川から自然河川の河床から花崗岩の砂 ( 粒状 2mm 以下の大きさで約 5cm の厚さに敷いた ) と花崗岩石 10 個 ( 約直径 5cm の大きさ, 総計約 10kg) を純水で洗浄して入れた. 両方の下段に瀬野川で採集したヨシ (Phragmites japonica) を 30 本植栽し, 片方の上段にコガタシマトビケラ属 (Cheumatopsyche Wallengren) を 30 匹投入した. ヨシあるいはクレソンを植栽した方だけを対照とした. 底生動物は, 瀬野川の支流である榎山川でコガタシマトビケラ属 (Cheumatopsyche Wallengren) を採取し持ち帰った後, 大きさが均一な 20mm のものに選定をして水槽に投入した. ヨシ (Phragmites) は, 瀬野川中流域の少し汚れた水質に生育している, 比較的健常なツルヨシを採集した. 根を傷つけないように掘り, 河川より持ち帰り水道水で洗浄後, 水槽に植栽した. 水槽には水道水を入れ, 底生動物とヨシを入れる前に 24 時間置き, 塩素を抜いたものを使用した. その後, 人工下水 ( グルコース 4.6g/l, ペプトン 0.15g/l, リン酸一カリウム g/l, リン酸二カリウム 0.015g/l, リン酸ナトリウム g/l, 塩化アンモニウム 0.117g/l, 硫酸マグネシム 7 水和物 0.056g/l, 塩化カルシウム 2 水和物 0.01g/l, 硝酸カリウム 0.07 g/l) を 50ml 添加し, コガタシマトビケラ属が生育しやすい生活排水が少し流入した熊野川の状態を再現した. 生物の餌として, ほうれんそうをペースト状にして 7 日おきに両方の水槽に 5g 添加した ( 対照と実験水槽 ). この装置は, 窓の付近に設置したが, 直射日光の当たる場所ではなく, 軽度の間接的に日の当る条件下に対照と底生動物の入った水槽を設置した. 72

74 水槽の水温は, 生物が住みやすいとされる に固定した. さらにエアーを送り込み溶存酸素 (DO) を6mg/l 以上に設定した. ph は 7.5±0.3 とした. 同様の方法でクレソン 50 株を採取して持ち帰り, ツルヨシとの比較実験とするため同様の実験を行った. 3 回の実験を行い, データの誤差は 10% 以内であった. なお, 水槽の外観と構造は, 図 1 に示した 水質化学分析水のサンプリングは, 1 週間おきに行い直ちにpHと溶存酸素 (DO メーター使用 ) を測定した後, 4 0 C 以下に保存し, 実験室で他項目を分析した. 分析項目は, ph(ph 電極法 ), 過マンガン酸カリウム消費量 ( 酸性 )( 以下, 過マン - 2- ガン酸カリウム消費量と略 ), 硝酸態窒素 (NO 3 - N), リン酸イオン (PO 4 ) で, HACK 社の迅速分析機 (DR/2400) で分析した 実験結果および考察 底生動物とヨシによる水質浄化能力の向上津田ら 6) の方法に基づいて多数の底生動物飼育の実験を行い, ヨシと底生動物の組み合わせによる人工水質浄化システムを確立した. しかしながら, コガタシマトビケラの継続長期飼育システムは非常に難しく, 初期の頃, 一つの水槽で両方の水槽にヨシとコガタシマトビケラを入れて行ったが, ほぼ全ての底生動物が 1 週間で死滅した. それは, 酸素の供給量が不足していたことに原因があった. 水循環システムの導入により, コガタシマトビケラの生存率は若干改善された. しかし, 1 ヶ月後, ほとんどの底生動物が死んだ. その場合, 対照実験も底生動物を添加した実験も水質にほとんど違いがなかった. 数年間, 多くの試験をして, 人工水質浄化システムの通気や供給方法について改善を行い, 図 5-1 のような 2 つの水槽でヨシと底生動物を組み合わせたことにより 1 ヶ月以上の生存に成功したので最終的にこの方式を採用した. 73

75 図 5-1. 水槽の構造 ( 上が断面図, 下が立体図 ) 74

76 1 ヶ月間, 底生動物による水質浄化実験を行った結果を図 5-2 に示した. ヨシとコガタシマトビケラを組みわせた実験では, 底生動物の存在によって, ほうれんそうを供給してもリンと全窒素は対称よりも低く抑制されていた. この実験の差は, 唯一, 底生動物が存在しているかどうかであり, この結果は, 底生動物が水質の向上に影響していることが言える. 底生動物の存在している方の過マンガン酸カリウム消費量が増加しているのは, 底生動物が有機物を放出することが原因であると考えられる 6) 底生動物とクレソンによる水質浄化能力の向上ヨシの代わりにクレソンを使用した場合 ( 図 5-3), ヨシと底生動物の結果である図 5-2 と同様な結果が見られた. クレソンの実験では, リンの除去は, ヨシのように高くはなかった. しかし, 底生動物の存在により, リンの増加は抑制されていた. 全窒素の増加の抑制もヨシの場合と同様の傾向であった. ヨシの場合と同様に, クレソンと底生動物の組み合わせでも水質浄化能力が向上することが確認できた. ヨシとクレソンの両実験で 1 ヶ月後に, 蓋の網にコガタシマトビケラが羽化しているのが見られた. これは非常に興味深く, 羽化したコガタシマトビケラによって水中から大気へリンや窒素化合物を除去したことになる. 羽化したコガタシマトビケラを硝酸 (JIS0101) で分解して分析 7) したところ, mg P(0.0134mg PO 3+ 4 ) を身体に持っていた. もし, 30 個体が羽化したら約 0.402mg のリン酸イオンが除去されるシステムとなる. 図 5-2 と図 5-3 より対照と底生動物を添加した実験のリンの差は約 0.6mg が 1 ヶ月後に見られた. 水槽のリン酸イオンの総量 0.6mg 4L の 2.4mg 相当である. 20mm の小さなコガタシマトビケラは幼虫期に 1 匹あたり mg P のリンを保持しており, 成虫になってからは, リンを mg P 持っていた. 成長の間にリンを徐々に体内に貯めていき, 羽化して最大値となる. 75

77 KMnO4 consumption (mg/l) T-N (mg/l) PO4 3- (mg/l) Time (days) 図 5-2 ヨシと底生動物 ( コガタシマトビケラ ) を組み合わせた水槽でのリン酸イオン, 全窒素, 過マンガン酸カリウム消費量の推移 1 週間に 1 回 5g のほうれんそうペーストを添加した. : ヨシのみ : ヨシと底生動物 76

78 KMnO4 consumption (mg/l) T-N (mg/l) PO4 3- (mg/l) Time (days) 図 5-3 クレソンと底生動物 ( コガタシマトビケラ ) を組み合わせた水槽でのリン酸イオン, 全窒素, 過マンガン酸カリウム消費量の推移 1 週間に 1 回 5g のほうれんそうペーストを添加した. : クレソンのみ : クレソンと底生動物 77

79 リンを含んだ底生動物が水環境から羽化して飛び出すことは重要であると思われる. 即ち, 河川水の浄化能力の向上に貢献していると思われる. この人工室内水槽によって, 底生動物を用いれば, ヨシとクレソンのみと比べてより効率的に水環境からリンと窒素を除去することが可能となる. この結果は, 毛翅目とカゲロウ目が豊富に存在していれば, 天然ヨシ原河床では, ヨシのみの河床より高い水準で水質浄化が進むことが説明されている 4). そして, 毛翅目と蜉蝣目はデトリタスを消費し, 有機物を摂食や溶解して河川の水を浄化することが報告されている 6,8,9). 即ち, 底生動物は, ヨシやクレソンと共に河川の水の浄化に貢献していると考えられる. しかし, 我々の実験もまだ完全ではなく, 1 か月以上生物が生存する理由も明らかになっていない. コガタシマトビケラとヨシやクレソンを組み合わせた水槽を合体した場合でも底生動物は成育できると思われる. ヨシやクレソンから排出されるいくつかの成分が底生動物の生存と成育を補助している可能性がある. また, 人工水槽で大量飼育して天然ヨシ原やクレソン原に散布して大量のコガタシマトビケラがフィールドで育成することが可能となる場合, 特に, 河川の汚水に含まれるリンを羽化して水系から取り除くことにより除去して, 水質浄化の向上させることが可能となると推察される 第 5 章総括底生動物の水質浄化を向上させる能力を証明することを目的に, ヨシまたはクレソンと底生動物を組み合わせた室内水槽によって, 水質浄化システムを確立した. この研究より得られた結果を下記に示す. 1.2 つの水槽と水循環システムを適用することにより, 底生動物であるコガタシマトビケラを 1 ヶ月以上生存させることができた. 78

80 2. ヨシと共に底生動物が 30 個体存在する場合, リンの濃度は約 1/5 であり, クレソンと底生動物の場合では, 1/2, 全窒素はそれぞれ, 約 1/6, 1/3 と 1 ヶ月後に水質は改善された. 3. ヨシもしくは, クレソンと底生動物を組み合わせた新たな人工的な水質浄化システムにより, リンと全窒素が除去されることを確認した 第 5 章参考文献 1) 保光義文, 松本誠一, 佐々木健 : 瀬野川水系熊野川におけるツルヨシ群落と水質浄化, 水処理技術学会 38, 5~15(1997) 2) 渡部晃久, 保光義文, 竹野健次, 佐々木健 : ヨシ原除去にともなう瀬野川, 熊野川の底生動物および水質の変化と回復, 環境技術学会誌, 35, 596~ 604(2006) 3) 保光義文, 渡部晃久, 竹野健次, 新川秀典, 佐々木健 : 瀬野川水系熊野川における天然ヨシ原川床の水質浄化能力, 環境技術学会誌, 36, 53~58 (2007) 4) 保光義文, 渡部晃久, 竹野健次, 新川秀典, 佐々木健 : 瀬野川における生活排水 農業集落排水処理施設放流水の底生動物に及ぼす影響及び, 天然ヨシ原川床による水質浄化特性, 日本水処理生物学会誌, 43, 63~71 (2007) 5) Nagadomi, H., Kitamura, T., Watanabe, M., and Sasaki, K.: Simultaneous removal of chemical oxygen demand (COD), phosphate, nitrate and hydrogen sulfite in the synthetic sewage wastewater using porous ceramic immobilized photosynthetic bacteria. Biotechnol. Lett., 22, 1369~1374 (2000) 6) 水野信彦, 御勢久右衞門 : 河川の生態学, p.4~102, 築地書館 (1993) 7) 日本工業規格委員会 : 日本工業規格, 産業用水調査法 (JISK0101) (1991) 79

81 8) 谷田一三 : 水生昆虫で河川環境を見る, 生き物から水環境を見る, 第 31 回日本水環境セミナー講演資料集, 日本水環境学会, p.50~71 (1997) 9) 桜井善雄 : 水環境と生物群集, 生き物から水環境を見る, 第 31 回日本水環境セミナー講演資料集, 日本水環境学会, p.98~109 (1997) 80

82 第 6 章 結言 81

83 底生動物を詳細に調査, 分析することにより, 新たな高精度な評価法の開発や底生動物の水質改善への影響を確認する目的で広島県西部および広島市瀬野川のフィールドで調査および室内実験を行った. 第 1 章では, 底生動物の環境の中での生態, 特性, および底生動物による水質評価の歴史をまとめた. 水質化学分析の内容と底生動物のによる環境評価との関連について述べた. 第 2 章では, 広島地区の名水といわれる水場で, 水質化学分析値から,1 硬度 (30 mg/l 以下 ) と有機物 (1.0 mg/l 以下 ) のきわめて低い水 ( 清冽な名水 ),2 旧厚生省おいしい水の要件 ( 要件 ) に合致する水 ( 名水と判定される水 ), 3 名水といわれる沢水, 川水,4 生活排水が混入する川水に分類して, 底生動物の優占順を調査した.1 清冽な名水ではオビカゲロウやサイズの大きなヨコエビ (8~12mm) が第一優占種として観察された.2の名水や3の名水といわれる水では, サワガニ, ナミウズムシ, ヘビトンボ, カミムラカワゲラなどが第一優占に観察されたが, ユスリカ, カワニナ, ミズミミズなど汚れたところに住む底生動物も同時に観察された.4の生活排水の混入する水ではこれらは1-3の水と第一優占種は明らかに異なり, 生物種も 12~20 種と多くが観察された. 従って, オビカゲロウや大きなヨコエビが優占している水場は, 少なくとも清冽な名水として評価しうる可能性が見出された. 第 3 章では, 瀬野川において生活排水が流れ込む地点での, 下水道工事以前の 1998 年から 2000 年までと, 2000 年から 2003 年までの, 下水道工事による水環境への影響を評価した 年から工事終了後の 2005 年の間でそれぞれ最大で汚濁指数が約 2 倍, 生物指数が約 3 倍, 多様性指数が 2.5 倍, 汚濁性生物比率が 1.6 倍ほど改善されたことを確認できた. 下水道整備後以降に整備区間下流側において汚濁指数, 生物指数, 多様性指数の上昇, および汚濁性生物比率の低下が認められ, これらのことから下水道整備が水質改善に寄与するこ 82

84 とが広島では初めて明らかにされた. 第 4 章では, 瀬野川の支流である熊野川で毛翅目の中でも造網型が優先しているヨシ原は, 多少の有機物汚染でも浄化力があり, 水質環境改善に影響していることが示唆された. 毛翅目が優占すると水質環境が良いことを確認した. そこで熊野川で汚濁指数 Pi, 生物指数 Bi, と毛翅目の変遷を比較し, 水質環境の評価を行った. 造網型が増えると Pi と Bi に現れた. 明らかに造網型の比率を比較することで簡便に水質環境評価ができることを推察した. 第 5 章では, 底生動物 ( 毛翅目 ) と植物 ( ヨシやクレソン ) を組み合わせた室内水槽で1ヶ月間, 窒素とリン酸イオンの水質浄化実験を行った. 底生動物の1 種 30 個体と, ヨシまたは, クレソンを組み合わせた水槽の水のリン酸イオン濃度は, 底生動物を入れない対称実験を比較してヨシが 1/5 でクレソンが 1/2, 全窒素は約 1/6 から 1/3 であった. これらの結果より, 人工的な水槽によって, 底生動物とヨシやクレソンといった植物が組み合わさると水質浄化能力が促進されることを確認した. 以上, 本研究により, 底生動物による環境評価につき, 新規の高精度の評価法を開発することができた. さらに底生動物による水質浄化促進効果につき, 経験で知られていた事実をモデル実験で実証できた. このように底生動物を用いた環境評価は, さらなる微生物的検査や環境変動の的確な把握と組み合わせることにより, より応用範囲が広げられる可能性を有していると示唆される. 今後の研究が期待される. 83

85 関連論文 1. 佐々木健, 天川卓也, 竹野健次. 保光義文 : 底生動物による名水とい われる水の評価. 環境技術学会誌, 38, 727~734 (2009) 2. 天川卓也, 竹野健次. 保光義文, 佐々木健 : 瀬野川における生物指標 を用いた下水道整備の評価. 環境技術学会誌. 41, 48~52 (2011) 3. Takuya Amakawa, Yoshifumi Yasumitu, Kenji Takeno, Ken Sasaki: Enhancement of Water Purification Ability by the Combination of Benthic Animals Trichoptera and Reeds, Pharagmites japonica or Watercress, Nasturium officinale. Japanese Journal of Water Treatment Biology, ~49 (2011) 84

86 謝辞本研究を継続するにあたり, 種々の貴重な機会を与えて頂いた広島国際学院大学の西本五郎, 鶴素直理事長, 今村詮, 奥田勉学長に厚くお礼申し上げます. 終始ご指導頂いた, 佐々木健教授, 論文指導頂いた, 遠藤敏郎教授, 新川英典教授, 檜高靖治教授, 竹野健次准教授, に厚くお礼申し上げます. また, 研究継続にあたり, 種々の協力を頂いた, 瀬野川水系水生生物研究所の保光義文氏に厚くお礼申し上げます. 85

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