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Transcription:

第 6 回シグナル伝達と細胞増殖 様々なシグナル伝達経路の復習 第 5 & 21 章 ホメオスタシス ( 恒常性 :Homeostasis) 外部環境 : 温度 圧力 浸透圧等の変化 細菌や毒物との接触 内部環境 生物が受ける外部環境の変動 ストレス 相互作用 短期作用長期作用 神経系 緊急対応的作用 ホメオスタシス 生体防御作用 相互作用 ストレス ( 自律 ) 神経系がまず反応内分泌系が短期的 長期的作用 内分泌系 免疫系相互作用 P57-58 ホメオスタシス : 内部環境を一定に保つ働き 体温 : 約 36 血圧 : 約 100mmHg 血漿浸透圧 : 約 300mOsM に保たれている 温度 圧力 浸透圧のような物理的なストレスだけでなく 細菌への暴露など生物学的なストレスに対する恒常性も含む P58-59 生体の緩衝作用 動物の体重の60% 以上が水体液 体を構成する液体体を構成する液体細胞内液細胞外液 ( 細胞間液 脈管内液 ) 体は体液が外部環境の変動を和らげる 自律神経系 ホメオスタシスの維持に関与する神経系 P61-62 交感神経系と副交感神経系の支配多くの場合 両者の作用は拮抗的で バランスによって各器官の作用が調節 外部環境の変化を細胞外液が先ず和らげる ホメオスタシスの対象は 体を構成する細胞の内部構造 即ち 細胞内液 交感神経系神経節でのシナプス アセチルコリンによるニコチン性受容体を介した伝達作用器官でのシナプス カテコールアミン ( 主にノルアドレナリン ) による伝達体の活動時や興奮時に活性化 副交感神経系脳神経核 ( 動眼 顔面 舌咽 迷走神経神経核 ) や仙髄から発し 作用器官付近の神経節のシナプスでニューロンを乗り換える 神経節と調節器官のシナプスでは アセチルコリンが伝達物質 二次ニューロン末梢節ではムスカリン性受容体を介した情報伝達 副交感神経は 安静時に活動高い

チャネル型受容体を介したシグナル伝達 内分泌系ホルモンを介した情報伝達系 P62-64 ホルモン : 内分泌器官から分泌され 血流を介して特異的な受容体を持つ標的器官に作用して その働きを修飾する物質 ( ニコチン受容体 ) 酵素によって血液中で作られる生理活性物質もホルモンに分類パラクリンやオートクリンなど内分泌の定義に当てはまらないホルモンの発見 ホルモン ペプチドホルモン タンパク質ホルモン ステロイドホルモン アミノ酸誘導体 アラキドン酸誘導体などに分類 作用様式での分類短期作用型ホルモン 半減期秒 ~ 数分 ( オリゴペプチド アミノ酸誘導体 ) 長期作用型ホルモン ゆっくり作用 ( タンパク質ホルモン ステロイドホルモン ) 多くのホルモン 細胞膜上に特異的受容体甲状腺ホルモンやステロイドホルモン 細胞質に受容体 最近 細胞内に存在するペプチドホルモン受容体や細胞膜に存在するステロイドホルモン受容体などが発見 体液 ( 血液量 ) の調節 血漿浸透圧の調節因子 Na+ や Cl- などの一価イオン 入口 : 飲水と摂食行動と腸からの吸収出口 : 呼吸 汗 尿排出 ( 腎臓からの排出が調節 ) 血液量の減少 心房の容量受容体で感知 中枢 ~ 飲水行動誘起 バソプレシン ( 抗利尿ホルモン ) の分泌促進 血液量減少 腎臓からレニン ( 酵素 ) 血液中でアンジオテンシンⅡを産生 ~ 飲水行動誘起 バソプレシンの分泌促進 血液量の減少 心房から心房性ナトリウム利尿ペプチド (ANP) 分泌抑制 飲水行動誘起 バソプレシン分泌促進 アンジオテンシン Ⅱ 副腎皮質からアルドステロン (Na+ 保持ホルモン ) 分泌促進 Na+ 嗜好促進 腸や腎臓で Na+ 吸収促進して排出を抑制 体外から水とNa+ 摂取促進体内から水とNa+ 排出抑制 血液量をもとに戻す P64-66 血糖量の P66-68 ホメオスタシス 血糖値減少時 : 視床下部の空腹中枢刺激され 食欲が惹起 交感神経が刺激され グルカゴン アドレナリンの分泌促進 下垂体ホルモン放出ホルモンの刺激により 副腎皮質刺激ホルモン ( その刺激で副腎皮質からグルココルチコイド ( ヒトの場合はコルチゾル )) や成長ホルモンが分泌 4 種の血糖上昇ホルモンは 筋肉や肝臓に作用し グリコーゲンの分解を促進 グルコースの消費器官への取り込み抑制 血糖値上昇時 : 視床下部の満腹中枢刺激され 食欲が抑制 副交感神経が刺激され インスリンが分泌 インスリンは 細胞膜上のグルコース輸送体 GLUT4を増加させてグルコースの取り込みを促進 血糖値を上げるホルモンは多数あるにもかかわらず 下げるホルモンはインスリンのみ

血糖値上昇に応答した膵臓 β 細胞からのインスリン分泌 血中グルコース濃度が5mMを超えたときに膵臓の β 細胞がグルコースまたはアミノ酸の上昇に応答して血中にインスリンを放出インスリン含む分泌小胞 膵臓 β 細胞 グルコースの β 細胞への取込みは GLUT2 グルコース輸送体によって媒介 (1) ほとんどの哺乳類のグルコース取込みは GLUT1 グルコースからピルビン酸への転換も促進され 細胞質内 ATP 濃度上昇 (2) ATPのATP 感受性 K + チャネルへの結合によりチャネル閉口し (3) 細胞からのK + 流出減少 わずかな細胞膜の脱分極 (4) が引き金になり 電圧感受性 Ca 2+ チャネルが開口し (5) 細胞質内 Ca 2+ 濃度が上昇 それが引き金になってインスリンを含む分泌小胞が細胞膜と癒合してインスリン分泌が生じる (6) 食欲の調節 レプチン 脂肪細胞から摂食に伴い分泌され 食欲抑制 グレリン 胃で主に作られ 空腹時に分泌され 食欲を促進 P67 電圧感受性 Ca 2+ チャネル ATP 感受性 K + チャネルインスリンとグルカゴンは協働して血中グルコース濃度を安定化させるグルカゴンは膵臓のα 細胞から分泌 インスリンは筋細胞 脂肪細胞の受容体型チロシンキナーゼのインスリン受容体に結合し プロテインキナーゼ B を活性化 細胞表層の GLUT4 数を増加させ 細胞へのグルコース流入量を増大 血中グルコース量を低下させる 高等動物の生体防御システム P260-261 免疫現象自然免疫 : 進化的に離れた異質生物を排除するしくみ 免疫細胞は骨髄から生じる P261-263 獲得免疫 : 非自己の形 ( エピトープ ) を有する侵入者に免疫応答を引き起こし その応答を記憶にとどめるしくみ リンパ球が獲得免疫の中心脊椎動物のみに見られる生体防御システム エピトープを有する分子 抗原エピトープ T 細胞受容体または免疫グロブリンによって認識される 形

血球の増殖分化 白血球 自然免疫担う好中球 ( 最近の捕食 ) 好酸球 ( 寄生虫の排除 ) 好塩基球 ( 寄生虫の排除 ) 単球 分化マクロファージ樹状細胞リンパ球ナチュラルキラー細胞 自然免疫と獲得免疫橋渡し T 細胞 ( 表面に T 細胞受容体 ) B 細胞 ( 表面に免疫グロブリン ) 獲得免疫担う T 細胞とB 細胞は それぞれ胸腺と骨髄での増殖と分化の途上でT 細胞受容体や免疫グロブリンの遺伝子を組み換える 免疫器官 免疫系の恒常性維持と免疫応答は 細胞の移動と分化 ( 活性化 ) を伴う 免疫細胞の増殖 分化 活性化の場 免疫器官免疫器官 P264 獲得免疫担うリンパ球の個々の細胞は遺伝子組み換えによって生じた多様な受容体遺伝子のうち 1 種類のみを持つ 抗原特異的な免疫応答は 特定の特異性を有する受容体分子を表面に発現している細胞クローンの増殖と分化という形で起こる T 細胞とB 細胞の受容体分子の遺伝子組み換えを伴う増殖は それぞれ一次免疫器官である胸腺と骨髄で起こる一次免疫器官の他の役割 自分自身の抗原に対して免疫応答を発現しない免疫寛容状態の確立 二次免疫器官 リンパ節 脾臓 粘膜付属免疫組織 T 細胞と樹状細胞やマクロファージなどの抗原提示細胞が出会って抗原特異的免疫応答が開始される場 または B 細胞が活性化 増殖して免疫グロブリンを分泌する細胞に分化する場 免疫応答の開始 P264- 寄生性微生物の侵入 皮膚 気管 消化管などの上皮細胞から侵入 マクロファイージ 樹状細胞 上皮細胞の間や直下の結合組織に常在し 侵入者を認識 処理 P263-264 獲得免疫の開始 微生物 抗原取り込んだ樹状細胞 二次免疫器官に移動 ペプチド断片を T 細胞に提示 獲得免疫応答の開始 ( 特定クローンの増殖と新たな遺伝子発現伴う T 細胞の活性化 ) T 細胞受容体へ結合し 応答起こすことが出来る抗原は タンパク質の断片のみで 抗原提示細胞表面の主要組織適合性複合体 (MHC: Major histocompatibility complex) 分子と結合している必要 侵入者の持つ分子的特徴から進化的に離れた生物か否かを判断し 危険信号 サイトカイン マクロファイージ 樹状細胞自身および他の免疫細胞の活性化と分化を誘導 ( 約 30 数種類 ) 血管内皮細胞を活性化し 血中の白血球や単球を滞留させ ( 同時分泌される ) ケモカインによって組織内に移行 捕食させる ケモカイン 他の細胞の遊走を誘起する走化性因子 ( 約 30 数種類 ) 7 回膜貫通型受容体 ~Gタンパク質を介し細胞内にシグナル伝達 自然免疫応答

T 細胞 P263 アレルギー P267 T 細胞は 機能によってキラー T 細胞とヘルパー T 細胞に分類キラー T 細胞 : 細胞性免疫応答ヘルパー T 細胞 : 細胞性免疫応答 ( キラー T 細胞 マクロファージ ナチュラルキラー細胞の活動が主なエフェクター機構 ) と体液性免疫応答 ( 免疫グロブリンが主なエフェクター機構 ) を活性化 制御ヘルパー T 細胞集団に : Th1 細胞 ( 細胞性免疫応答を活性化 制御 ) と Th2 細胞 ( 体液性免疫応答を活性化 制御 ) Th1 細胞とTh2 細胞は異なるサイトカインを分泌 MHC 遺伝子は二種類存在 (Class I MHCとClass II MHC) Class I MHCは すべての有核細胞で発現し キラー T 細胞が認識 Class I MHC は ヘルパー T 細胞に抗原を提示する細胞 ( 樹状細胞 活性化マクロファージ 活性化 B 細胞 ) のみに発現 T 細胞受容体に抗原分子と MHC 分子複合体が結合し 共刺激分子の相互作用すると T 細胞活性化 共刺激分子の相互作用ないと T 細胞活性化せず ( 末梢的寛容 ) 中心的寛容 (T 細胞が外来抗原と出会う前に胸腺内で獲得する免疫寛容 ) 免疫応答は 細胞性応答と体液性応答が並行している場合多い 抗原の種類 侵入ルートト 同時侵入刺激物質 遺伝的背景などで片方の応答がよる強く出る場合がある 花粉症などの即時性アレルギーは 免疫グロブリン E (IgE) が産生され誘起されるが Th2 型応答主導で体液性応答が主導的な場合に起こる 免疫応答のエフェクター機構 P268-269 抗体 免疫グロブリンの中で可溶性のもの 体液性免疫応答 Th2 細胞と抗原によって B 細胞クローンの特異的増殖と分化による 分化 : 免疫グロブリンの膜付随型から分泌型への変化 免疫グロブリンのクラス変換 遺伝子変異による免疫グロブリンの親和性の上昇 大量の免疫グロブリンを分泌する形質細胞の形成など それぞれの課程は二次免疫器官内の異なる部位で起こる 分子量約 5 万の重鎖 2 本と分子量約 3 万の軽鎖 2 本からなる 重鎖の違いによって免疫グロブリンM D G A E の 5 種類のクラスが存在 P269-270

復習問題 1. ホメオスタシスを簡単に説明せよ また ホメオスタシスの維持に重要な役割ホメオスタシスの維持に重要な役割を担っている機構を3つ挙げよ 2. 交感神経の一次ニューロンの末梢端と副交感神経の二次ニューロンの末梢端では ともにアセチルコリンが伝達物質として利用されているが この両者の受容体にどのような違いがあるか答えよ 3. 血糖量の恒常性がどのような機構によって保たれているのか 説明せよ 4 自然免疫応答が開始される際のシグナルを二つ挙げそれぞれの特徴を簡 4. 自然免疫応答が開始される際のシグナルを二つ挙げ それぞれの特徴を簡単に説明せよ