腎 泌尿器 ( 教科書 380-381 ページ ) 腎の血管系心臓から排出された血液の約 1/4 が 腹部大動脈 腎動脈 腎臓 ( ネフロン ) 腎静脈 下大静脈 尿路系 : 生成された尿を体外へ排出する 腎髄質 ( 尿細管と集合管 ) 腎杯 腎盂 腎盂尿管移行部 尿管 ( 教科書 380 ページ ) 膀胱膀胱平滑筋 ( 排尿筋 ) 内尿道括約筋 外尿道括約筋交感神経 ( 蓄尿 ): 排尿筋弛緩内尿道括約筋収縮副交感神経 ( 排尿 ): 排尿筋収縮内尿道括約筋弛緩 1
尿路感染症 ( 教科書 433~437 ページ 今日の治療薬 25 ページ ) 一般的には 急性に経過するものは大部分が単純性で 慢性に経過するものの多くは複雑性である 原因菌 大腸菌 ( 約 70 %) ブドウ球菌 腸球菌 クレブシエラ プロテウス 2
診断尿路に感染があることの確認 感染部位の決定 基礎疾患の診断 尿検査 尿培養検査 尿沈渣を 400 倍視野で観察したときに 1 視野に 5 個以上の白血球が認められる 尿 1 ml 中の細菌が 10 5 個以上ある 急性膀胱炎 尿路感染症の中で最も多い 大腸菌によるものが大多数である 3 主徴 : 排尿痛 ( 軽症では排尿時不快感程度 ) 頻尿 ( ひどいと 10 分おきになり 1 回排尿量は少なく残尿感が強い ) 尿混濁腎盂腎炎を合併しない限りは 発熱 白血球増多などの全身症状は伴わない 3
慢性膀胱炎急性膀胱炎と同様の症状 所見がみられるが 一般に軽度である 前立腺肥大症 神経因性膀胱 膀胱結石などの基礎疾患を伴い 高齢者に多い 急性腎盂腎炎 急性単純性腎盂腎炎は 多くは女性に起こる 膀胱からの菌の逆行性波及 血行性到達が主な経路である 起因菌の大部分は大腸菌である 腎盂腎炎の誘因 : 膀胱尿管逆流症 糖尿病 尿路結石など症状 : 悪寒 戦慄 発熱 腰痛 膀胱炎症状など検査所見 : 末梢血白血球増多 血沈亢進 CRP 陽性など 慢性腎盂腎炎 尿路に基礎疾患があるために起こる 原因菌は大腸菌以外が多い 急性憎悪期には急性腎盂腎炎と同様の症状 所見を示すが それ以外の時期には発熱も軽度で 尿中白血球数も少ない 4
基礎疾患の診断 1 前立腺肥大症や前立腺がん 尿道狭窄などの下部尿路通過障害 2 水腎症や膀胱尿管逆流症などの上部尿路通過障害 3 神経因性膀胱のように残尿を発生させる疾患 4 尿路結石 腫瘍のように尿路に対して異物として作用する疾患 5
尿路感染症の治療主体は抗菌化学療法である 1 原因菌に対して強い抗菌力を有する薬 2 腎組織内 尿中濃度が高い すなわち腎排泄型の薬 3 腎への副作用が少ない薬 単純性尿路感染症は化学療法のみで治癒可能複雑性尿路感染症は化学療法のみでなく 基礎疾患に対する治療を行う必要がある 薬剤感受性試験 最少発育阻止濃度 (MIC) ディスク感受性試験 : 臨床で広く用いられている 6
治療薬の選択 1 急性単純性膀胱炎ニューキノロン薬 経口ペニシリン薬 経口セフェム薬 2 急性単純性腎盂腎炎ニューキノロン薬 ( トスフロキサシン フレロキサシン レボフロキサシンなど ) 新経口セフェム薬 ( セフジニル セフテラムピボキシルなど ) の経口投与を行う 全身状態不良または経口摂取が困難なとき 菌血症を併発していると考えられる症例では 入院の上 セファゾリンなどの第一世代またはセフメタゾールなどの第二世代の注射用セフェム薬を用いる 3 複雑性尿路感染症治療前に尿培養を行い 起因菌を同定する 起因菌の種類 薬剤感受性試験の成績を参考に治療薬を選択する 7
抗菌薬ペニシリン系薬 : 細胞壁のペプチドグリカンの合成を阻害アンピシリン バカンピシリン アモキシシリン セフェム系薬 : 細胞壁のペプチドグリカンの合成を阻害第一世代 : セファレキシン セフロキサジン セファクロル第二世代 : セフロキシム セフォチアム第三世代 : セフジニル セフチブテン セフィキシム テトラサイクリン系薬 : タンパク質合成阻害テトラサイクリン ドキシサイクリン ミノサイクリン クロラムフェニコール系薬 : タンパク質合成阻害クロラムフェニコール アミノグリコシド系薬 : タンパク質合成阻害カナマイシン ゲンタマイシン トブラマイシン ジベカシン アミカシン マクロライド系薬 : タンパク質合成阻害エリスロマイシン クラリスロマイシン アジスロマイシン キノロン系薬 : トポイソメラーゼ阻害ナリジクス酸 ピペミド酸 ニューキノロン系薬 : トポイソメラーゼ阻害ノルフロキサシン オフロキサシン レボフロキサシン シプロフロキサシン 8
( 教科書 436 ページ ) 9
尿路結石 ( 教科書 438~443 ページ ) 腎 尿路結石に罹患する患者は 日本では年間約 11 万人であり 生涯罹患率は 約 20 人に 1 人である 男性に多くみられる疾患である 尿路結石の形成機序尿路結石の成因は非常に複雑で まだ不明な点が多い 腎尿細管や集合管で結晶が析出して核ができ 尿流の停滞やさまざまな要因でこの核が成長 凝縮して大きくなり 結石が形成されると考えられている 10
結石形成を促進する因子 尿流の停滞 尿路感染症 長期臥床 食事 内分泌 代謝異常 薬剤性 結石形成阻止因子 クエン酸 マグネシウムイオンが尿中に存在 11
尿路結石の成分 1 カルシウム結石 ( シュウ酸 Ca, リン酸 Ca) 日本では 85% を占める 特発性が多い 副甲状腺機能亢進症 2 感染結石尿素分解菌によりアンモニア生成 ( 尿がアルカリ性 ) リン酸マグネシウム アンモニウム形成 ( 不溶性 ) 3 尿酸結石酸性尿では尿酸の溶解度が低下し 結晶化しやすい 男性に多い 4 シスチン結石シスチン尿症 ( 常染色体劣性遺伝による疾患 ) 12
尿路結石の病態尿路結石症が臨床症状 疼痛 ( 仙痛発作 ) 尿路感染症 腎機能障害 早期診断 早期治療が大切 13
尿路結石の診断 症状からみた診断 1 疼痛 ( 背部から側腹部 下腹部への痛み = 仙痛発作 ) 2 血尿 3 結石排出 尿管の生理的狭窄部 1 腎盂尿管移行部 2 総腸骨動脈との交差部 3 膀胱壁内尿管 結石が尿路を塞ぐ 腎で生成された尿の通過障害 腎盂内圧が上昇して腎被膜が進展し疼痛をきたす 14
臨床検査 レントゲン所見 1 尿所見血尿 (20 % が肉眼的血尿 80 % が顕微鏡的血尿 ) 尿路感染症合併時には 尿沈渣に白血球がみられる リン酸マグネシウムアンモニウム結晶 ( アルカリ尿 ) 尿酸 尿酸塩 ( 酸性尿 ) 15
2 レントゲン所見 腹部単純 X 線撮影 (KUB): 腎部 (Kidney) 尿管 (Ureter) 膀胱 (Bladder) 排泄性尿路造影 (IVP: 静脈性腎盂造影 ) 超音波検査 ( 腎エコー ) CT 約 85 % の尿路結石を検出可尿酸結石 シスチン結石などは X 線透過性が良いので描出されない (X 線陰性結石 ) 静脈投与された造影剤が腎から排泄される際に 腎盂 尿管 膀胱を造影 X 線陰性結石の診断にも適している 結石は音響陰影を生じることで診断可能 低侵襲でくりかえし検査できる 小さい結石 (2-3 ミリ以下 ) や X 線陰性結石 水腎症を診断できる 16
3 血液 尿検査所見尿路結石は再発しやすいので その原因を診断することが重要である 原因を診断する方法 結石成分分析 尿 ph 血液 尿の生化学的 内分泌検査 血中カルシウム値 カルシウム代謝に関与する上皮小体ホルモンの測定畜尿中のカルシウム濃度測定による 1 日排泄量測定尿酸結石では血中尿酸測定 17
4 尿路の基礎疾患尿路の通過障害は 尿流の停滞を起こし 結石形成の原因となる 上部尿路の通過障害 下部尿路の通過障害 画像診断によって確認する 腎盂尿管移行部狭窄 前立腺肥大症 尿道狭窄 神経因性膀胱 18
尿路結石の治療 救急処置 仙痛発作 仙痛発作抑制薬 抗コリン薬アトロピン ( 尿管攣縮抑制 ) 非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs) ジクロフェナク ロキソプロフェン酸ナトリウム 麻薬拮抗性鎮痛薬 ペンタゾシン ( 疼痛がひどい時 ) 発熱ー腎盂腎炎の合併が考えられるので 入院治療を行う 抗生物質の点滴治療 悪心 嘔吐ー経口的に水分補給できない時には 点滴により水分補給 19
自然排石促進 結石が長径 10 mm 短径 6 mm 以下なら自然排石が期待できる 1 日尿量が 2 L 以上になるように水分を摂取する 外科的治療 体外衝撃波結石破砕術 (ESWL): 外科治療の第一選択法 90% 以上がこの単独治療で治癒 経皮的腎結合摘除術 (PNL) 尿路結石摘除術 (TUL) 再発予防 尿路結石の 70~80 % を占めるカルシウム結石は ほとんどが特発性で 再発予防の決め手はない 結石予防のため 食事療法を行う 20
その他 結石排出促進薬 結石再発予防薬 漢方 植物製剤 サイアジド系利尿薬 アドレナリン α 1A 受容体遮断薬 酸性尿改善薬 ウラジロガシエキス ヒドロクロロチアジド トリクロルメチアジド体液量減少 Ca 再吸収増加 管腔内 Ca 濃度低下 尿中 Ca 排泄抑制 タムスロシン ( 保険適用外 ) クエン酸 K クエン酸 Na 尿酸結石 シュウ酸カルシウム結石の再発予防 ( 保険適用外 ) 痛風ならびに高尿酸血症における酸性尿の改善 ( 保険適用 ) 21