若者 女性活躍推進フォーラム 提出資料資料 3 派遣労働者のキャリア形成支援について 平成 25 年 2 月 13 日 ( 一社 ) 日本人材派遣協会会長 家中隆
目次 1. 派遣事業の役割とキャリア形成の必要性について 2. 派遣労働者の意向をふまえたキャリア形成のありかた - 派遣スタッフ web アンケート調査結果 ( 速報値 ) より 3. ジョブカード制度の活用による派遣労働者のキャリア形成支援について 1
派遣事業の役割とキャリア形成の必要性について (1) 人材サービス産業の役割個人のキャリア形成のサポーターであり 企業の人材活用のパートナーとして 双方をマッチングし より多くの就業機会を創出し 社会全体の就業率を向上 (2) 労働者派遣事業の役割一時的なマッチングではなく 雇用管理まで担うことで 若者や女性等多様な就業ニーズをもち または就業弱者と言われる層に対して 時間をかけたマッチングを行い 就業機会を提供 (3) 外部労働市場におけるキャリア形成の必要性日本の限られた人的資源を有効に活用するためには 派遣労働者もふくめた非正規労働者全体のレベルアップは国家的課題であり そのためには 従来の企業内での人材育成だけでなく 企業の枠を超えた外部労働市場におけるキャリア形成が必要 派遣労働者のキャリア形成支援が派遣業界の重要な課題 2
派遣労働者の意向をふまえたキャリア形成支援のありかた (1) 派遣労働者のキャリア形成の2つの方向性 1 派遣会社が変わっても処遇を下げずに派遣就業を継続 2 正社員への転換 (2) キャリア形成を支援するための方策 業界内で横断的な評価基準の策定 キャリアカウンセリング体制の充実 派遣労働者に標準的なキャリアラダーを示し 能力開発の きっかけ 機会 の提供と キャリアアップにつながるマッチングにつなげる 3
派遣労働者のキャリアについての考え方 1 派遣スタッフの 8 割が正社員就業経験があり 正社員を辞めた理由は 体力的 精神的な負担 や ワークライフバランス上の理由が多い 0% 10% 20% 30% 40% 50% 体力的 精神的な負担が多かったため 仕事と私生活の両立が困難だったため 労働時間が長かったため 辞めた理由 ( 上位 10 項目 ) 残業が多かったため 職場の人間関係が煩わしかったため 賃金が安かったため 企業が小さい 将来性がないと感じたため 仕事内容が合わなかったため 有給休暇がとりづらかったため その他 の内容で多いもの リストラ 倒産 解雇 (309) 結婚のため 寿退社 (234) いじめ セクハラ パワハラ (61) 仕事の責任が重かったため その他 ( 一社 ) 日本人材派遣協会 2012 年度派遣スタッフ web アンケート調査速報結果 より 4
派遣労働者のキャリアについての考え方 2 ワークライフバランス的な要素では満足度が高く 雇用の安定性や教育訓練については満足度が低い 満足まあ満足どちらでもないやや不満不満 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 労働時間 休日数生活の充実感職場の人間関係仕事の内容 やりがい収入派遣という働き方派遣会社の支援福利厚生人事評価 処遇のあり方雇用の安定性教育訓練 能力開発 ( 一社 ) 日本人材派遣協会 2012 年度派遣スタッフwebアンケート調査速報結果 より 5
派遣労働者のキャリアについての考え方 3 働ける限り派遣で働き続けたい とする派遣スタッフが44.1% 期間限定の働き方 とするスタッフの半数が正社員就業を希望 Q 派遣先の数に関係なく どのくらいまで派遣で働き続けたいと思いますか? 派遣を 5 年以内までの期間限定の働き方 と考えているスタッフ 29.0% Q 派遣で働いたあとはどのような働き方を望みますか? 0% 20% 40% 60% 80% 100% 2 ヵ月以内 2.5% 2 ヵ月超 3 ヵ月以内 3% 3 ヵ月超 6 ヵ月以内 4.0% 働きたくない 9.9% 6 ヵ月超 1 年以内 5.7% わからない 16.9% 1 年超 3 年以内 10.2% 働ける限り続けたい 44.1% 3 年超 5 年以内 4.2% 1440 正社員派遣での働き方を続けたい自営 独立契約社員パート アルバイト働くつもりはない 427 380 244 244 53 6
派遣労働者のキャリアについての考え方 4 将来就きたい仕事や目指したいキャリアがないというのは やり方がわからない ということが主な原因 キャリア形成は派遣先の仕事を通じて実現できると思う者が圧倒的に多い Q 将来 つきたい仕事や目指したいキャリアがありますか? はい 60.9% いいえ 39.1% Q 派遣就業を継続することは 将来つきたい仕事やキャリアの実現に役立つと思いますか? はい 55.7% いいえ 44.3% Q 将来つきたい仕事やキャリアに関する希望がないのはなぜですか? Q( 将来つきたい仕事やキャリアの実現に ) 最も役立つと思うのはどれですか? 0% 10% 20% 30% 40% 50% どのようにしていけばよいか判らないため 給与がもらえればよいため あまり考えたことがないため 現状に満足しているため その他 ( 一社 ) 日本人材派遣協会 2012 年度派遣スタッフ web アンケート調査速報結果 より 7
派遣労働者のキャリアについての考え方 5 継続して就業すること 同一職種を深めながらも臨機応変に様々な仕事に対応すること そして紹介予定派遣の活用などがキャリア形成の実現に有効である と派遣スタッフは考えている Q. どちらの働き方が将来就きたい仕事やキャリアの実現により有効であると考えますか? 0% 25% 50% 75% 100% 1つの派遣先で長く就業する1 短期でも複数の派遣先で就業する 同じ派遣会社で継続して仕事 2 を紹介してもらう同一職種を深める3 複数の派遣会社から仕事を紹介してもらう 複数の職種を広く経験する 決められた仕事をきちんとこ4 なす派遣や紹介予定派遣等で職業 職場適性を知ってから就職する5 決められた仕事以外でも状況に応じて対応する 職場や仕事内容にこだわらず まずは正社員として就職する 8
参考 派遣労働者のキャリア形成支援についての派遣協会の考え方 今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会 日本人材派遣協会提出資料より 間接 直接 登録型派遣労働者 契約社員 パート アルバイト 有期 処遇を下げることなく 派遣会社が就業機会を継続して提供し続けられるようにする 派遣労働者として継続的に就業できることが担保されたうえで 派遣元 先への正社員化の道も用意し 就業機会を縮小することなく 安定的に働ける環境を作る ( スキルの高いスタッフは派遣元 先で正社員化する一方で エンプロイアビリティの低いスタッフや派遣での働き方を好むスタッフの就業が継続するよう 業界全体で育成 支援する ) 22 年平均で派遣から直接雇用有期に転換した人数は約 9 万人 契約社員と派遣労働者の処遇はほぼ同等だが パート アルバイトの平均時給は 946 円 (2012 年 10 月 ) で 派遣労働者 ( 平均 1485 円 ) より 500 円以上低い 雇用契約が終了した場合には 自力で就職活動を行う 直雇有期は増加しているが 処遇が大きくあがることはなく むしろ悪化する可能性 いわゆる 正社員型派遣労働者 正社員 安定就業が見込める派遣労働者を派遣元で正社員化する 派遣労働者の正社員化を支援する 正社員全体の人数は減少し続けており 採用ハードルが高い 無期 市場ニーズが高く 就業先が常に確保できるような高度な職種であれば可能だが 就業経験によってスタッフの選別が厳格化する 22 年平均で派遣から正社員に転換した人数は約 5 万人 紹介予定派遣は 採用力の無い企業が採用手段として派遣を活用している企業にはマッチする 臨時的一時的な労働力ニーズや 労務管理を負担する余力のない企業等では正社員化は難しい また 非正規 正規の採用助成金等のインセンティブを与えると 悪用されるおそれもある 個社の枠組みを超えて業界全体で 外部労働市場の中でキャリアが継続できる仕組みを構築し 失業なき就業機会の提供を目指す ( 派遣労働者へのジョブカード制度の普及促進や 就職困難者を官民が協同してサポートする ) 9
ジョブ カード制度の活用による派遣労働者のキャリア形成支援について ジョブ型 労働者を念頭においた検討の必要性 正社員化の促進だけではなく 派遣労働者のような ジョブ型 の就業継続を望む層への対応が必要 ジョブ カード制度の活用促進 ジョブ カードは派遣労働者のような ジョブ型 の就業継続を望む層のキャリア形成支援にも有用と考えられ これらを念頭においたジョブ カードの活用促進が必要 市場ニーズや産業構造の変化をふまえた評価基準の策定と検証 流動性の高い労働者にとっての利便性向上と ジョブ カードに記された情報の利用 活用の促進といった 1 派遣先からスタッフの評価をヒアリング 観点からのデジタル ネットワーク化の検討 派遣労働者へのジョブ カード活用イメージ ( 派遣協会案 ) - 今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会 日本人材派遣協会提出資料より - 利便性向上の観点から 将来的には WEB 経由でアクセスできる D/B として管理されることが望ましい 実現の前提として 派遣業界におけるスタッフの評価 /FB の徹底と教育訓練 キャリアカウンセリングの充実が必要 2 評価のフィードバック 国 or 研究機関等 DB の情報を元に 派遣 請負社員のキャリア形成の実態把握 各種政策への活用等 職歴評価データベース 国もしくは第三者機関で管理運営 7 キャリア形成につながるような仕事の紹介 6 スタッフの許可を得て 職歴 前職の評価内容等を確認 3 評価内容を登録 4 評価結果を踏まえた教育研修 能力開発プログラム等の利用 5 他の派遣会社に登録 仕事紹介依頼 10 10
協会概要 団体名 : 一般社団法人日本人材派遣協会 設立 : 昭和 61 年 12 月 1 日 会長 : 家中 隆 会員数 :597 社 ( 平成 24 年 12 月 1 日現在 ) 2010 年度会員情報 事業所数 2,569ヵ所 売上高 1 兆 7,385 億円 派遣労働者数 766,112 人 / 常用換算 ( 労働者派遣事業報告書全体の51.8%) 協会事業 : 人材派遣に関する相談センターの常設 コンプライアンス遵守のサポート例 ) 労働者派遣法改正法説明会の実施 ( 元 先 ) 人材派遣事業の運営支援例 ) 統計調査 会員誌などの情報共有 派遣社員キャリア形成支援例 ) セミナー開催 キャリアカウンセリングの実施など 派遣社員実態調査の実施 11