臨床試験の実施計画書作成の手引き

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9 中止基準 ( 研究対象者の中止 研究全体の中止について ) 10 研究対象者への研究実施後の医療提供に関する対応 通常の診療を超える医療行為 を伴う研究を実施した場合 研究実施後において 研究対象者が研究の結果より得られた利用可能な最善の予防 診断及び治療が受けられるように努めること 11 研究

1. はじめに ステージティーエスワンこの文書は Stage Ⅲ 治癒切除胃癌症例における TS-1 術後補助化学療法の予後 予測因子および副作用発現の危険因子についての探索的研究 (JACCRO GC-07AR) という臨床研究について説明したものです この文書と私の説明のな かで わかりにくいと

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標準業務手順 目次

アンケート用「研究実施計画書」作成の手引

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4 研修について考慮する事項 1. 研修の対象者 a. 職種横断的な研修か 限定した職種への研修か b. 部署 部門を横断する研修か 部署及び部門別か c. 職種別の研修か 2. 研修内容とプログラム a. 研修の企画においては 対象者や研修内容に応じて開催時刻を考慮する b. 全員への周知が必要な

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さらに, そのプロセスの第 2 段階において分類方法が標準化されたことにより, 文書記録, 情報交換, そして栄養ケアの影響を調べる専門能力が大いに強化されたことが認められている 以上の結果から,ADA の標準言語委員会が, 専門職が用いる特別な栄養診断の用語の分類方法を作成するために結成された そ

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臨床試験実施計画書 汗中乳酸測定システムを用いた 組織酸素代謝評価の検討 聖マリアンナ医科大学救急医学 神奈川県川崎市宮前区菅生 2-16-1 電話 :044-977-8111( 医局内線 3931) 医局 FAX:044-979-1522 責任医師森澤健一郎 kmori0079@yahoo.co.jp 臨床試験実施予定期間 : 承認後 ~ 2018 年 6 月 30 日まで 作成日 :2016 年 8 月 26 日 -1-

1. 試験の背景重篤な病態を管理する集中治療においては 血圧 脈拍 呼吸数 体温 血中酸素飽和度といった従来のバイタルサインのみでなく 末梢循環と臓器血流を維持し 臓器不全を未然に防ぐことが重要である 血中乳酸値は末梢循環と臓器血流を反映し 組織酸素代謝の指標として重要視されており 集中治療における予後予測や治療効果の判定に有用である 明治大学工藤研究室で開発された汗中乳酸計測システムは 皮膚表面からの乳酸分泌量をリアルタイムに計測することが可能であり 非観血的に被験者の代謝状態を評価することができる可能性がある 2. 試験の目的と必要性目的 : 集中治療を必要とする重症症例において 汗中乳酸計測システムにより得られる乳酸値と血中乳酸値の相関を評価し 汗中乳酸計測システムが集中治療における組織酸素代謝の評価に利用できる可能性を検討することが本試験の目的である 必要性 : 汗中乳酸計測システムは非侵襲的に乳酸測定を行うことができるため 集中治療室における非侵襲的モニタリングへの応用を検証する意義がある 3. 対象患者 (1) 参入基準 : 当院の集中治療室に入院した 18 歳以上の症例で 通常診療において 血中の乳酸測定が必要と判断された症例 (2) 除外基準 : 1 汗中乳酸測定が困難である症例 ( 測定部位の熱傷 皮膚損傷 等 ) 2 主治医が除外すべきと判断した症例 -2-

4. 被験者に説明し同意を得る方法研究責任者と研究分担者は 試験の目的と方法 患者が本試験に同意しない場合にも不利益は受けないこと 随時 同意を撤回できること プライバシー保護などについて 本試験開始前に被験者または法定代理人に十分説明し 被験者または法定代理人の自由意思による同意を文書にて得る 5. 試験の方法 (1) 試験のデザイン : 前向き観察研究 (2) 試験のアウトライン : 本病院の集中治療室に入院した 18 歳以上の症例を対象とする カルテから得られる患者 経過情報 バイタルサイン 診療内で測定される血液ガス 血中乳酸値を含む生化学情報についてデータを記録する 診療内で血中乳酸値を測定する際に 同時に汗中乳酸測定システムによる乳酸測定を行い記録する 汗中乳酸の測定には 体表に貼ったセンサーを使用し センサー内を還流するリン酸緩衝生理食塩水へ溶けだした汗中の乳酸を 電気化学アナライザーを用いて計測する 汗中乳酸測定システムにより得られた乳酸値と 血中乳酸値の相関性を評価し 予後およびバイタルサインとの関連性を検証する また 汗中乳酸測定の指標として 発汗量の測定も行う 発汗量の測定は体表に貼るだけで測定できる市販の発汗計 ( 非医療器材 ) を用いて測定する 本試験は純粋な観察研究であり 測定された汗中乳酸値に対する介入は行わない (3) 被験者の試験参加予定期間 : 試験参入より後述の観察中止基準をみとめるまでの期間とする 6. 収集する患者データ 血中乳酸値 汗中乳酸測定システムにより得られた乳酸値とともに 通常診療に よって記録される下記の情報を収集する 本研究のために 特別な採血および検査 -3-

の追加は必要としない 1) 患者基礎情報年齢 性別 身長 体重 診断名 既往歴 2) 経過と予後に関わる情報血行動態 ( バイタルサイン ) カテコラミン使用量 人工呼吸器管理の有無 腎代替療法の有無 重症度スコア(APACHE II SOFA SAPS) ICU 入室後 28 日目の患者状態 7. 観察中止基準 1 血中の乳酸測定が不要となった場合 2 短時間で死亡する可能性が極めて高い場合 3 重篤な合併症 偶発症などの有害事象 ECMO を要する病態が発現した場合 4 患者もしくはその代理人が試験の中止を希望した場合 5 その他 担当医師が試験の継続が困難と判断した場合 8. 有害事象発生時の取扱本試験は 通常の診療において得られたデータを収集し 非侵襲的な汗中乳酸測定 発汗量の測定を行うのみであるため 本試験によって生じる有害事象は無いと考えられる 診療中に発生した健康被害は 日常診療の範囲内ですみやかに適切な処置と治療をもって対処する 9. 臨床試験実施計画書からの逸脱の報告 研究責任者は 臨床試験実施計画書からの逸脱あるいは変更を行った場合は 内 容と理由 臨床試験実施計画書等の改訂案を臨床試験部会に提出し報告する -4-

10. 試験の終了 中止 中断 (1) 試験の終了研究責任者は 試験の終了時に試験終了報告書を臨床試験部会に提出する (2) 試験の中止 中断研究責任者は 以下の事項に該当する場合は試験継続の可否を検討する 1 被験者の参加が困難となり予定症例を達成することが 明らかに困難であると判断されたとき 2 予定症例数または予定期間に達する前に 試験の目的が達成されたとき 3 臨床試験部会により 臨床試験実施計画等の変更の指示があり 受入れる事が困難と判断されたとき 4 臨床試験部会により 中止の勧告あるいは指示があったとき 5 試験の中止または中断を決定した時は 臨床試験部会に文書で報告する 11. 試験実施期間 承認後 ~ 2018 年 6 月 30 日 12. データの集計および統計解析方法 1) データの集計 : 集中治療室におけるデータの集計は聖マリアンナ医科大学救急医学で行い 明治大学工藤研究室と共同で解析を行う 研究責任者と個人情報管理者はデータの匿名化を行い 共同で行う解析の際に個人情報が特定できないように配慮する 2) 具体的な評価方法 : a. 血中乳酸値と汗中乳酸測定システムにより得られた乳酸値について 相関性を評価する -5-

b. 血中乳酸値と汗中乳酸測定システムにより得られた乳酸値について 年齢 性別 身長 体重 診断名 既往歴 血行動態 ( バイタルサイン ) カテコラミン使用量 人工呼吸器管理の有無 腎代替療法の有無 重症度スコア (APACHE II SOFA SAPS) ICU 入室後 28 日目の患者状態との関連性を検証する 13. 目標症例数および設定根拠目標症例数 24 症例相関係数が 0.4 と想定した際に 80% 以上の確率で有意判定を行うためには 24 組のデータが必要である 1 症例で測定できるデータ数は最低で 1 組のため 24 症例が必要と判断した 14. 被験者の人権および安全性 不利益に対する配慮 1) 本試験においては遺伝子解析など倫理的に問題となる検査は実施しない 2) 本試験は 通常の診療において得られたデータを収集し 非侵襲的な汗中乳酸測定 発汗量測定を行うのみであるため 本試験によって生じる有害事象は無い 3) 汗中乳酸を測定するセンサーは消毒されたシリコン ( ジメチルポリシロキサン ) 製であり 皮膚への刺激 感染性について配慮されている 4) 研究情報は 研究責任者が連結可能匿名化する 匿名化などの個人識別情報の管理は 他のコンピューターと切り離され インターネットから独立している専用のコンピューターを用いて行う 15. 患者の費用負担 本研究は 日常診療で得られる情報を収集し 費用を必要としない汗中乳酸測定 を行う研究であるため 実施に患者の費用負担は発生しない -6-

16. ヘルシンキ宣言への対応本試験は ヘルシンキ宣言 (2013 年改訂 ) 人を対象とする医学系研究に関する倫理指針 ( 平成 26 年 12 月 22 日 ) ニュルンベルグ綱領 個人情報保護法 を遵守して実施する 17. 記録の保存研究責任者と個人情報管理者は 試験等の実施に係わる必須文書 ( 申請書類の控え 学長からの通知文書 各種申請書 報告書の控 被験者識別コードリスト 同意書 症例報告書等の控 その他データの信頼性を保証するのに必要な書類または記録など ) を保存し 少なくとも 5 年間は保存する 18. 研究結果の公表 本試験の結果は 学会発表や学術雑誌等で公に発表することがある 試験の結果 を公表する際は 被験者を特定できる情報を使用しない 19. 研究組織 研究責任者 聖マリアンナ医科大学救急医学森澤健一郎講師 (PHS:81544) 研究分担者 集中治療室における 汗中乳酸測定システムを用いた測定を担当します 聖マリアンナ医科大学病院救急医学 ( 内線 3931) 平泰彦 教授 (PHS:80180) 藤谷茂樹 教授 (PHS:81080) 尾崎将之 助教 (PHS:80090) 津久田純平 助教 (PHS:81781) -7-

個人情報管理者 細山明子研究技術員 ( 内線 3833) 共同研究者 汗中乳酸測定システムの開発と最適化を担当します 明治大学理工学部電気電子生命学科バイオ マイクロデバイス研究室工藤寛之准教授 20. 参考資料 文献リスト デジタルヘルス時代に向けたあたらしい生体センシング技術 ( スライド抜粋 ) -8-